ゲスト
(ka0000)
呑んでも飲まれるな!
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/05/07 09:00
- 完成日
- 2019/05/10 00:13
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
若き脚本家は憂いでいた。
恋愛は苦手なのに、どういう訳か、恋愛の脚本依頼が多いのだ。
「ハンター達を見本にし過ぎたせいで……僕の力じゃないのに、なぜか恋愛脚本家とか呼ばれてるんだよぉ!」
叫びながら酒を呷ると、ドンっとグラスをテーブルに叩きつける。
普段はこんな乱暴な事はしない。色々なストレスによるものだ。
「それじゃ、君は一体、何が描きたいのさ」
空になったグラスに酒を注いでいるのは、若き脚本家の親友である衣装屋だった。
この脚本家が立てた劇で必要な衣装を一手に引き受けている以上、脚本家が作品を作れなくなってしまっては商売に響く……という事情も、あるのかもしれない……。
「ふつーの、ふつーの、何気ない日常が描きたいんだ!」
「それはダメだな」
脚本家の願望にすぐさま衣装屋が答えた。
「な、なんで?」
「王侯貴族の日常なら庶民受けするかもしれないが、庶民の普通の日常をだな、普通に描いただけじゃ、インパクトに欠けるだろう」
「……やっぱりそうか……」
肩を落として残念がる脚本家。
恐らく、誰かに相談したが、似たような返事を受けたのだろう。
「……言えよ」
仕方ないなという態度で衣装屋は言い放った。
「え?」
「どうして、日常を描きたいんだ?」
そう深く尋ねられた事は無かったのだろう。脚本家は目を輝かせた。
グラスに入った酒がこぼれるのも気にせずに、フルフルと手が震えている。
「ダイナミックな物語はインパクトがあって、ドキドキしたり、ハラハラして楽しいかもしれない。だけど、そこに至る過程は絶対にあると思う。その過程の積み重ねが、何かの拍子で顔を出しただけで、本当に大事な事は、普段の日常の中にも、あると思うんだ」
「なるほど。確かに一理あるな」
「だけど……やっぱり、作品にするのは難しいのかな……」
諦め気味な親友の肩を衣装屋はポンと軽く叩いた。
「なに、そこは工夫だよ、工夫」
「工夫?」
首を傾げる脚本家。
衣装屋の不敵な笑みが無駄に怖い。
「ハンター達の日常を描けばいい」
「だけど、ただの日常じゃ、インパクトに欠け――」
「飲めばいい」
脚本家の言葉を遮って言い放った衣装屋の台詞に思わず耳を疑う。
目をキョトンとしていると、大事な事だったようで、もう一度、同じ台詞を衣装屋が発した。
「飲めばいい」
「いや、良く分からないよ」
「分かってないな! 日々、歪虚と戦う、我らのヒーローがだよ、色々な苦しみや悩みを抱えて、それでも戦い続ける所に、我々はグッとくるわけじゃないか!」
衣装屋の力説に脚本家は圧倒された。
確かにそうだ。いつもいつも、守られるばかりの自分達。
だけど、ハンターも人である事に変わらない。様々な葛藤があるはずだ。
「ハンター達の飲み会風景を題材に、そんな日常の風景を描く……いいかもしれない!」
「そうだろう! 酒の席となれば、本音が出るかもしれない。もしかして、『彼奴は単なる相棒だ』…とか言いつつ、実は好きだったとか、いや、もう、その場で『一目惚れした!』とか、なんかあるかもしれん!」
「な、なるほど! 素晴らしいよ!」
脚本家は親友である衣装屋の両手を熱く握った。
苦しい時、いつも、助けてくれる親友がいるという事が、こんなにも喜ばしい事なのかと感動する。
「まぁ、これぐらい、親友として当たり前の事だ。勿論、作品が出来た暁には、我が衣装屋を利用してくれたまえ」
商売も強引にねじ込んでくるあたり、いかにもいつもの衣装屋だなと、若き脚本家は思うのであった。
==========解説==========
●目的
飲み会に参加する
●解説
崖空都市ピースホライズンにある『空酎Bar』という名の酒場での飲み会に参加する。
ハンター達には“日頃の激戦を癒す為に”という理由で招待されている。
その為、報酬金は無いが、酒や食事代などは掛からない。
※重要※ 成人に達していない人は酒が飲めません(呑んでないけどその場の雰囲気で酔ったとかは可)。
若き脚本家は憂いでいた。
恋愛は苦手なのに、どういう訳か、恋愛の脚本依頼が多いのだ。
「ハンター達を見本にし過ぎたせいで……僕の力じゃないのに、なぜか恋愛脚本家とか呼ばれてるんだよぉ!」
叫びながら酒を呷ると、ドンっとグラスをテーブルに叩きつける。
普段はこんな乱暴な事はしない。色々なストレスによるものだ。
「それじゃ、君は一体、何が描きたいのさ」
空になったグラスに酒を注いでいるのは、若き脚本家の親友である衣装屋だった。
