ゲスト
(ka0000)
うごめく金貨?
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/04/11 09:00
- 完成日
- 2015/04/16 20:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●誰にも知られることなく
「すべてワシのものじゃ……ワシの……」
片田舎にある、とある屋敷の地下室で。
老人は死の間際までぶつぶつと同じことをつぶやいていた。彼は部屋の隅にある大きな壺を、まるで愛し子のように愛撫している。
部屋の、いや、この屋敷の中で、その言葉を聞いているのは、並ぶ壺の中に入っている大量の金貨のみ。
しかし老人にとってはそれで十分だった。
彼はお金以外に執着するものは何もなく、また、お金以外を信頼することもなかったのだから。
やがて老人は誰にも看取られることなくこの世を去った。
コインで埋め尽くされた、壺に寄り添うかのように。
●そして誰もが知ることとなる
「なんかお宝でもあるんじゃねえ?」
ここにある男がいた。
空き巣狙いを生業にしており、今日も金の匂いを嗅ぎつけ、無人の家に勝手に入り込んだところだ。
男はLEDライトを手に家の中を探索する。
やがて地下への階段を見つけ、男はもちろん階下へと歩を進めた。
「げっ!?」
地下室へと足を踏み入れた男は、部屋の隅にある人骨に気付いて悲鳴をあげた。そして数歩後ずさる。
しかし、男の瞳が人骨の傍らにあるいくつもの壺を目にした時、その動きは止まった。LEDライトに一瞬映ったのは、たしかに黄金色の……。
男はもう一度、視線をそちらに向け、手元の明かりをかざした。目に映った光景に、男は息をのむ。
「す、すげえええええええ!! これ、全部金貨か!?」
男は歓喜の声をあげ、部屋の隅に並ぶ壺に近づいた。人骨の方に目線を向けないように、間違って踏んでしまわないように気をつけながら。
その時である。
「いてっ!!」
男の頭に何かがぶつかった。
慌てて額に手をやるが、そこには何もない。
「なんだよいったい……!?」
男の言葉は途中で止まり、視線は一点に釘付けとなった。
今、男の目の前で、金貨が宙に浮かんでいる。
「な、な、なん……なん……」
男は恐怖のあまり、ろれつが回らない。呆然と立ちすくむ男の前で、最初は一枚だったそれは、やがて二枚、三枚と増えていき……。
突然、金貨達は火を吹いた。
「おわちゃちゃちゃっ!? なんだこいつ!?」
あまりの衝撃に男は動揺から立ち直り、慌てて駆け出した。しかし金貨達は彼の後を追う。その数は、もはや無数といってもよい。金貨達はそれぞれ赤い炎を辺りに撒き散らす。
男は金貨の群れから火を吹きつけられながらも、命からがら屋敷の外へと逃げ出した。金貨達はしばらく男を追いかけたものの、目的を達したことに気付いたのだろう、ぴたりと空中で動きを止める。
やがてゆっくりと屋敷の中へと戻ろうとする金貨の群れ。しかし、もう屋敷には火の手があがり始めていた。先程金貨の群れが吐いた、炎のブレスが引火したのだ。
金貨達はぐるぐるとその場を回る。いつまでも、いつまでも。
●誰も知らないところで、やすらかに
「依頼です」
王都イルダーナにあるハンターオフィスで、受付嬢がハンター達に依頼の説明を開始した。
「事件の発端は、こそ泥がある屋敷に忍び込み、人の財産に手をつけようとしたことのようですが……どうも、屋敷の住人が持っていた全ての金貨が雑魔化しているようです」
ハンター達はどよめいた。
「なんでも、雑魔となった金貨は空を飛んだり、火を吹いたりするそうです……にわかには信じがたいですが……」
彼女は資料をめくりながら続けた。
「ただ、その金貨達は、灰となった屋敷に近づく者を見境なく襲うのだそうです。まるでかつての住人を守ろうとするかのように」
自分の願望らしきものが混じっていると思ったのか、もちろんただの偶然でしょうけど、と付け加える受付嬢。
「住んでいたのは人付き合いをしない老人だったそうですが……金貨達と一緒に、やすらかに眠らせてやってほしい、とのことです。よろしくお願いします」
受付嬢はハンター達にぺこりと頭を下げた。
「すべてワシのものじゃ……ワシの……」
片田舎にある、とある屋敷の地下室で。
老人は死の間際までぶつぶつと同じことをつぶやいていた。彼は部屋の隅にある大きな壺を、まるで愛し子のように愛撫している。
部屋の、いや、この屋敷の中で、その言葉を聞いているのは、並ぶ壺の中に入っている大量の金貨のみ。
しかし老人にとってはそれで十分だった。
