• 東幕

【東幕】仮面の剣士

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2019/06/17 07:30
完成日
2019/06/23 17:48

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●龍尾城
 スメラギ(kz0158)の前に山のような書類が積まれた。
 ようやく今日一日分を終えたと思ったら、この事態だ。
「あのなー。タイミングってのがあるだろう、朱夏」
 悪態をつくような態度でスメラギが書類を持ってきた朱夏(kz0116)に言った。
 書類の内容は天ノ都の復興に関わる決め事や草案の類がほとんどだった。
 それらの根拠となる統計や意見書なども合わせれば、書類が山になるのは当然の事。
「それと、宝物庫の確認書です」
 帝の文句に反論する事なく、また、別の書類を渡す朱夏。
 スメラギはそれらをザっと確認すると、ポンと印を押した。
 入れ替えるように、次の書類が出される。それは“涅色の狐の雑魔”に関する調査書と討伐に関するものであった。
「……結果から教えてくれ……彼奴の遺体は見つかったのか?」
「いえ……見つかりませんでした」
「そうか……」
 パラパラと頁を捲るスメラギの手が震える。
 最悪の状況が考えられたからだ。
「地下龍脈に、負のマテリアルで形成された巨大な存在を確認しました」
 立花院 紫草(kz0126)がコアになっている可能性は否定できない。
 つまり“涅色の狐の雑魔”を生み出す親玉を倒すという事は、コアとなっている可能性がある紫草と戦うという意味だ……。
「ハンター達を集め、討伐する」
「なりません」
「止めるな! 分かってる。気持ちの整理はまだつかないが、彼奴だったら、それを望むはずだ!」
 力いっぱい拳を握りながらスメラギは言い放った。
 だが、朱夏は首を横に振る。
「そうではありません。ハンター達での討伐に反対なのです」
「……どういう事だ?」
「上位武家に声を掛け、精鋭部隊で討伐すべきです。大将軍が雑魔擬きになったなど、それこそ、公に出来ません!」
 朱夏は今にもスメラギに触れそうな程の勢いで迫って言った。
 覇気に押されるようにスメラギが背を引く。近すぎるんだよっと心の中で呟きながら。
「それで、宝物庫の品を幾つか使うという事か」
「勝算はあります!」
 自信満々の朱夏に、スメラギはしぶしぶ頷いた。
「……分かった。ただ、下手に刺激した事で地表に出て来られても困るから、そのフォローはハンター達にさせる。そこが妥協点だ」
 本来であれば、幕府軍とハンター達の混成部隊で挑むのが最善だろう。
 しかし、朱夏の言い分も認めなければならないだろう。立花院家は天ノ都の復興に多大な貢献を残している事もある。
「それでは、水面下で戦の準備を行っておきます。一か月程度を目途に討伐作戦を実施しますので」
 そう告げて立ち去る朱夏の背を見送るスメラギ。
 人は変わる……そんな事を思いながら。

●数日後――
「それは、本当なんだな!」
 ドンっと衝突する勢いでスメラギが蒼人に最接近すると叫んだ。
 帝の肩を押して落ち着かせる蒼人。
「声が大きいって。まだ、本人かどうか分からないよ。なんせ、影武者かもしれないし」
「で、どうなんだよ、見つけた二人のハンターも、お前も、そいつが彼奴だと思うのか?」
 先日、蒼人は偶然にも旧知のハンター達に出逢った。
 彼女らが言うには、行方不明になった紫草を発見したという。
「記憶を失ってて、目は見えず、声も出ないらしいから……確信はないけど」
「そっか。まぁ、そんな状態でも、やっぱり、彼奴は生きてるんだな。あのバカ野郎め! よし、蒼人。すぐにでも彼奴を連れてこいよ!」
「だから、落ち着けって、スメちゃん」
「なんでだよ?」
 興奮冷めやらぬスメラギを落ち着かせる蒼人。
 この一報を伝えたら、こうなると容易に分かっていただけに、蒼人は苦笑を浮かべた。
「そんな状態のムラちゃんを連れてきてら、ようやく纏めてきた朝廷と幕府の関係が、またややこしくなるから」
「じゃ、どうしろって言うんだ!?」
「ムラちゃんが正常な状態に戻らないと。ムラちゃん自身の口から、事の顛末を言えないと、陰謀論を唱える幕府側の武家は絶対に納得しないから」
 もっともな蒼人の言葉に、スメラギはドンっと畳を叩いた。
 『朝廷と幕府の力関係』……“また”、これだ。だいたい、こんな事態になったのも、憤怒歪虚が原因だが、くだらない権力争いがなければ、もっと上手く進んでいたはずなのだ。
 ただ、納得は出来なくとも、これが“政治”なのだとスメラギも理解は出来る。一昔前とは、そこが違った。
「……分かったよ。それで、彼奴の記憶はいつになったら戻るんだ?」
「そこはハンターにお願いしていくつもりだよ。また、勝手に野垂れ死にされても困るから、ちょっと考えがある」
「考え?」
 首を傾げたスメラギに蒼人は微笑を浮かべた。

