ゲスト
(ka0000)
知追う者、日常生活を目指す
マスター:狐野径
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 3~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2019/09/10 19:00
- 完成日
- 2019/09/18 01:18
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●日常へ
エトファリカ連邦国の天ノ都から徒歩で二日ほど行ったところにある地域・師岬。そこでも例外なくシェオル型や妖怪との戦はあった。邪神との決着が少し遅ければ被害が大きくなっていたかもしれないという状況だった。
突然何かが変わったという気がしないために、とりあえず、なんとなく終わったんだという気持ちだった。まず人々を襲ったのは疲労だった。
そんな中、地域のトップたる大江 紅葉が高熱で寝込んだのは大江家にとっては想定内だという、むろん、心配はしていたが、表だって騒がないのは、他の家や民のためというのもあるだろう。
一週間すると紅葉は復活をする。まずはペットのウサギの世話という軽い物から始まり、柴犬の世話に続く。後者はただ撫でるだけ。
体力が回復すると紅葉は動き回る。
必要なところに必要なものを置くことが、地域活性化の重要課題だと考えている。
その結果、一つ、紅葉の結婚式をどうするかということを突き付けられていた。
紅葉と松永 光頼は結婚する旨は家同士および紅葉の上司である吉備 灯世には言ってある。
それに、里の人たちは感じ取って、なんとなく噂に上げている。いつ正式発表があるかとそわそわしているのだった。
「今、それどころではないですよ……まずは、秋の収穫を目指さないと……畑としてはまだ浅いのでどれだけとれるか、来年はどうするかということです。戦いの時、それほど被害がなかったとはいえ」
紅葉の言葉に夫となる光頼も同意する。
「そうです! バンジーで結婚式はどうですか! それなら、一瞬で終わります!」
光頼、高いところ大丈夫だけど、柵がないと、本当に一瞬で逝きかねない。
「く、紅葉……その、それはやめて、後日、ゆっくりと宴形式の方がいいと思う……よ」
光頼は真っ青で告げる。
「そうですよ! 年末に宴会でも、来年の収穫祭でも! そもそも、公表だけでもいいはずです」
紅葉がしっかり光頼の言葉に乗る。その背景は知らないが。
「だから、まず必要なのは、冬も快適に過ごせる場所に整えることです。それに、南の方の妖怪は来ないとは限りません。その防御などを考える必要があるのです」
紅葉は必要なこと一覧を家臣たちや光頼に見せる。
「分かりました」
「さすが、宗主です」
家臣たちはまなじりを抑えたりしつつ、感心していた。
「都にもいかないとですね……」
「あちらの屋敷もどうにかしないといけな……ん? そういえば、三家合同はどうするんですか?」
屋敷が壊れとか、今後どうなるか分からないということで、住居の軸を師岬に移していた。そのた、大江・吉備・松永の三家は都勤めのあるメンバーの宿として、無事だった旧大江家を再生する道を選んでいた。
戦いも終わったとなると、状況は変わる。
「それは師匠を含め話します」
光頼はその答えにうなずく。
今いきなり必要なことではない。ただ、考える必要があるのも事実だった。
●建設的に建設資材
「建設用資材を取りに行きます! まだ、雑魔は出る可能性があるため、ハンターも雇います」
紅葉がてきぱきと要件を決める。
「竹はたくさんありますし足場にはもってこいです。それに手入れすることで良き竹林になるはずです」
建築資材の木や石は別途集める必要はあるだろう。竹があることで足場になるし、別の物にも活用はできる。
「基本的に切り出しや運び出しは里の者でしますが、警備とか警備とか警備とかはハンターの方に頼みます」
「紅葉……警備しか言っていない……」
横で光頼が頭を抑えた。警備も重要だが、そこまで危険はないだろうという思いもある。しかし、用心は必要である。何かがあってからでは遅い。
「準備をするのです!」
依頼の内容やら、出かける準備やらし始めるのだった。
「筍生えてますでしょうか」
不意に紅葉は言う。
「無理です」
「そうですよね……生えてると、動いていそうですね」
「……」
光頼は嫌な予感がする。それはまあありうることだろう、雑魔化する何かは。
光頼は一緒に行くため、見回りはきちんとしようと心に決めるのだった。
竹取をする日、空は青く晴れ渡る。
弁当をもって現地に向かう。
一応、竹をとる道具などの荷物も考え、紅葉が魔導トラックを出した。
「出発です」
紅葉は意気揚々とトラックの運転席に座った。
この瞬間、見送りに出ていた柴犬たちは一目散に逃げだした。虎猫たちは屋根の上から見ていた。
