• 不動

【不動】人の夢の運び手

マスター:韮瀬隈則

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/04/20 09:00
完成日
2015/04/28 06:21

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


「聖地奪還で辺境がキナ臭くなってきやがったのは知っているな?」
 知らないはずがない。日々、オフィスに掲示される依頼には件の関係だと示すスタンプが踊っている。緊急召集まで加えたらいくつになるやら。
「正直、現地の武器弾薬がこの消費ペースだと心許なくってな。追加で幾つか届けなきゃならない。なに、弾薬補給とCAM兵装の追加配備だけだ、たいした問題はない。知恵付けた邪魔さえ入らなければな」
 実験地後方のこの駐屯地から補給部隊をそのまま送るには難がある。マギア砦方面のあおりを受け、歪虚に侵された敵の部隊が補給路周辺をうろついている。
 敵もさすがにそれなりの距離のある補給路複数を全て破断、というのもできないのだろう。とりあえず──この駐屯地と関係する前線整備部隊の間に配置され遊弋するのは雑魚、ではある。しかし、いちいち片づけている余裕はない。いずれもっとマシな討伐部隊が補給路確保につくだろう、が、それまではとりあえず、直近の便は2手に分けて送ろう。そう、この方面隊の担当者はざっくり先例に倣ったらしい。リスクの分散重視というわけだ。

 1部隊は正規の輸送部隊と護衛部隊の組み合わせだ。もう1部隊の護衛は、委託を受けた民間警備兵とハンターの混成。
 つまり、俺達だ。説明を行っていた壮年の民間警備兵が笑う。元軍人の寄り合い所帯、僅か数名の零細企業で、いつもはしょっぱい警備をしている。たまに予備役らしい仕事もする。今回のようにな。そこで警備兵仲間の笑い声。傭兵のもっとショボい感じ、と、オフィスの受付嬢の紹介だったなとハンターの誰かは思い出す。言い得て妙だ。

「俺達が護衛するブツはこれだ。最新鋭を投入と聞くからな、敵部隊がこれを嗅ぎつければこっちを本命とみるだろうよ」
 指さす先に鎮座する1台の荷馬車。
 その積み荷は、武器弾薬ではなく──しかし、CAM兵装とするにも異様そのものだった。


 シートを被せてなお、誇示するように描く双丘。覆いきれなかった隙間からは、装甲に一体化された各種武装機器の機構とカートリッジが覗き、CAMと接続するコネクタと思われる配線が床に流れる。

「なんだこれ。見たこと無いぞ」
 リアルブルー出身者と思わしき呟き。
「追加胸部装甲「リカ」。胸部に位置するコックピットの防御性を高め、増漕的役割も果たす。だとさ」
 壮年の男が何かの書類を読み上げる。これ以上は特定機密。だが十分だろう、と切り上げようとするが、一度噴出した疑念は止まりそうもなかった。

 将来はともかく──
 現在においてCAMに追加装甲などという装備は存在しない。極秘に開発されていたとしても、だ。一度、CAMを見たことのある者なら、クリムゾンウェスト人ですら存在を否定するだろう。あの構造では「これ」は積めない、と。

「あーあ。速攻、バレちゃったっすね」
「インパクト重視。ガラクタを数時間で寄せ集めただけだからな」
 民間警備兵仲間から失笑が漏れる。
 前線から送られてきた修理品を取替え、残った正真正銘のガラクタ。その集成品が、「これ」であった。
 つまり──
 最初からこの輸送部隊はダミー。敵兵を引きつけ、可能ならば殲滅する。そのために構成されていたわけだ。

 正直……
 ダミーと判ってする護衛にモチベーションもクソもない。
 時間とらせて悪かったな、気が抜けたなら蹴っていいぞ。壮年の警備兵が肩をすくめてハンターに告げる。餌のインパクトに釣り合わない気迫じゃどうしようもない。
 だが──

