ゲスト
(ka0000)
新たな一歩
マスター:石田まきば

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/06/16 15:00
- 完成日
- 2014/06/21 02:49
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●新人の集い
ハンターの手にあるものは、夢と希望と目標と。
目指す道先、歩む道程。
道は自分で作るもの。
手には相棒、背には経験。
先を知るのは、未来の自分。
今の自分は願うだけ。
「綺麗な湖の場所を教えてやるから、散歩がてら行って来いよ」
世話になった先輩ハンターに勧められた者。
「空気の綺麗なところ? そうね、いい場所を知っているわ」
多すぎる人の数に酔って相談した結果、教えてもらった者。
「観光名所といったら湖ですね」
クリムゾンウエストをより知りたいと聞き込みをした者。
「新人仲間で集まるらしい? なら行かなくちゃ」
噂を聞いて場所を知った者。
理由はそれぞれ違ったかもしれないが、結果としてその湖に集まったのは登録したばかりの新人ハンターばかり。
そして皆、何かしらの食べ物や飲み物を持参していた。湖の話を教えてくれた相手が、これがあうよ美味しいよ等と適当な理由で、押し付けられるほどの勢いで持たされた物ばかりだった。
(一人で食べきれないとは言ったけれど‥‥)
好意でくれたものを無碍にも出来なくて、持ってきてしまった。
(確かに悪くない場所)
今手が空いているなら、すぐに向かえばいい景色が見られるよ等と言われて、そのまま来てしまったけれど。
(ここで食事にするのも悪くないかな)
出来れば自分一人じゃなくて、話し相手が居ればもっとよかった。
「あれ、あんたも勧められたクチ?」
「じゃあ僕らと同じで新人さんかなあー」
「皆新人ばかりとは、奇遇ですね」
複数の声に振り向けば、自分と同じように食べ物を抱えたハンター達。
せっかくだから一緒にピクニックでもしてしまおうか? これも何かの縁だから、一人で過ごすよりは意味のあるものになるかもしれない。
名乗り合って、即席の卓を囲んで。いつもより豪勢な昼食会が始まろうとしていた。
●初めてがはじまる
ガサッ
「ん? 何かいるのか?」
茂みが揺れる音に一人が振り向いた。
ガサガサ、ガササッ
「どうした?」
「いや、そこの茂みから何かの気配が」
「えっ動物とか? 可愛いのだったらいいよねー」
ガササササ、ごぶー!
「ってゴブリンじゃないですか!」
「え、何これココって観光名所じゃないの?」
ごぶごぶー!
ごぶっ!
ごぶーぅ!
「食べ物の匂いにつられてきたみたいですね」
その言葉通り、ゴブリン達の視線はハンター達の昼食に釘付けになっている。
『空腹なゴブリン達が現れた!』
ゴブリン達の 行動
→ ころしてでも うばいとる
ころしてでも うばいとる
ころしてでも うばいとる
『どうする?』
新人ハンター達の 行動
ようすを うかがう
つよそうだから にげる
→ ごはんをまもるため たたかう
『戦う準備はいいですか?』
●真相は恒例行事
「今回は新人が多いってレベルじゃないからなあ」
「そうよね、あれだけの人数を一度に騙して、知らないうちに初依頼に向かわせるのって難しいわよねえ」
「あの人数を捌けるほどの仕事がきているわけじゃありませんし」
「その全てが新人向けと言うわけではないし‥‥ねえ」
「まーそれでも、一部とはいえうまくやった方だと思うぜ」
「そうね、タイミングはそろえられたと思うから、ゴブリン達も纏めて出て来るんじゃないかしら」
「俺ら恨まれたりしないかね」
「新人教育の一環なのは間違いないし、大丈夫じゃない?」
「いやほら、あの食い物代が自分達の報酬から出てるとか知ったらさ」
「ゴブリンをおびき寄せるための経費だから、大丈夫じゃないかしら。そのために匂いがいいものを選んでいるのだもの」
「なら大丈夫か」
「そうよ。あとは彼らが無事に仕事を追えて帰って来るのを待っていればいいわ」
「ま、ゴブリンだしな」
ハンターの手にあるものは、夢と希望と目標と。
目指す道先、歩む道程。
道は自分で作るもの。
手には相棒、背には経験。
先を知るのは、未来の自分。
今の自分は願うだけ。
「綺麗な湖の場所を教えてやるから、散歩がてら行って来いよ」
世話になった先輩ハンターに勧められた者。
「空気の綺麗なところ? そうね、いい場所を知っているわ」
多すぎる人の数に酔って相談した結果、教えてもらった者。
「観光名所といったら湖ですね」
クリムゾンウエストをより知りたいと聞き込みをした者。
「新人仲間で集まるらしい? なら行かなくちゃ」
噂を聞いて場所を知った者。
理由はそれぞれ違ったかもしれないが、結果としてその湖に集まったのは登録したばかりの新人ハンターばかり。
そして皆、何かしらの食べ物や飲み物を持参していた。湖の話を教えてくれた相手が、これがあうよ美味しいよ等と適当な理由で、押し付けられるほどの勢いで持たされた物ばかりだった。
(一人で食べきれないとは言ったけれど‥‥)
好意でくれたものを無碍にも出来なくて、持ってきてしまった。
(確かに悪くない場所)
今手が空いているなら、すぐに向かえばいい景色が見られるよ等と言われて、そのまま来てしまったけれど。
(ここで食事にするのも悪くないかな)
出来れば自分一人じゃなくて、話し相手が居ればもっとよかった。
「あれ、あんたも勧められたクチ?」
「じゃあ僕らと同じで新人さんかなあー」
「皆新人ばかりとは、奇遇ですね」
複数の声に振り向けば、自分と同じように食べ物を抱えたハンター達。
せっかくだから一緒にピクニックでもしてしまおうか? これも何かの縁だから、一人で過ごすよりは意味のあるものになるかもしれない。
名乗り合って、即席の卓を囲んで。いつもより豪勢な昼食会が始まろうとしていた。
●初めてがはじまる
ガサッ
「ん? 何かいるのか?」
茂みが揺れる音に一人が振り向いた。
ガサガサ、ガササッ
「どうした?」
「いや、そこの茂みから何かの気配が」
「えっ動物とか? 可愛いのだったらいいよねー」
ガササササ、ごぶー!
