ゲスト
(ka0000)
気の弱い魔導書
マスター:篠崎砂美

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/09 07:30
- 完成日
- 2014/07/17 00:15
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
ここは、ヴァリオス魔術学院の資料館です。
中は大ホールとなっている中央閲覧室を初めとして、大小の閲覧室があり、魔術書を初めとする様々な資料が管理され、自由に閲覧できるようになっています。
本来は学院の生徒たちのための施設ですが、広く一般にも門戸を開いています。
書籍などの閲覧は、書架にある物は自由に、その他の物は資料館職員に申し出れば閲覧することができますが、館外への持ち出しや貸し出しは禁止となっています。
そのため、利用者たちは目的の資料のある閲覧室に行き、そこで資料を読んだり書き写したりするのでした。
「じゃあ、私は例の資料室に行ってくるから」
「はーい。私は、この大ホールで本でも見てますね」
一緒にやってきた友達と別れると、あなたは目的の本がどこにあるのか職員に訊ねました。
「ええと、その本でしたら……、ああ、二階の五番閲覧室に収蔵されています。珍しいものですから、丁寧に見てくださいね。資料を破損したら、きつーいお仕置きが待っていますからね」
案内カウンターにいた職員のセリオ・テカリオが、目的の閲覧室を教えてくれました。見かけより広いのか、あるいは魔法的にややこしい建物なのか、案内するのに結構バタバタしています。
さて、やってきたのは十人ほどがゆったりと閲覧できる小部屋です。
「あった、あった」
そう言うと、あなたはすぐさま迷わずに目当ての本を手に取りました。
それは、最近リゼリオで見かけるアイドル系のグラビア雑誌です。もともとはサルヴァトーレ・ロッソで発行されているらしいのですが、物珍しさからリゼリオでもそこそこ流布しています。
とはいえ、発行部数は微々たる物なので、クリムゾンウェストでは希少本扱いです。
そのため、希少本と聞いたとたんにキラーンと目の光った資料館職員たちが、内容関係なくせっせと蒐集してきているのでした。
そんな雑誌になじみのある者たちは抵抗なく情報誌としてそれを読みますし、そんな物初めて見るクリムゾンウェストの者たちにとっては少々刺激の強い変な本として認識されています。
「おおっ、アットリーチェちゃんの写真集、もう発売になっているのか」
グラビア雑誌を読んだ一人が、そこに載っていた広告を見て叫びました。
「しーっ!」
「しーっ!」
『しくしくしく……』
とたん、周囲から注意されて声を潜めます。
「いつ手に入る……なあんだ、もう入荷してるじゃないか」
『しくしくしく……』
書架に目ざとく新刊を見つけると、迷わずそれを手に取ります。
アットリーチェちゃんは、まだまだひよっこのアイドルと言っても、そこは美少女です。写真集としてはごく普通のドレスや水着や、ちょっと扇情的なポーズなども、そこそこ格好良くてセクシーでした。免疫のないクリムゾンウェストの者には、ちょっと刺激が強すぎるかも知れませんが。
「あー、それ、俺も見たかったんだよ。見せろよー」
「えっ、新作? わー、見たい見たい」
『しくしくしく……』
さっそく、それを見たがる者たちが集まってきました。仕方ないので、テーブルの上においてみんなで囲んで見ます。
「ねえ、さっきから変な音しない? なんだか、泣いてるような、紙がこすれるような……」
「よせよ、博物館の怪談じゃあるまいし」
「あー、あの本、ガタガタとふるえてる!」
一人が指さした本に、全員の視線が集まりました。
「なんだ、この本は?」
一人が勇気を出してその本を書架から引っ張り出してきました。
テーブル上に開くと、ページの上で文字が躍っています。ええ、文字通りに……。
『しくしくしく……。しくしくしく……。きゃー、見つかっちゃった!!』
突然、ページの文字がそう変化したかと思うと、あっという間にゲシュタルト崩壊を起こして、文字の一文字一文字がページの中を駆け回り始めました。
「何だこりゃ、魔導書か!?」
『きゃーきゃー!』
その間にも、駆け回っていた文字は、現れては消え、消えては現れ、ついにはページの隅っこの方に集まってガタブルと震え始めてしまったのです。後には、目にも痛い白さのページが残るだけです。
「どうかしましたか?」
目ざとく異変に気づいたのか、職員のセリオが見に来ました。
「あまり騒がないでくださいね。暴れでもして、本を汚したり破いたり文字を消したりしたら、磔獄門ですからね。命がおしかったら、ちゃんとしてくださいね」
何やらおそろして事を言って、セリオは去って行きました。
「いや、これどうするよ……」
すでに文字が消えて真っ白になった本を見つめて、あなたたちは青ざめたのでした。