彼はお金以外に執着するものは何もなく、また、お金以外を信頼することもなかったのだから。
やがて老人は誰にも看取られることなくこの世を去った。
コインで埋め尽くされた、壺に寄り添うかのように。
●そして誰もが知ることとなる
「なんかお宝でもあるんじゃねえ?」
ここにある男がいた。
空き巣狙いを生業にしており、今日も金の匂いを嗅ぎつけ、無人の家に勝手に入り込んだところだ。
男はLEDライトを手に家の中を探索する。
やがて地下への階段を見つけ、男はもちろん階下へと歩を進めた。
「げっ!?」
地下室へと足を踏み入れた男は、部屋の隅にある人骨に気付いて悲鳴をあげた。そして数歩後ずさる。
しかし、男の瞳が人骨の傍らにあるいくつもの壺を目にした時、その動きは止まった。LEDライトに一瞬映ったのは、たしかに黄金色の……。
男はもう一度、視線をそちらに向け、手元の明かりをかざした。目に映った光景に、男は息をのむ。
「す、すげえええええええ!! これ、全部金貨か!?」
男は歓喜の声をあげ、部屋の隅に並ぶ壺に近づいた。人骨の方に目線を向けないように、間違って踏んでしまわないように気をつけながら。
その時である。
「いてっ!!」
男の頭に何かがぶつかった。
慌てて額に手をやるが、そこには何もない。
「なんだよいったい……!?」
男の言葉は途中で止まり、視線は一点に釘付けとなった。
今、男の目の前で、金貨が宙に浮かんでいる。
「な、な、なん……なん……」
男は恐怖のあまり、ろれつが回らない。呆然と立ちすくむ男の前で、最初は一枚だったそれは、やがて二枚、三枚と増えていき……。
突然、金貨達は火を吹いた。
「おわちゃちゃちゃっ!? なんだこいつ!?」
あまりの衝撃に男は動揺から立ち直り、慌てて駆け出した。しかし金貨達は彼の後を追う。その数は、もはや無数といってもよい。金貨達はそれぞれ赤い炎を辺りに撒き散らす。
男は金貨の群れから火を吹きつけられながらも、命からがら屋敷の外へと逃げ出した。金貨達はしばらく男を追いかけたものの、目的を達したことに気付いたのだろう、ぴたりと空中で動きを止める。
やがてゆっくりと屋敷の中へと戻ろうとする金貨の群れ。しかし、もう屋敷には火の手があがり始めていた。先程金貨の群れが吐いた、炎のブレスが引火したのだ。
金貨達はぐるぐるとその場を回る。いつまでも、いつまでも。
●誰も知らないところで、やすらかに
「依頼です」
王都イルダーナにあるハンターオフィスで、受付嬢がハンター達に依頼の説明を開始した。
「事件の発端は、こそ泥がある屋敷に忍び込み、人の財産に手をつけようとしたことのようですが……どうも、屋敷の住人が持っていた全ての金貨が雑魔化しているようです」
ハンター達はどよめいた。
「なんでも、雑魔となった金貨は空を飛んだり、火を吹いたりするそうです……にわかには信じがたいですが……」
彼女は資料をめくりながら続けた。
「ただ、その金貨達は、灰となった屋敷に近づく者を見境なく襲うのだそうです。まるでかつての住人を守ろうとするかのように」
自分の願望らしきものが混じっていると思ったのか、もちろんただの偶然でしょうけど、と付け加える受付嬢。
「住んでいたのは人付き合いをしない老人だったそうですが……金貨達と一緒に、やすらかに眠らせてやってほしい、とのことです。よろしくお願いします」
受付嬢はハンター達にぺこりと頭を下げた。
リプレイ本文
●
「……金貨が雑魔化するとは、人の業とはどこまで深いのだろうな。元が何であれ、雑魔である以上退治せねばなるまい。俺も尽力させて貰おう」
受付嬢の言葉を最後まで聞き、アバルト・ジンツァー(ka0895)はそう答えた。
「大切にしていた金貨が雑魔になっちゃうなんて、おじいさんちょっとかわいそう……」
和泉 澪(ka4070)が悲しそうに囁く。
「主の死後なお屋敷を守るように飛ぶ金貨、か……きっとお金も自分達が大切にされていた事がわかっていたのかもしれないね……それとも、執念が生み出した呪いみたいなものなのかな?」
ナタナエル(ka3884)が言うように、愛情を受けて生まれたのか、それとも呪いを受けて生まれたのか、それは定かではない。
確かなのは、雑魔となった無数の金貨が近づく者を無差別に襲うということだけだ。
「死んだ人の金が襲う。まさに金の亡者とはそのものずばりですねぇ」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が冗談めかして口にするが、その瞳はけして明るい色を帯びていはいない。