「ってゴブリンじゃないですか!」
「え、何これココって観光名所じゃないの?」
ごぶごぶー!
ごぶっ!
ごぶーぅ!
「食べ物の匂いにつられてきたみたいですね」
その言葉通り、ゴブリン達の視線はハンター達の昼食に釘付けになっている。
『空腹なゴブリン達が現れた!』
ゴブリン達の 行動
→ ころしてでも うばいとる
ころしてでも うばいとる
ころしてでも うばいとる
『どうする?』
新人ハンター達の 行動
ようすを うかがう
つよそうだから にげる
→ ごはんをまもるため たたかう
『戦う準備はいいですか?』
●真相は恒例行事
「今回は新人が多いってレベルじゃないからなあ」
「そうよね、あれだけの人数を一度に騙して、知らないうちに初依頼に向かわせるのって難しいわよねえ」
「あの人数を捌けるほどの仕事がきているわけじゃありませんし」
「その全てが新人向けと言うわけではないし‥‥ねえ」
「まーそれでも、一部とはいえうまくやった方だと思うぜ」
「そうね、タイミングはそろえられたと思うから、ゴブリン達も纏めて出て来るんじゃないかしら」
「俺ら恨まれたりしないかね」
「新人教育の一環なのは間違いないし、大丈夫じゃない?」
「いやほら、あの食い物代が自分達の報酬から出てるとか知ったらさ」
「ゴブリンをおびき寄せるための経費だから、大丈夫じゃないかしら。そのために匂いがいいものを選んでいるのだもの」
「なら大丈夫か」
「そうよ。あとは彼らが無事に仕事を追えて帰って来るのを待っていればいいわ」
「ま、ゴブリンだしな」
リプレイ本文
●遭遇
「首尾よく妹を連れ出せたと思ったのに……」
落葉松 日雀(ka0521)を背にかばう様に移動しながら、落葉松 鶲(ka0588)がこめかみに指をあてた。
「またお姉ちゃんに騙された……お外になんて行きたくないのに……」
現実逃避しようと五右衛門に手を伸ばした日雀だが、短足の飼い猫は荷の陰へと隠れて出てこない。
「突然現れる敵、求めていた冒険の始まりですわ!」
ウィルヘルミナ=スピナハイム(ka1625)の声は常より少し高く上ずっている。
「接近戦が得意な人、射撃や支援が得意な人、それぞれどれだけ居るかな?」
荷物の多い高嶺 瀞牙(ka0250)は、鍋を地面に下ろしながら周囲へ声を投げかけた。
皆が各々の得意分野を答えていく中、おたまのようにロッドを持っているマリエル(ka0116)は鍋をちらちらと気にしていたが、瀞牙の視線に気づいて頬を染める。
「すいません……直前までお仕事してたもので。私は回復ができます」
彼女の服装はメイド服、どうやら給仕の仕事のようだ。
「いきなり実践とは、これからやっていく指標になりますかね」
マヘル・ハシバス(ka0440)の言葉は皆の総意でもあるだろう。
「色々と思う所はあるが……まずはこいつらを片付けてから、か」
「早速戦闘? 俺に出来る事は全力でするよっ!」
小声で考えを纏めたレイス(ka1541)も、状況を楽しむ気満々の鈴木悠司(ka0176)も武器を構えた。
●初戦闘
ゴブリン達の視線の先を確認し、瀞牙は手に持っていた袋の口を開けた。香辛料をきかせて焼いた肉の香りが広がる。
(へえ、目当ては食べ物か)
狙い通り、近くのゴブリンの気を引くことに成功する。
