新しい時のはじまりで

マスター:ことね桃

シナリオ形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
3~4人
サポート
0~4人
マテリアルリンク
報酬
無し
相談期間
5日
締切
2019/09/29 22:00
完成日
2019/10/19 04:37

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●邪神がいなくなった世界

 邪神が消滅してから数週間後。
 クリムゾンウェストでは戦争の災禍に巻き込まれた地域の復興が進められていた。

 当初は死者を悼む者ややりきれない怒りに声を荒げる者。
 民は心を苛まれるばかりだったが――やはりヒトとは強いものだ。
 復興が進むごとに大切な存在を思い出し、少しずつ本来の心を取り戻していく。
 ひとりひとりが立ち上がるごとに、街は賑わいを取り戻していった。

 そんなある日のこと。
 負傷者の治療活動に従事しているフィー・フローレ(kz0255)が
 帝都のハンターオフィスに立ち寄るとカウンターに立てかけられた一冊のノートが目に入った。
「アレ? コンナノアッタカシラ」
「ああ、それかい? 邪神戦争の時に一般の人々が連絡をとるために置いていったノートさ」
 オフィスの職員がカウンターから身を乗り出し、フィーに告げる。
 ぱらぱらと頁を捲ると、走り書きであろう乱雑な字で連絡先や避難先の住所が記されていた。
「ほら、ハンターや精霊でないとマテリアルを使う通信機器は使えないだろう?
 だからここが連絡の中継地点をしていたんだ。オフィスならハンターが出入りするから比較的安全だし」
「ソウナンダ……コレヲ書イタ人達ハ皆無事ナノカナ」
「わからん。帝都でも住民を全て確認できたわけではないからなぁ……。
 それにこのノートも近々処分することになるんだ」
「エ? コレ、捨テチャウノ?」
 フィーがノートを捲る手を止めて大きな目をきょとんとさせた。
「個人情報の塊みたいなもんだからな。
 職員の管理のもとにあるとはいえ、大切な情報を直に他者が見られる状況を続けるのは良くないだろう」
「……ンー。ヨクワカンナイケレド、ソレハチョット寂シイ気ガスルノネ……」
「ま、内容はデータベースに入れて問い合わせに応じられる状態にはしておくさ。
 だからお嬢ちゃんが心配することはない。皆がきちんと帰れるようにしなくちゃいけないからな」
「……」
 フィーはそれがほんの少し。納得がいかなかった。
 誰かが大切な人に向けた優しい気持ちが消されてしまう気がしたから――だった。


●街角でふらり

『……あぁ、政治っていうのがこんなに面倒くさいものだとは知らなかったよ』
 ローザリンデ(kz0269)は帝都の議会施設から出るなり額を手でぐっと押さえた。
 以前より話には出ていた帝国民主化の流れ。
 そこで昨年の時点で精霊の代表者として名を挙げられたローザは
 事前に民主化とは何なのかを学ぼうとしたのだが……。
 何しろ、自然精霊という存在は良くも悪くも視野が狭く頑固だ。
 自分に流れるマテリアルのことはもちろん、
 居住する地域の環境や信仰の力については熱心に考えるのに、それ以外はとんと想像すらしない。
 だから帝国全土の政について尋ねてもおそらくは一方的に自己主張をされるだろう。
(民主化とは国民全員が国の行く先を考え、
 責任をもって政に参加すること……精霊に馴染むまでに何年かかるかねェ)
 まずは人間に近い思考ができる英霊や概念精霊に話を持ち掛け、
 少しずつ情報を広げてみるか……とぼんやり考えた時。
 フィーが鼻をすんすん鳴らしながら背中を丸めて前を歩いているのが見えた。
『どうしたんだい、フィー。なんだか随分と元気がないじゃないか』
「ウン、アノネ……」
 早速フィーが先ほどのノートの件を話すと
 ローザは『ん……そればかりは仕方がないかねぇ』と言ってしゃがみ込んだ。
『オフィスの職員にも施設の利用者の情報を守る義務があるのさ。
 もし強盗のようなタチの悪い連中がそのノートを悪用したら大変だろ?』
「……ウン」
 理屈ではわかっている。だからどうしようもできないことが悔しいのだ。
 そこでローザは『そうだねェ……』と考えると、肩に下げた鞄からノートを一冊フィーに差し出した。
『どうしてもね、そのノートの扱いはオフィスに任せるしかない。
 ……だったら代わりにこのノートに皆の想いを綴るようにしたらどうだい?』
「想イ、ヲ?」
『そうさ。自由に。絵でも独り言でもいい。
 嬉しいことを記録したり、悲しい気持ちを吐き出したり、これからの夢を描いたり』
「……」
『皆の気持ちを受け止め、時には言葉を交わし合うもの……。
 そういうものになるといいよね。後で見て、誰もがほっとできるような』
 フィーがノートを捲る。それは――真っ白な新品だった。
「イイノ? コンナニ綺麗ナノニ」
『ああ。今のアタシには勉強も大切だけど、精霊側の意識の変革も必要だとわかったからね。
 しばらくは帝国のあちこちを行ったり来たりになるだろうさ。
 根気強く話を聞かないと、どうにも……気難しい子が多いからねェ』
 ふふっと笑ってローザが背を向ける。
 そんな彼女に対しフィーは「アリガト! ノート大切ニスルノ!」と叫び、ぴょんぴょん跳ねて立ち去った。