「これ以上、勝手をさせる訳にもいきません。討伐して、供養してあげましょう」
メリエの続く言葉にハンター達はそれぞれ頷いた。
「それでは、よろしくお願いします」
ハンター達の意思を確かめた受付嬢は、彼らに改めて頭を下げる。
総勢八人のハンター達はそれぞれの準備を済ませ、戦いの場へと赴いた。
●
「最期を看取ったのは金のみか……」
焼け落ち、いまでは瓦礫の山となっている屋敷跡を見て、ロニ・カルディス(ka0551)がぽつりと呟いた。
「しかし、歪虚とはいえ、金貨まで浮かんだ上、火まで吐くとは……末恐ろしい話ですねぇ」
メリエはハンターオフィスで耳にした話を思い起こしながら歩を進める。彼女の目にも見え始めた。陽光を浴び、空中できらきらと輝く無数の金貨の群れが。
ハンター達は瓦礫と化した家を囲むように動き出す。侵入者の接近に気付いたのか、コインの一塊がゆらめき、向きを変える。さらに瓦礫の山に隠れていた数多の金貨達が一斉に浮き上がり、その姿を見せた。
「うわっ、思いの他多い……おじいさん、結構貯め込んでたみたい」
金貨の大群を目にしたフィーサ(ka4602)が驚きの声をあげる。実際、雑魔でさえなければ一財産となるであろう。
そう。空を舞い、火を吹くような怪物でさえなかったら。
「金の怪物だなんてコワいコワい! まァいいや、早いトコブチのめして小遣いとして頂いちゃいますか♪ なんせこっちも久しぶりに身体動かすし、オタノシミとして片付け終わった後のトレジャーハントも悪くなさそうじゃん?」
先程まで紙巻煙草で一服していたリオン(ka1757)はもうすでにナックルを身につけ、戦闘態勢だ。
物言わぬコインの群れは、ハンター達を敵と認めたらしい。
大海を泳ぐ小さな魚達のように、黄金のコインは群れをなしてハンター達へと襲いかかった。
●
雑魔を迎え撃つハンター達。
雑魔とはいえ見かけは金貨である。全てをかき集めた時の資産がいくらになるか想像できないほどの大群が、空を飛んで押し寄せてくるのだ。異様な光景ではあるが、ある意味夢のような景色と言えなくもない。
前衛に立つリオンの口元には明らかな笑みが浮かんでいた。
「ヘッヘ、コインぶっ壊さないようこっそり丁寧に……ってアレ?」
下心と共に敵へと拳を振るうリオン。彼女の攻撃は金貨の十数枚に命中する。リオンの目論見通り、コインの内の何枚かは原形をとどめたまま地に落ちたが、それらは綺麗に消滅してしまった。
「倒したと思ったらコインが消えて……? マジか……!」
一瞬だけ呆然と地を見つめていたリオン。しかしすぐに顔を上げ、空を舞う金貨達を睨みつける。
「こうなっちゃ加減する必要もねェなァ……? 片っ端から本気でギッタンギッタンにブチのめす! 期待させる見た目してんじゃねーぞタコ!」
リオンは両手のナックルを打ち合わせ、金貨の群れへと無慈悲な宣告をした。雑魔達は仲間が倒されてもひるまず、空へと舞い上がると再びリオンへと狙いをつける。
そのリオンの近くでイルミナルウィップを操り、同じように複数の金貨を叩き落したフィーサ。彼女の目の前でも、やはり金貨達は跡形も無く消滅した。
「うーん、やっぱり消えちゃうのか……ざんねーん」
あまりお金に関心は無いのか、フィーサは言葉ほどに残念がってはいないようだ。どちらかというと、雑魔に変化するほど金貨に執着した老人の方に興味があるらしい。
ダイ・ベルグロース(ka1769)は手の届かない場所にいる雑魔の群れに対し、大声を上げつつモーニングスターの柄で盾を叩いて音を出す。本来ならば敵を威嚇し、萎縮させる効果を持つスキル、『ブロウビート』。
ダイは敵を威嚇するというよりはおびき寄せるためにそれを用いたが、金貨達は彼の狙い通りに空を泳ぎ、距離を詰めてくる。
ダイが迎え撃とうと身構えたとき、金貨の群れ一体一体が突然ブレスを吐いた。小麦色のコインから生まれたるは真紅の炎。
ダイは金貨達の吹く炎に包まれたが、それほど大きなダメージは負っていない。彼は堅い獣皮や甲殻を持つ動物霊の力を借りて自身の防御力を高めるスキル、『動かざるもの』をあらかじめ使用していた。
火勢が治まるとダイはモーニングスターを振り回し、金貨の群れへと叩き付けた。星型の鉄球がコインの数体を激しく打ち、いくつかはひしゃげてそのまま空へと消えた。
ロニも後ろから敵の数を減らさんとシャドウブリットを撃つ。影が凝固したかのような黒い塊が光輝く金貨を覆う。その闇が消えた時、金貨は輝きを失い、その体をこの世に縛り付ける力から解き放たれた。
「金は天下の回り物……亡者め、ここで終わりだ」