「私は美味しい物を一杯持っているぞ!」
袋を完全に閉めないようにしながら腰のベルトに括りつけ、剣を構えた。
(数は同数‥‥確実に減らしていこう)
挨拶もそこそこ、細かな作戦も話せていない中での戦闘だ。だがバランスは悪くない、勝算は十分にある。
「さあ、私を倒せばこの肉が食えるぞ、かかってこい!」
まずは的として専念しようと、瀞牙は声を張り上げた。
「まずはこれを」
マヘルはデバイスを操作し、近くに居た悠司にマテリアルを送る。
(訓練は受けていたけど、いきなり実戦に入ることになるなんて……先輩が、私に自信をつけさせるために仕込んだことなのかもしれない)
ハンターとしての教育は受けたが、簡単に自信などつかなかった。
転移する前、蒼界で一般人として生活していた頃に戦闘の経験なんてない。
(次は攻撃も試してみようかな)
反動に耐えるよう銃を両手で構え、タイミングを待った。
「ありがと、マヘルさん!」
礼を述べた悠司は前へ踏み込みゴブリンに斬りつける。瀞牙が気を引いているおかげで回りこみやすい。
(行き成りの寄り集まりだけど、それでも連携って出来るから。力を合わせれば、こんな敵目じゃないよね)
「え? 闘い?」
改めてゴブリン達を見回せば、三次元の敵はすぐそこに迫っている。ゲーム機のディスプレイごしに対峙するのとは違うプレッシャーが日雀を襲う。
(外なんて出ないのに戦える分けないよ……RPGみたいな感じで戦えないかな……)
働くのは嫌いだが自分の命がかかっていれば別だ。姉の近くに居るゴブリンに向けて杖を構え、ゲームの呪文を思い出す。
「イ●ナズン!!」
電撃ではなく、実際に習得している魔法の矢が飛んでいく。だがゴブリンは少し腕を逸らしただけで避けた。
「やっぱ戦えないんじゃないかな……」
「魔法だって外れる事もある、それだけのことじゃない!」
避けるときに出来た隙を使い側面へと回り込んだ鶲が、ロングソードを脚へとたたき込む。
「日雀が気を引いてくれたから私が避けられずに済んだのよ、自信持ちなさい!」
ハンター登録まで漕ぎつけたのだ、できればそこから社交性も身につけて欲しいし、なるべく前向きになってもらわなくては。どんな小さなことにも言葉を掛けて、努力を怠らない鶲だった。
「初の実戦がこんな形になるとはな」
ゴブリンの目的はあくまでも食事。だからハンター達の陣形に隙間があればそこを通りぬけようと動く。
抜けようとしたゴブリンの前に滑り込んでレイスはショートソードを振るった。脚を斬りつけられたゴブリンの体が少し傾ぐ。丁度、ウィルヘルミナの射線に入る角度だ。
「いけるか?」
「勿論ですわ」
ゴブリンを見てすぐのはしゃいでいた声とは全く別の落ち着いた声が答え、ゴブリンの頭のすぐ横を矢がかすった。
「外れ……でもあの位置なら、恐怖を与えるくらいの効果はあったはず」
冷静に判断する自分の声がどこか他人事のように聞こえ、心の中で首を傾げた。
(わたくしの初めての戦いは、きっと怯えるか勇み足に突っこんだりするんじゃないか。攻撃が外れたら地団太を踏んで悔しがるのではないか、そう思っていましたのに)
心は凪いでいたし、落ち着いて状況を見ることが出来ていた。
(普段のわたくしでもきっと起こりえないほど心が冷めていますわ。これが、覚醒というものなのでしょうか?)
