ゲスト
(ka0000)
CAMが商店街にやってきた
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~20人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/02/22 07:30
- 完成日
- 2015/03/03 23:16
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
『CAMが商店街にやってきた!』
「これ、どうやろか? うちは、ええと思うんやけど」
刷り上がったばかりのポスターを前にして、カタリーナが黒い瞳をキラキラとさせて言いました。
ポスターの中央には、巨大なCAMのシルエットが、ででーんと描かれています。
「やってきたって……、いったい、CAMがどこからやってくるん?」
できあがったばかりの案内所から外を見回しながら、ビアンカが聞き返します。明るい菫色の瞳に映るのは、最近見慣れてきたいつもの商店街の風景です。CAMなどは、どこにも見あたりません。
「来てもらうんやのうて、これから作るんよ」
いそいそと真新しい壁にポスターを貼りつけながら、カタリーナが言いました。次は案内所の外壁だと、糊とポスターを手にとって表へと出ていきます。
「ちょっと、CAMって、そんな、簡単に作れるものなん?」
どうなのと、ビアンカが小首をかしげました。動きやすい案内所の制服でテキパキと動いていく姉を、少し呆然としながら見つめます。
「別に、本物作るってわけやないんよ。ハリボテでもいいやん。ハンターの人らに頼めば、格好ええもん作ってくれはると思うんよ」
案内所の入り口から顔だけをのぞかせてたカタリーナが、あっけらかんと答えました。ショートの黒髪をゆらし、なんだか、凄く楽しそうです。
どのみち、本物のCAMを見たことがある者など、そうたくさんはいません。ヴァリオスにいる一般人には、それが本物か偽物かだなんて、分かるはずもないのです。
「まあ、そうやけどなあ」
いいのかなあという顔で、ビアンカが言いました。頬杖をつくと、真白い髪がカウンターの上に零れ落ちて、美しい髪溜まりを作ります。
どうせ、本物の形は分からないのですから、それらしいハリボテですませてしまえばいいわけです。本物よりも本物らしいCAMができあがれば、それは名物になります。格好いいロボットを飾って商店街CAMと名づければ、いやでも物見遊山のお客様たちがたくさん集まってきそうです。
「準備の方は、もうできとるんよ」
カタリーナが、えへんという感じに胸を張りました。
経費に関しては、商店街のオーナーである商人達が分担するので、ほとんど心配する必要はありません。まあ、クリムゾンウエストで稀少な物や、極端に高価な物を使おうとすればストップがかかるでしょうけれど。布、木材、石、粘土、紙、ブリキ、銅板など、通常の素材であれば、問題はないはずです。
CAM像は1体とは限定しませんが、作る手間を考えると、そうそう何体も作れるはずはありません。できあがりにもよりますが、一人で作れる物には限界があります。実際には、数人でチームを組んで1つのCAM像を作ることになるでしょう。
そのチームの人数と作り方によって、1/1CAMから人間大のミニチュア像まで様々な大きさが考えられます。これはこれで、商店街のあちこちに飾りがいがあると言うものです。もっとも、メインは案内所前の、商店街の中央広場になりますが。
また、商店街としては、これは商機です。
CAMにかこつけて、CAM饅頭とか、CAM弁当とか、CAM定食とか、CAMペンシルとか、CAM乳母車とか、CAM人形とかを売って荒稼ぎが見込まれます。何でも頭にCAMをつけてしまえばいいのです。
一目CAMを見たさに、見物客もたくさん来ることでしょう。
今のところは、いいことずくめです。なので、この企画は通ってしまいました。
急遽集められたハンターたちが、それぞれに意匠を凝らしたCAMを作りあげました。便乗商品も、バッチリです。
準備万端整いました。
さあ、それでは、お披露目と参りましょう!
