その荷車、暴走中につき

マスター:蝦蟇ダス

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/01/29 15:00
完成日
2015/02/01 11:55

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 その日も、いつもと変わらぬ日常であった。
「いい天気だべなぁ。なあ、キャサリン」
 麦藁帽を持ち上げた男が呼び掛ければ、彼が腰掛けた荷車を引っ張る大きな牛が、ンモォ、と鳴く。
「今回は特に荷物が多いでなぁ。この配達終わったら、お前ぇにもいいエサ食わせてやるだよ」
 男の本業は農家であるが、こうして町へ売りに出るのに自分の野菜だけではもったいない。そこで、他の農家の作物を代わりに売ってきたり、町への運び物を引き受けて生活の足しにしていた。
 町に泊まる一夜は男のささやかな楽しみでもある。今回はどんな酒と料理に巡り会えるだろうか。想像するだけで自然と顔が緩んでしまうというものだ。
 カツンッ
 その頬を矢が掠め、背後の荷物に突き刺さった。
「……………………へ?」
『ゴブブッ』
『ゴブゴブーッ!』
 横合いからの激しい衝撃。地面に転げ落ちた男が「な、何だぁ!?」と顔を上げると、その瞳に映ったのは、我先にと荷車に殺到する怪物の姿だった。一見すると子供のようだが、肌の色は暗い緑色。節くれ立った四肢に、顔も醜悪な造りをしている。
「お、おらの荷物に何するだぁっ!」
 立ち上がった男に向かって、怪物達は奇声を上げながら武器を振り上げる。明らかに殺す気満々だ。冷たい汗が背中を伝う。
「ひ……ひぃー!」
 男は転がるようにして逃げ出したのだった。

「――それで、その荷車を取り戻して貰いたい、と」
「あぁ、そうなんだぁ。このままじゃ仕事になんねぇだよ」
 困り顔で目の前に座る男を視界の端に収めながら、ハンターオフィスの受付嬢は一冊のファイルを取り出した。話を聞いた瞬間、思い当たる事があったのだ。すぐに目的のページへ辿りつく。
「その亜人――ゴブリンの盗賊団、賞金が掛けられていますね。これまでにも似たような悪さを重ねているようです。もっとも、こちらは討伐のみの場合ですので、お気持ちだけでも上乗せして下されば、ハンターも集まりやすいのですが」
「お、お願いするだぁよ」
 すらすらと、受付嬢に言われるがままに話が進められていく様は、詐欺まがいの商売に契約させられているように見えなくもない。
 ともあれ、これで依頼書の手筈は整った。
 ゴブリンで構成された盗賊団の討伐。現在ターゲットは奪った荷車で移動しており、その積荷、及び荷車を引いている牛の奪還も望まれる。
 なお、牛の気性は非常に荒く、周辺で騒ぎが起これば興奮して走り出すのは避けられない模様。平野部での追いかけっこを避けるならば、ゴブリンの出没範囲に小規模な谷と、そこを走る道がない事もない。
 さて。集まるハンターは、どのような手に打って出るだろうか?

 多くの積荷とゴブリン達を載せた荷車が、小さな湖の傍に止まっている。
 水面へと口をつける一頭の牛は、顔を上げて満足げに鼻を鳴らした。
 と、次の瞬間、
『ゴブッ』
 鞭の握ったゴブリンの一匹が、イラついた様子で牛の背を叩いた。
 交錯する瞳と瞳。
「ウゥモーーーーーッッ」
『ゴブーーーーーッ!?』
 猛烈な勢いで走り出す荷車。沸き上がるゴブリン達の悲鳴。
 農夫が手塩に掛けて育てた相棒、キャサリン(雌6歳)。最も手強いのは、彼女かもしれない。

