【陽光】陽だまりの国

マスター:のどか

シナリオ形態
イベント
難易度
やや難しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2019/08/01 15:00
完成日
2019/08/30 01:46

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 大きなアタッシュケースを2つ携えて帰って来た燕尾服の男――ダンテリオは、主人の傍らに立つ存在を見て眉を潜めた。
 彼は割れたモノクルを新しいものに嵌めなおしてから、いつもの笑顔で尋ねた。
「おや……どちらでお拾いになってきたのですか?」
「拾ってなんかないわ。ついてきたのよ」
 ジャンヌ・ポワソン(kz0154)は王座に深く腰掛け、佇む少女を同じように一瞥する。
「ア……アメリア、です。しばらく置いていただけませんか……?」
 先のゲストハウスでの件でジャンヌには慣れた彼女だったが、まだ見ぬ歪虚の存在には流石に不安を隠せないようだった。
 オペラホールのような広い謁見室では、白い肌の巨人――プエル=プルスたちがくねくねと良く分からない踊りに興じている。
 ダンテリオはコキリと首を鳴らして視線を外した。
「それを決める権限は私にはございません」
 その言葉が意図するところを理解して、アメリアはジャンヌへと視線を落とす。
「……好きにしたらいいわ。私の国は望む者を拒まない」
「あ、ありがとう」
 少女が深く頭を下げる。
「それでは、アイをお与えにならなければなりませんね」
「いえ、あの……っ!」
 ダンテリオが迫ると、アメリアは肩を震わせて後ずさった。
「私……その、あなたの“アイ”というものを受けるつもりはない。でも、私は私の意思で……ここに来たつもり」
 執事は意味が分からないといった様子で首をかしげる。
 その動作にどこか圧を感じて、アメリアは縋るようにジャンヌを見た。
「……好きにしたらいいわ」
 そして、望んだ言葉を得られて胸を撫でおろす。
 ジャンヌの相貌がダンテリオを見上げた。
「それで……用事は済んだのかしら?」
「ええ、滞りなく」
 ダンテリオはアタッシュケースを広げて見せる。
 中には大量の家具のミニチュアと同時に、大量の火器のミニチュアが整頓されて詰め込まれていた。
「武器もずいぶん調達できました。メイドたちにも持たせましょう。それから、いくつか面白いものも持ってきたので城の周りに接地してみましたよ。外出なさる際はお気を付けください」
 ジャンヌがクエスチョンマークを浮かべたが、すぐに興味をなくしてミニチュアへと視線を移す。
「あなたの城よ。好きに飾ってちょうだい」
「ええ、それはもう」
 ダンテリオが手を叩くとメイド人形たちがぞろぞろと姿を現す。
 彼女たちはミニチュア家具を抱えると城のあちこちへと散って行った。
 
 しばらく経ってから、ダンテリオが頃合いを見計らったかのように指を鳴らした。
 途端に辺りに備えられたミニチュアが本物の大きさの家具に姿を変えて、城中を一瞬で生活・調度品に溢れるインテリアで着飾った。
「すごい……」
 魔法のような光景にアメリアは目を輝かせる。
 そんな彼女の様子をダンテリオが無表情で見下ろしていた。


 夢幻城を遠方に見上げる森の中で、現地に到着したハンター達は監視任務の依頼チームと合流していた。
 監視チームは交代でこの地に滞在しながら、城に目立った動きがあるたびにソサエティへと報告を行っている。
 そこから先日、城へジャンヌと共に1人の民間人が帰還したという知らせが入った。
 事実関係から彼女がおそらくアメリアという少女であることを認識すると、さっそく現地への派兵部隊が組織され、今に至る。
 部隊の目的は第一にアメリアの安否を確認すること。
 第二に彼女に接触を試みること。
 そして第三に彼女を救出すること。
 これが彼女の両親からのオーダーだった。
 
 分かっている限りの情報共有を済ませ、部隊は出発する。
 かの城は、これまでの資料とは全く違った装いで、遥か頭上にそびえていた。


 小さな爆発音と振動が山肌を伝わって城の中までこだました。
 洗濯物を干していたアメリアは、遠巻きに山の裾野に上がる煙を見て慌てて屋敷の中へと飛び込んだ。
「おや、思ったより早く作動しましたね」
 主のもとへ駆け込むと、そこには窓辺から嬉々とした表情で外を眺めるダンテリオの姿。
 先ほどから何度か続いた爆発音は、狼煙のような煙を数本、空へと上らせていた。
「あれが“面白いもの”なのかしら」
「ええ。そのひとつでございます」
 ダンテリオはクツクツと笑いながら、ジャンヌへと向き直る。
「さて、いかがいたしましょうか。連合軍とやらは邪神退治に忙しいところ、おそらくやって来たのはハンターかと存じますが」
「……任せるわ。陽だまりを脅かすなら、追い払って」
「承知いたしました。武装メイド人形たちと……そうですね、近ごろ発生するようになりました巨人たちの力もお借りしても?」
「くれぐれも“駒”のようには扱わないことね」
 主人の言いつけに恭しく一礼をして、ダンテリオはするりと下がる。
 残されたジャンヌは、窓の外で新たに上がった煙を眺めてからアメリアへと視線を移した。
「怖い事なんてないわ。貴女がここにいたいなら、私が守ってあげる」
「そんな、私は……」
 アメリアは怯えた様子で言葉を詰まらせる。
 このままここにいて自分にできる事はあるのだろうか。
 無理をおして来たというのに、できているのはお茶の相手と暇つぶしの相手くらい。

 きっと自分のせいで来てくれたのだろうハンターたちにも、自分のせいで戦うことになる目の前の彼女にも、ただ迷惑をかけているだけの存在なのではないだろうか。
 毎晩、眠れずに頭の中をぐるぐると駆け巡る想いが、胸の内を圧迫する。
 そして痛感するのだ。
 自分には何の力もない――と。
「アルバートは……あなたを守ったのよね」
 彼ならどうするだろうか。
 ほんの数日だけ兄のように慕った横顔を記憶の中に辿る。
 ジャンヌは胸の傷をなぞりながら目を伏せた。
「……そうなのかしらね」