中は大ホールとなっている中央閲覧室を初めとして、大小の閲覧室があり、魔術書を初めとする様々な資料が管理され、自由に閲覧できるようになっています。
本来は学院の生徒たちのための施設ですが、広く一般にも門戸を開いています。
書籍などの閲覧は、書架にある物は自由に、その他の物は資料館職員に申し出れば閲覧することができますが、館外への持ち出しや貸し出しは禁止となっています。
そのため、利用者たちは目的の資料のある閲覧室に行き、そこで資料を読んだり書き写したりするのでした。
「じゃあ、私は例の資料室に行ってくるから」
「はーい。私は、この大ホールで本でも見てますね」
一緒にやってきた友達と別れると、あなたは目的の本がどこにあるのか職員に訊ねました。
「ええと、その本でしたら……、ああ、二階の五番閲覧室に収蔵されています。珍しいものですから、丁寧に見てくださいね。資料を破損したら、きつーいお仕置きが待っていますからね」
案内カウンターにいた職員のセリオ・テカリオが、目的の閲覧室を教えてくれました。見かけより広いのか、あるいは魔法的にややこしい建物なのか、案内するのに結構バタバタしています。
さて、やってきたのは十人ほどがゆったりと閲覧できる小部屋です。
「あった、あった」
そう言うと、あなたはすぐさま迷わずに目当ての本を手に取りました。
それは、最近リゼリオで見かけるアイドル系のグラビア雑誌です。もともとはサルヴァトーレ・ロッソで発行されているらしいのですが、物珍しさからリゼリオでもそこそこ流布しています。
とはいえ、発行部数は微々たる物なので、クリムゾンウェストでは希少本扱いです。
そのため、希少本と聞いたとたんにキラーンと目の光った資料館職員たちが、内容関係なくせっせと蒐集してきているのでした。
そんな雑誌になじみのある者たちは抵抗なく情報誌としてそれを読みますし、そんな物初めて見るクリムゾンウェストの者たちにとっては少々刺激の強い変な本として認識されています。
「おおっ、アットリーチェちゃんの写真集、もう発売になっているのか」
グラビア雑誌を読んだ一人が、そこに載っていた広告を見て叫びました。
「しーっ!」
「しーっ!」
『しくしくしく……』
とたん、周囲から注意されて声を潜めます。
「いつ手に入る……なあんだ、もう入荷してるじゃないか」
『しくしくしく……』
書架に目ざとく新刊を見つけると、迷わずそれを手に取ります。
アットリーチェちゃんは、まだまだひよっこのアイドルと言っても、そこは美少女です。写真集としてはごく普通のドレスや水着や、ちょっと扇情的なポーズなども、そこそこ格好良くてセクシーでした。免疫のないクリムゾンウェストの者には、ちょっと刺激が強すぎるかも知れませんが。
「あー、それ、俺も見たかったんだよ。見せろよー」
「えっ、新作? わー、見たい見たい」
『しくしくしく……』
さっそく、それを見たがる者たちが集まってきました。仕方ないので、テーブルの上においてみんなで囲んで見ます。
「ねえ、さっきから変な音しない? なんだか、泣いてるような、紙がこすれるような……」
「よせよ、博物館の怪談じゃあるまいし」
「あー、あの本、ガタガタとふるえてる!」
一人が指さした本に、全員の視線が集まりました。
「なんだ、この本は?」
一人が勇気を出してその本を書架から引っ張り出してきました。
テーブル上に開くと、ページの上で文字が躍っています。ええ、文字通りに……。
『しくしくしく……。しくしくしく……。きゃー、見つかっちゃった!!』
突然、ページの文字がそう変化したかと思うと、あっという間にゲシュタルト崩壊を起こして、文字の一文字一文字がページの中を駆け回り始めました。
「何だこりゃ、魔導書か!?」
『きゃーきゃー!』
その間にも、駆け回っていた文字は、現れては消え、消えては現れ、ついにはページの隅っこの方に集まってガタブルと震え始めてしまったのです。後には、目にも痛い白さのページが残るだけです。
「どうかしましたか?」
目ざとく異変に気づいたのか、職員のセリオが見に来ました。
「あまり騒がないでくださいね。暴れでもして、本を汚したり破いたり文字を消したりしたら、磔獄門ですからね。命がおしかったら、ちゃんとしてくださいね」
何やらおそろして事を言って、セリオは去って行きました。
「いや、これどうするよ……」
すでに文字が消えて真っ白になった本を見つめて、あなたたちは青ざめたのでした。
リプレイ本文
●気の弱い魔導書
「さて、どうしたものだろう……」
たまさか五番閲覧室に居合わせた者たちは、奇妙な魔導書を取り囲んでちょっと困り果てていました。
「ひとまず、お茶でも飲んで落ち着くかのう」
そう言うと、レーヴェ・W・マルバス(ka0276)が、持っていたバッグの中からお茶セットを出そうとしました。