大江家の家臣が、さりげなく光頼の馬の手綱を引いて、トラックから離す。
光頼が何か言うよりも早く、急発進するトラック。
その瞬間、光頼の表情がひきつった。
「到着時も離れてくださいませ……」
遠い目をする大江家の家臣。
「……あ、ああ……」
光頼は自分が運転できるようになる必要性を感じるのだった。
それ以外は特に問題のない竹取遠征への出発であった。
エトファリカ連邦国の天ノ都から徒歩で二日ほど行ったところにある地域・師岬。そこでも例外なくシェオル型や妖怪との戦はあった。邪神との決着が少し遅ければ被害が大きくなっていたかもしれないという状況だった。
突然何かが変わったという気がしないために、とりあえず、なんとなく終わったんだという気持ちだった。まず人々を襲ったのは疲労だった。
そんな中、地域のトップたる大江 紅葉が高熱で寝込んだのは大江家にとっては想定内だという、むろん、心配はしていたが、表だって騒がないのは、他の家や民のためというのもあるだろう。
一週間すると紅葉は復活をする。まずはペットのウサギの世話という軽い物から始まり、柴犬の世話に続く。後者はただ撫でるだけ。
体力が回復すると紅葉は動き回る。
必要なところに必要なものを置くことが、地域活性化の重要課題だと考えている。
その結果、一つ、紅葉の結婚式をどうするかということを突き付けられていた。
紅葉と松永 光頼は結婚する旨は家同士および紅葉の上司である吉備 灯世には言ってある。
それに、里の人たちは感じ取って、なんとなく噂に上げている。いつ正式発表があるかとそわそわしているのだった。
「今、それどころではないですよ……まずは、秋の収穫を目指さないと……畑としてはまだ浅いのでどれだけとれるか、来年はどうするかということです。戦いの時、それほど被害がなかったとはいえ」
紅葉の言葉に夫となる光頼も同意する。
「そうです! バンジーで結婚式はどうですか! それなら、一瞬で終わります!」
光頼、高いところ大丈夫だけど、柵がないと、本当に一瞬で逝きかねない。
「く、紅葉……その、それはやめて、後日、ゆっくりと宴形式の方がいいと思う……よ」
光頼は真っ青で告げる。
「そうですよ! 年末に宴会でも、来年の収穫祭でも! そもそも、公表だけでもいいはずです」
紅葉がしっかり光頼の言葉に乗る。その背景は知らないが。
「だから、まず必要なのは、冬も快適に過ごせる場所に整えることです。それに、南の方の妖怪は来ないとは限りません。その防御などを考える必要があるのです」
紅葉は必要なこと一覧を家臣たちや光頼に見せる。
「分かりました」
「さすが、宗主です」
家臣たちはまなじりを抑えたりしつつ、感心していた。
「都にもいかないとですね……」
「あちらの屋敷もどうにかしないといけな……ん? そういえば、三家合同はどうするんですか?」
屋敷が壊れとか、今後どうなるか分からないということで、住居の軸を師岬に移していた。そのた、大江・吉備・松永の三家は都勤めのあるメンバーの宿として、無事だった旧大江家を再生する道を選んでいた。
戦いも終わったとなると、状況は変わる。
「それは師匠を含め話します」
光頼はその答えにうなずく。
今いきなり必要なことではない。ただ、考える必要があるのも事実だった。
●建設的に建設資材
「建設用資材を取りに行きます! まだ、雑魔は出る可能性があるため、ハンターも雇います」
紅葉がてきぱきと要件を決める。
「竹はたくさんありますし足場にはもってこいです。それに手入れすることで良き竹林になるはずです」
建築資材の木や石は別途集める必要はあるだろう。竹があることで足場になるし、別の物にも活用はできる。
「基本的に切り出しや運び出しは里の者でしますが、警備とか警備とか警備とかはハンターの方に頼みます」
「紅葉……警備しか言っていない……」
横で光頼が頭を抑えた。警備も重要だが、そこまで危険はないだろうという思いもある。しかし、用心は必要である。何かがあってからでは遅い。
「準備をするのです!」
依頼の内容やら、出かける準備やらし始めるのだった。
「筍生えてますでしょうか」
不意に紅葉は言う。
「無理です」
「そうですよね……生えてると、動いていそうですね」
「……」
光頼は嫌な予感がする。それはまあありうることだろう、雑魔化する何かは。
光頼は一緒に行くため、見回りはきちんとしようと心に決めるのだった。
竹取をする日、空は青く晴れ渡る。
弁当をもって現地に向かう。
一応、竹をとる道具などの荷物も考え、紅葉が魔導トラックを出した。
「出発です」
紅葉は意気揚々とトラックの運転席に座った。
この瞬間、見送りに出ていた柴犬たちは一目散に逃げだした。虎猫たちは屋根の上から見ていた。
大江家の家臣が、さりげなく光頼の馬の手綱を引いて、トラックから離す。
光頼が何か言うよりも早く、急発進するトラック。
その瞬間、光頼の表情がひきつった。
「到着時も離れてくださいませ……」