「胸部装甲! 実現性は無くとも夢あふれるロマン兵器がそこにある!」
「ダミーを運ぶんじゃない。人の夢を運ぶんだ!」
 予定とは違う方向にモチベーションを高めたハンター数名の姿に、壮年の男は毒気を抜かれて応じるしかなかった。

リプレイ本文


 希望の名の実験場より渡河を経て、追加胸部装甲「リカ」を乗せた馬車が往く。
 メインの補給線から分かれ、関係整備部隊へ向かう馬車の上。先ほど行われた往路最後の替え馬作業の折、今度はまじまじと問題の荷を観察したハンター達の議論が活発に行われていた。

「こちらの技術力の凄いこと! おみそれしましたよ!」
 硬直感が残る口調、神代 誠一(ka2086)が無理目のハイテンションで「リカ」を絶賛する。なにの技術がどう凄いのか、それを神代に尋ねてはいけない。泳ぐ目線で同行者の反応を探る。シートの中を見た時に引き攣った表情筋は、少しは解れただろうか? 道中、会敵するまでに、自分自身に暗示をかけなければならない。嘘を演技で隠せるほど俺は器用ではない、ならば、本当に凄い新兵器だと思い込むのみっ!!
「スーパーデリシャスエクセレーントッ! あれこそ正に男の夢の具現そのもの!」
 レイオス・アクアウォーカー(ka1990)の真っ向素直な賞賛が、神代を救う。生粋のCAMパイロットが言うのだ。間違いない。
「自分も、元CAM乗りとして、こういう依頼は嫌いじゃない。一見荒唐無稽かも知れないが……一昔前ならCAMの存在自体が夢の具現、空想上のロマンの塊だった。ロマンこそ技術進歩の原動力と実感するな」
 叩き上げの将校たるアバルト・ジンツァー(ka0895)その人が、この追加装甲の正当性と実現性を裏書する。ありえない話、ではない。手を伸ばせばすぐそこにある、確かな感触の双曲線。
「女性の曲線美に熱弁をふるっていた男を思い出す……。ああいう男の熱意が技術を作り出すのだ」
「ええ。多少アホであっても熱意があれば、はばたく未来が待っていますよね」
 アバルトの戦友への言をうけ、神代は青の世界の元教え子達に想いを馳せる。届いてるか問題児、先生はこっちの世界でもお前達の将来を期待してるんだぞ。

「胸部装甲は今でこそ後付け兵装だ。だが、いつか女性型……いや直裁に言うぜ。美少女型CAM開発の暁には、その重要性を戦場に轟かせるのは確実だ」
 このレイオス、CAMパイロットとして断言するぜ。
 戦闘装甲機を人型機動兵器に決定して以降、青の世界の技術は短期間にCAMという夢を宇宙に送り出した。オレたちが赤の世界に来ている間に、向こうでは何機の新型CAMが開発されただろう。先ほどアバルトが言ったとおり、CAM開発は技術者の夢の原点を集約だ。昔観たアニメ、青い空を奪った侵略者に立ち向かったあのロボット達のなかに美しい曲線をたたえた女神がいた。オレはあの機体のパイロットになりたいと願った。同じように──あの機体を組みたいと、ロボット工学を目指した少年もいるだろう。嗚呼! 今頃青の世界で、夢見たあの娘は生まれているだろうか?
 狂おしい美少女型CAMへの想いを、こっちの世界の技術者が叶えてくれた。凄いじゃないか! 同意を求めるレイオスの視線の先に居るのは、人当たりの良い自己紹介が印象的だったエルフの女性。その名はケイ(ka4032)。
 最初はエルフだとは見えなかった。うっとりと目を輝かせ積荷を眺めていたから、てっきり同じ女性型メカ好きだと思って声をかけた。
「ふふ……こちらの世界のおっぱいも素晴らしいでしょう?」
 胸部装甲という究極にして至高、並び立つ二つの頂上決戦の勝者。右も左も等しく尊き人類の至宝。その膨らみは夢と可能性が詰まっている証拠。ほらごらんなさいな。技術と夢のビッグバンは、やがて胸のときめきを放って敵を殲滅するわ。
「胸部装甲にふさわしい内蔵兵器ね。具体例を挙げると、おっぱいミサイルよ」
 更なる技術革新により、優しく天使の電磁バリアに包まれた双丘から放たれるのは、ミサイルこそがふさわしい。──何故って? CAMの兵装を見た私見だけれど、あのミサイル、単装砲じゃないかしら? 圧倒的威力を見せ付けるなら、単装砲より連装砲じゃないかしら?
「胸部装甲になぜ双曲線が必要か?」
「それはおっぱいミサイルを積む為!」
 さあ、語るぜ! 語るわよ!
 レイオスとケイは新たな同士を求めるよう皆の反応を伺う。

