ゲスト
(ka0000)
守るための罠作り
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/02/15 22:00
- 完成日
- 2015/02/21 03:10
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●少年、非力なりに考えた
村の大人の仲間入りまであと一歩までやってきた少年カールが一大決心したのは、雑魔が近くの森に現われたためだった。
いろいろあってハンターが倒したので村に大きな被害はなかったが、このままでは大切な畑や村が襲われるかもしれないという問題を身近に感じたのである。
抵抗する力を手にしたい。しかし、ハンターになれるわけではないし、猟師や兵士になるような勇気も力もない。
畑を耕し、家畜を飼う生活が一番性に合っているため、父を助け大人になるのが一番だと考えている。
やはり雑魔や亜人などが村に来るのも恐ろしい。
何かできないものかと真剣に考えた。
ある日、旅の途中の魔術師が植物採取かなにかでやってきた。その魔術師は一人ではなく、弟子らしい女の子を連れていた。魔術師の弟子ならきっと頭も良くて悩みに答えてくれるかもしれないと、カールが尋ねると「罠作りなら非力でもできます」と教えてくれた。
猟師だって罠は作るし、戦いでも使われることもあると教えられ、カールは驚きとさすがに魔術師の弟子だと尊敬した。
ためしにその子が作った罠にカールはひっかかって転んだ。ほんの数分で作られたそれに簡単にひっかかったため脅威を感じ、希望を持った。宝箱の守り方もその子は教えてくれた。
それ以降、カールは罠に詳しそうな人を見つけたは尋ねて、研究に研究を重ねて行った。
「もし、もしもコボルドに襲われても、村の人でもどうにかできるかもしれない!」
しかし、いきなり実践は怖いし、罠に関して近所の人に感想を求めるのも難しかった。
●ハンターさんなら!
「というわけで、鍛えられているハンターさんなら簡単に怪我したりしないでしょう? それに仕掛けの弱点を教えてくれると考えたんです!」
期待がこもったキラキラと輝くカールの目に、話を受ける職員に自然と笑顔が浮かぶ。
「どんな感じか教えていただいていいですか? 依頼に掲載するかは私の判断ですので、受ける人には伝わらないですから安心してくださいね」
提示されている料金と人数との兼ね合いなどを算出しないとならない。もちろん、このやる気のある生き生きとした可愛らしい少年の期待に応えてあげたいから、ぎりぎり報酬を下げて人数を増やす方向だ。もちろん、危険が倍増なら人数を減らして、危険手当にしないと問題だ。
何事もバランスが重要というのが信条だ。
カールはうなずくと手書きの地図を出した。
「僕が通っているので、迷うことはないです」
森の入口から道をそれ、五百メートルほど一筆書きで戻ってくるルートだ。意外範囲は広いので職員は驚く。
本格的な罠かもしれないと職員はごくりと唾を飲み込む。
「まずは、スネアです。それと、トリップ・ワイヤー……」
続けていく言葉を聞きうなずく職員。その先に剣山があって刺さるとか、ワイヤーにかかるとつるされちゃって無力化されるとかあるのかしら、と職員は想像しながら聞いている。
「……宝箱に、力を込めて抜くとひっくり返る武器……」
聞いていくうちに職員の笑顔は引きつっていく。地図からすると森の入口なので、村人だって道をそれて入ることはあるだろう、薪拾い、植物採取など生活に近い部分で。
「村の人も入る森なんですよね? 屋外ですよね?」
「はい、森の入口から脇道に入って一周して戻ってくる感じです」
きらきら輝くカールをどん底に落とすのも嫌だが、職員は生じた不安を抑えつつもう一度問いかける。
「村人も入るんですよね、森に?」
「……?」
「いや、その」
職員はそれ以上突っ込むのはやめた。
実は罠は罠として成り立っていないのではないだろうか、と。スネアやトリップ・ワイヤーもうまく使えば強力な罠だとは知識上持っている。そこは知識を深めればきっと村の守りに役に立つだろう。
宝箱や刺さった武器なんているのだろうか。村から逃げたときに盗まれないためだろうか?
