ゲスト
(ka0000)
お店を建てよう
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~15人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/03/18 12:00
- 完成日
- 2015/03/25 03:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「この商店街も、ずいぶんと整ってきたようですな」
正式な案内所の管理者としてヴァリオス商工会から配属されてきたディレトーレが、トンカントンカン金槌の音もにぎやかな商店街を見回して言いました。
「でも、あれがリアルブルー風って言うの? なんだかへんてこりんなお店も多いみたいだけど」
いいのかなあと、案内所の受付嬢として雇われたフィネステラがカウンターテーブルに頬杖ついたまま外をながめて言いました。
「そこが、この商店街の特色という物ですよ。まあ、別に王国風でも帝国風でもいいわけですが、異国情緒たっぷりの最新デザインの建物というのもいいではないですか。お客様が喜びます」
商工会の商人たちとしては、この商店街の店はアンテナショップとしていろいろと実験的に運営したいようです。それぞれの結果から、いい所は自分たちの本店に取り入れて、悪い所は改善するなりばっさりと切り捨ててしまおうという考えです。
そのため、必要な資金や資材は可能な限り用意する代わりに、成果はすべて、売り上げや仕入れルートなどもきっちりと押さえています。
まあ、背後のオーナーたちは、良くも悪くもシビアなビジネスマンたちなわけですが、場を提供してくれるので、お店をやりたい人たちにはいいチャンスとなっています。
「他のお店に負けてはいられませんわ。みんなも、早くアイディアを出しなさい!」
セレーネ・リコお嬢様が、バイトくんたちを叱咤激励していました。
以前は洋品店をやりましたが、前回はCAMグッズの店をやっています。さて、今回はどんな店にしましょうか。
というところで、いいかげん屋台やテントではなく、ちゃんとした建物にしようと言うことになったわけです。売り上げも上々のようで、親からちゃんと資金ももらいましたので、どんな建物でもドーンとこいです。
「みなさん、怪我には十分気をつけて作業してくださいねー」
商店街の駐在さんであるピロータ・アッフィラート少尉が、商店街を巡回しながら安全を呼びかけました。
駐在所は、現在案内所に間借り状態ですが、そろそろちゃんとした交番という形にもしたいところです。
商店街の中央広場には、ででーんと等身大CAM像が建っています。現在の商店街のシンボルです。
デュミナスをモデルにしたCAM像は、なんだか御神体として買い物客にお参りされています。
とはいえ、現在は作られたときのままですので、柵とかお賽銭箱とかもほしいところです。
「にしても、騒がしいわよねえ」
便乗してCAM像の足許で辻占いを開いていたミチーノ・インフォルが、建築ラッシュの商店街を見て、ちょっと溜め息をつきました。
さてさて、いろいろな思惑はあるにしろ、商店街は今日も賑やかです。
正式な案内所の管理者としてヴァリオス商工会から配属されてきたディレトーレが、トンカントンカン金槌の音もにぎやかな商店街を見回して言いました。
「でも、あれがリアルブルー風って言うの? なんだかへんてこりんなお店も多いみたいだけど」
いいのかなあと、案内所の受付嬢として雇われたフィネステラがカウンターテーブルに頬杖ついたまま外をながめて言いました。
「そこが、この商店街の特色という物ですよ。まあ、別に王国風でも帝国風でもいいわけですが、異国情緒たっぷりの最新デザインの建物というのもいいではないですか。お客様が喜びます」
商工会の商人たちとしては、この商店街の店はアンテナショップとしていろいろと実験的に運営したいようです。それぞれの結果から、いい所は自分たちの本店に取り入れて、悪い所は改善するなりばっさりと切り捨ててしまおうという考えです。
そのため、必要な資金や資材は可能な限り用意する代わりに、成果はすべて、売り上げや仕入れルートなどもきっちりと押さえています。
まあ、背後のオーナーたちは、良くも悪くもシビアなビジネスマンたちなわけですが、場を提供してくれるので、お店をやりたい人たちにはいいチャンスとなっています。
「他のお店に負けてはいられませんわ。みんなも、早くアイディアを出しなさい!」
セレーネ・リコお嬢様が、バイトくんたちを叱咤激励していました。
以前は洋品店をやりましたが、前回はCAMグッズの店をやっています。さて、今回はどんな店にしましょうか。
というところで、いいかげん屋台やテントではなく、ちゃんとした建物にしようと言うことになったわけです。売り上げも上々のようで、親からちゃんと資金ももらいましたので、どんな建物でもドーンとこいです。
「みなさん、怪我には十分気をつけて作業してくださいねー」
商店街の駐在さんであるピロータ・アッフィラート少尉が、商店街を巡回しながら安全を呼びかけました。
駐在所は、現在案内所に間借り状態ですが、そろそろちゃんとした交番という形にもしたいところです。
商店街の中央広場には、ででーんと等身大CAM像が建っています。現在の商店街のシンボルです。
デュミナスをモデルにしたCAM像は、なんだか御神体として買い物客にお参りされています。
とはいえ、現在は作られたときのままですので、柵とかお賽銭箱とかもほしいところです。
「にしても、騒がしいわよねえ」