リプレイ本文


 大きな音を立てて炸裂する地面。
 舞い上がる噴煙と、飛び散り降り注ぐ湿った土の塊とが、山を登るハンターらの歩みをせき止めた。
「爆発物系のトラップ!? なんつーもん仕掛けてやがる!」
 吸い込んだ噴煙で咳き込みながら、ボルディア・コンフラムス(ka0796)は眉間に皺を寄せた。
 足元の異変に気付いた瞬間に身構えたおかげが、傷は爆弾の破片によるちょっとした切り傷程度。
 これが覚醒者でないただの人だったら、1撃で粉みじんだろう。
「飛べるヤツは空から行くぞ。精々派手にやりゃいいんだ。燃費を気にする必要もねぇ」
 アーサー・ホーガン(ka0471)がマインドダイブするルクシュヴァリエ「ウィーガル」がふわりと浮き上がる。
 呼応するように、飛行特性を持った幻獣や機動兵器が一気に空へと飛び上がった。
 罠があるなら踏まなければいい。
 それは自明の理だ。
 その一方で地上を征くしかない者たちは少し頭を悩ませる。
「悩むよりは勧め、じゃろうな。なに、おぜん立てくらいはしてくれよう」
 ミグ・ロマイヤー(ka0665)が息巻いて、ダインスレイブ「ヤクト・バウ・PC」のブレーキペダルを踏み込む。
 脚がどっしりと開くとともに射撃姿勢を取った機体から、2本の砲身がまっすぐ山肌を向いた。
 強烈なバックファイアを伴って射出された砲弾は、追加爆薬を施した大型榴弾「グランドスラム」。
 着弾と共に弾けた爆炎と爆風が山の傾斜を駆け抜ける。
「そうれ、くはは。陽だまりの国は燃えているか?」
 ミグ回路で次々と残弾を生成しながら、段々状に山肌を駆け上がる絨毯爆撃に、味方のハンター達からも思わず冷汗が垂れる。
 まだ汚染されきっていない緑の山は、みるみる焦土へと姿を変えていった。
「全部とは言わんが、かなりマシにはなるじゃろう。それと100m地点までは対応できんから、そこまでは身体張って頑張るんじゃな」
「お、おう、そうだな……チクショウ、やってやる!」
 ボルディアは気圧されたようい息を飲んでから、気を取り直して戦意をむき出しにする。
 爆弾はウザいが、進まないことには刃は届かない。
「そこで首洗って待ってろダンテリオォ!」
 彼女は、この城に居るであろう男の顔に唾を吐きつける勢いで傾斜を登り始めた。
 彼女を先陣に、数名のハンター達が列を成して山を登る。
 地雷――というからには、1回爆発したらその場は終わりだ。
 誰かが走った足跡にさえ続けば、少なくとも2次被害の心配はない。
「少々心苦しいところはありますが……頼らせていただきます」
「おう! 俺は、敵からだろうが借りた金はキッチリ返すタイプなんで――」
 言葉の途中でボルディアが爆炎に包まれる。
 そのたびにアティエイル(ka0002)は、申し訳なさそうに胸元を押さえた。
「アティの嬢ちゃんよォ。それじゃ先が思いやられるなァ」
 歩兵隊の殿からクツクツと笑った柊羽(ka6811)に、アティエイルは凛として息を吐く。
「柊羽様、何度でも言いますがその呼び名はお辞めを。どうか呼び捨てで」
「ァン? じゃァアンタも様ァ辞めな。そしたら考えてやるがなァ」
「それは……承諾いたしかねます」
 眉をひそめたアティエイルの返答に、彼は再び笑いを湛える。
 それが余計に彼女の胸の内にもやもやとしたものを滾らせる。
 彼のそういうところが怖いのだ。
 怖いのは彼自身ではなく、それによって引き起こされるであろう結果である。
「お節介なのは理解しているのですけれどね……」
 彼女の気を微塵も理解していないだろう柊羽は、楽し気に首の節を鳴らす。
 
 ミグの爆撃を眼下に、空のハンター達は同じ目線に聳える夢幻城の姿を臨む。
 この距離でも感じる強烈なプレッシャー。
 あの城を支配する歪虚の強大さが、じっとりと肌を這いまわる。
 不意に、数多の銃声が聞こえてハンター達は隊列を散開させる。
 城の正面。
 枯れ木が並ぶ開けた地点から放たれる、巨人たちの対空砲火だった。
 軽々と携える大型の機関銃やロケットランチャー。
 機動兵器用と思われるアサルトライフルやガトリングガンが、こぞって空へと放たれる。
 やたらめったら、というわけではなく途切れのない断続的な牽制砲火。
 壁のように並んだ統率の取れた陣形。
 それを認めただけで、指揮官がいることを理解する。
「――だと思ったのよね」
 敵陣の中にやたらと目立つ赤い服装を見つけて、カーミン・S・フィールズ(ka1559)は呆れたとも安堵したともとれる笑みを浮かべた。
 グリフォンの周囲を舞う風が鉛玉の雨をうまい具合に弾く中、彼女はキリッと眉を吊り上げて、魔導マイクを引っ張り出す。
『こらー、来るもの拒まずはどしたぁ!』
 赤い燕尾服の男――ダンテリオは、銃声の中ではたと声に気づいて空を見上げる。
 カーミンは煽るように矢継ぎ早に声を張る。
『これじゃ、気軽に遊びにこれないじゃないのォ! せっかくお菓子やお土産持ってきたのにィ!』
「とは申されましても、この状況では――でございますね」
 ダンテリオは笑ったまま、おどけたように肩をすくめる。
 彼のモノクルには、少しずつ迫ってくる巨大な爆炎の輝きが反射していた。
「ま、確かに? とはいえ、なんとなくは分かったわ」
 マイクを口元から話、カーミンは鼻を鳴らす。
 彼らは、こちらが敵対存在であるとわかったら対処するよう言いつけられているのだろう。
 それ自体はこちらも望むところ。
 アーサーも言っていたが、精々派手にやるだけだ。
「聞く耳なしってわけじゃないこともね」
 彼女が手綱を引くと、グリフォンが急降下を始める。
 そして設置するなり、鞍から飛び降りた。
 流石に敵陣目前まで地雷原ということはないだろう。
 同様に、アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)もグリフォンごと地上へと降りる。
「何も考えずに暴れればいいだけなのは、ある意味気楽だな」
 無感情気味に呟いてから、彼女は星の力を呼び起こす――超覚醒。
 溢れる膨大な正のマテリアルに、巨人兵たちの目の色が変わる。
 そこから巨人の首が飛ぶまでは、瞬く間の出来事だった。
 並んだ敵の一団をまとめて撫で切るように一閃。
 さらに大きな肩を飛び越えて、1体の喉元に一閃。
 歪虚の肉壁も、疾影士たる彼女にとっては意味を成さない。
 単身、敵陣の中に切り込んだところで血振りをすると、1mはあろう大きな首がひとつ山肌を転がって、グランドスラムの爆炎に消えた。
「でかいだけ、ならわけはない」
 周辺の巨人たちが猛るように敵意をむき出しにして、担いだ銃口を一斉に彼女へ向ける。
 だが、彼女の動きを捉えられる者はいない。
「ナイスだ。これなら、上は上でかく乱するだけ」
 鞍馬 真(ka5819)がソウルトーチの炎を纏うと、ワイバーン「カートゥル」が敵前線の上空を一気に飛び抜ける。
 突然現れたアルトという存在に注意を引かれた敵が、空の炎へも注意を引かれて、意識が散漫になっていくのが目に見えて分かった。
「敵の陣はところどころに綻びがある! ピンポイントで狙えば、突破は難しくないはずだよ!」
 注意を惹きつけながら、真が上空から見た敵の布陣を報告する。
 穴があるのは敵将が集団戦に慣れていないせいか……?
 布陣に僅かな疑念が沸き起こるが、今はとにかく戦うしかない。
 そこで、ダンテリオが手を掲げる。
「地上はメイド部隊に任せるよう。巨人たちは対空砲火を続けてください。いずれ敵の後続も到着しますよ」
 そう采配を振るうと、巨人たちは分散した意識を空へと集中する。
 一方、戦場のあちこちからわらわらと集まったメイド人形たちが、地上のアルトやカーミンのもとへ迫った。
「メイドに用はない」
 グリフォンが羽ばたき、アルトは囲まれる前に空へと飛び立つ。
 メイド達の銃弾が追撃するが、グリフォンが張った風の結界がそれを阻んだ。