この脚本家が立てた劇で必要な衣装を一手に引き受けている以上、脚本家が作品を作れなくなってしまっては商売に響く……という事情も、あるのかもしれない……。
「ふつーの、ふつーの、何気ない日常が描きたいんだ!」
「それはダメだな」
脚本家の願望にすぐさま衣装屋が答えた。
「な、なんで?」
「王侯貴族の日常なら庶民受けするかもしれないが、庶民の普通の日常をだな、普通に描いただけじゃ、インパクトに欠けるだろう」
「……やっぱりそうか……」
肩を落として残念がる脚本家。
恐らく、誰かに相談したが、似たような返事を受けたのだろう。
「……言えよ」
仕方ないなという態度で衣装屋は言い放った。
「え?」
「どうして、日常を描きたいんだ?」
そう深く尋ねられた事は無かったのだろう。脚本家は目を輝かせた。
グラスに入った酒がこぼれるのも気にせずに、フルフルと手が震えている。
「ダイナミックな物語はインパクトがあって、ドキドキしたり、ハラハラして楽しいかもしれない。だけど、そこに至る過程は絶対にあると思う。その過程の積み重ねが、何かの拍子で顔を出しただけで、本当に大事な事は、普段の日常の中にも、あると思うんだ」
「なるほど。確かに一理あるな」
「だけど……やっぱり、作品にするのは難しいのかな……」
諦め気味な親友の肩を衣装屋はポンと軽く叩いた。
「なに、そこは工夫だよ、工夫」
「工夫?」
首を傾げる脚本家。
衣装屋の不敵な笑みが無駄に怖い。
「ハンター達の日常を描けばいい」
「だけど、ただの日常じゃ、インパクトに欠け――」
「飲めばいい」
脚本家の言葉を遮って言い放った衣装屋の台詞に思わず耳を疑う。
目をキョトンとしていると、大事な事だったようで、もう一度、同じ台詞を衣装屋が発した。
「飲めばいい」
「いや、良く分からないよ」
「分かってないな! 日々、歪虚と戦う、我らのヒーローがだよ、色々な苦しみや悩みを抱えて、それでも戦い続ける所に、我々はグッとくるわけじゃないか!」
衣装屋の力説に脚本家は圧倒された。
確かにそうだ。いつもいつも、守られるばかりの自分達。
だけど、ハンターも人である事に変わらない。様々な葛藤があるはずだ。
「ハンター達の飲み会風景を題材に、そんな日常の風景を描く……いいかもしれない!」
「そうだろう! 酒の席となれば、本音が出るかもしれない。もしかして、『彼奴は単なる相棒だ』…とか言いつつ、実は好きだったとか、いや、もう、その場で『一目惚れした!』とか、なんかあるかもしれん!」
「な、なるほど! 素晴らしいよ!」
脚本家は親友である衣装屋の両手を熱く握った。
苦しい時、いつも、助けてくれる親友がいるという事が、こんなにも喜ばしい事なのかと感動する。
「まぁ、これぐらい、親友として当たり前の事だ。勿論、作品が出来た暁には、我が衣装屋を利用してくれたまえ」
商売も強引にねじ込んでくるあたり、いかにもいつもの衣装屋だなと、若き脚本家は思うのであった。
==========解説==========
●目的
飲み会に参加する
●解説
崖空都市ピースホライズンにある『空酎Bar』という名の酒場での飲み会に参加する。
ハンター達には“日頃の激戦を癒す為に”という理由で招待されている。
その為、報酬金は無いが、酒や食事代などは掛からない。
※重要※ 成人に達していない人は酒が飲めません(呑んでないけどその場の雰囲気で酔ったとかは可)。
リプレイ本文
●
眩しいばかりの桃色の髪を揺らし、伝説のフリフリ☆ネコメイド姿のコスプレをしたミィリア(ka2689)が何故か厨房から出てきた。
これはお任せというお仕置きではなく、ご褒美――いや、単に居酒屋『空酎Bar』の給仕が急に休んだからの代打なのだ。急なだけに。
ミィリアは店の入口で立ち止まっているハンター達を出迎えた。
「萌え萌えきゅ~んっと♪」
「……これが三十路に突入した勢いというものですの~」
「くっ……さ、さぁ、入店したら早く座るのでござるよ!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)の言葉に何か刺さりながらも、ハンター達の後ろに回り込み、全員をぐいぐいと押す。
「ざ、ざくろはお店間違えたみたい」
この状況に時音 ざくろ(ka1250)は慌てて言う。
予約した時にいた嫁がいないし、集まったハンター達を見ると、強面の男性二人に、鯨飲馬食目的のエクラ教のクルセイダーとどう見てもロリババアなドワーフ。
これが何かの討伐依頼であれば理解できるが、どう見ても酒場で何かを倒す依頼には思えない。
ミグ・ロマイヤー(ka0665)が胸を張った。
「金髪ロリドワーフにして、ミグはアルケミストオブアルケミストじゃあ。何か問題あるかえ?」
「い、いえ、何も……」
「一人でも欠けると、折角の依頼主のご厚意が無駄になるの。勿体無いですの」
「なら、少しだけ……あまり遅くなったら嫁様達が心配するし」