●天ノ都
 知人から託された手紙を慰霊碑に届けて、紡伎 希(kz0174)は黙祷していた。
 死者との穏やかな対話。色々と話す事があったが、今日はその為に来た訳ではなかった。
「お久しぶりです」
 横に並んだのは武家四十八家門、第九位大轟寺家の当主である大轟寺蒼人だった。
 眼鏡の位置を直した後、彼は慰霊碑に手を合わす――と、その後ろに控えていた仮面の剣士も、よく分からない様子のまま、蒼人に続いて、手を合わせていた。
 誰だろうかと希は仮面の剣士を見つめるながら蒼人に尋ねる。
「蒼人様。内密な要件とは、なんでしょうか?」
 立場を利用したセクハラでもしてくるのかと思っただけに、意外な状況だった。
「この仮面の剣士……『ネムレス』に“ハンター”の説明をして欲しい。そして、彼が望めば、ハンター登録をお願いしたい」
「訳ありって事なんですね……」
 表情を落として希は応える。
 仮面の剣士は丁寧に頭を下げた。長さが揃わない灰色の髪が揺れ動いた。
「……まさか、蒼人様、この御方は!?」
「ちょっとややこしい事情があってね……」
 そう前置きしてから、蒼人は仮面の剣士との接触から、朝廷と幕府が抱えている現状を説明した。
 ハンターが発見した仮面の剣士は記憶喪失、発声不能、目が見えないという重たい状態にある事。
 朝廷、あるいは幕府、どちらかが保護しても反勢力から陰謀論として責められる事。中には亡きものにしようと考える公家や武家がいる可能性がある事。
「今、一番大事な時なんだ。スメちゃんが公家と幕府のトップに立って地盤を固めるまでは」
「……つまり、仮面の剣士をハンターに登録すれば、少なくとも、表立っての暗殺などを防げると」
「東方救国の士であるハンターを手に掛けるなど、あってはならない事だからね」
 事情を把握して希は仮面の剣士に視線を向ける。
 登録はリゼリオに戻らないといけないので、今すぐ、どうこうなる話ではない。それに――。
「ハンターに登録するかどうかは、あくまでも、話を聞いてから……と言う事でよろしいのですよね?」
「……」
 緑髪の少女の問いに仮面の剣士は深く頷くのであった。

リプレイ本文

●滅亡を止めた日
 シガレット=ウナギパイ(ka2884)と銀 真白(ka4128)は紡伎 希(kz0174)と共に神霊樹の情報を調べていた。
 実に地道な作業だ。検索ワードに掛かった膨大な情報の中から、一つ一つ、自分達で確認するのだから。
 結果、前回の報告書に記してあった“女将軍”については手掛かりをみつける事が出来なかった。これは調べ方の問題ではなく、その情報を得る為に必要なワードが不足していたからだろう。
「……力になれず、申し訳ないです」
「いや、私達の力不足でもある」
 希の台詞に真白は首を横に振った。こればかりは仕方ない事だ。
 シガレットが煙草に手を伸ばし、ここが室内という事に気が付いて、手を戻す。
 狐卯猾討伐失敗後の天ノ都のライブラリは損傷が酷く、ダイブできそうになかった。それなら――
「次は、狐卯猾討伐の際に将軍が何をし、どのような結果になったのか、調べないとなァ」
「狐卯猾も倒したと言うのに、東方にはまだ暗い影の、戦の気配が残っている。剣士殿が本当に大将軍殿であるならば、一刻も早く記憶を取り戻して頂かねば」
「過去の中に、記憶を取り戻す方策があるかもしれないからよォ」
 そう言ったシガレットは頬を叩いて気合を入れる。
 当時の城下町や地下龍脈の情報も断片的であったが、立花院家の屋敷で紫草が地下龍脈に降りる直前へと、ダイブが出来そうだった。
 真白はキュっと緑色の鉢巻を締める。
「もう誰にも、誰かを亡くして、泣いて欲しくないのだ」
「私が神霊樹ダイブを外からお手伝いしますので……よろしくお願いします」
 緑髪を揺らしながら告げた希の言葉に、シガレットと真白は力強く頷いた。

