天空の騎士:神眼

マスター:植田誠

シナリオ形態
ショート
難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/07/12 12:00
完成日
2019/08/02 10:19

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 そこはまるで廃工場といった趣であった。かつては複数の機械化歪虚が製造され、ここから帝国との戦いに出撃していた。だが、今この場は静けさが支配しており、その勢力がめっきりと落ち込んでしまったことを物語っていた。
「くそっ!」
 その一室でフリッツ・バウアーは手近な机を殴りつけた。無機質な音が静寂を破るように響く。何度も、何度も、何度も……
 帝国軍に対し数度の侵攻を行い、その戦闘力をもって多少なりとも打撃を与え続けていたフリッツだったが、この一年ほどは全く成果が上がっていない。何もしていなかったわけではない。作戦を立て、兵員をそろえ、戦いに出向いた。だが、そのすべては帝国軍第五師団、ヒンメルリッターによって食い止められていた。
「……っっっ!!」
 屈辱的状況に歯を喰いしばり、その怒りを隠そうとしないフリッツ。
 かつては人類最大の戦力であるハンター達の支援を得てなんとか迎撃していたが、今では第五師団から依頼が出されることは少なくなっている。それは最終決戦に向けて戦いの準備を進めるハンターへの配慮であるとともに、第五師団にとってフリッツの脅威がわざわざハンターに頼むほどではないレベルまで落ちたことも表していた。
 空戦に対するノウハウの蓄積、加えて第五師団全体、特に師団長であるロルフ・シュトライトの練度が向上したことで、その実力はフリッツの上を行っている。そして、恐らくその序列は今後変わることもないであろう。
 フリッツはその事実をかみしめ、ただ悔しがることしかできないのだ。
 その様子を、大ぶりの狙撃銃を手に見ていたミイラ型の歪虚がいた。かつて帝国軍第五師団で副師団長を務めたレオン・シュナイダーだ。
「……何を見ている貴様!!」
 唐突に、フリッツが鞭を振るいその顔を殴りつける。
「くそっ! くそっ! くそっ!!」
 何度も振りぬかれる鞭に、しかしレオンは何の反応も返さない。死んで一歪虚となったレオンにはなんの感情もない。持っているのは神眼と呼ばれたその類稀なる射撃技術だけだった。
「……このままで終わらせるものか……このままで……」
 荒い息をつきながら、フリッツは部屋を出る。レオンは、何事もなかったかのように、そのあとについていった。


 夕刻になって、フリッツの率いる歪虚勢が姿を現した。ここから迎撃に向かうと、戦闘開始時には夜になっているだろう。その場所はいうまでもなく帝国領空内であるが、今回は常と違いかなり低い高度を維持していた。
「まぁ、地上の森に狙撃手を潜ませているんだろうね」
「……では、地上からも何人かまわしますか?」
「いや、むしろ敵の直上をとろう。僕が前面からあたって敵の注意をそらすから、その間に真上から攻撃して殲滅する。この場合は周囲が暗いのも追い風になるはずだ」
 ロルフと、ウェルナー・ブラウヒッチ兵長がグリフォンを寄せて軽く打ち合わせを行う。
「しかし、地上からの狙撃となると……相手は……」
「分かってる。僕は回避行動に専念する形にはなると思う。だから、フリッツへの攻撃は任せるよ」
「おう、任せてくれ!」
「……了解しました」
 その攻撃を任されたのはオットー・アルトリンゲン、サラ・グリューネマン両兵長だ。ウェルナーは後方で予備戦力として待機する形となる。
 そのころ、地上ではフリッツの指示通り……そしてロルフたちの読み通り、レオンが射撃体勢に入っていた。


『撤退は許可しない。かつての仲間すべてを撃ち落とせ!!』
 そう指示を受けたレオンは夕闇に紛れ静かに銃を構えていた。だが、その闇に紛れ、地上から接近してくる敵がいた。
 敵は排除しなければならない。即座に銃撃。
「……」
 だが、レオンにとっては意外なことに、その銃弾は命中しなかった。着弾前に眼前で斬り落とされたのだ。
「…………」
 レオンは先ほどより警戒を強め、接近する敵を見る。それは……どこか懐かしい気配を持つ人間だった。だが、今のレオンには関係が無い。先ほどよりも集中力を高めて放たれた弾丸は、今度こそ直撃した。