「これ、どうやろか? うちは、ええと思うんやけど」
刷り上がったばかりのポスターを前にして、カタリーナが黒い瞳をキラキラとさせて言いました。
ポスターの中央には、巨大なCAMのシルエットが、ででーんと描かれています。
「やってきたって……、いったい、CAMがどこからやってくるん?」
できあがったばかりの案内所から外を見回しながら、ビアンカが聞き返します。明るい菫色の瞳に映るのは、最近見慣れてきたいつもの商店街の風景です。CAMなどは、どこにも見あたりません。
「来てもらうんやのうて、これから作るんよ」
いそいそと真新しい壁にポスターを貼りつけながら、カタリーナが言いました。次は案内所の外壁だと、糊とポスターを手にとって表へと出ていきます。
「ちょっと、CAMって、そんな、簡単に作れるものなん?」
どうなのと、ビアンカが小首をかしげました。動きやすい案内所の制服でテキパキと動いていく姉を、少し呆然としながら見つめます。
「別に、本物作るってわけやないんよ。ハリボテでもいいやん。ハンターの人らに頼めば、格好ええもん作ってくれはると思うんよ」
案内所の入り口から顔だけをのぞかせてたカタリーナが、あっけらかんと答えました。ショートの黒髪をゆらし、なんだか、凄く楽しそうです。
どのみち、本物のCAMを見たことがある者など、そうたくさんはいません。ヴァリオスにいる一般人には、それが本物か偽物かだなんて、分かるはずもないのです。
「まあ、そうやけどなあ」
いいのかなあという顔で、ビアンカが言いました。頬杖をつくと、真白い髪がカウンターの上に零れ落ちて、美しい髪溜まりを作ります。
どうせ、本物の形は分からないのですから、それらしいハリボテですませてしまえばいいわけです。本物よりも本物らしいCAMができあがれば、それは名物になります。格好いいロボットを飾って商店街CAMと名づければ、いやでも物見遊山のお客様たちがたくさん集まってきそうです。
「準備の方は、もうできとるんよ」
カタリーナが、えへんという感じに胸を張りました。
経費に関しては、商店街のオーナーである商人達が分担するので、ほとんど心配する必要はありません。まあ、クリムゾンウエストで稀少な物や、極端に高価な物を使おうとすればストップがかかるでしょうけれど。布、木材、石、粘土、紙、ブリキ、銅板など、通常の素材であれば、問題はないはずです。
CAM像は1体とは限定しませんが、作る手間を考えると、そうそう何体も作れるはずはありません。できあがりにもよりますが、一人で作れる物には限界があります。実際には、数人でチームを組んで1つのCAM像を作ることになるでしょう。
そのチームの人数と作り方によって、1/1CAMから人間大のミニチュア像まで様々な大きさが考えられます。これはこれで、商店街のあちこちに飾りがいがあると言うものです。もっとも、メインは案内所前の、商店街の中央広場になりますが。
また、商店街としては、これは商機です。
CAMにかこつけて、CAM饅頭とか、CAM弁当とか、CAM定食とか、CAMペンシルとか、CAM乳母車とか、CAM人形とかを売って荒稼ぎが見込まれます。何でも頭にCAMをつけてしまえばいいのです。
一目CAMを見たさに、見物客もたくさん来ることでしょう。
今のところは、いいことずくめです。なので、この企画は通ってしまいました。
急遽集められたハンターたちが、それぞれに意匠を凝らしたCAMを作りあげました。便乗商品も、バッチリです。
準備万端整いました。
さあ、それでは、お披露目と参りましょう!
リプレイ本文
●準備
「それにしても、見たこともない物を商店街の客寄せにしようなんてなあ」
どうするんだあとばかりに、薄氷 薫(ka2692)が、集まったみんなを見回しました。
「元CAM乗りから言わせていただければ、巨大な鎧のような物ですね。できる限りの資料やパーツを集めてこようと思ったのですが、軍事機密の部分も多いので……」
クオン・サガラ(ka0018)が、サルヴァトーレ・ロッソから持ってきた資料をCAM制作班のテントに広げました。CAMの玩具や写真集などです。
歪虚がCAMを襲撃したこともあり、軍の機密にあたる書類は持ち出せませんでした。パーツなども、同様です。
また、化石燃料がないクリムゾンウエストではプラスチックがほとんど精製できないため、用意された資材は木材や紙や布や鉄板などでした。
「これだけの物を持ってきてもらって助かるよ。CAMとは一緒に戦ったこともあるけれど、やっぱり元CAM乗りの人に聞くのが一番だね」
目をキラキラさせて、レイン・レーネリル(ka2887)が言いました。模型作りを趣味としている彼女としては、ほくほくのイベントです。
「自分もいろいろ持ってきましたよ」
以前に行われたCAM説明会の資料や、デュミナスの着ぐるみを広げて、屋外(ka3530)が言いました。同様に、鹿島 雲雀(ka3706)も、持ってきた写真資料などを広げます。
「へえ、CAMって、こんな形をしているんだ」
ランカ(ka0327)が感心したように言いました。なにしろ、本物は見たことがないので、ここにみんなが持ち寄った資料から想像するしかありません。これから彼女が作る物の参考になります。
「そうそう、こんな感じでしたね」
何度かCAMを見たことがあるジョン・フラム(ka0786)が、間違いないとうなずきました。