ようやく店奥に全員が入る。
その途中、床が一面のガラス張りになっている事にディーナは驚きの声を挙げた。
「……ふぉぉ!? 床が、床が透明なの! 下から見えるの! 覗き放題なの!!」
「間違っても下側に回りこんではいけませんね」
床に手をついて下を眺めるディーナに、その様子を見て強面の男性の一人、ハンス・ラインフェルト(ka6750)が頷いた。
ちなみに、下の風景は人が行き交っている――という訳ではなく、大峡谷があるだけだから、覗くもなにもないのだが。
むしろ、外を飛行して見上げたら、色々と見えてしまう危険性が高いだろう。
「ざくろはトイレと間違って行ったらダメでござるよ」
「いかないって!」
嫁達と一緒に来ていたら、そんな状態になっていた可能性も否定できないだけに、ざくろは顔を真っ赤にした。
建物の珍しい作りに興味津々といった様相でカイン・シュミート(ka6967)もガラス張りの床を見つめる。
「へぇ、新しい建物だな。どうやって建てられたんだろ」
崩れてしまったりしないのだろうかという疑問が浮かぶが、店としてやっているので、とりあえずは大丈夫なのだろう。
ミィリアに案内された丸テーブルに座ると早速という感じでカインは注文した。
「ビール、あと枝豆。それと、フライドポテトみたいなのはあるか?」
「ただ酒ただ飯やほ~やほ~、食べるよ食べるよやほ~やほ~。そんな訳だから、じゃんじゃんバリバリ持ってくると良いの! 頑張って全部食べ尽くすの!」
「じゃあ、ざくろも同じくビールで! つまみはちょっとお腹空いたし、ソーセージの盛り合わせ貰おうかな?」
「ミグは何でも構わんのじゃ」
「私は酒があれば構いません」
立て続けにミィリアに注文する面々。
「…………注文承りまったでござる!」
あれは絶対に注文内容覚えていないだろうという勢いで、ミィリアは厨房へと飛び込んで行った。
それを見届けながら、ハンスはキョロキョロと店内を見渡す。
「依頼主は……いないのですか?」
「パルムがいるって事は、報告官の報告書待ちなんだろうな」
カインが指さした先にはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべるパルムがいるだけだ。
「私達は戦勝会や慰労会をするほど傲慢に勝ちを収めていません。それなのに、このような場を設けた事に、意味があるのでは……と思ったのですがね」
居ないなら仕方がない事だ。
「あれ? 私達は“日頃の激戦を癒す為に”という名目でご招待されていたと思うの」
ディーナの台詞に、ハンスがキリっとした視線を向ける。
どこで勘違いしてしまったのか、いや、まさか、本気でそう思っていたのか。
「……コホン。これはある種の無礼講でしょう? ならば、お互い質問するのはどうでしょう。その方が相互理解も深まるし楽しいじゃありませんか」
上手く仕切り直したハンスに、ざくろはウンウンと頷く。
誰だって間違いや手違いはあるものだ。折角の酒の席。飲んで笑い飛ばせばそれでいい事だ。
ちょうどそこに両手いっぱいに飲み物やら食べ物を持ってミィリアが戻ってきた。
そんな早く料理が出来たのかというツッコミを華麗に避けつつ、彼女はドンとテーブルに置いた。
「さぁ、じゃんじゃんどんどん飲み食いするでござる!」
「……枝豆がねぇ」
「い、今、植えてるのでござる!」
とりあえず、お互いの健闘の称え、これからの活躍を祈り、グラスを合わせ鳴らすのであった。
●
「……という事で、ミグは帝国の技術将校を務めたものの現在はすべての公職より身を引いて、余生の慰みとしてハンター家業に勤しんでいるのじゃ。ちなみに、実年齢は余裕で3桁じゃぞ。後、孫も大勢いるのじゃ……って、ちゃんと、聞いておるのかえ!?」
ドンっとビールジョッキを机に叩きつけるミグ。
「偉い人の話は長いですの~」
「何の話だったっけ? ざくろ、忘れちゃった」
次から次へと飲み物食べ物を胃袋というブラックホールに入れ続けるディーナと、あたふたしながら、なぜかメイドコスプレ姿に着替えさせられたざくろが言った。
「好きなもの、大事なものの話じゃ。ミグは亡くなった旦那に、今でもラブで、その壮大な話をしていたのじゃ!」
「それだけ好きって事は、まぁ、良い事なんじゃないか」
助け舟のようにカインが告げる。
嘘を言っても意味がある場ではないので、きっと、本当の事なのだろう。ロリババアという事が。
「やかましいわ!」
「ミグが何も無い所に向かって叫んでるのでござる」
「何か聞こえたのでしょう。幻聴というものです」
ミィリアとハンスの容赦ないツッコミ。
きっと、この場に、いたずら好きな精霊や幽霊かあるいは何か居るのかもしれない。
カインは酒を一口飲んでから、言い出した。
「大事にしているものか……京都の作戦で貰った勲章かな、俺は。小隊全員で取ったと思っているから、あの時、記された言葉は嬉しかったんで大事にしてる」