メリエは試作振動刀「オートMURAMASA」で精緻な一閃を繰り出した。刃の動線上にいた金貨の数十体は真っ二つになり、消滅する。
「妄執が生んだ産物……としても、薄ら哀しい話ですね」
跡形もなく消えたコインを見て、メリエは呟いた。しかしコイン達はそんな感情を向けられていることにも気付けず、ただただ彼女に襲い掛かる。攻撃を盾で裁きつつ、哀しい存在となった者たちを無に帰すため、メリエは得物を振り続ける。
●
群れる金貨を挑発するかのように、焼けた屋敷の跡に足を踏み入れたのはナタナエル。栗色に染めているその髪も、今では覚醒の証か本来の銀色になっていた。
一部の金貨達はその動きに気付き、彼を排撃しようとまるで一本の矢のような隊列を組み、空を切り裂いて襲い掛かる。
『ランアウト』でナタナエルは雑魔と足場の悪い屋敷跡の両方から距離を取る。やがて敵を十分誘導できたことを確認すると、彼は金貨の群れに向き直った。
「主の元へ還るがいい」
ナタナエルはそう呟きながらウィップを操る。『スラッシュエッジ』の乗った鞭は風を切り、金貨の十数枚を地に叩き落とす。しかし金貨の群れはそのまま彼へと殺到した。ナタナエルは冷静に敵の動きを見切り、鮮やかなステップで敵の体当たりを回避した。金貨の群れはそのまま高くへと飛び上がり、反転すると彼へと再度降下した。
そこに、新たな金貨の群れが現れる。
「次から次へとキリが無いな」
彼の瞳が深紅に染まる。
蛇のように細くなった瞳孔で敵を見据え、ナタナエルは呟いた。
そんな中、屋敷の側で舞い踊る金貨の群れと相対しているのは澪。
澪は太刀「國近」を大きく振り、雑魔達が後衛側へと向かわないように努めている。牽制が主であったが、太刀が空中に軌跡を描くたび、浮かぶ金貨の数は着実に減っていった。
澪は地下室へと続く階段を探したいと思っていたが、さすがに無数に浮かぶ金貨達がそれを許してはくれなかった。
その後方でアバルトはライフル「ペネトレイトC26」を手に金貨の群れを狙い撃つ。『強弾』による射撃は着実に敵の数を減らしていく。
「澪! 右からも来るぞ!」
一旦瓦礫の中に潜み、澪を狙って踊りかかる金貨の群れ。それをいち早く察知したアバルトは彼女に注意を喚起する。
澪はその声にすばやく身を伏せた。その頭上を無数の雑魔が通りすぎる。体当たりを避けられた金貨達は再び宙に浮き上がるが、アバルトはそれを狙い銃のトリガーを引く。
飛来した弾丸によって風穴の開いた金貨達は空中でそのまま滅した。
突然の横槍を上手く回避した澪も目の前にまだ残っている金貨の一群へと刃を振るい、上段から切り伏せる。
短時間の内に、金貨の群れはその数を大きく減らしていた。雑魔達は敵対する相手の中で、後方にいる者達を狙って動きだす。
「ここから先に行きたければ、有り金全て置いていくことだな」
しかし、自分の側を通りぬけようとしたコイン達に、ロニがシェルバックラーを叩き付けた。衝撃に金貨の塊は宙にばっと広がる。しかし再び一塊となり、今度はロニを標的として彼を襲う。ロニは戦槍「ボロフグイ」を空へと一閃させた。
回り込み、アバルトへと襲い掛かろうとした群れにはダイが立ちふさがり、その目的を果たさせない。ダイの振り回した得物に激しく打たれる金貨の群れ。ややあって雑魔達は体勢を整えたものの、そこを狙ってアバルトの銃が火を吹いた。銃弾に穿たれたコインはかりそめの命を失い、地に落ちて朝露のように消える。
目的を果たすことができなかった金貨達は、それでも動きを止めず、やみくもにハンター達へと攻撃を続けるが、もはや戦いの趨勢は見えていた。
「これだけの金貨……歪虚化してなければどれぐらいあったんだろ」
シールド「カエトラ」で敵の体当たりを受け止めるメリエ。甲高い金属音を響かせながら無数の金貨は盾により弾かれる。
「……が! なったものはしょうがない! ここで塵に還ってもらいます!」
彼女が斬撃を見舞うと、コインの一群は叩き切られて言葉の通り消滅する。
ナタナエルもまだ残る敵へと鞭を振るう。空を切る音が響くたび、金貨は動く数を減らしていく。
「これで終わりか?」
ナタナエルと相対していた群れもやがて全てが消滅した。
「釣りは要らねェ……とっときなァ!」
リオンの威勢のいい声と共に、『スラッシュエッジ』の込められた必殺の右ストレートが放たれる。金貨の雑魔はその威力に抗しきれず、多数のコインが空中で弾け飛んだ。
フィーサもイルミナルウィップを自在に操る。きらめくコインを上回るまばゆい光が空に複雑な軌跡を描くと、数多の金貨はばらばらに払い落とされ、二度と動くことはなくなった。
