【未来】星を継ぐもの

マスター:KINUTA

シナリオ形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
1~25人
サポート
0~0人
報酬
普通
相談期間
8日
締切
2019/10/21 19:00
完成日
2019/10/27 02:45

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 王国暦1021年10月、ハンターズソサエティ総長、ミリア・クロスフィールド(現在は、ミリア・ドラゴネッティ)は、ソサエティの規模縮小を宣言すると同時に、狩子制度を導入した。
 これ以降、適切な『ハンターレベル』を持つと見なされたハンターに師事したものでなければ、ハンターになることが出来なくなった。



●王国暦1025年(ユニゾン暦8年)――グラウンド・ゼロ。セントラル内。同盟銀行セントラル支店。



「おいおい、この一帯はもう安全になったんじゃなかったのかよ!」

 と声を荒らげるのは銀行員ルイ・ラデュロ。
 運輸警備会社に勤めるパウロが言った。事もなげに。

「取り零しって奴だろ。それよりお前、うちへの融資の件についての話はどうなってんだ。審査はいつ終わるんだよ。社長が首長くして待ってんだぞ」

「うちは実績もあやふやな新興企業に融資なんかしない」

「いや、それはお前が決める話じゃないだろ。お前の上司が決める話だろ」

「上司なら死んだ。だからこの場での責任者は僕って事になる。その僕が融資しないって言ってるんだからこれで決まりだ」

「何で死んだと決めつけるんだよ」

「どう見ても死んでるだろ。見てみろよ」

 ルイは、手持ちのタブレットを指し示す。
 そこにはセントラルから配信された速報映像が映っていた。
 建築途中のビル街にゾンビが群れている。
 単調にして緩慢な動作で建物に侵入しようと頑張っている様は、リアルブルーのB級ホラー映画そのままだ。

「お前の上司も、ついでに言うとマルコとその上司も死んでるんじゃないかと思うね。うちのと同様あそこにいるんだろ? 商業地区開発関係の打ち合わせで」

 意地悪そうに言うルイに、パウロは笑った。

「お前分かってねーなあ。あいつもその上司もこんなことで死ぬようなタマじゃねえよ。ましてうちの社長はな――とにかく行くぞ」

「どこにだよ」

「決まってるだろ、お前の上司と俺の上司を助けに行くんだよ。ついでにマルコたちもな」

「はぁ? いやだね。なんでそんなことを」

「恩が売れるぞ? なあガリレオ?」

 こっそり退室しようとしていたポルトワール市公務員のガリレオは、そりゃもう渋い顔をした。

「何でまた僕が勘定に入ってるのさ……」



●セントラルから北東50キロ地点。都市開発最前区域。



 お約束に従いゾンビは、人間を見ると襲ってくる。
 歩行速度も遅いし動作も遅いが、疲れというものを知らない。おまけに力がある。一度目にした攻撃対象をしつこくしつこく追ってくる。
 ハンターから見れば雑魚中の雑魚みたいな雑魔であるが、一般人にとってはすこぶる脅威。




「全く、なんて日だ!」

 と言いながら銀行支店長は、スチール机を窓から投げ落とした。彼と一緒に来ている複数幹部も椅子や植木鉢や、その他目につく重そうなものを手当たり次第投げつけている。
 壁を上ろうとしていたゾンビがそれらの直撃を受け、落ちて行った。
 しかし下に群れているゾンビは仲間の災難に頓着することはない。我も我もと後に続く。
 その頭部が次々弾けた。
 グリーク商会社長のニケが、ショットガンで撃ち抜いたのだ。

「まあ落ち着いてください。そのうちハンターが来ますよ」

 社長随行員のマルコもまた、ショットガンで壁にかじりつくゾンビを落とす。

「それより、硬いものは落とさない方がよさそうですよ」

 ゾンビの1匹がスチール机を拾い、出入り口のシャッターを殴り始めた。
 他のゾンビがそれを見て椅子や植木鉢を拾い、同じことをし始める。
 頭取は舌打ちしものを落とすのをやめた。それから険のある声でニケたちに言った。

「おたくらは随分準備がいいことですな。武器を始終持ち歩いているのですかな?」

「いいえ、いつもは持ってませんよ。今みたいに、危険だと思う場所に行くときは別ですが」

 がはは、と荒くれらしい笑い声を上げたのは、柄の悪そうな運輸警備会社社長。噂では、リアルブルーの軍出身だとのこと。

「姉さん冴えてるね。どれ、俺もちょっくら手伝わせてもらうとしようか」

 と言いながら、引き連れてきていた部下たちに指図。大きなジェラルミンケースを持って来させる。
 ケースを開けてみればそこには、組立式のロケットランチャーが入っていた。
 それまで身を縮めていたセントラル開発局の職員が、げえっと目をむく。