便乗してCAM像の足許で辻占いを開いていたミチーノ・インフォルが、建築ラッシュの商店街を見て、ちょっと溜め息をつきました。
さてさて、いろいろな思惑はあるにしろ、商店街は今日も賑やかです。
リプレイ本文
●案内所
「案内所は、この商店街の顔ですから、ここで妥協は許されません」
とてかんとてかんと働く大工さんたちに指示を出しながら、イレア・ディープブルー(ka0175)が言いました。
商店街にお店は数あれど、多くの人たちが立ち寄るのがここ案内所です。現在は、商工会から直接派遣されてきたディレトーレ氏が、正式な支配人として管理を交代して赴任しています。
「とはいえ、あまり派手なのも……」
支配人が、ちょっと心配そうにイレアたちを見ました。商工会からの指示で、案内所を改装する人員を派遣するとは聞いていましたが……。
「もちろんでーす!」
分かっていると、イレアが答えました。
「主役はあくまでもそれぞれのお店。案内所が目立ちすぎてはいけません」
ということで、改装が始まりました。
外壁は白い漆喰で、スパニッシュ調に綺麗な凹凸模様がつけられていきます。前面には花の植えられたプランターとベンチが交互に並べられて、ちょっと一休みできるようになりました。
中は白木の梁をむきだしにした落ち着いた雰囲気に、小花をあしらったペイルグリーンの壁紙が品よくお客様を迎えてくれます。
「うんうん。前より少し華やかになったかなあ。職場環境はこうでなくっちゃ」
受付のフィネステラ嬢も、なんとなくウキウキのようです。
「掲示板は、そこに取りつけてくださいませ」
イレアの指示で大工さんたちがでっかい掲示板を案内所の中と外に設置しました。
「いい感じですね。ついでにぺたぺたと……」
イレアが、こっそりと商隊のホーナルキャラバンのポスターを貼りつけます。
「さて、こちらは、ほぼいいようですから、社長をストーカーしに……もとい、様子を見てきましょうか」
大まかな作業が完了したのを見届けて、イレアは案内所を出ていきました。
「うん、パンフレットはここに置くのがいいでしょうね」
入れ替わりに、以前作った商店街案内マニュアルをかかえてきた屋外(ka3530)が、掲示板の前の小卓にそれを置きました。
マップやオーナーの区画割り自体はあまり変化はありませんので、以前の物と店名を差し替えているだけです。
「お客様がたくさん来るのだから、道幅はもうちょっと広い方がいいのではありませんか? 商品の搬入とかも楽でしょうし」
屋外が事前に支配人に提案しましたが、却下されています。
屋台の時は道幅もかなり広く出入りも楽だったのですが、建物が建ちつつある今は普通の道幅です。もちろん、普通の馬車がすれ違える程度の道幅はあります。けれども、それ以上道幅を広くすると店が狭くなってしまうため、土地を持っている商人たちが納得しませんでした。
だいたいにして、この商店街はまだ復興中の新商店街であって、ヴァリオス一規模の大きい商店街でもなく、ごく普通の商店街なのですから。同じ規模の商店街や通りは、ヴァリオスにいくつも存在しています。
「であれば、商店街の入り口にデリバリーセンターを正式に作って、そこを中継所として搬入を行うのがいいですな」
こちらの屋外の提案は通り、商店街の入り口横にデリバリーセンターが作られました。一階が集配受付で、スペースの問題で荷馬車は一台だけ収納されています。二階は、倉庫です。こちらで、預かった品物は一日一回馬車で纏めて市内に配達されます。細かい品物は、随時人が運ぶ形です。他の都市へは、別途業者に頼む形になります。屋外は、当初は観光馬車の斡旋も考えていましたが、そこまでのスペースはなく、スポンサーはつきませんでした。一台しかない馬車を観光に出してしまったら、配達ができません。もともと、一つの店舗でいくつものサービスをやるには、いろいろと問題があります。
いずれにしろ、大きな成果を上げない限りはスポンサーである商人が多大な出費をするはずもありませんから、まだまだ商店街にある施設はこぢんまりとした物だけです。いきなり、ヴァリオス一巨大なお店が忽然と現れるはずもありませんし、大規模チェーン店のような他の都市まで届く活動域も持つはずもありません。けれども、その分等身大の手が届く、アットホームなお店が集まっています。
「大工さんたちへのお弁当、いただいていきます」
ヘザー・S・シトリン(ka0835)が、馬のスミレと一緒に、サンドイッチを案内所に取りに来ました。
「はーい、お願いしまーす」
フィネステラが、預かっていたたくさんのバスケットをヘザーに渡しました。
「手伝いましょう。いいですよね?」
丁度商店街の見回りに出ようとしていたペル・ツェ(ka4435)が、駐在さんのピロータ・アッフィラートに訊ねました。
「ええ、もちろんですともー」
駐在さんも手伝って、お弁当を馬のスミレに載せて商店街の入り口へと運んでいきます。
「しかし、あれはなんなのでしょう?」
商店街入り口に作られた新しい門を見あげて駐在さんが言いました。
「さあ……」
ペルもヘザーも首をかしげます。
その赤い門は、完全に鳥居の形をしていました。
「おお、いいぞ! 完璧だ!! よぉし、皆よくやった! お前たちはクリムゾンウエスト一の大工だあああ!」
作業を指揮していた松川 修造(ka4430)が、大工さんたちを褒め称えていました。制作途中も、熱く、暑苦しく大工さんたちを鼓舞してきた甲斐があるという、りっぱなできばえです。
「初めて知った商店街ですけれど、さすがにこれはインパクトがありますね」
