• 幻想

【幻想】遺されしもの

マスター:電気石八生

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
6~10人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/05/16 07:30
完成日
2019/05/20 17:14

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●感慨
「こっちからの質問はいっこだけよ」
 ゲモ・ママ(kz0256)は、自らの経営するバー『二郎』のカウンター裏から低い声音を伸ばした。
「なんでアタシたちに味方しようっての?」
「其を問うか」
 対して、黄鉄の肢体持つ怠惰ゴヴニア(kz0277)はカウンター席に座し、チャーチワーデン――吸い口が非常に長いパイプ――を吹かしつつ笑みを傾げる。
「お約束でしょ。……っていうか、あんまり信じたくねぇってのが正直なとこよね」
 視線を動かすことなくママとゴヴニアの“空気”を窺う、メイドという名のボーイを務める天王洲 レヲナ(kz0260)。
 ゴヴニアの黄鉄の依代は脆い。しかし、先の戦いにおいて自らの生んだ雑魔を乗っ取ることでの無限復活及び大量増殖を成して見せた。怠惰が怪しい素振りをすればすぐに応戦するつもりではあるが、どこから、何体沸いてくるか知れない以上は、最終手段にしておきたいところだ。
「信を得に来やったのではないゆえ、構わぬ」
 シングルモルトを呷り、パイプを吸う。煙草につけられた果実の香が、場を甘く色づけた。
「しかしながら、乗らずには済むまいよ。其が汝の責務であろうゆえ」
 読まれぬよう身構え続けるレヲナへ新たなウイスキーを求めつつ、ゴヴニアはとろりとした半眼をママへ……そのポーカーフェイスへ向ける。
「乗るわよ。アンタがウソだけはつかねぇってことは知ってるからね」
 あっさりうなずいたのは、ゴヴニアが共闘を持ちかけてくるだろうことを予測していたおかげだ。
 ビックマーとの約定により、新怠惰王オーロラの側付をしていたゴヴニア。彼女のやりようはけして臣下としても怠惰としても正しくはなかったが、ニガヨモギの内ですべてを失くしゆくオーロラに救いをもたらすことで一貫してはいた。
 だとすれば、お膳立てのすべてを覆されることとなった先の大戦、その結末は不本意であったはずだ。中でも怠惰王の死を「終わらせることなく」穢した、青木 燕太郎(kz0166)の獣化は。
“青髯”をオーロラと同じ、何処かへ逝かせるまで、彼女の仕事は終わらないというわけだ。
 それを怠惰の情だって認めたくねぇってことなんだけどね。
 ママは小さく息をつき、安いコーンウイスキーを舐めた。本当はいい酒でも飲まなければやっていられない気分だったが、敵であるゴヴニアと同じ酒をすするのはさすがに気が引けた。下手に出ているようで業腹だが、こればかりはしかたない。
「……で、アタシたちになにさせてぇの?」

●膳立
「青木 燕太郎がやばいことになったのは知ってるわね?」
 集まったハンターに、ママは平らかな声音で問う。もちろん答は聞くまでもないのだが。
「ソサエティのほうで呼称は“青髯”に決まったわ。で、青髯なんだけど……ジグウ連山の東の裾を南下して、マギア砦の横をすり抜けてナナミ川を渡ろうとしてる。だから砦じゃ必死こいて、川ぁ渡る青髯に砲弾ぶっ込む準備してるわ」
 ママは指し棒でマギア砦からナナミ川へ砲撃ラインを描き。
「アタシたちの仕事は砲撃の効果上げられるように、青髯の分体――黒狼どもを一直線になるよう寄せることよ。特に山ん中に散られたらどうにもなんねぇからね」
 次いで、燕太郎の予想進路の西に位置する連山、東に位置する砦を差した。
「砦の脇を抜けられるより先に、青髯群に左右から食いつくわ。アタシとレヲナ、部族会議のみんなは本隊ってことで砦から強襲。アンタたちは遊軍になって連山側から奇襲。とはいえ山ん中にももう黒狼はいるだろうから、それ叩きながらね」
 燕太郎を示す駒のやや斜め後ろから挟撃することを示して、一同の顔を見渡す。
「青髯本体は最終防衛線を固めてるハンターに任せる。アタシたちはあくまでもお膳立てが仕事だからね。本隊と遊軍で左右から挟んで、群れの流れを細長くまとめるってのに徹してちょうだい」
 と。微妙な表情を作り、言葉を継ぎ足した。
「あと、今回の作戦じゃあゴヴニアが1回だけ、黒狼どもの足止めることになってるわ。どのタイミングで、どこの黒狼どもを足止めるかはアンタたちの指示に従うそうよ」
 怠惰王を巡る戦いの端々で密かに動き、決戦ではついにハンターの前へ立ちはだかった、ゴヴニアが?
 それぞれの思いを抱いて黙り込むハンターたちへ、ママは大げさに頭を振ってみせ。
「ゴヴニアも、怠惰王の騎士をあんな化物にしときたくねぇってことだけはアタシたちといっしょよ。お互い利用し合ってきましょ」
 ママは語らない。
 あのときゴヴニアが漏らした、あまりに歪虚らしからぬ言の葉を。
『死にきれなんだ彼の騎士は討たねばならぬ。……無念すら忘れ果て、今なお彼の場へうずくまっておろうオーロラに標与えんがため』
 言うべきことの半ばだけを語ったゴヴニアの目に灯る、怠惰王ならぬオーロラへの有情が、同じ女心を持つママには知れてしまったから。
 うまく騙してくれるもんよね。って、思い込んどくわ。じゃなきゃ、アタシはアンタを殺せなくなっちゃう。

