ゲスト
(ka0000)
涙をぬぐって、イタチの手を取って
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/09/03 12:00
- 完成日
- 2019/09/07 20:05
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●お別れ
ラカ・ベルフは邪神の内部から撤退するとき、どこかの世界の生き物だったマッシュと別れた。
『ラカ、みんな……あえて楽しかったでち。ぼくはもう行かないと』
「マッシュ!」
『分かっていたでち。ぼくたちの神様はもういないでち。邪神に負けちゃったのでち。だから……ぼくたちは行くでち』
マッシュの回りにはここにはいなかったはずの途切れたループの最後の仲間がいた。どこかで世界がつながったのだろうか? ラカが困惑している間に、ハンターたちに引きずられるように撤退した。
視界の先では、後ろ足で立ち上がり、ラカたちを見送るフェレットに似た生き物たちの姿があった。それは徐々に白い光となり消えていった。
ラカは気付いたときには家にいた。
「ただいま……モニ……」
真っ暗な家の中には動物の気配がない。
「そうでした……モニを迎えに行かないと……」
白いフェレットの姿を思い浮かべると、少し寂しくなった。
●モニモニちゃん
「みぎゃああああああああああああああああああああああ」
グラズヘイム王国のとある地域にある、ハンターオフィスもある大きな町。
そのオフィスに、ルゥルが声を上げながら入ってくる。
「ど、どうしたんだい、ルゥルちゃん」
受付男子ロビン・ドルトスは慌てて声をかけた。
「ラカさんが、ラカさんがあああああああああああ、げふ、げふっ」
「まずはお水を飲もうね」
コップに水を注いで渡す。
ルゥルは一気飲みをして、コップを置いた。
「ラカさんのペットのモニモニちゃんを預かっていたのです」
「まさか逃がした!?」
「違います! ラカさんがモニモニちゃんと再会したとき、モニモニちゃんはラカさんを知らん顔をしました。そのせいで、ラカさんが泣きながらどこかに行ってしまったのです!」
ルゥルは両手で抱えている白いフェレットを見せる。モニはルゥルの手に持たれて長い胴体をプラーンとさせている。ルゥルの肩に乗っているフェレットのフレオはモニの頭をなめて毛繕いしていた。
「……忘れられた?」
「違います! モニモニちゃんは恥ずかしかったのです! それと、捨てられたのかなってちょっとは思っていたのです。だから、ラカさんを見たとき、ほっとしたのです。でも、ラカさんがどんよりしているからなんとなく無視をしてしまったのです。そうしたら、ラカさんが号泣して外に飛び出してしまったのです!」
「……あれ? 号泣?」
ルゥルの話がだんだん大きくなっている気がしたが、ロビンはそれ以上ツッコミを入れるのはやめた。それにしても、ずいぶん細かくフェレットの心情を代弁している。
「ところで帰還事業はどうなっているんだい?」
「もう、喜び勇んでジャイルズさんが帰りました」
薬草園の主ジャイルズ・バルネは薬草が心配で避難することも拒むのではと言われていた人物だ。
「ジャイルズさんが戻ると、コリンさんが帰ります。そして、ヤギさんたちとチャが帰ります」
「そうすると、近所の人も一緒に戻るね」
「ですー」
ここに避難するときより、何かが起こることは少ないだろう。
周囲の街だったり、元々王都に住んでいたけれど親戚や知り合いを頼って避難している人もいた為、この町は人口が大変増えていたのだった。
それが徐々に元に戻っていく。
「だから、ラカさんについて、そっちは全く心配していないのです。どちらかと言うと、モニモニちゃんのことが心配なのです」
ルゥルはモニを抱き言う。
モニは表面上特に変なところはない。ただ、預かっていると分かることがあるのだが、その説明をする前に、転移門が稼働し、領主の息子のリシャール・べリンガーとライル・サヴィスとシールが出てきた。
「ただいま戻りましたー」
「みぎゃああああああああああああああ、リシャールさんですぅ、あれ? リゼリオで会ったです?」
ルゥルは歓待しつつ、見覚えがある二人を見た。
「あ、いつぞやの……」
「ああ……」
ライルは苦笑しているが、シールがどんよりとする。
「どうかしたのです?」
「いや、ええと……いろいろとあって、ライルに八つ当たりしていた自分を反省するところです」
「別に……あんなことあれば、精神的に追い込まれて当たり前だろう? 本当は、もっと早く俺だって……」
「あ、ごめん、えっと、色々あったんだ」
「分かりました、色々ありました。それより、ラカさんを捜さないとなのです」
ルゥルはここに来たスタートに話を戻した。
「ラカさんという人はどこに出かけていたんですか?」
「邪神の中だと言ってました」
「はいっ!?」
聞いたリシャールだけでなく、ライルとシールもひっくり返る声を出す。
「それと、ラカさん、水不足になったことあるですよ」
「……その人……バカ……」
「違います、ラカさんです!」
「……あ、すみません」