実際にリアルブルーでもこういう商店街はありましたから、おかしいということはありませんが、クリムゾンウエストの人にとってはどうなのでしょうか。辺境には、鳥居があるらしいですが、雪ノ下正太郎(ka0539)にはよく分かりません。とはいえ、自分が制作を手伝ったこの鳥居は、なかなかにいいできです。
「最後は、これを取りつけてと……」
修造が、『松川天満宮』と書かれた板を鳥居に取りつけようとします。
「いやいやいや、それはまずいだろう」
「どこの天満宮ですか」
さすがに、鹿島 雲雀(ka3706)と正太郎が止めました。
「いいと思ったんだが……」
商店街の名前でもないし、ここに存在しない神社の名はまずいでしょう。
「さあ、みなさん、お昼ですよ」
ヘザーが、みんなに呼びかけました。お弁当を配るのを、ペルも手伝います。
積みあげられた木材を腰かけにして、みんなで昼食を取ります。
大半の木材は、すでに雲雀が各店舗からの注文の大きさに切り出しています。それを、ヘザーがスミレで商店街各所に運んでいました。
「後は、デリバリーの馬車置き場でしょうか」
サンドイッチを頬ばりながら、正太郎が言いました。
鳥居の内側、商店街に入って最初の場所にあるデリバリーは、馬車の出入りがしやすいよう交差する別通り側がオープンになっているため、二階の倉庫を支える柱などがかなりがっしりした物になっています。そのへんの補強の仕方は正太郎が大工さんに習いつつ巧みにこなし、必要であれば雲雀がリアルブルーの知識を分け与えて、より強固な物にしていきました。
内装は、ヘザーも手伝っています。燻した木壁を基本とした暖かくもがっしりした印象です。受付カウンターは雲雀の切り出したがっしりとした一枚板で、室内には正太郎が作った細かい整理棚が壁一面に並んでいます。
●小間物屋「七色の細腕」
『そこ、中央には外からよく見えるように展示棚を置いてください』
エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)が、パネルに指示を書いて大工さんたちに伝えています。
ここは、ギルド「七色の細腕」の商品のアンテナショップになる予定の場所です。
いわゆる小間物屋なのですが、どちらかというとオーダーメイド中心の一点物を販売する店になるようです。扱う商品も、それに準じて、アクセサリーから工芸品、あるいは服飾など様々です。そのそれぞれに、「七色の細腕」の商品タグがついていて、半ばブランド化されています。
そんな小洒落た商品に合わせるようにして、二階建ての店舗もアンティークな洒落たデザインの物になっています。
防犯用のがっしりした木戸を左右に収納すると、間口は大きく開いて店内がよく見えます。その正面には華やかな服飾の展示台が人目を引き、奧の展示棚は、それ自体が装飾家具となっていました。
二階は、工房となっており、大工さんが様々な機械や棚を頑張って設置してくれています。ここでは、名入れや仕立て直しなど、その場での作業がすぐに行えるようになる予定です。
作業は順調です。これで、ちょっとしたオリジナルの物を作れるいいお店ができることでしょう。そういえば、取引先でもあるホーナルキャラバンさんのお店はどうなっているのでしょうか。ちょっと気になったエヴァは、通りに出てお向かいをのぞいてみました。
●コンビニ「ホーナルキャラバン」
「はい、そちら、ちゃんと持ってください。少しななめです。はい、そこ、そこでストップ」
コルネ(ka0207)が、お店の正面に立って、看板を取りつけようとしている大工さんたちに指示を出しているところでした。看板には、『コンビニ ホーナルキャラバン』と書かれています。店の雰囲気は、白を基調とした直線的なデザインで、要所要所に原色のアイキャッチラインと、ホーナルキャラバンのエンブレムが大きく配されています。
七色の細腕とは対照的に、こちらは大衆用の一般商品を扱うコンビニタイプの店にするようです。とはいえ、リアルブルーにあるようなコンビニにするには、大規模な製造流通組織が必要になりますから、正直、コンビニと言うよりは実質雑貨店になります。それに、食べ歩きできる軽食売り場をセットしたという感じでしょうか。クリムゾンウエストの流通の範囲内という大きな制限はありますが、システムはリアルブルーのコンビニをお手本にしているので、痒いところに手が届くお店という感じになりそうです。それに、ホーナルキャラバンが仕入れなどに大きく関与しているため、ある程度地方の珍しい物も少数ながら販売できるかもしれません。まあ、それは、流通経路の開発如何ではありますが。
「さすがは、コルネ。よくできてると思うよっ♪」
ホーナルキャラバンの社長であるルイーズ・ホーナル(ka0596)が、手を叩いて喜びました。
「当然です」
少しも動じず、コルネがメガネを軽く上げながら答えました。ホーナルキャラバンの秘書らしく、いつでも落ち着いています。ちなみに、イレアは受付担当です。
「二階は、事務所と店舗になっています。また、防犯を考えて、駐在さんに随時顔を出してもらえるよう交渉いたしました」
淡々とコルネが報告します。店舗内の階段からは、雑貨を置く二階へと上がれるようになっていました。外階段からは、スタッフオンリーとして、事務所に上がれます。また、入り口には『駐在さん立ち寄り所』と張り紙がしてありました。
「後は、可愛くてインパクトがあるマスコットキャラがあれば、もっといいんじゃないかな! 集客力もあるし、キャラグッズを売り出せば儲けもアップだよ!」
そう言って、ルイーズが、中に人が入るのは不可能そうな謎生物の絵をコルネに見せました。