実際見ないと状況は分からないが、カールが言った以上なことはなかろうと職員は判断した。この少年が嘘つきでうまく罠の状況を隠しているならば、むしろ騙された職員は「恐ろしい天才だわ」とうなればいい。
まあ、本格的な罠にかかったハンターには悪いけれど。
十中八九それはなさそうだと人間見る目に自信を持ちつつ、職員はできるだけ多くのハンターにお願いすることにする。
「わかりました。きっと皆さんが判定してくれますよ」
職員は「どうなることやら」とハンターたちの反応を待つことにした。
村の大人の仲間入りまであと一歩までやってきた少年カールが一大決心したのは、雑魔が近くの森に現われたためだった。
いろいろあってハンターが倒したので村に大きな被害はなかったが、このままでは大切な畑や村が襲われるかもしれないという問題を身近に感じたのである。
抵抗する力を手にしたい。しかし、ハンターになれるわけではないし、猟師や兵士になるような勇気も力もない。
畑を耕し、家畜を飼う生活が一番性に合っているため、父を助け大人になるのが一番だと考えている。
やはり雑魔や亜人などが村に来るのも恐ろしい。
何かできないものかと真剣に考えた。
ある日、旅の途中の魔術師が植物採取かなにかでやってきた。その魔術師は一人ではなく、弟子らしい女の子を連れていた。魔術師の弟子ならきっと頭も良くて悩みに答えてくれるかもしれないと、カールが尋ねると「罠作りなら非力でもできます」と教えてくれた。
猟師だって罠は作るし、戦いでも使われることもあると教えられ、カールは驚きとさすがに魔術師の弟子だと尊敬した。
ためしにその子が作った罠にカールはひっかかって転んだ。ほんの数分で作られたそれに簡単にひっかかったため脅威を感じ、希望を持った。宝箱の守り方もその子は教えてくれた。
それ以降、カールは罠に詳しそうな人を見つけたは尋ねて、研究に研究を重ねて行った。
「もし、もしもコボルドに襲われても、村の人でもどうにかできるかもしれない!」
しかし、いきなり実践は怖いし、罠に関して近所の人に感想を求めるのも難しかった。
●ハンターさんなら!
「というわけで、鍛えられているハンターさんなら簡単に怪我したりしないでしょう? それに仕掛けの弱点を教えてくれると考えたんです!」
期待がこもったキラキラと輝くカールの目に、話を受ける職員に自然と笑顔が浮かぶ。
「どんな感じか教えていただいていいですか? 依頼に掲載するかは私の判断ですので、受ける人には伝わらないですから安心してくださいね」
提示されている料金と人数との兼ね合いなどを算出しないとならない。もちろん、このやる気のある生き生きとした可愛らしい少年の期待に応えてあげたいから、ぎりぎり報酬を下げて人数を増やす方向だ。もちろん、危険が倍増なら人数を減らして、危険手当にしないと問題だ。
何事もバランスが重要というのが信条だ。
カールはうなずくと手書きの地図を出した。
「僕が通っているので、迷うことはないです」
森の入口から道をそれ、五百メートルほど一筆書きで戻ってくるルートだ。意外範囲は広いので職員は驚く。
本格的な罠かもしれないと職員はごくりと唾を飲み込む。
「まずは、スネアです。それと、トリップ・ワイヤー……」
続けていく言葉を聞きうなずく職員。その先に剣山があって刺さるとか、ワイヤーにかかるとつるされちゃって無力化されるとかあるのかしら、と職員は想像しながら聞いている。
「……宝箱に、力を込めて抜くとひっくり返る武器……」
聞いていくうちに職員の笑顔は引きつっていく。地図からすると森の入口なので、村人だって道をそれて入ることはあるだろう、薪拾い、植物採取など生活に近い部分で。
「村の人も入る森なんですよね? 屋外ですよね?」
「はい、森の入口から脇道に入って一周して戻ってくる感じです」
きらきら輝くカールをどん底に落とすのも嫌だが、職員は生じた不安を抑えつつもう一度問いかける。
「村人も入るんですよね、森に?」
「……?」
「いや、その」
職員はそれ以上突っ込むのはやめた。
実は罠は罠として成り立っていないのではないだろうか、と。スネアやトリップ・ワイヤーもうまく使えば強力な罠だとは知識上持っている。そこは知識を深めればきっと村の守りに役に立つだろう。
宝箱や刺さった武器なんているのだろうか。村から逃げたときに盗まれないためだろうか?
