• 不動

【不動】戦う者を護る者

マスター:岡本龍馬

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
6~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/02/27 07:30
完成日
2015/03/05 21:17

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「おいおいおいおい。ありゃどうすんだ?」
 それが現れたのは、怠惰の軍勢との戦闘が始まろうとしているまさにその時だった。
 自身の作戦ポイントまで向かう男ハンターの目に映ったそれは、最悪と言ってもいいものだった。
 怠惰の軍勢が進行中の位置から大きく外れた地点に出現した、高さがゆうに三メートルを超える巨人。
 この地に集まっている者なら見間違うはずもない。
 ……怠惰だ。
 各方々の作戦開始に伴い警戒の薄くなった地点。狙ったのか、たまたまなのかはあいにく知るすべがないが、その警戒の穴に二体の巨人が現れた。
「俺一人でやれってか? 冗談きついぜ」
 一人で対応して何とかなる相手か? そんなことしたらそれこそ洒落にならない。
 なら増援を呼びに行くか? 判断として現状最適なのはそれだろう。
 しかしどうする。すでに各方面、作戦は開始している。その上やつらからの攻撃を受けるのも時間の問題だ。
 人集めに割ける時間など考えるまでもなく理解できる。
 それ以前の問題として本来自分に与えられている内容は、作戦において重要な役割を果たしているらしい。
 つまるところ、こんなことをしている場合ではない。
 だがここであれを見なかったことにすればいずれ甚大な被害を受ける。
「ついてねぇなぁ……」
 ジレンマの中、男ハンターはとにかくこの事態を伝えるために走りだした。
 ゆっくりと近づいてくる脅威を背中で感じながら……。


 八人。
 男ハンターが聞かされたその数字は、もちろんあの怠惰の対応に回せる人数を表している。
 自分も含めて九人、と言おうとしたが、
「作戦における自分の重要性を考えろ」
 一蹴されてしまった。
 あの二体は八人でかなう相手なのか。八人の戦闘能力はあの二体に釣り合っているのか。被害が出る前に討伐できるのか。
 心配事なんて考えれば考えただけ生まれてくる。
 けれど今自分のやるべきことは他人の心配ではない。
「死んでくれるなよ」
 その言葉を最後に男ハンターは思考を切り替えた。

リプレイ本文

●護るための戦い
 各方面の作戦が展開されていく中、他とは離れた場所で二体の巨人を見据える八人のハンターたち。
 付近に点在する岩に隠れているため、巨人たちにはまだ気づかれていない。
 しかしそうしている間にも巨人は歩を進める。つまり刻一刻とタイムリミットは近づいているのだ。
 巨人たちに感づかれないよう、アイコンタクトで互いの役割を確認し合ってから戦闘態勢に入るハンターたち。
 ……戦う者を護るために。