「良い話ですの! それはそうとして、ここの料理、どれも美味しいですの!」
さっきから全くブレないディーナが、また一つ、皿を平らにした。
「カインさんの大事なものは分かったのですの。それで、好きな人は誰ですの?」
「好きな人、恥ずかしいこと、取り消して欲しいこと……共通してるんだが、最近あっ……って、俺は姫じゃねえええ!」
思い出しからの恥ずかしい事が頭を過り、どういう訳かドレスを着た毒っぽいパルムをお姫様抱っこしている女の子っぽいパルムが目の前を通過し、カインは思わず叫んだ。
衝撃的かつ唐突な叫びに、おまけにその内容にざくろが噴出した。
「私の横に座っていたのに何故、急に席を変えるのですか、ざくろさん」
「いや、なんか、ほら、カインさんの再現したくないし!」
ハンスの淡々とした言葉に弁解するようにざくろが叫ぶ。
「俺だって、何が起こったのか、よく判ってねえよ!」
「あのパルムカップルのように、カインがお姫様抱っこでキスされた……で、ござるか? 伝説でござるな。カインってば実はお姫様だとか?」
「だから、姫じゃねええええええ! そんな伝説は悲しすぎだろ……」
やけくそのように酒を呷るカイン。
これはこの話題だけでジョッキが軽く10杯はいけるだろうが、あまり言うと可哀想にもなってくる。
「俺の事は良いから、ハンスはどうなんだ?」
「私にとって1番大事な事は、剣を極めることです。それには人を斬るしかない……相手の生死は問いませんが」
テーブルに立て掛けている聖罰刃の柄に触れながらハンスは答えた。
如何にも剣士らしい台詞に、ミグが呟く。
「急に重たい話になったの。それじゃ、好きな人はおるんかの?」
「……私は、ある悪夢を見てから、ある人のことを一切合財忘れまして。何だこの女はと思ったら、どうやら妻だったようで。随分泣かれましたが、やはりきちんとは思い出せない。今も同居していますが、随分と可哀想なことをしてしまったと思います」
そこで区切ってハンスはグラスに残っていた酒を一気に飲み干した。
それでも足りなかったのか、テーブルの上に置いてあった手を付けていない酒を無造作に取る。
「剣の道だけ極めようとしていれば、こんな事もなかったと、それだけは……後悔していますね」
「「「話が重い!」」」
全員が一斉に叫んだ。
「仕方ないですよ。そういう質問だったのですから」
弁解するように言うと、ハンスは視線を、メイドコスプレしているざくろへと向けた。
重力100倍の威力があった話の後、なんとかできるのは、この男しかいないという視線だ。
「好きな人は嫁様達とごにょごにょ……じゃなくて、みんな、本当に素敵で、可愛くて、それに……ざくろを支えてくれて、一人はもうすぐ娘も生まれs」
「「「えぇぇぇぇぇ!」」」
いつもの惚気話かと思いきや、突然の告白に一同が驚きの声を挙げた。
生まれる? 娘が生まれる? このコスプレメイド姿のざくろがお父さんになるの?
「まさか、仲間を腹ませたのかえ?」
「しゅ、出産……で、ござる、か……」
「こっちのご飯も美味しいですの!」
「生まれるなら、喜ばしい事ですね」
「父親か……どんな気分なのだろうか……」
それぞれが上の空で呟く。それほど、エキサイティングな話だった。
「だ、だから、嫁様達と子供と、そして、一緒に過ごせる未来。その未来をつかみ取る事、そのために生まれる冒険が、ざくろにとって大事なことなんだ!」
「もの凄く綺麗にまとめたようじゃな。ところで、ディーナは食べてばっかりじゃが、そういう話はないのかえ?」
ミグの台詞に、ウサギのように咀嚼を繰り返すディーナの口の動きが止まった。
再び口を動かし、飲み物で流し込んだ――が、止まる事なく、次の食事に手を伸ばしながら答える。
「……お猫さまは違うの、お猫さまは、全てにおいて別格なの!」
「お、おぅ……」
あまりの勢いに隣に座っていたカインが思わず身体を引く。
そんな事構わずに、ディーナの話は続いた。
「神は猫の上に人を作らず人の下に猫を作らずなの。日々、お猫さまを崇めて小魚やマタタビを貢ぐ。朝と言わず、昼と言わず、夜と言わず、ひたすらお猫さまに会うために、町内行脚する……これが精神と肉体を健康に保つ秘訣なの!」
ドンっと力説する。これが先ほどまで食う事だけに集中していたエクラ教のクルセイダーの姿。
どんだけ猫が好きなのか……いや、食べるのも好きそうだが。
「お猫さまを崇める事で――」
「猫が好きなのは分かったから、ほら、好きな人は?」
これ以上、猫の話が長くなると、猫だけで終わってしまいそうな予感がして、ざくろが話を切り替えた。
少し悩んだような、思い出すような仕草をしてから、ディーナは人差し指を立て、満面の笑顔でこう言った。
「好きな人はタスカービレの道場主なの! タスカービレはひなびた温泉があって、骨休めにお勧めなの」
(((それ誰?)))
