ゲスト
(ka0000)
雷鳴の向こうに
マスター:秋月雅哉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/03/29 19:00
- 完成日
- 2015/03/29 22:36
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●春嵐
『それ』には生まれた時の記憶がなかった。気づいた時にはこの世に存在し、生物が息をするのを生まれながらに知っているように雷を操れることが当たり前だった。
『それ』には敵がいた。自分と同じく、雷を操る力を持つ存在。縄張り争いで雷が轟くたび人々は家屋を失ったり感電によって死傷者が出ることを悼んだりといそがしかったが『それ』には人間の事情を理解する知能も、動かされる感情もなかった。
ただそこに在ることが『それ』の願いで、それには自分と同質の敵が邪魔だった。
そのため今日もどちらが場を譲るでもなく、果て無い春の嵐は巻き起こされる。
どちらかが倒れるまで。或いは第三者の手によって双方が倒れるまで。
「リアルブルーでは昔雷を鳴神と呼んだり、神意の表れとして扱ったりしたんだってね。雷に問わず自然災害は神意とでも捉えなければ無情すぎてやっていけないってことかな。
……ただ、今回は神じゃなく雑魔なんだよね、操ってるの。二体の雷を操る獣……雷雲を纏ってるせいで姿はよく見えないし、例えが上手く思いつかない外見だから何に似てる、とは言えないんだけど。
その二体の雑魔が縄張り争いで雷を民家や森に落としまくってる。できれば二体とも討伐して近隣住民の安息を確保してほしいんだ。
二体はいがみ合ってるから連携プレイとかは取ってこないけれど、第三者に横やりを入れられれば一時休戦してそちら……つまり今回はハンターとして討伐に赴く君たちだね。そちらを排除しようとしてくる。
最初の一撃は多分射程的に当てることは難しいけど、目標に雷を落とす精度を高めるために高度を落としてくるって行動が確認されてるから射程に収まった人から順次攻撃に移って欲しい。
水属性の武器で直接攻撃をすると雷が感電しやすいみたいだからそこは注意した方がいいだろうね。
落雷から山火事になっても面倒だし早期解決をお願いするよ」
『それ』には生まれた時の記憶がなかった。気づいた時にはこの世に存在し、生物が息をするのを生まれながらに知っているように雷を操れることが当たり前だった。
『それ』には敵がいた。自分と同じく、雷を操る力を持つ存在。縄張り争いで雷が轟くたび人々は家屋を失ったり感電によって死傷者が出ることを悼んだりといそがしかったが『それ』には人間の事情を理解する知能も、動かされる感情もなかった。
ただそこに在ることが『それ』の願いで、それには自分と同質の敵が邪魔だった。
そのため今日もどちらが場を譲るでもなく、果て無い春の嵐は巻き起こされる。
どちらかが倒れるまで。或いは第三者の手によって双方が倒れるまで。
「リアルブルーでは昔雷を鳴神と呼んだり、神意の表れとして扱ったりしたんだってね。雷に問わず自然災害は神意とでも捉えなければ無情すぎてやっていけないってことかな。
……ただ、今回は神じゃなく雑魔なんだよね、操ってるの。二体の雷を操る獣……雷雲を纏ってるせいで姿はよく見えないし、例えが上手く思いつかない外見だから何に似てる、とは言えないんだけど。
その二体の雑魔が縄張り争いで雷を民家や森に落としまくってる。できれば二体とも討伐して近隣住民の安息を確保してほしいんだ。
二体はいがみ合ってるから連携プレイとかは取ってこないけれど、第三者に横やりを入れられれば一時休戦してそちら……つまり今回はハンターとして討伐に赴く君たちだね。そちらを排除しようとしてくる。