「女性型、か」
 まぁ、そうなるな。アバルトの頷きはしかし、別の観点からの得心である。
「古来、乗機の類の二人称は「彼女」。女性名称なのだ。そして女性型の魅力のひとつは曲線美。美しいカーブを描く装甲に包まれた機体にある。平坦ではならない、工学的な有効性だ」
 自分の知識では実証できないが、ロッソで整備軍曹をやっていたおぬしならば、曲線装甲の有効性を解説できるだろう。
「え? 私?」
 渡河以降、酷い乗り物酔いでひっくり返った南條 真水(ka2377)に付き添い、かろうじて彼女が小康状態の今は書類ファイルと首っ引きだったロベリア・李(ka4206)が「そこで私に振るの!?」と、アバルトを見返す。
 講義を待ち受けるは、大真面目1名、無理目なテンション1名、期待に満ち満ちた2名。
 自主的な絶対安静に突入した1名、南條が、「こっち見るな」とブ厚い眼鏡に表情を隠したのに苦笑で返し、ファイルの十数ページを追いながら「仕方ないわね」と所見を述べる。
 傾斜装甲、曲線装甲、避弾経始……って判るかしら? 被弾時の入射角に対し60度ほどの傾斜があると、同じ厚みの装甲板の倍量の防御力を得られるの。リアルブルーの近代戦車は傾斜または曲線の、複合装甲や積層装甲で組まれていてね、もちろんCAMにもその技術が生かされている。既にハイパーテクノロジーの域に入っているのだけれど、私は更なる爆発的進化がここ、クリムゾンウェストで起こると考えているわ。
 言外に、その嚆矢が「リカ」よ、と含ませて、ロベリアはファイルを閉じる。神代が暗算の仕草ののち大げさに大きく頷き、レイオスとケイがFだGだと新たな議論に突入したのに、どうかこれ以上突っ込まないでと心で祈る。
 ファイルの中身に「リカ」の仕様書は紙ペラ1枚。残る殆どが、敵通商破壊部隊の遊弋するここ、補給路の地図とその資料であった。とんだ勧進帳だ。

「皆、本当に好きだね……」
 当事者からすると邪魔なだけなのに。眼鏡の奥から南條の紫眼が透ける。
「個人的にはさ、熱いパトスとか無いよ。南條さんは一応、カエルとカタツムリと仔犬のシッポでできてないもの」
 追加装甲というコンセプトは悪くはないけれどね。具合は大丈夫かと、気遣いながらロベリアが返す。うん、と小さく頷きながら、でも、アレは無いよねと、荷馬車に向けて南條の眼鏡が光る。
 虚弱体質には普通に身体を動かすので精一杯なんだ。胸は大きいほうが見栄えはいいんだろうけれど、使わない重りをぶら下げているようなものじゃない。
「夢は寝て見てよ、現実では悪夢じゃないか……」
 アレ、床に垂れてる青いコード1本で支えられるわけ? 第一、腕周りに干渉するじゃない。ねぇ? と南條。
 苦笑をロベリアは顔半分をファイルで隠す。ここは敵部隊の遊弋地域──。
「干渉と機動性の改善は、砲戦フェイズ終了後に爆発ボルトでパージできれば。多少ね」
 あら私、結構真面目に検証しちゃってる?