ハンター達が持てる力を駆使した結果、さして時間がかかることもなく、老人の残していった金貨達はやがて全てが無に帰した。辺りはさっきまでの戦いの音が嘘のように静まり返っている。
ダイは今回の事件の発端となった場所へと視線を向ける。
「俺は金っていうのは本来は見ず知らずの人とも物とかを交換しやすくする道具だと思うんだよな。自分の為に物を作ったり仕事をしてくれる人がいないと価値も生まれないと思う」
守護者を失い、完全な廃墟と化した老人の家を見つめたまま、ダイが悲しげに呟いた。
お金以外を何も愛することの出来ない老人によって地下に貯めこまれ、そのまま誰の手に渡ることもなく消滅してしまった無数の金貨達。
「本当に金が命よりも重いかどうかなんて、誰にも分からないことだ」
ロニも誰にともなく言葉を吐き出した。
老人がもし彼らの言葉を耳にしたら、いったい何と思っただろう。
しかし、老人はすでにこの世にない。金貨への妄執とともに、遠いところへと行ってしまった。そして今、老人が大事にしていた金貨達もその後を追ったのだ。ハンター達の手によって。
場違いなほどに明るい陽光の下、彼らはしばらく無言で立ち尽くした。
●
戦い終わって。
ロニの癒しの力により、ハンター達の傷は全てがふさがった。
傷が治ったハンター達は瓦礫に埋もれている地下室への入り口を探しだした。ナタナエルやフィーサをはじめとした彼らは、可能ならば老人の遺骨を埋葬してあげたいと考えていたのである。リオンも、こーゆーのサービス外なんだケド……とぼやきながらもせっせと瓦礫の除去を行っていた。
「地下の入口……これかな?」
焼け焦げた木片をどかしたナタナエルが呟いた。彼の言葉の通り、煤にまみれた地下への入り口が瓦礫の下に見えている。最後の障害物を取り除くハンター達。
しかし、もう燃え尽きている可能性があるものの、地下にあるのはおそらく人骨だ。
――あまり女性には見せたくない気がするけど、大丈夫かな?
と考えたナタナエルだったが、むしろ澪やフィーサといった女性陣が積極的に地下へ行こうと階段へ真っ先に足を踏み出した。
さすがに八人全員が地下へと降りるスペースもなく、澪とフィーサの二人を含めた数人が階段をゆっくりと下りていく。一階の床は一部が壊れ落ち、そこから光が漏れて、地下といえど灯りがなくても仄見える程度の暗さである。
その先にあったのは、ほとんどが灰と化してしまった老人のなれの果てであった。
亡骸を目にした澪は両手を合わせ、手短に祈りを捧げた。
その隣でフィーサも悲しそうに呟く。
「そっか、この人が……こんな所で孤独になんて、何とも寂しい最期だね……」
綺麗な布で原形を残した一部の骨を包み、彼らはやがて階上へと戻った。
●
澄み渡った空に弔いの鐘が鳴り響く。
今回の依頼を行った近隣の村人達の協力もあり、墓地の一画に老人の墓が作られた。中にはハンター達が地下室から持ち帰った遺骨が納められている。
「亡くなった老人も、人を信じたかったのかもなあ」
ダイはぽつりと呟いた。人付き合いの全くなかったという老人。しかし、遺骨となった老人の為に集まった村人の数は多かった。
「そっちでは、心穏やかに過ごしてください」
ナタナエルはその隣で老人の死後の幸福を祈っている。
二人は各々が準備した弔いの為の花を捧げる。
メリエ、澪も老人の為に祈った。
八人のハンター達が見守る中、村人の手によって土が被せられ始める。その時、フィーサがあるものを投げ入れた。
黄金色に輝くそれは放物線を描き、老人の墓へと吸い込まれる。
「……Господи помилуй.(主の慈悲があらんことを)ま、あたしは無神教なんだけどねー」
フィーサが投じたのは一枚のエンジェル金貨。表に天使の絵が刻印され、この世界では無病息災のお守りとなるそれは、きっと老人をあの世で守護し続けることだろう。
「……金貨が雑魔化するとは、人の業とはどこまで深いのだろうな。元が何であれ、雑魔である以上退治せねばなるまい。俺も尽力させて貰おう」
受付嬢の言葉を最後まで聞き、アバルト・ジンツァー(ka0895)はそう答えた。
「大切にしていた金貨が雑魔になっちゃうなんて、おじいさんちょっとかわいそう……」
和泉 澪(ka4070)が悲しそうに囁く。
「主の死後なお屋敷を守るように飛ぶ金貨、か……きっとお金も自分達が大切にされていた事がわかっていたのかもしれないね……それとも、執念が生み出した呪いみたいなものなのかな?」
ナタナエル(ka3884)が言うように、愛情を受けて生まれたのか、それとも呪いを受けて生まれたのか、それは定かではない。
確かなのは、雑魔となった無数の金貨が近づく者を無差別に襲うということだけだ。