最初の一撃は多分射程的に当てることは難しいけど、目標に雷を落とす精度を高めるために高度を落としてくるって行動が確認されてるから射程に収まった人から順次攻撃に移って欲しい。
水属性の武器で直接攻撃をすると雷が感電しやすいみたいだからそこは注意した方がいいだろうね。
落雷から山火事になっても面倒だし早期解決をお願いするよ」
リプレイ本文
●春雷
そろそろ花が芽吹き始めて気候も過ごしやすくなり始める春がやってくる季節。
春雷、という言葉はあるがその雷は自然現象ではなく雑魔によって引き起こされるものだったために、二体の、この世界の生き物に例えることができない、不思議な姿をした獣の討伐依頼がハンターオフィスに寄せられた。
人の寄り付かない荒野で雷でいがみ合っているならともかく、近くには民家も山もある。
うっかり外に出た瞬間雷に打たれた、や新築した家を雷で焼失した、や雷が原因で山火事が起きた、といった事態が起こらないとも言えない。
何処に落ちるか分からない以上近隣住民にとっては迷惑の極みといえる雑魔の出現だった。
「同族嫌悪ですか……彼らにもそのような感情があるのですね……むしろ感情があることに驚くべきでしょうか?」
イレーナ(ka0188)が雷雲を轟かせている雑魔たちを誘導する場所の候補を住民に聞きながら、地図と示し合わせて絞る作業をするがその間も無作為に雷は落ち、情報を提供する近隣住民はそのたびに不安そうに落雷があった方を見やる。
「邪魔者相手に簡単な共闘をする知識はある、厄介ですね」
リアン・カーネイ(ka0267)が稲光を目で追ったあとやれやれ、と吐息を吐いた。
共闘するというよりはもしかすると邪魔者を排除した後お互いを殺し合うことに集中したいという闘争本能なのかもしれないが、第三者が割って入るとその間いがみ合いをやめるという事実に変わりはないし雑魔と会話することは不可能なので二体が第三者の排除を優先する本当の理由は正確には分からない。
「雷、カミナリ、……神鳴り。まー何であれ退治しなきゃならないことにかわりないっすけど」
無限 馨(ka0544)がせっせと避雷針代わりの棒を戦闘の予定地、と雑魔の現在地と周りに延焼する可能性のない平野であることから選んだ場所に立てていく。
「やはー、すっごい暴れてるねぇ……空は雷雲、激しすぎて神話みたい。……やはっ♪ このシチュエーション、ゾクゾクしてきちゃった。さーて、神様の真似事してる悪い子たちに『飴玉』をあげにいこうか!」
稲光で目が眩むことを想定してサングラスをかけたテトラ・ティーニストラ(ka3565)がいう『飴玉』は子供が喜ぶキャンディの方ではなく銃弾の方だということを知らない一般人は意味が通じず首を傾げたものの、今から戦場になるからひとまず非難を、と促されて我先にとその場を後にしていった。
希崎 十夜(ka3752)もまたサングラスをかけて稲光への対処をし、他の面子同様ワイヤーをアースとしている。
以前戦いで攻めきれなかったことの迷いや後悔を踏み越えて断ち切るためにも全力で立ち向かう、そして依頼に同行している仲間を可能な範囲で守りたい。そんな決意を抱いて十夜は雷雲の先にいる敵を見やる。
「雷……雷かー……私にとってはかなり嫌な敵‥‥こっちに雷おとさないでよー?」
アメリア・フォーサイス(ka4111)は切実な願いをぽつりと口にするが果たして雑魔が聞き入れてくれるかどうか。
見境なしに雷を落としている印象が強いため願いが聞き入れられる可能性は低い気もする。
炭酸飲料の入った容器を思いっきり振った後に準備の出来た戦場の中心から上空にいる敵に向かって投げつけ、銃で打ち抜く。
「開戦の花火って感じで派手に行きますかー!」
空気を取り込んだことで炭酸が弾け、それに加えて銃声が響き渡り一瞬雷鳴が止まる。