リプレイ本文

「んん~……お~も~い~!」
 ずりずりと、重い物を運ぶ音がこだまする。
「やー!」
 気合い一発、ロウザ・ヴィレッサーナ(ka3920)が手を離すと、一瞬だけ宙に浮いた枯れ木が勢い良く地響きと共に砂煙を巻き上げた。
 眼前に広がった砂埃をまともに吸い込んでしまい、イブリス・アリア(ka3359)は咳き込みながら手で払う。
「げほっ、ごほっ……おーおー、こいつはまた派手にいったな。ご苦労さん」
「イブリスはなにしてるんだ?」
 ロウザの問いに、イブリスは煙草を咥えた口元をにぃっ、と歪ませ、
「ちょいと、落とし穴なんぞをな。上手くハマってくれりゃ儲けもんだが」
 掘り返した所に麻布で蓋をし、再び土をかぶせてカモフラージュする。スコップで軽く叩いて固めれば、落とし穴の一丁上がりである。同じものを複数作りたいので、深さはそこそこに留めている。
「おー、面白そうだな! ロウザもやってみたいぞ!」
「そっちが終わったらな。俺の方が早く終わったらそっちを手伝うから、ここは一つ競争といこうか」
「おう! ロウザ、負けないぞ!」
 ててて、と駆けていく少女の背を見送り、イブリスは紫煙を吐き出した。労働に伴う一服はまた格別なものだ。
 寒風吹き荒ぶ小さな谷。その間を通る細い道を、今やロウザの運んできた枯れ木や岩が堰き止めるようにして埋め尽くしていた。そんな光景をバックに、イブリスは落とし穴作りに精を出している。
「問題は、奴(やっこ)さんをどうにかしてここまで引っ張ってこないといけねぇんですがねぃ」
 そう独りごちたのは、自分の身の丈程もある杖を携えた痩身の少年。名を、鬼百合(ka3667)という。言葉とは裏腹に、金の瞳は愉しげに笑みを湛えていた。
 イブリスが再び手を止めて少年に視線を送る。
「よう。他の二人はどうした?」
「もちっとばかし、狙撃に適したポイントを探すそうでさぁ。得物が得物ですからねぃ」
 そんな会話を交わす二人を見下ろす位置に、ネイハム・乾風(ka2961)の姿はあった。ケースから取り出したライフルは重厚な作りだが、彼の長身が並ぶと実際の大きさよりも小さく感じられる。
 スコープを覗き込みながら眼下へ向け、大きく息をつく。
(道を確認できる位置からなら簡単に射線は通るけれども、荷車や牛を傷つけないようにするとなると、どうかな……)
 銃弾が相手を貫通すれば、当然その向こうにある物にまで弾は到達する。強力な一撃は万全を喫して放つ必要があった。
(難しいけど……だからこそ面白いんだよね……)
 知らず知らずの内に笑みを浮かべていると、視界の端に小さな人影が現れた。ガラス細工のような繊細さをまとった体躯はしかし、しっかりとした足取りで戦士のそれを感じさせる。
 ネイハムが挨拶代わりに軽く手を上げると、相手――シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)は小さくうなずいて周辺の様子を確かめ始めた。その手には、自分と同じ銃器が。
(シルヴィアさんは下か)
 彼女の得物であるアサルトライフルの射程や連射性能を考えれば、敵に近いところで畳み掛けるというのもありだろうか。
(ここ……でしょうか)
 ロウザがこしらえた障害物の一角に身を隠し、実際に銃を構えて身を乗り出しながらシルヴィアは考える。
 ネイハムに同じく、敵を直接狙った場合に怖いのが貫通だ。出発前に仲間の何人かが依頼主に尋ねたところによると、積荷の大半は野菜や果実。慎重に扱わなければならない美術品等は含まれていないらしい。かといって、一度銃弾がめり込んだ野菜を食べようと思う人間はまずいないだろう。
(……味方の接近戦を支援。敵を荷車から引き離してしまえば、個々の力で勝るこちらに分がある)
 味方戦力を分析しながら思索に耽るシルヴィアをチラリと見やり、鬼百合は人の悪そうな笑みを浮かべる。
「ま、かわいそーですけど、『いんがおうほー』って言葉もありやすしねぃ。ゴブリンさん達にゃ地獄を見てもらいやしょうか」
 イブリスも獣の顔で追随する。
「あぁ。少しは楽しませてくれるといいんだがな。――にしてもおまえ、なかなか言うな?」
 一見すると軽口ばかり叩いていそうな少年が辛辣な言葉を使うのに、違和感を覚えたのだろう。「なーに」、鬼百合は帽子の端をくい、と持ち上げ、
「まじめに働いてるおっちゃんのもん盗ってくなんざ、タチの悪ぃやろーでさぁ。そんなのがまかり通っちまったら、世の中おしめぇだ。オレみたいなガキも鬼になろうってぇもんですぜ」
 瞳の奥に垣間見えた暗い色は、すぐにおどけた表情にかき消されていた。
「さーて。あっちの旦那方はしっかりやってくれてますかねぃ?」