 正面の戦火が散らされ始めたころ、別働のハンター達は山の反対側から城の後方へと迫っていた。
 先にこの地に落ちた夢幻城に潜入した際、正面下層とは別に侵入できた後方上層の侵入口。
 城ともどもいつの間にこれだけの修復が成されたのか、そこには強固な城壁が築かれていたものの、ハンターの身体能力をもってすれば多少の苦労で乗り越えられるものだった。
「辺りに歪虚の気配はありませんね……どうやら、正面の陽動はうまくいっているようです」
 Uisca Amhran(ka0754)は周囲を見渡しながら、小さく安堵の息をつく。
 降り立った庭園は、造りこそ端麗に整えられているものの草木は枯れたまま荒れ放題。
 汚染区画の中では正しい姿なのだろうが、それでもまだ手入れが行き届ききっていない様子が手に取って分かる。
 遠巻きに断続的に聞こえる爆発音は、おそらく陽動班のものだろう。
 ビリビリとした振動はこの辺りまで伝わっており、これだけ響けば城内戦力の大半は出払っていると考えられそうだ。
「アメリアはジャンヌの傍にいると予測できますが……さて、どの辺りから攻めましょうか」
 Gacrux(ka2726)は城内に漂う気配を追おうとする。
 だが、流石に敵の懐どころか腹の中だ。
 城そのものを覆う強力な負のマテリアルの感覚から、個人の居場所を特定することは難しい。
「唯一の正のマテリアルであるアメリアも流石に感じ取れないわね……傍に近づけばまた違うのでしょうけれど」
 リアリュール(ka2003)も同様に難色を示す。

 以前までのジャンヌ・ポワソン(kz0154)であれば、倦怠感の強弱から居場所を特定していくこともできた。
 しかし今の彼女にそれを求めることもできない。
 ハンターたちもそれを分かっているからこそ、慎重にならざるをえないのだ。
「やっぱり……玉座の間に居るんじゃねぇかな」
 そう口にしたのはジャック・エルギン(ka1522)だった。
「疑うわけではなく、根拠を聞いても良いかな?」
 尋ねるキヅカ・リク(ka0038)、ジャック自身も煮え切らない様子で首をかしげる。
「悪いが根拠はねぇ。だが、仮に城内が様変わりしてようと、玉座の間はそうそう動かせねぇんじゃないかって思うんだ」
 職人としての勘なのかもしれない。
 ひとつの形を構成するものの中で、その他をいくら変えようとも、最も重要なパーツの位置はそうそう変えることができない。
 バランスを損ねてしまいかねないからだ。
「一理はあるかもしれないわね。この城へ戻って来た彼女も、そこに居続けようとしたのだし」
 リアリュールが頷く。
 少なくとも彼女があの場所を居心地のいいもの、と感じていたのは確かなことだろう。
 マリィア・バルデス(ka5848)が銃の弾を確認し、セーフティを解除した。
「方針が決まったのなら行きましょう。あまり時間を掛けたくはないわ――目標のためにもね」
 その言葉に引きつられるように、ハンター達は場内へと駆けこんでいく。
 
 城内の様子は、かつてこの城を訪れたことがある者でもスムーズな侵攻ができないほどに様変わりしてしまっていた。
 以前は無かったような階段や部屋。
 廊下の長さはもちろん、その装飾まで。
 以前までの夢幻城がどちらかと言えば「神秘的」と比喩するのであれば、今の夢幻城は「荘厳」というべきだろう。
 人が触れてはいけない世界に足を踏み入れたかのような重々しさと威圧感。
 一方で構造そのものに複雑さはなく、少しずつだが、確かにかつて玉座があった方角には進んでいるように感じた。
「流石に、全く敵がいないってわけにはいかないか」
 廊下を巡回していたメイド人形の集団を、瀬崎・統夜(ka5046)の銃撃が襲う。
 脚が止まった彼女たちを他のハンターが一気に片付けると、先の曲がり角にするりと隠れる。
 音に惹かれたらしい別のメイド達が廊下を駆けていくのを見送って、ガクルックスがハンドサインで安全を示す。
「メイドくらいしか見かけないのが好都合ですね。タフな怠惰相手ではこうはいかないでしょうから」
 彼は警戒するように周囲を見渡しながら口にする。
 その時だった。
 ぬるりと廊下の先から大きな白い影が姿を現す。
 統夜が咄嗟に蒼機砲を構えたが、リクがそれを制した。
「まって。少し様子を見て欲しい」
 白く、巨大な影――プエル=プルス。
 ジャンヌが街や村で生み出した、元人間の巨人型歪虚だ。
 プエルはのそり、のそりと廊下を歩いてくると、ハンター達の姿をじっと見つめる。
 そのまま不思議なものでも見るかのように首をかしげて、ゆったりと傍を通り過ぎて行った。
 その視線は、見えなくなるまでこちらを見つめたままだったが。
「はぁっ――なんなんだよ、アイツ」
 張り詰めた糸が切れたように、統夜が大きなため息をつく。
「ジャンヌの“アイ”を受け入れた人間のなれの果て……というところかな」
 リクはまるで自分自身に語り掛けるような間の取り方で答えた。
 ウィスカは興味深げに、彼が去って行った後を見つめる。
「襲ってはこないのですね」
「私たちが敵意を向けなければ、おそらくは」
 マリィアがやや含みがあるように答えた。
「……私には、彼らがここに“生きている”とはとても感じられないわ」

――この陽だまりに生を得た彼らをよく見て。彼らは今、ここにいる。

 潜入班が分かれる直前にカーミンから投げかけられた言葉だ。
 言いたいことは分かる。
 だがマリィアにとって、それは理解と程遠い。
「なぜ、あの姿なのでしょう……?」
 ウィスカがぽつりとつぶやいて、リアリュールがはたと振り返った。
「どういう意味?」
「彼女ほどの力を持つ歪虚なら、人を人に近い姿のまま歪虚化することも可能なのでは――と思いまして」
 その疑問に、仮定であろうとも答えられる者はいなかった。
 それは彼女が怠惰だから、造形も怠惰に定めた――と真っ先に思いもした。
 しかし、かつてポルトワールのダウンタウンで見せたプエルへの執着心と矛盾するようにも感じる。
「理由は分からないけれど……考えられるのは人に“似せなかった”。もしくは“似せられなかった”、ということ?」
「どちらにせよ、疑問は深まるばかりですが……」
 リアリュールとウィスカの思考はそこで一旦限界を迎える。
 だが、それと同時にジャックが握りしめた拳を振り上げ、侵攻停止の合図を示した。
「……少なくとも、たぶん玉座の間はビンゴだぜ」
 目の前に大きな観音扉が迫る。
 ハンター達は武器を握りしめ、深く息を吸い込んだ。


 巨人兵の銃撃が山を登るハンター達に降り注ぐ。
 百鬼 一夏(ka7308)のコンフェッサー「ホットリップス」が銃撃の雨の中を猛進すると、担いだ魔導砲を打ち放つ。
 爆発がメイド人形を粉みじんに吹き飛ばす。
 ホットリップスはそのまま盾を構えて敵陣へと突貫した。
 大型のCAMの突撃に巨人兵が反応するが、その視界を同色の風船が遮る。
 空中から舞い降りたフィロ(ka6966)の機体が放ったデコイバルーンだった。
 巨人兵たちはCAMとバルーンを正しく認識しているようだったが、メイド人形たちは突然増えた敵の反応に右往左往する。
 人形は放っておいて、フィロは巨人兵に機体の拳を振りぬく。
 大きく仰け反った巨体をホットリップスが盾でかち上げて、そのまま勢いで突破した。
「雑魚をいくら集めても無駄だって教えてあげますよ!」
 一夏は理解していた。
 敵に戦力を整えられたのは、おそらく自分たちが同盟屋敷で敵の撃退に失敗したからだ。
 これは陽動であると同時に、失敗を取り返すための戦いでもあった。
 
