ゲスト
(ka0000)
【幻想】遺されしもの
マスター:電気石八生

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在10人 / 6~10人
- ユニット参加人数
- 現在7 / 0~10
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/05/16 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/05/30 07:30
オープニング
●感慨
「こっちからの質問はいっこだけよ」
ゲモ・ママ(kz0256)は、自らの経営するバー『二郎』のカウンター裏から低い声音を伸ばした。
「なんでアタシたちに味方しようっての?」
「其を問うか」
対して、黄鉄の肢体持つ怠惰ゴヴニア(kz0277)はカウンター席に座し、チャーチワーデン――吸い口が非常に長いパイプ――を吹かしつつ笑みを傾げる。
「お約束でしょ。……っていうか、あんまり信じたくねぇってのが正直なとこよね」
視線を動かすことなくママとゴヴニアの“空気”を窺う、メイドという名のボーイを務める天王洲 レヲナ(kz0260)。
ゴヴニアの黄鉄の依代は脆い。しかし、先の戦いにおいて自らの生んだ雑魔を乗っ取ることでの無限復活及び大量増殖を成して見せた。怠惰が怪しい素振りをすればすぐに応戦するつもりではあるが、どこから、何体沸いてくるか知れない以上は、最終手段にしておきたいところだ。
「信を得に来やったのではないゆえ、構わぬ」
シングルモルトを呷り、パイプを吸う。煙草につけられた果実の香が、場を甘く色づけた。
「しかしながら、乗らずには済むまいよ。其が汝の責務であろうゆえ」
読まれぬよう身構え続けるレヲナへ新たなウイスキーを求めつつ、ゴヴニアはとろりとした半眼をママへ……そのポーカーフェイスへ向ける。
「乗るわよ。アンタがウソだけはつかねぇってことは知ってるからね」
あっさりうなずいたのは、ゴヴニアが共闘を持ちかけてくるだろうことを予測していたおかげだ。
ビックマーとの約定により、新怠惰王オーロラの側付をしていたゴヴニア。彼女のやりようはけして臣下としても怠惰としても正しくはなかったが、ニガヨモギの内ですべてを失くしゆくオーロラに救いをもたらすことで一貫してはいた。
だとすれば、お膳立てのすべてを覆されることとなった先の大戦、その結末は不本意であったはずだ。中でも怠惰王の死を「終わらせることなく」穢した、青木 燕太郎(kz0166)の獣化は。
“青髯”をオーロラと同じ、何処かへ逝かせるまで、彼女の仕事は終わらないというわけだ。
それを怠惰の情だって認めたくねぇってことなんだけどね。
ママは小さく息をつき、安いコーンウイスキーを舐めた。本当はいい酒でも飲まなければやっていられない気分だったが、敵であるゴヴニアと同じ酒をすするのはさすがに気が引けた。下手に出ているようで業腹だが、こればかりはしかたない。
「……で、アタシたちになにさせてぇの?」
●膳立
「青木 燕太郎がやばいことになったのは知ってるわね?」
集まったハンターに、ママは平らかな声音で問う。もちろん答は聞くまでもないのだが。
「ソサエティのほうで呼称は“青髯”に決まったわ。で、青髯なんだけど……ジグウ連山の東の裾を南下して、マギア砦の横をすり抜けてナナミ川を渡ろうとしてる。だから砦じゃ必死こいて、川ぁ渡る青髯に砲弾ぶっ込む準備してるわ」
ママは指し棒でマギア砦からナナミ川へ砲撃ラインを描き。
「アタシたちの仕事は砲撃の効果上げられるように、青髯の分体――黒狼どもを一直線になるよう寄せることよ。特に山ん中に散られたらどうにもなんねぇからね」
次いで、燕太郎の予想進路の西に位置する連山、東に位置する砦を差した。
「砦の脇を抜けられるより先に、青髯群に左右から食いつくわ。アタシとレヲナ、部族会議のみんなは本隊ってことで砦から強襲。アンタたちは遊軍になって連山側から奇襲。とはいえ山ん中にももう黒狼はいるだろうから、それ叩きながらね」
燕太郎を示す駒のやや斜め後ろから挟撃することを示して、一同の顔を見渡す。
「青髯本体は最終防衛線を固めてるハンターに任せる。アタシたちはあくまでもお膳立てが仕事だからね。本隊と遊軍で左右から挟んで、群れの流れを細長くまとめるってのに徹してちょうだい」
と。微妙な表情を作り、言葉を継ぎ足した。
「あと、今回の作戦じゃあゴヴニアが1回だけ、黒狼どもの足止めることになってるわ。どのタイミングで、どこの黒狼どもを足止めるかはアンタたちの指示に従うそうよ」
怠惰王を巡る戦いの端々で密かに動き、決戦ではついにハンターの前へ立ちはだかった、ゴヴニアが?