「ちっ……機導剣で防御しなきゃ即死もあり得たな。歪虚になっても腕は落ちてねぇか。そりゃそうだ。まぁ腕が上がったってこともなさそうだが……」
 その撃たれた男、鉄仮面の男エルウィンは傷を押さえながら木の陰に隠れた。
 ちらりと覗き見ると、目玉のようなものが目に映った。あれが銃撃したせいで射線を誤認したのだろう。
「……なんとか、俺の手でケリをつけてやりたかったんだが……まぁ、所詮引退の身だ。後は任せるか」
 呟きながら、エルウィンは無線機を取り出した。依頼したハンター達にこの情報を伝えるために。

リプレイ本文


「陰で隠れてコソコソと……ぜってーに引きずり出してテメェの顔拝んでやるから首洗って待ってやがれ!」
 声をあげながら、ボルディア・コンフラムス(ka0796)がさっそく周囲の木々を伐採にかかる。開けた場所を作り負傷者用のセーフポイントを作ろうという考えだ。
 この間、必要なものは光源を準備。すでにボルディアもライトを装着していたが、それによりすぐに狙撃されるということはないようだ。
「射線が簡単に通るわけでもないからだろうか……」
 そうつぶやき空を見上げたアルバ・ソル(ka4189)だったが、その空の状況から理由がすぐにわかった。
 不意に落下するグリフォンライダー。おそらくはレオンによる狙撃だろう。
 さらにもう一騎が落ちてくる。当初の予測通り、レオンの対空攻撃により被害が出始めているようだ。
「さっそくか……あれには私が向かう」
 双眼鏡を手に目を凝らしていたアルト・ヴァレンティーニ(ka3109)は、すぐに走り出した。アルトの後ろにはイツキ・ウィオラス(ka6512)が続く。途上の安全を確保するためだ。
「ひー、人が雨粒みたいに空から降ってくるのー」
 もう一騎の方にはディーナ・フェルミ(ka5843)がすでに動きだしている。そちらのフォローにはサクラ・エルフリード(ka2598)が動く。
「このままどんどんいくぜぇ!」
 ボルディアはそのまま木々の伐採。これによってできた木々で壁を作り狙撃の備えとするのだ。どの程度の効果が見込めるかはわからないが……
「それこそないよりはよっぽどマシだろう」
「そういうことよね……私も手伝うわ」
 アルバとマリィア・バルデス(ka5848)がそれを手伝う間、ゾファル・G・初火(ka4407)は不敵に笑いながら前に一歩進み出た。
「殺気をbinbin感じるじゃん……zokuzokuするぜー」