 レヲナはそんなママの横顔を見上げ、気づかれぬよう息をついた。
 正直、ママは甘いなと思う。ゴヴニアは迂闊だよねとも思う。しかし、その甘さによって彼はあらゆる責を問われることなく、その迂闊さによって後遺症のひとつも負うことなく、ここにいる。
 ママもゴヴニアも、そうしなくちゃいけなくなったら誰にも任せない、ボクが殺す。
 思い定めた意志の裏ではしっかりと理解していた。レヲナの力では、少なくともママが相手なら捨て身で差し違えるのが精いっぱいだと。しかし、だからこそ、いい。
 ――世界一かわいいボクといっしょだったら、暗い黄泉路だって寂しくないでしょ?
 返しきれない借りを抱えた男の娘は静かに肚を据えた。
「部族会議の人たち、これから打ち合わせするよー。時間ないから秒で!」

リプレイ本文

●交思
 作戦開始地点へ着いたハンターらを、黄鉄の肢体持つ怠惰ゴヴニアが出迎えた。
「守護を解いた。彼の騎士の眷属が八方より襲い来ようゆえ、ゆめ油断するな」
 言い終えると同時、周囲に打ち込まれていた黄鉄が弾け、黒き憎悪の滾りが雪崩れ込んでくる。
「了解ですぅ。黒狼スタンピード起こさせてやろうじゃないですかぁ。――それじゃ、下の合流地点で会いましょぉ」
 言い残し、星野 ハナ(ka5852)は地を蹴って魔箒「Shooting Star」で飛び立った。

『ハッハッハ、任せろ! 貴様らは時間に間に合うよう、安全第一で降りてこい!』
 刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」に精神を染ませたルベーノ・バルバライン(ka6752)が、量産型フライトパックのブースターを噴かして飛びだした。
 木々の上まで突き抜けたがゆえ、速度を殺されることはない。下から突き上げる黒狼の視線を引き連れて、一気に山裾へと飛び降りていく。

 黒狼の一部が、ハナとルベーノへ引きつけられるように追い始めた。
「巫女なる香が、青髯の内に在るオーロラへの想念を掻き立てるのであろう」
 このゴヴニアの言を受けて加速したのはGacrux(ka2726)である。
 密集する幹を蹴ってその身を巡らせ、黒狼の鼻先へ突き込んだ蒼機槍「ラナンキュラス」を支点にもうひと跳び、先にグラヴィティブーツ「カルフ」を通して発動していた壁歩きの力で幹へと降り立つ。
「先行した白巫女を守ります。ひとりよりはふたりのほうが、保ちますから」

『敵を引き寄せて攪乱するの、ニンジャの十八番なんだからっ!』
 こちらは“忍者合体『DXダイニンジャー』”の名を与えし刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」を駆るルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)。
 木々の隙間を抜けて襲い来る黒狼どものただ中へ不退の駆を踏み込ませ、弾け飛ぶ黒狼どもへ機甲槍「ワルキューレの騎行」を突き込んだ。
『機忍法・マテリアルバーストオーバードライブ! アンド色即断空ハイパーダイニンジャーブレード!』
 大立ち回りを決めて黒狼の眼を奪い、前進、前進、前進。

 敵の敵は味方、ということかな。まあ、わたしはいつもどおりやるだけだよ。
 鞍馬 真(ka5819)はユグディラ“シトロン”を伴い、山下りにかかる本隊の先を守る。
 迫り来る青髯にも、同じ場に在るゴヴニアにも、思うところはない。この任務を成功させることが、彼の思うべき唯一のことだから。