「ああ、それはまずいですよ、資料館は、原則飲食禁止ですから」
こんなところを館員の誰かに見つかったら大変だと、茅崎 颯(ka0005)が慌ててレーヴェを止めました。
「ひとまず、司書さんに話を聞いて……」
「それってまずいよね。ボクたちが悪戯したと思われたら怒られるかも。ここは、まずボクたちだけでなんとかしないと……」
今度は、星見 香澄(ka0866)が、颯を止めました。
「それにしても、これはただの本ではないようですが。まるで、文字で喋っているようですし。よく分からない代物ですねえ」
上泉 澪(ka0518)が、小首をかしげます。
「不思議な本もあるもんだね」
ちょっと面白そうに星見が言いました。
「まあ、ここは魔術学院の資料館だし、こんな魔導書の一つもあるだろう」
淡々と東雲 禁魄(ka0463)が言いました。
「そうですねえ、話ができるのなら、話してみるのが手っ取り早いとは思いますが」
「うん。ちょっと、お話、してみたい、かな?」
羊谷 めい(ka0669)が澪にうなずきました。
「じゃあ、呼びかけて、みましゅ? いったい、どうしたんですか?」
月観 翠杞(ka0699)が、魔導書に呼びかけてみました。
しーん。
無視です。
「仕方ない。今こそ、私の画伯としての才能を発揮するしかないようじゃのう」
くるくるっと、Fペンライトを器用に指先で回しながらレーヴェが言いました。
「それもいいかもね」
星見が同意します。
「まあまあ。書いちゃダメですよ。消えなくなってしまいますから」
書けないペンだと分かっていて、颯がレーヴェを止めました。
そんな二人の様子に、魔導書がガタガタとふるえ出しました。
「まあ可愛い、よしよし、怖くない怖くない」
ソフィ・アナセン(ka0556)が、思わず魔導書をキュッとだきしめると、ページの間に人差し指を挟みました。
「小動物じゃないんだから」
「すいません。もふもふな動物みたいだったもので。昔から動物を見ると、もふもふしたくなるたちなので……」
颯に言われて、ソフィが魔導書を手放しました。
「私、ここに動物の写真を見に来たんですよね」
そのソフィの言葉を聞いたとたん、魔導書が小刻みに震えだしました。
「な、なぜ……」
突然の事に、ソフィがちょっと動揺します。
「いったい、どうしたの、ですか?」
月観が魔導書に話しかけました。
ソフィのおかげで、みんな、魔導書が小動物か何かにしか思えなくなってきています。
「まあ、黙って元の場所に戻してとぼけてしまうという方法もあるのですけれど。動けるのであれば、こちょこちょこちょっと……」
澪がくすぐると、魔導書がパタパタと身悶えました。
「まったく面白い本だねえ、どんな仕組みになっているんだろう」
「そういえば、この本には写真や挿絵はないみたいですね」
星見の言葉に、東雲がちょっと魔導書のページをめくってみました。
『いやん』
赤い文字が魔導書のページに浮かびあがります。
「ここにある他の本より、よっぽど面白いなあ。よし、いい子だ。君はいったい何がしたいんだい?」
星見が、魔導書に呼びかけてみました。
『いぢめる?』
「そんな事しませんよ。よしよし」
なだめるようにソフィが言いました。
「うん、まずは話してみてよ」
『は、はい……』
星見が言うと、魔導書の白いページに文字が現れました。
「あら、ほんとに文字で喋りました。凄いです!」
澪を初めとする一同がパチパチと拍手しました。
『いやあ、照れます。ははは』
よし、掴みはバッチリです。ここは、なぜ文字が崩れて白紙のページになったのかを問い質していきましょう。
「さっき、動物の写真がって時に、動揺していたけれど、もしかして、動物が嫌いなの……かな?」
『いやあ、動物が嫌いというわけでは……』
律儀に、ページに文字が浮かびあがっては消えます。
「じゃあ、写真?」
『まあ、そんなところなんですが……』
ちょっと、魔導書がもじもじします。にして、ハードカバーの本のくせに、クネクネと柔軟性の高い魔導書です。
「写真自体は、リアルブルーじゃ、珍しくは、ない……かも。でも、こっちじゃ、珍しいの、では?」
羊谷が言いました。
『ボクも、挿絵つきの本は友達にも沢山いるんですが、写真の載った本というのは、最近知ったんですよね。ほら、ここは珍しい物が集まってくる資料館じゃないですか。特に、最近、サルヴァトーレ・ロッソから、いろんな本がやってくるんです』
少し気を許してきたのか、魔導書がちょっと饒舌になってきました。もしかすると、元々はお喋りな魔導書なのかもしれません。とは言っても、意思疎通は文字だけなのですが。
『そしたら、ほら、中には文字よりも写真や絵の多い本があるじゃないですか。漫画という仲間は、絵の中にしか文字がないですし。グラビア雑誌とかいう仲間たちは、ほとんどカラフルな写真だし。この間も、モーダ氏のファッションショーの記事が載っていて、もの凄く派手だったんですよね。それ見ちゃったら、ちょっと……。だって、ボクって文字だけじゃないですかあ』