 ――ぴ~ひょろろ~――
 彼方の空を、鳶が飛んでいる。
 馬にまたがった屋外(ka3530)は、思わず高い空を見上げてその姿を追っていた。
(美しい姿ですな……)
 高く、高く。常に上を目指す姿は気高く、綺麗だ。自分もいつか飛べるだろうか? この心に勇気の翼を生やして。
 その為にも、今は目の前の事に集中しなければ。
「ロニ殿、どうですか?」
 呼び掛けられ、隣で同じように鞍上の人であったロニ・カルディス(ka0551)は手元の望遠鏡から目を離すと、そのまま屋外に手渡した。
「間違いないようだ――が」
 今までロニが見ていた方向へ望遠鏡を向ける屋外を視界の端に捉えながら、ロニの頬を一筋の汗が伝い落ちる。
「どうしたものだろうな」
「あれは――」
 屋外の目に飛び込んできたのは、依頼書の通り、大きな農耕用の牛が引く荷車と、荷台に貼り付くようにして搭乗する五匹のゴブリンの姿であった。
 御者席に座ったゴブリンの手が動く。
「ンモーーーッ!」
『ゴブブーッ!』
 牛の怒号。ゴブリン達の悲鳴。
 しばらく爆走したところで疲れたのか、スピードが落ち着く。
 そして再び動くゴブリンの手。
 以下、無限ループ。
「完全に制御を失っていますね」
「それでも荷車を手放そうとしない辺りは、なかなかの根性だ」
 そこは感心するポイントなんでしょうか、ロニさん。
「このままでは埒が明かない様子ですし、少し近づいてみましょうか」
 馬の腹を軽く蹴って歩を進ませる屋外。同時に魔導短伝話を取り出して通話を試みるも、まだ通信圏外のようだ。
「向こうの出方次第といったところかな」
 ロニも続き、やがて肉眼でもお互いの詳細を判別できるまでの距離に迫ってきた。流石に向こうも気がついたようで、それぞれに武器を構える。どうやらやる気らしい。
「さて、実は一度言ってみたかった事なんだが……」
 ロニは見せつけるように槍を抜き放つと、その穂先をゴブリン達に向けた。
「身ぐるみ全部置いていってもらおうか」
 完全に悪役の台詞です。本当に有難う御座いました。
 慌てたのが屋外である。
「いやいやいやいや。奪われたものを取り戻すのですから、もっとこう――アレな決め台詞があるのではないかと」
 早速飛んできた矢を避けながら、大きく回り込むような進路を取る。
 対するロニは笑みすら浮かべながら、
「なに、どうせ言葉は通じていないさ。だったら、普段はできない事をした方が建設的だ。何事も経験だからな」
 何だかもっともらしい事を言われて、言葉巧みに丸め込まれているような気がする。
 が、そんな事を追求している場合ではない。
 追い掛けられていると感じたのか、牛――キャサリンが暴走を始めた。無秩序な軌道に合わせて荷車も揺れる為、とてもではないがゴブリンに狙いを定められる状況ではない。
「そちらへ進むのはご遠慮頂きたいですね!」
「おっと、こちらも通行止めだ」
 それぞれに銃弾とマテリアルの塊を進路上の地面に放ち、進む方向を限定していく。目指す谷はもう近くだ。
「まもなく到着します。奇襲準備を!」