遠い目をする大江家の家臣。
「……あ、ああ……」
光頼は自分が運転できるようになる必要性を感じるのだった。
それ以外は特に問題のない竹取遠征への出発であった。
リプレイ本文
●出発前
玲瓏(ka7114)は出発前に大江 紅葉(kz0163)や松永 光頼にあいさつをする。
「松永様、お久しゅうございます。紅葉様はお初にお目にかかります。どうぞよしなしに……。ご成婚のこと心からお喜び申し上げます」
「ご丁寧にありがとうございます」
紅葉と光頼の声がひっくり返る。
星野 ハナ(ka5852)は血涙を流しながら、祝福を口にする。
「紅葉さんがとうとう結婚……おめでとうございますぅ、うらやましくなんかないですよぅ、くぅううう」
紅葉は慰めるのも礼を述べるも難しく、苦笑しながらハナの肩をぽんぽんと抱いた。
「本日はお弁当を手伝いました。あと、大樽一つに水を入れて、柄杓を何個か持っていたほうがよくありませんか? 皆さんが作業中に喉が渇いたらそのままぐびっと飲めますしぃ」
ハナは依頼に関わる方は的確に行動している。
水入りの樽は、馬などが曳く荷台に積まれた。
レイア・アローネ(ka4082)は紅葉達の様子を見ていると自然と表情が緩む。仕事では必要そうな物に気を配り、周囲への警戒を意識する。
「のどかだなぁ」
ついこの間まで激しい戦闘があったとは思えない光景だった。
出発準備が整うと、魔導トラックが勢いよく飛び出す。
ハンス・ラインフェルト(ka6750)は穂積 智里(ka6819)ともに、魔導トラックに巻き込まれない位置にいる。
「復路が怖いですねぇ」
「竹、積むんでしょうか?」
どれだけしっかり積んでも崩れそうな気がした。
メイム(ka2290)は馬を走らせる光頼と並ぶ。
「少々馬で急いだからって、アクセル全開のくれはさんには追い付けないわけだけどー。たどり着いたら魔導トラック、街路の下に滑落していそうだよねー。きっと紅葉さんは無傷だろうけど」
なんとなくおちを想像していた。
「滑落する場所はないはずだ」
「それなら安心だね」
メイムはそう答えながら「事件が起こらないわけがない」と感じていた。
●移動中
スタートはあれだけれども、紅葉は一応、他の者の移動速度に合わせてゆっくり走らせている。
ハナは魔導ママチャリを並走させる。
「いろいろ紅葉さんにはお世話になりましたしぃ、何か欲しいものがあったらできる範囲でプレゼントしますよぅ、生涯一度のお祝い事ですしぃ」
紅葉が目を真ん丸にして、ハナを見る。
「紅葉さぁん、前見て運転してくださいぃいいい!」
ハナは蛇行するトラックに巻き込まれるところだった。
「すみません、変なこと聞いた気がしたので」
「……結婚式が変なこと」
真っ赤な顔で紅葉はハナを見る。
「恥ずかしいのはわかりました! 前見て運転してくださいぃ」
ハナから悲鳴が上がる。
「免許制度があれば、確実に取り上げですね」
「どうして、うまくならないんでしょうか……」
「本人がうまいと思っているからですよ。大きな事故は起こしていませんし」
「大きな事故……生き物は轢いていないんですよね」
ハンスと智里はかつて助言や練習やらに付き合ったことがある気がするが、敗北感を覚える。轢いていないとはえ、トラック本体や当てられた壁などはへこむ。
「あの発進の仕方だから、すごい勢いで行くのかと思ってたよ。予想できない運転だから、動物たちは逃げるのかも?」
メイムは予想が外れそうだが、違う意味で怖いものを見ている。里で虎猫や柴犬は紅葉がトラックに乗った直後逃げた。本能がそうさせるのだろう。
「護衛なら、先頭としんがりで別れてと思いましたけど……下手に前を行くと……」
玲瓏は提案をし損ねていたが、もし提案していたら、誰か轢かれている現在があったかもしれない。
「あの勢いだと、前に雑魔がいたら、突撃しそうだな……いや、それはそれで問題が……」
レイアは頭を抱えたくなる。
「帰りこそ動きが鈍くなる。竹をとるのだから……」
護衛として現実的なことを考えつつ、紅葉のトラックの蛇行を見つめた。
●竹林での探索
レイアは荷物を下しながら、周囲を警戒する。竹林では隠れる所もあるだろう。動物ならば人間が来たことで相手が警戒し逃げることもあるだろう。雑魔や歪虚などの類であれば、問答無用で襲ってくる可能性もある。里人が多い状況では非常に危険だ。
光頼が弓を背負って移動していくため、レイアは声をかける。
「どこをどう見てくるんだ?」
「それほど離れないが、一周して戻ってくる」
作業する里人が見える位置だ。
「何かあったら言ってくれ、すぐに行くから」
「うむ」
光頼は出かけようとしたところにハンスと智里が来る。
「ああ、それならば、私もご一緒させてください」
「私も一緒に行きますっ!」
智里はハンスの近くにいたいと考えいたため慌てて手を上げる。
さほど広い範囲でもないし、独りで行動するより複数の方がいいため、光頼が断る理由がなかった。