「ゴヴニア、枷の業は挟撃作戦が始まった直後にお願いしますね!」
 愛機たるコンフェッサー“ホットリップス”へ向かいかけた百鬼 一夏(ka7308)は、その足を一度止め。
「――ニガヨモギを選んだことは後悔はしてませんけど。オーロラのこと、ごめんなさい」
 示された有情と無情の選択。有情を志したはずの一夏は、しかし無情の総意により、ニガヨモギの忘却の内にオーロラを置き去り、滅ぼした。
 それに続き、マスティマ“エストレリア・フーガ”の足元にあるキヅカ・リク(ka0038)もまた寂寥を含めた視線をゴヴニアに向ける。
「憶えてないだろうけど、僕はあのとき怠惰王のいちばん近くにいたひとりだよ。選ばせてもらっておきながらオーロラのまま送ってやれなかった」
「言わずがよい。生者の痛みに死者は報われぬ」
 リクを止めたゴヴニアの言葉に、高瀬 未悠(ka3199)がぽつり。
「青髯を倒したら……オーロラと青木はどこかで逢えるかしら」
 それがオーロラを無情の淵へ落としたことへの感傷だということはわかっている。それでも、せめて祈らずにいられなかった。求め合う魂の再会を――
 ゴヴニアは静かにうなずき、そして。
「汝には先の決戦にて無粋を強いた。後に贖おうぞ」
 対して未悠はかぶりを振る。
「あなたのおかげで大切な命を失わずに済んだわ。まだ予断を許さない状況だけど、最悪の事態は防げた」
 ありがとう、ゴヴニア。そう告げ、視線を先へ据えて。
「行きましょう。オーロラと青木を救うために」
 ユグディラの“ミラ”を促す未悠に、エクウスへ跨がったユメリア(ka7010)が添って。
「あなたが行くのなら、私がその歩を守ります」
 未悠は無二の友。だからこそ彼女はこの戦場へ来た。
 あなたを死なせはしない。いいえ、あなただけじゃなく、誰も、
 遺された生者の想いを未来へ繋ぐ灯火となるべく、私は戦う。
 胸の内で意志を固めたユメリアは聖書「クルディウス」を繰り、未悠のにおいに集まり来る黒狼へセイクリッドフラッシュの波動を打ちつけた。
「我も続こうか」
 紫電を放って黒狼を貫いたゴヴニア。
 と、その横へ踏み出し、肩を並べたメンカル(ka5338)mは唇の先で言の葉を紡ぐ。
「策を巡らし、人を弄するのが仕事なんだろうがな……嘘だけはつかないおまえを、俺は信じるぞ」
「信は要らぬ。互いに其へすがるは赦されぬ仲なれば」
 ああ、本当におまえは妙な歪虚だな、しかしそれがおもしろい。
「なら、いっそ友だちにでもなってみるか? 行く道が分かれても、結んだ友誼は解けないものだ」
 そしてメンカルはアクセルオーバーを発動。残像の端に薄笑みを残し、かき消えた。半ばは冗談で、半ばは本気。過ぎた酔狂とは自分でも思うが、そんな馬鹿も悪くはあるまい。
 と、彼の相棒たるポロウの“エーギル”が、あわてて後を追っていった。

●投網
 思ったより引っぱれてませんねぇ。
 舌打ちを噛み殺すハナへ、黒狼どもが黒火を吐きつけてくる。
 箒の頭を振って火弾を避けた彼女は、あらためて狼どもを見下ろした。
 黒狼は白巫女の気配に引き寄せられる。その“灯”を分散させ、狼をひとりに集中させずに誘引する策なのだが……追いやすい未悠に多くが向かっている。
 所詮はケダモノですねぇ。でも、私が少しでもたくさん引っぱっていかないとですぅ。
 葉の間を突き破ってきた黒火をくらったハナは、体勢を崩しながらも呪詛返し、逆に黒狼を混乱させておいて枝を蹴った。そしてより多くの狼に自分を見つけさせるよう飛びながら。
「私のこと、捕まえてごらんなさいですぅ!」

 空駆けるハナを追う形で進み、彼女の孤立を防ぐことがGacruxの仕事である。
 幹を足がかりに縦横へ跳びつつ敵を引き寄せ、拓けた場所へ降りたっては蒼機槍を薙いで斬り払う。
 どれだけの数に横を抜けられたのかを見て取れない状況は問題だな……。
 ユニットの移動を阻む木々の密集は、当然彼の鋭い目をも遮ってしまう。通信による連動だけが頼りとなるが、戦場が分散してしまっていることもあり、互いに思うようには動けていなかった。
「真。俺は狼を減らしながら山裾へ抜けます。抜けた分は頼みますよ」
 魔導スマートフォンを通して友たる真へ告げ、突っ込んできた黒狼を槍の石突で突き飛ばした。
 戦う合間に後続のための標を幹へ刻みつつ、Gacruxは静やかなる奮闘の内へ踏み込んで行く。