●真っ白なノート

 さて、ここ――ハンターオフィスにフィーが置いていったノートが置いてある。
 表紙に「こころののーと」と太いペンで書いてあるだけの空白の紙面。
 あなたはここに何を記すのだろうか。
 邪神なき今の平穏? それとも失ったものに対する寂寥? もしくは無限に広がる希望?
 いずれにせよ、何か想いを伝えれば……誰かからちょっとした返事が来るかもしれない。
 そんなささやかな手紙のやりとりを、してみませんか?

リプレイ本文

●草原の果てにみる夢

「フィー様、こちらです!」
 賑わう帝都の街角でリアリュール(ka2003)はフィー・フローレ(kz0255)の黒い頭を見つけるや明るく声をかけた。
「ア! リアリュール、オ久シブリナノー!」
 早速元気いっぱいに駆けてくるフィーを抱きとめるリアリュール。今日は以前から約束していたふたり揃っての「お出かけの日」だ。興奮が抑えきれないフィーの声が明るく弾む。
「ネ、リアリュール。今日ハオ買イ物スルンダヨネ?」
「ええ。里帰りする時に家族……特に弟達に流行りの面白いものを渡したくて。フィー様おすすめのお店があれば教えてほしいです」
「ア、ソッカ。悪イ子ガイナクナッタカラユックリデキルヨウニナッタノネ!」
「はい。それに長年故郷から離れていましたから皆の無事を直に確認したいんです。報告しなければならないこともありますしね」
 報告という言葉に僅かな苦みが滲む。フィーはそれを不思議に思いながら頷いた。
「ヨーシ、ワカッタノ。私、帝都ノオ店ナラ詳シクナッタノ。全力デオ手伝イスルノ!」
「ありがとうございます、フィー様!」
 こうしてふたり揃って一歩踏み出した僅かな瞬間、リアリュールが空を見上げた。
(そう、私は一度里に戻るの。十分な時が流れしまった。呼んでも来ない人を待っても……折り合いをつけなければね)
 リアリュールには新たな夢のため、区切りをつけねばならない願いがある。一歩一歩進みながら彼女は長い旅の終わりまで手が届かなかった人へ想いを馳せた。
(これからの私は夢を目指して生きるの。歩みは止めない、想いは今も胸の小箱にあるのだから。……それでいいのでしょう?)
 数年前失踪した「彼」の行方はわからぬまま――それでもかの人が穏やかに恙なく暮らせているよう、リアリュールは静かに願う。

 それから半日も経たずにリアリュールが所望していた帝都土産がひととおり揃った。
 祖父には洒落た意匠のハット、父には銘酒で瓶漬けにした果物、母には細やかな装飾が施されたブローチ。そして、弟達には金属のパーツを組み合わせて動物や乗り物の形を作るパズルのセットを人数分。
「フィー様のおかげで良いお土産を買うことができました。弟達は細工物が好きですからきっと喜ぶと思います。どんどん大きなものを作っていって、いつかパーツが足りなくなったら木で部品を作るんじゃないかしら」
 大きな鞄を肩から提げながらも足取りの軽いリアリュール。フィーが当然のように無邪気に跳ねて喜ぶ。
「ソレナラ良カッタノ! ソレニシテモ弟サンハリアリュールニソックリナノカシラ。部品ヲ作ッチャウナンテスゴイノネ!」
「ふふ、私の故郷はエルフハイムの森の奥地。木や蔓が身近な遊び道具でしたから、生活の中で自然と手に馴染んでいくのですよ」
「フムフム、ダカラリアリュールハ工作ガ得意ナノネ。去年作ッテクレタ自然公園ノ看板モ素敵ダッタシ。リアリュールノ贈リ物、皆デ毎日ピカピカニシテルノヨ!」
 リアリュールに魔導スマートフォンの画面を差し出し、得意そうに胸を張るフィー。リアリュールが頬を緩めた。
「あの看板、喜んでもらえてよかった。……ところで公園の皆さんはお変わりなく?」
「ウン。グラウンド・ゼロデ怪我ヲシタ子ハイルケド、葵ノヨウニオ休ミシタラ治ルッテ。ダカラ大丈夫ナノ!」
「ん……でもそれは少し心配ですね。私もお見舞いに伺っていいですか? 久しぶりにご挨拶もしたいですし」
 フィーの返事はもちろん大歓迎。リアリュールは早速精霊好みの手土産を購入し公園へ向かった。