「こ、こんな大型兵器を届け出もなしに市街地へ持ち込んで来られるとは、何事ですか! 明白に都条例に違反しますぞ!」

「おいおい、ここはまだ正式な市街地にはなってねえぜ。建設途中なんだからよ」

 うそぶいて社長は、ランチャーを組み立て始める。

「戦うのはハンターの専売特許ってわけでもあるめえ?」

 ニケは浅く笑み部屋を出て行く。マルコと一緒に。

「とりあえず私は、反対側の様子を見てきますよ。こちらからだけたかってきているわけでもなさそうですし」












「おー、近ごろ珍しい大群だなあ」

「地下工事している最中にわいて出てきたらしいよ」

「ゾンビの鉱脈でも掘り当てたか?」

 現場にたどり着いたベテランハンターたちに緊張感はない。
 彼らから見ればゾンビなど雑魚中の雑魚。いくら数がいようと恐るるに足るものではない。
 だが、油断しているわけではけしてない。
 慢心こそ勝利に対する最大の敵。そう思いながら、背後の弟子――新米ハンターたちに声をかける。

「肩の力を抜け。気張り過ぎてると後が続かないぞ」

「大丈夫、お前達なら出来る」

「頑張れ。期待してるぞ」

「己が出来ることを見極め、きちんと連携して事にあたれ」

「じゃあ、行くぞ!」

 そのとき、町の一角から轟音が上がった。
 運輸警備会社社長のロケットランチャーが炸裂したのである。






 窓から身を乗り出したニケは、真下にへばりついているゾンビを撃ち落とす。
 その隣でマルコは、同じようにゾンビを撃ち落としながら言った。

「ところでニケさん、ナルシスさんの件も落着してることですし、そろそろ自分も往生決めてみたらどうですか」

「何です、こんなときに」

「こんなときじゃなきゃ話聞かないじゃないですか。20代過ぎるのなんてあっと言う間ですよ。うかうかしてて気づいたら40代ってことも」

「あなた随分性格がよろしくなりましたね」

「教育の賜物ですよ」

「私から会社を取り上げるっていう目標はどうしました?」

「もちろん忘れてませんよ。でもあなたを取り上げたら、会社は成り立たなくなるんですよね。その逆もしかりで。だから、両方欲しいんです」

「欲張りなことで」

「あなたには言われたくない」






 行け、若人たち。
 かつての私たちのように。つまづきながら、迷いながら、それでも進め、強くなれ。
 私たちが先の人々から受け取ったものはすべて、あなたたちに渡す。
 それを背負って行け。

 あなたたちこそが、そう、星を継ぐもの――。





リプレイ本文

●πを求めて三千里



 ラスティ・グレン(ka7418)は今から1年前、グラウンド・ゼロ付近でジャイアントのお姉ちゃんたちに出会った。
 お姉ちゃんは全員美人。惚れ惚れするようなπの持ち主。
 しかし残念ながら人類に友好的ではなかったので、全く戯れられずに終了。
 その口惜しき経験を踏まえラスティは思った。
 もしかしたら人間に対して友好的であるジャイアント姉ちゃんも、どこかに存在するのではないか?――と。
 そんなわけで彼は、暇さえあればこの地を訪問している。
 しかし理想のジャイアント姉ちゃんには……まだ、出会えていない。





「お前らは俺の桃源郷にお呼びじゃねー!」

 ゾンビ集団目がけラスティは、魔杖『アヴェアランシェ』を向け、マジックアローを連発した。
 光の矢は腐れた肉体を的確に破壊して行く。
 が、相手の数は圧倒的に多い。
 気づいたら何か囲まれてる。
 更に来るべきものが来る。

「あ、あれ? おりぁ?」

 スキル切れだ。
 でも大丈夫。
 こんな時のためにこそ彼は、魔箒を持ってきている。

「うっひゃー、来るなー! 俺を追っかけて良いのはπ乙カイデーなねぇちゃんだけだー!」

 捨て台詞を吐いて襲われているビル屋上に避難。
 情けないと言うなかれ。敵を知ると同時に己を知ることもまた、ハンターに必要なスキルなのだ。




●R総合大学視察団




 レクエスタがてら卒業生の就職先候補を視察に来た途端、このゾンビ騒ぎ。
 星野 ハナ(ka5852)は怒りを露にする。

「子供達の職場予定地にぃ……お前ら全ブッコロですぅ!」

 ゾンビ集団の手厚そうなところへ猛突進。その場に固定砲台として仁王立ちし、五色光符陣を立て続けに炸裂させる。
 それによって周囲の空間はがらあきとなった。
 血気にはやる新人ハンターたちがそこを通って次々ビルへ突進していく。
 しかし建物に肉薄する前に、再度集結してきたゾンビに行く手を阻まれる。
 生きた死体は恐怖も痛みも感じない。多少体を損傷しても、平気で向かってくる。
 新人たち、怯みそうになる。
 そこをフォローするのが、フィロ(ka6966)。
 鉄の拳でゾンビの頭を吹き飛ばしながら、励ましと指導。