「大丈夫? お怪我は無理しないで治してあげるのっ♪」
 隊列最後尾をやってきた白樺(ka4596)は、すでに混戦状態の戦場にようやくたどり着いて杖を振り上げた。
 が――カタカタと音を立てて駆けてくるメイド人形を見て、顔からさっと血の気が引く。
「え……巨人さんがお人形遊びしてるんじゃないの? 動く……の……?」
 頬を引くつかせて固まる彼女だったが、メイド人形はお構いなしに駆け寄り、飛び跳ね、拳銃を構える。
 白樺はずっこける勢いでその場から飛び退いた。
「ひぇぇ動く人形なんて聞いてないのっ!」
 涙目で駆けずり回る背後を、人形が放つ銃弾が飛び交う。
 それでも通りがけにちゃっかり回復術をかけて回る、彼女はたくましい。
 
 輝羽・零次(ka5974)のワイバーンが、砲弾のような突撃で地上に群がる人形を蹴散らす。
 そのまま上空に上がって地上を見下ろすと、眉間に深い皺を刻んだ。
「どんだけの戦力をため込んでんだ……これで全部ってわけでもないんだろうな」
 ふと意識が向くのは聳え立つ城の方。
 いったいどれだけの戦力をおびき出すことができているのだろうか。
 見下ろす戦場をトリプルJ(ka6653)のルクシュヴァリエが飛び抜けた。
「どこか高いところを取りたいもんだが……行けるか?」
 視界に収めるのは夢幻城の城壁。
 飛行でメイド達の頭上は楽々に飛び越えていけるものの、城壁を目前にすると巨人兵の滞空砲火が彼に集中した。
「おっと!」
 慌てて回避して、くるりと機体を反転させる。
 もう一度抜こうと試みても、結果は同じだった。
 ダンテリオのモノクルが光る。
「そう簡単に城の方へは抜かせませんよ。ええ」
「ま、だろうな」
 クセで帽子を正そうとするが、機体の手は頭の周りの空を掴む。
 それでもつばを持ち上げる仕草で、Jは眩しそうに太陽を見上げた。
「せいぜいお天道様に気を付けるこった」
 次の瞬間、太陽光に3つの黒点が浮かび上がる。
 否――徐々に影を大きくしていくそれは、3機の機動兵器。
 流星のごとくはるか上空から降り注ぐと、ダンテリオを中心に三方へと勢いよく着地した。
「背後に――」
 背後に飛び降りた機体に、ダンテリオはすさまじい反応速度で振り向き、引き金を引く。
 ルクシュヴァリエがシールドで銃弾を受け止めると、ダイブする星野 ハナ(ka5852)がニコニコと彼を見下ろした。
「なぁんで下から上がらきゃならないんですぅ、飛べるのにぃ」
 別方向から飛び降りた2機目のルクシュヴァリエは、傾斜を蹴ってダンテリオの小さな身体へと飛び掛かる。
 ゴウと音を立てて迫る白虎の徒手を、敵は大きく跳躍して回避した。
 拳は地面に突き刺さり、めくれた地面が飛び散る。
「ハハハハッ! ずいぶん仲間を引っ掻きまわしてくれたようだが、ここからはそうはいかんぞ!」
 豪快に笑うルベーノ・バルバライン(ka6752)に、ダンテリオは一度大きく距離を取る。
 そもそも、それが敵の交戦圏だ。
 間に数体の巨人兵がガトリング砲を構えて立ちはだかったが、零次のワイバーンが隊列に突撃した。
「邪魔させねえよ! 退いてろ!」
 ワイバーンの突撃を巨人たちはシールドで耐え抜く。
 しかしトリガーから手が離れたその一瞬は、ディーナ・フェルミ(ka5843)にとっては十分すぎる時間だ。
 強襲した3機目のルクシュヴァリエ。
 振り上げた十字槌がまばゆい光を吹き上げる。
「王位をめざす歪虚の一派なんて……叩き潰してあげるの!」
 放たれた光は敵の列を飲み込んで、そのまま山肌から空へと突き抜けた。
 巨人たちは全身を焼かれながら、疲労困憊した様子で砲身を構える。
 乱れ飛ぶ銃弾。
 機動兵器たちは盾でそれをやり過ごす。
 退きはせず、束の間の接近を維持し続けるために。

「お? 魁とは華だなァ」
 敵陣深くに突貫したルクシュヴァリエ達の姿に、柊羽は陽気に口元を歪める。
 その頭上から、巨人の身体が影をさした。
「柊羽様、よそ見をなさらないでください」
 アティエイルのファイアアローが、彼を覗き込んだ巨人の顔面を撃ち抜く。
 よろめいた敵の膝に、柊羽の光斬刀が突き立った。
「よそ見じゃねェよ。状況を視てるってもんだ」
「それなら、状況を見ながら目の前も見てくださいね」
 膝をついた巨人をライトニングボルトの稲妻が貫く。
 立て続けに剣閃が走り、巨人は大地に崩れ落ちた。
「俺が見てないときは、嬢ちゃんが見てくれてるんだろ?」
「その呼び方は――」
 反射的に言い仕掛けて、アティエイルは口を閉じる。
 背中を任せてくれている――と言うことなのだろうか。
 柊羽は巨人たちの足元を駆け回るようにして、敵陣へと深く切り込んでいく。
 アティエイルの心労なんて知ったこっちゃないのだろうが、それでも、幾分彼女の心は軽くなったような気がした。
「大丈夫でいられるよう……私が立ち回ればよいのですね」
 稲妻が閃く。
 
 友軍が敵将に突貫を仕掛けたことで、敵勢の指揮系統には乱れが生じていた。
 ダンテリオの周辺であればまだまだ彼の指揮圏ではあったが、戦場の末端に進むにつれ、ほぼほぼ巨人やメイドの個々の判断で乱戦を維持するだけの状態になっている。
「軍でない個なら、いくらでもやりようはあるもんだ」
 上空から強襲するアーサーは、ルクシュヴァリエが放つ長大なマテリアル刃で敵陣を薙ぎ払う。
 そして捉えられる前に上空へと急速退避し、敵に的を絞らせなかった。
 効率は決して良くないが、それを求める依頼じゃない。
 戦況が長引く分にはこちらの得なのだ。
「退避籠城されちまうのもマズいんでな。墜ちない程度には意識してもらうぜ」
「そういうこった。どうせ注目を集めるなら、美女の視線のが嬉しいがな」
 Jのルクシュヴァリエも、上空をホバリングするように移動しながらミサイルランチャーを地上めがけて射出し続ける。
 立ち上る爆炎が新たな混乱を生み、混乱が生じれば警戒に隙が生まれる。
 そこへグリフォンの背に跨るアルトが飛び降りた。
「散って来たな」
 短く口にして、彼女は身体の内から星のマテリアルを解き放つ。
 「節制」――強烈な正のマテリアルが彼女を包み、周囲のメイド人形を中心とした歪虚たちの意識が一斉に彼女へと集まる。
 我先にと駆け出し、飛び掛かる歪虚の群れ。
 織り成す敵を前にして、アルトは眉ひとつ動かさずにただ刃の切っ先だけを閃かせる。
 薄れていく感情と引き換えに、彼女が翔ける後には霧散する屍だけが築かれるのだ。