「死んだ人の金が襲う。まさに金の亡者とはそのものずばりですねぇ」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)が冗談めかして口にするが、その瞳はけして明るい色を帯びていはいない。
「これ以上、勝手をさせる訳にもいきません。討伐して、供養してあげましょう」
メリエの続く言葉にハンター達はそれぞれ頷いた。
「それでは、よろしくお願いします」
ハンター達の意思を確かめた受付嬢は、彼らに改めて頭を下げる。
総勢八人のハンター達はそれぞれの準備を済ませ、戦いの場へと赴いた。
●
「最期を看取ったのは金のみか……」
焼け落ち、いまでは瓦礫の山となっている屋敷跡を見て、ロニ・カルディス(ka0551)がぽつりと呟いた。
「しかし、歪虚とはいえ、金貨まで浮かんだ上、火まで吐くとは……末恐ろしい話ですねぇ」
メリエはハンターオフィスで耳にした話を思い起こしながら歩を進める。彼女の目にも見え始めた。陽光を浴び、空中できらきらと輝く無数の金貨の群れが。
ハンター達は瓦礫と化した家を囲むように動き出す。侵入者の接近に気付いたのか、コインの一塊がゆらめき、向きを変える。さらに瓦礫の山に隠れていた数多の金貨達が一斉に浮き上がり、その姿を見せた。
「うわっ、思いの他多い……おじいさん、結構貯め込んでたみたい」
金貨の大群を目にしたフィーサ(ka4602)が驚きの声をあげる。実際、雑魔でさえなければ一財産となるであろう。
そう。空を舞い、火を吹くような怪物でさえなかったら。
「金の怪物だなんてコワいコワい! まァいいや、早いトコブチのめして小遣いとして頂いちゃいますか♪ なんせこっちも久しぶりに身体動かすし、オタノシミとして片付け終わった後のトレジャーハントも悪くなさそうじゃん?」
先程まで紙巻煙草で一服していたリオン(ka1757)はもうすでにナックルを身につけ、戦闘態勢だ。
物言わぬコインの群れは、ハンター達を敵と認めたらしい。
大海を泳ぐ小さな魚達のように、黄金のコインは群れをなしてハンター達へと襲いかかった。
●
雑魔を迎え撃つハンター達。
雑魔とはいえ見かけは金貨である。全てをかき集めた時の資産がいくらになるか想像できないほどの大群が、空を飛んで押し寄せてくるのだ。異様な光景ではあるが、ある意味夢のような景色と言えなくもない。
前衛に立つリオンの口元には明らかな笑みが浮かんでいた。
「ヘッヘ、コインぶっ壊さないようこっそり丁寧に……ってアレ?」
下心と共に敵へと拳を振るうリオン。彼女の攻撃は金貨の十数枚に命中する。リオンの目論見通り、コインの内の何枚かは原形をとどめたまま地に落ちたが、それらは綺麗に消滅してしまった。
「倒したと思ったらコインが消えて……? マジか……!」
一瞬だけ呆然と地を見つめていたリオン。しかしすぐに顔を上げ、空を舞う金貨達を睨みつける。
「こうなっちゃ加減する必要もねェなァ……? 片っ端から本気でギッタンギッタンにブチのめす! 期待させる見た目してんじゃねーぞタコ!」
リオンは両手のナックルを打ち合わせ、金貨の群れへと無慈悲な宣告をした。雑魔達は仲間が倒されてもひるまず、空へと舞い上がると再びリオンへと狙いをつける。
そのリオンの近くでイルミナルウィップを操り、同じように複数の金貨を叩き落したフィーサ。彼女の目の前でも、やはり金貨達は跡形も無く消滅した。
「うーん、やっぱり消えちゃうのか……ざんねーん」
あまりお金に関心は無いのか、フィーサは言葉ほどに残念がってはいないようだ。どちらかというと、雑魔に変化するほど金貨に執着した老人の方に興味があるらしい。
ダイ・ベルグロース(ka1769)は手の届かない場所にいる雑魔の群れに対し、大声を上げつつモーニングスターの柄で盾を叩いて音を出す。本来ならば敵を威嚇し、萎縮させる効果を持つスキル、『ブロウビート』。
ダイは敵を威嚇するというよりはおびき寄せるためにそれを用いたが、金貨達は彼の狙い通りに空を泳ぎ、距離を詰めてくる。
ダイが迎え撃とうと身構えたとき、金貨の群れ一体一体が突然ブレスを吐いた。小麦色のコインから生まれたるは真紅の炎。
ダイは金貨達の吹く炎に包まれたが、それほど大きなダメージは負っていない。彼は堅い獣皮や甲殻を持つ動物霊の力を借りて自身の防御力を高めるスキル、『動かざるもの』をあらかじめ使用していた。
火勢が治まるとダイはモーニングスターを振り回し、金貨の群れへと叩き付けた。星型の鉄球がコインの数体を激しく打ち、いくつかはひしゃげてそのまま空へと消えた。