実際見ないと状況は分からないが、カールが言った以上なことはなかろうと職員は判断した。この少年が嘘つきでうまく罠の状況を隠しているならば、むしろ騙された職員は「恐ろしい天才だわ」とうなればいい。
まあ、本格的な罠にかかったハンターには悪いけれど。
十中八九それはなさそうだと人間見る目に自信を持ちつつ、職員はできるだけ多くのハンターにお願いすることにする。
「わかりました。きっと皆さんが判定してくれますよ」
職員は「どうなることやら」とハンターたちの反応を待つことにした。
リプレイ本文
●期待と緊張
森の入口にてカールは期待と緊張の中、ハンターたちを迎える。
「ほへー、男の子が村を守る罠をね。ん、少し楽しみ。あ、あなたね」
メルクーア(ka4005)はにこやかにやってきた。
「そうね……実際に見てみないとね」
柏部 狭綾(ka2697)はカールの純真さに不安をおぼえる。
「力なき知恵者は策を用いて強者を倒すというしな。罠の弱点……大王たるボクならではの着眼点から見極めようではないか!」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)はまぶしい笑顔と共にカールに告げる。
「ちゃちな罠なんでしょ? お茶の子さいさいで避けるわよ」
岩波レイナ(ka3178)は淡泊な様子で話す。
「諸君! 私の名前は久我・御言(ka4137)! よろしくお願いする。世間では卑怯の代名詞であるその手段をあえてとるとは恥ずかしくないのかね? だが、守るために手段を選ばないというのは気に入った。己の力を考慮に入れた選択として、私は全面的に支持しよう!」
御言が居丈高に言ったことにカールは青ざめたが、支持はされたと安堵する。
「いやぁ、他人事とは思えないね! 俺も覚醒者になる前は道具に頼ってたからなぁ……今も頼ってるけど」
テンシ・アガート(ka0589)は過去の自分を思い出し、他者の罠を見るのも考えるのも楽しそうだ。
「……我輩も罠を見、カールに知恵を授けよう」
懲罰する者(ka4232)が厳かに宣言すると、カールは平服しそうな勢いでうなずく。
「実際見てみないと分からないからね。僕もできる限り協力するよ」
ハーレキン(ka3214)は身軽かつ滑稽な仕草でお辞儀し、カールの緊張をほぐした。
「さあ行くぞ、俺の知恵も導入してコボルドを撃退だ! 道具研究家として、立派な罠エリアにするぞっ!」
「先生方お願いします」
テンシの言葉に、カールは深々とお辞儀をして、ハンターたちと罠のあるところへ向った。
●罠かかってみた
森は村人も入るので、手入れが行き届き明るい。
案内されたのは草地で、ひざ下の高さがある草が放置されている。
警戒しない目で見ても、所々草の上が結んであるのが分かるし、一緒にいるカールがそわそわとそこに視線を送る。
先頭を歩く御言は何か言おうとし振り返った瞬間、足が草の輪の中に入った。体勢を整えるより最後までかかってやろうと御言は考え、流れに身を任せた。
バタン。
「やった」
カールが小さく喜ぶ。
御言は無言で立ち上がり、服に付いた埃を落とし、この件に関して分析を行う。罠の配置は適度だが隠し方が下手であり、転ぶ以外何もないという問題がある。
「それで?」
質問にカールはきょとんとする。
「君はこの罠を何の目的で作ったのかね? これだけでは足止めにしても、嫌がらせにしても今一つ足りないね。たとえば……」
「それ、今する? 先に進むわ、あたし」
御言はレイナの言動にはっとした。講義したいがまだスタート地点だ。
「ふむ、確かに、別のも見たほうがより良い改善点が見つかるだろう。貴様は入口で待っていろ」
カールは不満そうだ、反応を見たかったから。
「それに君、僕たちが罠の前に来ると反応するよ?」
ハーレキンの言葉に、カールはしぶしぶ森の入口に戻った。
先頭を抜いて進んだレイナは「あの程度なら、引っ掛かるわけないでしょ!」と胸の奥でつぶやいた直後、ワイヤーに引っ掛かり、つまずいた。
カランカラン……。
「小さい音ね。それに全く、ちゃちいかつ、村人にも邪魔だわ! あたしにも邪魔だわ! どんどん進んで、罠の醍醐味をきっちり教えてあげ……なくもないわよ」
レイナは立ち上がりながら、ちょっと燃えた気持ちをしゃべりながら落ち着かせる。
「そうだね、次行こう」
ハーレキンが追い抜いた。
こっちやあっちなど抽象的な言葉や矢印が描かれた看板が多数ある。
ハーレキンは不自然な看板にきょとんとしたが、指示の先に別の罠があるのだろうかと考え、その通りに進んでみることにした。
「落とし穴があるとか? 森の奥にいっちゃうとか?」
複数矢印があるところでは反対側、「こっち」とあると外れた方向に進んでいるように仲間からは見えた。
「矢印通り行くと危険だがそれ以外に進むのは勇気がいる。これは心理的な罠なんだ」
「ほお、ハーレキンは強者ということだな」
テンシの解説にディアドラが感心する。
万が一すごい罠にかかりピンチに陥ったら、助けないとならないため、仲間たちは待つことにする。