「流石に芳しくありませんね。一度陣を整えるべきでしょうか」
 クツリと笑ったダンテリオだったが、その笑みを遮るように魔斧の連撃が襲い掛かる。
 ダンテリオは強固な腕で受け止め、受け流すと、刃の主の顔を覗き込んだ。
「やっと追いついたぜ……なぁ、首は綺麗に洗ってあるか?」
 ボルディアが魔斧にギリギリと力を込めながら笑う。
「おやおや。私めのような首でも価値がございますなら」
「地雷原突っ走ってきてやったんだ。価値がねぇと困るな」
 ダンテリオは分厚い刃を振り払ってから、飛びのきつつ至近距離で拳銃を乱れ撃つ。
 ボルディアは銃弾を盾で受け止めると、そのまま逃がさぬように距離を詰めた。
 ダンテリオの後方からまばゆい光が走る。
 その背には、ハナのルクシュヴァリエが待ち構えている。
「嫉妬と怠惰が人間領域に歪虚の帝国を作ろうとするのを見逃すぅ? 守護者舐めんな。お前ら絶対ブッコロですぅ!」
 ハナの恫喝が響き、同時に五色光符陣が戦場で花開く。
 強烈な閃光に目がくらみ巨人兵たちの手元が狂った。
 ガトリングやアサルトライフルの弾が堅牢な城壁に黒ずんだ痕を残す。
「おっとぉ、何も考えずに撃っているとお城が壊れちゃいますよぅ?」
「流石に銃弾で崩れるほどの強度にはしておりませんが――」
 挑発的なハナの言葉に、ダンテリオはふと声のトーンを落とす。
 そして冷たい無機物の瞳で、肩越しにルクシュヴァリエを見上げるのだ。
「――あの城の価値をはかれないことがどれだけ愚かであるかは、お見知りおきいただきませんと」
 彼の笑みの底から、冷たい殺気が顔を覗かせる。
 咄嗟にボルディアが踏み込んだ。
「俺もそういうのは疎いんでな。教えてくれるんなら、聞いてやってもいいんだぜ」
 激しい斧の連撃がダンテリオを襲う。
 ただ今、敵の矛先が見えたような気がした。
 それを振るわせないことが彼女の狙いだ。
 ダンテリオは斧のひと振りひと振りを冷静に受け流しながら、カートリッジが空になった拳銃を放り捨てた。
「こちらなら、なかなかに貫通力がありますよ」
 ついで懐から抜き放ったのはポンプアクション式のショットガン。
 トリガーと共に放たれたのは散弾ではなく、分厚い鉄板をも貫く鋭い徹甲弾だった。
 

 エントランスに散らばったメイド人形の残骸が音もなく霧散していく。
 ふわりと舞うマテリアル粒子の中で、統夜は構えた蒼機砲を小脇に引き寄せた。
「こんなもんか。おかわりもなさそうだ」
 ハンターらが受けた熱烈な歓迎は、この扉の先が城の歪虚にとってとても大切な場所であるということを暗に示していた。
「行こうぜ。また増援があるとも限らねえ」
「そうだな。ケツ持ちは任せておけ」
 扉の片方に手を掛けたジャックに、統夜は頷いて周囲の警戒に務める。
 もう片方の扉にはガクルックスが手を添えると、ジャックと無言で頷き合って、同時に押し開いた。
 
 扉の先をひと目見た感想を述べるなら「コンサートホール」だろう。
 円形の部屋をとり囲む数層のバルコニー。
 高い高い天井には、鮮やかな色合いで青空が描かれていた。
 青空の下で、数体のプエル=プルスが思い思いの時間を過ごしている。
 そんな部屋の最奥に、城の主――ジャンヌ・ポワソンは、優雅に腰をかけていた。
 
「そう……お客はあなたたちだったの」
 艶やかに口にしたジャンヌを他所に、意識はふと隣の少女へと向く。
「アメリア!」
 空間に反響するリアリュールの声。
 その言葉に、メイド服姿のアメリアが息を飲んだ。
「どうして――」
「ご両親が心配されてるから、無事を確かめに来たの。私たちも気になっていたし……会えてよかった」
 リアリュールは柔らかな笑みで胸をなでおろす。
 対照的に、アメリアは服の胸元をぎゅっと握りしめた。
 息苦しそうなその姿を見て、ガクルックスが小さく息を吐く。
「経緯は聞いています。あんたに思うところがあるであろうことも、理解しているつもりです。だが、手に負える相手じゃない」
 ガクルックスはびくりと彼女が肩を揺らしたのを見て、次の言葉に力を込めた。
「家族のもとに帰りなさい」
「それは……」
 アメリアが戸惑うように視線を泳がせる。
 そのままジャックが言葉を引き継いだ。
「強引に連れ帰ってもいい。だがそうしたらきっと戦いになる。俺はやるぜ。同盟とそこに生きる人を守るのが、俺の生き方だ……だが、アンタが自分の意思で立ち去るなら戦いを避けられるかもしれない」
 彼の意識はいつしか、アメリアから玉座のジャンヌへと移っていた。
 ジャンヌはハンターとアメリアの語らいを静かに聞いている。
「アメリアさん。先の言葉の通り、ジャンヌさんのアイは受け入れていないのですね」
「え……あ……はい」
 ウィスカが尋ねると、アメリアは静かに頷いた。
「それはどうしてですか?」
「えっ……?」
 アメリアは突然の問いに言葉を詰まらせる。
 そして答えを探すように、視線を下げた。
 時間が必要だと感じたウィスカは意識をジャンヌへと向ける。
「絶望している人たちを歪虚に変えて――広義的に言えば救っていると聞きました。そんな貴女の考えに、私は素直に興味を持っています」
「……そうなの」
「はい。方法は違っても、いずれは同じように人々を救うことができる機関をつくりたいと――だからこそ、そのために多くのモノが必要であることを知っています。あなたの陽だまりが……彼らが暮らしていくために、必要なモノは何ですか?」
 ジャンヌは言葉の意図をはかりかねながら、部屋の中を闊歩するプエルたちに視線を向ける。
「……歪虚には何もいらないわ。居場所とマテリアルさえあればその形を保つことができる。飢えも病もない。私たちは存在していることが糧なのだから」
「それは……考えようによっては、ひとつの救いの形かもしれませんね。でも――」
 ウィスカは、およそ人ではない姿のプエルたちを見る。
「どうして、彼らから名と姿を奪ったのです? 貴方ほどの力ある歪虚なら、人の姿を保ったままでも歪虚にできたはず」
 そういう歪虚はこれまで沢山見て来た。
 人の姿を保ったまま、存在と力だけが歪虚となった者たち。
 ジャンヌは寂しそうに目を伏せて答えた。
「……それは、彼らに望む未来が無かったから」
「望む未来?」
「魔神の血は、命あるモノを有るべき、望むべき存在へと変える。だけど望むものが無ければ、彼らはブランク――“無垢な子供(プエル=プルス)”として生まれ落ちることしかできない」
「魔神の血……それは、お前の血のことか?」
 リクが言葉を挟むと、ジャンヌは肯定とも否定ともつかない表情で息を吐く。
「魔神の血は私を歪虚に変えた……そして私の中に今も流れている。いえ、正確には流れていた。一度枯れたはずだったけれど、“彼”が私の血を再び活性化させた」
「彼……アルバートね」
 リアリュールの言葉に、ジャンヌは今度こそはっきりと頷く。
「アルバートも魔神の力で歪虚に変えられたの? それで地下深くに封印を――」
「――いいえ」
 ジャンヌの凛とした声が反響する。
「魔神は私に血を注いで消滅した。だから、彼を歪虚に変えることはできない」
「じゃあ……なぜ?」
 繋がりかけた答えが否定される。
 だがジャンヌはそこで口を噤んでしまった。
 噤んだというよりは、言葉が零れないようにぎゅっと唇を噛みしめているかのようだった。
 その様子にガクルックスがどこか苛立った様子で口を開く。
「俺は、アルバートを知っていますよ。記憶が朧げな中で、あいつはそれでもあんたを愛し好いていた。あんたは、それを受け止めたのですか?」
「私は……」
「親の愛も、彼の愛も受け取らず……他人から向けられる好意も、優しさも、あんたは興味が無いんじゃないですか?」
 ジャンヌはぎゅっと目を閉じる。
 だがやがてふっと、緊張を解くように瞼を開いて、ただ一言だけこぼした。
「そう……私は興味がなかった。望んでもいないのに、疎ましいとすら感じていた」
「だとしたら、消滅してしまいなさい。名前も、人としての姿も、その存在すらもお前には必要ない。そうでしょう、十三魔」
 マリィアの冷たい言葉が、天井の青空に響いてジャンヌを突き刺した。
「あるがまま、は他者を知ろうとしない拒絶の言葉。望む未来が無いためにプエルになるのなら、なぜ望む未来を見せることをしないの?」
 答えられないジャンヌに、マリィアは立て続けに言葉を穿つ。
「それはお前自身が未来を見ていないからでしょう。在るのは永遠だけ。“ただ存在しているだけ”。植物は太陽に命を求める。だけど太陽はそのことを知りはしないし、考えもしないわ。あなたが陽だまりに求めたのは、形式的な太陽の有り様。命に求められるように自分も求められたい。存在するだけで、妄信的に。それだけの傲慢な欲望よ」
 そしてとどめを刺すように言い添えた。
「お前のそれを愛だとは認めない。愛を知らない“死黙りの女王”」


