形見

マスター:旅硝子

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2014/07/05 07:30
完成日
2014/07/08 03:14

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

「レネンシアお姉ちゃんへ。

 ハンターのお仕事は、じゅんちょうですか。
 この間のお手紙の、コボルドをたおして子羊と男の子を助けた話、ドキドキしながら読みました。みんなぶじで、本当に良かった!
 マリーシカは、ようやく毛織物を1人で任せてもらえるようになりました。
 まだまだ上手じゃないけど、できあがったらお父さんが街で売ってきてくれるんだって。
 お姉ちゃんがハンターして送ってくれたお金と、わたしの織物を売ったお金で、お父さんとお母さん、それにイルテスキーを助けてあげたいな。
 ししゅうもしたら、もっと高く売れるかもしれないね。わたしのししゅうがとても上手って一番ほめてくれたのは、お姉ちゃんだもんね。
 いっぱいししゅうしたハンカチ、大事に持っていってくれたけど、まだ使ってくれてるかな? ボロボロになっちゃったら、あたらしいのを送ります。
 それじゃ、体に気をつけてね。けがとかしないでね。
 お姉ちゃんに、マリーシカのしんあいのキスをたくさんたくさんおくります。

 あいするレネンシアお姉ちゃんの妹 マリーシカ」

 ハンターズソサエティに送られたこの手紙が、受け取り主に読まれることは――永遠に、ない。

「3人で依頼を受けたハンター達が、帰り道で大量の歪虚に遭遇……1人は死亡し、2人は何とか帝国軍の詰め所に辿り着いて歪虚の存在を告げましたが、まだベッドから起き上がれない重傷を負っています」
 詳細は受付にて、と書かれた依頼書を確認し、集まったハンター達に、静かに受付の女性は告げた。
「帝国軍によって歪虚は退治されましたが、亡くなったハンターの死体は回収できなかったとのこと。生き延びたハンター達が何とか預かって持ち帰ることのできた遺品が、届いています……」
 そっと置かれたのは、一振りの短剣と古びたハンカチーフ。
 短剣は丁寧に手入れされており、戦いに使うよりはナイフ代わりに日常的に使っていたようだと思われる。古びたハンカチーフには点々と血が付き、やや色褪せてしまった、けれど美しい刺繍の花々を赤に染めている。
「ハンターの名は、レネンシアさん。16歳の女性です。ハンターとして登録したのは2年前、それ以来は闘狩人として常に前線で戦っていたらしいのですが、今回は仲間達を庇って最期まで戦い抜いたとのこと……そのおかげで自分達は帰って来られたと、逃げ延びたハンター達が感謝して、そして――嘆いていました」
 彼らが必死に持って帰ってきた短剣は、彼女がハンターとなった最初に買ったものだと。
 ハンカチーフは、故郷を出る餞別にと妹が刺繍してくれたのだと、よく自慢していたと。
 ハンター達は語り、ハンターズソサエティに遺品を託したのだという。
「この遺品を、ご家族に届け……レネンシアさんの死を、伝えていただけないでしょうか。辛いお仕事とはわかっていますけど……」
 ハンター達が頷いたのを確かめ、受付の女性はそっと2つの遺品を包み直す。そして、ハンター達にそっと丁寧に手渡した。
 さらに、2通の手紙をその上に置く。
「こちらは、レネンシアさんの妹さんから届いた手紙です。……彼女が依頼に出発したのと、入れ違いでした。
 そして、こちらはレネンシアさんが借りていた部屋の、机の引き出しから見つかったものです。レネンシアさんの署名がありますから、ご本人のものでしょう。……家族へ、と書いてあります。こちらも、どうか届けてあげてください」
 そっと頭を下げた女性は、顔を上げぬまま手で覆い、嗚咽を零した。
「よろしくお願いいたします。……レネンシアさんは、依頼を受ける時もいつも丁寧で、優しいお嬢さんでした。私も……大好きでした」
 家族から、同僚から、そして目の前の女性から、愛された少女は――もう、いない。