可愛い笑顔での告白に、一同は目を合わせる。
思った事が一緒だったようだ。反応に困る中、フリフリ☆ネコメイド姿のコスプレをしたミィリアが手を挙げた。
それも真っ直ぐにピンとした挙手だ。何か大事な告白があるのだろうか。
もしかして、誰かが好きだとか、今更ながら、アイドル活動に専念しますだとか、実はロボットでしたとか……。
「飛んできます!」
「「「は?」」」
どうやら、酔い過ぎた勢いのようだ。
店のバルコニーにはバンジージャンプできるようになっているので、それの事なのだろう。
ズンズンと向かうミィリアの様子に、ざくろとカインが慌てる。あれは、紐を付けないで飛んでしまいそうな勢いだ。
急に立ち止まった彼女はクルリと振り返ると手を突き出して、二人を制止した。
「露骨なフラグ折ってしまって申し訳ないけど、さすがにミィリアも縛られるのは困っちゃうしね」
「縛らないって、これが無いと落下しちゃうから!」
らきすけが一瞬、頭を過って、ざくろが顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
確かに、これはらきすけ案件になりかねない。
カインはこめかみの辺りを掻きながら、振り返った。
「仕方ない。ディーナ……は食べているから、ミグに頼めるか?」
「折角、メカの話しをしようと思ったのにのう……後でセクハラ問題になると、色々と面倒じゃからな」
テーブルに両手をついて立ち上がるミグ。
同じドワーフのロリババア繋がりだし。
「今、なんか、失礼な声がどこからか聞こえたような気がした、でござる」
「?」
バルコニーに出て夜風にあたりながら言ったミィリアの台詞にミグは首を傾げた。
今宵は幻聴がよく聞こえる日なのかもしれない。
ミグはミィリアの身体にバンジージャンプ用の紐を確りと括りつけて、安全を確認する。
「よし、これで良いはずじゃ。想いのままに飛ぶのじゃ!」
「想いのままに……」
ギュっと胸元を両手で押さえた。
そう……想いのままに、この胸にポッカリと足らない物を埋めるように。
その頃、テーブルに残った面々は食事を再開していた。
「バンジージャンプとは、精神面を鍛えるのにいいのかもしれませんね」
ハンスが静かに告げる。
もっとも、ハンターはあらゆる戦場で戦ってきたのだ。バンジージャンプが必ずしも鍛える事になるのかは分からない。
「ミィリアが飛ぶのなら、ざくろは……宴会芸をするよ!」
「楽しいですの~」
パチパチと拍手するディーナに照れながらざくろは店で借りた魔導ナイフを浮かした。
「って、機導術じゃねぇーかよ」
カインからのツッコミにえへへ♪と笑うざくろ。
色々な使い道があって便利だが、知っている人から見ると、少し物足りない。
「もう少し応用し甲斐のある術が欲しい所だけ、ど」
「それは確かにそうだな。転移系とか便利そうだ。自分自身以外にも、矢や弾丸とか転移したりとか」
「興味深い話ですね。術の幅を知る事ができれば、敵対した時に役に立ちますから」
物騒な想像をしながらハンスが二人の話に入ってきた。
白兵戦主体のハンスにとって、魔法の話は、術士との戦いの参考になるのだろう。
「術の話も良いが、やはり、機械談義も忘れずに頼むのじゃ」
「もぐもぐ……お猫さまもですの~」
窓から顔を出したミグの台詞にディーナも続く。
そして、その直後の事だった。
「ござるぅぅぅぅ~!」
未来()に向かって飛んだミィリアの叫びが響き渡った。
まだまだ、ハンター達の飲み会は続きそうであった。
おしまい
眩しいばかりの桃色の髪を揺らし、伝説のフリフリ☆ネコメイド姿のコスプレをしたミィリア(ka2689)が何故か厨房から出てきた。
これはお任せというお仕置きではなく、ご褒美――いや、単に居酒屋『空酎Bar』の給仕が急に休んだからの代打なのだ。急なだけに。
ミィリアは店の入口で立ち止まっているハンター達を出迎えた。
「萌え萌えきゅ~んっと♪」
「……これが三十路に突入した勢いというものですの~」
「くっ……さ、さぁ、入店したら早く座るのでござるよ!」
ディーナ・フェルミ(ka5843)の言葉に何か刺さりながらも、ハンター達の後ろに回り込み、全員をぐいぐいと押す。
「ざ、ざくろはお店間違えたみたい」