レイアは三人を見送り、彼らの目が届かない方向を見る。
作業をする人たちの声に、風が吹くと竹が揺れる音が加わる。
「ここから見える範囲、見ておこうかな……飛んで、あんず」
メイムは桜型妖精アリスのあんずで【ファミリアズアイ】を用いた。あんずは何か言いたげな様子で、渋々飛んでいった。
あんずの目を通して見える景色は、特に問題はなさそうだ。
「くれはさんや里の人が移動するときは要注意かな」
戻ってきたあんずをねぎらいつつ、メイムは考えた。そのあと、伐採を手伝うのだった。
紅葉はねこじゃらしの採取を始めている。
玲瓏は紅葉の様子をうかがう。病み上がりと言う話を聞いているため、医師という立場から気になるのだった。護衛であるならば、依頼人の体調も重要な守るべきことである。
「紅葉様、お水飲みませんか? 竹林を駆ける風は涼しいですが、油断はできません」
水にはちみつを少し入れる。
「ありがとうございます」
紅葉は素直に飲む。
「竹は何に使われるのですか?」
「建築資材に使います。足場にしたり、床や天井にもつかえます」
小さい竹も紅葉は集めている。
「これは、猫がじゃれます」
「猫が中心ですね」
「そうです……というのは半分冗談ですが、こういうのもかご作りの練習とかに使えますし」
玲瓏は紅葉が竹をもてあそぶのを見てうなずく。ねこじゃらしを集める理由は不明だが、虎猫がたくさんいるのを見ているため、納得したことにする。
「そういえば、外国旅行したときぃ、竹で高層ビルの足場組んでいるのを見たことがあるんですよねぇ。台風も地震もないんだろうなぁって驚いたことがありますぅ。ここでも平屋くらいなら十分行けるのかもしれませんねぇ」
「その話を詳しくです」
ハナの旅話に紅葉が食いついた。しばらくリアルブルーと建築の話が続くのだった。
見回りの最中、ハンスは光頼に問う。この国について。
「陰陽寮は天ノ都にあるわけですが、他国に出先機関のようなものはないのでしょうか? どうもいまだにこの国のことはわかり難くて」
「ないはずだ。紅葉の方が詳しいが……陰陽寮は帝に付随するところだ。今後についてはスメラギ(kz0158)様の考えによるだろう」
エトファリカ連邦国やシステムについて、光頼は説明した。簡単に言えば、妖怪の侵攻に対して人類がまとまった結果が連邦国であるということだ。
「功績のあった人が拝領する等の話も耳にしているし、今後、形は変わっていくだろう。しばらく、わかりづらいことになるのかな」
光頼は「民を守ることには変わりない」と付け加える。
「では、紅葉さんやあなたも、詩天に長く来られるようなことはないのですね」
「行けないことはないが……?」
ハンスの質問の意図が分からず光頼が語尾を濁した。
「あの、東方では結婚式……こちらでは祝言と言うのでしょうか? その時に着る衣装に決まりってあるのですか? お嫁さんの白無垢とか角隠しとか、旦那さんの紋付き袴みたいな?」
智里の問いに、光頼は眉を中央に寄せ考える。
「色々あると思う。先ほども話したが多くの国が集まって今の姿となっているから」
「光頼さんたちはどうするんです?」
「……何も考えてない」
「えっ! でも、結婚式することで、色々有益なこともありますよ」
智里が言うとハンスがうなずく。
「それは、あちらと考える」
もっともな返答だ。
「習慣とかはどうですか? サムシングフォーとか、一晩中ダンスするとか、結婚式前日に皿割りするとかのこぎり挽きするとか、式でハートのくりぬきとかありますよね」
智里はハンスを見上げる。
「松永では関係各所のために何度か披露宴したというのがあったかなぁ……基本、飲み食いをするということだなぁ……。紅葉や吉備様に聞いたほうがいいかと思う……」
光頼、情報は少なかった。
「えっと……詩天に智里さんと引っ越そうと思って居りまして」
ハンスが告げると、光頼は先ほどの言葉や智里の質問の意味を理解した。
「詩天も違う文化があるだろう。同じ国内に住まわれるなら、近所となるな」
光頼は微笑んだ。
「そうですね……でも、光頼さんたちの祝言は秋以降となりますと、お祝いにこられないかもしれないのが残念です」
ハンスの言葉に光頼が「互いが幸せならばそれで良い」と返すのだった。
紅葉はねこじゃらしを樽につめ、移動を始めた。竹林の中を進む。
それに玲瓏はついて行く。
ハナは作業する人たちの側を見て回る。疲労が見えるなら早めに水を飲むように勧めたりしていた。
メイムは紅葉が微妙な動きで離れて行くため、伐採の手を止め【ファミリアズアイ】を用いる。違和感はあるけれども、細かいところはわからない。
「何かあるかもしれないから気を付けてねー」
声はかけておけば、紅葉の回りや警戒に当たる者にも声は届く。
レイアは竹取の人たちを視界に収めつつ、紅葉が移動してく方に対応できるように移動する。
ハナは里人の方に何もないことを確認後、動く。
ハンスと智里、光頼も紅葉が向かう方に進む。