「たーすーけーてー」
まさかと思って声が聞こえた方に急いだ。鳴子のロープやワイヤーに絡まったハーレキンがいた。
「鳴子に絡まる罠は斬新だ」
テンシは検分しつつ、御言と共にハーレキンを助けた。
「ありがとう! 途中で何もなくなって。皆と合流できるか不安で、鳴子見つけて絡まってみたというか……」
ハーレキンは説明しながら、この罠に意義を感じなかった。
陥没しかかっている落とし穴の前にやって、隠す気がゼロに近い罠に狭綾は眉間のしわを深くした。
「はまってみるわ」
狭綾は少し緊張して足を乗せる。カールが依頼時に語った以上の何かがあれば、大ダメージとなるかもしれない。
ズボッ。
落ちた……だけだった。
深さも一メートル程度であると聞いていたが、穴を隠すのに乗せていた枝などが狭綾の足元にあるため浅い。
「どうだ、はまった感想は?」
懲罰する者が感想を促す。
「落ち方が悪いと、足を切るかもという程度ね」
狭綾はひょいと地面に上がり、カールに告げることを考え始めた。
木々の間に扉がある。
枠と蝶番もついており立派なもので、メルクーアは形状から「奥に開くのね」と見解を示す。扉の罠なら蝶番を巧妙に隠し、開く方向を見た目とずらすこともありうるが。
「あ、怪しい」
と一応つぶやきながら、心の中では次のようなことを考えていた。
(リアルブルーの人に聞いた道具ってこんなかしら? 転移門より便利で扉一つでどこでも行けちゃう道具)
目の前の扉が大層な物ではないとメルクーアは分かっているが、少しくらいわくわくしたい。
罠はどこにあるのか? メルクーアが観察している間に、仲間の半分は脇道から扉の反対側に行っている。罠にかかる事前提でメルクーアは扉を勢いよく開けた。
ガン。
何かが落下したが、直撃はしなかった。
「ボクが見ていたところだと、木の上にバケツがあって紐が緩んで落ちたぞ」
ディアドラの解説にメルクーアはうなずいた。
「扉、壊れなかったのはすごいわ」
道なりに進むと、宝箱という形の箱が草むらに置いてある。
「ふむ、宝箱であるか」
懲罰する者は少し離れたところから、ゆっくり近づく。
「興味を引き付け、油断した隙に……というやつであるな」
罠が別にあるかもと少し期待していたかもしれないが、懲罰する者は目の前に普通に立つ。
観察すると鍵穴がある。鍵の状況は分からないし、箱に触ったら罠が発動するかもしれない。
「普通、道端に宝箱など落ちているはずがないのである。これは警戒するのである」
でも警戒したところで何があるようにも思えない。
直感から「不安はない」と、懲罰する者は蓋を開けた。
カパッ。
一瞬でも緊張した場合、損した気分になる。一方で、うまくすればダメージは与えられるのではないかと閃く。
「……うむ、子どもの発想であるから構わない。あの少年、少しきっかけを掴めば化けそうである」
仲間は宝箱の中を覗き込んでみた。
「……この程度で驚くのって、子供じゃない?」
「ネズミの死体だね……」
レイナはイラッとし、ハーレキンは内容物を別の物で想像してぞっとした。
「ここは大王たるボクの出番だ!」
私を抜いてと書いてある看板と突き刺さる棒がある前で、ディアドラは胸をドンとたたく。
「やー」
ズボッ。
ディアドラは気合と共に看板を引き抜き、何事もなく終わった。
「そっちの棒じゃないのかな? 武器に見立ててる棒?」
伝説の武器にあるシチュエーションだし、とテンシが言ってみる。
「ふ、ふん、冗談だ、余興だ。ちょっと分かり辛い説明であるし」
ディアドラは気を取り直して、棒を抜いてみる。
深く刺さっているように感じたが、あっさり抜け、尻もちついた。
「ふむ……何がしたかったのだろうか?」
棒を杖にして立ち上がり、振り回してみた。
最後の罠だが、ハンターは肉体より精神に疲労をおぼえる。
目の前にあるのはあからさまに垂れているロープと張り紙。
「引っ張ってくださいと言われて、普通は引かないが、威力を見極めるために、俺は引く」
テンシは宣言し、ロープを引いたところがピンと張りつめただけだった。
ロープを引けば木が倒れる、何かが飛んでくる等が推測して引く手に力を込める。
なかなか何も起こらず、テンシはロープにぶら下がり全体重をかける。仲間の視線が自分の上に集まっているのも感じる。
バキッ、ゴンッ。
枝が折れてテンシめがけて降ってくる。その上から岩……の形をしたぬいぐるみが落ちてきた。
「力技な上、ぬいぐるみとは。枝は痛かったがぬいぐるみは……」
これくらいの岩を本当は乗せたいのだろうか? 乗せた場合、枝は折れるだろう。
なお、ぬいぐるみの出来は非常に良かった。
●先生たちの判定
ハンターたちが戻ってきたのを、カールは表情を曇らせ迎えた。
どう見てもハンターは無傷だ。もちろん、簡単に怪我するようなことはないとも分かっていたが、ほんの少しでも何かあることを期待していた。
「面白かったよ?」
ハーレキンの言葉に顔をそむける人、表情を変えない人……。