 神霊樹ライブへダイブした二人の耳に会話が聞こえる――立花院 紫草(kz0126)と朱夏(kz0116)の声だ。
「仰せの通り、全ての符を御用意致しました」
「朱夏、ご苦労様です。これだけあれば、地下龍脈に結界を張れるはずです」
 ぼんやりとする視界の中、符が大量に入った籠を持つ紫草の姿が見える。
「……上様、私も行きます」
「大丈夫ですよ。結界を張ったらすぐに戻りますから。朱夏は屋敷の守りをお願いします」
「ですが!」
 その時、屋敷の塀の向こう側から怒号が響き渡った。
 屋敷を守ろうとする立花院家の者と天ノ都を蹂躙せんとする憤怒歪虚の戦いが始まったのだ。
「行きなさい、朱夏!」
「……は、はい……上様、必ず、お戻りになって下さいね」
「勿論ですよ」
 刀を抜き放ち、駆け出す朱夏。
 それを見届けてから紫草は、地下龍脈へと続く階段を降り始めた所で、シガレットと真白の二人のダイブが完了した。
 紫草から見れば、二人のハンターが唐突に現れたように見えただろう。ピタリと足を止める。
「将軍殿。私達がお供します」
「そういう事だァ」
 丁寧な真白の言葉とそれに続くシガレット。
 二人の様子に、一瞬、怪訝な表情を浮かべた紫草だったが、それも僅かな間。すぐにいつもの微笑を浮かべた。
「……ここは私にとっては現実ですが……なるほど、お二人とも、神霊樹ライブラリからの接触……と理解しておきますね」
「分かるのかァ!?」
「いえ……ただ、天ノ都の転移門は使えない状態なのです。ここにお二人とも“本来は居ないはず”ですからね。この事象を説明するのには、もっとも妥当な仮説かと」
 この機転と柔軟な発想が紫草という人物を物語っていた。
「ライブラリの情報は途切れ途切れで、何があったのか判明しません。それを得る為に、ここに来ました」
 真白の説明に紫草が頷いた。
「なるほど……つまり、これから起こる事を正確に知っておかなければならないという事ですね」
「あんたが記憶喪失になっちまった上に、地下龍脈の中に、ばかでかい憤怒雑魔みてーのが出ちまってるからなァ」
「分かりました。私が何をするのか、お見せしましょう。ただし、二人共、死にますが……よろしいですね?」
 確認する紫草の台詞に対し、迷う事なく、シガレットと真白は頷いた。
 今回、希が外で支援している事もあり、ライブラリ上では基本的には死なない。むしろ、真実を解明する為には望む所といえよう。

 地下龍脈に降り立った紫草は大きな通路のような道を進んだ。
 手頃な所で符を壁に貼り付ける。紫草の説明によれば、龍脈の中に結界を張るという。
「将軍殿、その仮面は?」
 たいまつの灯りに照らされて紫草が仮面を付けていた。
 表面には何かしらの紋様が描かれている。
「これは特別な仮面です。ハンター達の装備の中に、暗闇でも見えようになるという品があったと思いますが、それと似ているもの……と思って貰ってかまいません」
「例えば、視力を補う事もでしょうか?」
「きっと可能でしょう。これは私が身に着けている甲冑と共に、強力な術式が埋め込まれている故に」
 紫草はそう答えると、おもむろに甲冑を外し始めた。
「どうするんだァ?」
「この甲冑には負のマテリアルに対する抵抗力を大幅に増す力が宿っています。これを結界強化する為の人柱代わりに見立てます」
 甲冑を外しつつ、まだ残っている符をシガレットに渡してきた。
 マテリアルが込められている特別な符だった。これなら、符術師としての力を持っていなくとも、覚醒者であれば何かしらの術が使えるはずだ。
「こりゃ、スキルウェポンかァ」
「そう理解して貰って構いません。場の符の総数に応じて強力な結界を構築できます」
「それで、朱夏に符を集めさせていたのかァ」
「残った符は適当に壁や体に貼って下さい」
 シガレットは紫草の言葉に頷くと、符を手に取った。
 この作業を、本当なら一人で黙々と紫草は行っていたのだろう。
 世界の破滅を止め、未来を守る為に。今頃、天ノ都の外縁部では狐卯猾との死闘が繰り広げられているはずだ。
 真白はグッと力強く拳を握った。
「将軍殿は、一体、何をなされるつもりなのですか?」
「狐卯猾が地下龍脈に負のマテリアルを流して、その力を借りてゲートを開くつもりならば、負のマテリアルの流れを止めてしまえば、少なくともゲートが開く事はありませんからね」
「止めた負のマテリアルはどうなるのでしょうか?」
 問いかけ続ける真白に紫草は丁寧に微笑を浮かべながら答え続ける。
 まるで“後世”への助言のように。
「憤怒のマテリアルであれば“獄炎の影”のように形成されるかもしれません。しかし、臆する事はありません。その存在に、私達は一度、勝利しているのですから」
 そして、紫草は愛刀を床に突き立てると、特別な力を放つ符を手にする。
 数歩離れた場所に甲冑が置かれており、周囲を多くの符が貼られていた。
 直後、地下龍脈全体が揺れる。負のマテリアルが奔流となって地下龍脈を廻っているのだろうか。
「いよいよですね。お二人共、お別れです」
 刹那、紫草が持つ符が輝かしいマテリアルの光を放つと、龍脈を遮断するように光壁が数枚出現した。
「そうだ、冥土の土産に一つ教えて欲しいんだがァ……先代の女将軍ってのは誰なんだァ?」
「……私にとって、大切な人ですとだけ、お答えしましょう」
 いつもの微笑で紫草が答えると同時に負のマテリアルの奔流が結界に到達した。
 その衝撃だけで、シガレットと真白は身体と四肢が吹き飛ぶ――視界の中で紫草が一人耐え立つ姿だけが見え、二人はライブラリから戻されるのであった。