「わかりましたけのこーあるといいのですー」
紅葉が何を探しているかよくわかる返事だ。
「紅葉様、さすがにタケノコはないと思いますよ?」
「わかっていますが、なんとなく、あるといいなと思うのです」
玲瓏は探すのは構わないため紅葉を見守る。
不意に紅葉が足を止め一点を見つめた。そこから、じわじわと後退を始める。
玲瓏は紅葉をかばうように前に出る。微弱ながら負のマテリアルを感じたのだ。
メイムはスキルを使えるようにしておく。
「どのような状況ですか?」
「何かいるんですか?」
ハンスと智里が玲瓏やメイムが見つめるところに回り込むように近づいた。
「雑魔ならブッコロですぅ」
「いつでもいい」
ハナとレイアも何かへの対応に加わる。
自然とハンターたちが一点を囲むようにいる。これ以外にいれば話は別だが、里人を守る態勢になっている。
マテリアルの強さに反応したのか、雑魔が動き出す。長い根っ子を地面から引き抜き、うねうねと動き始める。
ただし、根っ子を抜くのが大変だったのか、時間がかかる。
それが動き出した時点でハンターたちはすぐに行動していた。あっという間にそれは無に返る。
その上、玲瓏など負のマテリアルの浄化をしておいた。
それを見守った依頼主は「タケノコ」とつぶやき、雑魔がいたあたりを見ていた。
「……紅葉……まさかと思うけれども……」
「新鮮な雑魔なら……」
光頼は答えにどっと疲れが出た。
昼食は大江家が持たせたものや持ち寄った物がありにぎやかだ。
「キノコと油揚げ、ニンジンを混ぜ込んだ加薬焼きおにぎりだよ」
メイムの作った焼の握りは醤油が染みいる。
それを早速紅葉は器用に箸で取る。さらに、ハナが弁当を並べる横でせっせと取り皿に載せていく。
「これが梅干し、昆布ですよぅ」
ハナの説明を聞きながら、紅葉は梅干しを涼しい顔で食べ、漬物や卵焼きに箸を伸ばす。
「新ショウガのおむすびと、キノコと芋のあんかけ、鳥のささみ……あさりの佃煮ですがお口に合いますか?」
玲瓏の説明を聞き、紅葉はうなずき、黙々と食べている。
「紅葉、ご飯粒ついている」
光頼が指摘すると、礼を述べた紅葉はそれをつまみ食べる。
「そういえば、紅葉様、松永様は調理をされますか?」
「包丁と火が危ないからさせてもらえません」
「遠征とかのときは作っていたな……」
玲瓏は紅葉は諦めてやる気がないことを悟った。
レイアは各種弁当を頂く。
「うむ、うまい。暑さを考えた料理だな」
醤油や塩気、梅干しなど汗をかく状況からありがたいものだった。
里人たちの昼食はおむすびが多い。食べやすさのおかげで選ばれたのだろう。
ハンスと智里は並んで弁当を食べる。智里はできるだけハンスにくっつくように座る。
ハンスは動かしづらいかもと考えて見下ろすと、智里は嬉しそうな笑顔で食べている。
「雑魔さえ除けば、おだやかですね」
「そうですね。これから、こういう時間が増えるんですね」
風が吹いた。竹を揺らし、ささやかな音を立てる。
●日が落ちる前に
竹をとったり、今後どのあたりをとるかなどのチェックもつつがなく終わった。
タケノコなど存在するわけもない。雑魔もあれ以上出ず、帰る準備となる。
「紅葉さんは東方では珍しくハンターによく依頼を出してくださる方でしたから、顔見知りの方は多いと思いますよ。皆さん、祝言の話を聞けばお祝いの品を持って喜んでやってこられると思いますね」
「それと、欲しいご祝儀は労働力と言っちゃったほうが、師岬の整備が進むかもしれません」
ハンスと智里が言う。
「あと、紅葉さんのところの祝言はどいう服とか習わしとかってあります?」
智里が問うと十二単と衣冠束帯と返ってくる。しきたり等は華美なことや面倒くさいことはしないという質実剛健な返答だ。
「確かに、紅葉さんの依頼を受けたハンターってそこそこいると思いますしぃ、披露宴をパーッとやったら、結構人が集まるかもしれませんよぅ。ついでに今後の師岬のこととか、バンジーの宣伝とかしたらぁ、師岬の観光地化に一役買っちゃうかもですぅ」
ハナが「何が欲しいのです?」と再度問う。
「……本、資材……労働力の前にある程度受け皿がないと駄目なのですよ……建物には資材がいるのです」
紅葉の返答に光頼がうなずく。
「えっと、竹はこっちでいいのかな? 必要ならあたしたちも曳くよ」
メイムが帰り支度の里人たちに尋ねる。ハンスもその言葉に深くうなずいているし、里人は黙々と自分たちが持ってきたものに荷物を載せている。
「紅葉様が集めた資材を積みましょう」
「トラックは速いし揺れるからな、きちんと固定しないとな」
玲瓏とレイアはハンターと里人に確認しつつ、作業を続行した。
ハンターたちのおかげで、里人には怪我人も出ず、資材を手にれることができたのだった。
玲瓏(ka7114)は出発前に大江 紅葉(kz0163)や松永 光頼にあいさつをする。
「松永様、お久しゅうございます。紅葉様はお初にお目にかかります。どうぞよしなしに……。ご成婚のこと心からお喜び申し上げます」