「もしかして、それで、自信なくしちゃっちゃ?」
『ええ、まあ』
月観の問いに、魔導書がそう答えました。
『だって、この部屋に来る人たちって、みんな、写真の沢山載った本が目当てじゃないですかあ。やれ、誰々が美人だの、アットリーチェちゃん萌えだの。もう、何がなんだか』
「ふーん、ボクには、君の方がよっぽど面白いがなあ」
「そうですよ。決して、グラビア雑誌なんかに負けていませんよ。ガンバです!」
星見と澪が、魔導書を励ましました。
「まあ、今のところ、リアルブルーの雑誌は確かに珍しいからね。でも、ブームなんて、所詮一過性のものさ。君は見たところ、結構りっぱな本だけど、魔導書か何かなのかい? いいなあ、ボクの日記にしたいところだ」
星見の言った日記という言葉に、魔導書が驚いたようにバタンと閉じてテーブルの上で軽く跳ねました。
『ボクに、また死ぬ思いをしろと言うんですか!』
「だから、また脅かしてどうするんだ」
まったくと、颯が魔導書をなだめました。
「悪戯書きしちゃ、ダメですよ」
羊谷も、メッと星見を叱ります。
「まあ、一言に本と言っても、様々な物があるよね」
東雲の言葉に、一同がうなずきました。
「写真主体のグラビア雑誌と、君とでは、存在価値がまったく違うよね。同じ本だから、グラビアだけを否定するつもりはないけど、あっちは娯楽のための物だからなあ」
「確かに、同じ本でも、その役割は別の物じゃな」
レーヴェが星見の言葉を続けました。
「グラビア雑誌は、絵や写真にする事で、物事を誰にでも分かりやすくした物であるからな。ただ、見たままでしかないとも言えるが。説明は、やはり文字に頼る場合もありうると言えるじゃろう」
「写真は、誰が見ても、ある程度は、同じ、ですものね……」
「図や写真の情報量は多いですからねえ」
うんうんと羊谷と東雲がレーヴェにうなずきます。
「まあ、全てを文字で表そうとすると、このモデルの写真など、バストが何カップだの、好きな食べ物は何だの、髪は長いだののデータを羅列する事になるだろうがのう」
『失礼な! 豊かな双房は、嫋やかな果実のように両手に零れるほど。日々口にするフルーツは、彼女の身も心も潤す嗜好の宝物。美しき黒髪は、射干玉の輝きを見せ……って、何を書かせるんですか、こら!!』
うっかりレーヴェの言葉に乗ってしまい、魔導書が慌ててページを閉じました。再びページを開くと、先ほどの文章は影も形も消えています。
「そんな、謙遜する事はありませんよ。あなたが書いては消してしまっている情報は、もしかしたら誰かには必要な情報かもしれない。今の世代ではなくとも、その次、あるいはそのまた次かもしれないけれど、きっと役に立つ物なのですよ。だから、むやみに消すのはよくないと思いますが」
『いや、でも、会話を全部残していたら真っ黒になっちゃうんで。あなたが言うような情報にあたる物以外は、適時リセットしています』
「前の方には、何か、書いて、あるんですか?」
ちょっと、興味津々で羊谷がページをめくろうと手をのばしかけました。
『いやーん、エッチ』
すすすっと、魔導書がその手を逃れます。いったい、そこには何が書かれているのでしょう。特に最初の3ページは、魔導書が、頑なに守っています。
まあまあと、颯が魔導書を引っぱってテーブルの中央に戻しました。そして、ポケットから一冊の本を出します。
「今、私が手にしている本は、遙か昔に書かれた物です。そこには、多くの智慧が詰まっています。私もこの本を読む事によって、様々な知識を学ぶ事ができるんです。本を読むというのは、本当に大切な事なんだと思います」
「そう。文字だけの本にも、その本だけが持つよさというものがあるのじゃ」
レーヴェが颯にうなずきました。
「私も、絵が沢山ついた本よりも、文字だけの本の方が好きですよ」
颯がうなずきました。
「文字のよさですけれど、写真のようにイメージを固定しないという事が強みなのではないでしょうか」
「文字には、行間を読ませるという力があるからねえ。書いていない事を読みとる事だってできるんだからなあ」
「そうその通り、想像力じゃ!」
ソフィと東雲の言葉に、レーヴェがポンと手を打ちました。
「人は見えていない物を文字から想像する。すばらしき事ではないか」
「そうです、ねえ、心の中に浮かぶ、風景は、とても、ステキでした、もの……」
レーヴェの言葉を受けて、ちょっと夢見がちに羊谷が言いました。
「うんうん、それ分かります。昔読んだ本に出てきた想像上の動物っていうのは、絵よりも頭の中の方が格好よかったりしてましたから。こうもふもふとしていて、もう、むしろ絵が邪魔でしたね。本物のもふもふもいいですけれど、脳内もふもふも、こう、たまらないものが、えへ、えへへへへ……。あっ、す、すいません、すいません!」