ライルはルゥルがまじめに答えたので謝った。
「でも、ラカさん、荷物持ってきたよね?」
ロビンが思い出しながら言う。馬も連れてきていた。
「馬は内の前で草食べてます。荷物は居間でラカさんの帰りを待っています。水筒もです」
ロビンは頭を抱えた。水不足、つまり、脱水症状。
「あ、うん、ラカさん……捜索しないとね……。リシャール様はお父君が首を長くしてお待ちです」
「……え、この流れ、私たちも探そう! ですよね……」
「まあ、基本的には」
ロビンは溜息を吐くが、リシャールはにこりと笑う。
「ルゥルさん、ラカさんってどんな人ですか?」
「青いです」
背丈や髪など目立つ特徴について言う。
「その件……ラカさん、青龍の神官なんですよ」
ロビンが補足した。その瞬間、三人は青いという意味を理解した。
「分かりました。ラカさんが行きそうなところは?」
ルゥルもロビンも「さあ」と答えるのがやっとだった。
ラカ・ベルフは邪神の内部から撤退するとき、どこかの世界の生き物だったマッシュと別れた。
『ラカ、みんな……あえて楽しかったでち。ぼくはもう行かないと』
「マッシュ!」
『分かっていたでち。ぼくたちの神様はもういないでち。邪神に負けちゃったのでち。だから……ぼくたちは行くでち』
マッシュの回りにはここにはいなかったはずの途切れたループの最後の仲間がいた。どこかで世界がつながったのだろうか? ラカが困惑している間に、ハンターたちに引きずられるように撤退した。
視界の先では、後ろ足で立ち上がり、ラカたちを見送るフェレットに似た生き物たちの姿があった。それは徐々に白い光となり消えていった。
ラカは気付いたときには家にいた。
「ただいま……モニ……」
真っ暗な家の中には動物の気配がない。
「そうでした……モニを迎えに行かないと……」
白いフェレットの姿を思い浮かべると、少し寂しくなった。
●モニモニちゃん
「みぎゃああああああああああああああああああああああ」
グラズヘイム王国のとある地域にある、ハンターオフィスもある大きな町。
そのオフィスに、ルゥルが声を上げながら入ってくる。
「ど、どうしたんだい、ルゥルちゃん」
受付男子ロビン・ドルトスは慌てて声をかけた。
「ラカさんが、ラカさんがあああああああああああ、げふ、げふっ」
「まずはお水を飲もうね」
コップに水を注いで渡す。
ルゥルは一気飲みをして、コップを置いた。
「ラカさんのペットのモニモニちゃんを預かっていたのです」
「まさか逃がした!?」
「違います! ラカさんがモニモニちゃんと再会したとき、モニモニちゃんはラカさんを知らん顔をしました。そのせいで、ラカさんが泣きながらどこかに行ってしまったのです!」
ルゥルは両手で抱えている白いフェレットを見せる。モニはルゥルの手に持たれて長い胴体をプラーンとさせている。ルゥルの肩に乗っているフェレットのフレオはモニの頭をなめて毛繕いしていた。
「……忘れられた?」
「違います! モニモニちゃんは恥ずかしかったのです! それと、捨てられたのかなってちょっとは思っていたのです。だから、ラカさんを見たとき、ほっとしたのです。でも、ラカさんがどんよりしているからなんとなく無視をしてしまったのです。そうしたら、ラカさんが号泣して外に飛び出してしまったのです!」
「……あれ? 号泣?」
ルゥルの話がだんだん大きくなっている気がしたが、ロビンはそれ以上ツッコミを入れるのはやめた。それにしても、ずいぶん細かくフェレットの心情を代弁している。
「ところで帰還事業はどうなっているんだい?」
「もう、喜び勇んでジャイルズさんが帰りました」
薬草園の主ジャイルズ・バルネは薬草が心配で避難することも拒むのではと言われていた人物だ。
「ジャイルズさんが戻ると、コリンさんが帰ります。そして、ヤギさんたちとチャが帰ります」
「そうすると、近所の人も一緒に戻るね」
「ですー」
ここに避難するときより、何かが起こることは少ないだろう。
周囲の街だったり、元々王都に住んでいたけれど親戚や知り合いを頼って避難している人もいた為、この町は人口が大変増えていたのだった。
それが徐々に元に戻っていく。
「だから、ラカさんについて、そっちは全く心配していないのです。どちらかと言うと、モニモニちゃんのことが心配なのです」
ルゥルはモニを抱き言う。
モニは表面上特に変なところはない。ただ、預かっていると分かることがあるのだが、その説明をする前に、転移門が稼働し、領主の息子のリシャール・べリンガーとライル・サヴィスとシールが出てきた。
「ただいま戻りましたー」
「みぎゃああああああああああああああ、リシャールさんですぅ、あれ? リゼリオで会ったです?」
ルゥルは歓待しつつ、見覚えがある二人を見た。
「あ、いつぞやの……」
「ああ……」
ライルは苦笑しているが、シールがどんよりとする。
「どうかしたのです?」
「いや、ええと……いろいろとあって、ライルに八つ当たりしていた自分を反省するところです」
「別に……あんなことあれば、精神的に追い込まれて当たり前だろう? 本当は、もっと早く俺だって……」
「あ、ごめん、えっと、色々あったんだ」