リプレイ本文

 ――亡き人の思い出というのは、なぜこんなにも美しいものになるのだろう。
 エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)の手元のノートは、エヴァが出来るだけたくさんの人から聞いたレネンシアの記録を、書き綴ったもの。
 それを一番知っているのは、育てた両親かも知れないけれど――彼らの知らないレネンシアは、確かに存在して。
 ハンターとして、生きていた。
 トルテ・リューンベリ(ka0640)は、そんなハンターとしてのレネンシアを知る者の1人だ。他愛もない話で、腹を抱えて笑ったこと。レネンシアが向ける笑顔。
「職業柄、人の死には立ち会うことも多かったが……、やはり辛い」
 今回は、特に。
「レネンシアさんって、私と同い年なんだね」
 小さな包みを抱き締めるように持ちながら、白遥 テンカ(ka1007)は薄く笑んだ。
「とてもやさしくていい子だったんだね……もし生きてたなら、友達になってみたかったなぁ、なんて」
 普段から彼女の喜怒哀楽の感情は、全て笑みとなって顔に出る。今の微笑みは――どこか、痛みを伴うように見えた。
(私はレネンシアさんについて、人から聞いた話しか知らない……)
 天竜寺 詩(ka0396)が、ぎゅ、と拳を握る。
(そんな私に何が言えるのかな? 通り一遍の慰めを言う事は出来る。だけど本当にそれでいいのかな?)
 彼女について、知ることは出来たのかもしれない。手元の手紙を開封すれば。
 けれど、それを選ぶ者はいなかった。知る者は知ることを、知らぬ者は知らぬままに、伝えようと思ったのだ。
「ええ、レネンシアさん……とても良い方だったのですわね」
 やや遅れて、テンカの言葉にウィルヘルミナ=スピナハイム(ka1625)が頷いた。
 表情はやや硬いけれど、まだ他人事なのかもしれない。彼女にとって、知らない人の死は。
(亡くなった事を、どうやって伝えるのが良いのでしょうかね? こういう経験はありませんので、結構迷いますわね)
 だからこそ、冷静に考える余裕がある。
「悲しいことだけど……最善を尽くすけど、いつだってハンターも関係する方々も、みんなが無事で終わるって事ばかりではないものね」
 反対に、リアリュール(ka2003)の悲しみは、本人を知るだけに、深い。
(レネンシアさんと知り合った時間の短い私も悲しいけれど、レネンシアさんの家族はもっと、よね)
 愛する家族の死を知った人々は、どうするだろう。何を言い、どんな態度を取るのだろう。
 どのような反応も、大きな痛みと苦しみを伴うに違いない。
「受け入れるのは辛いことよね。ハンターだから危険なことに遭うかもとは考えても、まさかって思うものね」
 唇を引き締める者。小さく頷く者。黙って、前を見つめる者。
 レネンシアの実家は、目の前に迫っていた。