●心配侍
 城下町のとある居酒屋。大轟寺蒼人とミィリア(ka2689)の二人が、件の事で情報交換していた。
「僕に聞きたい事だって? 幾らでも答えるさ。まずは、そのスカートの中がどうなっているのか、教えて、あ、いや、止めておこう。絵的に捕まりそうだ」
「それは、どういう意味でかな、蒼人さん!」
 蒼人が眼鏡の位置を直しながら言った言葉にミィリアが頬を膨らませて怒り返す。
「どうみても、子供の服をめく……あ。すみません。その物騒な刀を構えないで下さい」
「分かればよろしい。で、話が逸れちゃった。ネムレスさん……ううん、紫草さんの事で聞きたいのだけど」
「ムラちゃんの事? また、なんで?」
 首を傾げる蒼人。眼鏡がまたズレてクイクイっと直す。
「記憶が無い今、昔好きだった西洋剣を持ってたり、東方の為に尽くそうって所は変わっていなかったりするわけじゃない?」
「まぁ、そう言われると確かにそうだ」
「記憶を失っても、根底っていうのかな。大事にしているものはそのまんまなのかなって」
「なるほど、一理あるな。まぁ、僕が知っている事も大した事はないだろうけど。むしろ、立花院家の古株に聞いた方が良かったんじゃないかな」
 蒼人の的確なアドバイスにハッとするミィリア。
 更に言えば、この眼鏡武士は自分よりも年下だ。
「それで、何が知りたいんだ?」
「ミィリア的には将軍さんって剣が強いってイメージだったんだけど、符術とかも使えたりしたのかな?」
 テーブルに置かれた伝票――それも酒がびっしりと書かれたもの――を符に見立てて指で挟むミィリアに蒼人は大袈裟に両手を広げた。
「使えないだろう。サブクラスシステムはハンター登録していないといけない気がするし」
「そうなの!?」
「そうじゃないのかな? いや、分からないけど」
 そもそもサブクラスを習得できるようになったのは、ハンター達の活躍による所だ。
 幾ら紫草が規格外の人間であっても、世界の理すらも捻じ曲げて、他クラスの力を手にしているとは考えにくい。
「……ただ、符術に関する知識は相当あったんじゃないかな。スメちゃんの教育係だった訳でもあるし」
「確かに……それなら、例えば、符術に似た魔法を使える宝物とか?」
 ミィリアの問いに蒼人は頷いた。
「立花院家だし、あっても可笑しくはない」
 数多くある武家の中で頂点に立つ武家だ。
 伝説級の武具が幾つかあっても納得できる。
「流石、第一位! あ、武家といえば、ネムレスさんをハンターになってから政局に復帰した時の影響って大丈夫なのかな?」
「本人の口から説明できりゃ、問題ないと見てる」
「自分達の権力の為に嫌な顔しそうなお偉いさんとかはいない? ちょっと心配でさ」
 色々と心配事が浮かぶようだが、蒼人は楽観的に考えているようだった。
「そんな偉そうな奴は放置しておいていいぜ。まぁ、どうしても気になるようなら、ハンターとしての活動で実績を上げれば、特に文句も言われないと思う」
「なるほど!」
 ポンと手を叩いたミィリア。
「ところで……僕から一ついいかな?」
「え?」
 蒼人の眼鏡がキラリと光り、身の危険を感じたミィリアが思わず身体を引く。
「……ミィリアさんの語尾って、なんちゃらでござるぅ~じゃなかったか? 方針転換? あ、あれか、可愛くみせようとする小悪魔か」
「蒼・人・さ・ん」
「ちょ、だから、刀の柄に手を掛けなくてもいいから、ァアー!」
 居酒屋に蒼人の叫び声が響き渡るのであった。