「この資料を参考にして、大まかなデザインはリアルブルーの人に任せた方がよさそうだね」
その方が、より本物に近い物が作れるだろうと、ルーエル・ゼクシディア(ka2473)が言いました。
「それが賢明ね」
カレン・ラングフォード(ka3622)がルーエルに同意しました。近々実戦投入されるのではと噂されるCAMですので、これから作られるCAM像に対するクリムゾンウエストの人々の反応も気になります。その意味では、なるべく本物に近い方がいろいろといいような気もします。
「図面なら任せてくれ」
雲雀が、ドンと請け負いました。本物は大変ですが、内部機構のないハリボテであれば、これらの資料から再現可能でしょう。
●等身大CAMの制作
「さて、大きなCAMも魅力的だけれど、私は小さいのがいいかな」
CAMの形を確認してきたランカは、スポンサーである商工会に用意してもらった薄い鉄板を前にしてデザインを練り始めました。
まずは、ポーズに合わせて木で骨格を作ります。高さは一メートルほどにしたので、ロボットと言うよりは、人形か、鎧を着た子供っぽいイメージです。
金切り鋏で鉄板を切り、ハンマーで叩いて整形していきます。
デュミナスは曲面装甲が多いので、再現するのはかなりやっかいです。
骨組みに、塗装したパーツをくくりつけていくと、結構いい感じです。
最終的に三体のCAMが完成しました。
「みんな楽しんでくれるよね」
出来栄えにうきうきしながら、ランカはCAM像を飾りに行きました。
同じく等身大のCAMを製作しようとしているのはグレイブ(ka3719)です。
こちらは、ポーズよりも、デザイン重視のオリジナルCAMでした。
木材を削り出して、骨格にあたるフレームを作ります。ランカと違うのは、手足の固定のための台座ではなく、ちゃんと可動するための骨格です。これを黒く艶のあるペンキで塗装して、素体とも言える人型にします。そこへ、薄い鉄板を加工した各部の装甲をネジ留めしていくわけです。
「こいつの見所は、可変だからなあ」
蝶番の部分で装甲が可変することを入念に確かめながら、グレイブがにんまりとしました。
●小型CAMの制作
「これ、もらっていくよー」
商工会が用意してくれた資材から、余った切れ端などを集めて薫が言いました。同じようにアシェ・ブルゲス(ka3144)も、布関係をもらっていきます。
薫が作ろうとしているのは、全高20センチほどの小型のCAM人形です。
木を削って胴体手足頭のパーツを作り、臍や鉄の棒を使って関節部を合わせていきます。その上に、鉄の板を加工して作った装甲を被せていくという感じです。前腕の部分はキャップ式にして外せるように作ってあり、中はスタンプになっています。
「さて、準備は万端」
CAM人形を10体ほど作ると、薫はそれらを商店街のあちこちに隠しに行きました。
一方のアシェの方は、集めた布でCAMのぬいぐるみを作るようです。
●実物大CAMの制作
「二階建ての建物ほどの高さがありますから、しっかり作りませんと。後で事故でも起こったら大変ですから」
雲雀と共に書きあげた細かな設計図を広げて、クオンがみんなに指示をしていきました。
最も重要なのは骨組みです。
基礎をしっかりとするために、ジョンとカレンが商店街中央の広場に深い穴を掘りました。
そこへ、ルーエルが脚の部分となる柱を二本立てます。これを基本として、腰の部分で横木を渡し、胴体の芯柱をその上に立て、肩部分の横木と腕部分の心棒を組み合わせて基本ポーズを作ります。見た感じはシンプルですが、作業用の足場を組まなければいけないので結構大変です。
接合部は、アシェとクオンが補強の金属板をあててしっかりと固定しました。
全体のフォルムは、細木で枠を作ってデュミナスの微妙なカーブなどを再現します。
設計図に従ってルーエルが削り出したパーツを、屋外が足場の上にいるアシェへと手渡していきます。
「このへんは、こんな感じかな……」
屋外が見本として立てかけたまるごとでゅみなすを見下ろしながら、アシェが基礎に枠組みを取りつけていきました。
だんだんと、棒人形でしかなかったCAM像が、ボリュームのあるシルエットに変わっていきます。
枠組みの上に紙や布を貼り、ペンキでコーティングすると、なかなかに格好よくなってきました。結構な重量ですが、しっかりと基礎を作ってあるので大丈夫でしょう。人が手で触れる脚部は、鉄板を加工した物を貼りつけてさらに強度を高めます。
「頭もできたよー」
ルーエルに手伝ってもらった頭部を、レインが持ってきました。なかなかのハンサムな顔です。
「さて、仕上げは、俺様に任せろ」
コツコツとアサルトライフルとコンバットナイフとシールドを作っていた雲雀が、満を持して腰をあげました。なんだか、武器のディティールにやたら気合いが入っています。
「こう言うのはな、盛るよりも削りの方が難しいんだ」
派手に塗装されたCAM像に、ハードポイントやインテークの溝を、細かく彫り込んでいきます。さらには、メンテナンスハッチのマーキングも欠かせません。
「うーん、いい出来だ」
足場を外して現れたCAM像に、全員が満足気です。
「後は、看板ですかな」
商店街内の案内板やポスター、CAM像の足許の説明パネルなどをかかえて、屋外が言いました。明日のお披露目にむかって、準備はラストスパートです。
●商店街にCAMがやってきた!