「分かりました、色々ありました。それより、ラカさんを捜さないとなのです」
ルゥルはここに来たスタートに話を戻した。
「ラカさんという人はどこに出かけていたんですか?」
「邪神の中だと言ってました」
「はいっ!?」
聞いたリシャールだけでなく、ライルとシールもひっくり返る声を出す。
「それと、ラカさん、水不足になったことあるですよ」
「……その人……バカ……」
「違います、ラカさんです!」
「……あ、すみません」
ライルはルゥルがまじめに答えたので謝った。
「でも、ラカさん、荷物持ってきたよね?」
ロビンが思い出しながら言う。馬も連れてきていた。
「馬は内の前で草食べてます。荷物は居間でラカさんの帰りを待っています。水筒もです」
ロビンは頭を抱えた。水不足、つまり、脱水症状。
「あ、うん、ラカさん……捜索しないとね……。リシャール様はお父君が首を長くしてお待ちです」
「……え、この流れ、私たちも探そう! ですよね……」
「まあ、基本的には」
ロビンは溜息を吐くが、リシャールはにこりと笑う。
「ルゥルさん、ラカさんってどんな人ですか?」
「青いです」
背丈や髪など目立つ特徴について言う。
「その件……ラカさん、青龍の神官なんですよ」
ロビンが補足した。その瞬間、三人は青いという意味を理解した。
「分かりました。ラカさんが行きそうなところは?」
ルゥルもロビンも「さあ」と答えるのがやっとだった。
リプレイ本文
●まずは、どうするか
天央 観智(ka0896)はラカ・ベルフ(kz0240)の行方不明に関してどこにいそうというのは思いつかない。その上で、集まった人たちと手分けして探す手段に耳を傾ける。
「魔導短伝話等を登録しておきましょう。連絡がつくようにしておかないと、範囲は限られていると思いますが」
連絡を取れるようにしておくのは大切である。
「モニモニちゃんのため、よろしくお願いなのです」
ルゥル(kz0210)が頭を下げる。
「ラカさんの服装はわかりますか?」
「えっと、薄手の青いコートに青いワンピース……です」
ひとまず特徴は聞けた。
木綿花(ka6927)は「ルゥルちゃん、お久しぶりです。フレオちゃんもモニちゃんも」と挨拶をし、状況を聞く。
「モニモニちゃんがラカさんをぷいってしちゃったのです。ラカさんが号泣して、どこか行ってしまったのです」
「マッシュ様がモニちゃんと似ているから会えて嬉しい気持ちと、寂しい思いもあったんでしょうね」
ラカが逃げた理由を考えた。
「モニモニちゃんが心配なのです」
「まさか病気とか」
「違いますです」
ルゥルたちが可愛がっても、モニにストレスが溜まっているため、ラカが必要だと言う。
木綿花は安心させるように微笑んだ。
その横で、星野 ハナ(ka5852)はポリポリと頬を指で掻く。
「ラカちゃん、マッシュもモニも大好きですもんねぇ。ショック受けちゃいましたかぁ」
ハナはモニの頭を撫でる。
「マッシュの匂いがしてすねちゃいましたかぁ?」
「あたらちい子がいるでちかー?」
ルゥルはフェレ口調でいう。ハナは苦笑した。
「それでもラカちゃんはモニが大好きなんですぅ。もう二度と会えないヒトのことでラカちゃんはちょっと落ち込んでいるのでぇ、これはモニが大人になって、ラカちゃんを慰めてあげてくれませんかぁ?」
「仕方がないでち、です」
ルゥルがモニの前足を抱きながら脇の下からちょいちょいと動かしながら言う。
「モニのむかぷん気分はその分私たちに癒させてくださいぃ」
ルゥルがモニをうなずかせる。
「女の子を慰めるのは会話と甘いお菓子ですぅ。ライルにシール、この町で評判のお菓子知っていたりしますぅ?」
ハナに話を振られたライル・サヴィスとシールは首を横に振り、リシャール・べリンガーを見る。
「うっ!」
「君の父親の領地ですよねぇ」
「そのくらい知っていて当然だよねぇ」
二人にいじられる。
「あ、星野さん、そういうのならこれをどうぞ」
職員のロビン・ドルトスが商店街マップを渡してくれた。
「それ、私にもくださいなのー」
ディーナ・フェルミ(ka5843)が手を伸ばす。
「ルゥルちゃん、モニちゃんとフレオちゃんって何が好きなの? フェレットは知らない食材は急に食べないの。うちは鶏肉やトウモロコシ、カツブシ粉を猫餌と混ぜてあげているの。モニちゃんとフレオちゃんが好きな物買ってあげたいの」
ポケットからペットのフェレットをのぞかせる。
「モニモニちゃんは鳥のささみ湯がいたの食べるそうです」
「なるほど……」
それ以外はカリカリや動物用ジャーキーだという。
「皆で手分けして、ラカさん探しなのー」
ディーナの言葉の後、捜索隊は町に出た。
マリィア・バルデス(ka5848)はラカの状況を考えていた。
「マッシュがいなくなって寂しくなったところに、モニに見捨てられたようになって泣き出して逃げたってことかしら」
ラカの実年齢がマリィアの中で徐々に下がり、ルゥルくらいかと考えるまでに至った。
「ルゥル、一緒にラカを探しに行きましょうか。泣いた後なら、お菓子も必要だと思うから、商店で聞き込みをしながらおやつも買っていきましょう。ルゥルとフレオの分もね」
ルゥルの手をつなぐ。