「敵の潜伏場所がわからない上、夜に加えてこの木々か……状況が不利だな」
 アルトは走りながら、目の端に歪虚を捉える。アルトは焔舞を使用。速度を緩めることなく、踏鳴から散華を使用。駆け抜けざまに斬られた歪虚は、一度も攻撃を行うことなく両断された。
「さすが……」
 後を追うイツキはアルトの技に感嘆しつつ周囲の警戒は怠らず追従していく。
「いた……でも、そうか。どうしたものか……」
 グリフォンライダーの落ちた場所に到着する二人。ただし、グリフォンの方をどうするか決めかねる。
 人の数倍であるグリフォン。運んでいる際に攻撃を受けても対応できないであろう。
「……ひとまず、周囲の安全を確保します」
「そうだね。よろしく頼む」
 イツキに周囲の安全確保を頼み、アルトは兵士にヒーリングポーションを与える。
(グリフォンの方は……連れていくのは難しいか)
 傷が浅いわけではないが、とりあえず命に別状はなさそうだ。アルトはリペアキットを使い応急処置を施す。
「周辺に歪虚はいません……兵士の方だけ運ぶより他ないかと思います」
 戻ってきたイツキはどこか悔しそうな表情を浮かべるが、すぐに平静へと戻り言った。本当は連れて行きたいが、そこをレオンに狙われると対処の仕様がない。最低限の安全確保はした以上、グリフォンは下手に動かさずこのままにしておいた方がむしろ安全であろうという判断だ。
 こうして二人は兵士だけを連れ、用意されているはずのセーフポイントへと向かった。
「大丈夫! 傷は……浅くはないけど大丈夫なの!」
 ディーナの方もすでに落ちた兵士を確保。グリフォンと一緒にヒーリングスフィアを使用。
(いつどこに落ちるかもわからないからホーリーヴェールを使うこともできないの……)
 ホーリーヴェールで落下ダメージが軽減できればと思っていたが、難しそうだ。ただ、その落下ダメージそのものがあまり大きくないのは不幸中の幸いだろう。これはアルトとイツキが救助した兵士にも言えることだが、今回空の戦闘は低空域で行われている。そのため、落下によるダメージが少ないのだ。
 その間にサクラは周囲を警戒。
「……いましたね。こちらの邪魔はしないでください」
 隠されるように設置された歪虚を発見。歪虚も攻撃してくれば、それは盾で防ぎつつ剣で切りつけ、撃破する。
 背負ってそのまま駆け抜けようとしていたら兵士が攻撃されて致命傷とはいかなくともさらに傷を広げられていただろう。
「他にはいないみたいです。道中も確認していますし、このままいけるはずです」
 レオンによるこちらへの狙撃が無いことを確認。戦闘音が激しく響いている。上空での戦闘が激しくなってきたのだろう。また一人落ちてくるのを確認。狙撃によるものではなく、戦闘による影響と見える。
「いけませんね」
「急がないといけないの!」
 そう言ってディーナは倒れた兵士を担ぐ。グリフォンも連れて行きたいところだが、このあたりの判断は先の二人と同じ。確保した兵士を拠点に運ぶことが先決だろう。
 そうして戻ってきたディーナとサクラ。だが、拠点に戻ってみると新たな怪我人の姿があった。それは、血を流し倒れているゾファルだった。


「さぁ俺様ちゃんを殺してみろじゃーん」
 声を上げながら、一歩に歩と前に進み出るゾファル。スーパーオラツキモードを使用し、どこにいるかもわからないレオンを挑発しようというのだろう。
(囮になるとは聞いたが、やはりこれは危険ではないか……?)
 アルバはそう考えはしたが、今はセーフポイントの設置を優先する。
 さらに木々の合間に一歩二歩と入り込む。
「ん? おいおい……」
 小さなダメージ。見ると、話に聞く歪虚の姿があった。
「そんなんじゃ俺様ちゃんは殺せないじゃーん!」
 即座にカウンターバーストを発動、撃破。大したことはない。だが、本命のダメージはその直後に襲ってきた。
「っ……そうそう、こういうのを待ってたんだよ……!」
 今度は間違いなくレオンの狙撃だろう。大きくふらつくゾファル。
 なぜこれだけのダメージを受けるのか。銃が違うのか、弾丸が違うのか、それとも武器によるもの以外の差か。分かっているのは……
「ん……でも、ちょっと計算外だったじゃん……」
 カウンターバーストが不発だったということ。これは、ゾファルのスキルが届く範囲にレオンがいないということを示している。そうなると、現状ゾファルに対抗策は無い。狙われた以上このまま攻撃を受け続けるだけであろう。
「ゲームの舞台に立つ気もないか……ま、狙撃屋ってこういうもんじゃん」
 ボルディアを手伝っていたマリィアが危機を察知し向かってくるが、それをゾファルは制止する。
「せっかく楽しくなってきたんだし、邪魔すんのは無しじゃねーの?」
「……っ」
 そう言ったゾファルの意思……覚悟にこたえるように、マリィアは直感視を使用。視覚はもちろんのこと、それ以外のすべての感覚を振り絞る。
「……射線は見えた。おおよその方向は分かっているあとは……」
 一瞬、視界の端に光が見えた。距離はかなり遠いが、ハイペリオンを併用したアルコルなら届く。
「っ……このゲームは俺様ちゃんの負けじゃん……それじゃ、次のステージはよろ、し……く……」
 倒れるゾファル。重なるように、銃声が響いた。