 ――自然公園は幸いにも戦禍を免れており、馴染みの精霊達がリアリュールを見つけるとすぐさま駆け寄って喜んだ。
 皆で楽しいティータイムを過ごし見舞いを済ませた後、東屋でふたりが肩を並べてのんびりとした時間を過ごす。
 そんな中で、ふいにリアリュールがしみじみと語り出した。
「……私、フィー様に今日お会いできて良かったです」
「ン? ドウシタノ?」
「私はこれから星の浄化作戦に参加し、活動に一定の区切りがついたら羊牧場を始めようと思っているんです。ですから」
「マァ、素敵ナノ! リアリュールは優シイカラキット良イ羊飼イサンニナルノ。私モモコモコノ羊サントオ友達ニナルノ!」
 フィーがリアリュールの話の途中で目を輝かせ、きゃっきゃと手を叩く。その反応にリアリュールが困ったように眉尻を下げた。
「ええと、実はその牧場の設営予定地がかなり遠い草原なんです。それに生き物を育てる以上、忙しくなりますし……」
「エッ? ソレジャ此処ニハアマリ……?」
 突然の報告にフィーの手から野菊の花がぽとりと落ちる。不安げに竦む小さな肩。それをリアリュールの腕が包み込んだ。
「かつてヒルトシープの改良に励んでいた子がいたのですが、風の便りに亡くなったと……。私はその子達と共に夢を見ていました。だからそれを継いだ仔、ヘルトシープのFinnと共に夢の続きを見たいと思って」
 リアリュールの新しい夢、それは羊飼いが夢見ていたブランド羊を自らの手で完成させること。だからこそ彼女は人の行き交う帝都周辺ではなく、森に囲まれた故郷でもなく、長閑な草原での生活を選んだのだ。
「Finnチャンガ羊飼イサンノ夢ニ……?」
「私はそうなると信じています。Finnから少しずつ改良を加えていけばヒルトシープに肩を並べられるほどの仔が生まれてくれると。時間はかかるかもしれませんけど、諦めなければ……きっと」
 泣き虫のフィーに心配させぬよう、ひとつひとつ言葉を選ぶリアリュール。その腕にフィーの手がふんわりと重なった。
「夢モオ友達モ大切ナノ。ダカラ私、リアリュールノコト応援スルノ」
「フィー様……」
「私、大丈夫ナノ。離レテイテモズット心ハ繋ガッテル。リアリュールハ大切ナ友達ダモノ!」
 リアリュールに心配させてはならない。フィーが涙を堪えてリアリュールの肩に頬を寄せるとたおやかな手が頭をそっと撫でた。
「心配しないで。少しゆっくりになりますけれど、必ず会いに来ますから……ね」
「ウン! 約束ダヨ!」
 ぶんぶんと左右に揺れる尻尾。フィーがもう泣き虫ではないのだと安堵したリアリュールはフィーの前にしゃがみ込み、目線を合わせた。
「ところでフィー様の今後の予定は? 夢はありますか?」
「ン、私ノコト?」
「はい。歪虚が静かになって、帝国で精霊の権利が認められるようになって。フィー様も自由になったのですから、もしあるのなら聞いてみたいなって思ったんです」
 その問いにフィーは僅かに俯くと迷いながら口を開いた。
「アノネ、私……ローザノオ手伝イヲスルノ。精霊ダケジャナクテ、コボルド達モ守リタイカラ。モウ人間ト戦ワナクテ済ムヨウニ」
「コボルドとヒトの間に立つ調停役、ですか」
「私ハオ利口ジャナイケド、オ話ヲ聞クコトハデキルノ。ドッチノ不満モ聞イテ、皆デ考エル機会ヲ作ルノ! 喧嘩ハダメナノ」
「それは良いお仕事。精霊も亜人も皆が仲良くできるようフィー様は頑張るのですね」
「ウン。ソレニネ? オ出カケシタ時ニリアリュールノ牧場ニモ行ケルカモシレナイ。……行キタイノ。ネ、行ッテモ……イイ?」
 もじもじしながら尋ねるフィーにリアリュールがくすっと笑った。遠慮なんてしなくていいのにと。
「それでは一生懸命牧場を盛り上げないといけませんね。フィー様が羊のお友達になってくださるんですもの」
「ワァ、嬉シイノ! リアリュールト羊サントイッパイ遊ブノ!」
 フィーは両手をあげて大喜び。その稚い仕草にリアリュールは幼い妹を見るような優しい目を向けた。
「私もその日を楽しみにしています。フィー様が余計な不安を抱えないで素直に明るく輝いているか、フィー様の夢が叶っているか確かめないといけませんからね?」
「モー、私モコレカラ頑張ルンダカラ! イツマデモヘナチョコ精霊ジャナインダカラネ!」
 ――そう言ってフィーが胸を張った瞬間、リアリュールが彼女をふわりと抱きしめた。
「……あのね、フィー様の存在が私を前に進ませてくれる。私もフィー様の守護者の一人と思っていますから……帝都でも野原でもどこへでも聞こえなくても、私はフィー様の幸せを毎日祈ります」
 その言葉だけで、フィーは幸せに満たされる。どうか自分の気持ちも届いてほしいと思いながら。
「私モリアリュールト羊サン達ガ幸セダト嬉シイノ。イッパイイッパイオ祈リスル」
「ありがとう。それはきっとフィー様と私の秘密の時間ね」
 願う心は同じもの。祈りを込めた指切りを交わし、ふたりは新たな道へと歩んでいく。

