【女神】フカヒレげっちゅー

マスター:奈華里

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
3~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2019/09/23 07:30
完成日
2019/10/02 00:36

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「イズ嬢、折り入って頼みたい事があるのだが構わないか?」
 いつになく改まった言い方で彼が言う。
 彼の名はブラシー・K・スピカと言った。自称貴族であり、彼曰く金持ちなのだという。
「えーと、今日はどうかされたのですか? 依頼ならセルクを通してもらわないと」
 そういうのはこの船会社の責任者であり船長でもあるイズだ。
 邪神が倒されたとはいえ、クリムゾンウエストの海には未だに在来ともいえる歪虚の姿は多く、相変わらず行き来には危険が伴う。そんな海を仕事場にしている彼女は最近覚醒したばかり。ハンター登録はしていないものの力の使い方を知る為に仕事の傍らでそれを学ぶ事が必須事項に加わり、日々忙しい日々を過ごしている。
 だから厄介事ははっきり言って困るのだ。そして、このブラシーという名のボンボンは結構な確率で面倒事を持ってくる人物の一人だったりする。
「それがセルク殿は姿が見えないようでね。直接来た訳だが、この程度の無礼は私の顔に免じて許して欲しい。それにだ。今回の案件はきっと君も乗ってくれるはずだよ」
 長めの髪をかき上げて彼が言う。そこでイズは深く息を吐くしかない。
 この坊ちゃん、はっきり言って周りが見えない。あからさまに嫌な態度をとって見せたとしても大体の確率でそれをスルーするありえないスキルを持っているからだ。
(どうせ断っても聞いて貰えないのよねぇ)
 そう判っているから仕方がない。イズは覚悟を決めて、彼の用件を聞く事にする。
「でご依頼は何なんですか? もし面倒事だったら通常に上乗せして代金頂きますからね」
 イズが諦め交じりにそう告げる。
「勿論だとも、無理を言うならその位は覚悟の上さ。だが、そこまで面倒ではないと思うよ、だって君も今やハンターなんだろう?」
 覚醒したとはいえ登録していないのに、この坊ちゃんの耳は地獄耳か。
 そんなことに驚きながらもそれは表に出さず、そのまま紡がれる言葉に耳を傾ける。
 すると、彼には珍しく内容は思ったよりまともなものだという事がわかってくる。
「いいかい。ハンターの方々は僕達の為に頑張ってくれたわけだ。だから労わねばならない。そこでだ、私が考えたのはとびきりうまい食事を提供する事だった。そしてとびきりうまい食事とは何かと突き詰めて…僕はついにであったのだよ」
 目をキラキラさせてブラシーが続ける。
「そう、それはフカヒレ……あれは何だい。凶悪な魚のくせにあの口どけと絶妙な触感。あれはまさに究極の食材だ。あれを皆に提供したい。そのためには新鮮なフカヒレをゲットする必要がある。そういう訳で…」
「まさか私に捕まえて来いとか言わないで…いえ、言いませんよね?」
 とっさにため口になりかけたのを誤魔化して、イズが嫌そうに尋ねる。が、答えは変わりはしない。
「いや、そのまさかだよ、イズ嬢。爺にすでに巨大鮫の目撃情報を集めさせ、いそうな場所に見当はついている。君にはそこへ行って貰ってちゃちゃっとやっつけて連れてきて欲しい、それだけだ。なーに、簡単だろう?」
 口で言うのは容易い。それに彼は多分知らないのだ。鮫を図鑑やなんかで見たくらいで普通の漁と何ら変わらないで簡単に取れるものだと勘違いしている。
「あ、いや……私、漁師じゃないんですけど」
 ハンターを労うのは賛成だが、獲って来いというのは無茶苦茶だ。
「あの、お金があるんならすでにあるものを買い付ければいいじゃないんでしょうか?」
 ダメ元でイズが提案する。しかし、彼にはある一つの思い込みがあって…。
「何を言う。魚介は新鮮第一! 獲れたてピチピチがベスト・オブ・ベストと相場は決まっている」
 そう言い切って、後はもう引く気はないらしい。
 ついでにフカヒレが一度乾燥させたものという事も知らないようだ。
「それではよろしく頼むよ。大物を最低三匹は期待している」
 そう言い残して、そのまま事務所を後にしようとする。
「ちょっちょっと待ってください! だったらこの際一緒に行きましょう!」
 現場をみれば少しはこちらの苦労が判って貰えるかもしれない。そう思い、彼の乗船を提案する。
「おおっ、いいのかい! なら、楽しみにしておこう」
 ブラシーはそれにあっさりOKして…彼は漁の大変さを全くもって知りはしないようだった。