「よし、かくれんぼは終わりだ! 今いくぜぇ!!」
 簡素なバリケードを飛び越えボルディアが走る。その前にはアルバ。木々を切り倒しながら進もうと考えていたボルディアだが、そんなことをしていたらアルバと距離が開けられて一人狙わせることになりかねない。
 仕方なしに、最低限枝葉を斬り落としていくにとどめる。そうすればマリィアからの射線も通りやすくなる。
「かなり遠い……なかなかに厄介な状況だな」
 狙撃、アルバが大きくのけぞり、後方に吹き飛ばされる。
「くっ……」
 すぐに立ち上がるアルバ。だが、一射で結構なダメージを受けた。無策に突っ込んでもダメージが重なるだけだろうか。
(だが、この距離ではマジックアローも使えない……距離を詰めなければ話にならないか……!)
 盾をしっかりと構え、覚悟を決めるアルバ。だが、ここで後方から状況を確認した仲間が合流してきた。
「厚き守りの加護を……ミレニアム!」
 サクラがミレニアムを使用してアルバを強化する。
「ゾファルのこと、頼んだわよ」
 マリィアが銃を構えて前進。
「気を付けて! これ以上けが人を増やしちゃダメなの!!」
 その間にディーナはゾファルにフルリカバリーを使用して回復する。リザレクションと使用を迷うところだが、ゾファルの方は決して軽い怪我ではないが致命傷ということでもない。リザレクションはより重篤な兵士に使えるように取っておくのが無難だろう。
 この状況を見ながらアルトは一瞬考えたが……
「私もレオンの方へ向かいます」
「……そうか。では、よろしく頼むよ」
 そう言ったイツキの言葉で、落下した兵士の救助を優先することを決める。狙撃がハンターに向いたおかげで上空の兵士の損耗は少し下がるはずだ。
 このまま救助を続ければいずれ手は空くようになるだろう。自身が手助けにいくのはその時でいい。
 尤も……
「それが必要かはわからないが」


 最初に接敵したのはアルバ。
「喰らえ、霊槍の一撃を!」
 槍を投擲して攻撃。だが、レオンはライフルで受け止めつつ、弾き飛ばし、すぐさま銃口を向ける。
 盾で防ごうとするが、間に合わず被弾。
「逃がしたりはしませんよ!」
 その後方からサクラが立て続けに攻撃を仕掛ける。やはりライフルを盾に防ぐ。堅い。だが、受けさせれば照準に要する時間を奪い、狙撃の精度を落とさせる、あるいは狙撃自体をさせないことが可能だ。
「私は側面を突きます。ご武運を」
 この間にイツキは迂回。正面から攻める他の味方に対し、側面からレオンを狙う算段だ。
 再度サクラからの攻撃を受け止めたレオン、その後ろからボルディアが攻撃。
「こっちもいるぜ! くらえ!!」
「援護する! マジックアロー!!」
 ボルディアをカバーするために、片膝をつきながらもアルバがマジックアローを使用。
「接近戦しかできないと思わないでください……」
 サクラは剣を投擲。剣の方はやはりライフルによってはじかれるが、それに合わせてボルディアが大ぶりの攻撃。だが、これはさすがに回避……
「これでどうだ!?」
「……そう、その木が邪魔だったの」
 いや、違う。その狙いは一本の木。それが倒れることで射線が開く。マリィアが照準を定める。殺気のようなものを感じたのか、その場を離れるレオン。木を盾にしようという考えか。
「逃がしゃしねぇ!」
「黒き鎖の束縛を……」
「魔力集束……グラビティフォール」
 だが、そこをボルディアの炎檻、サクラがプルガトリオを使用。加えてアルバが集束魔による範囲を集束させたグラビティフォールを使用。三人が、レオンをその場に押しとどめる。
「ヒンメルリッターの代わりに……私たちが可哀想なあなたを眠らせる……」
 マリィアの狙撃が命中。のけぞり、倒れそうになるレオン。ライフルを支えにしてこらえるが、この時生じた隙が致命的だった。
「私が為すべきは……」
 横合いから飛び込んできたイツキ。その手に持つは星神器レガリア。
「ただ、悪夢を此処で……断ち切ること……!」
 放たれたのは必滅の理。あらゆるものを貫く力を付与されたアンフォルタスの槍が、レオンを貫く。
 ただ、放っただけでもそれは一撃必殺の威力。それを連携によって態勢を大きく崩した状況で使われたのだ。耐えきれるものではない。
「さようなら、レオン・シュナイダー副師団長」
 砕けたライフルとともに倒れるレオンの姿を確認し、マリィアは銃口を下げた。