形容しがたい姿の獣の姿が雷雲の狭間からふたつ、見えた。
マナ・ブライト(ka4268)が仲間の盾になるように位置取りながら敵を見据える。
銃弾や弓矢でこちらへと雷獣たちの注意を引きながら、攻撃が確実に届く距離まで降下させようとするハンターたち。
地上からの横やりが鬱陶しいと感じたのか、思惑通り雷獣は雷を落とす精度を高めるために一時停戦すると徐々に降下し始める。
十夜がマルチステップを使いながら狙いを定められないよう動き回りつつ、デリンジャーで注意を引いている間にイレーナが眠りを呼ぶ雲を雑魔たちに向かって放つ。
一瞬動きが鈍った隙を見逃さず、テトラが翼を狙って風の精霊の加護を受けた、銀製の銃身を持つ魔導拳銃で射抜く。
「やはっ♪ 甘くて碧い飴玉はいかが?」
翼を打ち抜かれたもののまだ飛行能力を完全には失っていない雑魔が怒りをそのまま上乗せしたように一際激しい雷を立て続けに落す。
「残念すけど、電気は抵抗の低い方に流れる性質があるんす。自慢の雷も大して役に立たないっすよ!」
中にはハンターを直撃するものもあったが半数以上は避雷針の方に引き寄せられることに業を煮やした雑魔へと馨が雷が効かないことを強調して地面まで誘導しようとする。
槍の間合いまで雑魔が降下したのを見て取ってリアンが穂先から石突まで使って薙ぎ払い、回転斬撃と突きの連携で攻撃を仕掛ける。
鋭い爪の備わった前肢が振るわれるが動作の始点を見定めたリアンが攻撃を妨げ、仲間の攻撃へとつなげる。
「ぴかぴかごろごろっ。あー、おへそ取られないように気をつけないとね」
再浮上を防ぐために威嚇射撃で動きを阻害するアメリアが呑気とも思えるセリフを口にするが目は真剣そのものだ。
翼に攻撃を受けていない方の一体が一度ハンターの攻撃の届かない位置まで飛翔しようとするのをマナのホーリーライトがダメージを与えることで阻害した。
「穢れし雷よ、光の前に滅しなさい」
上昇を阻まれた雑魔が空中で方向転換すると加速して地上へと急降下する。
自身の身体の周りに雷を纏った状態での体当たりに似た攻撃をマナは盾で受けた。
そのまま受け流すように盾を捌きつつ背後へと移動、剣で地上での機動力を担うであろう脚部を俊敏さの低下を狙って突き刺す。
地上に落ちた雑魔がもう一度隙をついて浮上しないようにと飛行の際に使用していると考えられる翼を射抜きながらアメリアは落雷の前兆を推測することも忘れない。
「翼がズタボロになったら飛ぶのも一苦労だよね? そっちの間合いには、悪いけどさせないよ!」
「やははっ、フルボッコにするお詫びにたくさんたくさん飴玉、あげるね♪」
テトラが猫のように軽快に、かつ華麗に動き回り地上に落ちた後も操れるらしい雷を回避しながら飴玉……もとい銃弾をおみまいする。
「手が届くなら俺の距離っす」
集中攻撃で一体を殲滅した後はもう一体への攻撃へと移る馨。
瞬脚とマルチステップを合わせた素早い動きに機動力を削がれた雑魔はついていくことができず、そのために生まれた隙をついてスラッシュエッジで斬りつけては離脱するヒットアンドウェイは確実に雑魔の体力を削っていっているようだ。
「貴方が雷を操るのであれば、私どもマギステルは、万物を操るのです……」
水が雷を通しやすいという性質を逆手にとって体やその周囲に蓄電などの操り方も可能ではないか、と思い至ったイレーヌがウォーターシュートで雑魔をずぶ濡れにする。
雷を操ることが難しくなったのか、爪や牙での近接攻撃や巨大な体が持つ質量を利用した体当たりで現状打破を試みる雑魔だがハンターたちの連携がそれを阻んだ。
直撃すれば肩も骨ごと砕くであろう噛みつきを、リアンは槍で口部を貫くことで封じる。
そのまま地面に縫い止めるように槍を深く突き刺し、ほぼ自由の利かなくなった雑魔を完全に滅するために各々が最大火力の攻撃で応戦する。