「了解だよ。もし問題が発生したら連絡を頼むね」
 屋外からの連絡を受けたネイハムは、続けて魔導短伝話を鬼百合のものへと繋げる。
「あいさ。もうこっちでも確認できてまさぁ。いやー、派手な土煙だ」
 彼方の光景を見物していた鬼百合も、これからの行動に備えて頭を引っ込めた。
 それぞれに息を殺して、その時を待つ。
 そして――
「しばらくおやすみなせぇ、でさ!」
 鬼百合の掛け声と共に青白い霧が立ち込め、障害物に向かっていたキャサリンを荷車ごと包み込んだ。刹那、ぎょろりと剥いていた眼が一転して眠たげなものになり、その速度を落としていく。
 荷車のゴブリン達も同様で、中には早速鼻提灯を膨らます者すらいた。
 このまま止まってくれれば、あとはゴブリンを一匹ずつ倒すだけ――だったのだが。
 唯一の例外があった。荷車本体である。キャサリンが足を緩めた事によって多少は減速しているものの、ブレーキの無い車体が急に止まれるわけもなく。
「「「「「 あ 」」」」」
 待ち伏せが成功したと確信していた五人の声が見事にハモる。
 キャサリンの大きなお尻に激突する荷車。
 大きく傾いた車体からゴブリン達が宙へ投げ出される。
 安眠を妨害された怒りと驚きから暴れるキャサリンの声によって、ハンター達は我に返った。
「やれやれ。とんだ展開になっちゃったね」
 そうぼやきながらも、既にネイハムは宙に舞ったゴブリンの一匹を正確な狙撃で葬っていた。空薬莢を捨てて二発目を装填しながら、次の動きを考える。
 暴れて障害物の壁へと突進しようとするキャサリンへは、シルヴィアが足元を掃射する事によって抑え込んでいた。
「支援します。一気にやってしまって下さい」
 と、その目の前で、荷車に残っていたゴブリンが積荷に手を突っ込み、取り出した何かを忌々しげにこちらに向かって投げつけてきた。
「あーーーーー!」
 飛来する赤色を見た瞬間、シルヴィアよりも先に反応して猛ダッシュしてきたのはロウザだ。跳躍しながら猫のようにくるくると回転し、両手でキャッチ。
 大事そうに広げられた手の内にあったのは、真っ赤に熟した林檎だった。
 ロウザの顔が憤怒の色に染まる。
「なんて事を! おい! 緑の変なヤツ! ロウザと戦え!」
 ずびしぃっ、と仁王立ちで指を突きつけた彼女の挑発は伝わったのか、ゴブリンは棍棒を振りかざしながら向かってきた。
 一撃を自身の得物であるスタッフで弾くと、ロウザは大きく舌を出して背を向ける。
「わはは! お前ら、腐ったピーマンみたいな顔だな!」
 べろべろべ~――手が空いていればお尻まで叩きそうな勢いで逃げるロウザとゴブリンは遥か彼方へ。
「よっしゃ! シルヴィア嬢、離れてくだせぃ!」
 再び鬼百合によって魔法の霧が撒かれ、暴れた挙句落とし穴にハマっていたキャサリンは夢の中へ。
 また、ロウザ達の反対方向へと転がったゴブリンには、地を滑るように駆けるイブリスが向かっていた。
「くくっ、少しは抵抗してくれるのかね」
 地面にぶつかって目を覚ますゴブリンがこちらに気づくよりも早く懐に飛び込み、刃を抜き放つ勢いを利用しての居合いの一太刀。驚愕の表情に目を見開いたまま、ゴブリンの頭と胴体は泣き別れとなってしまった。
 返り血を浴びた顔がゆっくりと振り向き、残りのゴブリン達を睨めつける。
「クカカッ、さあ次はお前だ」
 これには流石に、言葉は分からなくてもヤバいものを感じたのだろう。残りのゴブリン達はゴブゴブ叫びながら先を争って逃げ出した。
 その背中から、狙い澄ました銃弾が襲い掛かる。
「こうなると脆いものだね」
 弾を入れ替えてスコープを覗き込むネイハムだったが、こちら側としては最後のゴブリンに迫るイブリスの姿を認め、銃を下ろす。
「逃げるなよ。最後まで抗え、じゃないとつまんねーだろ」
 冬の冷たい空に、ゴブリンの断末魔の叫びが吸い込まれていった。
 一方、谷の入り口に向かって逃げていたロウザはといえば。
「おーい!」
 前方に目的のものを発見し、大きく手を振って訴える。
 足を止めたゴブリンがうろたえた様子で周りを確認するも、時既に遅し。味方はおらず、シルヴィアと鬼百合が迫ってきている。
 そして目の前には、ロニと屋外を従えたロウザが不敵な笑みを浮かべて胸を張っていたのだった。
「もうお前の負けだぞ!」

