ゲスト
(ka0000)
【陽光】陽だまりの国
マスター:のどか

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在23人 / 1~25人
- ユニット参加人数
- 現在15 / 0~25
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/08/01 15:00
- リプレイ完成予定
- 2019/08/15 15:00
オープニング
●
大きなアタッシュケースを2つ携えて帰って来た燕尾服の男――ダンテリオは、主人の傍らに立つ存在を見て眉を潜めた。
彼は割れたモノクルを新しいものに嵌めなおしてから、いつもの笑顔で尋ねた。
「おや……どちらでお拾いになってきたのですか?」
「拾ってなんかないわ。ついてきたのよ」
ジャンヌ・ポワソン(kz0154)は王座に深く腰掛け、佇む少女を同じように一瞥する。
「ア……アメリア、です。しばらく置いていただけませんか……?」
先のゲストハウスでの件でジャンヌには慣れた彼女だったが、まだ見ぬ歪虚の存在には流石に不安を隠せないようだった。
オペラホールのような広い謁見室では、白い肌の巨人――プエル=プルスたちがくねくねと良く分からない踊りに興じている。
ダンテリオはコキリと首を鳴らして視線を外した。
「それを決める権限は私にはございません」
その言葉が意図するところを理解して、アメリアはジャンヌへと視線を落とす。
「……好きにしたらいいわ。私の国は望む者を拒まない」
「あ、ありがとう」
少女が深く頭を下げる。
「それでは、アイをお与えにならなければなりませんね」
「いえ、あの……っ!」
ダンテリオが迫ると、アメリアは肩を震わせて後ずさった。
「私……その、あなたの“アイ”というものを受けるつもりはない。でも、私は私の意思で……ここに来たつもり」
執事は意味が分からないといった様子で首をかしげる。
その動作にどこか圧を感じて、アメリアは縋るようにジャンヌを見た。
「……好きにしたらいいわ」
そして、望んだ言葉を得られて胸を撫でおろす。
ジャンヌの相貌がダンテリオを見上げた。
「それで……用事は済んだのかしら?」
「ええ、滞りなく」
ダンテリオはアタッシュケースを広げて見せる。
中には大量の家具のミニチュアと同時に、大量の火器のミニチュアが整頓されて詰め込まれていた。
「武器もずいぶん調達できました。メイドたちにも持たせましょう。それから、いくつか面白いものも持ってきたので城の周りに接地してみましたよ。外出なさる際はお気を付けください」
ジャンヌがクエスチョンマークを浮かべたが、すぐに興味をなくしてミニチュアへと視線を移す。
「あなたの城よ。好きに飾ってちょうだい」
「ええ、それはもう」
ダンテリオが手を叩くとメイド人形たちがぞろぞろと姿を現す。
彼女たちはミニチュア家具を抱えると城のあちこちへと散って行った。
しばらく経ってから、ダンテリオが頃合いを見計らったかのように指を鳴らした。
途端に辺りに備えられたミニチュアが本物の大きさの家具に姿を変えて、城中を一瞬で生活・調度品に溢れるインテリアで着飾った。
「すごい……」
魔法のような光景にアメリアは目を輝かせる。
そんな彼女の様子をダンテリオが無表情で見下ろしていた。
●
夢幻城を遠方に見上げる森の中で、現地に到着したハンター達は監視任務の依頼チームと合流していた。
監視チームは交代でこの地に滞在しながら、城に目立った動きがあるたびにソサエティへと報告を行っている。
そこから先日、城へジャンヌと共に1人の民間人が帰還したという知らせが入った。
事実関係から彼女がおそらくアメリアという少女であることを認識すると、さっそく現地への派兵部隊が組織され、今に至る。
部隊の目的は第一にアメリアの安否を確認すること。
第二に彼女に接触を試みること。
そして第三に彼女を救出すること。
これが彼女の両親からのオーダーだった。
分かっている限りの情報共有を済ませ、部隊は出発する。
かの城は、これまでの資料とは全く違った装いで、遥か頭上にそびえていた。
●
小さな爆発音と振動が山肌を伝わって城の中までこだました。
洗濯物を干していたアメリアは、遠巻きに山の裾野に上がる煙を見て慌てて屋敷の中へと飛び込んだ。
「おや、思ったより早く作動しましたね」
主のもとへ駆け込むと、そこには窓辺から嬉々とした表情で外を眺めるダンテリオの姿。