思わず自分が緩んだ顔になっている事に気づいて、ソフィが顔を真っ赤にしてごまかしました。
「まあ、このように、絵には絵のよさ、文字には文字のよさがあるのじゃ。どちらがいいというわけではなく、どちらも本であるのではないかな。ちゃんと住み分けができていれば、どちらもりっぱな本じゃ。だから、おぬしも他の本の事など気にして落ち込んだりせずに、堂々としておればよい」
『そうなのかなあ……。うん、そうなのかもしれない。なんだか、自信が出てきました』
少し、魔導書がシャキンとしてきたように見えます。
『もう、ボク、大丈夫かもしれません。クラビア雑誌くんたちと一緒に、生きていこうと思います』
「やったあ! バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!」
一同が喜びます。これで館員さんに責任追及される事もないでしょう。
「それでは、記念に、一ついい事を教えてやろう。リアルブルーでは、顔文字という物が流行っておってな。教えてやろう。今、おぬしのページに書き込んで……」
『きゃー!!』
またもや魔導書に書き込みをしようとするレーヴェを、みんなが慌てて押さえ込みました。
「ううっ、私は、この魔導書の正体をだなあ……」
ジタバタしながら、レーヴェが言い訳しました。
「そういえば、あなたは普通とは違った魔導書のようですけれど、いったい何が書かれていた魔導書なんでしょう?」
澪が訊ねました。
『そのへんは、個人情報なので禁止事項です』
あっさりと、魔導書が言いました。
「うん、魔導書には、魔導書の、役割があると思うにょ。そんなに、凄い、魔導書さん、なんだもの。きっと、必ず、あなたを、必要としている、人が、いると思う……」
『そうでしょうか』
観月の言葉に、魔導書がちょっと考え込みました。
「新しい道を確立するのもいいかもね。君はアイデンティティを持った魔導書みたいだから、なかなか他にないと思うし」
東雲が言いました。
「その通り、文字を自由に浮かびあがらせたりできるのだから、その力を生かせばよい」
「うん、その力は、もしかすると唯一の物かもしれないよ」
レーヴェと星見が、魔導書にアドバイスしました。
『なんだか、新しいボクを発見できそうな気になってきました』
よかったと一同が喜んでいると、誰かが足早に近づいてきました。
「さっき、万歳三唱をして騒いだのは、誰ですか。資料館の中では静かにしなさい!」
やってきたのは、資料館職員のセリオ・テカリオです。眼鏡の位置をちょっとなおして、太眉の下の瞳で一同を軽く睨みつけると、腰に手を当てて部屋の入り口に立ちました。
「ええと、なんでもありま……」
慌てて月観がごまかそうとしましたが、セリオが目ざとく魔導書を見つけてしまいます。
「何ですか、この本は?」
魔導書をつまみあげて、セリオが言いました。
「あの、この本を借りてもよろしいでしょうか?」
颯が、セリオに訊ねました。
「ちゃんとここのルールを読んでくださいね。当資料館の資料は、全て持ち出し禁止です。貸し出しも行っていませんので、注意してくださいね」
セリオがきっちりと釘を刺しました。
「それにしても、こんな本、うちの蔵書にあったかしら?」
変ねえと、セリオが魔道書を開いてみました。
『えへへへへ』
「何、この本。魔導書!?」
突然ページに浮かびあがった文字を見て、セリオが叫びました。
「あーあ、見つかっちゃった」
東雲が肩をすくめます。
「これはどういう事ですか」
「ええと、説明いたしますと……」
セリオに問い詰められて、澪がかいつまんで説明しました。
「うーん、あなたたちに問題があったわけではないようだけど、いったいどこから紛れ込んできたのかしら。ほんとに……」
『黙秘権を行使します』
「ふふふふ、いい度胸ね。あー、もしもし、不審者発見。待機してて。今、持ってくから」
頭にちょこんとつけていたミニミニとんがり帽子を手に取ると、セリオが言いました。どうやら、館内用の魔導短伝話のようです。
「さあ、来なさい」
『きゃー、きゃー!』
そのまま、魔導書はセリオに連行されていってしまいました。
●後日譚
「キリキリと働きなさい。ここが新しい、あなたの仕事場よ」
『いらっしゃいませー。館内の御案内をしています。分からない事がありましたら、どうぞお声をかけてくださーい』
そこには、資料館の案内カウンターにおかれ、案内係となっている魔導書の姿がありました。
「さて、どうしたものだろう……」
たまさか五番閲覧室に居合わせた者たちは、奇妙な魔導書を取り囲んでちょっと困り果てていました。
「ひとまず、お茶でも飲んで落ち着くかのう」
そう言うと、レーヴェ・W・マルバス(ka0276)が、持っていたバッグの中からお茶セットを出そうとしました。
「ああ、それはまずいですよ、資料館は、原則飲食禁止ですから」