「さてカールよ、何の目的で私が転んでみせた罠を作ったんだね?」
御言にびしっと言われカールは「転ばせるためです」と答えた。
「あれだけでは今一つ足りないね」
「そうなのよ、落とし穴でわたしも思ったわ」
狭綾は指摘を続ける。
「落とし穴に限らないけれど、敵や獲物を穴に落とすという策は『そこに追撃をかけて相手を仕留める』ことなのよ」
「そうだ。転んだ先に落とし穴がある、そこに油が入っている、ついでに行けば火をかける……これはまずいかね?」
「いいえ、その通りなの。落とし穴をより深くする、中にトリモチ仕掛ける、それだけでも完成度も上がるわ。でも、穴に落ちた雑魔なんかを狩るのが重要になってくる。わたしたちみたいに戦う技術を身に着ける、もしくは久我さんが言うように火をかけるようなことしないとだめなのよ」
カールは罠を作ったことに満足してそれで終わっていたと、御言と狭綾の言葉で思い知る。
「そうそう、殺傷力が足りない!」
テンシはズバリと言った後、助言を続ける。
「この程度じゃ、コボルドも倒せない。全ての罠に凶悪さをプラスしよう。落とし穴は便利だ。深く穴を掘り、底に先のとがった杭を配置すれば……。それと罠にはめてやろう感が足りない」
「うむ。抜いてくれとあるあの棒や看板だって、わざわざ抜くのは正直者だけだ。ひねくれた者は素直に従わないからな。むしろ、抜くなとか触るなとかすると、ひねくれ物は触るかもしれない。襲撃者などろくなものではないからな。あと、かかっても尻もちついただけで何も起こらなかったぞ?」
ディアドラが疑問を口にした。
「確かに、嘘でも看板に『この先湖』とあったり絵の方が思わず信じたくなるかも。一番の問題は雑魔が字を読めるという確証がないこと」
メルクーアは首をかしげる。雑魔が字や図を読めると聞いたことがない。
「それと、森の中に突然扉だけあると警戒するよ?」
「あれは自由にできそうな空家がなかったので作ってみました」
「うん、努力は認める。ドアに罠を仕掛けるならドアノブか鍵穴にした方がいいよ」
メルクーアが力こめて開けたのに壊れなかったので、カールに大工としての腕があるのが分かった。
「我輩たちは依頼で罠を見に来たのでかかったが、敵はそうはいかぬ。道端に置くなら宝箱より、財布や小物袋を使うべきだろう。置くところも人が通りそうな道の脇が良いと思うのである」
「それは言えてるね。道端に財布があるとつい拾いたくなるよ」
ハーレキンは懲罰する者にうなずいた。
「作る罠、一つ一つにテーマを組みたまえ。発想は良いのだ、目的意識をしっかり持ちたまえ」
「我輩たちの意見がきっかけで変わるだろう」
カールは御言と懲罰する者にうなずいた。表情が暗いのは思った以上に問題が多かったからというため。ただ、何もしないであきらめたくはなかった。
「落ちた敵を殺めることができるかと言うことがあるから、わたしは落とし穴に関しては良くないと思うの。カモフラージュでうまく誘導はできそうよ。このまま中途半端な気持ちでやっているとあなたは手痛いしっぺ返しを食らうわよ。でも、あなたの意識一つですべては変わると思うわ」
カールは狭綾の心配を感じ取り、神妙にうなずいた。命を守るために命を奪うことができるかという自問につながる。
「無理に殺さなくても、怖がらせて逃げたくなるように仕向ける、というのもありだよね?」
ハーレキンは暗くなってきたカールに、おどけた様子で告げた。
「警報用の罠中心に考えるのもいいんじゃないの? ワイヤーをうまく使って。それと、大人の手を借りるのも必要かもしれない、大きな穴掘るなら、ね」
メルクーアは一つの道を示す。
「そうよね、ワイヤーだって鳴子だけで、捕まることもなかったし。大体、人通るところで実験したら邪魔だし、危ないし、森の奥……普通人が通らないところに設置するのがいいのかしら?」
レイナは罠のあれこれを聞きながら、罠一つとっても奥が深いと感心する。
「いやいや、ここは立派な罠を作って、村人すら恐怖のずんどこに叩き落とそう! コボルドだって一撃さ! デスフォレスト・罠の要塞として、誰一人侵入できない場所へ進化させよう」
やる気満々でテンシが言い、カールは勢いで首を縦に振りそうになって止まった。
「さあ、行こう」
テンシに手を引かれ、カールは森の中に入って行く。
「いや、罠作るなら村人に言わないとだめだよ」
メルクーアは苦笑しながら彼らに告げる。
「カール君が望むならいいのかしらね?」
狭綾は落ち込まれるよりいいけれど悩ましいと見送る。
「面白そうだから見てみようか」
ディアドラは笑いながら二人を追いかけた。
「興味はなくはないわ。組み合わせて行った罠がどうなるのか……。今度かかったら……」
死にそうだわ、とレイナはつぶやいた。
「あまりひどければ、村の大人が止めるだろう。そもそも、私達の仕事は終わった」
「村に罠のこと教えておこう?」
ハーレキンは立ち去る御言に付いていく。
案の定、心配していた村人はハンターに近寄ってきた。話しを聞いた後、カールの父親と村の大人たちが慌てて森に行き、デスフォレスト計画を停止させた。