噂のCAMが見られると言うことで、商店街は大入りでした。
「ここですか、祭りの場所は……」
正装に着替えてやってきたジョンが、完成したばかりのCAM像を見あげて言いました。大きめの段ボールから頭と手足を出した格好で、正面に大きく『CAM』と書いてあります。正装です。
つんつん、つんつん。
興味を持った子供たちが、棒の先でジョンをつつきます。
「私は混沌の具現者……。ああ、つつかないで……」
格好良くポーズをとろうとしますが、ちょっとうまくいきません。
「そこのお嬢さん、あなたもお一つどうですか、箱CAM」
まるごとでゅみなすを着て通りかかったレインを見つけて、ジョンが言いました。
「えー、私の方が格好いいし」
手に持っていたデュミナス人形のセンサーアイをピカーっと光らせながら、レインが答えました。
「仕方ありません。とりあえず、こうして目立ちながら商店街の警備です」
残念そうにつぶやくと、ジョンは子供たちにつつかれながら歩き出しました。
「なんだか、いろいろとみんな楽しそうですね」
その様子をちゃっかりとイラストつきのメモにとりながら、屋外が言いました。他にも、商店街の通りには、デュミナスのコスプレをした薫が屋台を出して立っています。
「さあ、『CAMを探せ、スタンプラリー』の参加はこちらだよー」
道行く子供たちを呼び止めながら、薫はイベントで盛り上げていました。
「自分の仲間が、いなくなってしまったであります。みごと見つけて腕のハンコパンチを集めてきてくれたお友達には、CAM用エネルギー袋をあげるんであります」
サンプルのCAM人形とお菓子の入った袋を掲げて、薫が言いました。子供たちが、スタンプ帳をもらって商店街へ散っていきます。
「これかなあ?」
アシェのやっている屋台の前で、子供たちがCAMの人形を指さして首をかしげました。
「ええと、これはぬいぐるみだから……」
紛らわしいイベントが……と、アシェが、内心焦ります。
屋台で売っているのは、色とりどりのCAMのぬいぐるみです。本当はリアルなフィギアにしたかったのですが、レジンやプラスチックはここでは手に入らないので、無難に布製と言うことになりました。デフォルメされた機体は、結構ラブリーです。
かわいいので、子供たちよりもお母さんたちに大人気です。
「そ、それ、一つ、ください……」
帽子とマフラーとサングラスで顔を隠した少女が、そそくさとCAMぬいぐるみを買っていきました。なんとなく、アットリーチェちゃんに似ています。
「まるごとデュミナス、そんな商品があったとは……。ええい、出遅れましたわ。御近所のパン屋さんでさえ繁盛しているのに……。こうなったら、タオルに急いでCAMと刺繍して、CAMタオルとして売り出しなさい。急いで!」
予想以上の商店街の盛り上がりに、CAMってなんですのと気にもとめていなかったセレーネ・リコお嬢様が、急いでパートたちに命じました。
さて、その繁盛しているパン屋さんというのは、案内所に斡旋してもらって、ミオレスカ(ka3496)が手伝っているお店です。
CAMの三文字にちなんで、CAMの頭部の形をしたチョコレートパン・アンパン・メロンパンの三種類を販売しています。
「三色ありますので、ぜひ、全部お試しください」
「メロンパンって言うのをくださいな」
「あ、ありがとうございます!」
ミオレスカが、すぐにメロンパンを紙袋に入れてお客さんに手渡しました。
「それにしても、これがCAMという物なの? あっちは噂通りの形だけれど、あれもそうなのかしら」
パンを買ったミチーノ・インフォルが、子供たちを集めて説明をしているグレイブの方を見てつぶやきました。
赤と黒に色分けされたCAMとやらは、どう見ても鳥のようなシルエットです。
「さあ、これからは凄いぞ。この戦闘機が人型になる!」
そう子供たちに説明すると、グレイブが口で効果音を入れながら、ガシャコンとCAMを変形させ始めました。台座にあるハンドルを回して、戦闘機の真ん中辺りをワイヤーで引き上げます。山形に折れ曲がった胴体装甲を開いて腕を左右に展開させ、ノズル部分を引っぱって脚を伸ばします。忘れず武器も持たせましょう。素晴らしく手作業です。けれども、それを見つめる子供たちの目はキラキラしています。
「最後に頭を……、あれ?」
変形を完成させようとしたグレイブですが、胴体から頭が出てきません。
「こんなこともあろうかと……」
グレイブが、慌ててCAMパンを買いに行きました。
「これで完成だ、ディアボロって言うんだ、すげーだろー」
アンパンを頭として載っけたCAMを前にして、グレイブが自慢しました。翼の部分がいくつにも分かれて生物の羽っぽくなったCAMは、悪魔っぽくてちょっとインパクトがあります。でも、顔はアンパンです。
「わー、すごーく……おいしそー」
どうやら、子供たちに受けたのは、美味しそうなパンの方だったようです。見ていた子供たちが、一斉にミオレスカのパン屋さんに殺到します。
「あ、は、はい。じゅ、順番に並んでくださ……」
突然満員御礼になって、ミオレスカはちょっとパニックです。
「まずい、売り切れないうちに私もお土産に買わないと。三つください、三つ!」
CAM饅頭やCAM団子を屋台で買って食べ歩きしていたランカが、慌てて子供たちの輪に加わりました。
「盛況のようですね」
案内所の中から、商店街に駐在している陸軍のピロータ・アッフィラート少尉が正面に見える実物大CAM像を見あげながら言いました。
それにしても、この横においてある人間大のCAM像はなんなのでしょうか。ランカがおいていった物ですが、窓から半身だけのぞかせてこそっと大型CAM像を見あげています。