ロニも後ろから敵の数を減らさんとシャドウブリットを撃つ。影が凝固したかのような黒い塊が光輝く金貨を覆う。その闇が消えた時、金貨は輝きを失い、その体をこの世に縛り付ける力から解き放たれた。
「金は天下の回り物……亡者め、ここで終わりだ」
メリエは試作振動刀「オートMURAMASA」で精緻な一閃を繰り出した。刃の動線上にいた金貨の数十体は真っ二つになり、消滅する。
「妄執が生んだ産物……としても、薄ら哀しい話ですね」
跡形もなく消えたコインを見て、メリエは呟いた。しかしコイン達はそんな感情を向けられていることにも気付けず、ただただ彼女に襲い掛かる。攻撃を盾で裁きつつ、哀しい存在となった者たちを無に帰すため、メリエは得物を振り続ける。
●
群れる金貨を挑発するかのように、焼けた屋敷の跡に足を踏み入れたのはナタナエル。栗色に染めているその髪も、今では覚醒の証か本来の銀色になっていた。
一部の金貨達はその動きに気付き、彼を排撃しようとまるで一本の矢のような隊列を組み、空を切り裂いて襲い掛かる。
『ランアウト』でナタナエルは雑魔と足場の悪い屋敷跡の両方から距離を取る。やがて敵を十分誘導できたことを確認すると、彼は金貨の群れに向き直った。
「主の元へ還るがいい」
ナタナエルはそう呟きながらウィップを操る。『スラッシュエッジ』の乗った鞭は風を切り、金貨の十数枚を地に叩き落とす。しかし金貨の群れはそのまま彼へと殺到した。ナタナエルは冷静に敵の動きを見切り、鮮やかなステップで敵の体当たりを回避した。金貨の群れはそのまま高くへと飛び上がり、反転すると彼へと再度降下した。
そこに、新たな金貨の群れが現れる。
「次から次へとキリが無いな」
彼の瞳が深紅に染まる。
蛇のように細くなった瞳孔で敵を見据え、ナタナエルは呟いた。
そんな中、屋敷の側で舞い踊る金貨の群れと相対しているのは澪。
澪は太刀「國近」を大きく振り、雑魔達が後衛側へと向かわないように努めている。牽制が主であったが、太刀が空中に軌跡を描くたび、浮かぶ金貨の数は着実に減っていった。
澪は地下室へと続く階段を探したいと思っていたが、さすがに無数に浮かぶ金貨達がそれを許してはくれなかった。
その後方でアバルトはライフル「ペネトレイトC26」を手に金貨の群れを狙い撃つ。『強弾』による射撃は着実に敵の数を減らしていく。
「澪! 右からも来るぞ!」
一旦瓦礫の中に潜み、澪を狙って踊りかかる金貨の群れ。それをいち早く察知したアバルトは彼女に注意を喚起する。
澪はその声にすばやく身を伏せた。その頭上を無数の雑魔が通りすぎる。体当たりを避けられた金貨達は再び宙に浮き上がるが、アバルトはそれを狙い銃のトリガーを引く。
飛来した弾丸によって風穴の開いた金貨達は空中でそのまま滅した。
突然の横槍を上手く回避した澪も目の前にまだ残っている金貨の一群へと刃を振るい、上段から切り伏せる。
短時間の内に、金貨の群れはその数を大きく減らしていた。雑魔達は敵対する相手の中で、後方にいる者達を狙って動きだす。
「ここから先に行きたければ、有り金全て置いていくことだな」
しかし、自分の側を通りぬけようとしたコイン達に、ロニがシェルバックラーを叩き付けた。衝撃に金貨の塊は宙にばっと広がる。しかし再び一塊となり、今度はロニを標的として彼を襲う。ロニは戦槍「ボロフグイ」を空へと一閃させた。
回り込み、アバルトへと襲い掛かろうとした群れにはダイが立ちふさがり、その目的を果たさせない。ダイの振り回した得物に激しく打たれる金貨の群れ。ややあって雑魔達は体勢を整えたものの、そこを狙ってアバルトの銃が火を吹いた。銃弾に穿たれたコインはかりそめの命を失い、地に落ちて朝露のように消える。
目的を果たすことができなかった金貨達は、それでも動きを止めず、やみくもにハンター達へと攻撃を続けるが、もはや戦いの趨勢は見えていた。
「これだけの金貨……歪虚化してなければどれぐらいあったんだろ」
シールド「カエトラ」で敵の体当たりを受け止めるメリエ。甲高い金属音を響かせながら無数の金貨は盾により弾かれる。
「……が! なったものはしょうがない! ここで塵に還ってもらいます!」
彼女が斬撃を見舞うと、コインの一群は叩き切られて言葉の通り消滅する。
ナタナエルもまだ残る敵へと鞭を振るう。空を切る音が響くたび、金貨は動く数を減らしていく。
「これで終わりか?」
ナタナエルと相対していた群れもやがて全てが消滅した。
「釣りは要らねェ……とっときなァ!」
リオンの威勢のいい声と共に、『スラッシュエッジ』の込められた必殺の右ストレートが放たれる。金貨の雑魔はその威力に抗しきれず、多数のコインが空中で弾け飛んだ。