「了解した」
 後方の遊軍本隊の道を少しでも広く拓くことに注力する真は、Gacruxの標を辿りつつ、さらに広い半径へ意識を向けながら先を急いでいた。
 ――そこへ、周囲の警戒に当たっていたシトロンが短く鳴いて警告を飛ばす。これが表わすのは、多数の黒狼が迫っていること。
 しかけられる前にしかける。
 真が魔導剣「カオスウィース」を鞘から抜くと同時、シトロンは心得顔でリュート「水霊の囁き」の弦を爪先で弾いて森の宴の狂詩曲を奏で始めた。
 音に込められたマテリアルが自らのマテリアルへ浸透するを感じながら、真は木々の隙を縫っての刺突一閃。2頭の黒狼を貫き通す。
 次の瞬間にまわりから飛びついてきた黒狼、そして黒火を鎧受けで防ぎ、縮めていた体を一気に伸ばして薙ぎ払った。
 取り戻した静寂の内、幹を軽く打つ反動で剣を引いた彼は、イヤリング「エピキノニア」へ声音を吹き込む。
「こちら鞍馬。各員、状況を知らせてくれ」
 白巫女を基点とし、他の人員が狼を絡め取る網を務めるこの作戦、機能させるには密な連携と調整が必要だ。

 Gacruxや真とは別ルートで山中を行く、DXダイニンジャーこと秋桜。
『輝け退魔の陣! ルンルン大忍法ニンジャバリアーっ!!』
 呪符を投じて発動した修祓陣の光の内、食らいついてくる黒狼の牙をフライトシールド「プリドゥエン」で押し止め、振り回して他の黒狼どもを薙ぎ払う。
 かくて体当たりと爪牙の殺到に耐え抜いた後、不退の駆を併用してさらに先へと踏み込み、敵の包囲をぶち抜いた。
 本来であればこの修祓陣、白巫女を守るために使いたいところではあったが、3人中ふたりの白巫女がフリーダムに動いていることもあり、まずはそちらのカバーに急ぎたい事情がある。
 特にバルバラインさんだよね。向こうから来る黒狼、ひとりで相手しなくちゃいけないから。
『飛ぶように地を駆けるニンジャの極意、機忍法・飛影色忍者疾走っ!!』
 ウイングフレーム「ゲファレナー・エンゲル」のブースターを噴かして宙返り、着地と同時に“ニンジャ走り”を決めつつ崖下へと降り立った秋桜は、ここで入った真からの連絡へ高い声音を返した。
『ニンジャキャプタールンルンです! 今まっすぐ山下り中! もうすぐバルバラインさんと合流ですっ!』

 そして、上空から飛び降りて山裾へ至ったルベーノである。
 あとふたりの白巫女が山中で引き寄せているのだ。黒狼どもはそれに引きずられ、共に降りてくるだろうよ。そして我がここで待ち受けておれば、青髯に先行してやってくる新手が山へ潜り込む心配もない。しかも俺がすでに目的地へ到達している以上、挟撃の不成立もありえん。
『あとは時が来るのを待つばかりというわけだ!』
 山から駆け下りてきた黒狼に波動掌「バグローヴィ」の衝撃爪を突き立てて引き裂き、刻騎ゴーレムの体を返して吐きつけられた黒火を払い落とす。
 うむ、ちと痺れるが耐えられんほどではない。
 抗呪精神防壁に鎧われた機体を繰り、ルベーノは数を増しゆく黒狼へ指先を突きつけた。
『我はここにいるぞっ! 下郎ども、覚悟を決めてかかってこい!!』

 ランアウトの加速で正面の黒狼をすり抜けたメンカルの右手が閃いた。
 かくて放された竜尾刀「ディモルダクス」の鞭刃が背後に残された黒狼の首を絡め取り、引きずり倒しながら喉を斬り裂く。
 それと同時、骸を錨代わりにして跳躍、噛みついてきた黒狼をやり過ごして着地し、反動を乗せた横蹴りで突き飛ばした。
 後続のフォローに戻るか?
 一瞬迷ったが、先行している白巫女ふたりが心配だ。遊軍本隊から離れすぎぬよう、できうる限りふたりの安全を確保せねば。
 と、中空から惑わすホーでメンカルを支援していたエーギルが、先に崖があることを知らせてきた。
 狼の追撃をかわしてその背へつかまったメンカルは、自らの仕事を“中継ぎ”と定める。
 攻撃も防御も、繋ぐためだけにすればいい。今は効率を最重視するときだ。