「それより、社長も手伝ってください」
華麗に絵をスルーして、コルネがルイーズに言いました。
「あっ、ええと……」
そこへ、丁度イレアがやってきました。
「ああ、そういえば、他のお店の偵察の予定があったんだよね。行ってくるよー」
「ああ、社長!」
イレアの手をとると、ルイーズは走りだしていきました。
「社長、手、手が……」
思わず鼻血を噴き出しそうになって、イレアが紙で鼻栓をしました。
「イレア、他の人のお店では、あんまり変なことしちゃダメだよー」
そう言うと、ルイーズは近くのお菓子屋さんの様子をうかがいました。
●お菓子屋
「ここの商店街も発展してきているようですね。さて、私も頑張りましょうか」
すでにできあがったお菓子屋さんの中で、エルバッハ・リオン(ka2434)が気合いを入れなおしました。
リアルブルーにそこそこ詳しくなったエルバッハとしては、リアルブルー風の店舗で他店と差別化をはかりたいところです。
店は石造りのデザインを要所に使って特徴にしています。もちろん、化粧石による物ですが。屋内も、洒落たレリーフがあちこちに配されています。窓は大きく、中がよく見えるようになっていて、所々色ガラスがはめ込まれていました。床のタイルも色鮮やかで、売っているお菓子と同様、カラフルな店内です。
「さあ、みんな頑張りましょう」
「はーい」
エルバッハの言葉に、店員の若い女の子たちが声を合わせて答えます。全員、可愛いエプロンドレスです。物に引っ掛かったりしない程度に大きなリボンのサッシュを締め、制服のあちこちがひらひらしている可愛いデザインです。夏はもっと丈の短いスカートに、背中の大きく開いた制服になります。秋と冬にもそれぞれ別の制服を考えており、変化を楽しめるようになっています。
本当はもっと蠱惑的な制服で客寄せをとも考えたのですが、それではお菓子がメインということになりませんし、偏ったお客様だけになってしまっても困るということで、今のようになりました。これならば、今度はどんな制服だろうかと、リピーターもつくことでしょう。
●CAM像
「何をしているのですか?」
「えっ、いや、なんでもないですー」
ペルと駐在さんに声をかけられて、お菓子屋さんを偵察していたルイーズが、慌ててイレアと逃げだしました。
「怪しくないですか?」
「いや、まだ何かしたというわけではないですし」
ちょっと怪しむペアに、駐在さんがのほほんと答えました。
「それにしても、あれはなんですか? 新手の御神像ですか?」
中央広場にでーんと飾られているCAM像を見あげて、ペルが言いました。その前では、ミオレスカ(ka3496)が、何やら手を合わせて拝んでいます。
「繁盛しますように、なむなむ~」
ミオレスカが、しきりに呟いています。
「ああ、あれはCAM像ですね、よくできています」
駐在さんの説明に、ペルはふーんという顔をしました。ちょっと、こういう物を拝む気持ちがよく分かりません。
CAM像の回りには、クリス・ガードナー(ka1622)が張り巡らした柵があります。悪戯防止もありますが、物がでっかいので、予期しない落下物などで怪我をしないためです。
CAMの正面には、雲雀が作った賽銭箱が置いてあります。リアルブルーの古式豊かなデザインにした物です。雲雀があれこれ資料を集めて、みんなと相談の上で作りあげました。
「やっぱり、もう一味足りなかったんですよね」
そう言って、クリスが賽銭箱の後ろにCAMの木像を置きました。なんとなく、御神体の守護像という感じ……なのでしょうか。
「社務所みたいなグッズ販売所も、やっぱりあった方がいいですね」
そう考えたクリスは、側に小さな小屋を建てていました。CAM像や賽銭箱の管理と共に、CAMの姿絵や人形などのお土産を販売するスペースです。
「なんか、いろいろ増えてる気がする……」
クリスの作った諸々を見て、様子を見に来た雲雀が呟きました。その他に周囲を見回すと、近くでミチーノ・インフォル(kz0047)が辻占いを開いていました。簡単な折りたたみ卓の上に白い布を掛けて、水晶玉を載せただけの簡素な店です。
「んっ? アンタも占い屋の店を出したいんなら手伝ってやるぜ」
手のすいている雲雀がミチーノに声をかけました。
「んー、いらないわよ。そういう場所に縛られるのはまっぴら」
「そうか、残念だなあ」
「じゃあ、占いでもしていく? それとも、何か情報でも欲しい?」
固定のお店を作るのは乗り気でないミチーノが、とりあえず雲雀を占いました。ほとんど、占いの押し売りです。
「酔っ払いに注意。じゃ、そゆことで」
そう言うと、さっさと店をたたんでミチーノは移動していきました。フットワークは軽快です。
●パン屋
お参りを済ませたミオレスカは、完成したパン屋さんに戻ってきました。
赤い瓦屋根からぴょこんと突き出た煙突から淡い煙がたなびいています。
大きな上げ下げ窓からは、店内の大きなテーブルの上でパンを作っている様子がよく見え、パンのいい香りが表へ漂い出していました。
二階は風通しもよく、ドライフルーツなどを作れる作業場になっています。
店内は板張りの壁に金属の飾りが多いメタリックな感じで、名物のCAMパンに合った作りになっています。
棚は豊富で、これならばたくさんの種類のパンを陳列できるでしょう。
外壁は、CAMの塗装に合わせて白地に赤の縁取りで、意外と華やかです。
「他のお店はどうなのでしょう?」
興味が出て、ミオレスカは商店街を歩き始めました。
少し行くと、華やかな雰囲気のお店がありました。セレーネ・リコ(kz0094)お嬢様のお店です。