「皆さん、一撃で倒せないからといって恐れることはありません。相手は必ずダメージを受けているのです」

 そうしながらスマホで、離れた場所にいるディーナ・フェルミ(ka5843)と連絡を取り合う。
 彼女は今ビル付属の地下駐車場にいる。そこのあたりに逃げ遅れた人などがいるのではないかと踏んで。
 その読みは当たった。車ごと乗り入れたはいいものの、そこから出られない人が数名残っていたのである。

「ディーナ様、そちらの具合はどうでございますか?」

「んー、こっちは、ゾンビの数はさほどじゃないの――あ」

「何か?」

「車にたかっていたからセイクリッドフラッシュかけたの。もう。次の子供達の拠点にって思ったのに、変な方に大当たりなの」





●あの日聞いたあなたの言葉を僕はまだ覚えてる



「……昔これの100倍強いシェオルをおんなじ量裁けとかあったなー……」

 一人ごち鬼塚 陸(ka0038)は、ゾンビの群れに囲まれるビルを見上げた。
 威勢のいい連中がロケットランチャーやショットガンを外に向け撃ち出している。
 それに当たったゾンビは落ちたり砕けたり弾けたり。でも、消滅はしていない。
 新人たちが背後でうろたえている。


「おいおい、あいつ原型ないのにまだ動いてるぞ!」

「もういやあ! キモ過ぎるう!」

 つかの間ほろ苦い懐かしさに浸る。
 思い出すのは、瞼に浮かぶのは、ゾンネンシュタール帝国の皇帝だったひと。誰よりも強く気高くあろうとしたひと。
 そして今はもう、この世のどこにもいないひと。

(……ルミナちゃんがいってたっけ。次は、僕の番だって)

 振り向き、後輩たちに声をかける。

「大丈夫、っていっても不安か。じゃ……見てみる?”守護者”ってやつを、さ」



●ROOKIES



 天竜寺 詩(ka0396)はゾンビたちの群れを前にして、天竜寺 舞(ka0377)に話しかける。

「こうして一緒に戦うのは何年ぶりかな?」

 舞はぽきぽき指を鳴らしながら、笑顔で返す。

「お互い今は忙しいからね。ま、今日は久々に暴れるとするか」

 彼女らを含んだハンター一団の周囲には、うようよとゾンビが集まってくる。
 アーサー・ホーガン(ka0471)が率先して前に出、堅守でおびき寄せているのだ。少しでもビルから遠ざけようと。

「古代文明の避難民か何かか? 何であれ、お前らの出る幕はねぇぜ。次代の礎にでもなっておけ」

 ゾンビに囲まれそうになっている新人たちの方へ走る。
 踏み込みで包囲を破り、魔剣「バルムンク」と「ストームレイン」による薙ぎ払い。
 そして指導。

「多数相手に背後を取られるのは禁物だ。壁を背にするか、お互い同士背中合わせにならねーと」

 その合間にマジックアローを撃ち出し、壁に這い登るゾンビを落す。
 遅れをとらじと舞は、後方にいる新人達に号令をかけた。

「よし、切り込むよ!」

 詩がレクイエムを歌う。
 哀愁の響きを帯びた旋律が周囲のゾンビたちの動きを、たちまちに鈍らせる。
 舞はユナイテッド・ドライブ・ソードで進路上にいた数匹を断ち切り、そのままの勢いで跳躍。ゾンビの頭を飛び石替わりにして、集団のど真ん中に降り立ち――縦横無尽。

「よし、任務完了!」

 彼女の鮮やかな手並みに勇気づけられた新人たちは、果敢にゾンビへ挑んで行く。
 その中にカチャ・タホとリナリス・リーカノア(ka5126)の養女、ユリーヌの姿もある。

「へえーお前カチャとリナリスの娘なのか。年は?」

「8歳です」

 『富貴花』でゾンビの頭蓋を砕くビリティス・カニンガム(ka6462)の問いに歯切れよく答え、近づいてくるゾンビに斧の一撃。

 オンサ・ラ・マーニョ(ka2329)がほう、と声を上げる。

「うむ、良い目をしておる」

 ビリティスが言う、からかい交じりに。

「確かにな。オレも初陣は8歳だった。小便漏らさねえように頑張んな♪」

 そこへ風のように現れるリナリス。

「ユリーヌー!」

 ユリーヌは驚いた顔をした。どうやら、母親が依頼に参加するとは聞いてなかったらしい。

「リナママ、いたの!?」

「うん、闇狩人ユリーヌの雄姿を見に来たの♪ あ、これはメイムさんから♪ 見事使いこなしてみせなさい。大丈夫、ユリーヌなら出来るよ♪ 仲間を信じ、力を合わせて――」