『狼の群れが来てる! 未悠、注意して!』
 エストレリア・フーガのモニタアイで木々の影を渡り来る黒狼を視認、リクは先を行く未悠へ警告を飛ばす。
 先行した白巫女が敵を誘引し、仲間が数を減らしてくれているはずなのに、10や20で収まるような数ではありえない。
『漏れた分、頼むよ!』
 機体から放たれたブレイズウィングは大精霊の力もて黒狼へ飛び、かろうじて回避に成功した1頭を除く5頭を裂いた。
 弱いな。でも僕たちの中に守護者がいたら、これじゃ済まなかったかもしれない。それに決戦ならもっと強い個体が出てくるのかも。
 が、今はこの“翼”の一閃で倒しきれるだけの相手だ。唯一の問題は数だ。
 そしてリクの討ち漏らした個体と共に未悠へ向かった狼どもを、木々をへし折って飛びだしたホットリップスが塞ぐ。
 最初は黒狼の進路を誘導するべくマテリアルバルーンをばらまいてもみたのだが、黒狼は白巫女のにおいへ闇雲に殺到し、効果は上げられなかった。
 私はまだ甘く見てたんだ。青髯になる前のあの人の、オーロラへの思いを。
『でも!!』
 悔いも心残りも、死者に報いることはない。気合の炎を機体の隅々まで伝えるように操縦桿を強く握り込み、KBシールド「エフティーア」で鎧われた拳を繰り出した。
 痛むのも悼むのも、この戦いが終わってからでいい! うじうじするより、この作戦を成功させることだけ考えるから!
 地へこすらせながら振り込んだ白虎神拳で先頭の狼を打ち据え、その骸で後続の道を塞ぐ。
『追撃お願いします!』
「はい!」
 同胞の骸を踏み越えて駆け込んでくる狼、そして幹を蹴って飛びついてくる狼、まとめてディヴァインウィルの結界で押しとどめたユメリア。
 エクウスの後ろ蹴りで次なる狼どもを牽制させ、彼女は未悠の盾となり続ける。
 未悠さん、あなたは私よりも強いけれど――
「道を拓きます! 未悠さん、私に着いてきてください!」
 思いのすべてを込めて未悠に告げ、エクウスの腹を踵で打った。速歩で駆ける馬上、跳びかかってくる狼を聖書で押し退け、セイクリッドフラッシュを叩きつける。
 それに追随するのが、同じエクウスに跨がった未悠だ。
 他の白巫女、ハナとルベーノと連絡を密に取り、状況を確認しているが、どうやら現状、もっとも多くの黒狼が自分へ向かっているようだった。おそらくはふたりが先行したことにより、山中深くへ至っていた狼どもがもっとも近い自分へ集まっているということなのだろう。
 計算どおりとは言えないけど、誰より私が守られていることも確かだから。このまま山の裾まで連れていかせてもらう。
 みゃみゃ。Gacruxのつけてくれた印を見つけたミラが合図してくる。そこを辿れば比較的拓けた道を進めるはずだ。
「私はもう少し前に出るわ。支援を頼むわよ」
 鳴き声で了解を告げたミラにうなずきを返した未悠は、その背より虹の翼を伸べ、押し寄せる黒狼を白龍の息吹で飲み下した。
 麓までもう少し。しかし、その少しがたまらないほどに遠い。

「このスピードなら間に合いそうだね」
 エストレリア・フーガの内でリクがつぶやく。途中、黒狼群の強襲を受けて足を止められはしたが、先行組の尽力もあり、概ね順調といったところだ。
 それを機体伝いに聞いたゴヴニアが、黒狼を振り捨てて声をかける。
「そうあれど急くがよい。もうすぐに青髯の先触れが届こうゆえ」
 そしてふと笑みを傾げ。
「ゆえに、此より我を守るは要らぬぞ」
 こっそり支援していたつもりだったが、気づかれてたか。リクは苦い顔を左右に振った。
「作戦の胆に途中退場されたら困る。それだけのことだ」

●守護
 戦いが始まって3分が経過した。
 山中に潜む狼の奇襲と強襲を撥ね除け、さらには山裾へ追い立てることはなかなかに難問だ。誘蛾灯ならぬ誘狼灯となった白巫女陣は、それぞれに奮戦していたが。