●捜索
メイム(ka2290)はリシャールを「流れやノリはともかく、一応、龍園からのお客人でもあるし、捜索に参加するのは当然と思うよ」と連れていく。
リシャールに断る理由はない。
「南の林を目印に行くよー」
メイムの号令下移動中、リシャールが邪神との戦で何があったのかと問う。
「あ、それ、これなんだよ」
メイムは立ち止まるとPDAの記録を見せる。ラカが異世界の生き物を見てニコニコしているのが写っている。
「二本足で立ってたし、普通に会話で来たから厳密にはフェレットではないかもだけど」
「なるほど……猫とユグディラみたいな感じでしょうか?」
「あ、そっか……。で、邪神の問題が表てに出る前にもこの子と何度かラカさんが会っていたの」
「自分のペットを見て、色々考えてしまったんですね」
「だろうねー。でね、帰ってきたら、これ見せてモニをちゃかそうと思っていたのに、今は酷かなぁどう思う?」
「……フェレットですし、よくわからないのではないでしょうか」
リシャールは現実的な回答だった。
「……あー、ラカさんの方が泣いちゃうか……うん……探そう、まず」
聞き込みをしながら南に向かう。
南の林に到着すると、メイムは【天翔けるもの】や【ファミリアズアイ】を用いて大雑把に状況を把握する。子どもが遊んでいるのが見えた。
メイムはリシャールと合流すると、PDAを子どもたちに見せ「こんな感じの人見なかった?」と問うが反応は鈍かった。
「こっちには来なかったのかなー」
「町の外に出たなら、つながってますし……他の方の情報を待ってから戻りますか?」
「確かに」
連絡があるまで、見回った方がいいかもしれない。
観智は町の人たちに聞き込みを開始する。
「何かに乗って移動したとかではないから範囲は絞られているので助かりますけど」
この近辺にいるからこそ、ルゥルもラカの捜索を頼みやすい。
範囲は限られているし、町の中は人も多く、目撃者も多い可能性は高い。ルゥルがいる家を起点に調べていく。
「身長は170センチ弱で……金髪で長い髪、服装は全体的に青いです」
観智の説明にピンとくる町の人間もいた。総合すると、一直線に外に走り去っているが、馬車にぶつかりかけて方向転換している。そのあとも、何かにぶつかりそうになって方向を変えていた。
最終的に東に向かっているが、その先はわからない。連絡をした後、街中で捜索を続ける。
マリィアは聞き込みをしつつ、フェレットたちのおやつや、合流後みんなで飲食するためのジュースやクッキーなどを買う。
「この時期なら、キノコあるかもしれないわね。菌糸が好みそうよね」
北の林方面を目指す。
「前、大きなキノコがあったのです……でも、それより、ラカさんです」
「そうねぇ」
ルゥルがまじめに言う。マリィアは思わず微笑む。ラカは心配だが、治安が悪いわけではないため、必要以上の不安はない。
林では雑魔の状況や人の気配を探る。歪虚が減ったとはいえ、何があるかわからない。用心は必要だ。
ハナはライルとシールを引き留める。
「邪神戦で可愛い二足歩行のイタチに似たことお友達になってぇ、ジュデッカで永久の別れをしたんですぅ。それで、ラカちゃん寂しくなっちゃてたと思うのでぇ、よかったらライルやシールも一緒に慰めてくださいぃ」
「それは別にいいですよ」
「人手は必要ですし……」
ハナの説得に二人はうなずく。
「ひとまず、買い物をしつつ、東に向かって聞き込みです」
お茶会をするという宣言通り、菓子や飲み物を購入していく。
町の中で見つかったという連絡はない。そのため、東の林まで見に行く。林は静かで特に何かありそうではない。
ディーナはフェレット用や自分たち用のおやつを購入しつつ、聞き込みをしていく。
「私より十センチくらい背が高い、青い服のドラグーンの女の子見なかったの?」
見た人は街道の方にあっちにいったという指さす。結構前のことでその先はわからない。
町の外の目撃が物を言うかもしれなかった。
外に出ると牧草地の牛舎を目指した。
「牛乳はここで買えるの?」
牛飼いの人はその質問に「朝の分は町に出しちゃったからないよ」と告げる。
「それは仕方がないの……。ところで」
ラカについて聞く。
「うーん、直接は見ていないけど、犬が妙に吼えて、警戒はしていたよ?」
どうやら、何かはいたらしい。それがラカか通りすがりの狼か雑魔かはわからない。
「ありがとうなのー」
仲間には連絡を入れておき、周囲を見回ってから戻ることにした。
木綿花はルゥルにフェレット用品が購入できる店を問うたが、町の雑貨屋で猫用のを買うこともあると返答があった。
「ラカ様、動物好きのようですから、牧草地の方へ向かい、町の方にお声掛けして目撃情報をたどりましょう」
目撃情報はなくはなかった。牧草地の方に行く途中、ラカやペットたちとくつろげる店があるか見ていく。
仲間から連絡では東に行ったという。しかし、町の外に出て、牧草地に入れば移動はあちこち可能だ。
「いるということ前提で探しましょう」
牧草地を前にすると柴犬のポチがわくわくしている。牛や馬が近くにいないことを確認して走ってもいいと伝えた。ポチは走り出す。その様子を桜型妖精アリスのルタはじっと見つめる。