この状況に時音 ざくろ(ka1250)は慌てて言う。
予約した時にいた嫁がいないし、集まったハンター達を見ると、強面の男性二人に、鯨飲馬食目的のエクラ教のクルセイダーとどう見てもロリババアなドワーフ。
これが何かの討伐依頼であれば理解できるが、どう見ても酒場で何かを倒す依頼には思えない。
ミグ・ロマイヤー(ka0665)が胸を張った。
「金髪ロリドワーフにして、ミグはアルケミストオブアルケミストじゃあ。何か問題あるかえ?」
「い、いえ、何も……」
「一人でも欠けると、折角の依頼主のご厚意が無駄になるの。勿体無いですの」
「なら、少しだけ……あまり遅くなったら嫁様達が心配するし」
ようやく店奥に全員が入る。
その途中、床が一面のガラス張りになっている事にディーナは驚きの声を挙げた。
「……ふぉぉ!? 床が、床が透明なの! 下から見えるの! 覗き放題なの!!」
「間違っても下側に回りこんではいけませんね」
床に手をついて下を眺めるディーナに、その様子を見て強面の男性の一人、ハンス・ラインフェルト(ka6750)が頷いた。
ちなみに、下の風景は人が行き交っている――という訳ではなく、大峡谷があるだけだから、覗くもなにもないのだが。
むしろ、外を飛行して見上げたら、色々と見えてしまう危険性が高いだろう。
「ざくろはトイレと間違って行ったらダメでござるよ」
「いかないって!」
嫁達と一緒に来ていたら、そんな状態になっていた可能性も否定できないだけに、ざくろは顔を真っ赤にした。
建物の珍しい作りに興味津々といった様相でカイン・シュミート(ka6967)もガラス張りの床を見つめる。
「へぇ、新しい建物だな。どうやって建てられたんだろ」
崩れてしまったりしないのだろうかという疑問が浮かぶが、店としてやっているので、とりあえずは大丈夫なのだろう。
ミィリアに案内された丸テーブルに座ると早速という感じでカインは注文した。
「ビール、あと枝豆。それと、フライドポテトみたいなのはあるか?」
「ただ酒ただ飯やほ~やほ~、食べるよ食べるよやほ~やほ~。そんな訳だから、じゃんじゃんバリバリ持ってくると良いの! 頑張って全部食べ尽くすの!」
「じゃあ、ざくろも同じくビールで! つまみはちょっとお腹空いたし、ソーセージの盛り合わせ貰おうかな?」
「ミグは何でも構わんのじゃ」
「私は酒があれば構いません」
立て続けにミィリアに注文する面々。
「…………注文承りまったでござる!」
あれは絶対に注文内容覚えていないだろうという勢いで、ミィリアは厨房へと飛び込んで行った。
それを見届けながら、ハンスはキョロキョロと店内を見渡す。
「依頼主は……いないのですか?」
「パルムがいるって事は、報告官の報告書待ちなんだろうな」
カインが指さした先にはニヤニヤと不気味な笑みを浮かべるパルムがいるだけだ。
「私達は戦勝会や慰労会をするほど傲慢に勝ちを収めていません。それなのに、このような場を設けた事に、意味があるのでは……と思ったのですがね」
居ないなら仕方がない事だ。
「あれ? 私達は“日頃の激戦を癒す為に”という名目でご招待されていたと思うの」
ディーナの台詞に、ハンスがキリっとした視線を向ける。
どこで勘違いしてしまったのか、いや、まさか、本気でそう思っていたのか。
「……コホン。これはある種の無礼講でしょう? ならば、お互い質問するのはどうでしょう。その方が相互理解も深まるし楽しいじゃありませんか」
上手く仕切り直したハンスに、ざくろはウンウンと頷く。
誰だって間違いや手違いはあるものだ。折角の酒の席。飲んで笑い飛ばせばそれでいい事だ。
ちょうどそこに両手いっぱいに飲み物やら食べ物を持ってミィリアが戻ってきた。
そんな早く料理が出来たのかというツッコミを華麗に避けつつ、彼女はドンとテーブルに置いた。
「さぁ、じゃんじゃんどんどん飲み食いするでござる!」
「……枝豆がねぇ」
「い、今、植えてるのでござる!」
とりあえず、お互いの健闘の称え、これからの活躍を祈り、グラスを合わせ鳴らすのであった。
●
「……という事で、ミグは帝国の技術将校を務めたものの現在はすべての公職より身を引いて、余生の慰みとしてハンター家業に勤しんでいるのじゃ。ちなみに、実年齢は余裕で3桁じゃぞ。後、孫も大勢いるのじゃ……って、ちゃんと、聞いておるのかえ!?」