フィーサもイルミナルウィップを自在に操る。きらめくコインを上回るまばゆい光が空に複雑な軌跡を描くと、数多の金貨はばらばらに払い落とされ、二度と動くことはなくなった。
ハンター達が持てる力を駆使した結果、さして時間がかかることもなく、老人の残していった金貨達はやがて全てが無に帰した。辺りはさっきまでの戦いの音が嘘のように静まり返っている。
ダイは今回の事件の発端となった場所へと視線を向ける。
「俺は金っていうのは本来は見ず知らずの人とも物とかを交換しやすくする道具だと思うんだよな。自分の為に物を作ったり仕事をしてくれる人がいないと価値も生まれないと思う」
守護者を失い、完全な廃墟と化した老人の家を見つめたまま、ダイが悲しげに呟いた。
お金以外を何も愛することの出来ない老人によって地下に貯めこまれ、そのまま誰の手に渡ることもなく消滅してしまった無数の金貨達。
「本当に金が命よりも重いかどうかなんて、誰にも分からないことだ」
ロニも誰にともなく言葉を吐き出した。
老人がもし彼らの言葉を耳にしたら、いったい何と思っただろう。
しかし、老人はすでにこの世にない。金貨への妄執とともに、遠いところへと行ってしまった。そして今、老人が大事にしていた金貨達もその後を追ったのだ。ハンター達の手によって。
場違いなほどに明るい陽光の下、彼らはしばらく無言で立ち尽くした。
●
戦い終わって。
ロニの癒しの力により、ハンター達の傷は全てがふさがった。
傷が治ったハンター達は瓦礫に埋もれている地下室への入り口を探しだした。ナタナエルやフィーサをはじめとした彼らは、可能ならば老人の遺骨を埋葬してあげたいと考えていたのである。リオンも、こーゆーのサービス外なんだケド……とぼやきながらもせっせと瓦礫の除去を行っていた。
「地下の入口……これかな?」
焼け焦げた木片をどかしたナタナエルが呟いた。彼の言葉の通り、煤にまみれた地下への入り口が瓦礫の下に見えている。最後の障害物を取り除くハンター達。
しかし、もう燃え尽きている可能性があるものの、地下にあるのはおそらく人骨だ。
――あまり女性には見せたくない気がするけど、大丈夫かな?
と考えたナタナエルだったが、むしろ澪やフィーサといった女性陣が積極的に地下へ行こうと階段へ真っ先に足を踏み出した。
さすがに八人全員が地下へと降りるスペースもなく、澪とフィーサの二人を含めた数人が階段をゆっくりと下りていく。一階の床は一部が壊れ落ち、そこから光が漏れて、地下といえど灯りがなくても仄見える程度の暗さである。
その先にあったのは、ほとんどが灰と化してしまった老人のなれの果てであった。
亡骸を目にした澪は両手を合わせ、手短に祈りを捧げた。
その隣でフィーサも悲しそうに呟く。
「そっか、この人が……こんな所で孤独になんて、何とも寂しい最期だね……」
綺麗な布で原形を残した一部の骨を包み、彼らはやがて階上へと戻った。
●
澄み渡った空に弔いの鐘が鳴り響く。
今回の依頼を行った近隣の村人達の協力もあり、墓地の一画に老人の墓が作られた。中にはハンター達が地下室から持ち帰った遺骨が納められている。
「亡くなった老人も、人を信じたかったのかもなあ」
ダイはぽつりと呟いた。人付き合いの全くなかったという老人。しかし、遺骨となった老人の為に集まった村人の数は多かった。
「そっちでは、心穏やかに過ごしてください」
ナタナエルはその隣で老人の死後の幸福を祈っている。
二人は各々が準備した弔いの為の花を捧げる。
メリエ、澪も老人の為に祈った。
八人のハンター達が見守る中、村人の手によって土が被せられ始める。その時、フィーサがあるものを投げ入れた。
黄金色に輝くそれは放物線を描き、老人の墓へと吸い込まれる。
「……Господи помилуй.(主の慈悲があらんことを)ま、あたしは無神教なんだけどねー」
フィーサが投じたのは一枚のエンジェル金貨。表に天使の絵が刻印され、この世界では無病息災のお守りとなるそれは、きっと老人をあの世で守護し続けることだろう。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/07 19:23:03 |
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相談卓 和泉 澪(ka4070) 人間(リアルブルー)|19才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/04/11 06:54:07 |