森の入口にてカールは期待と緊張の中、ハンターたちを迎える。
「ほへー、男の子が村を守る罠をね。ん、少し楽しみ。あ、あなたね」
メルクーア(ka4005)はにこやかにやってきた。
「そうね……実際に見てみないとね」
柏部 狭綾(ka2697)はカールの純真さに不安をおぼえる。
「力なき知恵者は策を用いて強者を倒すというしな。罠の弱点……大王たるボクならではの着眼点から見極めようではないか!」
ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)はまぶしい笑顔と共にカールに告げる。
「ちゃちな罠なんでしょ? お茶の子さいさいで避けるわよ」
岩波レイナ(ka3178)は淡泊な様子で話す。
「諸君! 私の名前は久我・御言(ka4137)! よろしくお願いする。世間では卑怯の代名詞であるその手段をあえてとるとは恥ずかしくないのかね? だが、守るために手段を選ばないというのは気に入った。己の力を考慮に入れた選択として、私は全面的に支持しよう!」
御言が居丈高に言ったことにカールは青ざめたが、支持はされたと安堵する。
「いやぁ、他人事とは思えないね! 俺も覚醒者になる前は道具に頼ってたからなぁ……今も頼ってるけど」
テンシ・アガート(ka0589)は過去の自分を思い出し、他者の罠を見るのも考えるのも楽しそうだ。
「……我輩も罠を見、カールに知恵を授けよう」
懲罰する者(ka4232)が厳かに宣言すると、カールは平服しそうな勢いでうなずく。
「実際見てみないと分からないからね。僕もできる限り協力するよ」
ハーレキン(ka3214)は身軽かつ滑稽な仕草でお辞儀し、カールの緊張をほぐした。
「さあ行くぞ、俺の知恵も導入してコボルドを撃退だ! 道具研究家として、立派な罠エリアにするぞっ!」
「先生方お願いします」
テンシの言葉に、カールは深々とお辞儀をして、ハンターたちと罠のあるところへ向った。
●罠かかってみた
森は村人も入るので、手入れが行き届き明るい。
案内されたのは草地で、ひざ下の高さがある草が放置されている。
警戒しない目で見ても、所々草の上が結んであるのが分かるし、一緒にいるカールがそわそわとそこに視線を送る。
先頭を歩く御言は何か言おうとし振り返った瞬間、足が草の輪の中に入った。体勢を整えるより最後までかかってやろうと御言は考え、流れに身を任せた。
バタン。
「やった」
カールが小さく喜ぶ。
御言は無言で立ち上がり、服に付いた埃を落とし、この件に関して分析を行う。罠の配置は適度だが隠し方が下手であり、転ぶ以外何もないという問題がある。
「それで?」
質問にカールはきょとんとする。
「君はこの罠を何の目的で作ったのかね? これだけでは足止めにしても、嫌がらせにしても今一つ足りないね。たとえば……」
「それ、今する? 先に進むわ、あたし」
御言はレイナの言動にはっとした。講義したいがまだスタート地点だ。
「ふむ、確かに、別のも見たほうがより良い改善点が見つかるだろう。貴様は入口で待っていろ」
カールは不満そうだ、反応を見たかったから。
「それに君、僕たちが罠の前に来ると反応するよ?」
ハーレキンの言葉に、カールはしぶしぶ森の入口に戻った。
先頭を抜いて進んだレイナは「あの程度なら、引っ掛かるわけないでしょ!」と胸の奥でつぶやいた直後、ワイヤーに引っ掛かり、つまずいた。
カランカラン……。
「小さい音ね。それに全く、ちゃちいかつ、村人にも邪魔だわ! あたしにも邪魔だわ! どんどん進んで、罠の醍醐味をきっちり教えてあげ……なくもないわよ」
レイナは立ち上がりながら、ちょっと燃えた気持ちをしゃべりながら落ち着かせる。
「そうだね、次行こう」
ハーレキンが追い抜いた。
こっちやあっちなど抽象的な言葉や矢印が描かれた看板が多数ある。
ハーレキンは不自然な看板にきょとんとしたが、指示の先に別の罠があるのだろうかと考え、その通りに進んでみることにした。
「落とし穴があるとか? 森の奥にいっちゃうとか?」
複数矢印があるところでは反対側、「こっち」とあると外れた方向に進んでいるように仲間からは見えた。
「矢印通り行くと危険だがそれ以外に進むのは勇気がいる。これは心理的な罠なんだ」
「ほお、ハーレキンは強者ということだな」
テンシの解説にディアドラが感心する。
万が一すごい罠にかかりピンチに陥ったら、助けないとならないため、仲間たちは待つことにする。
「たーすーけーてー」
まさかと思って声が聞こえた方に急いだ。鳴子のロープやワイヤーに絡まったハーレキンがいた。
「鳴子に絡まる罠は斬新だ」
テンシは検分しつつ、御言と共にハーレキンを助けた。
「ありがとう! 途中で何もなくなって。皆と合流できるか不安で、鳴子見つけて絡まってみたというか……」
ハーレキンは説明しながら、この罠に意義を感じなかった。
陥没しかかっている落とし穴の前にやって、隠す気がゼロに近い罠に狭綾は眉間のしわを深くした。