こんなところを館員の誰かに見つかったら大変だと、茅崎 颯(ka0005)が慌ててレーヴェを止めました。
「ひとまず、司書さんに話を聞いて……」
「それってまずいよね。ボクたちが悪戯したと思われたら怒られるかも。ここは、まずボクたちだけでなんとかしないと……」
今度は、星見 香澄(ka0866)が、颯を止めました。
「それにしても、これはただの本ではないようですが。まるで、文字で喋っているようですし。よく分からない代物ですねえ」
上泉 澪(ka0518)が、小首をかしげます。
「不思議な本もあるもんだね」
ちょっと面白そうに星見が言いました。
「まあ、ここは魔術学院の資料館だし、こんな魔導書の一つもあるだろう」
淡々と東雲 禁魄(ka0463)が言いました。
「そうですねえ、話ができるのなら、話してみるのが手っ取り早いとは思いますが」
「うん。ちょっと、お話、してみたい、かな?」
羊谷 めい(ka0669)が澪にうなずきました。
「じゃあ、呼びかけて、みましゅ? いったい、どうしたんですか?」
月観 翠杞(ka0699)が、魔導書に呼びかけてみました。
しーん。
無視です。
「仕方ない。今こそ、私の画伯としての才能を発揮するしかないようじゃのう」
くるくるっと、Fペンライトを器用に指先で回しながらレーヴェが言いました。
「それもいいかもね」
星見が同意します。
「まあまあ。書いちゃダメですよ。消えなくなってしまいますから」
書けないペンだと分かっていて、颯がレーヴェを止めました。
そんな二人の様子に、魔導書がガタガタとふるえ出しました。
「まあ可愛い、よしよし、怖くない怖くない」
ソフィ・アナセン(ka0556)が、思わず魔導書をキュッとだきしめると、ページの間に人差し指を挟みました。
「小動物じゃないんだから」
「すいません。もふもふな動物みたいだったもので。昔から動物を見ると、もふもふしたくなるたちなので……」
颯に言われて、ソフィが魔導書を手放しました。
「私、ここに動物の写真を見に来たんですよね」
そのソフィの言葉を聞いたとたん、魔導書が小刻みに震えだしました。
「な、なぜ……」
突然の事に、ソフィがちょっと動揺します。
「いったい、どうしたの、ですか?」
月観が魔導書に話しかけました。
ソフィのおかげで、みんな、魔導書が小動物か何かにしか思えなくなってきています。
「まあ、黙って元の場所に戻してとぼけてしまうという方法もあるのですけれど。動けるのであれば、こちょこちょこちょっと……」
澪がくすぐると、魔導書がパタパタと身悶えました。
「まったく面白い本だねえ、どんな仕組みになっているんだろう」
「そういえば、この本には写真や挿絵はないみたいですね」
星見の言葉に、東雲がちょっと魔導書のページをめくってみました。
『いやん』
赤い文字が魔導書のページに浮かびあがります。
「ここにある他の本より、よっぽど面白いなあ。よし、いい子だ。君はいったい何がしたいんだい?」
星見が、魔導書に呼びかけてみました。
『いぢめる?』
「そんな事しませんよ。よしよし」
なだめるようにソフィが言いました。
「うん、まずは話してみてよ」
『は、はい……』
星見が言うと、魔導書の白いページに文字が現れました。
「あら、ほんとに文字で喋りました。凄いです!」
澪を初めとする一同がパチパチと拍手しました。
『いやあ、照れます。ははは』
よし、掴みはバッチリです。ここは、なぜ文字が崩れて白紙のページになったのかを問い質していきましょう。
「さっき、動物の写真がって時に、動揺していたけれど、もしかして、動物が嫌いなの……かな?」
『いやあ、動物が嫌いというわけでは……』
律儀に、ページに文字が浮かびあがっては消えます。
「じゃあ、写真?」
『まあ、そんなところなんですが……』
ちょっと、魔導書がもじもじします。にして、ハードカバーの本のくせに、クネクネと柔軟性の高い魔導書です。
「写真自体は、リアルブルーじゃ、珍しくは、ない……かも。でも、こっちじゃ、珍しいの、では?」
羊谷が言いました。
『ボクも、挿絵つきの本は友達にも沢山いるんですが、写真の載った本というのは、最近知ったんですよね。ほら、ここは珍しい物が集まってくる資料館じゃないですか。特に、最近、サルヴァトーレ・ロッソから、いろんな本がやってくるんです』
少し気を許してきたのか、魔導書がちょっと饒舌になってきました。もしかすると、元々はお喋りな魔導書なのかもしれません。とは言っても、意思疎通は文字だけなのですが。
『そしたら、ほら、中には文字よりも写真や絵の多い本があるじゃないですか。漫画という仲間は、絵の中にしか文字がないですし。グラビア雑誌とかいう仲間たちは、ほとんどカラフルな写真だし。この間も、モーダ氏のファッションショーの記事が載っていて、もの凄く派手だったんですよね。それ見ちゃったら、ちょっと……。だって、ボクって文字だけじゃないですかあ』