ヴァリオス風の品のいいお店で、派手ではありませんが、印象に残るお店です。よく見るとワンランク上のいい建材をふんだんに使っています。
丁度ヘザーの運んできた建材を使って、こちらに手伝いに来た正太郎が仕上げをしていました。
「いいセンスですね。少し見せてもらってもいいですか?」
そう言って、ミオレスカはお嬢様のお店を見学し始めました。
●居酒屋
「テーブルはその辺りに配置してくれんか」
「このへんだな?」
オウル(ka2420)に言われて、リュー・グランフェスト(ka2419)が折りたたみ式のテーブルを運んでいきました。
ここは、オウルがプロデュースする酒場です。オーソドックスなハンターのたまり場という感じで、二階は簡易宿になっています。お約束です。
世話になっているオウルの手伝いということで、リューは手伝いにかりだされたわけです。
店の作りはすべて木製で、なんとも心温まる雰囲気です。
「やっぱり、酒場にはステージが必須だよなあ」
一階の奧に一段高く作られたステージを前にして、リューは満足気でした。
ステージにスペースを取られた分は、店の前にテラス席を作れるようにしてあります。その他、お客にあわせて自由に数や配置を変えられるようにと、家具はすべて固定していません。
入り口は小さめの両開き扉で、中がよく見え、簡単に出入りできます。その上には、下げ看板がゆらゆらしていました。側には、ポーチライトが明るく看板や店先を照らせるようになっています。
店内はシンプルで、華美な飾りがない分、落ち着いた絵が壁に掛けてあったり、各テーブルには花が飾れるようにもしてありました。さりげなく、壁にはオウルの実家である『銀光亭』の宣伝ポスターが貼ってあったりもします。
「おつかれ」
だいたいの作業が終わり、リューがオウルに挨拶しました。
「御苦労じゃったな。今日はもうこれで終わりにして、みんなで一杯やるかの。そろそろ、他のみんなも引けてくる頃だろう」
ねぎらいの言葉をかけると、オウルはさっそく宴会の準備を始めました。
それぞれの場所で作業をしていた者たちも、居酒屋の賑わいに次々に引き寄せられて集まってきました。
「わあ、ステージがある。ちょっと、演奏してもいいですか?」
ステージを見つけたミオレスカが、オウルに聞きました。もちろん、止める理由はありません。
「よし手伝うぜ」
リューも参加し、ポピュラーな音楽が奏でられました。
一曲終わったところで、オウルがジョッキを片手に立ちあがりました。
「それでは、商店街のさらなる発展を祈って、乾杯じゃ!」
「かんぱーい」
集まった者たちが、一斉に酒や飲み物を飲み干します。
「さあ、アンコールだ!」
誰ともなく、ステージに声が飛びました。
「案内所は、この商店街の顔ですから、ここで妥協は許されません」
とてかんとてかんと働く大工さんたちに指示を出しながら、イレア・ディープブルー(ka0175)が言いました。
商店街にお店は数あれど、多くの人たちが立ち寄るのがここ案内所です。現在は、商工会から直接派遣されてきたディレトーレ氏が、正式な支配人として管理を交代して赴任しています。
「とはいえ、あまり派手なのも……」
支配人が、ちょっと心配そうにイレアたちを見ました。商工会からの指示で、案内所を改装する人員を派遣するとは聞いていましたが……。
「もちろんでーす!」
分かっていると、イレアが答えました。
「主役はあくまでもそれぞれのお店。案内所が目立ちすぎてはいけません」
ということで、改装が始まりました。
外壁は白い漆喰で、スパニッシュ調に綺麗な凹凸模様がつけられていきます。前面には花の植えられたプランターとベンチが交互に並べられて、ちょっと一休みできるようになりました。
中は白木の梁をむきだしにした落ち着いた雰囲気に、小花をあしらったペイルグリーンの壁紙が品よくお客様を迎えてくれます。
「うんうん。前より少し華やかになったかなあ。職場環境はこうでなくっちゃ」
受付のフィネステラ嬢も、なんとなくウキウキのようです。
「掲示板は、そこに取りつけてくださいませ」
イレアの指示で大工さんたちがでっかい掲示板を案内所の中と外に設置しました。
「いい感じですね。ついでにぺたぺたと……」
イレアが、こっそりと商隊のホーナルキャラバンのポスターを貼りつけます。
「さて、こちらは、ほぼいいようですから、社長をストーカーしに……もとい、様子を見てきましょうか」
大まかな作業が完了したのを見届けて、イレアは案内所を出ていきました。
「うん、パンフレットはここに置くのがいいでしょうね」
入れ替わりに、以前作った商店街案内マニュアルをかかえてきた屋外(ka3530)が、掲示板の前の小卓にそれを置きました。
マップやオーナーの区画割り自体はあまり変化はありませんので、以前の物と店名を差し替えているだけです。
「お客様がたくさん来るのだから、道幅はもうちょっと広い方がいいのではありませんか? 商品の搬入とかも楽でしょうし」
屋外が事前に支配人に提案しましたが、却下されています。
屋台の時は道幅もかなり広く出入りも楽だったのですが、建物が建ちつつある今は普通の道幅です。もちろん、普通の馬車がすれ違える程度の道幅はあります。けれども、それ以上道幅を広くすると店が狭くなってしまうため、土地を持っている商人たちが納得しませんでした。
だいたいにして、この商店街はまだ復興中の新商店街であって、ヴァリオス一規模の大きい商店街でもなく、ごく普通の商店街なのですから。同じ規模の商店街や通りは、ヴァリオスにいくつも存在しています。
「であれば、商店街の入り口にデリバリーセンターを正式に作って、そこを中継所として搬入を行うのがいいですな」