「はまってみるわ」
狭綾は少し緊張して足を乗せる。カールが依頼時に語った以上の何かがあれば、大ダメージとなるかもしれない。
ズボッ。
落ちた……だけだった。
深さも一メートル程度であると聞いていたが、穴を隠すのに乗せていた枝などが狭綾の足元にあるため浅い。
「どうだ、はまった感想は?」
懲罰する者が感想を促す。
「落ち方が悪いと、足を切るかもという程度ね」
狭綾はひょいと地面に上がり、カールに告げることを考え始めた。
木々の間に扉がある。
枠と蝶番もついており立派なもので、メルクーアは形状から「奥に開くのね」と見解を示す。扉の罠なら蝶番を巧妙に隠し、開く方向を見た目とずらすこともありうるが。
「あ、怪しい」
と一応つぶやきながら、心の中では次のようなことを考えていた。
(リアルブルーの人に聞いた道具ってこんなかしら? 転移門より便利で扉一つでどこでも行けちゃう道具)
目の前の扉が大層な物ではないとメルクーアは分かっているが、少しくらいわくわくしたい。
罠はどこにあるのか? メルクーアが観察している間に、仲間の半分は脇道から扉の反対側に行っている。罠にかかる事前提でメルクーアは扉を勢いよく開けた。
ガン。
何かが落下したが、直撃はしなかった。
「ボクが見ていたところだと、木の上にバケツがあって紐が緩んで落ちたぞ」
ディアドラの解説にメルクーアはうなずいた。
「扉、壊れなかったのはすごいわ」
道なりに進むと、宝箱という形の箱が草むらに置いてある。
「ふむ、宝箱であるか」
懲罰する者は少し離れたところから、ゆっくり近づく。
「興味を引き付け、油断した隙に……というやつであるな」
罠が別にあるかもと少し期待していたかもしれないが、懲罰する者は目の前に普通に立つ。
観察すると鍵穴がある。鍵の状況は分からないし、箱に触ったら罠が発動するかもしれない。
「普通、道端に宝箱など落ちているはずがないのである。これは警戒するのである」
でも警戒したところで何があるようにも思えない。
直感から「不安はない」と、懲罰する者は蓋を開けた。
カパッ。
一瞬でも緊張した場合、損した気分になる。一方で、うまくすればダメージは与えられるのではないかと閃く。
「……うむ、子どもの発想であるから構わない。あの少年、少しきっかけを掴めば化けそうである」
仲間は宝箱の中を覗き込んでみた。
「……この程度で驚くのって、子供じゃない?」
「ネズミの死体だね……」
レイナはイラッとし、ハーレキンは内容物を別の物で想像してぞっとした。
「ここは大王たるボクの出番だ!」
私を抜いてと書いてある看板と突き刺さる棒がある前で、ディアドラは胸をドンとたたく。
「やー」
ズボッ。
ディアドラは気合と共に看板を引き抜き、何事もなく終わった。
「そっちの棒じゃないのかな? 武器に見立ててる棒?」
伝説の武器にあるシチュエーションだし、とテンシが言ってみる。
「ふ、ふん、冗談だ、余興だ。ちょっと分かり辛い説明であるし」
ディアドラは気を取り直して、棒を抜いてみる。
深く刺さっているように感じたが、あっさり抜け、尻もちついた。
「ふむ……何がしたかったのだろうか?」
棒を杖にして立ち上がり、振り回してみた。
最後の罠だが、ハンターは肉体より精神に疲労をおぼえる。
目の前にあるのはあからさまに垂れているロープと張り紙。
「引っ張ってくださいと言われて、普通は引かないが、威力を見極めるために、俺は引く」
テンシは宣言し、ロープを引いたところがピンと張りつめただけだった。
ロープを引けば木が倒れる、何かが飛んでくる等が推測して引く手に力を込める。
なかなか何も起こらず、テンシはロープにぶら下がり全体重をかける。仲間の視線が自分の上に集まっているのも感じる。
バキッ、ゴンッ。
枝が折れてテンシめがけて降ってくる。その上から岩……の形をしたぬいぐるみが落ちてきた。
「力技な上、ぬいぐるみとは。枝は痛かったがぬいぐるみは……」
これくらいの岩を本当は乗せたいのだろうか? 乗せた場合、枝は折れるだろう。
なお、ぬいぐるみの出来は非常に良かった。
●先生たちの判定
ハンターたちが戻ってきたのを、カールは表情を曇らせ迎えた。
どう見てもハンターは無傷だ。もちろん、簡単に怪我するようなことはないとも分かっていたが、ほんの少しでも何かあることを期待していた。
「面白かったよ?」
ハーレキンの言葉に顔をそむける人、表情を変えない人……。
「さてカールよ、何の目的で私が転んでみせた罠を作ったんだね?」
御言にびしっと言われカールは「転ばせるためです」と答えた。
「あれだけでは今一つ足りないね」
「そうなのよ、落とし穴でわたしも思ったわ」
狭綾は指摘を続ける。
「落とし穴に限らないけれど、敵や獲物を穴に落とすという策は『そこに追撃をかけて相手を仕留める』ことなのよ」
「そうだ。転んだ先に落とし穴がある、そこに油が入っている、ついでに行けば火をかける……これはまずいかね?」