「ご丁寧にありがとうございます」
紅葉と光頼の声がひっくり返る。
星野 ハナ(ka5852)は血涙を流しながら、祝福を口にする。
「紅葉さんがとうとう結婚……おめでとうございますぅ、うらやましくなんかないですよぅ、くぅううう」
紅葉は慰めるのも礼を述べるも難しく、苦笑しながらハナの肩をぽんぽんと抱いた。
「本日はお弁当を手伝いました。あと、大樽一つに水を入れて、柄杓を何個か持っていたほうがよくありませんか? 皆さんが作業中に喉が渇いたらそのままぐびっと飲めますしぃ」
ハナは依頼に関わる方は的確に行動している。
水入りの樽は、馬などが曳く荷台に積まれた。
レイア・アローネ(ka4082)は紅葉達の様子を見ていると自然と表情が緩む。仕事では必要そうな物に気を配り、周囲への警戒を意識する。
「のどかだなぁ」
ついこの間まで激しい戦闘があったとは思えない光景だった。
出発準備が整うと、魔導トラックが勢いよく飛び出す。
ハンス・ラインフェルト(ka6750)は穂積 智里(ka6819)ともに、魔導トラックに巻き込まれない位置にいる。
「復路が怖いですねぇ」
「竹、積むんでしょうか?」
どれだけしっかり積んでも崩れそうな気がした。
メイム(ka2290)は馬を走らせる光頼と並ぶ。
「少々馬で急いだからって、アクセル全開のくれはさんには追い付けないわけだけどー。たどり着いたら魔導トラック、街路の下に滑落していそうだよねー。きっと紅葉さんは無傷だろうけど」
なんとなくおちを想像していた。
「滑落する場所はないはずだ」
「それなら安心だね」
メイムはそう答えながら「事件が起こらないわけがない」と感じていた。
●移動中
スタートはあれだけれども、紅葉は一応、他の者の移動速度に合わせてゆっくり走らせている。
ハナは魔導ママチャリを並走させる。
「いろいろ紅葉さんにはお世話になりましたしぃ、何か欲しいものがあったらできる範囲でプレゼントしますよぅ、生涯一度のお祝い事ですしぃ」
紅葉が目を真ん丸にして、ハナを見る。
「紅葉さぁん、前見て運転してくださいぃいいい!」
ハナは蛇行するトラックに巻き込まれるところだった。
「すみません、変なこと聞いた気がしたので」
「……結婚式が変なこと」
真っ赤な顔で紅葉はハナを見る。
「恥ずかしいのはわかりました! 前見て運転してくださいぃ」
ハナから悲鳴が上がる。
「免許制度があれば、確実に取り上げですね」
「どうして、うまくならないんでしょうか……」
「本人がうまいと思っているからですよ。大きな事故は起こしていませんし」
「大きな事故……生き物は轢いていないんですよね」
ハンスと智里はかつて助言や練習やらに付き合ったことがある気がするが、敗北感を覚える。轢いていないとはえ、トラック本体や当てられた壁などはへこむ。
「あの発進の仕方だから、すごい勢いで行くのかと思ってたよ。予想できない運転だから、動物たちは逃げるのかも?」
メイムは予想が外れそうだが、違う意味で怖いものを見ている。里で虎猫や柴犬は紅葉がトラックに乗った直後逃げた。本能がそうさせるのだろう。
「護衛なら、先頭としんがりで別れてと思いましたけど……下手に前を行くと……」
玲瓏は提案をし損ねていたが、もし提案していたら、誰か轢かれている現在があったかもしれない。
「あの勢いだと、前に雑魔がいたら、突撃しそうだな……いや、それはそれで問題が……」
レイアは頭を抱えたくなる。
「帰りこそ動きが鈍くなる。竹をとるのだから……」
護衛として現実的なことを考えつつ、紅葉のトラックの蛇行を見つめた。
●竹林での探索
レイアは荷物を下しながら、周囲を警戒する。竹林では隠れる所もあるだろう。動物ならば人間が来たことで相手が警戒し逃げることもあるだろう。雑魔や歪虚などの類であれば、問答無用で襲ってくる可能性もある。里人が多い状況では非常に危険だ。
光頼が弓を背負って移動していくため、レイアは声をかける。
「どこをどう見てくるんだ?」
「それほど離れないが、一周して戻ってくる」
作業する里人が見える位置だ。
「何かあったら言ってくれ、すぐに行くから」
「うむ」
光頼は出かけようとしたところにハンスと智里が来る。
「ああ、それならば、私もご一緒させてください」
「私も一緒に行きますっ!」
智里はハンスの近くにいたいと考えいたため慌てて手を上げる。
さほど広い範囲でもないし、独りで行動するより複数の方がいいため、光頼が断る理由がなかった。
レイアは三人を見送り、彼らの目が届かない方向を見る。
作業をする人たちの声に、風が吹くと竹が揺れる音が加わる。
「ここから見える範囲、見ておこうかな……飛んで、あんず」
メイムは桜型妖精アリスのあんずで【ファミリアズアイ】を用いた。あんずは何か言いたげな様子で、渋々飛んでいった。
あんずの目を通して見える景色は、特に問題はなさそうだ。