「始めまして、私達、ハンターズソサエティから参りました。私はリアリュールです」
 ノックに応えて姿を現した中年の女性に、リアリュールが先頭に立って微笑みとともに応対する。
「では、ハンターさん達ですか? あの……この辺りで、依頼でもあったのかしら?」
 それでしたらご協力できますけれど、とにっこり笑う女性の姿に、生前のレネンシアを知るリアリュール、そしてトルテは心の中で頷く。
 ああ――この人は間違いなく、レネンシアの母親だ。
 だって、笑顔がそっくりだもの。
「少し、お話させていただきたいことがあります。あの、ぶしつけで申し訳ありませんが、中でお話できませんか?」
「妾はトルテと申すものじゃ。本日は……レネンシア殿について、お知らせすべき事があり、参った次第じゃ……」
 ただならぬ様子に、こくり、と母親の喉が動く。
 けれど、それ以上尋ねることはなく。
「わかりました。主人と娘を呼びますから、中でお待ちくださいね」
 そう言って、母親はハンター達を家の中に通す。ドアを通り抜けたテンカの頬からは、いつからか笑みが消えていた。――笑うことが、できなかった。
 ウィルヘルミナの頬に、緊張が走った。思っていたよりも――ずっと、己の任務が重大であることに気付いて。
 程なくして、母親に呼ばれて父親であろう男性と、妹であろう少女が揃う。
 ハンター達の間で見交わされる視線。そっと動いたのは、エヴァであった。
 スケッチブックにさらりとペンを走らせ、『こちらに、目を通していただけますか』と示しながら、ノートを差し出す。
 仲間であったハンター達の言葉。レネンシアの死因。遺体は回収できなかったこと。
 紙をめくる音だけが、静まり返った部屋に響いた。父親が唇を強く噛む。母親がハンカチを目に当てる。
『心からお悔やみ申し上げます』
 エヴァが苦いものを食べた時のような顔で、スケッチブックを示す。それと同時に、ハンター達が哀悼の意を込めて深く頭を下げた。
「ねぇ……誰が亡くなったの?」
 黙り込んだままハンターと両親の顔を交互に見ていたマリーシカが、声を上げる。
「マリーシカ殿、レネンシア殿は……姉君は、歪虚との戦いで、お亡くなりになった……」
 ぎゅ、とトルテの握り締めたスカートに皺が寄る。マリーシカが、口を小さく開けたまま動きを止める。
「どうか、安らかに休まれんことを……」
 職業柄悔やみの言葉を述べられないトルテは、祈りの言葉を口にする。
 呼吸も忘れたように見えた小さなマリーシカの体が――大声を、絞り出した。
「うそよ!」
「マリーシカ」
 母親が震える声で彼女を制する。けれど、彼女は強く首を振って。
「うそよ、うそうそ。おねえちゃんが、死ぬわけないもの。おねえちゃんは……」
 ――けれど。
 彼女がそのような冗談を行う人柄ではなかったことは、きっと家族が一番知っている。
「…………う……わ、あ、あ……あああああああ!」
 慟哭が溢れ出し、体が耐え切れずに崩れ落ちる。
「……ぁ……」
 ウィルへルミナの口から、小さな呻きが漏れた。
 そう。確かに彼女は、この依頼を軽く見ていたのだ。つい、さっきまで。
 今はもう、そんなことは思えない。
(何で想像できなかったのでしょう。もう親しい人に会えないのは、とてもつらい事でしたのに!)
 思わずふらふらと駆け出したウィルへルミナは、かくんとマリーシカの前に膝をついた。
 床に座り込んで泣くマリーシカの前で、また彼女の瞳からも涙があふれ出す。
「許して……許してくださいまし……ううっ……許してくださいまし……うぐっ、えくっ……!」
 思わず抱き締めた小さな体が、ぎゅっとウィルへルミナを抱き締め返した。罪悪感と悲しみでいっぱいになった心の抑えきれない嗚咽が、抑えることもできない慟哭と重なる。
『こちらは、妹さんにはご両親からお見せするかどうか、判断していただきたいのです』
 エヴァが渡した紙を指して、スケッチブックで伝えた言葉に、両親は深く頷く。
「……レネンシアさんとは、私がハンターを始めた時に一度、依頼でお世話になったんです」
 リアリュールが、そっと口を開いた。
「優しくて、私達新米にもとても気を使ってくれて、とても頼りになる方だった。みんなを引っ張って、一番先頭で戦って……私達を、勇気付けてくれたわ」
「そうですか。あの……レネンシアが」
 父親が、噛み締めるように呟く。
「元から、一番最初に何でも走って行ってましたもの。でも、そんな頼れる人に……なっていたのね……」