こちらの屋外の提案は通り、商店街の入り口横にデリバリーセンターが作られました。一階が集配受付で、スペースの問題で荷馬車は一台だけ収納されています。二階は、倉庫です。こちらで、預かった品物は一日一回馬車で纏めて市内に配達されます。細かい品物は、随時人が運ぶ形です。他の都市へは、別途業者に頼む形になります。屋外は、当初は観光馬車の斡旋も考えていましたが、そこまでのスペースはなく、スポンサーはつきませんでした。一台しかない馬車を観光に出してしまったら、配達ができません。もともと、一つの店舗でいくつものサービスをやるには、いろいろと問題があります。
いずれにしろ、大きな成果を上げない限りはスポンサーである商人が多大な出費をするはずもありませんから、まだまだ商店街にある施設はこぢんまりとした物だけです。いきなり、ヴァリオス一巨大なお店が忽然と現れるはずもありませんし、大規模チェーン店のような他の都市まで届く活動域も持つはずもありません。けれども、その分等身大の手が届く、アットホームなお店が集まっています。
「大工さんたちへのお弁当、いただいていきます」
ヘザー・S・シトリン(ka0835)が、馬のスミレと一緒に、サンドイッチを案内所に取りに来ました。
「はーい、お願いしまーす」
フィネステラが、預かっていたたくさんのバスケットをヘザーに渡しました。
「手伝いましょう。いいですよね?」
丁度商店街の見回りに出ようとしていたペル・ツェ(ka4435)が、駐在さんのピロータ・アッフィラートに訊ねました。
「ええ、もちろんですともー」
駐在さんも手伝って、お弁当を馬のスミレに載せて商店街の入り口へと運んでいきます。
「しかし、あれはなんなのでしょう?」
商店街入り口に作られた新しい門を見あげて駐在さんが言いました。
「さあ……」
ペルもヘザーも首をかしげます。
その赤い門は、完全に鳥居の形をしていました。
「おお、いいぞ! 完璧だ!! よぉし、皆よくやった! お前たちはクリムゾンウエスト一の大工だあああ!」
作業を指揮していた松川 修造(ka4430)が、大工さんたちを褒め称えていました。制作途中も、熱く、暑苦しく大工さんたちを鼓舞してきた甲斐があるという、りっぱなできばえです。
「初めて知った商店街ですけれど、さすがにこれはインパクトがありますね」
実際にリアルブルーでもこういう商店街はありましたから、おかしいということはありませんが、クリムゾンウエストの人にとってはどうなのでしょうか。辺境には、鳥居があるらしいですが、雪ノ下正太郎(ka0539)にはよく分かりません。とはいえ、自分が制作を手伝ったこの鳥居は、なかなかにいいできです。
「最後は、これを取りつけてと……」
修造が、『松川天満宮』と書かれた板を鳥居に取りつけようとします。
「いやいやいや、それはまずいだろう」
「どこの天満宮ですか」
さすがに、鹿島 雲雀(ka3706)と正太郎が止めました。
「いいと思ったんだが……」
商店街の名前でもないし、ここに存在しない神社の名はまずいでしょう。
「さあ、みなさん、お昼ですよ」
ヘザーが、みんなに呼びかけました。お弁当を配るのを、ペルも手伝います。
積みあげられた木材を腰かけにして、みんなで昼食を取ります。
大半の木材は、すでに雲雀が各店舗からの注文の大きさに切り出しています。それを、ヘザーがスミレで商店街各所に運んでいました。
「後は、デリバリーの馬車置き場でしょうか」
サンドイッチを頬ばりながら、正太郎が言いました。
鳥居の内側、商店街に入って最初の場所にあるデリバリーは、馬車の出入りがしやすいよう交差する別通り側がオープンになっているため、二階の倉庫を支える柱などがかなりがっしりした物になっています。そのへんの補強の仕方は正太郎が大工さんに習いつつ巧みにこなし、必要であれば雲雀がリアルブルーの知識を分け与えて、より強固な物にしていきました。
内装は、ヘザーも手伝っています。燻した木壁を基本とした暖かくもがっしりした印象です。受付カウンターは雲雀の切り出したがっしりとした一枚板で、室内には正太郎が作った細かい整理棚が壁一面に並んでいます。
●小間物屋「七色の細腕」
『そこ、中央には外からよく見えるように展示棚を置いてください』
エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)が、パネルに指示を書いて大工さんたちに伝えています。
ここは、ギルド「七色の細腕」の商品のアンテナショップになる予定の場所です。
いわゆる小間物屋なのですが、どちらかというとオーダーメイド中心の一点物を販売する店になるようです。扱う商品も、それに準じて、アクセサリーから工芸品、あるいは服飾など様々です。そのそれぞれに、「七色の細腕」の商品タグがついていて、半ばブランド化されています。
そんな小洒落た商品に合わせるようにして、二階建ての店舗もアンティークな洒落たデザインの物になっています。
防犯用のがっしりした木戸を左右に収納すると、間口は大きく開いて店内がよく見えます。その正面には華やかな服飾の展示台が人目を引き、奧の展示棚は、それ自体が装飾家具となっていました。
二階は、工房となっており、大工さんが様々な機械や棚を頑張って設置してくれています。ここでは、名入れや仕立て直しなど、その場での作業がすぐに行えるようになる予定です。
作業は順調です。これで、ちょっとしたオリジナルの物を作れるいいお店ができることでしょう。そういえば、取引先でもあるホーナルキャラバンさんのお店はどうなっているのでしょうか。ちょっと気になったエヴァは、通りに出てお向かいをのぞいてみました。