ドンっとビールジョッキを机に叩きつけるミグ。
「偉い人の話は長いですの~」
「何の話だったっけ? ざくろ、忘れちゃった」
次から次へと飲み物食べ物を胃袋というブラックホールに入れ続けるディーナと、あたふたしながら、なぜかメイドコスプレ姿に着替えさせられたざくろが言った。
「好きなもの、大事なものの話じゃ。ミグは亡くなった旦那に、今でもラブで、その壮大な話をしていたのじゃ!」
「それだけ好きって事は、まぁ、良い事なんじゃないか」
助け舟のようにカインが告げる。
嘘を言っても意味がある場ではないので、きっと、本当の事なのだろう。ロリババアという事が。
「やかましいわ!」
「ミグが何も無い所に向かって叫んでるのでござる」
「何か聞こえたのでしょう。幻聴というものです」
ミィリアとハンスの容赦ないツッコミ。
きっと、この場に、いたずら好きな精霊や幽霊かあるいは何か居るのかもしれない。
カインは酒を一口飲んでから、言い出した。
「大事にしているものか……京都の作戦で貰った勲章かな、俺は。小隊全員で取ったと思っているから、あの時、記された言葉は嬉しかったんで大事にしてる」
「良い話ですの! それはそうとして、ここの料理、どれも美味しいですの!」
さっきから全くブレないディーナが、また一つ、皿を平らにした。
「カインさんの大事なものは分かったのですの。それで、好きな人は誰ですの?」
「好きな人、恥ずかしいこと、取り消して欲しいこと……共通してるんだが、最近あっ……って、俺は姫じゃねえええ!」
思い出しからの恥ずかしい事が頭を過り、どういう訳かドレスを着た毒っぽいパルムをお姫様抱っこしている女の子っぽいパルムが目の前を通過し、カインは思わず叫んだ。
衝撃的かつ唐突な叫びに、おまけにその内容にざくろが噴出した。
「私の横に座っていたのに何故、急に席を変えるのですか、ざくろさん」
「いや、なんか、ほら、カインさんの再現したくないし!」
ハンスの淡々とした言葉に弁解するようにざくろが叫ぶ。
「俺だって、何が起こったのか、よく判ってねえよ!」
「あのパルムカップルのように、カインがお姫様抱っこでキスされた……で、ござるか? 伝説でござるな。カインってば実はお姫様だとか?」
「だから、姫じゃねええええええ! そんな伝説は悲しすぎだろ……」
やけくそのように酒を呷るカイン。
これはこの話題だけでジョッキが軽く10杯はいけるだろうが、あまり言うと可哀想にもなってくる。
「俺の事は良いから、ハンスはどうなんだ?」
「私にとって1番大事な事は、剣を極めることです。それには人を斬るしかない……相手の生死は問いませんが」
テーブルに立て掛けている聖罰刃の柄に触れながらハンスは答えた。
如何にも剣士らしい台詞に、ミグが呟く。
「急に重たい話になったの。それじゃ、好きな人はおるんかの?」
「……私は、ある悪夢を見てから、ある人のことを一切合財忘れまして。何だこの女はと思ったら、どうやら妻だったようで。随分泣かれましたが、やはりきちんとは思い出せない。今も同居していますが、随分と可哀想なことをしてしまったと思います」
そこで区切ってハンスはグラスに残っていた酒を一気に飲み干した。
それでも足りなかったのか、テーブルの上に置いてあった手を付けていない酒を無造作に取る。
「剣の道だけ極めようとしていれば、こんな事もなかったと、それだけは……後悔していますね」
「「「話が重い!」」」
全員が一斉に叫んだ。
「仕方ないですよ。そういう質問だったのですから」
弁解するように言うと、ハンスは視線を、メイドコスプレしているざくろへと向けた。
重力100倍の威力があった話の後、なんとかできるのは、この男しかいないという視線だ。
「好きな人は嫁様達とごにょごにょ……じゃなくて、みんな、本当に素敵で、可愛くて、それに……ざくろを支えてくれて、一人はもうすぐ娘も生まれs」
「「「えぇぇぇぇぇ!」」」
いつもの惚気話かと思いきや、突然の告白に一同が驚きの声を挙げた。
生まれる? 娘が生まれる? このコスプレメイド姿のざくろがお父さんになるの?