 しゃくりあげるのを堪えるように、母親が頷く。
 いくつかの質問に、リアリュールは誠実に答えた。彼女が話せる限りの、レネンシアについて。
「レネンシア殿に救われたハンターも、ハンターズソサエティの受付も、レネンシアが亡くなったことを嘆いておりました。……レネンシア殿がいたから、ハンター達は生きて帰って来られた」
 ふ、と息を吐き、トルテは胸の中にレネンシアの笑顔を思い浮かべてから、再び口を開く。
「こちらの。……形見の品だけを、お持ちできたのじゃが」
 テンカが胸の前に抱えていた短剣とハンカチの包みを、そっと父親に手渡す。
「これは……」
「レネンシアさんが使っていた短剣と、ずっと持ち歩いていたハンカチです」
 顔を上げたマリーシカが、じっとハンカチに視線を注ぐ。
「とても綺麗な刺繍ね、マリーシカちゃんがレネンシアさんに、お姉ちゃんに縫ってあげたの?」
 そう尋ねたリアリュールに、マリーシカが何度も何度も頷く。
「とても誇らしそうにして、私に見せてくれたことがあったわ」
「レネンシア殿は、このハンカチをよく自慢しておった。刺繍が大の得意な妹がいて、とても可愛いと。それにご両親のことも……」
 リアリュールとトルテの言葉に、両親がはっと顔を見合わせ、新たに溢れてきた涙を拭って頷く。妹の慟哭が、大きくなる。
「依頼でも、皆のために率先して前に出る、そんな勇敢な人じゃった。レネンシア殿は」
「レネンシアさんには、周りの人を惹きつける魅力があったのね」
 2人の話に、詩はじっと考える。姉としてのレネンシアと、そして自分の姉のこと。
(話に聞いたレネンシアさんは、なんだか私のお姉ちゃんに似てた)
 詩の姉も、詩を可愛がり、よく詩のことを自慢している。
 それに――。
(私がハンターになるって決めた時お姉ちゃんもハンターになった。お姉ちゃんは何も言わないけど、多分私を心配して、私を守る為にハンターになったんだと思う)
「……きっと、レネンシアさんも。家族の為に、家族を守りたいって思って。だからハンターになったんじゃないかな」
 今まで黙ったまま考えていた詩の言葉に、両親とマリーシカが顔を上げる。
 そこに、エヴァがそっとスケッチブックを持ち上げた。
『彼女が助かる道は、多分ありました』
 そして、次の言葉を――ゆっくりとした速度だけれど、思いを文字に込めて。
『仲間の命と引き換えに、ですが』
『それでも彼女は仲間の生存を優先しました』
 ああ、と母親の唇から声が漏れた。父親が、揺らぐその肩を支えて、涙の粒をぐいと拭った。
『ご両親からすれば、その判断が最善策にしか思えないでしょう。思わなくて当然です。あなた方の娘は他の人ではない、レネンシアさんただ一人なんですから』
 ぎゅ、とエヴァの唇が、引き結ばれて。
『それでも、忘れないでほしい』
 じっと、6つの目がスケッチブックを見つめ、書き綴るエヴァの指を見つめる。
『あなた方の娘さんが守ったものの大きさを
 守る為の決断に、どれほどの恐怖と、それを上回る優しさがあったのかを
 その優しさを育てたのは、他でもなくあなた方なのだと言うことを』
 そう、長くかかって考えながら書き上げた言葉に、両親は瞳を潤ませながら何度も頷く。
 今は、悲しみの方がずっと大きいだろうけど。
 それでも、誇りに思って欲しいと。
「……うん。レネンシアさんって、すごいと思います」
 真剣な顔で、こくりと頷いてテンカはそう続ける。
「誰かを庇うってそんな簡単な事じゃないと思うんです、だって痛い思いをするの自分だし、現に彼女は……亡くなってしまったわけですし」
 胸が、痛い。
 人の死に、そして家族を喪った苦しみに、向き合う痛みなのだろう。
「わたしと同い年の子が、誰かの為に命を懸けて戦ってる。それって凄くカッコイイと思いました。だってわたしはきっと、彼女と同じことなんてできない。誰かの為に命を懸けるなんて、今の私にはできっこない」
 だから、と少し考えてから、テンカは口を開いて。
「その、胸を張っていいと思うんです、貴方達の娘さんは、誰かの為に戦える人だって。ヒーローみたいに、すっごくカッコイイ人なんだって」
 両親は深く頷いたけれど、あーもう、わたし何言ってんだろうね、とテンカは唇を噛む。
(わかってるよー何も経験してない奴が何言ってんだって事ぐらいさぁ)
 まだ、彼女は知らない。大切な人を喪った痛み。苦しみ。