「ルタも行ってもいいですよ?」
ルタは悩む仕草をしている。
その時、犬の喜ぶ声と、聞き覚えのある声がした。
「え? ポチ? ラカ様?」
木綿花は走る。道の脇にある物陰に柴犬に吹っ飛ばされてうごめく青い物体があった。
「……ああ、ポチ、駄目です! ああ、ラカ様」
木綿花はポチを引き離し、ラカが起き上がるのに手を貸す。
ラカは木綿花を見てじっと黙っている。
「ラカ様、無事でよかったです。モニちゃんのところに戻りましょう」
木綿花は仲間に連絡を取った。
ラカがしおれたままなので、持参したコケモモ茶を勧める。ラカが動くのを待つのだった。
●お茶会
木綿花がラカを連れて戻ってきた。
「ラカちゃん、元気出してくださいぃ」
ハナがぎゅーとラカにハグをする。
「……私が駄目な飼い主なばかりに」
「モニちゃんと離れてた分、またゆっくりお友達になればいいと思うの」
ディーナはラカに言う。
「そうですよぅ。お茶会しましょう。甘いものを食べて、おいしいお茶を飲んで、気持ちをおちつかせましょう」
「ラカ様、マッシュ様はあんな感じで今もどこかで頑張っているのでしょう」
ハナに続き、木綿花が言う。
あの後、どうなったかは誰もわからない。ただ、会えないという事実だけはある。
「待ってたでちーです」
ルゥルがラカにモニを押し付ける。
「ルゥル……それは、モニにも悪いわよ。ほら、ラカ、心配したのはモニも一緒よ」
マリィアはラカの頭をポンポンと撫でる。ラカはルゥルが押し付けるモニを自然と抱く。
モニはじっとラカを見つめ、ラカはモニをじっと見つめる。目が潤むラカにモニは下せコールをやめて、じっとする。
「ラカさん、恐くないのですー、モニモニちゃんは今、ここにいるのです」
ルゥルは告げる。
「お茶会をするのはいいですが……どこでするんですか?」
観智が確認する、飲食店に行くのか、どこか良いところはあるのだろうかと。
リシャールがすたすたとオフィスに行く。そして交渉結果、手招きをしていた。
「……人はいないみたいだね」
メイムは溜息を吐くロビンを見た。
ラカはしょんぼりと座る中、木綿花は寄り添う。
「確かにモニちゃんはマッシュ様に似てますね、毛並みが。……私も寂しいけれど、こうしてのんきな顔のポチを撫でると元気になってきます」
木綿花はポチを撫でる。ポチは「話題にされた! 何? 偉い?」というように顔を上げてくる。その顔は確かにのんきだ。
ハナはお茶をカップに注ぎ「お砂糖と牛乳はどうしますぅ」とラカに問う。個数を入れて、溶かしてから前に置く。ラカは少しすすった。
一方、モニは接待を受ける。とはいえ、食べられるおやつの量は限られるので、ラカに持たせて今後役立ててもらうことになるだろう。
「モニモニちゃんもフレオも喜んでいます。モニモニちゃんはこっちが好きですかぁ」
ルゥルはフェレットの気持ちを代弁するようにしゃべっている。
「モニちゃん、食いつきがいいの」
ディーナはささみを少しやるとモニは喰いついた。一方で、フレオは興味がなかったようだが、モニが食べているのを見て口に含んでいる。
「これはっ! 争奪戦になるのっ」
「でも、『僕、おなか一杯でちー』とモニモニちゃんは思っています!」
「なるほど」
ディーナとルゥルはしゃべっている。
「それにしても、どうやってあれだけ詳細に意思が汲めるんだろう?」
メイムは疑問に持つ。
「キノコレポだけでなく、十分論文発表できる技術だよね」
メイムが観察していると「おいしかったのでちーと言っているのです」とルゥルは言っている。
「……あ、これ、こう思っていそう、ってやつかな」
メイムの言葉にリシャールがうなずいている。
「なぜ、語尾が『でち』なんでしょうか。イタチのチ?」
観智にはリシャールはわからないと首を横に振った。
雑談の間、ラカはスンスンと鼻をすする。
(そういえば、号泣どころか泣いていないじゃない? 泣いていると言えば泣いているけど……)
マリィアはラカが静かなことに気づいた。鼻をすすっているから涙は出ているのだろう。
「ラカ、泣きたいなら、しっかり泣いていいのよ? 恥ずかしいとか思わなくていいわよ? だって、ラカが悲しいだろう、寂しいだろうというのはわかっているし」
マリィアが告げると、周りの者がうなずく。
「うっ」
マリィアが頭を撫でると、ラカはぼろぼろと涙をこぼした。
シールが静かにハンカチを手渡す。
しばらくラカの嗚咽とともに救うことの意味は分かっていたが、どこかやりきれないということをぽつぽつ話す。
ハンターたちは聞き手に回る。
しばらくして、ラカが落ち着いたとき、膝にいたモニが心配そうに見上げる。ラカが抱き締めるとモニは必死にラカの頬をなめる。
ラカとモニの問題は解決した。
お茶会と話が再開される。これまでのことこれからのことなど、脈絡なく会話が紡がれる。
「そうなの、リシャール君はここの領主さんのお子さん。イノア様のところにいたのは、お見合いだったの?」
ディーナの言葉に、リシャールが驚き、否定と説明をする。一方、一緒に行動していたシールとライルは笑うだけで何も言わない。