 喋り続けながら娘にファータビアンカを手渡すリナリス。
 そこで、もう一人の母親であるカチャがやってきた。

「リナリスさん、ユリーヌの邪魔になるから顔出しちゃ駄目ですって!」

「えー、邪魔してないもん!」




●R総合大学関係者



「煌めけレセプションアーク♪ 突き進め~光の矢~♪」


 メイム(ka2290)は立ち塞がろうとするゾンビをレセプションアークとマジックアローで仕留めて行く――新人の参戦機会を奪わぬよう、加減しながら。

「セントラルも詰めが甘いねぇ、土地の不浄の不始末なんて前は王国が良くやってたけど規模が大きくなるとどこも同じなのかな」

 エルバッハ・リオン(ka2434)も同様の理由から、ファイアーアロー、ウィンドスラッシュ、ライトニングボルトの使用を、適度に手控える。

「かも知れませんね。幸い低級雑魔しか生まれてないみたいですけど」

 しかし彼女らのその気遣いも、実のところあまり功を奏していなかった。
 同じ場にいる宵待 サクラ(ka5561)がものすごい勢いで、ゾンビを殲滅していくからだ。

「マヂかー、引きが強すぎだっての」

 彼女は目下、イの字で始まる某司祭を探している。
 レクエスタのついでにこの町へ一緒に立ち寄ったのだが、現在はぐれたまま、連絡が取れない状態。

「こいつらなら聖導士は無双できるからそんなに心配しないけどさぁ!」

 とりあえず、先に指定していた待ち合わせ場所まで大急ぎで向かっている所。笑顔の快進撃を続けながら。

「ていうか都市予定地でこれかぁー、さすがグラウンドゼロだー」

 新人たちはその勢いに恐れ戦き、ゾンビより先に進んで道を空ける。




●生者と死者と



「あなたは誰ですか? 名前は?」

 Gacrux(ka2726)からの問にゾンビは、うなり声で返した。
 既に意思疎通できるような思考能力は無い。
 それを確認したGacruxは、一抹の悲哀を感じる。

(死ぬ間際、生に執着したんだろう。さりとて自我を育むほど、強い思いは抱けなかったか……)

 今し方会って来たクリュティエの顔が、ふいと脳裏に浮かんだ。
『ラナンキュラス』で迫ってくる相手をなぎ払う。
 地を蹴る。
 建物の出っ張りや街灯の柱など利用し、機敏に移動を繰り返す。
 窓やシャッターを叩いている群れを、連断で切り伏せる。
 そこに、さっと人影が飛び込んで来た。
 唐草模様の風呂敷包みを背負ったルンルン・リリカル・秋桜(ka5784)である。

「ルンルン忍法を駆使してゾンビを倒し、襲われてる人達を救出しちゃいます! 困ってる人達を助けるのも、正義のニンジャの勤めなんだからっ!!」

 彼女が張り切って口上を述べ終えた途端、轟音が響いた。
 間近に起きる大爆発。吹き飛び、ひしゃげるゾンビ。
 顔を上げれば上層階の窓に、ロケットランチャーを構えた荒くれ風な女の姿。

「おー、来たかハンター! 取りこぼしの撃ち漏らし、よろしく頼むぜ!」

 Gacruxは眉を潜める。

(下手に相手を刺激してほしくないんですがねえ……)

 別の窓からマルカ・アニチキン(ka2542)が顔を出してきた。

「あ、Gacruxさん、ルンルンさん、お久しぶりです!」

 外に投げ出したロープを伝い、下まで降りてくる。
 そのロープに気づいたゾンビが我も我もと伝い上り始める。

「あっ! 駄目ですこれは私だけのロープなんですう!」

 と言いながらマルカは、グングニルを炸裂させた。
 射程にいたゾンビが影も形もなくなる。
 ルンルンもゾンビたちへ風雷陣と五色光陣を立て続けに見舞う。

「正義のニンジャ、ルンルンの必殺技! 戌三全集陣……ババンババンバンバン」

 ……ハービバノンノン……

 一拍置いてルンルンは目を見開き、周囲を見回す。

「だ、誰ですか! 合いの手入れてきたのは!」

 多分今消えたゾンビのうちのどれかだ。



●ママさん会議



「数が多くて厄介だわね」

 マリィア・バルデス(ka5848)は、「応報せよアルコル」の銃口を天に向け引き金を引く。
 弾丸は光の雨となって地上に降り注ぎ、ゾンビの動きを止める。
 新人たちがすかさずそのゾンビを殲滅していく。
 マリィアはその中に、見覚えある相手がいることに気づいた。金髪の、少女。

(あら、今の……ユリーヌちゃん?)