「おぉ……キャサリン、キャサリーーーン!!」
 屋外に連れられてやって来た依頼主の農夫は、未だすやすやと寝息を立てている牛の姿に、感極まった様子で駆け出した。
 その様子を見ていたシルヴィアがポツリと漏らす。
「無事に助けられたようで、良かったですね」
「そうだね。誰かの為に仕事をしているわけじゃないけれども、悪い気はしないよね」
 横に並んだネイハムがそう答える。スコープを覗く際に見せていた鋭い眼光はすっかり鳴りを潜め、元の大人しい青年へと戻っていた。
 荷車と積荷を確認していたロニが顔を上げる。
「瓶が幾つか割れてしまっているな。中身はジャムか?」
「ロニ殿、手伝って頂けますか。取り敢えずは荷車を立て直しましょう」
 屋外に促され、キャサリンから外した荷車を二人掛かりで引っ張る。
「牛さんの方はどうですかぃ?」
 鬼百合は農夫の横からキャサリンの様子を覗き込んでいた。農夫は目を覚ましたキャサリンにべろべろと舐められながらも、
「あぁ。かすり傷はあるけんども、筋肉や骨は痛めていねぇみたいだぁよ。本当に有難うなぁ」
「そいつはよござんした。あちらのドワーフの旦那が癒しの魔法を使えるんで、帰る前にかけて貰いやしょう」
 そんな中、イブリスとロウザは、自分達で設置した障害物の撤去に当たっていた。「だって、このままにしておいたら、ここ、誰も通れないぞ」とはロウザの談。
「確かにそいつはそうだが……マジかよ……」
「わはは! ――なんだかこっちのほうが疲れるぞ……」
 本人もげんなりした様子ではあるが、無事に事が済んだからか、どことなく満足気な様子である。
 そして日が暮れる前にと、一行は帰途に着いたのだった。
 身体に異常が無い事を確認して再び荷車を引いているキャサリンの背の上には、農夫から貰った林檎を大事そうに抱えたロウザが乗っている。
「おー、すごいぞ! わはは!」
 荷車を守るように馬で横に並ぶ屋外は、ようやく訪れた安堵感に胸を撫で下ろしていた。
「いやはや。一時はどうなる事かと思いましたが」
「終わり良ければ全て良し、って奴ですかねぃ」
 鬼百合の顔にも笑みが広がる。
 イブリスはようやく仕事後の一服にありつけると、高い空に向かって煙を吐き出した。
「さてさて、次はどこに行くかね」
 そしてロウザは、林檎の甘い香りを充分に堪能した後、頬ずりして感謝の口付けを施す――本人曰く「ぎしき!」らしい。
 齧った途端に、甘酸っぱい味が口一杯に広がった。
「にひひ♪」
 一行を出迎えるかのように、町から立ち上る夕餉の煙が見えてきていた。

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MVP一覧

  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合ka3667
  • わんぱく娘
    ロウザ・ヴィレッサーナka3920

重体一覧

参加者一覧

  • 凶獣の狙撃手
    シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338
    人間(蒼)|14才|女性|猟撃士

  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 支援巧者
    ロニ・カルディス(ka0551
    ドワーフ|20才|男性|聖導士
  • 白狼鬼
    ネイハム・乾風(ka2961
    人間(紅)|28才|男性|猟撃士
  • いつか、が来るなら
    イブリス・アリア(ka3359
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 心を守りし者
    屋外(ka3530
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 瑞鬼「白澤」
    鬼百合(ka3667
    エルフ|12才|男性|魔術師
  • わんぱく娘
    ロウザ・ヴィレッサーナ(ka3920
    ドワーフ|10才|女性|霊闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ロウザ・ヴィレッサーナ(ka3920
ドワーフ|10才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/01/28 05:47:51
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/01/25 19:09:40