●コンビニ「ホーナルキャラバン」
「はい、そちら、ちゃんと持ってください。少しななめです。はい、そこ、そこでストップ」
コルネ(ka0207)が、お店の正面に立って、看板を取りつけようとしている大工さんたちに指示を出しているところでした。看板には、『コンビニ ホーナルキャラバン』と書かれています。店の雰囲気は、白を基調とした直線的なデザインで、要所要所に原色のアイキャッチラインと、ホーナルキャラバンのエンブレムが大きく配されています。
七色の細腕とは対照的に、こちらは大衆用の一般商品を扱うコンビニタイプの店にするようです。とはいえ、リアルブルーにあるようなコンビニにするには、大規模な製造流通組織が必要になりますから、正直、コンビニと言うよりは実質雑貨店になります。それに、食べ歩きできる軽食売り場をセットしたという感じでしょうか。クリムゾンウエストの流通の範囲内という大きな制限はありますが、システムはリアルブルーのコンビニをお手本にしているので、痒いところに手が届くお店という感じになりそうです。それに、ホーナルキャラバンが仕入れなどに大きく関与しているため、ある程度地方の珍しい物も少数ながら販売できるかもしれません。まあ、それは、流通経路の開発如何ではありますが。
「さすがは、コルネ。よくできてると思うよっ♪」
ホーナルキャラバンの社長であるルイーズ・ホーナル(ka0596)が、手を叩いて喜びました。
「当然です」
少しも動じず、コルネがメガネを軽く上げながら答えました。ホーナルキャラバンの秘書らしく、いつでも落ち着いています。ちなみに、イレアは受付担当です。
「二階は、事務所と店舗になっています。また、防犯を考えて、駐在さんに随時顔を出してもらえるよう交渉いたしました」
淡々とコルネが報告します。店舗内の階段からは、雑貨を置く二階へと上がれるようになっていました。外階段からは、スタッフオンリーとして、事務所に上がれます。また、入り口には『駐在さん立ち寄り所』と張り紙がしてありました。
「後は、可愛くてインパクトがあるマスコットキャラがあれば、もっといいんじゃないかな! 集客力もあるし、キャラグッズを売り出せば儲けもアップだよ!」
そう言って、ルイーズが、中に人が入るのは不可能そうな謎生物の絵をコルネに見せました。
「それより、社長も手伝ってください」
華麗に絵をスルーして、コルネがルイーズに言いました。
「あっ、ええと……」
そこへ、丁度イレアがやってきました。
「ああ、そういえば、他のお店の偵察の予定があったんだよね。行ってくるよー」
「ああ、社長!」
イレアの手をとると、ルイーズは走りだしていきました。
「社長、手、手が……」
思わず鼻血を噴き出しそうになって、イレアが紙で鼻栓をしました。
「イレア、他の人のお店では、あんまり変なことしちゃダメだよー」
そう言うと、ルイーズは近くのお菓子屋さんの様子をうかがいました。
●お菓子屋
「ここの商店街も発展してきているようですね。さて、私も頑張りましょうか」
すでにできあがったお菓子屋さんの中で、エルバッハ・リオン(ka2434)が気合いを入れなおしました。
リアルブルーにそこそこ詳しくなったエルバッハとしては、リアルブルー風の店舗で他店と差別化をはかりたいところです。
店は石造りのデザインを要所に使って特徴にしています。もちろん、化粧石による物ですが。屋内も、洒落たレリーフがあちこちに配されています。窓は大きく、中がよく見えるようになっていて、所々色ガラスがはめ込まれていました。床のタイルも色鮮やかで、売っているお菓子と同様、カラフルな店内です。
「さあ、みんな頑張りましょう」
「はーい」
エルバッハの言葉に、店員の若い女の子たちが声を合わせて答えます。全員、可愛いエプロンドレスです。物に引っ掛かったりしない程度に大きなリボンのサッシュを締め、制服のあちこちがひらひらしている可愛いデザインです。夏はもっと丈の短いスカートに、背中の大きく開いた制服になります。秋と冬にもそれぞれ別の制服を考えており、変化を楽しめるようになっています。
本当はもっと蠱惑的な制服で客寄せをとも考えたのですが、それではお菓子がメインということになりませんし、偏ったお客様だけになってしまっても困るということで、今のようになりました。これならば、今度はどんな制服だろうかと、リピーターもつくことでしょう。
●CAM像
「何をしているのですか?」
「えっ、いや、なんでもないですー」
ペルと駐在さんに声をかけられて、お菓子屋さんを偵察していたルイーズが、慌ててイレアと逃げだしました。
「怪しくないですか?」
「いや、まだ何かしたというわけではないですし」
ちょっと怪しむペアに、駐在さんがのほほんと答えました。
「それにしても、あれはなんですか? 新手の御神像ですか?」
中央広場にでーんと飾られているCAM像を見あげて、ペルが言いました。その前では、ミオレスカ(ka3496)が、何やら手を合わせて拝んでいます。
「繁盛しますように、なむなむ~」
ミオレスカが、しきりに呟いています。
「ああ、あれはCAM像ですね、よくできています」
駐在さんの説明に、ペルはふーんという顔をしました。ちょっと、こういう物を拝む気持ちがよく分かりません。
CAM像の回りには、クリス・ガードナー(ka1622)が張り巡らした柵があります。悪戯防止もありますが、物がでっかいので、予期しない落下物などで怪我をしないためです。