「いいえ、その通りなの。落とし穴をより深くする、中にトリモチ仕掛ける、それだけでも完成度も上がるわ。でも、穴に落ちた雑魔なんかを狩るのが重要になってくる。わたしたちみたいに戦う技術を身に着ける、もしくは久我さんが言うように火をかけるようなことしないとだめなのよ」
カールは罠を作ったことに満足してそれで終わっていたと、御言と狭綾の言葉で思い知る。
「そうそう、殺傷力が足りない!」
テンシはズバリと言った後、助言を続ける。
「この程度じゃ、コボルドも倒せない。全ての罠に凶悪さをプラスしよう。落とし穴は便利だ。深く穴を掘り、底に先のとがった杭を配置すれば……。それと罠にはめてやろう感が足りない」
「うむ。抜いてくれとあるあの棒や看板だって、わざわざ抜くのは正直者だけだ。ひねくれた者は素直に従わないからな。むしろ、抜くなとか触るなとかすると、ひねくれ物は触るかもしれない。襲撃者などろくなものではないからな。あと、かかっても尻もちついただけで何も起こらなかったぞ?」
ディアドラが疑問を口にした。
「確かに、嘘でも看板に『この先湖』とあったり絵の方が思わず信じたくなるかも。一番の問題は雑魔が字を読めるという確証がないこと」
メルクーアは首をかしげる。雑魔が字や図を読めると聞いたことがない。
「それと、森の中に突然扉だけあると警戒するよ?」
「あれは自由にできそうな空家がなかったので作ってみました」
「うん、努力は認める。ドアに罠を仕掛けるならドアノブか鍵穴にした方がいいよ」
メルクーアが力こめて開けたのに壊れなかったので、カールに大工としての腕があるのが分かった。
「我輩たちは依頼で罠を見に来たのでかかったが、敵はそうはいかぬ。道端に置くなら宝箱より、財布や小物袋を使うべきだろう。置くところも人が通りそうな道の脇が良いと思うのである」
「それは言えてるね。道端に財布があるとつい拾いたくなるよ」
ハーレキンは懲罰する者にうなずいた。
「作る罠、一つ一つにテーマを組みたまえ。発想は良いのだ、目的意識をしっかり持ちたまえ」
「我輩たちの意見がきっかけで変わるだろう」
カールは御言と懲罰する者にうなずいた。表情が暗いのは思った以上に問題が多かったからというため。ただ、何もしないであきらめたくはなかった。
「落ちた敵を殺めることができるかと言うことがあるから、わたしは落とし穴に関しては良くないと思うの。カモフラージュでうまく誘導はできそうよ。このまま中途半端な気持ちでやっているとあなたは手痛いしっぺ返しを食らうわよ。でも、あなたの意識一つですべては変わると思うわ」
カールは狭綾の心配を感じ取り、神妙にうなずいた。命を守るために命を奪うことができるかという自問につながる。
「無理に殺さなくても、怖がらせて逃げたくなるように仕向ける、というのもありだよね?」
ハーレキンは暗くなってきたカールに、おどけた様子で告げた。
「警報用の罠中心に考えるのもいいんじゃないの? ワイヤーをうまく使って。それと、大人の手を借りるのも必要かもしれない、大きな穴掘るなら、ね」
メルクーアは一つの道を示す。
「そうよね、ワイヤーだって鳴子だけで、捕まることもなかったし。大体、人通るところで実験したら邪魔だし、危ないし、森の奥……普通人が通らないところに設置するのがいいのかしら?」
レイナは罠のあれこれを聞きながら、罠一つとっても奥が深いと感心する。
「いやいや、ここは立派な罠を作って、村人すら恐怖のずんどこに叩き落とそう! コボルドだって一撃さ! デスフォレスト・罠の要塞として、誰一人侵入できない場所へ進化させよう」
やる気満々でテンシが言い、カールは勢いで首を縦に振りそうになって止まった。
「さあ、行こう」
テンシに手を引かれ、カールは森の中に入って行く。
「いや、罠作るなら村人に言わないとだめだよ」
メルクーアは苦笑しながら彼らに告げる。
「カール君が望むならいいのかしらね?」
狭綾は落ち込まれるよりいいけれど悩ましいと見送る。
「面白そうだから見てみようか」
ディアドラは笑いながら二人を追いかけた。
「興味はなくはないわ。組み合わせて行った罠がどうなるのか……。今度かかったら……」
死にそうだわ、とレイナはつぶやいた。
「あまりひどければ、村の大人が止めるだろう。そもそも、私達の仕事は終わった」
「村に罠のこと教えておこう?」
ハーレキンは立ち去る御言に付いていく。
案の定、心配していた村人はハンターに近寄ってきた。話しを聞いた後、カールの父親と村の大人たちが慌てて森に行き、デスフォレスト計画を停止させた。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/12 23:49:04 |
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相談卓 懲罰する者(ka4232) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/02/15 00:47:24 |