それぞれの思いを抱いて黙り込むハンターたちへ、ママは大げさに頭を振ってみせ。
「ゴヴニアも、怠惰王の騎士をあんな化物にしときたくねぇってことだけはアタシたちといっしょよ。お互い利用し合ってきましょ」
ママは語らない。
あのときゴヴニアが漏らした、あまりに歪虚らしからぬ言の葉を。
『死にきれなんだ彼の騎士は討たねばならぬ。……無念すら忘れ果て、今なお彼の場へうずくまっておろうオーロラに標与えんがため』
言うべきことの半ばだけを語ったゴヴニアの目に灯る、怠惰王ならぬオーロラへの有情が、同じ女心を持つママには知れてしまったから。
うまく騙してくれるもんよね。って、思い込んどくわ。じゃなきゃ、アタシはアンタを殺せなくなっちゃう。
レヲナはそんなママの横顔を見上げ、気づかれぬよう息をついた。
正直、ママは甘いなと思う。ゴヴニアは迂闊だよねとも思う。しかし、その甘さによって彼はあらゆる責を問われることなく、その迂闊さによって後遺症のひとつも負うことなく、ここにいる。
ママもゴヴニアも、そうしなくちゃいけなくなったら誰にも任せない、ボクが殺す。
思い定めた意志の裏ではしっかりと理解していた。レヲナの力では、少なくともママが相手なら捨て身で差し違えるのが精いっぱいだと。しかし、だからこそ、いい。
――世界一かわいいボクといっしょだったら、暗い黄泉路だって寂しくないでしょ?
返しきれない借りを抱えた男の娘は静かに肚を据えた。
「部族会議の人たち、これから打ち合わせするよー。時間ないから秒で!」
「こっちからの質問はいっこだけよ」
ゲモ・ママ(kz0256)は、自らの経営するバー『二郎』のカウンター裏から低い声音を伸ばした。
「なんでアタシたちに味方しようっての?」
「其を問うか」
対して、黄鉄の肢体持つ怠惰ゴヴニア(kz0277)はカウンター席に座し、チャーチワーデン――吸い口が非常に長いパイプ――を吹かしつつ笑みを傾げる。
「お約束でしょ。……っていうか、あんまり信じたくねぇってのが正直なとこよね」
視線を動かすことなくママとゴヴニアの“空気”を窺う、メイドという名のボーイを務める天王洲 レヲナ(kz0260)。
ゴヴニアの黄鉄の依代は脆い。しかし、先の戦いにおいて自らの生んだ雑魔を乗っ取ることでの無限復活及び大量増殖を成して見せた。怠惰が怪しい素振りをすればすぐに応戦するつもりではあるが、どこから、何体沸いてくるか知れない以上は、最終手段にしておきたいところだ。
「信を得に来やったのではないゆえ、構わぬ」
シングルモルトを呷り、パイプを吸う。煙草につけられた果実の香が、場を甘く色づけた。
「しかしながら、乗らずには済むまいよ。其が汝の責務であろうゆえ」
読まれぬよう身構え続けるレヲナへ新たなウイスキーを求めつつ、ゴヴニアはとろりとした半眼をママへ……そのポーカーフェイスへ向ける。
「乗るわよ。アンタがウソだけはつかねぇってことは知ってるからね」
あっさりうなずいたのは、ゴヴニアが共闘を持ちかけてくるだろうことを予測していたおかげだ。
ビックマーとの約定により、新怠惰王オーロラの側付をしていたゴヴニア。彼女のやりようはけして臣下としても怠惰としても正しくはなかったが、ニガヨモギの内ですべてを失くしゆくオーロラに救いをもたらすことで一貫してはいた。
だとすれば、お膳立てのすべてを覆されることとなった先の大戦、その結末は不本意であったはずだ。中でも怠惰王の死を「終わらせることなく」穢した、青木 燕太郎(kz0166)の獣化は。