 城前の攻防は敵味方入り乱れた混戦へともつれ込んでいた。
 地上部隊は敵陣深くまで切り込んでおり、メイドの相手をしながら巨人たちの足元を駆け回る。
 空中部隊は火砲の雨にさらされながらも、地上部隊が敵の隊列を乱したことでずいぶん戦いやすい状況になっていた。
「ハハハッ! まだまだ、倒れんぞ! その程度か?」
 ルベーノがコックピットで高笑いを響かせる。
 マテリアルヒーリングでこまめにダメージコントロールを行う彼だったが、流石にそろそろ機体のあちこちに損傷が蓄積されはじめている。
 だが勝気な勢いだけはそのままに、ダメージを感じさせずに光の刃を力いっぱい振りぬいた。
 メイド人形がマテリアル光の中で霧散していく一方、ダンテリオは余裕のある笑みを浮かべたまま服についた埃を払った。
「やれやれ……着替えを準備しておくべきでしたね」
「いうほど余裕はなさそうですけれどぉ?」
 立て続けに、ハナのルクシュヴァリエからマテリアル刃が放たれる。
 再び直撃を受け、ダンテリオのモノクルに薄いヒビが入った。
「このような身体でありますがゆえ、痛覚というものが乏しいものでしてね。泣きわめいた方がお好みですか?」
「そういう趣味はありませんけどぉ。気分はいいかもしれないですぅ」
 ダンテリオの鋼の身体にはいたるところに細かな傷が入っている。
 それは確かなダメージが蓄積されている表れであるが、同時にまだ追い詰めているとは言い難い状況であることも物語っていた。
 彼はすぐさま巨人兵をルクシュヴァリエへ差し向けようとするが、それより先にカーミンの刃がふわりと舞った。
 巨人の身体のすみずみを駆け回るように流れる刃。
 その剣閃は咲き乱れる花弁のようでもあり、やがて巨人は地に伏せる。
「近代兵器持ちの巨人って辺境で見たことあるけど、いつの間に繋ぎをつけたのかしらね?」
 琥珀色に染まった瞳が濃桃色に戻るなかで、カーミンがすんと鼻を鳴らす。
「彼らはこの地に発生した歪虚でございますよ。陛下の存在で、だいぶこの辺りも汚染されてきましたゆえ……あ、装備品は私のコレクションでございます。良いものでしょう?」
「あまり、そういうのの良し悪しは分からないのよね……!」
 適当に話を切り上げながら、カーミンは別の巨人へと狙いを定める。
 ただの無駄話だが、ダンテリオの気を引くという意味では手段のひとつだろう。
 この陽動の真意さえ、悟られなければよいのだから。

「ひえぇぇぇぇぇ! もう、いつまで戦えばいいのぉぉぉぉぉ!?」
 白樺は相変わらずメイド人形から逃げの一手を続けながら、傷ついた僚機たちを回復術でフォローして回っていた。
「ありがたいけど、あまり無茶はしないで欲しいの」
 ディーナが心配そうに声を掛けるが、とても聞こえている状況じゃないよう。
 まあ、完全に逃げの一手ならそう簡単にやられることもないだろう。
 ディーナは白樺を追うメイド人形をセイクリッドフラッシュでまとめて吹き飛ばすと、そのまま巨人の目の前へと滑り込むように肉薄する。
「ルクシュヴァリエの特性は吶喊後の近接戦闘――それを単騎で流れるように行えるところにあるの。思いっきり、引っ掻き回してみせるの」
 接近した機体へ、巨人は剣を抜き放って白兵戦へ臨もうとする。
 だが先にディーナ機が振う十字槌が足元を叩き、敵のバランスが大きく崩れた。
 がら空きのボディに、フィロのコンフェッサーが拳を叩きこむ。
 放たれた青龍翔咬波が、分厚い胸板を貫いて撃ち抜かれた。
「城内の様子はどうなっているのでしょう」
「分からないけれど、作戦が成功するまで私たちは戦うしかないの」
 ディーナの答えは至極まっとうで、フィロも疑いようもなく頷く。
「メイド人形……彼女らに主人への忠義があるかはわかりませんが」
 フィロはその視界にダンテリオの姿を捉える。
「気が回るあの使用人も、主への想いはあるのでしょうか」
 広い意味で言えば、身体を張って城を護ることは主への忠義と捉えることもできる。
 だが使用人として――彼の本来の目的はそれとは別のところにある、と感じて仕方がなかった。
「各員、敵の選定を怠らずに。指揮官は居ないようですから、戦況を支える者を優先目標へ据えるよう。勝てない相手は放っておいて構いません。ただし牽制だけは続けるよう。狙われているという意識だけは常に持たせるのですよ」
 手早く伝えると、数多のメイド人形を介して指示は戦場一帯へと広まっていく。
「ダンテリオ! そんなに余裕ぶっちゃって……!」
 一夏のコンフェッサーはシールド備え付けのパイルバンカーでメイドを吹き飛ばすと、ダンテリオへ魔導砲を掲げる。
 しかし巨人の隊列が射線を遮るように間に駆け込んで、彼女は銃口を下ろした。
「身体を張ってまで護る必要なんてないのに!」
 お返しにバルーンを射出して敵の射線を塞ぐと、素早く後退して巨人から距離を取る。
 道すがらメイド人形を蹴散らすが、その数は一向に減った気がしない。
「これだけ蓄えていたなんて……ちょっとムカムカします」
 責任をとってすべて片付けるつもりだったが、難航が目に見えて一夏はぷくりと頬を膨らませた。
 陽動隊の大半は、やはり機械化された巨人たちへと向いている。
 メイドの対応は必要に応じて、と言う中でそれをすべて蹴散らすのは流石に至難の業だった。
「いつか絶対、その涼しい顔を崩してみせますから……!」
 今は少しでも数を減らす。
 悔しさをぶつけるように、マテリアルフィストがメイド人形を打ち砕いた。