「歓迎してくれてる雰囲気……ではないですよね?」
ロッドを両手で構え、マリエルは体内のマテリアルを活性化させていく。近付いてきたゴブリンが向けてくる武器を見据えると、ロッドを払うように叩きつけて軌道を逸らす。戻す反動で、隙の出来た腕に叩きつけようと振り下ろした。
(これで、逃げてくれればいいんですけど)
避けられてしまったが、牽制にはなっているはずだ。ここで逃したらまた人を襲う可能性があると考えると手加減はしていられないが、心のどこかで倒すことを受け入れきれていない気もする。
諦めずに向かってくるようなら、止めだってさしてみせると心を決めた。
傷を負った者は撤退を選び、無傷の者は戦闘態勢を崩さなかった。一撃に力を込めれば勝算はあると考えたゴブリン達は空腹だったからこそ、同胞の撤退に気づかず、数の劣勢に気づかなかったのかもしれない。
なりふり構わず放たれた5匹の攻撃が前衛の4人へと向かい、瀞牙と鶲が傷を受けた。
負傷した二人が自分で回復するのにあわせ、マリエルも瀞牙の回復を助ける。食べ物を身につけている瀞牙は再び狙われやすい。
「助かる。二回受けたら危ないな、あの攻撃」
避けやすいが重い攻撃だ。新人向きの敵とはいえ、油断はできなかった。
「悪いけど、無に還って貰うよっ!」
悠司の攻撃はゴブリンに避ける隙を与えなかった。頭から斬りつけ深手を負わせることが出来たが、それでも倒れるほどには至らない。だがそれまで以上の血が吹き出し大きな紅い華を咲かせていく。
「日雀、今よ!」
鮮血にひるんだゴブリンの隙をつけとの姉の声に、日雀も意識を研ぎ澄ませた。
「そろそろとどめな流れ? パ●プンテ!!」
儚い期待をにじませながら、呪文と共に魔法の矢を放った。集中したおかげか、今度は胴に当たった。
(撃退できればそれでもいい、か)
ここに来たのは退治が目的ではないのだと思いなおす。確かにゴブリンは敵性亜人だが、殲滅せよとは誰からも言われていない。
レイスは無傷のゴブリンを選び、斬りつける。手負いになればまた逃げるのだろうと踏んで。
マヘルの一撃はゴブリンの腕に当たり、攻撃の構えを崩すことが出来た。
ゴブリン達の逃げる背を見るうちに逸りかけていた気分は落ち着いて、正確に狙う事が出来ていた。
数が減った分狙いを定めやすくなっており、ウィルヘルミナも残りの一匹の脚を狙い撃った。避ける隙も与えない正確な射撃は、心身ともに静かに構えていたからなのだろう。
全てのゴブリンが傷を負った。不利を察した彼らはハンター達へと背を向け、茂みや木々をかき分けながらなりふり構わず逃げていく。
湖のほとりに、平穏が戻ったのだ。
●交流会
「まずは回復して、汚れを落とすべきじゃないか」
レイスの提案に反対は出ない。黒づくめのレイスはあまり目立たないが、ゴブリンに斬りつけた者達、特に鶲と悠司は返り血で汚れていたからだ。
身支度を整え戻ろうとした鶲が見つけたのは、即席の釣り竿を湖にたらすレイス。
「どういうものが釣れるんですか?」
「名前はあまり詳しくないが、白身の魚が多い、と思う」
うまく釣れたら焼いて食べるとの話に、期待していますねと伝え準備へと戻った。
ハムと野菜のサンドイッチ、丁寧に握られたおにぎり、堅めのパン、食べやすいサイズに切ったチーズ、炒ってあるナッツ、塩辛い味付けの干し肉、香辛料をきかせて焼いた肉、シンプルに塩で焼いた魚、甘い香りの焼き菓子、蒼界出身者ならではのジャンクなお菓子。中でも異彩を放っている大きな鍋、その横には具も海苔も付いていない真っ白なおにぎりと、サンドイッチに使えそうなシンプルなパン。
各種果物のジュース、紅茶、シードル、ワイン、エール……8人が持ち寄った量は、随分と多い。
「皆、美味しそうなモノ、持ち寄ってるねー!」
迷う悠司の横で、マリエルは気になっていた疑問を投げかける。
「瀞牙さん、そのお鍋の中身は?」
「私が作ってきたカレーだ。このおにぎりとパンは是非、カレーに浸けて食べてみてくれ」
釣った魚を焼いている火の傍で温められたカレーの香りが強く漂う。
「ドロドロしてますわ」
ウィルヘルミナの記憶とは別物だったようだ。
「日本のカレーは別料理という話も……ほら日雀、隠れてないでもう少し前に座ったら?」
「帰れるはずなかった……はい」
五右衛門を抱え、隙あらば逃げ出そうと目論む妹に目を光らせるのを忘れない。
「同じ名前でも、地域によって違うのか」
レイスはしげしげと眺めている。
「皆さん飲み物はどれにします? 私はそのワインを。昼間ですけど、あるのなら折角ですし」
自分のコップにワインを注ぐマヘルは、酒の肴にしやすい食べ物を持ち寄っている。
「あっ俺ビール……は今ないからエールかな」
こう見えて26歳だと言う悠司。飲み物が行きわたったところでコップを掲げた。