先ほどから何度か続いた爆発音は、狼煙のような煙を数本、空へと上らせていた。
「あれが“面白いもの”なのかしら」
「ええ。そのひとつでございます」
ダンテリオはクツクツと笑いながら、ジャンヌへと向き直る。
「さて、いかがいたしましょうか。連合軍とやらは邪神退治に忙しいところ、おそらくやって来たのはハンターかと存じますが」
「……任せるわ。陽だまりを脅かすなら、追い払って」
「承知いたしました。武装メイド人形たちと……そうですね、近ごろ発生するようになりました巨人たちの力もお借りしても?」
「くれぐれも“駒”のようには扱わないことね」
主人の言いつけに恭しく一礼をして、ダンテリオはするりと下がる。
残されたジャンヌは、窓の外で新たに上がった煙を眺めてからアメリアへと視線を移した。
「怖い事なんてないわ。貴女がここにいたいなら、私が守ってあげる」
「そんな、私は……」
アメリアは怯えた様子で言葉を詰まらせる。
このままここにいて自分にできる事はあるのだろうか。
無理をおして来たというのに、できているのはお茶の相手と暇つぶしの相手くらい。
きっと自分のせいで来てくれたのだろうハンターたちにも、自分のせいで戦うことになる目の前の彼女にも、ただ迷惑をかけているだけの存在なのではないだろうか。
毎晩、眠れずに頭の中をぐるぐると駆け巡る想いが、胸の内を圧迫する。
そして痛感するのだ。
自分には何の力もない――と。
「アルバートは……あなたを守ったのよね」
彼ならどうするだろうか。
ほんの数日だけ兄のように慕った横顔を記憶の中に辿る。
ジャンヌは胸の傷をなぞりながら目を伏せた。
「……そうなのかしらね」
大きなアタッシュケースを2つ携えて帰って来た燕尾服の男――ダンテリオは、主人の傍らに立つ存在を見て眉を潜めた。
彼は割れたモノクルを新しいものに嵌めなおしてから、いつもの笑顔で尋ねた。
「おや……どちらでお拾いになってきたのですか?」
「拾ってなんかないわ。ついてきたのよ」
ジャンヌ・ポワソン(kz0154)は王座に深く腰掛け、佇む少女を同じように一瞥する。
「ア……アメリア、です。しばらく置いていただけませんか……?」
先のゲストハウスでの件でジャンヌには慣れた彼女だったが、まだ見ぬ歪虚の存在には流石に不安を隠せないようだった。
オペラホールのような広い謁見室では、白い肌の巨人――プエル=プルスたちがくねくねと良く分からない踊りに興じている。
ダンテリオはコキリと首を鳴らして視線を外した。
「それを決める権限は私にはございません」
その言葉が意図するところを理解して、アメリアはジャンヌへと視線を落とす。
「……好きにしたらいいわ。私の国は望む者を拒まない」
「あ、ありがとう」
少女が深く頭を下げる。
「それでは、アイをお与えにならなければなりませんね」
「いえ、あの……っ!」
ダンテリオが迫ると、アメリアは肩を震わせて後ずさった。
「私……その、あなたの“アイ”というものを受けるつもりはない。でも、私は私の意思で……ここに来たつもり」
執事は意味が分からないといった様子で首をかしげる。
その動作にどこか圧を感じて、アメリアは縋るようにジャンヌを見た。
「……好きにしたらいいわ」
そして、望んだ言葉を得られて胸を撫でおろす。
ジャンヌの相貌がダンテリオを見上げた。
「それで……用事は済んだのかしら?」
「ええ、滞りなく」
ダンテリオはアタッシュケースを広げて見せる。
中には大量の家具のミニチュアと同時に、大量の火器のミニチュアが整頓されて詰め込まれていた。
「武器もずいぶん調達できました。メイドたちにも持たせましょう。それから、いくつか面白いものも持ってきたので城の周りに接地してみましたよ。外出なさる際はお気を付けください」
ジャンヌがクエスチョンマークを浮かべたが、すぐに興味をなくしてミニチュアへと視線を移す。
「あなたの城よ。好きに飾ってちょうだい」
「ええ、それはもう」
ダンテリオが手を叩くとメイド人形たちがぞろぞろと姿を現す。
彼女たちはミニチュア家具を抱えると城のあちこちへと散って行った。
しばらく経ってから、ダンテリオが頃合いを見計らったかのように指を鳴らした。
途端に辺りに備えられたミニチュアが本物の大きさの家具に姿を変えて、城中を一瞬で生活・調度品に溢れるインテリアで着飾った。
「すごい……」
魔法のような光景にアメリアは目を輝かせる。