“青髯”をオーロラと同じ、何処かへ逝かせるまで、彼女の仕事は終わらないというわけだ。
それを怠惰の情だって認めたくねぇってことなんだけどね。
ママは小さく息をつき、安いコーンウイスキーを舐めた。本当はいい酒でも飲まなければやっていられない気分だったが、敵であるゴヴニアと同じ酒をすするのはさすがに気が引けた。下手に出ているようで業腹だが、こればかりはしかたない。
「……で、アタシたちになにさせてぇの?」
●膳立
「青木 燕太郎がやばいことになったのは知ってるわね?」
集まったハンターに、ママは平らかな声音で問う。もちろん答は聞くまでもないのだが。
「ソサエティのほうで呼称は“青髯”に決まったわ。で、青髯なんだけど……ジグウ連山の東の裾を南下して、マギア砦の横をすり抜けてナナミ川を渡ろうとしてる。だから砦じゃ必死こいて、川ぁ渡る青髯に砲弾ぶっ込む準備してるわ」
ママは指し棒でマギア砦からナナミ川へ砲撃ラインを描き。
「アタシたちの仕事は砲撃の効果上げられるように、青髯の分体――黒狼どもを一直線になるよう寄せることよ。特に山ん中に散られたらどうにもなんねぇからね」
次いで、燕太郎の予想進路の西に位置する連山、東に位置する砦を差した。
「砦の脇を抜けられるより先に、青髯群に左右から食いつくわ。アタシとレヲナ、部族会議のみんなは本隊ってことで砦から強襲。アンタたちは遊軍になって連山側から奇襲。とはいえ山ん中にももう黒狼はいるだろうから、それ叩きながらね」
燕太郎を示す駒のやや斜め後ろから挟撃することを示して、一同の顔を見渡す。
「青髯本体は最終防衛線を固めてるハンターに任せる。アタシたちはあくまでもお膳立てが仕事だからね。本隊と遊軍で左右から挟んで、群れの流れを細長くまとめるってのに徹してちょうだい」
と。微妙な表情を作り、言葉を継ぎ足した。
「あと、今回の作戦じゃあゴヴニアが1回だけ、黒狼どもの足止めることになってるわ。どのタイミングで、どこの黒狼どもを足止めるかはアンタたちの指示に従うそうよ」
怠惰王を巡る戦いの端々で密かに動き、決戦ではついにハンターの前へ立ちはだかった、ゴヴニアが?
それぞれの思いを抱いて黙り込むハンターたちへ、ママは大げさに頭を振ってみせ。
「ゴヴニアも、怠惰王の騎士をあんな化物にしときたくねぇってことだけはアタシたちといっしょよ。お互い利用し合ってきましょ」
ママは語らない。
あのときゴヴニアが漏らした、あまりに歪虚らしからぬ言の葉を。
『死にきれなんだ彼の騎士は討たねばならぬ。……無念すら忘れ果て、今なお彼の場へうずくまっておろうオーロラに標与えんがため』
言うべきことの半ばだけを語ったゴヴニアの目に灯る、怠惰王ならぬオーロラへの有情が、同じ女心を持つママには知れてしまったから。
うまく騙してくれるもんよね。って、思い込んどくわ。じゃなきゃ、アタシはアンタを殺せなくなっちゃう。
レヲナはそんなママの横顔を見上げ、気づかれぬよう息をついた。
正直、ママは甘いなと思う。ゴヴニアは迂闊だよねとも思う。しかし、その甘さによって彼はあらゆる責を問われることなく、その迂闊さによって後遺症のひとつも負うことなく、ここにいる。
ママもゴヴニアも、そうしなくちゃいけなくなったら誰にも任せない、ボクが殺す。
思い定めた意志の裏ではしっかりと理解していた。レヲナの力では、少なくともママが相手なら捨て身で差し違えるのが精いっぱいだと。しかし、だからこそ、いい。
――世界一かわいいボクといっしょだったら、暗い黄泉路だって寂しくないでしょ?