「折角こうして顔を合せれたんだもん。乾杯しよ? 皆のこれからの道が祝福で満ちる様に。この出会いを祝って」
「今日という日に」
「乾杯」
「「「乾杯ー!!」」」
「私は先輩に相談していたら、訓練を休みにし此処に行くように勧められたのですが。皆さんは、誰にどんな風に此処を勧められたんですか?」
マヘルの疑問には多く答えが上がった。
「交流会がある事と、綺麗な湖があるからと言われて。こうして妹を連れて来たのですが」
「お姉ちゃんに騙された……」
「私もオフィスで交流会だと聞いたな、人数が居るからお勧めの料理をどこそこで買えとか、ぴったりの金額も渡されて」
「わたくしは食事を持って行けとしか言われませんでしたわ」
交流会として聞いていた者が多い。
「私は先輩ハンターでもあるお客さんに言われて来ましたね、風光明媚な場所だから是非行ってみるといいよって……だから楽しみにしてました」
「それがこんなことになるなんて」
「確かに景色はいいよね、しかもカレー付き!」
「良い景色の中でのカレーは最高だねぇ」
確かに蒼界を思い出す味ですと鶲は頷いて、微笑む。
「でも頂いたお菓子が美味しいのは良い事でしたから、後で教えてくれた方を探そうと思っています」
「リアルブルーの食べ物の話は比較的よく聞く。だが、どういった場所なのかと言う話は少ないな」
ブロックタイプのエネルギー補給食やポテトチップスを珍しそうに眺めていたレイスは、改めて湖の方へと視線をめぐらせた。
「私の住んでいた所ではこんな自然が多い所は、少なかったです。こちらは空気がおいしいですよね」
「私達のいた場所も、ここまで自然が身近にかつ多くはありませんでした」
マヘルに鶲も同意する。
「帝国領だったら空気がおいしいなんて言う奴は居ないな」
マテリアル公害という説明が続き、瀞牙が首を傾げた。
「此方の世界では機械……機導術か。これはどれくらい発達しているのかな?」
「便利と呼べるものは大抵神霊樹か機導術が関わっていると思うが、門外なので詳しくはない。ただ、便利なものはもっと普及すればいいと思う」
蒼界にもあるような技術はあるかもしれないが、普及の面では差が大きいのかもしれない。
「初めての冒険、初めての怪物との戦い、本の登場人物と同じ事をしたんだって思うとすっごく感動ですわ~!」
ウィルヘルミナは冒険好きな祖父の影響が強く、実家に居た頃はしきたりを重んじる生活に窮屈な日々を送っていた。親から決められた許嫁と共にロッソに乗っていたところ、この世界に辿り着いたのだ。
「許嫁……リア充? でも、一緒に居ない……」
「あまりに協調性なさ過ぎで、わたくしまでとばっちり食うものですから、少しはこの世界で揉まれてみるといいと思って置いてきましたわ」
日雀の零した呟きへの返事は、どこか身に覚えのあるような内容だ。妹の肩に、鶲がぽんと手を置いた。
「俺はね、戦う事が目的でハンターになったの。って言っても、戦いが好きって言うよりは、強くなりたかったから。そうすれば、大切なモノが守れるデショ?」
家族を守れるように、大切なモノ、失いたくないモノ、それを護れる強い存在になりたい。そしてその気持ちが蒼界、紅界のどちらの人達でも同じだと良いなと思う。
「皆の笑顔が、俺の元気……笑顔にもなるしね♪」
言葉通りの悠司の笑顔に、話を聞いていた皆も笑顔を浮かべた。
●報酬裏話
夕方、ハンターオフィスの近くにて。
「まさか戦闘体験のできる湖だとは知りませんでした、先輩は本当に興味深い場所を御存じで」
レイスが話す相手は、彼に湖の場所を教えたハンター。
「無事だったかお疲れさん。成功して何より、というか流石だな!」
遠まわしな皮肉も苦情も通り越し、レイスを褒める。
「そこまでわかって言いに来るって事は、このあとオフィスにも行くんだろ?」
「そのつもりですが」
「突発的な状況にも対応できるハンター育成だーとか言われるぜ? 結構人手割いてるし、何よりオフィスから認可下りてやってるからな」
以前引っ掛かった面子をタダ同然で駆り出して、新人向けの仕事になるよう舞台を整えているらしい。レイスは目論見が果たせそうにないことを察して黙り込むと、勘違いをしたのか、個人的に持参した分は後で同じものを補填するから申し出とけよと言ってくる。
「もともと報酬なんて言われてなかったろ? 実際その報酬も、人件費とか厳密に差っ引くと赤字。オフィスから新人への未来投資ってやつなんだとよ」
「研修費とか、そういう名目扱いという事ですか」
「俺もそうだったし、悔しいのもわかるけどな。お前見どころあるよ、交渉とかする奴滅多に居なくて、後で報酬届けられて知る奴だっているくらいだぜ。慣れてきたら、今度一緒に仕事しようぜ?」
「首尾よく妹を連れ出せたと思ったのに……」
落葉松 日雀(ka0521)を背にかばう様に移動しながら、落葉松 鶲(ka0588)がこめかみに指をあてた。