「くれはさんや里の人が移動するときは要注意かな」
戻ってきたあんずをねぎらいつつ、メイムは考えた。そのあと、伐採を手伝うのだった。
紅葉はねこじゃらしの採取を始めている。
玲瓏は紅葉の様子をうかがう。病み上がりと言う話を聞いているため、医師という立場から気になるのだった。護衛であるならば、依頼人の体調も重要な守るべきことである。
「紅葉様、お水飲みませんか? 竹林を駆ける風は涼しいですが、油断はできません」
水にはちみつを少し入れる。
「ありがとうございます」
紅葉は素直に飲む。
「竹は何に使われるのですか?」
「建築資材に使います。足場にしたり、床や天井にもつかえます」
小さい竹も紅葉は集めている。
「これは、猫がじゃれます」
「猫が中心ですね」
「そうです……というのは半分冗談ですが、こういうのもかご作りの練習とかに使えますし」
玲瓏は紅葉が竹をもてあそぶのを見てうなずく。ねこじゃらしを集める理由は不明だが、虎猫がたくさんいるのを見ているため、納得したことにする。
「そういえば、外国旅行したときぃ、竹で高層ビルの足場組んでいるのを見たことがあるんですよねぇ。台風も地震もないんだろうなぁって驚いたことがありますぅ。ここでも平屋くらいなら十分行けるのかもしれませんねぇ」
「その話を詳しくです」
ハナの旅話に紅葉が食いついた。しばらくリアルブルーと建築の話が続くのだった。
見回りの最中、ハンスは光頼に問う。この国について。
「陰陽寮は天ノ都にあるわけですが、他国に出先機関のようなものはないのでしょうか? どうもいまだにこの国のことはわかり難くて」
「ないはずだ。紅葉の方が詳しいが……陰陽寮は帝に付随するところだ。今後についてはスメラギ(kz0158)様の考えによるだろう」
エトファリカ連邦国やシステムについて、光頼は説明した。簡単に言えば、妖怪の侵攻に対して人類がまとまった結果が連邦国であるということだ。
「功績のあった人が拝領する等の話も耳にしているし、今後、形は変わっていくだろう。しばらく、わかりづらいことになるのかな」
光頼は「民を守ることには変わりない」と付け加える。
「では、紅葉さんやあなたも、詩天に長く来られるようなことはないのですね」
「行けないことはないが……?」
ハンスの質問の意図が分からず光頼が語尾を濁した。
「あの、東方では結婚式……こちらでは祝言と言うのでしょうか? その時に着る衣装に決まりってあるのですか? お嫁さんの白無垢とか角隠しとか、旦那さんの紋付き袴みたいな?」
智里の問いに、光頼は眉を中央に寄せ考える。
「色々あると思う。先ほども話したが多くの国が集まって今の姿となっているから」
「光頼さんたちはどうするんです?」
「……何も考えてない」
「えっ! でも、結婚式することで、色々有益なこともありますよ」
智里が言うとハンスがうなずく。
「それは、あちらと考える」
もっともな返答だ。
「習慣とかはどうですか? サムシングフォーとか、一晩中ダンスするとか、結婚式前日に皿割りするとかのこぎり挽きするとか、式でハートのくりぬきとかありますよね」
智里はハンスを見上げる。
「松永では関係各所のために何度か披露宴したというのがあったかなぁ……基本、飲み食いをするということだなぁ……。紅葉や吉備様に聞いたほうがいいかと思う……」
光頼、情報は少なかった。
「えっと……詩天に智里さんと引っ越そうと思って居りまして」
ハンスが告げると、光頼は先ほどの言葉や智里の質問の意味を理解した。
「詩天も違う文化があるだろう。同じ国内に住まわれるなら、近所となるな」
光頼は微笑んだ。
「そうですね……でも、光頼さんたちの祝言は秋以降となりますと、お祝いにこられないかもしれないのが残念です」
ハンスの言葉に光頼が「互いが幸せならばそれで良い」と返すのだった。
紅葉はねこじゃらしを樽につめ、移動を始めた。竹林の中を進む。
それに玲瓏はついて行く。
ハナは作業する人たちの側を見て回る。疲労が見えるなら早めに水を飲むように勧めたりしていた。
メイムは紅葉が微妙な動きで離れて行くため、伐採の手を止め【ファミリアズアイ】を用いる。違和感はあるけれども、細かいところはわからない。
「何かあるかもしれないから気を付けてねー」
声はかけておけば、紅葉の回りや警戒に当たる者にも声は届く。
レイアは竹取の人たちを視界に収めつつ、紅葉が移動してく方に対応できるように移動する。
ハナは里人の方に何もないことを確認後、動く。
ハンスと智里、光頼も紅葉が向かう方に進む。
「わかりましたけのこーあるといいのですー」
紅葉が何を探しているかよくわかる返事だ。
「紅葉様、さすがにタケノコはないと思いますよ?」
「わかっていますが、なんとなく、あるといいなと思うのです」
玲瓏は探すのは構わないため紅葉を見守る。
不意に紅葉が足を止め一点を見つめた。そこから、じわじわと後退を始める。