「我だ! ゲモ本隊は砦から出て敵先陣の牽制に入った!」
 仲間へ通信を送りながら、黒狼のただ中に愛機を仁王立たせたルベーノは波動掌の鉤爪を左右へ振り下ろし、その攻めを押し返し続ける。
『ハハハ! その程度でこの我を止められると思うか!?』
 高らかな嘲笑が、心なき狼をどれほど揺らしたものかは知れない。しかし、一秒ごとに狼の数は増しつつあり、心を同化させた愛機の傷はいや増していく。
 しかし、ここもまた覇道の途中。膝つき斃れ、かくあるべき俺を穢すことを、この俺が赦さん!
 飛び来る黒火の連弾を左腕で払い、右掌の衝撃波で追撃ごと黒狼を噴き飛ばした。
 と。
『おいーっす! 闇を抜けてデスバレー飛ばしてきましたっ!!』
 不退の駆で木々と黒狼の密集陣を突き抜けたDXダイニンジャーが、機甲槍の石突を地へ突き立てて跳び、二回転して着地を決めた。
 その後方、彼女を追って駆け下りてきた黒狼どもが迫る。
『踊り子さんとニンジャはお触り禁止ですけど!?』
 かくて振り向きざまに機甲槍の穂先を突き込み、先頭を縫い止めた。
『よく来たな!』
 ルベーノは無数の浅手を負って汚れた秋桜の機体の背を守って立ち、波動掌を振るって敵を討つ。
『では、演じてやるとするか! 巻き返しというやつをな!』

「合流地点に結構な数、集まってるみたいですぅ。少しずらして、並べちゃう感じで誘導しますねぇ」
 通信を飛ばしたハナは、魔箒から小型飛行翼アーマー「ダイダロス」による飛行へ切り替え、さらに進む。
 回避と誘導に専念してきたがゆえ、彼女を負う狼の数は時間と共に増えている。ゆえに危ういシーンも幾度となくあったのだが、最大演出されたかわいらしさの裏に秘めた気概とマテリアルヒーリングで押し切ってみせた。
 さて、あと少しですよぉ!

「並べるのを補助します」
 狼の奇襲をシールド「レヴェヨンサプレス」の縁で地へ突き落としたGacruxは盾を掲げたまま駆け、狼どもを打ち据えていく。
 大分木々の隙間も広くなってきた。蒼機槍で薙ぎ払うことも難しくはないが、狼の眼を引き、白巫女の意図を崩すのは得策ではなかろう。こちらの任務は殲滅ならず、追い立てることだ。
 攻めに出るのは最後の最後だ。それまでは押して忍ぶ。

「私もそちらへ合流する。使える手は多いほうがいいだろう」
 Gacruxへ告げた真は、シトロンと共に木々の隙間を駆け下りる。遭遇する狼の数は激減し、ずいぶんと傾斜はゆるやかになっている。裾が近いということだが。
「――っ」
 みゃっ! シトロンの警告を聞くと同時、木上から降り落ちてきた黒狼をサイドステップで回避、魔導剣を抜き打ち首を落とす。
 1頭なら避けて通ることを基本としているが、イレギュラーな事態というものは、こちらの都合を無視して思わぬ角度から襲い来るもの。
「シトロン、引き続き警戒を」

 エーギルの背に乗り、崖をやり過ごしたメンカルは、後に続く遊軍本隊へその所在を知らせ、油断なく周囲に警戒の目をはしらせた。
 ここを通らねば間に合うまいが、さすがに俺とエーギルだけではどうにもできんな。
 思ってみて、かぶりを振った。あちらにはCAMが2体にゴヴニアもいる。なんとでもなるだろう。
「後方に注意しつつ前線に加勢する。俺たちで繋ぐぞ」
 木陰から飛びだしてきた狼をランアウトのステッピングでかわし、すり抜けざまに竜尾刀で両断。メンカルはエーギルを伴い、押し合いが始まっている前線へと滑り込んだ。

『先に降りる!』
 ユメリアと未悠をエクウスごと抱えたエストレリア・フーガが崖を滑り降りつつ、ブレイズウィングを飛ばす。
『了解です!』
 崖上に残ったホットリップスは、“翼”の支援を受けつつ追いすがる黒狼へKBシールドの拳塊を撃ち込み、仲間へまっすぐ続く進路を遮った。
 私も急がなくちゃ! ――女は度胸っ!
 先を行く仲間を追うべく肚を据え、バックステップで崖下へ落ちた。が、来るはずの衝撃はなく……
「足を損ねては間に合わぬぞ。思い切りのよさは美徳なれど、思慮に欠けるは否めぬな」
 機体の落下速度を、崖に黄鉄の楔を打ち込んで弱めたゴヴニアが、機体の肩上で薄笑む。
『うう』
 が、ともあれ。ここまで来れば足止めするより挟撃地点へ引っぱり込むべきだろう。