返しきれない借りを抱えた男の娘は静かに肚を据えた。
「部族会議の人たち、これから打ち合わせするよー。時間ないから秒で!」
解説
●依頼
雑魔を退治ながら山中より駆け下り、ママ本隊と左右から黒狼群を挟撃してください。
●状況と地形補足
・スタート位置が山中になりますので、上空に上がった場合は視界が完全に遮断されます。
・サイズ2以上のユニットは、山中(上空は含まれません)の移動において移動力50パーセント減。
・山中には青木の分体である黒狼がおり、奇襲をかけてきます。
・スタート地点から山裾までの距離は50スクエアとなります。
・作戦開始30ラウンドで青髯は砦の脇をすり抜け、挟撃が果たせなくなります。最低でも25ラウンドまでに山裾へたどりつき、挟撃を開始してください。
●ゴヴニア
・ハンターと同位置から行動を開始します。
・シナリオ中1度だけ、ハンターの要請を受けて連続する25スクエアの範囲に黄鉄の足枷を発生させます。これは黒狼を2ラウンドの間、確実に足止めします。
・この25スクエアは、5×5の正方形でも、2×12+1や1×25の長方形でも、12+13のL字でも、他の形でも構いません。ただし斜めには繋げませんし、複雑すぎる形は指定できません。
・それ以外のときは、電撃で黒狼を攻撃します。
・会話や質問は自由に。
●青髯
・青髯へのあらゆる干渉(攻撃、呼びかけ等)は禁止です。
・その姿に感慨を抱くことは可です。
●黒狼
・青髯の身体から溢れ出した分体で、怠惰眷属です。
・能力等は特設ページを参照。
・山中にいる黒狼は倒しきらなくとも大丈夫です。それより山裾へ寄せることに注力してください。
●注意
・サブクラスに守護者をセットしたハンターが存在する場合、その人数(臭いの濃さ)に応じて青髯が怒りをかき立て、黒狼を超強化させます。
・サブクラスに白巫女をセットしたハンターが存在する場合、理由は不明ながら、黒狼は優先的にその者を狙います。
雑魔を退治ながら山中より駆け下り、ママ本隊と左右から黒狼群を挟撃してください。
●状況と地形補足
・スタート位置が山中になりますので、上空に上がった場合は視界が完全に遮断されます。
・サイズ2以上のユニットは、山中(上空は含まれません)の移動において移動力50パーセント減。
・山中には青木の分体である黒狼がおり、奇襲をかけてきます。
・スタート地点から山裾までの距離は50スクエアとなります。
・作戦開始30ラウンドで青髯は砦の脇をすり抜け、挟撃が果たせなくなります。最低でも25ラウンドまでに山裾へたどりつき、挟撃を開始してください。
●ゴヴニア
・ハンターと同位置から行動を開始します。
・シナリオ中1度だけ、ハンターの要請を受けて連続する25スクエアの範囲に黄鉄の足枷を発生させます。これは黒狼を2ラウンドの間、確実に足止めします。
・この25スクエアは、5×5の正方形でも、2×12+1や1×25の長方形でも、12+13のL字でも、他の形でも構いません。ただし斜めには繋げませんし、複雑すぎる形は指定できません。
・それ以外のときは、電撃で黒狼を攻撃します。
・会話や質問は自由に。
●青髯
・青髯へのあらゆる干渉(攻撃、呼びかけ等)は禁止です。
・その姿に感慨を抱くことは可です。
●黒狼
・青髯の身体から溢れ出した分体で、怠惰眷属です。
・能力等は特設ページを参照。
・山中にいる黒狼は倒しきらなくとも大丈夫です。それより山裾へ寄せることに注力してください。
●注意
・サブクラスに守護者をセットしたハンターが存在する場合、その人数(臭いの濃さ)に応じて青髯が怒りをかき立て、黒狼を超強化させます。
・サブクラスに白巫女をセットしたハンターが存在する場合、理由は不明ながら、黒狼は優先的にその者を狙います。
マスターより
みなさまお疲れさまです、電気石八生です。
こちらはリベンジシナリオを成功へ導くための支援シナリオとなっております。
そのままこの後の本戦へ参加されるもよし、後を仲間へ託して支援に徹するもよし。みなさまの個性を生かしての尽力をお願いいたします。
こちらはリベンジシナリオを成功へ導くための支援シナリオとなっております。
そのままこの後の本戦へ参加されるもよし、後を仲間へ託して支援に徹するもよし。みなさまの個性を生かしての尽力をお願いいたします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/05/20 17:14
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/05/16 07:13:14 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/05/15 13:41:01 |