 別の方角から覚えのある声。

「わああ、ユリーヌ!」

「大丈夫、大丈夫ですからリナリスさん! 手を出したら駄目です!」

 顔を向けてみればリナリス。
 そしてカチャ。

「リナリス達も来てたのね、娘さんも一緒だったの」

「いえ、一緒に来たわけじゃないんですけどね。授業参観って言うか」

「もー、カチャったらユリーヌちゃんに全然タッチさせてくんないんだよー!」

「したら駄目なんです。あの子のためになりません」

「だってこんなに敵の数が多いんだよー」

「駄目」

 どうやらカチャの方が養育に対し厳しい意見を持っているようだ。
 思いながら世間話――というか、常日頃抱いている問題意識を口にする。

「こういうことが起きる度に思うのよ。狩り子制度は間違ってるって」

「どうしてです?」

「人間領域の拡大政策を取ってるのにハンター制限なんて間違ってるでしょう。そんなの人間領域が完全に固定化されてからで良いのよ。こういう場所で働く人員は全員ハンターでも良いと思うもの。低位のうちは既存地で雑魔から人類を守り、一定以上は北征南征に関わる。それならハンターはいくらだって必要よ。オフィスがきちんと現場を見ていない気がするのよ」

 そこにルンルンの呼びかけが聞こえて来た。

「今から八卦灯篭流を使用しますのでー、速やかにビル側へ移動したい希望者は、申し出てくださーい」

 リナリスがすかさず手を挙げ、声を張り上げる。

「あ、こっちお願ーい」




●後継指導の難しさ




 トリプルJ(ka6653)は、ゾンビ集団に突っ込んだ。

「さすがグラウンド・ゼロってかぁ!」

 吠え狂いしものによって強化された肉体は、ゾンビたちを一瞬のうちに粉砕する。
 その後続けて発動された神憑きしものによって宙を駆け、古代大剣「ウェンペ」を前後左右、縦横無尽に振り回す。

「俺の周りに寄るんじゃねぇぞ!」

 とJが言ったときにはもう、周りになにもいない。
 圧倒的な力を目の当たりにした新人たちは、英雄を見るかのごとき眼差しでJを見る。

「すっげえ……」

「やっぱり邪神世代は違うなー」

 そうした視線を向けられるのは、Jとしてあまり望むところではない。
 この場の主役はあくまでも彼らであるべきとの考えもあって、先のコンボ技をもう1回済ませた後は、普通の戦闘スタイルに戻る。
 ルベーノ・バルバライン(ka6752)は、最初からそのスタイルだ。
 新人が致命傷を負わないよう最低限の手助けはするが、それ以上はやらない。

「こいつらのためにならんからな。自ら危険に身をさらさねば、真の戦い方など覚えられん――」

「そうだな。戦いってなあ、毎回別物だ。一度通用した策が次も通用するってもんじゃねえ――」

 2人同時に言葉を切り、同じ方向に顔を向ける。
 感じたのだ、強烈な正マテリアルの気配を。












 
 
 一瞬何かが動いた、という気配の直後、空間を席巻していたゾンビの集団が、全て、幻のように消え去る。
 押し殺した沈黙の後、どよめきが爆発した。


「守護者強ええっ! 神!」

「もう次元が違うよねっ! 何が起きたのか全然わかんなかった!」

 陸の体を満たしていたマテリアルが、有無を言わさず消えていく。
 百年分くらいにも感じられる疲労感と倦怠感が襲ってくる。血が下がり、骨がきしむ。眩暈がする。
 でありながら彼は新人たちへ、気さくに語りかけた。自分が「人を越えたもの」として映っていると察しつつ、そのことを肯定も否定もしない。この背から何を感じるかは彼ら次第だと思っているから。

「神は言い過ぎ。そのレベルには到底及ばないから。俺はそう、言わば――『矛盾の守護者』ってとこかな? さー、道は開いたから。後はもう君らのターンだ! 頑張れ!」

 新人たちが走りだす。
 陸はその後ろで、崩れるように膝をついた。
 人間に過ぎた力を使った代償だ。
 浅い呼吸を整え仰向けに転がれば、痛いほどに清冽な青が広がっていた。







●任務完了、その後で



 ゾンビたちは予定よりずっと早く全滅した。
 トップクラスのハンターが何名も、手加減無用で暴れまくったのだ。当然であろう。


 しかし念のため舞は、ビルの周囲を見回った。
 ゾンビは――いない。残るのは掃討に伴う破壊の跡ばかり。
 そこを十分確認して、ようやく納得する。

「よし、任務完了!」

 詩とともに、ビルへ入る。避難者たちの様子を確認するため。
 もう降りても安全と言うことがアナウンスされたのだろう。ロビーは人でごったがえしていた。
 すでに先に入っていたディーナとフィロが、建設作業員らしき人々と話し込んでいる。

「――片付けはメイドの本業です。お手伝いさせていただければと思います」

「地下工事中にゾンビが出てきたの?」

「はい。掘削していたら急に土壁が崩れて――そこからどっとあれがわいてきまして。わしらが何かした訳じゃねえんです、本当なんです」

「落ち着くの。不幸な事故だったの、個人の所為じゃないの。でも同じ轍を次に来る子供達が踏まないように、原因確認は必要なの――だから、もっと詳しく教えて」

 詩と舞はその横を通り過ぎ、上のオフィスフロアへと向かう。
 そこには社会的地位の高そうな人間が、軒並み詰めていた。
 舞はその中から、ロケットランチャーをぶっ放していた顔を見つけた。
 歩み寄り素性を聞き出した後、手透き和紙で作った名刺を差し出す。