 後日、フィーがハンターオフィスに向かった時「こころののーと」に跳ねるように元気な言葉が綴られていた。

『牧場を作ってブランド羊を育てる!』

 ノートの背には紐が括りつけられていて、先には羊毛のポンポンが愛らしく揺れている。
 早速フィーはペンを握るとその頁にわたあめのような羊の絵を描き、メッセージを記した。
「ずっとずっとおうえんしてるの! またあおうね! だいすきなともだちへ」


●My home,my darling.

 アルマ・A・エインズワース(ka4901)は妻フリーデリーケ・カレンベルク(kz0254)の住居で多くの資料相手に格闘していた。
 邪神戦争が終わった今、彼らは同居に向けて準備を進めている。今日も帝都の物件の資料をテーブルに並べると、ふたりは向かい合ったまま小さく唸った。
「んー。帝都の物件はお洒落で機能的ですけど、少し手狭な感じがするですー。養子を迎えるのならお部屋にはゆとりが欲しいですよね?」
『ああ、そうだな。子供部屋は必要になるだろう。……それに』
「それに?」
『……お前を迎える時にきちんと受け止められるよう広めの玄関がほしい』
 結ばれてから約4カ月。赤面しながらも甘えられるようになったフリーデの姿にアルマが慌ててペンを下ろした。
「わふ……あの、もしかして僕の突撃わんこでフリーデさんをびっくりさせてたですか?」
『いや、そうじゃない。ただ毎回……胸がおかしくなるのだ。マテリアルの乱れはないはずなのだが』
 フリーデが胸を押さえて俯くと流石のアルマも原因を感じ取ったのだろう、顔を赤らめた。
「そ、それでは物件探しは後日改めてしましょう。今日はもう暗いですし……あ、そうだ! 思い切って帝都の外にも足をのばしてもいいかもしれないです。帝都に近い街ならインフラも充実してるでしょうし!」
『う、うむ。そうだな、次の休暇にでも』
 普段のアルマはおっとりしているが、ここぞという時の決断は早い。頭を切り換えると「一休みしましょうか」と微笑み、フリーデをソファ代わりのベッドに案内した。
 ふたりはいつものようにベッドに並んで腰をかけ、揃いのカップで紅茶を飲む。
「ねえ、フリーデさん。街では邪神戦争の復興需要で色んな大型家具が予約待ちになってるそうですよー」
『ふむ、そうなると現在所有している家具を引き続き使った方がいいのだな』
「ですね、落ち着いた頃に必要に応じて少しずつ買い替えましょう」
『それならば私は荷運びで腕を揮うぞ。力仕事は得意だからな、任せてくれ』
「うー、それも僕が頑張るです! 妻に負担をかけるのは夫として嫌ですー、駄目夫です」
『……お前は変わらないな。それではふたりで運ぼう。モノの大きさによってはひとりで運べないものもあるしな』
「はいです!」
 夫婦となっても無垢なままのふたりだが、他愛のない会話を交わすだけで十分幸せだ。何しろ邪神がいた頃はアルマは守護者として、フリーデは帝国を守る絶火の騎士として戦場を駆け続けていたのだから。
 そしてふたりがカップを下ろした時――突然アルマが隣に座るフリーデの肩を抱きベッドへふわっと押し倒した。
『……っ。何をする、アルマ!』
 すると慌てるフリーデの唇にアルマが人差し指を押し当て、悪戯めいた笑みを浮かべる。
「わふふ、ここからはお外ではできないお話をしようと思って。ねぇ、フリーデさん。君は僕の特別なので……『リリィ』って呼んでいいです?」
『なっ!? 何を唐突に、しかもそんな可愛らしい名前など!』
「折角一緒になったんですもん。ふたりっきりの時に呼び合える名前がほしいですー」
『しかし、しかしだ! 私は並の男よりも図体が大きく物騒な女だぞ。そんな可愛い名前は……!』
 子犬のようにじゃれつくアルマにいやいやをするように頭を振るフリーデ。アルマがその反応に顔をすぐさま曇らせた。
「一生懸命考えたですけど……嫌です? だったらやめます……。妻の嫌がることをしちゃ夫失格ですよね……。反省です……」
 彼は背を丸めてベッドから下りようとする。そこにフリーデが慌てて『ち、違う』と首を横に振った。
「……?」
『あのな、嫌ではないのだ。ただ、愛称をつけてもらえるなど初めてでな……リリィとは私には勿体ない可憐な名だが、良いと思う。お前にもらった名だから殊更、大切にする』
 それを聞いた途端、無数の小花がぱあっと咲く瞬間の如くアルマが表情を華やかにさせた。