●五対一
「さっさと1匹片付けねーとな」
「何度見てもデカいわねぇ……弱点でも有れば少しは楽なんだけれど、と……」
 人数をとってしても、十分にやり合えるだけの戦力とは言い難いA班が一体を誘引している。
 今、ラルス・コルネリウス(ka1111)やフェイ(ka2533)たちB班の前にいる一体を倒すのも速いに越したことはない。
「……気づいたんだが、前衛オレだけじゃね? まぁ、いいけどよ……」
 他のハンターたちが、それぞれの巨人を狙いやすい位置に移動する中、ティカ・アイアンハート(ka3663)が苦笑いを浮かべる。
 けれどその笑みは即座のうちにしまわれた。
 アイアンハートの頭上を一筋の光が巨人めがけて飛んでいったのだ。
「うぐぁぁがぁぁ」
 ティアーチェ・バルフラム(ka0745)の放ったファイアアローが巨人の肩を射抜くと、巨人の視線がバルフラムに向けられる。
「がああぁぁぁぁ!」
 その一矢をきっかけに戦闘態勢に巨人が戦闘態勢に入った。
「鬼さんコチラ」
 バルフラムが巨人からヒラヒラと距離をとっていくと、手近の樹を引っこ抜いた巨人がつられるようにバルフラムを追い始める。
「側面ががら空きだろう」
 距離を詰めた弥勒 明影(ka0189)の景幸が、バルフラムを追う巨人の脚めがけて一振り。その一閃は赤く染まっていた。
「うぐぁぁ!」
 巨人の追撃の手が止まり、手に持っていた樹が明影に振り下ろされる。
「くっ……」
「そーらこっちだこっち!」
 攻性強化を使用したコルネリウスの魔導銃から打ち出される弾が、明影によって傷つけられた部位にヒットする。刀で樹を押し返す明影を潰すため、地面に強く踏み込んでいた巨人はバランスを崩して地面に片膝をつくことを余儀なくされた。
「休んでる暇なんてないんじゃねーの?」
「ううぅぅぅ……ぐ、ぐうあああぁぁぁ!」
 アイアンハートがすかさず追撃をかけるもそれに呼応するように立ち上がる巨人。
 再び手近にあった樹を引き抜いたかと思うと、引き抜いた際に振り上げられた腕をそのまま地面めがけて振り下ろした。
「おわっ」
 アイアンハートに直撃こそしなかったものの、衝撃に耐えられなかった、樹だったものと砕かれた大地の破片が弾丸となって襲い掛かる。
「凄い衝撃ね……喰らったらひとたまりも無いんじゃないの……?」
 抉られた地面を見ながらつぶやきつつ、弱点を探るフェイ。
 戦闘開始から、脳天から喉元、脇、腹、とにかくいろいろな部位に攻撃を入れるもののこれといった成果はいまだになかった。しかしついに、腰の中央部、人間で言うところの尾てい骨のあたりに当たったとき、
「がぁっ」
 他の部位とは明確に違う反応を巨人が見せた。
「そこが弱点なのかしら?」
「って、おい」
 よほど嫌な一撃だったのだろうか。今まさに大きな一撃を放ったばかりだというのに、巨人は新たな樹をつかみあげて振り下ろそうとしている。
 急いで巨人から距離をとるアイアンハートだったが、振り下ろされる樹のほうが離脱するより先にとどいてしまう。
 しかしその攻撃が当たることはなく、巨人は呻吟しながら樹を取りこぼした。
「がぁぁ……うがぁぁ!」
「大丈夫か?」
「ありがとよ」
 バルフラムが放ち、フェイの見つけた弱点にピンポイントで突き刺さったファイアアロー。明影はそのおかげで生じたすきを見逃さず巨人に接近し、アイアンハートを巨人の攻撃範囲から離脱させる。さらにはそのついでに巨人の上半身へと数発の弾を命中させていた。
 これによって巨人の手の届く範囲には敵がいなくなった。
 巨人は取りこぼした樹を拾い上げると、バルフラムのほうを向き、今まで見せなかった態勢に入った。
 バルフラムを標的として巨人が樹を構える。
 それに合わせるように巨人の目の前で回避行動に入るバルフラム。
 当然と言えば当然だが、巨人は気づかなかった。バルフラムの視線は自分ではなくそのもう少し後ろに焦点があっていることを。
「……随分、大きな隙を有り難う、と!」
「囲んで集中砲火、戦術の基本ってな!」
 コルネリウスとフェイがアイコンタクトでタイミングを計る。
 刹那、ノーガードになっていた巨人の弱点部分を交点とするように、コルネリウスとフェイによる十字砲火が巨人を襲った。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
 巨人の断末魔の叫び。またしても取りこぼされた樹が地面に落ちた。
 確かにそこにあった巨体が消え去った。
 誰が何を言うでもなく、皆A班のほうへ向けて走り出した。