リプレイ本文


「いやー、流石にこれだけの船に乗ると壮観だね」
 イズの船に乗ってはしゃぐブラシー。だが、彼の高揚感とは真逆にいるのはイズ他鮫を知る船乗り達だ。
「確かにうまい魚ではあるがな。処理を間違っちまうと一転やばいものに早変わりだ」
「何せ腹空かしてる時は凶暴だからな。中には人を食っちまう奴までいるくらいなんだぜ」
 元漁師の船員達が口々に言う。
 一般的にフカヒレとは文字通り鮫のヒレの部分を乾燥して作った食材である。従って、鮫の種類は限られていない。人食い鮫だろうが、深海鮫だろうがヒレさえとって加工すれば、全てがフカヒレという訳だ。
「今度は鮫か…まあ問題ない」
 イズの出航を知って顔なじみになりつつある神城・錬(ka3822)が言葉する。
「問題ないとは言っても油断は禁物よ」
 そういうのは船長・イズ。海の歪虚が減っているという事はつまり、海中の生物はそれらに邪魔される事が少なくなっているという事だ。ここぞとばかりに勢力を伸ばし、海の奥底にいた潜んでいた生物達が浮上してきているかもしれない。
「ブラシー、あなた執事に情報を集めさせたのよね。結果どうだったの?」
 夢路 まよい(ka1328)がフカヒレという名の食材にわくわくしながら彼の隣りで船旅を楽しみつつ問う。
「ふふーん。よく聞いてくれたね、レディ。爺の情報に間違いはない。これから向かう海域には推定六mを超す大物が複数いると聞いている」
「六m! それは凄いね!」
 彼の言葉に時音 ざくろ(ka1250)は冒険の予感と瞳を輝かせる。
「あ、はは…ハンターって本当に変わり者が多いわよね」
 ざくろの様子に苦笑いのイズ。まあ、それも無理はない。彼女は根っからのハンターではないのだ。
「もし何かあったとしても私が何とかして見せるさ。これでも一応鮫ハンターの称号を持っている」
 レイア・アローネ(ka4082)がそう言ってイズをフォローする。
「ええ。けど、ぶっちゃけると歪虚に比べればどうという事はない筈よ。だからさっさと終わらせましょ」
 帆が風を受けてぐんぐん進む。情報のあった目的地まであと少し。その海域は一般的に鮪がよく獲れる場所だ。漁師が延縄を仕掛けていたりするから目印のポールなんかも所々に立っている。とはいえ、そこに行けばいるのかと言えば話は別だ。相手は生き物――情報通りに必ずしもそこで見つかるとは限らない。
 そこでざくろが連れて来たのは漆黒の鳥だった。機械で肉体強化されたその鳥は機械化怪鳥「Lo+」という。
「ざくろはこの子の目を使って上から探すよ」
「了解。私は箒で飛んでみるわね」
「ならば俺は撒き餌でも仕掛けてみようか」
「わ、私は…待機だ」
 それぞれに役割を分担して、見渡す限りの大海原で狙いの鮫だけをおびき出すのは普通難しい。
 けれど、これだけいれば手はいくらかある。
「ふむ、やはりハンターはチームワークがいいな」
 それを眺めてブラシーの一言。旅慣れしているせいか、残念な事に船酔いなし。暫くは彼らの作業を楽しげに見つめていたが、数十分もすると堪え性のない彼は飽きてくる。
「まだなのか…その鮫とやらは」
 同じ景色に日光がじりじりと皮膚を焼く。帆が僅かに影を作っているが、それにも限度がある。甲板に立って待つこの時間は彼にとって暇でしかない。
「この位で何だ。男なら我慢しろ」
 レイアにそう言われても彼の耳には馬耳東風。
「まだかまだかまだか―! これではつまらないじゃないか」
 そう言い暴れる彼はまるで幼児のよう。甲板に寝転び、駄々までこね始める。
「ブラシーさん、ちょっとそれは大人げないですって…」
 船員がそうやんわりと注意する。
「鮫とやらは臆病な奴だな。きっと私に捕まえられるのが嫌なのだろう…しかし、せめて顔位見せてもいいだろうに」
 鮫は友達ではない。顔を見せる義理もないだろう。