「こちらの方にはもう歪虚の姿は確認されません」
 イツキがそう報告する。
「こちらも見つけられない……今倒したので最後みたいだな」
 それを受けて、アルバも状況を告げる。
 レオンがいない状態になれば、隠された歪虚を探すことと、落ちた兵士の救助に専念することができる。
「分かりました……それでは、グリフォンの方を運ぶことにしましょう」
「了解だ」
 加えて、戦闘開始当初は断念していたグリフォンの保護もこの状況なら可能となる。
「こちらにお願いします。ヒーリングスフィアを使いますので」
「おう、分かったぜ」
 サクラの指示に従いボルディアが倒れていた兵士を運んでくる。セーフポイントではグリフォンと兵士がまとめて治療されている。
「結局、あの時つかなかった決着をつける機会はなかったな……もうそろそろ終わりかな……?」
 空を見上げながらアルトが呟く。
 恐らくはフリッツの乗る歪虚であろう。それがロルフの攻撃を受け敗走していく。大勢は決したと言っていいだろう。
 ヒンメルリッターは作戦通りに行動し、歪虚側は作戦の要であるレオンを失った。
 結果としてヒンメルリッターの受けている被害は予想よりかなり少ないものだった。
「レオンの狙撃によるダメージが一番大きかったみたいね……」
 マリィアの視線は、その狙撃をまともに受けていたゾファルに向けられた。まだ起き上がってきていない……と言っても、寝息が聞こえてくるので問題はなさそうだ。ディーナの治療が効いたと見える。
「……向こうに一緒に行ってくれないと、治療の効率が悪いの」
 そのディーナは、セーフポイントから離れたところにいた。木に体を預け、息をついていたエルウィンを治療していたのだ。
「いやいや、ちっとばっか事情があるんだよ。事情がな……」
 そう言うとエルウィンは立ち上がった。
「感謝するぜ。依頼のことも……レオンのことも、な」
「ちょっ、治療はまだ終わってないの」
 ディーナの制止も聞かず、足早にエルウィンはその場を去っていった。
 こうして、戦闘は終結した。
 歪虚側は被害甚大。それに対しヒンメルリッターの方は目立った負傷者などはいない。ハンター達の救助活動が迅速であったことに加え、ダメージ源であったレオンの討伐が大きかった。
 そのレオンだが、倒れた後には遺品のようなものが何も残っていなかった。これも歪虚となったものの宿命という奴だろうか。
「これで良し、なの」
 だから、というわけではないが……戦闘が終わり怪我人もあらかた後送した後、ディーナはレオンが消滅した場所に簡単な石塚を立てた。亡くなった人全てを悼みたいという思いを込めて。
「誰だって死んでから歪虚になりたいわけじゃない。仲間を自分の手で殺したいわけでもないものね……」
 そうつぶやいて黙祷をささげるマリィア。同行するハンター達もそれに倣うのだった。

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重体一覧

参加者一覧

  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 星を傾く者
    サクラ・エルフリード(ka2598
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 正義なる楯
    アルバ・ソル(ka4189
    人間(紅)|18才|男性|魔術師
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 闇を貫く
    イツキ・ウィオラス(ka6512
    エルフ|16才|女性|格闘士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/07/10 09:14:22
アイコン 相談用の卓的な場所
イツキ・ウィオラス(ka6512
エルフ|16才|女性|格闘士(マスターアームズ)
最終発言
2019/07/11 18:50:32