「またお姉ちゃんに騙された……お外になんて行きたくないのに……」
現実逃避しようと五右衛門に手を伸ばした日雀だが、短足の飼い猫は荷の陰へと隠れて出てこない。
「突然現れる敵、求めていた冒険の始まりですわ!」
ウィルヘルミナ=スピナハイム(ka1625)の声は常より少し高く上ずっている。
「接近戦が得意な人、射撃や支援が得意な人、それぞれどれだけ居るかな?」
荷物の多い高嶺 瀞牙(ka0250)は、鍋を地面に下ろしながら周囲へ声を投げかけた。
皆が各々の得意分野を答えていく中、おたまのようにロッドを持っているマリエル(ka0116)は鍋をちらちらと気にしていたが、瀞牙の視線に気づいて頬を染める。
「すいません……直前までお仕事してたもので。私は回復ができます」
彼女の服装はメイド服、どうやら給仕の仕事のようだ。
「いきなり実践とは、これからやっていく指標になりますかね」
マヘル・ハシバス(ka0440)の言葉は皆の総意でもあるだろう。
「色々と思う所はあるが……まずはこいつらを片付けてから、か」
「早速戦闘? 俺に出来る事は全力でするよっ!」
小声で考えを纏めたレイス(ka1541)も、状況を楽しむ気満々の鈴木悠司(ka0176)も武器を構えた。
●初戦闘
ゴブリン達の視線の先を確認し、瀞牙は手に持っていた袋の口を開けた。香辛料をきかせて焼いた肉の香りが広がる。
(へえ、目当ては食べ物か)
狙い通り、近くのゴブリンの気を引くことに成功する。
「私は美味しい物を一杯持っているぞ!」
袋を完全に閉めないようにしながら腰のベルトに括りつけ、剣を構えた。
(数は同数‥‥確実に減らしていこう)
挨拶もそこそこ、細かな作戦も話せていない中での戦闘だ。だがバランスは悪くない、勝算は十分にある。
「さあ、私を倒せばこの肉が食えるぞ、かかってこい!」
まずは的として専念しようと、瀞牙は声を張り上げた。
「まずはこれを」
マヘルはデバイスを操作し、近くに居た悠司にマテリアルを送る。
(訓練は受けていたけど、いきなり実戦に入ることになるなんて……先輩が、私に自信をつけさせるために仕込んだことなのかもしれない)
ハンターとしての教育は受けたが、簡単に自信などつかなかった。
転移する前、蒼界で一般人として生活していた頃に戦闘の経験なんてない。
(次は攻撃も試してみようかな)
反動に耐えるよう銃を両手で構え、タイミングを待った。
「ありがと、マヘルさん!」
礼を述べた悠司は前へ踏み込みゴブリンに斬りつける。瀞牙が気を引いているおかげで回りこみやすい。
(行き成りの寄り集まりだけど、それでも連携って出来るから。力を合わせれば、こんな敵目じゃないよね)
「え? 闘い?」
改めてゴブリン達を見回せば、三次元の敵はすぐそこに迫っている。ゲーム機のディスプレイごしに対峙するのとは違うプレッシャーが日雀を襲う。
(外なんて出ないのに戦える分けないよ……RPGみたいな感じで戦えないかな……)
働くのは嫌いだが自分の命がかかっていれば別だ。姉の近くに居るゴブリンに向けて杖を構え、ゲームの呪文を思い出す。
「イ●ナズン!!」
電撃ではなく、実際に習得している魔法の矢が飛んでいく。だがゴブリンは少し腕を逸らしただけで避けた。
「やっぱ戦えないんじゃないかな……」
「魔法だって外れる事もある、それだけのことじゃない!」
避けるときに出来た隙を使い側面へと回り込んだ鶲が、ロングソードを脚へとたたき込む。
「日雀が気を引いてくれたから私が避けられずに済んだのよ、自信持ちなさい!」
ハンター登録まで漕ぎつけたのだ、できればそこから社交性も身につけて欲しいし、なるべく前向きになってもらわなくては。どんな小さなことにも言葉を掛けて、努力を怠らない鶲だった。
「初の実戦がこんな形になるとはな」
ゴブリンの目的はあくまでも食事。だからハンター達の陣形に隙間があればそこを通りぬけようと動く。
抜けようとしたゴブリンの前に滑り込んでレイスはショートソードを振るった。脚を斬りつけられたゴブリンの体が少し傾ぐ。丁度、ウィルヘルミナの射線に入る角度だ。
「いけるか?」
「勿論ですわ」
ゴブリンを見てすぐのはしゃいでいた声とは全く別の落ち着いた声が答え、ゴブリンの頭のすぐ横を矢がかすった。
「外れ……でもあの位置なら、恐怖を与えるくらいの効果はあったはず」
冷静に判断する自分の声がどこか他人事のように聞こえ、心の中で首を傾げた。
(わたくしの初めての戦いは、きっと怯えるか勇み足に突っこんだりするんじゃないか。攻撃が外れたら地団太を踏んで悔しがるのではないか、そう思っていましたのに)
心は凪いでいたし、落ち着いて状況を見ることが出来ていた。
(普段のわたくしでもきっと起こりえないほど心が冷めていますわ。これが、覚醒というものなのでしょうか?)