「わふーっ、今日から君はリリィですっ! あ、僕にもお名前つけてくださーい! ふたりっきりの秘密の名前ですからっ」
『う、うむ。それではアルでどうだ?』
 突然のリクエストに慌てて答えるフリーデ。するとアルマがぽて、と首を傾げる。
「あ、それはお兄ちゃんが僕を呼ぶ時と同じなのですー」
『兄上が? ……そういえばそうだったな』
 先日カールスラーエ要塞で再会した義兄を思い出し、気恥ずかしそうに頬を掻く。そして彼女が考えついた名は。
『それでは「ルゥ」でどうだろう? 私がリリィなら隣り合う音で繋いでも……』
「わぁ、それいいですっ! わふふ、こうしてふたりの秘密が増えるほど一緒になった感じがするです。ねっ、リリィ?」
『そうだな……ルゥ』
 今度は拒絶なんてしない。ベッドに座る夫に肩を寄せ、フリーデが幸せそうに目を閉じた。妻をいたわるようにアルマが囁く。
「リリィ、新しいおうち楽しみですよね?」
『うむ。良い家庭を築けるよう、これからも力を尽くそう。まずは家庭料理を覚えないといかんな。というよりも家事全般だが……』
「わうー、リリィは肩に力を入れ過ぎですー。家庭はひとりで作るものじゃないです、ゆっくり覚えればいいですよー。僕もお手伝いしますし、気を楽にしてほしいです」
『う、うむ。わかった。気を楽に、だな。……あ、家庭といえばお前の家は辺境にあるのだったな。以前より準備を進めていたとはいえ家財道具を運ぶのは難儀ではないか?』
 蕩けるような心地から不意に現実に引き戻されるフリーデ。だがアルマは問題なしと微笑む。
「わう、その点は大丈夫ですー。ずっと言いそびれていたんですけど、僕、帝国で相棒とルームシェアしてるです。主な荷物はそっちから、実家から持ち出すのは私物ですから手間はかからないですー」
『ふむ、それなら後は物件だけだな』
「はいです。もういっそのこと、土地に余裕のある帝都近郊の街に大きなおうちを建てた方がいいのかなって思ってます。そしたら養子は一人じゃなくてもいいかもで……あっ!」
 思考の合間に突然目を丸くしてフリーデにざっと向き合うアルマ。その瞳は先ほどまでの愛らしいまなざしと逆に真剣だ。
「リリィは子供が好きです? 家族がたくさんだと、幸せです?」
『ああ、子供は好きだ。できれば多くの子を幸せにしたいと思う。……お前が許してくれるのなら』
 その答えにアルマがにっこりと笑った。
「だったら孤児院、やるのもありかもですっ。……って、リリィが反対しないならですけど」
『孤児院、だと?』
「えっと、邪神戦争が終わった今の時点でもそうですけど、これから起こるかもしれない暴食王との戦争も考えると戦災孤児は増える可能性があると思うです」
『……ああ。ある程度の年齢になれば奉公なり従軍して食べていく道があるが……幼い子供も多いしな』
 フリーデは帝都で炊き出しを待つ子供達の姿を思い出し、苦い表情を浮かべた。彼らを助けたいと思いながらも具体的な手段をとれなかった自分への苛立ち。それを感じ取ったアルマが静かに頷く。
「ですよね。で、子供たちって未来であり、世界でもあるじゃないですか。だから僕らがそれを守れる居場所を作れたらきっと幸せになると思うですー」
『子供達と未来を守る……私にもできるだろうか?』
「わう、それはもちろんいーっぱい大変だと思うです。僕もリリィも覚えなくちゃいけないこと、やらなくちゃいけないこと、たくさんあるですし。でも、それ以上に楽しくて幸せになれるはずですっ!」
 アルマは不安げなフリーデの掌に大きなハートの絵を描いた。
「子供達をちゃんと食べさせられるようになれるまで、あったかい家をふたりで作りましょうっ」
 するとフリーデが『くすぐったいな』と笑みをこぼし、吹っ切れた様子で夫に寄り添った。
『ありがとう。あの子達を救いたいと思っていたのは事実だ、機会をもらえるのなら精一杯尽くそう。……しかし孤児院を開くのならば必然的に開設まで時間が必要だ。その間に「善き母」になれるよう、私に多くのことを教えてくれ』
「はいです、僕も良い父親になれるよう頑張るです! あ、でも……やるならどれくらいお金要りますかね……?」
 普段と変わらぬあどけない顔で現実的な計算を始めるアルマ。これから家族を守るため物事を真剣に考えている彼にフリーデはたしかな心強さを感じていた。