 ファミリアズアイで辺りにそれらしい魚影がないか見て回る。
 幸い暗黒海域と違って視界の先に霧はないし、今は太陽もまだ高い位置。海面近くに上がってきている魚ならばよく見える。
(ん、あれはトビウオかな?)
 身体をキラキラさせながら素早く泳ぐ魚にざくろが思う。何かから逃げているのか上にいるLo+には気づいていないようだ。ただ必死にスピードを上げて、たまらなくなったら海上へと飛び出す。別名のフライングフィッシュの名は伊達じゃない。
(数が多いな。報告しておくべきかな?)
 彼はそう思い、イズにトビウオ発見の連絡を入れる。
「そう、だったら近くにいるかもしれないって他の仲間にも伝えて。トビウオの天敵は鯖や鮪よ。つまりはそっちを目当てに鮫も浮上してくるかもしれない。錬にも撒き餌として鮪を撒いて貰ってるけど、餌は生きのいい方がいいし、多いなら尚いいでしょ」
 そう言って彼女が指示を出す。
(へー、鮫って鮪を食べるのね。って事は美味しいものを食べてる訳だし、更にその身は美味しい筈…これは期待大ね)
 その報告ににししと心で微笑むのはまよいだ。初フカヒレへの期待が一層高まる。
 そんな折だった。
 突如として視界に入ったのは三角の背びれ…向かう先は紛れもなく、今錬が餌を撒いていた辺りだ。
「来たわっ!十字の方向、錬の方に直進中!」
 まよいが声をあげる。その後も始め見たのと同等の背びれが目撃され、いずれも錬の方へと向かっている。
(思ったより速いな)
 近付いてくるそれらを前に刀を構える。ちなみに彼は空渡で海上にいるからこちらに来る鮫の大きさもある程度は認識可能。それによると、今接近しているのは大方一~二m程と見える。だが、そんな小さくてもスピードはなかなかだ。足元にやってくると同時に大きな飛沫が上がる。錬が飛びのくのとそれがほぼ同時くらい。そして、海面から顔を出す鮫は揃いも揃って大きく口が開かれている。
「早いお出ましだね。けど、その方が楽でいいや」
 発見後はまよいのウォーターウォークで海面に出て囮を考えていたざくろだが、この分だと必要ないだろう。そこで頭を切り替えて、まずは顔を出した鮫目掛けてフリージングレイを発動する。
「成程、それはいい手だな」
 その様子を見てレイアが感心した。フリージングレイを一言で表すと冷凍魔法だ。
 直線状の鮫目掛けて放たれた冷凍光線が海に沈む前の鮫をとらえ、氷漬けにしてゆく。
 そして顔が凍ると思考が止まってしまうのか、尾びれの動きも緩慢になり果てはぷかりと海に浮かび上がる。
「私も海に出たいが、まよいはまだか」
 彼女も海面を歩いて直接仕留めたいらしい。だが、それを使えるまよいはまだ船には戻っていない。
 そこで出来る事を優先すべく凍ったばかりの鮫にロープを結わえる為、船の側面――落ちてしまった時用の簡単な足場へ降り、鮫に縄をかけ始める。そして、引き揚げようとした時再び場が動いた。
 凍ったはずの鮫から僅かに奇妙な動き――その後、突如ぐんっとロープが引き込まれる。
[何事だ!」
 慌てて付近にいた錬がレイアの後ろに回り、補助に入る。がそれでも引きが強くて…。
「やだっ、マジなの!?」
 甲板に急行したまよいが目を見開く。
 ロープの先、海底にある不気味な影。正確には見とれないが、どうやら凍った鮫をさらに大きい魚が狙い、飲み込むと同時に鮫ごとロープを引っ張っているらしい。
「くっ、水の中では手の打ちようが」
 錬が奥歯を噛む。彼の技は地上に有効なものが多く、水中戦には適していない。
 それはレイアも同じであるから、いまはこのロープを引くしか手段がないのだ。