「歓迎してくれてる雰囲気……ではないですよね?」
ロッドを両手で構え、マリエルは体内のマテリアルを活性化させていく。近付いてきたゴブリンが向けてくる武器を見据えると、ロッドを払うように叩きつけて軌道を逸らす。戻す反動で、隙の出来た腕に叩きつけようと振り下ろした。
(これで、逃げてくれればいいんですけど)
避けられてしまったが、牽制にはなっているはずだ。ここで逃したらまた人を襲う可能性があると考えると手加減はしていられないが、心のどこかで倒すことを受け入れきれていない気もする。
諦めずに向かってくるようなら、止めだってさしてみせると心を決めた。
傷を負った者は撤退を選び、無傷の者は戦闘態勢を崩さなかった。一撃に力を込めれば勝算はあると考えたゴブリン達は空腹だったからこそ、同胞の撤退に気づかず、数の劣勢に気づかなかったのかもしれない。
なりふり構わず放たれた5匹の攻撃が前衛の4人へと向かい、瀞牙と鶲が傷を受けた。
負傷した二人が自分で回復するのにあわせ、マリエルも瀞牙の回復を助ける。食べ物を身につけている瀞牙は再び狙われやすい。
「助かる。二回受けたら危ないな、あの攻撃」
避けやすいが重い攻撃だ。新人向きの敵とはいえ、油断はできなかった。
「悪いけど、無に還って貰うよっ!」
悠司の攻撃はゴブリンに避ける隙を与えなかった。頭から斬りつけ深手を負わせることが出来たが、それでも倒れるほどには至らない。だがそれまで以上の血が吹き出し大きな紅い華を咲かせていく。
「日雀、今よ!」
鮮血にひるんだゴブリンの隙をつけとの姉の声に、日雀も意識を研ぎ澄ませた。
「そろそろとどめな流れ? パ●プンテ!!」
儚い期待をにじませながら、呪文と共に魔法の矢を放った。集中したおかげか、今度は胴に当たった。
(撃退できればそれでもいい、か)
ここに来たのは退治が目的ではないのだと思いなおす。確かにゴブリンは敵性亜人だが、殲滅せよとは誰からも言われていない。
レイスは無傷のゴブリンを選び、斬りつける。手負いになればまた逃げるのだろうと踏んで。
マヘルの一撃はゴブリンの腕に当たり、攻撃の構えを崩すことが出来た。
ゴブリン達の逃げる背を見るうちに逸りかけていた気分は落ち着いて、正確に狙う事が出来ていた。
数が減った分狙いを定めやすくなっており、ウィルヘルミナも残りの一匹の脚を狙い撃った。避ける隙も与えない正確な射撃は、心身ともに静かに構えていたからなのだろう。
全てのゴブリンが傷を負った。不利を察した彼らはハンター達へと背を向け、茂みや木々をかき分けながらなりふり構わず逃げていく。
湖のほとりに、平穏が戻ったのだ。
●交流会
「まずは回復して、汚れを落とすべきじゃないか」
レイスの提案に反対は出ない。黒づくめのレイスはあまり目立たないが、ゴブリンに斬りつけた者達、特に鶲と悠司は返り血で汚れていたからだ。
身支度を整え戻ろうとした鶲が見つけたのは、即席の釣り竿を湖にたらすレイス。
「どういうものが釣れるんですか?」
「名前はあまり詳しくないが、白身の魚が多い、と思う」
うまく釣れたら焼いて食べるとの話に、期待していますねと伝え準備へと戻った。
ハムと野菜のサンドイッチ、丁寧に握られたおにぎり、堅めのパン、食べやすいサイズに切ったチーズ、炒ってあるナッツ、塩辛い味付けの干し肉、香辛料をきかせて焼いた肉、シンプルに塩で焼いた魚、甘い香りの焼き菓子、蒼界出身者ならではのジャンクなお菓子。中でも異彩を放っている大きな鍋、その横には具も海苔も付いていない真っ白なおにぎりと、サンドイッチに使えそうなシンプルなパン。
各種果物のジュース、紅茶、シードル、ワイン、エール……8人が持ち寄った量は、随分と多い。
「皆、美味しそうなモノ、持ち寄ってるねー!」
迷う悠司の横で、マリエルは気になっていた疑問を投げかける。
「瀞牙さん、そのお鍋の中身は?」
「私が作ってきたカレーだ。このおにぎりとパンは是非、カレーに浸けて食べてみてくれ」
釣った魚を焼いている火の傍で温められたカレーの香りが強く漂う。
「ドロドロしてますわ」
ウィルヘルミナの記憶とは別物だったようだ。
「日本のカレーは別料理という話も……ほら日雀、隠れてないでもう少し前に座ったら?」
「帰れるはずなかった……はい」
五右衛門を抱え、隙あらば逃げ出そうと目論む妹に目を光らせるのを忘れない。
「同じ名前でも、地域によって違うのか」
レイスはしげしげと眺めている。
「皆さん飲み物はどれにします? 私はそのワインを。昼間ですけど、あるのなら折角ですし」
自分のコップにワインを注ぐマヘルは、酒の肴にしやすい食べ物を持ち寄っている。
「あっ俺ビール……は今ないからエールかな」
こう見えて26歳だと言う悠司。飲み物が行きわたったところでコップを掲げた。
「折角こうして顔を合せれたんだもん。乾杯しよ? 皆のこれからの道が祝福で満ちる様に。この出会いを祝って」
「今日という日に」
「乾杯」
「「「乾杯ー!!」」」