「ラカちゃん! 私はドラグーンのお嫁さんになりたい人なのでぇ、これからも仲良くしてくださいねぇ」
ハナの言葉にラカはうなずいているが、思い人に対しては言及がなかった。
「ラカ様のところに遊びに行って良いですか? モニちゃんにも会いたいですし」
木綿花にラカは「いつでもどうぞ」と言う。
飲食物がなくなると、解散だ。
ラカは荷物を取りにルゥルの家に行かないといけない。
別れ際にハンターに礼を述べた、前を向きな微笑を浮かべて。
天央 観智(ka0896)はラカ・ベルフ(kz0240)の行方不明に関してどこにいそうというのは思いつかない。その上で、集まった人たちと手分けして探す手段に耳を傾ける。
「魔導短伝話等を登録しておきましょう。連絡がつくようにしておかないと、範囲は限られていると思いますが」
連絡を取れるようにしておくのは大切である。
「モニモニちゃんのため、よろしくお願いなのです」
ルゥル(kz0210)が頭を下げる。
「ラカさんの服装はわかりますか?」
「えっと、薄手の青いコートに青いワンピース……です」
ひとまず特徴は聞けた。
木綿花(ka6927)は「ルゥルちゃん、お久しぶりです。フレオちゃんもモニちゃんも」と挨拶をし、状況を聞く。
「モニモニちゃんがラカさんをぷいってしちゃったのです。ラカさんが号泣して、どこか行ってしまったのです」
「マッシュ様がモニちゃんと似ているから会えて嬉しい気持ちと、寂しい思いもあったんでしょうね」
ラカが逃げた理由を考えた。
「モニモニちゃんが心配なのです」
「まさか病気とか」
「違いますです」
ルゥルたちが可愛がっても、モニにストレスが溜まっているため、ラカが必要だと言う。
木綿花は安心させるように微笑んだ。
その横で、星野 ハナ(ka5852)はポリポリと頬を指で掻く。
「ラカちゃん、マッシュもモニも大好きですもんねぇ。ショック受けちゃいましたかぁ」
ハナはモニの頭を撫でる。
「マッシュの匂いがしてすねちゃいましたかぁ?」
「あたらちい子がいるでちかー?」
ルゥルはフェレ口調でいう。ハナは苦笑した。
「それでもラカちゃんはモニが大好きなんですぅ。もう二度と会えないヒトのことでラカちゃんはちょっと落ち込んでいるのでぇ、これはモニが大人になって、ラカちゃんを慰めてあげてくれませんかぁ?」
「仕方がないでち、です」
ルゥルがモニの前足を抱きながら脇の下からちょいちょいと動かしながら言う。
「モニのむかぷん気分はその分私たちに癒させてくださいぃ」
ルゥルがモニをうなずかせる。
「女の子を慰めるのは会話と甘いお菓子ですぅ。ライルにシール、この町で評判のお菓子知っていたりしますぅ?」
ハナに話を振られたライル・サヴィスとシールは首を横に振り、リシャール・べリンガーを見る。
「うっ!」
「君の父親の領地ですよねぇ」
「そのくらい知っていて当然だよねぇ」
二人にいじられる。
「あ、星野さん、そういうのならこれをどうぞ」
職員のロビン・ドルトスが商店街マップを渡してくれた。
「それ、私にもくださいなのー」
ディーナ・フェルミ(ka5843)が手を伸ばす。
「ルゥルちゃん、モニちゃんとフレオちゃんって何が好きなの? フェレットは知らない食材は急に食べないの。うちは鶏肉やトウモロコシ、カツブシ粉を猫餌と混ぜてあげているの。モニちゃんとフレオちゃんが好きな物買ってあげたいの」
ポケットからペットのフェレットをのぞかせる。
「モニモニちゃんは鳥のささみ湯がいたの食べるそうです」
「なるほど……」
それ以外はカリカリや動物用ジャーキーだという。
「皆で手分けして、ラカさん探しなのー」
ディーナの言葉の後、捜索隊は町に出た。
マリィア・バルデス(ka5848)はラカの状況を考えていた。
「マッシュがいなくなって寂しくなったところに、モニに見捨てられたようになって泣き出して逃げたってことかしら」
ラカの実年齢がマリィアの中で徐々に下がり、ルゥルくらいかと考えるまでに至った。
「ルゥル、一緒にラカを探しに行きましょうか。泣いた後なら、お菓子も必要だと思うから、商店で聞き込みをしながらおやつも買っていきましょう。ルゥルとフレオの分もね」
ルゥルの手をつなぐ。
●捜索
メイム(ka2290)はリシャールを「流れやノリはともかく、一応、龍園からのお客人でもあるし、捜索に参加するのは当然と思うよ」と連れていく。
リシャールに断る理由はない。
「南の林を目印に行くよー」
メイムの号令下移動中、リシャールが邪神との戦で何があったのかと問う。
「あ、それ、これなんだよ」
メイムは立ち止まるとPDAの記録を見せる。ラカが異世界の生き物を見てニコニコしているのが写っている。
「二本足で立ってたし、普通に会話で来たから厳密にはフェレットではないかもだけど」
「なるほど……猫とユグディラみたいな感じでしょうか?」
「あ、そっか……。で、邪神の問題が表てに出る前にもこの子と何度かラカさんが会っていたの」
「自分のペットを見て、色々考えてしまったんですね」
「だろうねー。でね、帰ってきたら、これ見せてモニをちゃかそうと思っていたのに、今は酷かなぁどう思う?」
「……フェレットですし、よくわからないのではないでしょうか」