●継いで進む為に
 幾体目かの“涅色の狐の雑魔”を切り伏せて、龍崎・カズマ(ka0178)は空を見上げた。
 どこまで透き通るような青が眩しい。
 天ノ都の復興は順調とはいえないものの、続いていた。そんな中、“涅色の狐の雑魔”は復興の妨げとなっている存在だ。
「見事な腕前だ。本当に良かったのかな?」
 声がして振り返ると、中年の武士が一人。
 立花院家の者だ。もっと言うと、朱夏(kz0116)の父親だ。
「えぇ……気を遣われるよりかは、一人の兵として己のすべきことをしたい」
 カズマはそう答えた。鳴月家の領地の話は聞いているが、余計な気を遣わせたくないというのがあった。
 朱夏の父親は竹で出来た水筒をカズマに手渡す。
「……申し訳ないけど、君の事を調べさせて貰ったよ……もう、吹っ切れたのかい?」
 問題を起こした娘に向けるような視線で父親はカズマに問いかけた。
 水筒の蓋を開けたカズマは頂きますと告げると、グッと水を呷る。
「……吹っ切れても、忘れても、飲み込んでいる訳でも、どれも違います。俺はただ……抱え込んでいるだけです」
「抱え込む?」
「抱えながら、それに向き合い続けていく。どんなにそれが苦しくても、怒りも、悲しみも、嘆きも……憎しみさえも」
 それが大事だった事の裏返し。遺されたものは――継いで進むしかない。
 そう言った自分が、それを実践できなくてどうするというのだ。
 カズマの覚悟に父親は瞳を閉じると静かに建物の壁に寄り掛かった。
「龍崎さんの覚悟のほんの一握りでも、私の娘にあれば……なんて声を掛けていいのか……君なら、なんて伝える?」
「……良き夢や希望は、きっと、好い明日を作れる。いつだって、生命は……そうやって、明日を紡いで、誰かの思いを継いで来た」
「明日に紡いで繋ぐ……そうだな……」
 休憩は終わったとばかりにカズマは水筒を父親に返した。
 まだ、戦える。一人の力でどこまできえるか分からない。それでも、誰かの明日を守る事はできるはずだ。
 立ち去るカズマに父親から後ろから声を掛けてきた。
「上様もそうだったかもしれない。明日に紡いで繋ぐ為に……あの御方は大将軍になる事を選んだのです」
「そうですか……」
 興味がない訳ではないが、今は狐雑魔を狩る時だ。
 また一歩踏み出したカズマを引き留めるように父親の話は続く。
「先帝と先代の女将軍、そして、紫草様は、旧知の仲だった」
 その台詞にピタっとカズマが足を止めて振り返った。
「何の話ですか?」
「遠い昔の話です。先帝と先代女将軍の間に生まれた子が、スメラギ様なのです」
「……」
 そんな大事な話をこんな場所でハンターに伝えていいのかと言わんばかりなカズマの視線に父親は頷いた。
「ご誕生されたスメラギ様と東方の未来を守る。その願いを先帝と先代女将軍は、紫草様に託して……逝かれたのです……継いで進む為に」
「それは……本人にとって大事な、例えば、心の芯となりえるもの?」
「間違いなく……でなければ、あんなにお人柄が変わるとは思えません」
 大将軍就任前の紫草は、今と違ってのらりくらりとしていたという。
 きっと、今でも、紫草の根底を支えているものなのかもしれない。
 ネムレスと名乗り、記憶を失っている今でも……もしかして、心の奥底、行動の原理となって、それが現れているとすれば、今でも歪虚と戦おうとする姿勢も理解できるというもの。
「それで“似ている”と?」
「私の直感は正しかったという事です」
「なるほど」
 父親の言葉にカズマは口元を緩めて応えたのであった。

●決戦への誘い
 見知った背丈、不揃いだが特徴ある灰色の髪。
 その人物の後ろ姿を見つけて、アルマ・A・エインズワース(ka4901)が、とある男に突撃した。
「わふーーっ!」
 死角から飛び込んだはずだったのに、ネムレスと名乗る仮面の剣士は、スっと避ける。流石、東方最強なだけはある。
 受け止められず、そのまま宙をダイブしたアルマが床に落ち……勢いそのまま転がった。
「わぅぅぅーっ」
 まさか避けられると思っていなかっただけに、その衝撃の事実にアルマは心の底から泣いた。
 記憶喪失だと見知ったハンターから聞いていたが、受け止めてくれなかった事はショックなのだ。
 ネムレスといえば、床に転がったハンターを困った様子で見つめていた。
 背後から突然襲われたかと思ったら、床で泣いているのだ。完全に挙動が不審者だ。
「……」
 スッと手を差し伸ばすネムレス。
 それをアルマは震える手で掴んだ。その感触は、忘れもしないだろう。
「いき……生きてて……くれたです……うえぇん」
 死んだと思っていたが、こうして生きててくれた事がとても嬉しかった。
 といっても、記憶がない相手にいつまでも泣いている訳にもいかない。アルマは涙を拭うと表情をパッと明るくした。
「改めまして、僕、アルマですっ。貴方が紫草さんなら、おともだちです」
「……」
 その台詞にネムレスは何かピンと来たようだ。
 記憶が戻った訳ではなく、自分を知る者なのだと理解したようだった。