蓄積したダメージに加え、その集中砲火を受けて雑魔は最後に小さな稲光で地を焦がすと消滅したのだった。
雑魔が二体とも消滅したためか、二体が現れてからこの周囲一帯を常に覆っていた雷雲はいつの間にか消え去り、春の淡い色合いの青空が覗く。
脅威が去ったことをいち早く察したのか森の方から小鳥のさえずりも聞こえ始め、戦いによって地面が抉れた部分や焦げた部分があること、大量の避雷針が刺さっていることを除けば平和な光景が久し振りに戻ってきたのだった。
「う~ん……! やっぱり空は、澄んだ青空が一番だねっ♪
あたしたちの空を汚すなら、誰が相手でもこのテトラちゃんが許さないよ!」
晴れ渡った空からそそぐ柔らかな陽光を全身で浴びようとするかのようにテトラが大きく伸びをする。
マナが負傷者の手当てを申し出、自身を回復する手段を持つ者は己の傷を癒し、約四十本の避雷針を抜いたりと事後処理を終えた後で、一同は村の住民たちに雷を操る雑魔を二体とも討伐し終えたことを伝えた。
村人たちは誰もが安堵した表情を浮かべ、避雷針の後始末を申し出た後、ヒールを使うまでもなかった些細な傷の手当てを行う用意が出来ていることを伝える。
使用後の処理は各自で、という条件で用意された避雷針の処理は数が数であるため持ち帰るには厄介だったので村人の行為に甘えることにし、雷鳴を近くで聞き続けたため耳鳴りのような症状が出ているハンターたちは暫く村で休息をとりながら饗応を受けた後、オフィスに報告するために村を後にした。
はた迷惑な春の嵐は過ぎ去り、風に揺れた花が一輪、可憐な花びらを散らす。
ひらり、ふわりと踊るように風に乗せられて旅を始める花弁は、本格的な春の訪れを告げるように青空に映える薄紅色。
村人たちも安心して山菜取りや花見に出かけられるようになるだろう。
春雷は、もう聞こえない。
そろそろ花が芽吹き始めて気候も過ごしやすくなり始める春がやってくる季節。
春雷、という言葉はあるがその雷は自然現象ではなく雑魔によって引き起こされるものだったために、二体の、この世界の生き物に例えることができない、不思議な姿をした獣の討伐依頼がハンターオフィスに寄せられた。
人の寄り付かない荒野で雷でいがみ合っているならともかく、近くには民家も山もある。
うっかり外に出た瞬間雷に打たれた、や新築した家を雷で焼失した、や雷が原因で山火事が起きた、といった事態が起こらないとも言えない。
何処に落ちるか分からない以上近隣住民にとっては迷惑の極みといえる雑魔の出現だった。
「同族嫌悪ですか……彼らにもそのような感情があるのですね……むしろ感情があることに驚くべきでしょうか?」
イレーナ(ka0188)が雷雲を轟かせている雑魔たちを誘導する場所の候補を住民に聞きながら、地図と示し合わせて絞る作業をするがその間も無作為に雷は落ち、情報を提供する近隣住民はそのたびに不安そうに落雷があった方を見やる。
「邪魔者相手に簡単な共闘をする知識はある、厄介ですね」
リアン・カーネイ(ka0267)が稲光を目で追ったあとやれやれ、と吐息を吐いた。
共闘するというよりはもしかすると邪魔者を排除した後お互いを殺し合うことに集中したいという闘争本能なのかもしれないが、第三者が割って入るとその間いがみ合いをやめるという事実に変わりはないし雑魔と会話することは不可能なので二体が第三者の排除を優先する本当の理由は正確には分からない。
「雷、カミナリ、……神鳴り。まー何であれ退治しなきゃならないことにかわりないっすけど」
無限 馨(ka0544)がせっせと避雷針代わりの棒を戦闘の予定地、と雑魔の現在地と周りに延焼する可能性のない平野であることから選んだ場所に立てていく。
「やはー、すっごい暴れてるねぇ……空は雷雲、激しすぎて神話みたい。……やはっ♪ このシチュエーション、ゾクゾクしてきちゃった。さーて、神様の真似事してる悪い子たちに『飴玉』をあげにいこうか!」