●三対一
 B班から極力距離をとれるようにとにかく走るA班の面々。
 しかしまぁ、ただの一撃浴びせられただけで、仲間から遠ざけられても気づかずに追いかけるような巨人だ。脳筋と言わずして何と呼ぶべきか……。
「巨人さん僕らが相手だよ。君ぐらい3人もいれば十分だからね!」
 バルフラムからウィンドガストの支援を受けた仁川 リア(ka3483)は軽い攻撃を加えつつも移動の脚は止めない。そしてそれを追いかけ続ける巨人。
 そうしてリアが誘引している間に、メイリアス=フロストフォール(ka0869)と雲類鷲 伊路葉 (ka2718)はそれぞれの準備を進めていた。
 ひとまずは安心できる距離までリアと巨人が到達すると、先行して物陰に隠れていたフロストフォールが姿を現した。
「きましたね。狙います……」
 一撃一撃は軽いものの、その分射撃の量を増やして巨人の注意を引きつける。大したダメージにはなっていないはずだが、うっとうしかったのか、巨人のターゲットがフロストフォールに移る。
 そばにあった樹を引っこ抜いてフロストフォールに接近していく巨人。
「うがぁ!」
 しかし、巨人にとって思いもよらないところからの射撃で、巨人の脚が止まった。
 あたりを見回すと、岩陰に隠れた伊路葉が今まさに第二射を放とうとしているのが巨人の視界に入った。
 巨人はとっさの判断で首をひねり、自分の頭めがけて迫っていた弾をかわす。
「がぁっ!?」
 巨人はたしかにかわしたつもりだった。しかし伊路葉の撃った強弾は巨人の頭部に命中している。
「読んでいるわよ、その攻撃」
 伊路葉の牽制射撃が見事に効果を発揮したようだ。
 しかし今度は伊路葉が巨人のターゲットになってしまった。
 位置がばれてしまっているため、場所を移動する伊路葉。
 しかし、機敏性に欠けるとはいえ一歩一歩が常人の比ではない巨人に追跡されていては隠れてもすぐに巨人にばれてしまう。
 そこに、
「足硬そうだからね、そういう時の投げナイフ!」
 巨人のうなじにリアの投げたナイフが刺さる。
 この攻撃もさほど大きなダメージを与えられなかった。けれど、何が起きたのか確認するために巨人が振り返った。そのすきに伊路葉は適当な樹の陰に姿を隠す。
 巨人が再び前を向いた時にはそこにはすでに伊路葉はいない。
 ならば、とリアのほうへ方向をかえ、腕を振り下ろして樹を地面にたたきつける。大地が砕け破片があたりに飛び散る。
 しかし瞬脚を使用したリアは、振り下ろしはおろか破片の一つすらかわして見せた。
「無駄無駄、僕に攻撃は当てられないよ。素直に遠くの人狙ったほうがいいんじゃない? まぁ近づいて攻撃なんて真似させないけど!」
 ひょいひょいと攻撃をかわしていくリアに対し、武器がなくなってしまった巨人はその腕を振り下ろした。けれどまたしてもその攻撃はかわされてしまう。
 そればかりか、
「ぐぁ……あぁ!?」
 岩陰からのフロストフォールの射撃が脇腹に着弾する。
 巨人が手近の岩をつかみあげ、投石の体勢へと入った。
 ……その時だった。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
 遠くでなにかの叫び声が響いた。
 その声ともいえぬ音を聞いた巨人の動きが止まる。
 三人は確認しあうまでもなく、何が起きたのか想像がついた。

●八対一
「お待たせっ!」
 叫び声の聞こえたしばらく後、B班のハンターたちがA班に合流した。各々が回復魔法を使用しており、残っているのは今までの動き相応の疲労のみ。
「さぁ、潰すわよ。徹底的にね」
「やっとこの剣でこいつを引き裂けるよ、待った甲斐があったね」
「んじゃ、ラスト一体。潰すか」
 リアとアイアンハートで前衛が二枚になった上、中衛の明影、五人の後衛が今ここに入る。目の前の手負いの巨人一体を倒すなど造作もないほどの戦力がそろっていた。
 巨人も自分のピンチが本能的にわかったのだろう。両手にそれぞれ樹を持ち、回転を始める。回転速度はどんどん上がっていき、中心には竜巻のような物まで生じ始めている。これでは近づくことができない。
 ……なんてこともなかった。
 被害について強いて挙げるならば明影のタバコの火が消えてしまったくらいだろうか。
 伊路葉の強弾が、巨人の回転の軸となっている足に容赦なく打ち込まれる。
「がぁぁぁぁ!」
 回転の勢いが勢いだったために足をもつれさせ、巨人は体勢を維持できなくなりその場で転倒した。その衝撃で大地が揺れる。
 倒れたすきを逃すようなハンターたちではない。
 起き上ろうとした巨人の上半身へ、バルフラムのファイアアローに、明影、フロストフォール、コルネリウス、フェイの射撃。そしてダメ押しの、リア、アイアンハートによる一振り。
「う……」
 一瞬のうちに行われたそれらは、断末魔の叫びをあげさせる間もなく巨人を消滅させた。

 戦闘の後に残ったのは八人のハンターと、無造作に樹が引っこ抜かれた景色。
 ……そして、作戦遂行において障害となりうるものの排除という結果だった。

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MVP一覧

  • 勝利をもぎ取る強運
    ラルス・コルネリウスka1111
  • 劫火の軍師
    フェイka2533

重体一覧

参加者一覧

  • 輝きを求める者
    弥勒 明影(ka0189
    人間(蒼)|17才|男性|霊闘士
  • 演技派
    ティアーチェ・バルフラム(ka0745
    エルフ|14才|女性|魔術師

  • メイリアス=フロストフォール(ka0869
    人間(紅)|20才|女性|猟撃士
  • 勝利をもぎ取る強運
    ラルス・コルネリウス(ka1111
    人間(紅)|20才|男性|機導師
  • 劫火の軍師
    フェイ(ka2533
    エルフ|17才|女性|魔術師

  • 雲類鷲 伊路葉 (ka2718
    人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
  • 大地の救済者
    仁川 リア(ka3483
    人間(紅)|16才|男性|疾影士

  • ティカ・アイアンハート(ka3663
    ドワーフ|10才|女性|闘狩人

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談所
フェイ(ka2533
エルフ|17才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/02/27 06:33:00
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/22 23:04:49