「なかなか豪快な社長さんだね。今うちの領内で色んな舞台や学校の建築計画があるんだけど資材の運輸警備の仕事請け負う気ない?」

 一方詩は、マルコのもとへ一直線。

「マルコ君、久しぶり!」

「ああ、詩さん、お久しぶりです」

 さりげなく周囲に目を配り、ニケの姿も確認。窓際でハナと、何やら言葉を交わし合っている。
 そちらをちらちら見ながら詩は、彼に、自分が今一番知りたいことを尋ねた。

「それで? ニケさんとはどうなってるの?」






「――ニケさん最近ユニゾンの方はどうしたんですぅ?」

「変わりなくお付き合いしていますよ?」

「何かマゴイさん南方大陸開拓に乗り出したって聞いたんですけどぉ」

「耳がお早いですね。でも、ちょっと違います。南方大陸じゃなくて南極大陸ですよ、マゴイさんが開発に乗り出されたのは」

「ええっ、この世界にも南極大陸ってあるんですか?」


 話が込み入ってきたところで、ひょいとメイムが顔を出す。窓から。
 天駆けるものを使えば20階の高低差などちょろいものだ。

「下の始末は終わったよ。みんな無事かな?――あ、ニケさん達もお久しぶり」

「お久しぶりです、メイムさん」

「ここの地区開発担当者、誰か知ってる? ゾンビ発生源が判れば教えてもらいたいんだけど……」

「ああ、それならあの方たちですね」

 ニケが示したのは部屋の隅。
 背広組数人――セントラル開発局の職員――が額をつき合わせている。

「サンキュ」

 メイムはそのまま入室。
 背広組は彼女が近づいても気に止めず、口裏合わせに勤しんでいる。

「とにかくこれは現場を担当する下請会社の不備が原因だ。我々はきちんと常日頃から安全対策について指導していたし監査もしていた。そうだな?」

「ああ、地質調査もしっかり丁寧にやるように指示していた」

「断じて工期を急がせたりなどしていないからな」

「直接的な指示は出していないからな。忖度しろとも言ってないからな」

 そこへディーナとフィロが、当の下請け関係者を連れてくる。
 背広組は目ざとくそれを見つけ、怒鳴りつけた。

「こんな騒ぎを引き起こして、一体どう責任とるつもりなのかね!」

 ディーナは真正面から彼らに苦言を呈した。

「責任は上層部が取るものであって末端が取るものじゃないの」

 鈍器のような眼差しに担当者たちは、かなりビビる。
 フィロは丁寧かつ平静に意見した。

「今回の湧きの経過はきちんと記録し周知すべきと考えます。この地でこれが最初で最後の湧きとは思えませんから」

 メイムは脇から手を出した。親指と人差し指で円を作って。

「調査と浄化はこっちで受け持つからさ、責任者さんはお礼頂戴ね、じゃないと噂に尾ひれがついて地価がダダ下がりだよ♪」

 以上の会話を盗み聞きしたマルカは抜かりなく最新タブレットを取り出し、グラウンド・ゼロ配信の経済速報をチェック。







 詩がニケに歩み寄る。ちょっと、と袖を引き囁く。

「時には素直になる事も必要だよ。ニケさんだって自分のパートナーはマルコ君しかいないって解ってるでしょ?」

 ニケはタバコ型の清涼剤を咥え、深く息を吸い込んだ。

「彼があなたに、何か言ってほしいと頼んだんですか?」

「ううん。私が勝手に言いたいだけ。ねえニケさん、人の運命って本当にわかんないんだよ。どんなに愛してる人でもさ、強いと思っててもさ、突然いなくなることあるんだよ――」

 込み入った話になりそうなのを察したハナは場を離れ、マルコの方へ。
 
「私ぃ、マルコ君はユニゾンのステーツマンになってみんなを呼ぶのかなって思ってましたぁ」

 その言葉を受けマルコは、苦笑した。

「俺はステーツマンには向いてませんよ。欲深ですから。ニケさんと一緒で」

 ややもして、ニケが来た。
 一息深く煙を吸い込み、間を置いてからマルコに言う。

「共同経営者になったとしても、個人の持ち株は譲りませんよ?」

 もうちょっとロマンチックな言葉を期待していた詩は、がくっとこないでもない。
 しかしマルコは会心の笑みである――やや、ずるそうな。

「……ニケさん、緊張する場面ではいつもそれ吸ってますよね」

 ニケはわずかに顔をしかめた。具合悪そうに横を向く。
 
「緊張しない時でも吸います」

 商談を首尾よく終えた舞が、遅れて場に来た。
 舞から詳細を聞き、にやっと笑う。

「新婚旅行は是非天竜寺領へ~。本物の歌舞伎も見られるよ」

 マルカがおずおずと、話に割りこんでくる。

「今から公証館に行けば値崩れした土地やビジネスを獲得し放題です。……ニケさん達も一緒に向かいませんか!」

「いいですね、ご一緒しましょう」

「俺も行きますよ」

 この後マルカはニケらの助言を得て、望みどおりのものを得ることになる。




●課題がまだまだ残ってる




「ユリーヌちゃん大勝利だー♪ よく頑張ったね! 今夜はご馳走だよ♪」

 抱き締めなでなでしてくるリナリスにユリーヌは、声を上げる。

「リナママったら、もういいよ、恥ずかしいからっ」

「何が恥ずかしいのさー、親子のスキンシップは当然でしょー。あ、そうだ、今日のユリーヌの活躍ドローンで全部自動撮影してるから。後で家族で見ようね♪ 選挙事務所でも打ち上げだ♪」