「もしかして、それで、自信なくしちゃっちゃ?」
『ええ、まあ』
月観の問いに、魔導書がそう答えました。
『だって、この部屋に来る人たちって、みんな、写真の沢山載った本が目当てじゃないですかあ。やれ、誰々が美人だの、アットリーチェちゃん萌えだの。もう、何がなんだか』
「ふーん、ボクには、君の方がよっぽど面白いがなあ」
「そうですよ。決して、グラビア雑誌なんかに負けていませんよ。ガンバです!」
星見と澪が、魔導書を励ましました。
「まあ、今のところ、リアルブルーの雑誌は確かに珍しいからね。でも、ブームなんて、所詮一過性のものさ。君は見たところ、結構りっぱな本だけど、魔導書か何かなのかい? いいなあ、ボクの日記にしたいところだ」
星見の言った日記という言葉に、魔導書が驚いたようにバタンと閉じてテーブルの上で軽く跳ねました。
『ボクに、また死ぬ思いをしろと言うんですか!』
「だから、また脅かしてどうするんだ」
まったくと、颯が魔導書をなだめました。
「悪戯書きしちゃ、ダメですよ」
羊谷も、メッと星見を叱ります。
「まあ、一言に本と言っても、様々な物があるよね」
東雲の言葉に、一同がうなずきました。
「写真主体のグラビア雑誌と、君とでは、存在価値がまったく違うよね。同じ本だから、グラビアだけを否定するつもりはないけど、あっちは娯楽のための物だからなあ」
「確かに、同じ本でも、その役割は別の物じゃな」
レーヴェが星見の言葉を続けました。
「グラビア雑誌は、絵や写真にする事で、物事を誰にでも分かりやすくした物であるからな。ただ、見たままでしかないとも言えるが。説明は、やはり文字に頼る場合もありうると言えるじゃろう」
「写真は、誰が見ても、ある程度は、同じ、ですものね……」
「図や写真の情報量は多いですからねえ」
うんうんと羊谷と東雲がレーヴェにうなずきます。
「まあ、全てを文字で表そうとすると、このモデルの写真など、バストが何カップだの、好きな食べ物は何だの、髪は長いだののデータを羅列する事になるだろうがのう」
『失礼な! 豊かな双房は、嫋やかな果実のように両手に零れるほど。日々口にするフルーツは、彼女の身も心も潤す嗜好の宝物。美しき黒髪は、射干玉の輝きを見せ……って、何を書かせるんですか、こら!!』
うっかりレーヴェの言葉に乗ってしまい、魔導書が慌ててページを閉じました。再びページを開くと、先ほどの文章は影も形も消えています。
「そんな、謙遜する事はありませんよ。あなたが書いては消してしまっている情報は、もしかしたら誰かには必要な情報かもしれない。今の世代ではなくとも、その次、あるいはそのまた次かもしれないけれど、きっと役に立つ物なのですよ。だから、むやみに消すのはよくないと思いますが」
『いや、でも、会話を全部残していたら真っ黒になっちゃうんで。あなたが言うような情報にあたる物以外は、適時リセットしています』
「前の方には、何か、書いて、あるんですか?」
ちょっと、興味津々で羊谷がページをめくろうと手をのばしかけました。
『いやーん、エッチ』
すすすっと、魔導書がその手を逃れます。いったい、そこには何が書かれているのでしょう。特に最初の3ページは、魔導書が、頑なに守っています。
まあまあと、颯が魔導書を引っぱってテーブルの中央に戻しました。そして、ポケットから一冊の本を出します。
「今、私が手にしている本は、遙か昔に書かれた物です。そこには、多くの智慧が詰まっています。私もこの本を読む事によって、様々な知識を学ぶ事ができるんです。本を読むというのは、本当に大切な事なんだと思います」
「そう。文字だけの本にも、その本だけが持つよさというものがあるのじゃ」
レーヴェが颯にうなずきました。
「私も、絵が沢山ついた本よりも、文字だけの本の方が好きですよ」
颯がうなずきました。
「文字のよさですけれど、写真のようにイメージを固定しないという事が強みなのではないでしょうか」
「文字には、行間を読ませるという力があるからねえ。書いていない事を読みとる事だってできるんだからなあ」
「そうその通り、想像力じゃ!」
ソフィと東雲の言葉に、レーヴェがポンと手を打ちました。
「人は見えていない物を文字から想像する。すばらしき事ではないか」
「そうです、ねえ、心の中に浮かぶ、風景は、とても、ステキでした、もの……」
レーヴェの言葉を受けて、ちょっと夢見がちに羊谷が言いました。
「うんうん、それ分かります。昔読んだ本に出てきた想像上の動物っていうのは、絵よりも頭の中の方が格好よかったりしてましたから。こうもふもふとしていて、もう、むしろ絵が邪魔でしたね。本物のもふもふもいいですけれど、脳内もふもふも、こう、たまらないものが、えへ、えへへへへ……。あっ、す、すいません、すいません!」
思わず自分が緩んだ顔になっている事に気づいて、ソフィが顔を真っ赤にしてごまかしました。