そんな彼女の様子をダンテリオが無表情で見下ろしていた。
●
夢幻城を遠方に見上げる森の中で、現地に到着したハンター達は監視任務の依頼チームと合流していた。
監視チームは交代でこの地に滞在しながら、城に目立った動きがあるたびにソサエティへと報告を行っている。
そこから先日、城へジャンヌと共に1人の民間人が帰還したという知らせが入った。
事実関係から彼女がおそらくアメリアという少女であることを認識すると、さっそく現地への派兵部隊が組織され、今に至る。
部隊の目的は第一にアメリアの安否を確認すること。
第二に彼女に接触を試みること。
そして第三に彼女を救出すること。
これが彼女の両親からのオーダーだった。
分かっている限りの情報共有を済ませ、部隊は出発する。
かの城は、これまでの資料とは全く違った装いで、遥か頭上にそびえていた。
●
小さな爆発音と振動が山肌を伝わって城の中までこだました。
洗濯物を干していたアメリアは、遠巻きに山の裾野に上がる煙を見て慌てて屋敷の中へと飛び込んだ。
「おや、思ったより早く作動しましたね」
主のもとへ駆け込むと、そこには窓辺から嬉々とした表情で外を眺めるダンテリオの姿。
先ほどから何度か続いた爆発音は、狼煙のような煙を数本、空へと上らせていた。
「あれが“面白いもの”なのかしら」
「ええ。そのひとつでございます」
ダンテリオはクツクツと笑いながら、ジャンヌへと向き直る。
「さて、いかがいたしましょうか。連合軍とやらは邪神退治に忙しいところ、おそらくやって来たのはハンターかと存じますが」
「……任せるわ。陽だまりを脅かすなら、追い払って」
「承知いたしました。武装メイド人形たちと……そうですね、近ごろ発生するようになりました巨人たちの力もお借りしても?」
「くれぐれも“駒”のようには扱わないことね」
主人の言いつけに恭しく一礼をして、ダンテリオはするりと下がる。
残されたジャンヌは、窓の外で新たに上がった煙を眺めてからアメリアへと視線を移した。
「怖い事なんてないわ。貴女がここにいたいなら、私が守ってあげる」
「そんな、私は……」
アメリアは怯えた様子で言葉を詰まらせる。
このままここにいて自分にできる事はあるのだろうか。
無理をおして来たというのに、できているのはお茶の相手と暇つぶしの相手くらい。
きっと自分のせいで来てくれたのだろうハンターたちにも、自分のせいで戦うことになる目の前の彼女にも、ただ迷惑をかけているだけの存在なのではないだろうか。
毎晩、眠れずに頭の中をぐるぐると駆け巡る想いが、胸の内を圧迫する。
そして痛感するのだ。
自分には何の力もない――と。
「アルバートは……あなたを守ったのよね」
彼ならどうするだろうか。
ほんの数日だけ兄のように慕った横顔を記憶の中に辿る。
ジャンヌは胸の傷をなぞりながら目を伏せた。
「……そうなのかしらね」
解説
▼目的
アメリアの救出
▼概要
今回の作戦は同じ村からジャンヌを追って出た一般人の少女の安否を確かめることを第一としています。
そのために正面から【陽動】を行い、敵勢力の注意を惹きつけている間に【潜入】するのが大まかな流れです。
▼タグ
作戦1【潜入】 ※ユニット不可
夢幻城タラクサクムに潜入・探索してシナリオ目的を達成してください。
城内が様変わりしたせいでソサエティが持つ過去の情報は当てになりません。
また、アメリアがこちらの意図に従うかどうかも分かりません。
説得ないし言いくるめる手段は用意すべきでしょう。
アメリアの傍にはジャンヌがいるものと思われます。
こちらのタグはユニット不可のため、ユニットを付けても同行していないものとして扱われます。
作戦2【陽動】 ※ユニット可
城正面で派手に暴れて敵戦力の注意を引いてください。
戦場は山岳地帯であり城へ向けて勾配を登る地形となっています。
必然的に高所を敵に取られているため戦術的には不利な状況です。
道中に地雷原があり、地上を進むハンターは交戦までにランダムで体力が1~50%低下します。
敵の軍勢はダンテリオが率いています。
また、当選択の達成具合により作戦1の城内戦力が増減します。
▼敵勢力
「ジャンヌ」
災厄の十三魔。
作戦1に登場。
「ダンテリオ」
紅い燕尾服の嫉妬歪虚。
作戦2に登場。
「プエル=プルス」
サイズ2。
のっぺりとした白い肌の怠惰。
武器は持たないが伸縮自在の身体を持つ。
作戦1に登場。
「怠惰の巨人」