「そういうのが恥ずかしいのっ!」

 そのやり取りを見ながらリオンは、カチャに言う。

「いつもこんな感じですか?」

「ええ。おおむね」

 頬をかきつつ言ったカチャは、次いでリオンに聞いた。

「例の一族にまつわる呪いについて、理由が分かったんですって?」

「はい。母の一族の先祖が不老永寿を目的にして開発した不完全な術が原因でした。その術は無制御状態になっていて、稀に一族の者が術の効果を受けていたようです……術を維持している装置を見つけて停止させたので、今後は術の効果を受ける者は出なくなりますが、一度、受けた術の効果は現状では解除不能……」

「ということは、このままだとエルさんもいずれ……」

「ええ……『肉体は若いままだが、精神は幼児化した老人』として一生を終える羽目に……そうならないためにはまだまだ研究が必要です」

 長い長いため息をつく相手を前にしたカチャは、しばし考えこみ、ポンと手を打つ。

「エルさん、その研究、しかるべき機関に協力を求めてみたらどうでしょうか」

「え?」

「エルフの寿命は長いですけど、一人でやれることには限界がありますよ。組織を頼ってみてもいいんじゃないですか?」

 そんなやり取りが繰り広げられている前を、某司祭と談笑しながら通り過ぎて行くハナ。

「いやあ次の授業の良いネタGETだね。学校帰ったらもっと子供達をしごかなきゃだ」






 オンサは歩道の縁に座り込み黄昏ていた。
 戦っているとき忘れていた心のもやもやが、再び心に舞い戻ってきたのだ。

(一族の将来については兄上と姉上が引き受ける……ならば、我はこれから如何に生きるべきか)

 ビリティスがそこに来て、もじもじしながら声をかける。

「あのさ……オンサもリアルブルー来ないか? あたしさー、リアルブルーに戻って、ロボット工学を本格的に学ぼうかと思っててさー。テラドゥカスを実際に作って見たくてさ……」

 物思いにふけるオンサは、かなり明白な彼女のシグナルを全く受信出来ていない。

「リアルブルーに? 我が行っても何も出来ぬだろうよ」

 それにビリティスがキレた。
 相手の頭をぐきっと音がするほど自分側にねじ向け、深く口付け。

「……うちのママもオンサに一度会いたいって言ってるしさ……」

 そこまでやられてやっとオンサも、相手の言いたいことが分かった次第。

「それはその、き、求婚という事であろうか……わわ我も一応族長の娘であるし色々と準備がっ……父上にも報告をせねば……」

 ここで、止めの壁ドン。

「……向こうで一緒に暮らそうって言ってんだよ。お前とずっと一緒に居たいんだよ。分かれよ……」

「ひゃ、ひゃい……」

「……でも、余り待たせるなよ……? 我慢できなくなったらさらっていくぜ……?」





 Gacruxは壁を背に煙草を一服。
 路上には初陣を終え興奮気味な新人たちの姿があった。
 ハイタッチする者、力つきたように座り込む者、魔導スマホで勝利を誰かに連絡する者――。
 Gacruxは目を細める。
 彼らの姿に、若い頃の自分を重ね合わせて。

「……頑張って下さいねえ」

 小さなエールを呟き、隣のホーガンに話しかける。

「あの中に、あんたの狩子がいますか?」

「いいや。俺にゃまだ狩子はいねえ。だがまあ、いつかは育てることになるんだろうな」

 星の守護者として、“星を継ぐもの”に未来を託す日が来るはずだ。ということを、彼は疑わない。
 その先にあるのが更なる飛躍が終焉か、今は分からない。だけど。

「いずれにせよ、自らの手で道を選んで進んでくれりゃ、文句はねえさ――お前には、狩子がいるか?」

 話を振られたJはいいやと答え、後頭をガシガシ掻く。

「これ見るとオフィスが狩り子制度なんぞ導入したのは間違いだって気がするぜ。浄化して人間領域拡げるにゃ、一定数以上のハンターが必要なんだ。それだきゃ間違いねぇ。……だからこそ王国の学校に協力するんだがな」