稲光で目が眩むことを想定してサングラスをかけたテトラ・ティーニストラ(ka3565)がいう『飴玉』は子供が喜ぶキャンディの方ではなく銃弾の方だということを知らない一般人は意味が通じず首を傾げたものの、今から戦場になるからひとまず非難を、と促されて我先にとその場を後にしていった。
希崎 十夜(ka3752)もまたサングラスをかけて稲光への対処をし、他の面子同様ワイヤーをアースとしている。
以前戦いで攻めきれなかったことの迷いや後悔を踏み越えて断ち切るためにも全力で立ち向かう、そして依頼に同行している仲間を可能な範囲で守りたい。そんな決意を抱いて十夜は雷雲の先にいる敵を見やる。
「雷……雷かー……私にとってはかなり嫌な敵‥‥こっちに雷おとさないでよー?」
アメリア・フォーサイス(ka4111)は切実な願いをぽつりと口にするが果たして雑魔が聞き入れてくれるかどうか。
見境なしに雷を落としている印象が強いため願いが聞き入れられる可能性は低い気もする。
炭酸飲料の入った容器を思いっきり振った後に準備の出来た戦場の中心から上空にいる敵に向かって投げつけ、銃で打ち抜く。
「開戦の花火って感じで派手に行きますかー!」
空気を取り込んだことで炭酸が弾け、それに加えて銃声が響き渡り一瞬雷鳴が止まる。
形容しがたい姿の獣の姿が雷雲の狭間からふたつ、見えた。
マナ・ブライト(ka4268)が仲間の盾になるように位置取りながら敵を見据える。
銃弾や弓矢でこちらへと雷獣たちの注意を引きながら、攻撃が確実に届く距離まで降下させようとするハンターたち。
地上からの横やりが鬱陶しいと感じたのか、思惑通り雷獣は雷を落とす精度を高めるために一時停戦すると徐々に降下し始める。
十夜がマルチステップを使いながら狙いを定められないよう動き回りつつ、デリンジャーで注意を引いている間にイレーナが眠りを呼ぶ雲を雑魔たちに向かって放つ。
一瞬動きが鈍った隙を見逃さず、テトラが翼を狙って風の精霊の加護を受けた、銀製の銃身を持つ魔導拳銃で射抜く。
「やはっ♪ 甘くて碧い飴玉はいかが?」
翼を打ち抜かれたもののまだ飛行能力を完全には失っていない雑魔が怒りをそのまま上乗せしたように一際激しい雷を立て続けに落す。
「残念すけど、電気は抵抗の低い方に流れる性質があるんす。自慢の雷も大して役に立たないっすよ!」
中にはハンターを直撃するものもあったが半数以上は避雷針の方に引き寄せられることに業を煮やした雑魔へと馨が雷が効かないことを強調して地面まで誘導しようとする。
槍の間合いまで雑魔が降下したのを見て取ってリアンが穂先から石突まで使って薙ぎ払い、回転斬撃と突きの連携で攻撃を仕掛ける。
鋭い爪の備わった前肢が振るわれるが動作の始点を見定めたリアンが攻撃を妨げ、仲間の攻撃へとつなげる。
「ぴかぴかごろごろっ。あー、おへそ取られないように気をつけないとね」
再浮上を防ぐために威嚇射撃で動きを阻害するアメリアが呑気とも思えるセリフを口にするが目は真剣そのものだ。
翼に攻撃を受けていない方の一体が一度ハンターの攻撃の届かない位置まで飛翔しようとするのをマナのホーリーライトがダメージを与えることで阻害した。
「穢れし雷よ、光の前に滅しなさい」
上昇を阻まれた雑魔が空中で方向転換すると加速して地上へと急降下する。
自身の身体の周りに雷を纏った状態での体当たりに似た攻撃をマナは盾で受けた。
そのまま受け流すように盾を捌きつつ背後へと移動、剣で地上での機動力を担うであろう脚部を俊敏さの低下を狙って突き刺す。
地上に落ちた雑魔がもう一度隙をついて浮上しないようにと飛行の際に使用していると考えられる翼を射抜きながらアメリアは落雷の前兆を推測することも忘れない。