「まあ、このように、絵には絵のよさ、文字には文字のよさがあるのじゃ。どちらがいいというわけではなく、どちらも本であるのではないかな。ちゃんと住み分けができていれば、どちらもりっぱな本じゃ。だから、おぬしも他の本の事など気にして落ち込んだりせずに、堂々としておればよい」
『そうなのかなあ……。うん、そうなのかもしれない。なんだか、自信が出てきました』
少し、魔導書がシャキンとしてきたように見えます。
『もう、ボク、大丈夫かもしれません。クラビア雑誌くんたちと一緒に、生きていこうと思います』
「やったあ! バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!」
一同が喜びます。これで館員さんに責任追及される事もないでしょう。
「それでは、記念に、一ついい事を教えてやろう。リアルブルーでは、顔文字という物が流行っておってな。教えてやろう。今、おぬしのページに書き込んで……」
『きゃー!!』
またもや魔導書に書き込みをしようとするレーヴェを、みんなが慌てて押さえ込みました。
「ううっ、私は、この魔導書の正体をだなあ……」
ジタバタしながら、レーヴェが言い訳しました。
「そういえば、あなたは普通とは違った魔導書のようですけれど、いったい何が書かれていた魔導書なんでしょう?」
澪が訊ねました。
『そのへんは、個人情報なので禁止事項です』
あっさりと、魔導書が言いました。
「うん、魔導書には、魔導書の、役割があると思うにょ。そんなに、凄い、魔導書さん、なんだもの。きっと、必ず、あなたを、必要としている、人が、いると思う……」
『そうでしょうか』
観月の言葉に、魔導書がちょっと考え込みました。
「新しい道を確立するのもいいかもね。君はアイデンティティを持った魔導書みたいだから、なかなか他にないと思うし」
東雲が言いました。
「その通り、文字を自由に浮かびあがらせたりできるのだから、その力を生かせばよい」
「うん、その力は、もしかすると唯一の物かもしれないよ」
レーヴェと星見が、魔導書にアドバイスしました。
『なんだか、新しいボクを発見できそうな気になってきました』
よかったと一同が喜んでいると、誰かが足早に近づいてきました。
「さっき、万歳三唱をして騒いだのは、誰ですか。資料館の中では静かにしなさい!」
やってきたのは、資料館職員のセリオ・テカリオです。眼鏡の位置をちょっとなおして、太眉の下の瞳で一同を軽く睨みつけると、腰に手を当てて部屋の入り口に立ちました。
「ええと、なんでもありま……」
慌てて月観がごまかそうとしましたが、セリオが目ざとく魔導書を見つけてしまいます。
「何ですか、この本は?」
魔導書をつまみあげて、セリオが言いました。
「あの、この本を借りてもよろしいでしょうか?」
颯が、セリオに訊ねました。
「ちゃんとここのルールを読んでくださいね。当資料館の資料は、全て持ち出し禁止です。貸し出しも行っていませんので、注意してくださいね」
セリオがきっちりと釘を刺しました。
「それにしても、こんな本、うちの蔵書にあったかしら?」
変ねえと、セリオが魔道書を開いてみました。
『えへへへへ』
「何、この本。魔導書!?」
突然ページに浮かびあがった文字を見て、セリオが叫びました。
「あーあ、見つかっちゃった」
東雲が肩をすくめます。
「これはどういう事ですか」
「ええと、説明いたしますと……」
セリオに問い詰められて、澪がかいつまんで説明しました。
「うーん、あなたたちに問題があったわけではないようだけど、いったいどこから紛れ込んできたのかしら。ほんとに……」
『黙秘権を行使します』
「ふふふふ、いい度胸ね。あー、もしもし、不審者発見。待機してて。今、持ってくから」
頭にちょこんとつけていたミニミニとんがり帽子を手に取ると、セリオが言いました。どうやら、館内用の魔導短伝話のようです。
「さあ、来なさい」
『きゃー、きゃー!』
そのまま、魔導書はセリオに連行されていってしまいました。
●後日譚
「キリキリと働きなさい。ここが新しい、あなたの仕事場よ」
『いらっしゃいませー。館内の御案内をしています。分からない事がありましたら、どうぞお声をかけてくださーい』
そこには、資料館の案内カウンターにおかれ、案内係となっている魔導書の姿がありました。
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消えた文字を取り戻せ? 茅崎 颯(ka0005) 人間(リアルブルー)|25才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/07/09 00:35:21 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/04 22:36:15 |