『抜ける!』
 抱えていたふたりを下ろしたリクが、薄暗がりの先より雪崩れ込む光を差して告げた。
 そして同時に、裾へ誘導されていた狼どもが、新たな白巫女のにおいに惹かれて押し入ってくる。
 いかなマスティマとはいえ、次の手を打つにはあと数秒が必要だ。せめて進路を遮りにかかるが、狼どもはエストレリア・フーガには目もくれず、未悠へ殺到した。
「させません!」
 エクウスの馬首を返して未悠の前へ立ちはだかるユメリア。ディヴァインウィルで狼どもを押しとどめるが、圧倒的な数を誇る狼は1頭、また1頭と押し入り、そして――
「させないのは、私よ!」
 一瞬の間を突き、ユメリアを追い越した未悠がその身へ狼どもを食らいつかせ、ゼロ距離からの霊魔撃で1頭を撃ち抜いた。
『未悠!』
『高瀬さん!』
 果たしてリクと一夏、ゴヴニアの攻撃が残る黒狼どもを引き裂き――未悠はエクウスの背に傷ついた上体を落とした。
「未悠さん、どうしてそんな無茶を!?」
 未悠の傷の深さを確かめ、フルリカバリーで癒すユメリア。
「私を守ってくれるあなたを、私も守る。それだけのことよ」
 なにより大切な親友である、あなたを。
 言葉にしてしまえばユメリアを縛る枷となるから言わない、本当の思い。
 未悠はそれを振り切るように迫る狼どもを見据え。
「あなたの癒し、頼りにしてるから。――リク! ユメリアを守り抜くわよ!」
『って、いちばん危ない人に言われても……いや、まとめて守るけど』
 リクは愛機を踏み出させる。
「残されし時はあと数十を数えるばかり。我らも行こうぞ」
『言われなくてもわかってますー!』
 一夏もまた、ゴヴニアと殿を担いつつ後へ続いた。
 そしてユメリアは、奥歯を噛み締めてマテリアルを集中させる。
 未悠さんは言わなければ伝わらないと思っているのでしょうね。でも、私はあなたが寄せてくれる情をはっきり感じているから……私を尽くして、あなたを支えます。もう、あなたを傷つかせないために。


●決着
『お待たせしました!』
 一夏の声音は、全員が山裾へ至ったことを示す福音だった。
「山から出てくる残存にも注意しろ!」
 メンカルが仲間へ告げ、アクセルオーバーの超加速で山裾から駆け出してきた狼を斬り捨てた。そこからはあえて動かず、エーギルの惑わすホーの結界へ狼を引き込むことを意識して立ち回る。
『みんなそろったわね!? お客さん引っぱってくから、お出迎えよろしくぅ!!』
 ゲモ・ママからの甲高い通信がトランシーバーやスマホをキンキン鳴らし。アヴソリュート・ポーズと思しき多数のきらめきが彗星のごとくに向かい来た……黒き奔流を引き連れて。
 奔流は近づくにつれ疾走する黒狼の群れであることをハンターに知らせ、彼らを飲み尽くさんと顎を開く。
『狼を押しつけてください!』
 一夏の要請にゴヴニアはひと言、「承知」。
 ハンターを巻き込みつつ駆け抜けていこうとした狼の横端を、地より呼び出した黄鉄の枷で縫い止めた。
 後に続く狼どもが同胞にぶち当たり、地へ転がっていく。その脇を抜けた狼は流れとしての太さをいくらか減じ、それでもなお先へ進む。
『もっと細くまとめるよ!』
 天王洲レヲナの号令で、砦側からママ本隊が攻撃を開始した。

 全速飛行で黒狼を引きずり回していたハナは反転して着地し、狼どもの流れの横合いから五色光符陣を叩きつける。
 行動阻害を喰らった狼がさらに後続の足を掬い、流れを乱した。
 まだまだですよぉ! 陰陽符「天光」をドローし、彼女は次なる符陣を張る。

『おお!』
 万象の器の魔法紋で飾られたルベーノの刻騎ゴーレムが光の刃を伸べ、狼どもを串刺した。半拍の後に刃をひねれば、狼は断末魔すらあげることかなわず塵へと還る。
 ただの一閃で滅するとは思っていなかったが、手心は加えん。道を塞ぐ貴様らを滅し、我は先へ行かねばならんのでな!