案内所の屋根にも腰かけているCAM像がありますし、商店街のはじっこには、割烹着を着てお財布をなくしてしょんぼりしているCAM像があるとかないとか。
そういえば、商店街のあちこちにも、ちっちゃなCAM人形があって、子供たちが探していましたが。
「まあ、お祭りですしね」
ピロータは、そう言ってクスリとしました。
●実物大CAM像
商店街の中央に、そのCAM像は雄々しく立っていました。
まだほとんど屋台中心の商店街の中で、CAM像よりも高い建物は三階建ての案内所だけです。
厳密に再現されたデュミナスは、雲雀のこだわりもあって、各部関節や腰や腕のハードポイントなど、細部にわたってリアルに作り込まれています。レインの作った頭部も、なかなかにイケメンです。腰にはコンバットナイフを装備し、右手にはアサルトライフル、左手には大型シールドを携えています。
お祭り用と言うことなので、ボディは白、追加装甲部は赤という目立つ塗装にされています。センサー部分には色ガラスが埋め込まれていて、頭部バイザーは照明内蔵です。各所には正式なマーキングが描かれ、盾には先日活躍した特機隊のエンブレムが大きく描かれていました。いかにも同盟所属のCAMという感じで、インパクト大です。
「さあ、これがCAMだよ!」
デュミナスの着ぐるみを着たレインが、手に持ったCAM人形の目をピカーっと光らせて叫びました。同時に、実物大CAM像の目も光ります。ピカー。
「このピカッと光るのが科学。魔術じゃないよー。そして、リアルブルーの科学の結晶がこのCAMだあ! 歪虚に対する私たちの切り札。男の子のロマンをエネルギーにしているんだぞー!」
レインが、なんだか適当なことを言って子供たちをあおります。
「ええと、詳しいことはこちらです」
パイロットスーツ風の服装をしたルーエルが、屋外が立てた説明板を指し示しました。
「説明会はこちらです。そろそろ開始します」
リアルブルーの軍服に着替えたカレンが、CAM像の足許で説明会を開きました。
クリムゾンウエストの人々の知らないリアルブルーでのヴォイドとCAMの戦いを、なるべく分かりやすく説明します。
「質問があれば、こちらで受けつけるよ」
ロスヴァイセを着込んだ雲雀が、CAMのロボットとしての技術的な説明をします。デュミナスを導く、戦乙女という感じでしょうか。
子供たちの「自分たちも乗れるの?」とか、商人たちの「どこが儲かるんだ?」という質問が飛び交います。クリムゾンウエストの人々も、CAMへの関心は高いようです。フマーレではCAM用の新兵器開発も始まっていますし、今後ますますCAMは身近な物となっていきそうです。
とりあえず「凄い、強い、今はレア!」ということで、二人は説明をしめました。
「なお、現在商店街では、スタンプラリーの開催、CAM人形の販売などを行っております」
「あちこちに、隠れCAMもあるんで、探してくれよな。隠れてない可変型CAMもあるらしいぞ。むこうで売ってるCAMパンもうまかったぜ」
最後に、二人が商店街の催しやお店の紹介をします。
「これ、隠れてないCAM? それとも変なおじさん?」
子供たちが、箱CAMのジョンを棒でつんつんとつつきました。
不審者かと、駐在さんが慌てて案内所から飛び出してきます。
「いいえ、私は不審者ではありません。通りすがりの箱CAMです」
慌てて、ジョンが駐在さんに説明しますが、見た目不審者なので連れていかれました。
「すいませーん、完売でーす」
一気にパンが売れてしまって、ミオレスカが嬉しい悲鳴をあげました。
これも、実物大CAM像の御利益でしょうか。
改めて、巨大なCAM像を見あげます。
「本物は、この大きさなのに動くのですね、科学の力とは、凄いものです。どうか、この街の皆様の、守護神になってください」
パンパンと柏手を打って、ミオレスカがお祈りしました。
その後、このCAM像は、そのまま商店街の御神体となったとかならなかったとか……。
「それにしても、見たこともない物を商店街の客寄せにしようなんてなあ」
どうするんだあとばかりに、薄氷 薫(ka2692)が、集まったみんなを見回しました。
「元CAM乗りから言わせていただければ、巨大な鎧のような物ですね。できる限りの資料やパーツを集めてこようと思ったのですが、軍事機密の部分も多いので……」
クオン・サガラ(ka0018)が、サルヴァトーレ・ロッソから持ってきた資料をCAM制作班のテントに広げました。CAMの玩具や写真集などです。
歪虚がCAMを襲撃したこともあり、軍の機密にあたる書類は持ち出せませんでした。パーツなども、同様です。
また、化石燃料がないクリムゾンウエストではプラスチックがほとんど精製できないため、用意された資材は木材や紙や布や鉄板などでした。
「これだけの物を持ってきてもらって助かるよ。CAMとは一緒に戦ったこともあるけれど、やっぱり元CAM乗りの人に聞くのが一番だね」
目をキラキラさせて、レイン・レーネリル(ka2887)が言いました。模型作りを趣味としている彼女としては、ほくほくのイベントです。
「自分もいろいろ持ってきましたよ」
以前に行われたCAM説明会の資料や、デュミナスの着ぐるみを広げて、屋外(ka3530)が言いました。同様に、鹿島 雲雀(ka3706)も、持ってきた写真資料などを広げます。
「へえ、CAMって、こんな形をしているんだ」
ランカ(ka0327)が感心したように言いました。なにしろ、本物は見たことがないので、ここにみんなが持ち寄った資料から想像するしかありません。これから彼女が作る物の参考になります。