玲瓏は紅葉をかばうように前に出る。微弱ながら負のマテリアルを感じたのだ。
メイムはスキルを使えるようにしておく。
「どのような状況ですか?」
「何かいるんですか?」
ハンスと智里が玲瓏やメイムが見つめるところに回り込むように近づいた。
「雑魔ならブッコロですぅ」
「いつでもいい」
ハナとレイアも何かへの対応に加わる。
自然とハンターたちが一点を囲むようにいる。これ以外にいれば話は別だが、里人を守る態勢になっている。
マテリアルの強さに反応したのか、雑魔が動き出す。長い根っ子を地面から引き抜き、うねうねと動き始める。
ただし、根っ子を抜くのが大変だったのか、時間がかかる。
それが動き出した時点でハンターたちはすぐに行動していた。あっという間にそれは無に返る。
その上、玲瓏など負のマテリアルの浄化をしておいた。
それを見守った依頼主は「タケノコ」とつぶやき、雑魔がいたあたりを見ていた。
「……紅葉……まさかと思うけれども……」
「新鮮な雑魔なら……」
光頼は答えにどっと疲れが出た。
昼食は大江家が持たせたものや持ち寄った物がありにぎやかだ。
「キノコと油揚げ、ニンジンを混ぜ込んだ加薬焼きおにぎりだよ」
メイムの作った焼の握りは醤油が染みいる。
それを早速紅葉は器用に箸で取る。さらに、ハナが弁当を並べる横でせっせと取り皿に載せていく。
「これが梅干し、昆布ですよぅ」
ハナの説明を聞きながら、紅葉は梅干しを涼しい顔で食べ、漬物や卵焼きに箸を伸ばす。
「新ショウガのおむすびと、キノコと芋のあんかけ、鳥のささみ……あさりの佃煮ですがお口に合いますか?」
玲瓏の説明を聞き、紅葉はうなずき、黙々と食べている。
「紅葉、ご飯粒ついている」
光頼が指摘すると、礼を述べた紅葉はそれをつまみ食べる。
「そういえば、紅葉様、松永様は調理をされますか?」
「包丁と火が危ないからさせてもらえません」
「遠征とかのときは作っていたな……」
玲瓏は紅葉は諦めてやる気がないことを悟った。
レイアは各種弁当を頂く。
「うむ、うまい。暑さを考えた料理だな」
醤油や塩気、梅干しなど汗をかく状況からありがたいものだった。
里人たちの昼食はおむすびが多い。食べやすさのおかげで選ばれたのだろう。
ハンスと智里は並んで弁当を食べる。智里はできるだけハンスにくっつくように座る。
ハンスは動かしづらいかもと考えて見下ろすと、智里は嬉しそうな笑顔で食べている。
「雑魔さえ除けば、おだやかですね」
「そうですね。これから、こういう時間が増えるんですね」
風が吹いた。竹を揺らし、ささやかな音を立てる。
●日が落ちる前に
竹をとったり、今後どのあたりをとるかなどのチェックもつつがなく終わった。
タケノコなど存在するわけもない。雑魔もあれ以上出ず、帰る準備となる。
「紅葉さんは東方では珍しくハンターによく依頼を出してくださる方でしたから、顔見知りの方は多いと思いますよ。皆さん、祝言の話を聞けばお祝いの品を持って喜んでやってこられると思いますね」
「それと、欲しいご祝儀は労働力と言っちゃったほうが、師岬の整備が進むかもしれません」
ハンスと智里が言う。
「あと、紅葉さんのところの祝言はどいう服とか習わしとかってあります?」
智里が問うと十二単と衣冠束帯と返ってくる。しきたり等は華美なことや面倒くさいことはしないという質実剛健な返答だ。
「確かに、紅葉さんの依頼を受けたハンターってそこそこいると思いますしぃ、披露宴をパーッとやったら、結構人が集まるかもしれませんよぅ。ついでに今後の師岬のこととか、バンジーの宣伝とかしたらぁ、師岬の観光地化に一役買っちゃうかもですぅ」
ハナが「何が欲しいのです?」と再度問う。
「……本、資材……労働力の前にある程度受け皿がないと駄目なのですよ……建物には資材がいるのです」
紅葉の返答に光頼がうなずく。
「えっと、竹はこっちでいいのかな? 必要ならあたしたちも曳くよ」
メイムが帰り支度の里人たちに尋ねる。ハンスもその言葉に深くうなずいているし、里人は黙々と自分たちが持ってきたものに荷物を載せている。
「紅葉様が集めた資材を積みましょう」
「トラックは速いし揺れるからな、きちんと固定しないとな」
玲瓏とレイアはハンターと里人に確認しつつ、作業を続行した。
ハンターたちのおかげで、里人には怪我人も出ず、資材を手にれることができたのだった。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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【相談卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/09/10 04:46:19 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/09/07 14:55:26 |