 ネムレスはハンター登録の為にリゼリオに来ているという事であり、アルマは懇切丁寧にハンターについて説明した。
 特にメリットとデメリットを説明する。昨今は邪神との戦闘が激しくなってきており、危険な依頼も多くなってきているからだ。
「すごく強力な歪虚さんと戦い過ぎると……こうなったり……それ以上もありえますです」
 ぽこんと音を立ててアルマが右腕を外した。
 義手だ。本来あった腕は、歪虚との戦いで失っている。
「この程度で済んで幸運だったというか……あ、ちなみにこれ、僕の作品です!」
 胸を張って得意になって言うが……本人にとっては誇りの品なのだろうとネムレスは思う事にした。
 微笑を浮かべて頷く仮面の剣士を見つめ、アルマが悲しそうな表情を向ける。
「……貴方に、二度も死んでほしくない……って言うのが、僕の心情です。おともだちとして」
 ハンター登録すれば、危険な戦場へ行く事もあるだろう。
 その力量を疑っている訳ではない。いや、むしろ、頼もしい存在だ。それでも……失いたくないという気持ちに変わりはない。
 もっとも、ハンターに登録しないと、暗殺対象になる可能性もあるので、どっちもどっちだが。
「僕が付きっきりで守れたらいいんですけど……最近、結婚しましたので、そういうわけにも……」
「……け……っ………こ……」
 照れるように告げたアルマの台詞に、ネムレスが口を開いた。
 その声は、枯れきり小さく、聞き取れないような声だったが……。
「言葉が出るのです!?」
「……」
 ネムレスは親指と人差し指を少し離して応えた。
 少しずつ、傷が癒えて回復しているのかもしれない。
 思うままにアルマはネムレスに突撃した。今度は、避けられなかった。
「いつもって訳にはいかないですけど、必ず、守りますから」
「……わ……たし…………が……ま、も………」
 グッとアルマの両肩に手を置いて力を込めるネムレス。
 仮面をしているので分からないが、アルマには分かった。彼の目は、力強く輝いているのだと。
 自身が何をすべきかという事を、決めたような、そんな輝きなのだろうと。

●涅狐討伐者
 天ノ都の城下町に出現する“涅色の狐の雑魔”。
 何かを意図して姿を現している訳ではなさそうで、その出現位置に法則性は見られなかった。
 だから、その討伐を考えるハンターは、必然的に天ノ都を自分の足で探し回る事なる。
「あの野郎……勝手に友達呼ばわりして、何の挨拶もなく消えていきやがって……」
 ボソっと輝羽・零次(ka5974)が呟いた。
 憤怒が消え、その後のゴタゴタもハンター達の活躍で終わった。
 それなのにだ、まだ、何かが起こっている。その正体が、あるいは辿り着いた結末に何があるのか……零次は見極めたいと思っていた。
 この世界を美しいと評した者と同じものが、果たして自分自身にも同じように見えるのだろうか。
「いやがったな」
 ある路地の先に“涅色の狐の雑魔”が数体。
 機甲拳鎚を装着した腕を構える――と、同時に地を強く踏みしめて、間合いを一気に詰めた。
 敵がまだ気が付かないうちに迫ると、勢いと体重を乗せた強力な打撃を繰り出した。
「ハッ!」
 不意を突かれて直撃を受けた1体は吹き飛び、長屋の壁に音を立ててぶつかるとぐったりと動かなくなる。
 まだ倒した訳ではない。行動不能にさせただけだ。
「次っ!」
 トドメは後で差すとして、零次は次の標的を定める。
 だが、涅狐も黙って殴られている訳ではない。残った数体が牙を剥いて襲い掛かってきた。
 零次は当たるか当たらないかという際どい所で身体をズラし、あるいは捩じり、それらを最小限の動きで避けると、1体を足で掬い、別のもう1体に裏拳を叩き込んだ。
 敵の方が、数多いが戦える――そう、思った時だった。
 幾枚かの符が飛翔してくると、光り輝く結界を作り出したのだ。
「五色光符陣か?」
 光の結界の中で次々に焼かれていく涅狐共。
 通りすがりの符術師でもいるのだろうかと視線を巡らせると、塀に対して垂直に立ちながら、ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)が符を構えていた。
「ルンルン忍法とカードの力を駆使して、狐の雑魔を討伐しちゃいます!」
 本当は地下龍脈に潜るはずだったのだが、大事な戦いの前という事で朱夏の計らいにより、地下龍脈へ入る事は禁止されていた。
 その為、ルンルンは仕方なく地上を走り回って、涅狐の討伐を行っていたのだ。
 洞窟内での戦闘用に調整したスキル構成だったが、それがそのまま天ノ都の城下町で使えたのは運が良かっただろう。
「きっと、まだ調査する事はあると思うのです!」
「まぁ、そうだろうな」
 威勢よく宣言したルンルンの言葉に零次は頷いた。
「少しでも減らしておいたり、情報を集めておけば、武家の皆さんで狐の親玉を倒す策の助けになるかもしれないですし」
 クルっと姿勢を入れ替えながら、ルンルンが次の符を手にした。
 零次が前衛で戦ってくれているおかげで、符術に集中できるというものだ。
「成功率を上げる為に頑張るんだからっ!」
「よし、一気に畳みかけるぜ!」
 二人のハンターの連携で、その場に出現した涅狐は速やかに討伐できたのであった。