「そうそう、こんな感じでしたね」
何度かCAMを見たことがあるジョン・フラム(ka0786)が、間違いないとうなずきました。
「この資料を参考にして、大まかなデザインはリアルブルーの人に任せた方がよさそうだね」
その方が、より本物に近い物が作れるだろうと、ルーエル・ゼクシディア(ka2473)が言いました。
「それが賢明ね」
カレン・ラングフォード(ka3622)がルーエルに同意しました。近々実戦投入されるのではと噂されるCAMですので、これから作られるCAM像に対するクリムゾンウエストの人々の反応も気になります。その意味では、なるべく本物に近い方がいろいろといいような気もします。
「図面なら任せてくれ」
雲雀が、ドンと請け負いました。本物は大変ですが、内部機構のないハリボテであれば、これらの資料から再現可能でしょう。
●等身大CAMの制作
「さて、大きなCAMも魅力的だけれど、私は小さいのがいいかな」
CAMの形を確認してきたランカは、スポンサーである商工会に用意してもらった薄い鉄板を前にしてデザインを練り始めました。
まずは、ポーズに合わせて木で骨格を作ります。高さは一メートルほどにしたので、ロボットと言うよりは、人形か、鎧を着た子供っぽいイメージです。
金切り鋏で鉄板を切り、ハンマーで叩いて整形していきます。
デュミナスは曲面装甲が多いので、再現するのはかなりやっかいです。
骨組みに、塗装したパーツをくくりつけていくと、結構いい感じです。
最終的に三体のCAMが完成しました。
「みんな楽しんでくれるよね」
出来栄えにうきうきしながら、ランカはCAM像を飾りに行きました。
同じく等身大のCAMを製作しようとしているのはグレイブ(ka3719)です。
こちらは、ポーズよりも、デザイン重視のオリジナルCAMでした。
木材を削り出して、骨格にあたるフレームを作ります。ランカと違うのは、手足の固定のための台座ではなく、ちゃんと可動するための骨格です。これを黒く艶のあるペンキで塗装して、素体とも言える人型にします。そこへ、薄い鉄板を加工した各部の装甲をネジ留めしていくわけです。
「こいつの見所は、可変だからなあ」
蝶番の部分で装甲が可変することを入念に確かめながら、グレイブがにんまりとしました。
●小型CAMの制作
「これ、もらっていくよー」
商工会が用意してくれた資材から、余った切れ端などを集めて薫が言いました。同じようにアシェ・ブルゲス(ka3144)も、布関係をもらっていきます。
薫が作ろうとしているのは、全高20センチほどの小型のCAM人形です。
木を削って胴体手足頭のパーツを作り、臍や鉄の棒を使って関節部を合わせていきます。その上に、鉄の板を加工して作った装甲を被せていくという感じです。前腕の部分はキャップ式にして外せるように作ってあり、中はスタンプになっています。
「さて、準備は万端」
CAM人形を10体ほど作ると、薫はそれらを商店街のあちこちに隠しに行きました。
一方のアシェの方は、集めた布でCAMのぬいぐるみを作るようです。
●実物大CAMの制作
「二階建ての建物ほどの高さがありますから、しっかり作りませんと。後で事故でも起こったら大変ですから」
雲雀と共に書きあげた細かな設計図を広げて、クオンがみんなに指示をしていきました。
最も重要なのは骨組みです。
基礎をしっかりとするために、ジョンとカレンが商店街中央の広場に深い穴を掘りました。
そこへ、ルーエルが脚の部分となる柱を二本立てます。これを基本として、腰の部分で横木を渡し、胴体の芯柱をその上に立て、肩部分の横木と腕部分の心棒を組み合わせて基本ポーズを作ります。見た感じはシンプルですが、作業用の足場を組まなければいけないので結構大変です。
接合部は、アシェとクオンが補強の金属板をあててしっかりと固定しました。
全体のフォルムは、細木で枠を作ってデュミナスの微妙なカーブなどを再現します。
設計図に従ってルーエルが削り出したパーツを、屋外が足場の上にいるアシェへと手渡していきます。
「このへんは、こんな感じかな……」
屋外が見本として立てかけたまるごとでゅみなすを見下ろしながら、アシェが基礎に枠組みを取りつけていきました。
だんだんと、棒人形でしかなかったCAM像が、ボリュームのあるシルエットに変わっていきます。
枠組みの上に紙や布を貼り、ペンキでコーティングすると、なかなかに格好よくなってきました。結構な重量ですが、しっかりと基礎を作ってあるので大丈夫でしょう。人が手で触れる脚部は、鉄板を加工した物を貼りつけてさらに強度を高めます。
「頭もできたよー」
ルーエルに手伝ってもらった頭部を、レインが持ってきました。なかなかのハンサムな顔です。
「さて、仕上げは、俺様に任せろ」
コツコツとアサルトライフルとコンバットナイフとシールドを作っていた雲雀が、満を持して腰をあげました。なんだか、武器のディティールにやたら気合いが入っています。
「こう言うのはな、盛るよりも削りの方が難しいんだ」
派手に塗装されたCAM像に、ハードポイントやインテークの溝を、細かく彫り込んでいきます。さらには、メンテナンスハッチのマーキングも欠かせません。
「うーん、いい出来だ」
足場を外して現れたCAM像に、全員が満足気です。
「後は、看板ですかな」
商店街内の案内板やポスター、CAM像の足許の説明パネルなどをかかえて、屋外が言いました。明日のお披露目にむかって、準備はラストスパートです。
●商店街にCAMがやってきた!