「だったら、引き上げるまでよ! みんな手伝って!」
 イズが手の空いている船員達をロープの方に向かわせる。
「あんたもよ、ブラシー!」
 突然の急展開に身動きが取れなくなっていた彼を見つけて、まよいが強引にロープのもとへ。
 あわあわしながらも彼はロープを手に取って…後は皆の頑張り次第だ。
「なに、やる事は釣りと同じよ。相手を弱らせれればこっちの勝ちってね」
 イズが海面の動向を見ながら揺れる船の体勢を安定させつつ、引きを援護するように船を移動させる。その間まよいは甲板から海面の様子を観察し、引きのタイミングを見極める。
「まさかこんな場所で綱引きをするとはね」
 ざくろも超重練金で武器を巨大化して殴りつけたい所だが、姿が見えなくてはやはり意味がない。
「では、ゆくぞっ。しっかり腰を落とせっ!!」
 レイアが皆に発破をかけて、そんな白熱した綱引きは数時間を要した。
 そして、魚影が見え始めるとそれはもう鮫というには余りにも大きい事に気付かされる。
「これも…鮫、なのか…?」
 先頭で綱を引くレイアが特徴的な目と背ビレが見取り言葉する。
 それはイズの船よりはやや小さいものの、口の大きさは人一人などゆうに飲み込んでしまうサイズだ。
(そういえば本でならこういうの見た事があったような…)
 まよいが昔の記憶を掘り返す。
 古代リアルブルーに生息していたかもしれない巨体鮫、その名は――確か、メガ…ロ。
 それを思い出す前に彼女にはまだやる事があった。鮫の顔が海面に近付いてきた事を察知して準備に入る。
 弱ってきたのを感じとるとレイア他ロープを持つ全員が最後の力を振り絞る。そして、顔が海上に出たのを見計らって、まよいは大きく杖を振った。すると海上一帯に青白いガスが発生し、鮫を眠りの淵へと誘っていく。
「やったか?」
 錬が引きがおとなしくなったのを感じて、彼女に問う。
「ええ、とりあえずは」
「ふいーーー、助かったぜぇ」
「いやぁ、全く全く」
 それを聞き、ほっとした船員達が次々と座り込む。
「けど、あのまま放置は危険だ。目が覚めて暴れないとも限らんからな」
 そういうのはレイアだ。腹を見せて浮いている鮫を前に渋い顔をする。
「ならば俺が血抜きでもしておこう。なんでも鮮度が落ちると嫌な匂いを発し始めると聞いたからな」
 事前に色々イズ達に質問していた錬だ。鮫特有の腐敗止めアンモニア臭の事も承知しているらしい。
「だったら私も手伝わせてくれ。このままではただ働きになってしまう」
 実際はさっきの綱引きでも大いに活躍しているのであるが、仕留めた手応えがない分レイアとしてはあまり実感がないらしい。巨大過ぎる鮫の内臓を取るつもりなのか船から鮫の腹に飛び移ると、早速剣を突き立てる。
「ちょっ、何を!」
 イズの声。だが、それは間に合わない。
 すでに錬の刀は腹を裂き、レイアの剣は完全に内臓に突き刺さり、ゆっくりと巨大鮫から血かあふれる。そして、その血がまた奴らを呼び寄せる。そう、鮫は血の匂いにめっぽう敏感なのだ。
「えー…と、まあ、いっぱい来てくれればいっぱい獲れていいよねぇ…」
 ざくろが静かに言う。
「いっぱいっても限度があるわよ。だって、あの巨大鮫だけで船はもう手一杯っぽいのよ」
 そういうのはまよいだ。けれど、そんなのはお構いなしに続々と鮫は集まってきてさあ大変。
「と、とりあえずそれを船尾に括り付けて逃げるわよっ!」
 イズの叫びに皆がうなずく。
「えっ、うそだろ。私達はこのままかっ!」
 鮫の上にいるレイアの叫び。
 しかし、船に戻る時間も惜しいとみて、錬とレイアは港まで巨大鮫にしがみついている羽目になるのであった。