 Gacruxと連動した真は、シトロンの奏でる狂詩曲の調べに乗り、端から膨らんでこようとする狼どもを刺突一閃で削り落とした。
 続くGacruxは蒼機槍を薙ぎ払い、返した手を真へと伸べる。
 なにを聞かずとも、友の真意は知れる。駆け込んだ真はGacruxの手を掴み、振り込まれるまま急旋回。隙間を塞ごうとした狼どもを薙ぎ払う。
 かくて友と合わせた背を支点とし、真はさらに斬り込んでいった。
「流れを偏らせないよう、中央へ寄せる!」

 じゃあ、調整しとこうか。
 リクの意思を映したブレイズウィングが魔法陣を描き出し、光弾を撃ち放つ。それは虹光の軌跡を引いて黒狼の流れのもっとも太いところへ突き立って――すべてを無へ帰した。

 流れを乱さぬために最前線へ立つ未悠は、ミラの狂詩曲を聞きながらレセプションアークを放つ。
 あの戦いを始めたこの光で、この戦いを終わらせる。オーロラ、あなたの迷える魂を導く標になるはずはないけれど――彼を導く灯火にできると信じて。
 そしてユメリアはなにも言わず、無二の友をその思いごと守らんと癒しの力を顕現させる。

 生身の仲間を守って右へ左へ駆け続けてきたホットリップスが、瞬時に腰を据えて『たああああ!!』、裂帛の気合を発する。それと同時、練り上げられたマテリアルが迸り、狼どもを打ち据えた。
 一瞬だって気は抜きません! 最後まで全力です!

 果たして、砦から無数の砲弾が撃ち出された。
 弧を描いて飛んだ鉄塊が左右から寄せられ、一直線を為した黒狼どもを叩き潰し、その“濃さ”を損なわせる。
 そして。
 砲撃のただ中を、悠然とすら見えるほどの有り様で、青髯が駆け抜けていった。
 ニンジャ殺法で黒狼を相手取っていた秋桜が、DXダイニンジャーの内で呆然とつぶやく。
「そんな……私の思ってたのとぜんぜんちがう」
 ちなみに彼女、ビックマーの着ぐるみの口から青木の顔がのぞく、実にファンシーな姿を想像していたのだったが、ともあれ。

「さて。我らが戦いは幕引きよ」
 ゴヴニアは続く砲撃の衝撃よりその身を翻した。
「行くのか」
 メンカルの問いに背中越し応える。
「この上の感傷も干渉も、益は生まぬがゆえな」
 そして左手に生じさせた水晶を砕き、癒しの雨をハンターたちへ降り注がせた。体と機体の傷が見る間に癒え、かき消えていく。
「次に会うときに交わすのは酒か、それとも刃か」
 その内で両眼をすがめたメンカルの訊くともない言葉に、今度こそ振り向いて。
「時至らば知れよう」
 がらりと崩れ落ちた。
 その残骸を、一夏はリク、未悠と共に見つめていたが……かぶりを振って目線を切った。今はなにを言えばいいのかわかりませんけど、そのときが来たら、きっと。


 本戦へ向かう者あり、このときの余韻噛み締める者あり、別なる思いを胸に立ち去る者あり――ひとつの戦いを終えたハンターたちは、それぞれに踏み出していく。

依頼結果

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MVP一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸ka0038

重体一覧

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • ユニットアイコン
    エストレリア・フーガ
    エストレリア・フーガ(ka0038unit012
    ユニット|CAM
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • シグルドと共に
    未悠(ka3199
    人間(蒼)|21才|女性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    ユグディラ
    ミラ(ka3199unit002
    ユニット|幻獣
  • 胃痛領主
    メンカル(ka5338
    人間(紅)|26才|男性|疾影士
  • ユニットアイコン
    エーギル
    エーギル(ka5338unit003
    ユニット|幻獣
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • ユニットアイコン
    ジャンボガッタイダイニンジャー
    忍者合体『DXダイニンジャー』(ka5784unit005
    ユニット|CAM

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    シトロン
    シトロン(ka5819unit004
    ユニット|幻獣
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • ユニットアイコン
    コッキゴーレム「ルクシュヴァリエ」
    刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」(ka6752unit007
    ユニット|CAM
  • 重なる道に輝きを
    ユメリア(ka7010
    エルフ|20才|女性|聖導士
  • ヒーローを目指す炎娘
    百鬼 一夏(ka7308
    鬼|17才|女性|格闘士
  • ユニットアイコン
    ホットリップス
    ホットリップス(ka7308unit002
    ユニット|CAM

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
鞍馬 真(ka5819
人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/05/16 07:13:14
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/05/15 13:41:01