噂のCAMが見られると言うことで、商店街は大入りでした。
「ここですか、祭りの場所は……」
正装に着替えてやってきたジョンが、完成したばかりのCAM像を見あげて言いました。大きめの段ボールから頭と手足を出した格好で、正面に大きく『CAM』と書いてあります。正装です。
つんつん、つんつん。
興味を持った子供たちが、棒の先でジョンをつつきます。
「私は混沌の具現者……。ああ、つつかないで……」
格好良くポーズをとろうとしますが、ちょっとうまくいきません。
「そこのお嬢さん、あなたもお一つどうですか、箱CAM」
まるごとでゅみなすを着て通りかかったレインを見つけて、ジョンが言いました。
「えー、私の方が格好いいし」
手に持っていたデュミナス人形のセンサーアイをピカーっと光らせながら、レインが答えました。
「仕方ありません。とりあえず、こうして目立ちながら商店街の警備です」
残念そうにつぶやくと、ジョンは子供たちにつつかれながら歩き出しました。
「なんだか、いろいろとみんな楽しそうですね」
その様子をちゃっかりとイラストつきのメモにとりながら、屋外が言いました。他にも、商店街の通りには、デュミナスのコスプレをした薫が屋台を出して立っています。
「さあ、『CAMを探せ、スタンプラリー』の参加はこちらだよー」
道行く子供たちを呼び止めながら、薫はイベントで盛り上げていました。
「自分の仲間が、いなくなってしまったであります。みごと見つけて腕のハンコパンチを集めてきてくれたお友達には、CAM用エネルギー袋をあげるんであります」
サンプルのCAM人形とお菓子の入った袋を掲げて、薫が言いました。子供たちが、スタンプ帳をもらって商店街へ散っていきます。
「これかなあ?」
アシェのやっている屋台の前で、子供たちがCAMの人形を指さして首をかしげました。
「ええと、これはぬいぐるみだから……」
紛らわしいイベントが……と、アシェが、内心焦ります。
屋台で売っているのは、色とりどりのCAMのぬいぐるみです。本当はリアルなフィギアにしたかったのですが、レジンやプラスチックはここでは手に入らないので、無難に布製と言うことになりました。デフォルメされた機体は、結構ラブリーです。
かわいいので、子供たちよりもお母さんたちに大人気です。
「そ、それ、一つ、ください……」
帽子とマフラーとサングラスで顔を隠した少女が、そそくさとCAMぬいぐるみを買っていきました。なんとなく、アットリーチェちゃんに似ています。
「まるごとデュミナス、そんな商品があったとは……。ええい、出遅れましたわ。御近所のパン屋さんでさえ繁盛しているのに……。こうなったら、タオルに急いでCAMと刺繍して、CAMタオルとして売り出しなさい。急いで!」
予想以上の商店街の盛り上がりに、CAMってなんですのと気にもとめていなかったセレーネ・リコお嬢様が、急いでパートたちに命じました。
さて、その繁盛しているパン屋さんというのは、案内所に斡旋してもらって、ミオレスカ(ka3496)が手伝っているお店です。
CAMの三文字にちなんで、CAMの頭部の形をしたチョコレートパン・アンパン・メロンパンの三種類を販売しています。
「三色ありますので、ぜひ、全部お試しください」
「メロンパンって言うのをくださいな」
「あ、ありがとうございます!」
ミオレスカが、すぐにメロンパンを紙袋に入れてお客さんに手渡しました。
「それにしても、これがCAMという物なの? あっちは噂通りの形だけれど、あれもそうなのかしら」
パンを買ったミチーノ・インフォルが、子供たちを集めて説明をしているグレイブの方を見てつぶやきました。
赤と黒に色分けされたCAMとやらは、どう見ても鳥のようなシルエットです。
「さあ、これからは凄いぞ。この戦闘機が人型になる!」
そう子供たちに説明すると、グレイブが口で効果音を入れながら、ガシャコンとCAMを変形させ始めました。台座にあるハンドルを回して、戦闘機の真ん中辺りをワイヤーで引き上げます。山形に折れ曲がった胴体装甲を開いて腕を左右に展開させ、ノズル部分を引っぱって脚を伸ばします。忘れず武器も持たせましょう。素晴らしく手作業です。けれども、それを見つめる子供たちの目はキラキラしています。
「最後に頭を……、あれ?」
変形を完成させようとしたグレイブですが、胴体から頭が出てきません。
「こんなこともあろうかと……」
グレイブが、慌ててCAMパンを買いに行きました。
「これで完成だ、ディアボロって言うんだ、すげーだろー」
アンパンを頭として載っけたCAMを前にして、グレイブが自慢しました。翼の部分がいくつにも分かれて生物の羽っぽくなったCAMは、悪魔っぽくてちょっとインパクトがあります。でも、顔はアンパンです。
「わー、すごーく……おいしそー」
どうやら、子供たちに受けたのは、美味しそうなパンの方だったようです。見ていた子供たちが、一斉にミオレスカのパン屋さんに殺到します。
「あ、は、はい。じゅ、順番に並んでくださ……」
突然満員御礼になって、ミオレスカはちょっとパニックです。
「まずい、売り切れないうちに私もお土産に買わないと。三つください、三つ!」
CAM饅頭やCAM団子を屋台で買って食べ歩きしていたランカが、慌てて子供たちの輪に加わりました。