サイズ2~3。
剣や槍の他、重火器やサイズに合う機動兵器用火器で武装。
作戦2に登場。
「武装メイドール」
メイド服を着た陶器人形。
携行火器で武装。
両作戦に登場。
数はメイドール>巨人>プエルとなる。
▼味方情報
「アメリア」
人間のままジャンヌの傍仕えとして城に滞在している。
覚醒者の素質があり、やや体調は悪そうだが基本的な行動に支障はない。
アメリアの救出
▼概要
今回の作戦は同じ村からジャンヌを追って出た一般人の少女の安否を確かめることを第一としています。
そのために正面から【陽動】を行い、敵勢力の注意を惹きつけている間に【潜入】するのが大まかな流れです。
▼タグ
作戦1【潜入】 ※ユニット不可
夢幻城タラクサクムに潜入・探索してシナリオ目的を達成してください。
城内が様変わりしたせいでソサエティが持つ過去の情報は当てになりません。
また、アメリアがこちらの意図に従うかどうかも分かりません。
説得ないし言いくるめる手段は用意すべきでしょう。
アメリアの傍にはジャンヌがいるものと思われます。
こちらのタグはユニット不可のため、ユニットを付けても同行していないものとして扱われます。
作戦2【陽動】 ※ユニット可
城正面で派手に暴れて敵戦力の注意を引いてください。
戦場は山岳地帯であり城へ向けて勾配を登る地形となっています。
必然的に高所を敵に取られているため戦術的には不利な状況です。
道中に地雷原があり、地上を進むハンターは交戦までにランダムで体力が1~50%低下します。
敵の軍勢はダンテリオが率いています。
また、当選択の達成具合により作戦1の城内戦力が増減します。
▼敵勢力
「ジャンヌ」
災厄の十三魔。
作戦1に登場。
「ダンテリオ」
紅い燕尾服の嫉妬歪虚。
作戦2に登場。
「プエル=プルス」
サイズ2。
のっぺりとした白い肌の怠惰。
武器は持たないが伸縮自在の身体を持つ。
作戦1に登場。
「怠惰の巨人」
サイズ2~3。
剣や槍の他、重火器やサイズに合う機動兵器用火器で武装。
作戦2に登場。
「武装メイドール」
メイド服を着た陶器人形。
携行火器で武装。
両作戦に登場。
数はメイドール>巨人>プエルとなる。
▼味方情報
「アメリア」
人間のままジャンヌの傍仕えとして城に滞在している。
覚醒者の素質があり、やや体調は悪そうだが基本的な行動に支障はない。
マスターより
おはようございます、のどかです。
いよいよジャンヌ決戦のための前哨戦となります。
達成すべき目的はどちらが高評価になるということではなく、シナリオ難易度が変わるということもありません。
ただし、今後の展開が変化します。
どちらにせよ、MSとしてはこれまで積み重ねられてきたものを終わりまで描いていきたいと思っています。
今回はルミちゃんが邪神の中にいるため質問に答える事ができません。
ご了承ください。
皆さんのご参加をお待ちしております。
いよいよジャンヌ決戦のための前哨戦となります。
達成すべき目的はどちらが高評価になるということではなく、シナリオ難易度が変わるということもありません。
ただし、今後の展開が変化します。
どちらにせよ、MSとしてはこれまで積み重ねられてきたものを終わりまで描いていきたいと思っています。
今回はルミちゃんが邪神の中にいるため質問に答える事ができません。
ご了承ください。
皆さんのご参加をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/08/30 01:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓「作戦1【潜入】」 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/08/01 14:27:11 |
|
![]() |
相談卓「作戦2【陽動】」 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/08/01 12:35:24 |
|
![]() |
相談卓 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/08/01 12:25:43 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/08/01 00:06:08 |