 その後も二人は天ノ都を走り回り、敵を見つけては倒していた。
「……待て、少し様子を見よう」
 新手を見つけて駆け出そうとしたルンルンを、腕を伸ばして制止する零次。
 出現した涅狐が一体何をするのか、確認しようと思ったのだ。
「地下龍脈だと負のマテリアルによる汚染させていましたよ」
「だとしたら汚染させる目的があるはずだ」
 冷静に告げた零次の言葉にルンルンがハッとなる。
「まさか、そこに朱夏さんが、将軍さんがコアになっていると思っている根拠があったり?」
「そこまでは分からないが」
 零次は苦笑を浮かべて応える。
 一方、ルンルンの妄想は続いていた。仮面の剣士は実はコピー体ではないかとか……。
「……いやいやいや、そんな忍法使う人じゃないのです」
 ルンルンは一人何度も頷いて呟いた。
 そもそも、敵の親玉にコアがあるのかどうかも分からない。
 例えば“獄炎の影”には、そうした中心部という存在は無かった。
「だとしたら、地下龍脈に潜んでいる敵の親玉も、似たような性質?」
 ふと思った事からルンルンは首を傾げた。
 “獄炎の影”は凶術――五芒星術式――によって集められた憤怒の負のマテリアルが『獄炎』の残留思念と合わさって形創られた存在だ。
「待てよ……確か、地下龍脈に流れた負のマテリアルって、蓬生のものだったはず」
「蓬生さんは、元々憤怒王の一部だったという事は……」
 二人の会話の通り、憤怒という共通の負のマテリアルである事を考えれば……。
「地下龍脈に潜んでいやがる敵の親玉は――」
「“獄炎の影”と同様の能力を持っているはずです!」
 当然の事ながら、全く同じという訳ではないだろうが、その性質は似ているはずだ。
 それに蓬生のマテリアルは、全て吸い取られた訳ではない。
 ゲートが開くかもしれなかったあの日、あの場に集ったハンター達の活躍があり、マテリアルの吸収は最小限に留められていたはずだ。
「……意味があったという事か」
 もし、もっと多くのマテリアルが吸い取られていたら、天ノ都は復興どころではなかっただろう。
 第二の“獄炎の影”によって、最悪、滅ぼされていた可能性はある。
「敵の正体に目途がついた以上、今のうち一体でも倒しておくのです!」
 気合十分なルンルンに、零次はニヤリと不敵に笑った。
「あぁ、そうだな」
 拳に力を込める。
 敵のマテリアルだって無限ではないはずだ。眷属を作り出すのにマテリアルを消費しているのであれば、雑魚を叩き潰し続ける事も意味があるはずなのだから。
「ついでに推測が正しいかどうかも、気にしながら戦ってみるか」
「それがいいと思うのです!」
 駆け出した零次を援護すべく符を掲げながらルンルンは応えるのであった。

 その後も二人は戦い続け、“涅色の狐の雑魔”が持っている能力は、“獄炎の影”が生み出した影狐ととても似ている力を持っていると判明した。
 また、影響は小さいが、涅狐自体にも『憤怒の呪い』を持っているようだった。
 涅狐を生み出している親玉の能力をそのままサイズダウンしていると思われる事から、親玉と戦う場合は、予備の武器を持っていく事や対抗する手段を準備する事が大事だとも推測できた。
「……ところで、この“涅色の狐の雑魔”の親玉には、名前なんか付いているのか?」
 零次の質問にルンルンが符の角を口に当てて唸る。
 親玉っていうのも何か適当だし、地下龍脈で目撃したそれは、形成された巨大な狐のような何かのように見えた。
「うーん……涅狐の親玉で“獄炎の影”と似ている大きな憤怒の狐さんだから……悪狐なんてどうですか?」
「……なるほど、人に危害を与える妖狐か。分かり易くてシンプルだな」
 東方の地で、倒すべき敵が改めて明らかになったのであった。