「私は先輩に相談していたら、訓練を休みにし此処に行くように勧められたのですが。皆さんは、誰にどんな風に此処を勧められたんですか?」
マヘルの疑問には多く答えが上がった。
「交流会がある事と、綺麗な湖があるからと言われて。こうして妹を連れて来たのですが」
「お姉ちゃんに騙された……」
「私もオフィスで交流会だと聞いたな、人数が居るからお勧めの料理をどこそこで買えとか、ぴったりの金額も渡されて」
「わたくしは食事を持って行けとしか言われませんでしたわ」
交流会として聞いていた者が多い。
「私は先輩ハンターでもあるお客さんに言われて来ましたね、風光明媚な場所だから是非行ってみるといいよって……だから楽しみにしてました」
「それがこんなことになるなんて」
「確かに景色はいいよね、しかもカレー付き!」
「良い景色の中でのカレーは最高だねぇ」
確かに蒼界を思い出す味ですと鶲は頷いて、微笑む。
「でも頂いたお菓子が美味しいのは良い事でしたから、後で教えてくれた方を探そうと思っています」
「リアルブルーの食べ物の話は比較的よく聞く。だが、どういった場所なのかと言う話は少ないな」
ブロックタイプのエネルギー補給食やポテトチップスを珍しそうに眺めていたレイスは、改めて湖の方へと視線をめぐらせた。
「私の住んでいた所ではこんな自然が多い所は、少なかったです。こちらは空気がおいしいですよね」
「私達のいた場所も、ここまで自然が身近にかつ多くはありませんでした」
マヘルに鶲も同意する。
「帝国領だったら空気がおいしいなんて言う奴は居ないな」
マテリアル公害という説明が続き、瀞牙が首を傾げた。
「此方の世界では機械……機導術か。これはどれくらい発達しているのかな?」
「便利と呼べるものは大抵神霊樹か機導術が関わっていると思うが、門外なので詳しくはない。ただ、便利なものはもっと普及すればいいと思う」
蒼界にもあるような技術はあるかもしれないが、普及の面では差が大きいのかもしれない。
「初めての冒険、初めての怪物との戦い、本の登場人物と同じ事をしたんだって思うとすっごく感動ですわ~!」
ウィルヘルミナは冒険好きな祖父の影響が強く、実家に居た頃はしきたりを重んじる生活に窮屈な日々を送っていた。親から決められた許嫁と共にロッソに乗っていたところ、この世界に辿り着いたのだ。
「許嫁……リア充? でも、一緒に居ない……」
「あまりに協調性なさ過ぎで、わたくしまでとばっちり食うものですから、少しはこの世界で揉まれてみるといいと思って置いてきましたわ」
日雀の零した呟きへの返事は、どこか身に覚えのあるような内容だ。妹の肩に、鶲がぽんと手を置いた。
「俺はね、戦う事が目的でハンターになったの。って言っても、戦いが好きって言うよりは、強くなりたかったから。そうすれば、大切なモノが守れるデショ?」
家族を守れるように、大切なモノ、失いたくないモノ、それを護れる強い存在になりたい。そしてその気持ちが蒼界、紅界のどちらの人達でも同じだと良いなと思う。
「皆の笑顔が、俺の元気……笑顔にもなるしね♪」
言葉通りの悠司の笑顔に、話を聞いていた皆も笑顔を浮かべた。
●報酬裏話
夕方、ハンターオフィスの近くにて。
「まさか戦闘体験のできる湖だとは知りませんでした、先輩は本当に興味深い場所を御存じで」
レイスが話す相手は、彼に湖の場所を教えたハンター。
「無事だったかお疲れさん。成功して何より、というか流石だな!」
遠まわしな皮肉も苦情も通り越し、レイスを褒める。
「そこまでわかって言いに来るって事は、このあとオフィスにも行くんだろ?」
「そのつもりですが」
「突発的な状況にも対応できるハンター育成だーとか言われるぜ? 結構人手割いてるし、何よりオフィスから認可下りてやってるからな」
以前引っ掛かった面子をタダ同然で駆り出して、新人向けの仕事になるよう舞台を整えているらしい。レイスは目論見が果たせそうにないことを察して黙り込むと、勘違いをしたのか、個人的に持参した分は後で同じものを補填するから申し出とけよと言ってくる。
「もともと報酬なんて言われてなかったろ? 実際その報酬も、人件費とか厳密に差っ引くと赤字。オフィスから新人への未来投資ってやつなんだとよ」
「研修費とか、そういう名目扱いという事ですか」
「俺もそうだったし、悔しいのもわかるけどな。お前見どころあるよ、交渉とかする奴滅多に居なくて、後で報酬届けられて知る奴だっているくらいだぜ。慣れてきたら、今度一緒に仕事しようぜ?」
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 マヘル・ハシバス(ka0440) 人間(リアルブルー)|22才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/06/15 17:24:03 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/13 21:11:11 |