リシャールは現実的な回答だった。
「……あー、ラカさんの方が泣いちゃうか……うん……探そう、まず」
聞き込みをしながら南に向かう。
南の林に到着すると、メイムは【天翔けるもの】や【ファミリアズアイ】を用いて大雑把に状況を把握する。子どもが遊んでいるのが見えた。
メイムはリシャールと合流すると、PDAを子どもたちに見せ「こんな感じの人見なかった?」と問うが反応は鈍かった。
「こっちには来なかったのかなー」
「町の外に出たなら、つながってますし……他の方の情報を待ってから戻りますか?」
「確かに」
連絡があるまで、見回った方がいいかもしれない。
観智は町の人たちに聞き込みを開始する。
「何かに乗って移動したとかではないから範囲は絞られているので助かりますけど」
この近辺にいるからこそ、ルゥルもラカの捜索を頼みやすい。
範囲は限られているし、町の中は人も多く、目撃者も多い可能性は高い。ルゥルがいる家を起点に調べていく。
「身長は170センチ弱で……金髪で長い髪、服装は全体的に青いです」
観智の説明にピンとくる町の人間もいた。総合すると、一直線に外に走り去っているが、馬車にぶつかりかけて方向転換している。そのあとも、何かにぶつかりそうになって方向を変えていた。
最終的に東に向かっているが、その先はわからない。連絡をした後、街中で捜索を続ける。
マリィアは聞き込みをしつつ、フェレットたちのおやつや、合流後みんなで飲食するためのジュースやクッキーなどを買う。
「この時期なら、キノコあるかもしれないわね。菌糸が好みそうよね」
北の林方面を目指す。
「前、大きなキノコがあったのです……でも、それより、ラカさんです」
「そうねぇ」
ルゥルがまじめに言う。マリィアは思わず微笑む。ラカは心配だが、治安が悪いわけではないため、必要以上の不安はない。
林では雑魔の状況や人の気配を探る。歪虚が減ったとはいえ、何があるかわからない。用心は必要だ。
ハナはライルとシールを引き留める。
「邪神戦で可愛い二足歩行のイタチに似たことお友達になってぇ、ジュデッカで永久の別れをしたんですぅ。それで、ラカちゃん寂しくなっちゃてたと思うのでぇ、よかったらライルやシールも一緒に慰めてくださいぃ」
「それは別にいいですよ」
「人手は必要ですし……」
ハナの説得に二人はうなずく。
「ひとまず、買い物をしつつ、東に向かって聞き込みです」
お茶会をするという宣言通り、菓子や飲み物を購入していく。
町の中で見つかったという連絡はない。そのため、東の林まで見に行く。林は静かで特に何かありそうではない。
ディーナはフェレット用や自分たち用のおやつを購入しつつ、聞き込みをしていく。
「私より十センチくらい背が高い、青い服のドラグーンの女の子見なかったの?」
見た人は街道の方にあっちにいったという指さす。結構前のことでその先はわからない。
町の外の目撃が物を言うかもしれなかった。
外に出ると牧草地の牛舎を目指した。
「牛乳はここで買えるの?」
牛飼いの人はその質問に「朝の分は町に出しちゃったからないよ」と告げる。
「それは仕方がないの……。ところで」
ラカについて聞く。
「うーん、直接は見ていないけど、犬が妙に吼えて、警戒はしていたよ?」
どうやら、何かはいたらしい。それがラカか通りすがりの狼か雑魔かはわからない。
「ありがとうなのー」
仲間には連絡を入れておき、周囲を見回ってから戻ることにした。
木綿花はルゥルにフェレット用品が購入できる店を問うたが、町の雑貨屋で猫用のを買うこともあると返答があった。
「ラカ様、動物好きのようですから、牧草地の方へ向かい、町の方にお声掛けして目撃情報をたどりましょう」
目撃情報はなくはなかった。牧草地の方に行く途中、ラカやペットたちとくつろげる店があるか見ていく。
仲間から連絡では東に行ったという。しかし、町の外に出て、牧草地に入れば移動はあちこち可能だ。
「いるということ前提で探しましょう」
牧草地を前にすると柴犬のポチがわくわくしている。牛や馬が近くにいないことを確認して走ってもいいと伝えた。ポチは走り出す。その様子を桜型妖精アリスのルタはじっと見つめる。
「ルタも行ってもいいですよ?」
ルタは悩む仕草をしている。
その時、犬の喜ぶ声と、聞き覚えのある声がした。
「え? ポチ? ラカ様?」
木綿花は走る。道の脇にある物陰に柴犬に吹っ飛ばされてうごめく青い物体があった。
「……ああ、ポチ、駄目です! ああ、ラカ様」
木綿花はポチを引き離し、ラカが起き上がるのに手を貸す。
ラカは木綿花を見てじっと黙っている。
「ラカ様、無事でよかったです。モニちゃんのところに戻りましょう」
木綿花は仲間に連絡を取った。
ラカがしおれたままなので、持参したコケモモ茶を勧める。ラカが動くのを待つのだった。
●お茶会
木綿花がラカを連れて戻ってきた。
「ラカちゃん、元気出してくださいぃ」
ハナがぎゅーとラカにハグをする。
「……私が駄目な飼い主なばかりに」
「モニちゃんと離れてた分、またゆっくりお友達になればいいと思うの」
ディーナはラカに言う。