CAMの正面には、雲雀が作った賽銭箱が置いてあります。リアルブルーの古式豊かなデザインにした物です。雲雀があれこれ資料を集めて、みんなと相談の上で作りあげました。
「やっぱり、もう一味足りなかったんですよね」
そう言って、クリスが賽銭箱の後ろにCAMの木像を置きました。なんとなく、御神体の守護像という感じ……なのでしょうか。
「社務所みたいなグッズ販売所も、やっぱりあった方がいいですね」
そう考えたクリスは、側に小さな小屋を建てていました。CAM像や賽銭箱の管理と共に、CAMの姿絵や人形などのお土産を販売するスペースです。
「なんか、いろいろ増えてる気がする……」
クリスの作った諸々を見て、様子を見に来た雲雀が呟きました。その他に周囲を見回すと、近くでミチーノ・インフォル(kz0047)が辻占いを開いていました。簡単な折りたたみ卓の上に白い布を掛けて、水晶玉を載せただけの簡素な店です。
「んっ? アンタも占い屋の店を出したいんなら手伝ってやるぜ」
手のすいている雲雀がミチーノに声をかけました。
「んー、いらないわよ。そういう場所に縛られるのはまっぴら」
「そうか、残念だなあ」
「じゃあ、占いでもしていく? それとも、何か情報でも欲しい?」
固定のお店を作るのは乗り気でないミチーノが、とりあえず雲雀を占いました。ほとんど、占いの押し売りです。
「酔っ払いに注意。じゃ、そゆことで」
そう言うと、さっさと店をたたんでミチーノは移動していきました。フットワークは軽快です。
●パン屋
お参りを済ませたミオレスカは、完成したパン屋さんに戻ってきました。
赤い瓦屋根からぴょこんと突き出た煙突から淡い煙がたなびいています。
大きな上げ下げ窓からは、店内の大きなテーブルの上でパンを作っている様子がよく見え、パンのいい香りが表へ漂い出していました。
二階は風通しもよく、ドライフルーツなどを作れる作業場になっています。
店内は板張りの壁に金属の飾りが多いメタリックな感じで、名物のCAMパンに合った作りになっています。
棚は豊富で、これならばたくさんの種類のパンを陳列できるでしょう。
外壁は、CAMの塗装に合わせて白地に赤の縁取りで、意外と華やかです。
「他のお店はどうなのでしょう?」
興味が出て、ミオレスカは商店街を歩き始めました。
少し行くと、華やかな雰囲気のお店がありました。セレーネ・リコ(kz0094)お嬢様のお店です。
ヴァリオス風の品のいいお店で、派手ではありませんが、印象に残るお店です。よく見るとワンランク上のいい建材をふんだんに使っています。
丁度ヘザーの運んできた建材を使って、こちらに手伝いに来た正太郎が仕上げをしていました。
「いいセンスですね。少し見せてもらってもいいですか?」
そう言って、ミオレスカはお嬢様のお店を見学し始めました。
●居酒屋
「テーブルはその辺りに配置してくれんか」
「このへんだな?」
オウル(ka2420)に言われて、リュー・グランフェスト(ka2419)が折りたたみ式のテーブルを運んでいきました。
ここは、オウルがプロデュースする酒場です。オーソドックスなハンターのたまり場という感じで、二階は簡易宿になっています。お約束です。
世話になっているオウルの手伝いということで、リューは手伝いにかりだされたわけです。
店の作りはすべて木製で、なんとも心温まる雰囲気です。
「やっぱり、酒場にはステージが必須だよなあ」
一階の奧に一段高く作られたステージを前にして、リューは満足気でした。
ステージにスペースを取られた分は、店の前にテラス席を作れるようにしてあります。その他、お客にあわせて自由に数や配置を変えられるようにと、家具はすべて固定していません。
入り口は小さめの両開き扉で、中がよく見え、簡単に出入りできます。その上には、下げ看板がゆらゆらしていました。側には、ポーチライトが明るく看板や店先を照らせるようになっています。
店内はシンプルで、華美な飾りがない分、落ち着いた絵が壁に掛けてあったり、各テーブルには花が飾れるようにもしてありました。さりげなく、壁にはオウルの実家である『銀光亭』の宣伝ポスターが貼ってあったりもします。
「おつかれ」
だいたいの作業が終わり、リューがオウルに挨拶しました。
「御苦労じゃったな。今日はもうこれで終わりにして、みんなで一杯やるかの。そろそろ、他のみんなも引けてくる頃だろう」
ねぎらいの言葉をかけると、オウルはさっそく宴会の準備を始めました。
それぞれの場所で作業をしていた者たちも、居酒屋の賑わいに次々に引き寄せられて集まってきました。
「わあ、ステージがある。ちょっと、演奏してもいいですか?」
ステージを見つけたミオレスカが、オウルに聞きました。もちろん、止める理由はありません。
「よし手伝うぜ」
リューも参加し、ポピュラーな音楽が奏でられました。
一曲終わったところで、オウルがジョッキを片手に立ちあがりました。
「それでは、商店街のさらなる発展を祈って、乾杯じゃ!」
「かんぱーい」
集まった者たちが、一斉に酒や飲み物を飲み干します。
「さあ、アンコールだ!」
誰ともなく、ステージに声が飛びました。
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相談卓 コルネ(ka0207) エルフ|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/03/17 23:27:30 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/17 23:22:36 |