●昂然たる愛を
 天竜寺 詩(ka0396)は立花院家の屋敷に来ていた。
 ここに来る前、龍尾城でスメラギ(kz0158)に逢ってきた。仮面の剣士がタチバナであると確信した事を伝えると共に、この事を朱夏や他の人に伝えないで欲しい事も話しておいた。
 そして、詩は向き合わなければいけない人にこれから会う……。
「私に用事とは何でしょうか? 手短にお願いします」
 言い方は丁寧だが、トゲがある口調の朱夏の台詞に対して、詩は確りと胸を張って返す。
「ハンター抜きで地下龍脈掃討を行うと聞いたよ。でも、今日来たのはその事じゃなく、聞きたい事があって」
「なんでしょうか?」
「タチバナさんが地下龍脈へ潜る前、朱夏さんと何かあった?」
「答えなければいけない義理はないです。お帰り下さい」
 全身から放たれる怒りのオーラ。だが、そんなもので詩が怖じ気つく事はない。
「今頃、私の仲間達が神霊樹ライブラリにダイブしてる。あの日、何があったのか、それを知る為に……それでも、朱夏さんは答えてくれないの?」
「だったら、聞く必要なんてないですよね」
「いえ、朱夏さんの口から聞きたいの」
 二人の視線が宙でぶつかった。
 押し負けるように朱夏が視線を外し、その様子に詩が追い打ちを掛ける。
「あの日の事……朱夏さんは何か隠してるんじゃないのかな。そして、その結果、起こった事を自分の責任だと思ってるんじゃないの?」
「……それがどうしたのよ! そう思って悪い? けど、責任っていう話なら、そもそも!」
 キッと殺意が秘められた瞳で朱夏は叫ぶと、詩を指差した。
「そもそも、貴方達、ハンターが負けるから悪いのでしょ! 何よ、倒せなかったのに! おめおめと逃げ帰って! 牡丹も仁々木も、幕府軍の皆を見捨てて!」
「朱夏さんがハンターを良く思ってないのは聞いてる。私達の力不足だった」
 起こった事は事実だ。そう認識されても仕方ない事。
「だったら、なんで!」
「今、私はハンターとしてじゃなくて此処にいるから!」
「それじゃ、何よぉ!」
 怒号のように響き渡る朱夏の叫びに、詩は穏やかに、それでいて力強く言った。
「私は……私は、タチバナさんを愛してる! だから、あの人を探す。きっと、取り戻す! その為にどんな事でも知りたいの!」
「な、なにを……」
 突然の告白に朱夏は戸惑う。
 詩の台詞を否定するように、何度も首を振った。
「あ、あの人は……上様は、心に決めた人が……なによ、そんなの、上様が、困るだけ……」
「だったとしても、私の想いは変わらない」
 堂々と答えた詩に、朱夏の中で何かが崩れたようだった。
 帰ってこない紫草に自分達が見捨てられたという不安――そんな深層の心を、詩の決意との対比で気が付いたのだろう。
「上様は……帰ってこない。生きていても……私達の上様は、もう……」
 大粒の涙を流しながら、朱夏は全身の力が抜けたようにその場に座り込んだ。
 死んでいるのなら、見捨てられたとはならない。だけど、生きていて帰ってこないのは、立花院家に興味がないからだと思っていた。
 政争に巻き起こす事なく、帝に全てを託す為に。幕府も公家も解体して新しい国造りを進める為に――と。
 詩はそっと寄り添うと彼女の震える身体を優しく抱き締める。
「あの人が自分で決めた事なら、誰も朱夏さんのせいだなんて言わない。だから、自分を追い詰めないで」
 その言葉に、朱夏は子供のように声をあげて泣き続けるのであった。


 後日、地下龍脈に潜む、負のマテリアルで形成された巨大な憤怒雑魔を討伐する作戦内容が変更された。
 当初は幕府軍だけで行うはずだったのだが、作戦立案者の朱夏の希望により、ハンター達との共同戦となったのであった。


 おしまい。



 ハンター達の出来事や神霊樹ライブラリへのダイブで得られた情報を纏めて、改めて神霊樹ライブラリに検索を掛けた希は、ある“記録”に辿り着いた。
「これは……紫草様?」
 日時を確認すると、紫草が行方不明になった日から二日三日経過した時のようだ。
 紫草が天ノ都郊外の荒地に空いた穴からやっとの事で這い出ると、そこで力尽きて倒れる。
 全身傷だらけで長かった髪も不揃いに切れている。手には……あの仮面を握っていた。
 そこに誰か町人らしき人物が通りがかる。
「こりゃ、旦那じゃないか! 旦那、大丈夫ですかい!?」
「……」
「女将に頼まれた秘伝のタレどころじゃねぇ。さぁ、旦那行きましょうや」
 町人が紫草を押し車に引き摺るように乗せた。
「旦那、大丈夫ですぜ。ハンター達に教えて貰った、とっておきの抜け道があるんですよ。そこを通って恵土城にいきましょうや。皆、無事ですから」
 気を失っている紫草に言うと、町人は慎重に押し車を押していくのであった。

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MVP一覧

  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩ka0396
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイka2884
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白ka4128

重体一覧

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 春霞桜花
    ミィリア(ka2689
    ドワーフ|12才|女性|闘狩人
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • 正秋隊(雪侍)
    銀 真白(ka4128
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/06/13 06:28:35
アイコン 質問卓だよ
天竜寺 詩(ka0396
人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2019/06/15 18:20:32
アイコン 【●談】何をしますか
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2019/06/17 01:58:20