「そうですよぅ。お茶会しましょう。甘いものを食べて、おいしいお茶を飲んで、気持ちをおちつかせましょう」
「ラカ様、マッシュ様はあんな感じで今もどこかで頑張っているのでしょう」
ハナに続き、木綿花が言う。
あの後、どうなったかは誰もわからない。ただ、会えないという事実だけはある。
「待ってたでちーです」
ルゥルがラカにモニを押し付ける。
「ルゥル……それは、モニにも悪いわよ。ほら、ラカ、心配したのはモニも一緒よ」
マリィアはラカの頭をポンポンと撫でる。ラカはルゥルが押し付けるモニを自然と抱く。
モニはじっとラカを見つめ、ラカはモニをじっと見つめる。目が潤むラカにモニは下せコールをやめて、じっとする。
「ラカさん、恐くないのですー、モニモニちゃんは今、ここにいるのです」
ルゥルは告げる。
「お茶会をするのはいいですが……どこでするんですか?」
観智が確認する、飲食店に行くのか、どこか良いところはあるのだろうかと。
リシャールがすたすたとオフィスに行く。そして交渉結果、手招きをしていた。
「……人はいないみたいだね」
メイムは溜息を吐くロビンを見た。
ラカはしょんぼりと座る中、木綿花は寄り添う。
「確かにモニちゃんはマッシュ様に似てますね、毛並みが。……私も寂しいけれど、こうしてのんきな顔のポチを撫でると元気になってきます」
木綿花はポチを撫でる。ポチは「話題にされた! 何? 偉い?」というように顔を上げてくる。その顔は確かにのんきだ。
ハナはお茶をカップに注ぎ「お砂糖と牛乳はどうしますぅ」とラカに問う。個数を入れて、溶かしてから前に置く。ラカは少しすすった。
一方、モニは接待を受ける。とはいえ、食べられるおやつの量は限られるので、ラカに持たせて今後役立ててもらうことになるだろう。
「モニモニちゃんもフレオも喜んでいます。モニモニちゃんはこっちが好きですかぁ」
ルゥルはフェレットの気持ちを代弁するようにしゃべっている。
「モニちゃん、食いつきがいいの」
ディーナはささみを少しやるとモニは喰いついた。一方で、フレオは興味がなかったようだが、モニが食べているのを見て口に含んでいる。
「これはっ! 争奪戦になるのっ」
「でも、『僕、おなか一杯でちー』とモニモニちゃんは思っています!」
「なるほど」
ディーナとルゥルはしゃべっている。
「それにしても、どうやってあれだけ詳細に意思が汲めるんだろう?」
メイムは疑問に持つ。
「キノコレポだけでなく、十分論文発表できる技術だよね」
メイムが観察していると「おいしかったのでちーと言っているのです」とルゥルは言っている。
「……あ、これ、こう思っていそう、ってやつかな」
メイムの言葉にリシャールがうなずいている。
「なぜ、語尾が『でち』なんでしょうか。イタチのチ?」
観智にはリシャールはわからないと首を横に振った。
雑談の間、ラカはスンスンと鼻をすする。
(そういえば、号泣どころか泣いていないじゃない? 泣いていると言えば泣いているけど……)
マリィアはラカが静かなことに気づいた。鼻をすすっているから涙は出ているのだろう。
「ラカ、泣きたいなら、しっかり泣いていいのよ? 恥ずかしいとか思わなくていいわよ? だって、ラカが悲しいだろう、寂しいだろうというのはわかっているし」
マリィアが告げると、周りの者がうなずく。
「うっ」
マリィアが頭を撫でると、ラカはぼろぼろと涙をこぼした。
シールが静かにハンカチを手渡す。
しばらくラカの嗚咽とともに救うことの意味は分かっていたが、どこかやりきれないということをぽつぽつ話す。
ハンターたちは聞き手に回る。
しばらくして、ラカが落ち着いたとき、膝にいたモニが心配そうに見上げる。ラカが抱き締めるとモニは必死にラカの頬をなめる。
ラカとモニの問題は解決した。
お茶会と話が再開される。これまでのことこれからのことなど、脈絡なく会話が紡がれる。
「そうなの、リシャール君はここの領主さんのお子さん。イノア様のところにいたのは、お見合いだったの?」
ディーナの言葉に、リシャールが驚き、否定と説明をする。一方、一緒に行動していたシールとライルは笑うだけで何も言わない。
「ラカちゃん! 私はドラグーンのお嫁さんになりたい人なのでぇ、これからも仲良くしてくださいねぇ」
ハナの言葉にラカはうなずいているが、思い人に対しては言及がなかった。
「ラカ様のところに遊びに行って良いですか? モニちゃんにも会いたいですし」
木綿花にラカは「いつでもどうぞ」と言う。
飲食物がなくなると、解散だ。
ラカは荷物を取りにルゥルの家に行かないといけない。
別れ際にハンターに礼を述べた、前を向きな微笑を浮かべて。
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ご相談 木綿花(ka6927) ドラグーン|21才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2019/09/02 22:21:05 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/09/02 07:17:14 |