「翼がズタボロになったら飛ぶのも一苦労だよね? そっちの間合いには、悪いけどさせないよ!」
「やははっ、フルボッコにするお詫びにたくさんたくさん飴玉、あげるね♪」
テトラが猫のように軽快に、かつ華麗に動き回り地上に落ちた後も操れるらしい雷を回避しながら飴玉……もとい銃弾をおみまいする。
「手が届くなら俺の距離っす」
集中攻撃で一体を殲滅した後はもう一体への攻撃へと移る馨。
瞬脚とマルチステップを合わせた素早い動きに機動力を削がれた雑魔はついていくことができず、そのために生まれた隙をついてスラッシュエッジで斬りつけては離脱するヒットアンドウェイは確実に雑魔の体力を削っていっているようだ。
「貴方が雷を操るのであれば、私どもマギステルは、万物を操るのです……」
水が雷を通しやすいという性質を逆手にとって体やその周囲に蓄電などの操り方も可能ではないか、と思い至ったイレーヌがウォーターシュートで雑魔をずぶ濡れにする。
雷を操ることが難しくなったのか、爪や牙での近接攻撃や巨大な体が持つ質量を利用した体当たりで現状打破を試みる雑魔だがハンターたちの連携がそれを阻んだ。
直撃すれば肩も骨ごと砕くであろう噛みつきを、リアンは槍で口部を貫くことで封じる。
そのまま地面に縫い止めるように槍を深く突き刺し、ほぼ自由の利かなくなった雑魔を完全に滅するために各々が最大火力の攻撃で応戦する。
蓄積したダメージに加え、その集中砲火を受けて雑魔は最後に小さな稲光で地を焦がすと消滅したのだった。
雑魔が二体とも消滅したためか、二体が現れてからこの周囲一帯を常に覆っていた雷雲はいつの間にか消え去り、春の淡い色合いの青空が覗く。
脅威が去ったことをいち早く察したのか森の方から小鳥のさえずりも聞こえ始め、戦いによって地面が抉れた部分や焦げた部分があること、大量の避雷針が刺さっていることを除けば平和な光景が久し振りに戻ってきたのだった。
「う~ん……! やっぱり空は、澄んだ青空が一番だねっ♪
あたしたちの空を汚すなら、誰が相手でもこのテトラちゃんが許さないよ!」
晴れ渡った空からそそぐ柔らかな陽光を全身で浴びようとするかのようにテトラが大きく伸びをする。
マナが負傷者の手当てを申し出、自身を回復する手段を持つ者は己の傷を癒し、約四十本の避雷針を抜いたりと事後処理を終えた後で、一同は村の住民たちに雷を操る雑魔を二体とも討伐し終えたことを伝えた。
村人たちは誰もが安堵した表情を浮かべ、避雷針の後始末を申し出た後、ヒールを使うまでもなかった些細な傷の手当てを行う用意が出来ていることを伝える。
使用後の処理は各自で、という条件で用意された避雷針の処理は数が数であるため持ち帰るには厄介だったので村人の行為に甘えることにし、雷鳴を近くで聞き続けたため耳鳴りのような症状が出ているハンターたちは暫く村で休息をとりながら饗応を受けた後、オフィスに報告するために村を後にした。
はた迷惑な春の嵐は過ぎ去り、風に揺れた花が一輪、可憐な花びらを散らす。
ひらり、ふわりと踊るように風に乗せられて旅を始める花弁は、本格的な春の訪れを告げるように青空に映える薄紅色。
村人たちも安心して山菜取りや花見に出かけられるようになるだろう。
春雷は、もう聞こえない。
依頼結果
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雷獣討伐会議室 リアン・カーネイ(ka0267) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/03/29 01:04:17 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/25 22:56:03 |