 それから数日後、アルマは帝都にほど近い街の屋敷を購入した。600万Gの出費は大きかったが、それに必要な設備を整えると出費がより重なる計算だ。
「……わふー。しばらくゆっくりできると思ったんですけど、しっかり働いてお金を貯めなきゃです」
 帰りがけにオフィスで依頼を確認しながらため息をつくアルマ。フリーデが差し出した貯金を足しても十分な額とは言えない。
 だがフリーデは憂慮するどころか清々しいほどの笑みを浮かべ、アルマの背を軽く叩いた。
『戦はお前と私の十八番だろう? まだ開拓や治安維持のためにハンターが必要とされるなら我らの役目を果たせばいいだけだ』
 と、その時。オフィスの職員が「新しい依頼だよ、歪虚討伐だ!」と告げて書類を壁に貼る。近隣の村に歪虚が現れたらしい。
『行こうか、アルマ。未来のために』
 フリーデが小さく鼻を鳴らし、アルマの手をとる。もちろん、とアルマが意気込んだ。
「わふ! 僕がフリーデさんも皆も守るですっ!!」
 アルマがジャケットの内側に隠した拳銃を握り、フリーデも戦斧を手に宿す。揃って駆け出すふたりに迷いはない。未来は始まったばかりなのだから。

 ……アルマとフリーデが去ったオフィスに残されたノート。そこには四葉のクローバーの絵とメッセージが書き込まれていた。
『大好きな人たちが幸せに暮らせますように』
 それはかつて歪虚に人生を狂わされた青年が辿り着いた優しい祈り。多くの人へ幸せを届けるため、夫婦は歩み続ける。


●貴女と望んだ永遠

 澪(ka6002)の家に濡羽 香墨(ka6760)が同居を始めたのは邪神戦争が終結してから間もない頃だった。
 婚姻届を提出し、正式なパートナーとして共同生活を始めたふたりは今日も食卓を囲み、幸せを噛みしめている。
「ん。香墨の卵焼き、美味しい。前よりも柔らかくて優しい味がする」
「……そう? よかった。澪のお墨付き」
 喜ぶ澪に香墨が微笑み、もうひとつどうぞと卵焼きを取り分ける。揃いの小皿に明るい黄色が並べば澪が「綺麗だね」と笑った。
 ――かつての香墨は路地裏で息を潜めて暮らしていた。だから食へのこだわりは薄く、必要な栄養を摂れれば十分と考えていた。しかし澪と出会い心を込めた料理の美味しさを知ってからはその認識が変わり、今は澪から料理の手ほどきを受けている。
 香墨にとっては毎日が今まで知らなかった味と幸せの出逢い。澪にとっては幸福を分かち合える大切な日々。今や食事を終えたふたりが「ごちそうさま」と食卓へ一礼するのもすっかり日常の風景だ。
「香墨のご飯、どんどん美味しくなってる。びっくり」
「ううん。そんなことない。澪の教え方が上手だから。なんとかできてる。それに料理の他にもまだ勉強しないといけないこと。たくさんあるから。これからも。お願い」
 桜色に頬を染め、謙遜する香墨。そこで澪が逡巡してから人差し指をたてた。
「それなら今日は香墨が夕飯の献立を考えてくれる?」
「う。まだ。私の作れるの。少ない……」
 香墨はまだ自信がないのだろう、澪の提案にたちまち顔を曇らせる。すると澪が「大丈夫」と笑みをほころばせた。。
「今日は一緒に買い物に行こう。まずは食べたいものを考えて。それを作るには何が必要なのか。それに良い食材の見分け方や保存する方法、安く買えるコツも覚えなきゃ。毎日ご飯を作るには色々考えることがあるの」
「……料理が上手になるには。作り方だけじゃ。駄目?」
「そう、毎日のことだから。でもそれは慣れればとっても楽しいこと。まずは香墨が食べたいものを教えて?」
「えっと、今ごちそうさましたばかりだから。思いつかない、澪が食べたいもの最優先で」
「私だってごちそうさましたばかり。すぐには思いつかない。……それじゃ今日は街を散策しながら一緒に考えようか?」
 重大な課題におどおどする香墨に小首を傾げる澪。香墨は悩みながら何度も頷いた。