「いやー、実に愉快な船旅だったな」
 港に着くまでは足をがくがくさせていたブラシーだったが、陸に着いてみれば一転そんな言葉を口にする。本当にこの坊ちゃんは気楽というか肝っ玉が据わっているというか…恐怖体験でもあった筈なのに、それを『愉快』で片付けてしまうとはなかなかである。
 だが、ここでイズの言葉を聞くや否や一転、流石に顔色を変えざる負えない。
「今、何と言った…?」
「フカヒレは乾燥が必要です。従って、すぐにはご馳走できませんよと」
 イズがはっきりとそう断言。それを聞いて、落胆するのは何もブラシーだけではない。
「えー、そんなの聞いてないわよ。私はフカヒレが食べられるっていうから引き受けたのに~」
 まよいが拗ねたように頬を膨らませる。
「高級食材だとは知ってたけど、そんな手間がかかるなんて…」
 そう言うのはざくろだ。まよいのようにあからさまには表情にしないものの、顔にははっきりと残念だという気持ちが滲み出ている。
「まあ、そういう事もあるか」
 錬はいつもの表情で小さく言う。レイアは噂では美味しいものだと聞いてはいるものの実際食べたことが無い為、鮫のイメージが強く美味を想像できず言葉を控えているようだ。
「はぁ~、まさかハンターも含めてこんなに知らない人がいたとはね。けど、安心して。鮫ってね、実は身も美味しいんだから」
 落胆する皆の前でイズが言い切る。
「それ本当なの!」
「誠か、イズ嬢!」
 その言葉に息を吹き返したまよいとブラシー。そんな二人ににこりと笑って見せる。
「ブラシー坊ちゃんの料理人さんは知らないかもだけどね。鮮度が命だから港町でしか食べられないし。いいわ、折角獲ってきたんですもの、私の知り合いに調理出来る人がいるから頼んだげる」
『わーーっ! 助かったー!』
 彼女の提案に歓声が上がる。かくて、巨大鮫は馴染みのレストランで調理開始。
 臭みははっきり言って下処理さえすれば問題ない。海で(無謀ではあったが)血抜きした事もあり、調理前にも柑橘類を利用して極力臭いを消してのお刺身はさっぱりもちもちで絶品だ。
「このフライもなかなかだね。手が止まらないよ」
 白身魚だからどんなソースにも合う。
 ケチャップにタルタル、ハニーマスタードやオーロラソースも結構いけるのだ。
「私はシンプルにこのステーキが好きだな」
 レイアはそう言って、オリーブオイルで焼いて黒コショウとバターを乗せた鮫ステーキを堪能中。
 すでに三枚目だが、まだまだいけそうだ。隣りの錬は黙々とご飯と鮫の照り焼きを交互に口へ運んでいる。
「どう? フカヒレは高級で贅沢品で確かに美味しいけど、たまにはこういうのもいいでしょ?」
 言葉を失くしているブラシーにイズが言う。
「ふ、ふむ……しかし、これでは、私のハンターへの労いが…」
「大丈夫よ。ここの費用は勿論あなた持ちってことにすればそれで十分。フカヒレ料理はヒレの加工が済んでからまたやればいいじゃない。それにこれはあなたへの労いでもあるのよ」
 イズ自身も近くにあったフライの挟まったシャークサンドをつまみながら、手伝った対価だと言い微笑む。
「……そうか」
 ブラシーはその言葉に一瞬もやもやしつつも、笑顔のハンターを見るとこれもありだと自分を納得させた。
 そしてグラスを手に取り、
「よし、それでは皆の者。もう一度乾杯といこう。ゆくぞっ、かんぱーい」
『かんぱーーい♪』
 彼の音頭で更に今宵の宴は盛り上がる。
 そして後日、ハンターらには仕留めた鮫のふかひれスープが振舞われたそうな。

依頼結果

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MVP一覧

  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろka1250

重体一覧

参加者一覧

  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 夢路に誘う青き魔女
    夢路 まよい(ka1328
    人間(蒼)|15才|女性|魔術師
  • 良き羅針盤
    神城・錬(ka3822
    人間(紅)|21才|男性|疾影士
  • 乙女の護り
    レイア・アローネ(ka4082
    人間(紅)|24才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン フカヒレハンター相談卓
夢路 まよい(ka1328
人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2019/09/22 13:11:21
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/09/22 13:09:38