「な、なんかさっきから狙われてる気がするの……!」
 戦場を駆けまわりながら、白樺の頬を冷たい汗が伝う。
 先ほどまでメイドに追いかけられるくらいだった彼女は、頭上から巨人たちの集中砲火も受けるようになっていた。
 セオリー通りの兵法を好むダンテリオにとって、回復手は優先目標のひとつだった。
「クソッ! フォローするにも限度があるぞ!」
 ワイバーンの機動力で巨人に接近した零次は、炎を纏った機甲の連打を浴びせる。
 そうやって1体を惹きつけたところで、フリーの敵は多い。
「それでも……いいようにやられっぱなしってのは性に合わないんだよ!」
 白虎神拳が巨人の胸に突き刺さる。
 衝撃で脚が止まった敵に、ワイバーンのビームガンが追い打ちをかけた。
「今のうちだ! 蹴散らせ!」
 大声で叫んだ彼に続いて、地上からの猛攻が巨人に襲い掛かる。

 銃撃の隙間をひらりひらりと縫って、水色のワイバーンが急降下する。
 勢いのままに巨人に痛烈なタックルを浴びせると、騎手の真は地上付近で背から飛び降りた。
 彼はダンテリオへ一気に距離を詰めると、手にした2刀を振るう。
「やはり、きみは直接相手し続けなければいけないようだな」
 鋭い剣閃をダンテリオは銃身でさばいて、彼の動きに追い縋る。
「お相手いただけるのは光栄なことでございますね」
 流れるような身のこなしから、至近距離で次々放たれる銃の連射。
 はじめは躱せていた真も、いくつかは剣で受け止めざるを得なくなる。
「それだけ実力があって……よく世間に名を馳せなかったものだ」
「そこはまあ、私も嫉妬の歪虚ですから――楽しみごとは手前勝手に、でございますよ。趣味も慎ましやかですしね」
 最後の銃声の後、真の胸にじわりと赤い花が浮かび上がる。
 剣でいなした一撃。
 しかし、跳弾した銃弾は真の中心を確かに貫いていた。
 直後、足元が極光に包まれてダンテリオは大きく跳躍して距離を取る。
 突き上がる五色光符陣はハナが放ったものだ。
「あんたの趣味とか、それほど興味ないのですけれどぉ?」
「おや、それは残念。同志自体は少なくないものと思っておりましたが」
「お人形遊びなら間に合ってますよぅ」
 ハナの言葉に、ダンテリオは考え込むようにしながら銃弾を放つ。
「ふむ……例えば、今目の前にしているこの城。どれだけの価値があるとお思いですか?」
「はい?」
 ハナは銃弾を盾で受け止めつつ首をかしげる。
 ダンテリオは気にせず、言葉を続けた。
「おそらく、この世界唯一の古代文明の遺物。歴史そのものを体現すると言ってもいい。そんな価値ある物件なのですよ」
「確かにそうかもしれませんけれどぉ、かと言って保護するかは私たちが考えることじゃないですねぇ」
「そういう方々がいるから、私は額に汗をするのです。汗、出ませんが」
 ダンテリオが懐から引き抜いたロケットランチャーを構える。
 銃口を向けられ、咄嗟に回避するハナ。
 しかし放たれた砲弾は、恐ろしいほど的確にルクシュヴァリエの中心で爆ぜた。
「あうっ……!」
 コックピットを貫く衝撃に、ハナは思わず呻く。
「だったら、お城を手に入れることが貴方がジャンヌのもとにいる理由なのかしら!?」
 咄嗟に、気をひくようにカーミンの言葉がダンテリオを突く。
「お城自体はもう私のもの……そういう契約でありますがゆえ。だから知っておりますよ。あなた方のお仲間が城で何か動いておりますことも」
 彼の微笑みに、傍にいたハンター達は思わず息を飲み、鼓動が高鳴った。
 ダンテリオはハナの機体に駆け寄り、そのままショットガンの銃口をコックピットの外壁に宛がう。
「人の生死の境を……話半分に進めないでくれますぅ……?」
「おっと、それは失礼。そして、生きておりましたらまたいずれ」
 放たれた徹甲弾が、けたたましい音と共に機体胸部を貫通した。
「……知ってたの?」
 唇の震えを隠すように気丈を演じて、カーミンが尋ねる。
「お城のことならなんでも。おそらくあの村娘を取り返しに来たのでしょう。どうぞ、お引き取りください」
 そう言って手のひらを差し向けるダンテリオ。
 カーミンは食い気味に返した。
「仮にも敵の侵入を見逃すくらい、彼女はあなたにとって都合が悪いのかしら?」
「どうでも良い――というのが正直なところですが、陛下の目的にとってはどうでしょうね。彼女は間違いなく、異物に違いない」
「この期に及んで、もう“フリ”なんて続けなくてもいいのに」
「おや、信用がないのですね私は……クックッ」
 ダンテリオは煙に巻くように笑い、割れたモノクルを投げ捨てた。
「とは言え……どうやら平行線のようですね。やはりお膳立ては必要ですか――」
 嫌な気配がして、真が再び彼に襲い掛かる。
 そう口にして、彼はパチンと手を叩いた。


 マリィアの言葉にジャンヌは完全に押し黙ってしまった。
 静かに視線を下げて、何を考えているのか、それともいないのか。
 その瞳に力は感じられない。
 マリィアはそのままアメリアに視線を向けると、メイド服の小さな方がびくりと揺れた。
「アメリア……私は貴女の覚悟を聞きに来たつもり。ここに居れば遠からずあなたは死ぬ。それが直接的か、汚染にやられてかは別としてね」
 アメリアは大きく息を飲んだ。
 覚悟自体はしていたはずだ。
 だが、明確に口にだされるのとでは感じ方が違う。
「死者の努力は何も残らない。だけど生者の努力は実を結ぶこともある。貴女が、その命でやるべきことがここにあるのなら……私はその意思を尊重する。だけどそうじゃないなら、帰りましょう。あなたが結ぶべき実は、きっとご両親が待つ未来にあるわ」
 アメリアの表情にはまだ迷いが見えた。
 だがぽつりと、小さく言葉を反芻する。
「死者の努力は……何も残らない」
 苦悩する彼女に、リアリュールは優しく語り掛ける。
「困らせるつもりはないわ。だけど、私たちはもう子供じゃないと思うから……嘘のない、あなたの気持ちで選んで欲しいの」
「うん……」
 アメリアがぎこちなく頷き返した。
「ジャンヌ……アメリアさんが何でここまでついてきたか分かる?」
 項垂れるジャンヌに、リアリュールが尋ねる。
「私は……あなたが本当に知りたいと望むなら、アイとは何か、一緒に考えたいと思ってる。あなたがこれまでそれを知るきっかけがなかったのなら、機会はあってもいいと思うの」
「それは……私のアイは間違えているということ?」
「そうは言ってないわ。ただ、愛にはそれぞれの形がある。それを知って欲しい。あなたの愛。家族の愛。アメリアさんの愛。そしてアルバートの愛」
「それぞれの……愛」
「アルバートは貴女をかわいそうだと思ったんじゃなくて、幸せでいて欲しいと願ったはず。貴女を慕い、そしてできれば自分の方を見て欲しいと――もう推測しかできないけれど」
 今は亡き強欲の騎士は、最期までジャンヌのためにあり続けた。
 それは彼にとっての幸せであったのだろうか。
 もう決して誰にも語ることはできないが、その意思のもとに今のジャンヌという存在がいることが、全ての結果であり事実だ。
「そして、あんたは最も大事なことを見落としている」
 ガクルックスがそっと言い添える。
「これまでアイを与え続けて、あんたは……愛を受け取りましたか?」
 それは、これまでのどの言葉よりも鋭くジャンヌの胸を貫き、穿った。
 