「まさか、仲間を腹ませたのかえ?」
「しゅ、出産……で、ござる、か……」
「こっちのご飯も美味しいですの!」
「生まれるなら、喜ばしい事ですね」
「父親か……どんな気分なのだろうか……」
それぞれが上の空で呟く。それほど、エキサイティングな話だった。
「だ、だから、嫁様達と子供と、そして、一緒に過ごせる未来。その未来をつかみ取る事、そのために生まれる冒険が、ざくろにとって大事なことなんだ!」
「もの凄く綺麗にまとめたようじゃな。ところで、ディーナは食べてばっかりじゃが、そういう話はないのかえ?」
ミグの台詞に、ウサギのように咀嚼を繰り返すディーナの口の動きが止まった。
再び口を動かし、飲み物で流し込んだ――が、止まる事なく、次の食事に手を伸ばしながら答える。
「……お猫さまは違うの、お猫さまは、全てにおいて別格なの!」
「お、おぅ……」
あまりの勢いに隣に座っていたカインが思わず身体を引く。
そんな事構わずに、ディーナの話は続いた。
「神は猫の上に人を作らず人の下に猫を作らずなの。日々、お猫さまを崇めて小魚やマタタビを貢ぐ。朝と言わず、昼と言わず、夜と言わず、ひたすらお猫さまに会うために、町内行脚する……これが精神と肉体を健康に保つ秘訣なの!」
ドンっと力説する。これが先ほどまで食う事だけに集中していたエクラ教のクルセイダーの姿。
どんだけ猫が好きなのか……いや、食べるのも好きそうだが。
「お猫さまを崇める事で――」
「猫が好きなのは分かったから、ほら、好きな人は?」
これ以上、猫の話が長くなると、猫だけで終わってしまいそうな予感がして、ざくろが話を切り替えた。
少し悩んだような、思い出すような仕草をしてから、ディーナは人差し指を立て、満面の笑顔でこう言った。
「好きな人はタスカービレの道場主なの! タスカービレはひなびた温泉があって、骨休めにお勧めなの」
(((それ誰?)))
可愛い笑顔での告白に、一同は目を合わせる。
思った事が一緒だったようだ。反応に困る中、フリフリ☆ネコメイド姿のコスプレをしたミィリアが手を挙げた。
それも真っ直ぐにピンとした挙手だ。何か大事な告白があるのだろうか。
もしかして、誰かが好きだとか、今更ながら、アイドル活動に専念しますだとか、実はロボットでしたとか……。
「飛んできます!」
「「「は?」」」
どうやら、酔い過ぎた勢いのようだ。
店のバルコニーにはバンジージャンプできるようになっているので、それの事なのだろう。
ズンズンと向かうミィリアの様子に、ざくろとカインが慌てる。あれは、紐を付けないで飛んでしまいそうな勢いだ。
急に立ち止まった彼女はクルリと振り返ると手を突き出して、二人を制止した。
「露骨なフラグ折ってしまって申し訳ないけど、さすがにミィリアも縛られるのは困っちゃうしね」
「縛らないって、これが無いと落下しちゃうから!」
らきすけが一瞬、頭を過って、ざくろが顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
確かに、これはらきすけ案件になりかねない。
カインはこめかみの辺りを掻きながら、振り返った。
「仕方ない。ディーナ……は食べているから、ミグに頼めるか?」
「折角、メカの話しをしようと思ったのにのう……後でセクハラ問題になると、色々と面倒じゃからな」
テーブルに両手をついて立ち上がるミグ。
同じドワーフのロリババア繋がりだし。
「今、なんか、失礼な声がどこからか聞こえたような気がした、でござる」
「?」
バルコニーに出て夜風にあたりながら言ったミィリアの台詞にミグは首を傾げた。
今宵は幻聴がよく聞こえる日なのかもしれない。
ミグはミィリアの身体にバンジージャンプ用の紐を確りと括りつけて、安全を確認する。
「よし、これで良いはずじゃ。想いのままに飛ぶのじゃ!」
「想いのままに……」
ギュっと胸元を両手で押さえた。
そう……想いのままに、この胸にポッカリと足らない物を埋めるように。
その頃、テーブルに残った面々は食事を再開していた。
「バンジージャンプとは、精神面を鍛えるのにいいのかもしれませんね」
ハンスが静かに告げる。
もっとも、ハンターはあらゆる戦場で戦ってきたのだ。バンジージャンプが必ずしも鍛える事になるのかは分からない。
「ミィリアが飛ぶのなら、ざくろは……宴会芸をするよ!」
「楽しいですの~」
パチパチと拍手するディーナに照れながらざくろは店で借りた魔導ナイフを浮かした。
「って、機導術じゃねぇーかよ」
カインからのツッコミにえへへ♪と笑うざくろ。
色々な使い道があって便利だが、知っている人から見ると、少し物足りない。
「もう少し応用し甲斐のある術が欲しい所だけ、ど」
「それは確かにそうだな。転移系とか便利そうだ。自分自身以外にも、矢や弾丸とか転移したりとか」
「興味深い話ですね。術の幅を知る事ができれば、敵対した時に役に立ちますから」
物騒な想像をしながらハンスが二人の話に入ってきた。
白兵戦主体のハンスにとって、魔法の話は、術士との戦いの参考になるのだろう。
「術の話も良いが、やはり、機械談義も忘れずに頼むのじゃ」
「もぐもぐ……お猫さまもですの~」
窓から顔を出したミグの台詞にディーナも続く。
そして、その直後の事だった。
「ござるぅぅぅぅ~!」
未来()に向かって飛んだミィリアの叫びが響き渡った。
まだまだ、ハンター達の飲み会は続きそうであった。
おしまい
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相談卓! 紡伎 希(kz0174) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2019/05/06 15:00:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/05/06 14:47:56 |