 ふたりがまず向かったのは帝都の目抜き通り。ハンターオフィスを覗き、何か異変が起きていないか確認する。
「今日も。これといった事件は。起きていないみたい」
 香墨が壁に貼られた依頼を確認するとほっと息を吐いた。現在募集されている案件は人助けなどごく日常的なものばかり。邪神が消失してからというもの歪虚らはほとんど姿を見せなくなり、雑魔の発生も頻度ががくりと落ちているのだ。
 澪が感慨深そうに周囲を見回す。
「こうして見ると、世界が平穏になったんだと実感するね」
「うん。私は……澪との約束を果たせた日に。やっと穏やかさを。感じたよ」
 数週間前までふたりの胸元に秘めていた契り。邪神戦争から必ず生還し、幸せなっ家庭を築くのだと――澪がその日のことを思い出し頬を染める。
「そ、そうだね。それにフィー達も無事で良かったし……」
「うん。メルルもすっかり元気になって。私達の作った料理やお菓子を。食べてくれるようになって。……安心した、よね」
 澪と香墨は時折手料理や菓子を自然公園やコロッセオへ届けている。その度に精霊や友人らに喜ばれることが香墨の料理に対するモチベーションを大きく支えていた。
 こうしてふたりがしみじみと向き合うさなか、窓口に立てかけられたノートに澪が気づく。
「これは……こころののーと?」
 すると奥にいた職員がひょっこりと顔を出した。
「ああ。そいつは花の精霊のお嬢ちゃんが置いていったノートでな。口に出せない悩みを吐き出したり、嬉しいことを共有したりして前に進むきっかけにしてほしいんだと」
「そう、フィーらしい思いやり。ねえ、香墨? これ、私達も書いてみようか」
 澪がノートを差し出すと香墨は「……今のことなんて。どう書けば。ちょっと照れくさい」と恥じらいながらも受け取った。

 ふたりがノートを手に向かったのは無人の待合室。人の行き交うロビーでは互いに落ち着いてペンを執れないからだった。
(フィーのノート……私も書き連ねていこう。私はあまり喋れる訳じゃないから丁度良いかもしれない)
 澪は真っ先にデフォルメしたタッチで料理に勤しむ2人の鬼の少女を描いた。その様子を香墨が楽しそうに見守っている。
(私は家族離れできなくて。今も兄や双子の片割れのもとへ頻繁に遊びに行ってる。フィーにも香墨と一緒によく会いにいってる。料理のお裾分けとか、色々。話したいことや遊びたいこともあるから)
 思いを巡らせた澪は精霊達に渡した菓子の絵を描き、その隣にレシピをさらりと。絵日記のような賑やかな頁を作り上げていく。
「……ふふ。澪の絵、大好き。あったかくて。幸せな気分になる」
 香墨がひとりごとのように言葉を紡ぐ。澪は「ありがと」とはにかむと、近況報告を終えたノートを香墨に向けた。
「次は香墨の番。どんなことを書くのかな」
「……恥ずかしいけど。私。絵は苦手」
「ううん、こういうのは格好よく書こうとすると駄目。素直に書かないと気持ちが伝わらないよ」
「わかってる。……でも初めてだから」
 香墨は悩みながらも色鉛筆で文字を彩り、近況を綴っていく。
(……澪と一緒にいられるのって。やっぱり幸せ。覚えなくちゃいけないこと。いっぱいあるけど。でも)
 ふと手を止めて、目の前のパートナーを見つめる。姿はあどけないけれどしっかり者の頼れる――最愛のひと。
 澪と出会った頃の香墨は歪虚にも人間にも怯え、精霊以外の全てを拒絶するように全身を禍々しい鎧で覆っていた。その姿と同様に態度も刺々しかったのに澪は香墨を信じ続け、痛みさえも受け入れてくれた。
(きっと今感じている幸せがようやく「普通に戻った」ということ。澪が私を待ってくれて、一緒になって、「普通」を与えてくれた。ひととしての幸せを掴ませてくれた。だから)
 ノートの上で拳を握る。勇気を奮い立たせ、香墨は口を開いた。
「澪。私は、貴女を守る。護るために盾を持って。もし傷ついても。ずっと私が癒すから」
「香墨……」
「澪のおかげで。『普通』の毎日が来てくれたけど。私はこれからも依頼を受けると思う。生きるためにって。最初は嫌々だったけど……いまは、隣に澪がいるから。護るための戦いなら。頑張れるって」
「……うん。私も剣を棄てずに生きていくって決めてた。生活の事もあるけれど、ハンターだったから紡げた縁が、ある。他にも他にもやりたい事、知っていく事、たくさん。香墨が隣にいてくれるなら私はどこまでも勇敢に戦える。だからずっと、傍にいて」
「……うん!」
 澪の願いを受けてくしゃくしゃに破顔する香墨。眩しい笑顔に目を細め、澪は色鉛筆を手にとると小さな小さな笑顔をノートに描いていった。
(兄様が好き。蒼が好き。フィーが好き。ローザが好き。フリーデが好き……)
 澪のきょうだいや精霊達がまん丸な顔で笑っている。それを見た香墨もこくりと頷いて、拙いながらも心を込めて絵を描いた。
(私だって。フィーも葵も、フリーデもローザもメルルもグランもクリピクロウズも。みんな大事な友達で。みんなだいすき)
 笑顔の周りに無数の花を咲かせていく香墨。すると澪が牙の目立つ少女を描いていることに気がついた。
「澪、それは……もしかしてエリザベート?」
「そう。敵だったけど最後まで憎めなかったから。もし歪虚にも生まれ変わりがあれば今度は幸せになってほしいなって」
「そう、だね。……クリピクロウズも。もう会えないけれど。感傷に浸って。想いを繋ぐことなら」
「……うん。クリピクロウズが愛してくれた世界を、これからも紡いでいきたい」
 そう言って澪が笑顔のクリピクロウズを描く。彼女の瞳を見ることは叶わなかったけれど最期には笑ってくれたと信じて。
「これからも。皆に会いたい」
「うん、依頼で近くに行ける時があったら必ず会いにいこう。葵もグランも故郷にいるはず。クリピクロウズやエリザベートには石碑に花やお菓子を供えて」
「ん……あと葵に会いに行く時は。フィーも連れて行こう。きっと。喜ぶから」
 ――そうしてあっという間にノートの見開きが似顔絵と文字でびっしりと埋まってしまった。
 そこで澪は頁を捲り、最後にこう綴る。