「ご歓談中悪いが、手勢がこっちに迫ってるぞ。この数は流石にヤバイな」
 統夜が扉の外を覗き込みながら仲間たちを急かすように言う。
 リクがアメリアに視線を投げた。
「決めるんだアメリア。帰るか、陽だまりの国に在るのか。村を飛び出したことの答えは出たのか――」
 切迫するなかで彼は問いかける。
 だがジャックは居ても立ってもいられず、アメリアの方へ手を伸ばした。
「帰ろう! でなきゃ、もっと酷いことになると……俺はそう思ってる。両親のため、亡くなった兄貴のため――頼む!」
 街に悲しみが広がるのを止めたい。
 それを目の前でみすみす逃すのは、自分がハンターとして生きる決意に背くことだ。
 ジャンヌは何も言わず、ただじっと彼女の決断を見ていた。
 アメリアは震える手をそっと伸ばし――途中で胸元に抱き寄せた。
「死者の努力が実を結ばないなら……生きている私が、彼女の代わりにやらなくちゃいけないことがあるの!」
 アメリアが、今までになく明確な言葉で告げる。
 それを聞いて、マリィアは僅かに頷き返してから彼女たちに背を向けた。
「行きましょう。私たちにできることは果たされたわ」
「くそっ……!」
 彼女は後ろ髪引かれるジャックを連れ、ずんずんと扉の方へ向かって歩んでいく。
 リアリュールも彼女の意志に納得した様子で、足元に結晶のような意志をそっと置いた。
 龍鉱石だった。
「お守り程度だけれど、少しでも負のマテリアルの影響が弱まるかもしれないから」
「うん……あ、あのっ!」
 アメリアが、思い出したように彼女を呼び止める。
「その……ありがとう」
 お礼の言葉に、リアリュールは首を横に振った。
「きっとまた来るわ。その時までに……あなたのやるべきことが成されているのを願ってる」
 これが最後の言葉になるかもしれない。
 だけど、嘘偽りのない彼女へのエール。
 それはこの戦いのひとつの未来を願ったものとなるのかもしれない。

 問いかけたリクも、それ以上アメリアに言葉を望むようなことはしなかった。
 代わりにジャンヌを一瞥し、拳を握りしめる。
「愛の形はそれぞれでも……やっぱり俺は、お前のアイは受け入れられない。受け入れるために自分を失い、名前をも失うことを、俺は幸せだと思わない」
 それは明確な在り方の違い。
 決して妥協し、交わることがない、意志の表れだった。
「ただ哀れまれるだけの救いはいらない。そんなの、化物の心の空腹を満たすだけの捕食と変わりはしない。だから俺は否定する。この国も、お前も」
 足元を見ていたジャンヌの視線が静かに上がり、リクの視線と交わる。
 だがそれはすぐに外れて、彼女はそのまま頭上の青空――そこに描かれた太陽の輝きを見上げた。
「私自身……名前はあってないようなものだもの」
 去り際、それが最後に聞いたジャンヌの言葉。
 そこに込められた意志は、表情が遠く隠れてしまったせいで読み取ることはできなかった。
 だが、その答えのほんの切れ端は、ウィスカが掴んでいたのかもしれない。
「アメリアさん……あなたがアイを受けいれようとしなかったその違和感、大切にしてください」
 終止符は遠い未来のことではない。


 ハンター達がいなくなった謁見室で、アメリアは残されたジャンヌの足元に腰を下ろす。
 決して、服従のために膝を折ったのではない。
 彼女は道に迷った子供をあやすように、ジャンヌの顔を覗き込んで、優しく手を取る。
「あなたの事を教えて。どんな些細なことでもいい。家のこと。家族のこと。生きていたころの生活。歪虚になってからの生活。覚えているかぎり……話したいだけ全部――私はそれを知りたいの」
 それが自分にできる、生きている者の役目だと信じて。

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MVP一覧

  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガンka0471
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムスka0796
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギンka1522
  • よき羊飼い
    リアリュールka2003
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109

  • 鞍馬 真ka5819
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデスka5848

重体一覧

  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニka3109
  • 曙光とともに煌めく白花
    白樺ka4596

  • 鞍馬 真ka5819
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナka5852

参加者一覧

  • ふたりで歩む旅路
    アティエイル(ka0002
    エルフ|23才|女性|魔術師
  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    ウィガール
    ウィガール(ka0471unit004
    ユニット|CAM
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ユニットアイコン
    ヤクトバウプラネットカノーネ
    ヤクト・バウ・PC(ka0665unit008
    ユニット|CAM
  • 緑龍の巫女
    Uisca=S=Amhran(ka0754
    エルフ|17才|女性|聖導士
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 花言葉の使い手
    カーミン・S・フィールズ(ka1559
    人間(紅)|18才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    フィデル
    グリフォン(ka1559unit002
    ユニット|幻獣
  • よき羊飼い
    リアリュール(ka2003
    エルフ|17才|女性|猟撃士
  • ユニットアイコン
    ティオー
    ティオー(ka2003unit001
    ユニット|幻獣
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • ユニットアイコン
    ジュリア
    ジュリア(ka3109unit003
    ユニット|幻獣
  • 曙光とともに煌めく白花
    白樺(ka4596
    人間(紅)|18才|男性|聖導士
  • 【魔装】希望への手紙
    瀬崎・統夜(ka5046
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人
  • ユニットアイコン
    カートゥル
    カートゥル(ka5819unit005
    ユニット|幻獣
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • ユニットアイコン
    コッキゴーレム「ルクシュヴァリエ」
    刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」(ka5843unit007
    ユニット|CAM
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • ユニットアイコン
    ルクチャン
    ルクちゃん(ka5852unit008
    ユニット|CAM
  • 拳で語る男
    輝羽・零次(ka5974
    人間(蒼)|17才|男性|格闘士
  • ユニットアイコン
    セキライ
    赤雷(ka5974unit002
    ユニット|幻獣
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • ユニットアイコン
    コッキゴーレム「ルクシュヴァリエ」
    刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」(ka6653unit008
    ユニット|CAM
  • 我が辞書に躊躇の文字なし
    ルベーノ・バルバライン(ka6752
    人間(紅)|26才|男性|格闘士
  • ユニットアイコン
    コッキゴーレム「ルクシュヴァリエ」
    刻騎ゴーレム「ルクシュヴァリエ」(ka6752unit007
    ユニット|CAM
  • ふたりで歩む旅路
    柊羽(ka6811
    鬼|30才|男性|舞刀士
  • ルル大学防諜部門長
    フィロ(ka6966
    オートマトン|24才|女性|格闘士
  • ユニットアイコン
    コンフェッサー
    コンフェッサー(ka6966unit004
    ユニット|CAM
  • ヒーローを目指す炎娘
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アイコン 相談卓「作戦1【潜入】」
ジャック・エルギン(ka1522
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/08/01 14:27:11
アイコン 相談卓「作戦2【陽動】」
ジャック・エルギン(ka1522
人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2019/08/01 12:35:24
アイコン 相談卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2019/08/01 12:25:43
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/08/01 00:06:08