「盛況のようですね」
案内所の中から、商店街に駐在している陸軍のピロータ・アッフィラート少尉が正面に見える実物大CAM像を見あげながら言いました。
それにしても、この横においてある人間大のCAM像はなんなのでしょうか。ランカがおいていった物ですが、窓から半身だけのぞかせてこそっと大型CAM像を見あげています。
案内所の屋根にも腰かけているCAM像がありますし、商店街のはじっこには、割烹着を着てお財布をなくしてしょんぼりしているCAM像があるとかないとか。
そういえば、商店街のあちこちにも、ちっちゃなCAM人形があって、子供たちが探していましたが。
「まあ、お祭りですしね」
ピロータは、そう言ってクスリとしました。
●実物大CAM像
商店街の中央に、そのCAM像は雄々しく立っていました。
まだほとんど屋台中心の商店街の中で、CAM像よりも高い建物は三階建ての案内所だけです。
厳密に再現されたデュミナスは、雲雀のこだわりもあって、各部関節や腰や腕のハードポイントなど、細部にわたってリアルに作り込まれています。レインの作った頭部も、なかなかにイケメンです。腰にはコンバットナイフを装備し、右手にはアサルトライフル、左手には大型シールドを携えています。
お祭り用と言うことなので、ボディは白、追加装甲部は赤という目立つ塗装にされています。センサー部分には色ガラスが埋め込まれていて、頭部バイザーは照明内蔵です。各所には正式なマーキングが描かれ、盾には先日活躍した特機隊のエンブレムが大きく描かれていました。いかにも同盟所属のCAMという感じで、インパクト大です。
「さあ、これがCAMだよ!」
デュミナスの着ぐるみを着たレインが、手に持ったCAM人形の目をピカーっと光らせて叫びました。同時に、実物大CAM像の目も光ります。ピカー。
「このピカッと光るのが科学。魔術じゃないよー。そして、リアルブルーの科学の結晶がこのCAMだあ! 歪虚に対する私たちの切り札。男の子のロマンをエネルギーにしているんだぞー!」
レインが、なんだか適当なことを言って子供たちをあおります。
「ええと、詳しいことはこちらです」
パイロットスーツ風の服装をしたルーエルが、屋外が立てた説明板を指し示しました。
「説明会はこちらです。そろそろ開始します」
リアルブルーの軍服に着替えたカレンが、CAM像の足許で説明会を開きました。
クリムゾンウエストの人々の知らないリアルブルーでのヴォイドとCAMの戦いを、なるべく分かりやすく説明します。
「質問があれば、こちらで受けつけるよ」
ロスヴァイセを着込んだ雲雀が、CAMのロボットとしての技術的な説明をします。デュミナスを導く、戦乙女という感じでしょうか。
子供たちの「自分たちも乗れるの?」とか、商人たちの「どこが儲かるんだ?」という質問が飛び交います。クリムゾンウエストの人々も、CAMへの関心は高いようです。フマーレではCAM用の新兵器開発も始まっていますし、今後ますますCAMは身近な物となっていきそうです。
とりあえず「凄い、強い、今はレア!」ということで、二人は説明をしめました。
「なお、現在商店街では、スタンプラリーの開催、CAM人形の販売などを行っております」
「あちこちに、隠れCAMもあるんで、探してくれよな。隠れてない可変型CAMもあるらしいぞ。むこうで売ってるCAMパンもうまかったぜ」
最後に、二人が商店街の催しやお店の紹介をします。
「これ、隠れてないCAM? それとも変なおじさん?」
子供たちが、箱CAMのジョンを棒でつんつんとつつきました。
不審者かと、駐在さんが慌てて案内所から飛び出してきます。
「いいえ、私は不審者ではありません。通りすがりの箱CAMです」
慌てて、ジョンが駐在さんに説明しますが、見た目不審者なので連れていかれました。
「すいませーん、完売でーす」
一気にパンが売れてしまって、ミオレスカが嬉しい悲鳴をあげました。
これも、実物大CAM像の御利益でしょうか。
改めて、巨大なCAM像を見あげます。
「本物は、この大きさなのに動くのですね、科学の力とは、凄いものです。どうか、この街の皆様の、守護神になってください」
パンパンと柏手を打って、ミオレスカがお祈りしました。
その後、このCAM像は、そのまま商店街の御神体となったとかならなかったとか……。
依頼結果
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夢のCAM 薄氷 薫(ka2692) 人間(リアルブルー)|25才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/02/22 00:54:56 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/22 00:03:48 |
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質問しても、良いですか? 屋外(ka3530) 人間(リアルブルー)|25才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/02/20 18:27:03 |