 ラスティはビルの屋上で、失意体前屈していた。
 ――そう、スキルが切れた後、彼はずっとここにいたのである。

「友好的なジャイアントのねぇちゃんとの出会いは今回もなかった……俺の……桃源郷……」

 しかし彼は鋼の心の持ち主。ひとしきり落ち込んだらすばやく立ち上がるのが常。

「北が駄目でも南がある! 俺は行くぜ!」

 エレベーターで一気に一階まで降りたところ、玄関前に大型の装甲トラックが横付けされているのを発見。
 三人の若い男がその傍で話している。

「だから言ったじゃないか、間に合わないから行く事ないって」

「ちぇっ。やっぱこの機体速度が問題だな。期待してたのに残念だったなルイ。お前の上司、食われてねーぜ」

「でかい声で言うな聞こえるだろ!」

 そこへフィロが来た。

「もしかして、ベレン学園の方々でしょうか……皆様随分立派になられて」

 ハナも来た。

「パウロ君やガリレオ君達も来たんですぅ? 偉いですけどぉ、あんまり無理しないでハンター呼んで下さいねぇ」

 更にカチャ一家。

「あれ、フィロさん!」

「あらまあ、カチャ様も此方に居らしたのですね。ユリーヌ様も――」

「あたしたち、これからユリーヌの初陣大成功のお祝いするの♪ 一緒に来ない?」

 何を隠そうラスティはR大学の生徒。
 関係者に見つかるのは具合が悪い。物陰に隠れながら通り抜けようとする。
 しかし残念なことにフィロが気づいた。

「そこにいらっしゃるのはもしかしてラスティ様ですか?」

 続けて舞や詩、ニケらが来たが、その後の展開については割愛する。

 ひとまずこの後ハンターたちが更に調べを進めたところ、ゾンビたちはどうやら『地下シェルターに避難したまま死んだ古代人』であるらしきことが判明した。
 これを受けてセントラルは、今後都市建設の際、徹底した事前調査を義務付けることになった。







●ユニゾン島


 コボルドのナニー・ワーカーたちはカリカリを食べながら、お昼寝するソルジャーたちのハンモックをゆすってやっている。
 ルベーノは少し離れたところにいる。汗びっしょりになった顔を、タオルで拭いている。
 つい先ほどまで、ソルジャーたちに組み手をしてやっていたのだ。
 マゴイはその傍らで、青と白に塗り分けられた二羽の鳥のブローチを、白いつば広の帽子に付けてみたりしている。

「いや、随分成長したものだ。油断をすれば危ないな」

『……そんなことはないでしょう……あの子達はまだ小さいわ……』

「いやいや、格闘士はあくまで単体特化だからな。そろそろ子供達と集団組手すれば俺が負ける頃合いよ――ところでμ、南極開発と衛星打ち上げはどうなった」

『……開発は現在地盤調査の段階……衛星打ち上げはまだ先の話ね……』

「コボはそろそろステーツマンとして活動できそうか。コボルドの寿命は俺たちより短い分生育が早いと聞いたが。ステーツマンが活動を始めれば、お前の負担も軽くなろう」

『……それは気が早すぎることよ……ステーツマンはまだ出生してもいないわ……』

「そうか。ところでマゴイよ。外部者がこの地に居を構えることは可能か?」

『……外部者宿泊所を……恒常的に利用するという形をとるなら……可能……』

「そうか、なら、その手続きをしてくれ。俺はこの地に永住しようと思っているのだ」

『……え?……』

「ユニゾンが独自に拡大できるなら、俺が北征や南征に参加する意義はない。お前と離れてまで人間領域拡大に貢献する気にはならん。北征は利権がキナ臭い。別大陸でユニゾンが繁栄できるなら、それで良かろうよ」






 コボルドワーカーたちは目をぱちぱちさせた。
 一瞬急にあたりが、虹色に輝いたように感じたのだ。
 振り向けばマゴイとルベーノが抱き合っていた。


『市民……それはとてもよいこと……ワーカーが喜ぶ……私も、とてもうれしい……あなたがユニゾンにいてくれることが……』




●回答



 マリィアが上申した狩子制度についての意見は、ハンターズソサエティにとって特に目新しいものではなかった。
 実はそれに類する意見は、すでにあちこちから幾つも出ていたのである。 
 しかしソサエティは、狩子制度の方針を変えることはしなかった。

 彼らは勘付いていた。世間が、こういう風に見始めているということに。

 「ハンターが増加すれば確かに、人間領域は短期間で拡大出来る。
 だがその後確実にハンターの一大勢力が残る。
 それは著しい脅威となる可能性がある。王を失い烏合の衆と成り下がった歪虚などより、ずっと」

 

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重体一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸ka0038

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士
  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • Avenger
    オンサ・ラ・マーニョ(ka2329
    人間(紅)|11才|女性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 見極めし黒曜の瞳
    Gacrux(ka2726
    人間(紅)|25才|男性|闘狩人
  • また、あなたと
    リナリス・リーカノア(ka5126
    人間(紅)|14才|女性|魔術師
  • イコニアの騎士
    宵待 サクラ(ka5561
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • ベゴニアを君に
    マリィア・バルデス(ka5848
    人間(蒼)|24才|女性|猟撃士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • 巨π神降臨
    ビリティス・カニンガム(ka6462
    人間(蒼)|8才|女性|闘狩人
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