(でも、亡くなった彼女が、家族に、いろんな人に愛されて『羨ましい』……なんとなくそう思う辺り、わたしってやっぱおかしい)
 ――おかしいだろうか?
 その思いが妬みになってしまうならば、それはテンカ自身を傷つけてしまうだろうけれど。
「……でも」
 マリーシカが、そっと口を開く。涙を、流したままで。
「あたし、お姉ちゃんに……生きてて、ほしかった……」
 抱き締めるウィルヘルミナの胸が、ぎゅ、と鷲掴みされたように痛む。
(お母様がいつも冒険の事で怒っていた理由、いなくなるのを恐れてずっとわたくしを、おじい様を怒っていらっしゃったんだわ……許嫁のあの子、無事で居ますでしょうか……わたくしの行動は、軽はずみすぎでしたわ)
 ハンターとして、危険に身を晒している自覚すら、まだウィルヘルミナにはなかったのかもしれない。
 けれど、その自覚が。
 そして己がどんなに愛されて、心配されていたのかが。
 ようやく、胸の中に生まれる。
「ごめんなさい、あなたを悲しませてしまって、本当にごめんなさいですわ……!」
 わっと泣き出したマリーシカの身体を強く抱き締め、ウィルヘルミナもまた涙に沈む。
 その様子にもらい泣きしそうになりながら、詩はゆっくりと口を開いた。
「……でも……だからこそ私は皆さんに、これまでと変わらない生活を送って欲しいと思うんです。哀しみに沈んでばかりいたら、きっとレネンシアさんは安心できないと思うから。心配しなくていいよ、大丈夫だよ、って、そうレネンシアさんに言ってあげて欲しいって、そう思うんです」
 そこまで一気に言って、はっと詩は口を押えた。
「こ、小娘が偉そうなことを言ってすみません」
 そんなことはないですよ、と両親は首を振る。マリーシカも、泣きながら、けれど必死に何度も頷く。
 それは、詩がいつか姉に対して、そう言えるようになりたいという思いを押し付けただけかもしれないけれど。
(でも、きっとレネンシアさんもお姉ちゃんも、守りたい人が泣いている姿を見たくないと思ってるに違いないと、そんな気がするんです)
 ふ、と息を吐き、エヴァが最後の言葉を、スケッチブックに綴って。
『私はあなた方を尊敬します』
 そこまで愛される人を、そして人を大切に出来る人を、育てた両親を。
 小さな笑みと共に、深くエヴァは頭を下げて。
 控えめに、トルテが申し出る。
「若輩者ながら、妾は神に仕える身。エクラ教ではないのじゃが……、彼女の安らかな眠りをお祈りしたく、聖歌を歌うことを、どうか許してもらえないじゃろうか?」
 両親が、そっと頷いて、ぎこちなく微笑む。
「レネンシアも、喜ぶことでしょう。どうか……お願いします」
 静かに立ち上がったトルテは、厳かに歌いはじめた。
(どうか安らかな眠りを……、じゃが、レネンシア……逝くにはまだ、早すぎるのではないかえ……?)
 涙が、頬を伝い落ちていく。
 レネンシアの死によって、ぽっかりと心に穴の開いた者達の悼みの日々は――始まった、ばかりなのだ。

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MVP一覧

  • 雄弁なる真紅の瞳
    エヴァ・A・カルブンクルスka0029

  • ウィルヘルミナ=スピナハイムka1625

重体一覧

参加者一覧

  • 雄弁なる真紅の瞳
    エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029
    人間(紅)|18才|女性|魔術師
  • 征夷大将軍の正室
    天竜寺 詩(ka0396
    人間(蒼)|18才|女性|聖導士

  • トルテ・リューンベリ(ka0640
    人間(蒼)|11才|女性|聖導士

  • 白遥 テンカ(ka1007
    人間(蒼)|16才|女性|機導師

  • ウィルヘルミナ=スピナハイム(ka1625
    人間(蒼)|17才|女性|猟撃士
  • よき羊飼い
    リアリュール(ka2003
    エルフ|17才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/07/02 22:23:47
アイコン 相談卓
トルテ・リューンベリ(ka0640
人間(リアルブルー)|11才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/07/05 07:36:41