『皆に感謝してる。皆と一緒だから、嬉しい。皆……好き』

「読み返したら悶絶するかもしれないけど。これが私の本心で、否定したくないから」
「……うん」
 香墨が澪の呟きにまっすぐに頷く。自分も気持ちは同じだと。
「私も感謝してる。……ハンターになって。今までに会ったみんなに。人間は怖くないって。歪虚も分かり合えるって。教えてくれたみんなにありがとうって。照れくさいけど。素直な気持ち」
 香墨が照れながらも最後まで口にした――その時。不意に立ち上がった澪が。座ったままの香墨の額に軽く口づけをした。
「み、澪!?」
 額への口づけの意味は「無償の愛」。顔を真っ赤に染めた澪が精一杯微笑む。
「あのね、これだけは口に出さないといけないと思ったから。何度だって言う。私は香墨が……大好き。……ずっと共に歩いていく。いつだってどこにいたって。大好きだよ、ありがとう」
 幸せの言葉を目一杯重ねて微笑む伴侶。その真心に香墨もはにかんで応じた。
「……澪の大好きは。私こそありがとう。澪がいなかったら。こんなに幸せな時間は訪れなかっただろうから」
 長く孤独を歩んだ自分の口からこれほど温かい言葉がこぼれるなんて。――気がつけば瞳が潤んでいる。
「香墨、ちょっと泣き虫になったよね?」
「……そんなこと、ない」
 年頃の少女らしく頬を膨らませた香墨にくすっと笑い、澪はノートを元の場所へ返した。
「それじゃ、買い物にいこうか。今日は香墨の好きなものを何でも作っちゃう」
「っ、それは駄目。私が澪の好きなものを。作るんだから!」
 澪の言葉に慌てて目元を拭い立ち上がる香墨。これからも澪と香墨はこの調子で互いに支え合っていくのだろう。
「またあのノートに書き込みにいこうね?」
「う……ん。書けることができたら。頑張って書く。絵を。澪に。教えてもらわないと」
 ああ、家事以外にも澪に教えてもらうことができた。
 だけどそれは幸せな時間が増えるということで……ふたりはどちらともなく手を繋ぎ、賑わう街へと姿を消した。

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参加者一覧

  • よき羊飼い
    リアリュール(ka2003
    エルフ|17才|女性|猟撃士
  • フリーデリーケの旦那様
    アルマ・A・エインズワース(ka4901
    エルフ|26才|男性|機導師
  • 比翼連理―瞳―
    澪(ka6002
    鬼|12才|女性|舞刀士
  • 比翼連理―翼―
    濡羽 香墨(ka6760
    鬼|16才|女性|聖導士

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ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
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