 爆発パージの不穏な響きに反応し、レイオスとケイが再度寄る。
「待て待て! 巨大美少女の巨大胸部装甲こそが、敵の知的存在への心理的効果を生むのであってなぁ!」
「おっぱいと胸部装甲は一体であってこそ最強じゃなくて?」
 二人の仕草は大仰に。「リカ」が正真正銘の秘密兵器で在るが如く。
(偵察連中。案の定、まだ見てるだけね……)
(連絡に去った方角は道の片側だけ。先には一際道幅が狭くなったカーブがあるわ)
(っしゃ。警備兵のおっさん達に馬の手配の合図送っとくから)
 コソコソと。そして符丁の合図。
「パージじゃない、脱衣、だ。極限まで高めたリビドーを解き放つと考えるんだ!」



 見通しの悪いカーブを曲がる。この先少しで悪路を抜ける。カーブ内側は低木が散見する路面との標高差数メートルのゆるやかな岩場──

 はたして──
 道の真ん中にゴロゴロと、一抱えはある岩が数個、馬車の行く手を阻んでいた。

(良かった。ゴブリンが扱える障害物から推測したとおり。鹵獲狙いは当たったけれど、接近を許す以上、馬と車輪への攻撃は絶対に避けなきゃね……)
 ロベリアの安堵と不安の中、警備兵とオフィス外経由で手配されたハンターらが馬車を降り、大袈裟に肩をすくめ、障害物を除ける人手を呼ぼうと手を上げて皆を呼ぶ。
 仕方ねぇなぁ。ないですねぇ。
(奥の低木に2匹の弓がおるな)
(剣と斧、都合5匹は手前の低木と岩に分散、ですか)
(吶喊担当と、突入支援担当、ってところね)
 わらわらと男性陣が馬車から降りて障害物に向かう。
(まず男手を割くふり……手薄に見えるかしら?)
(……南条さん蒲柳の質だから、はっきりわかんだね)
(おう。はやく胸部装甲について語り合おうぜ。肉体言語でな)
 ──じりっ。
 通商破壊部隊歪虚化のゴブリン7匹は、岩が1個また1個と取り除かれる様子を伺い、すっかり手薄となった荷馬車を伺い──吶喊した。

「うわぁあごぶりんどものしゅうげきだぁ!」
「おれたちはいいからひみつへいきをまもってくれー」
 演技がイマイチどころではない悲鳴があがる。警備兵達がへっぴり腰で、しかし確実に馬と馬車本体をがっちりガードする。
 乗用馬1頭、20万G。1頭だけでも確実に「リカ」より高い。1体あたりのコストで言えばハンター報酬よりも高い。隠れた格差社会の片鱗──であった。

「皆! もっと「リカ」に寄せてあげて!」
 ロベリアの悲壮感漂う応援要請。
 無力無策を装っているが、右往左往の裏側で近接戦闘に前へ出る者へ攻性強化を施す。寄せて、は寄って警護を固めての意ではなく敵を寄せ付けろの意であり、あげて、は攻撃力を上げる宣言であり敵をつるし上げろとの激でもあった。
「くっ。絶望的に足りないじゃない」
 ケイの悔しい叫び。
 もちろん足りないのは人手でも射程でもなくおっぱい語り欲である。
「ぁぅ……仕事ね、南条さん、やるときはやるんだよ。でも今は寝かせ……おっと」
 ふらり──。
 南條が弱弱しく「リカ」の前に立ち、届きもしない敵の矢によろけ、双丘を覆っていたシートを掴んだまま大きく横倒しになる。
 ──異様。
 もはや場のグラフィックが変わった、と言っても良い。「リカ」の全容が露わとなる。
 ゴブリン達の視線が集中し、鹵獲ターゲットは1点に絞られた。

 うわっっと殺到する敵近接職の支援のため、弓持ち2匹が慌てて斜面を駆け下りる。
 敵近接職の手は未だ届かず、弓は一瞬途絶え、ハンター達はその隙を逃さなかった。

「誘いに乗って来おったか。そう、弓どもが降りてくるのを待っていたのである」
 アバルトの強弾を乗せた弓胎弓の一撃が、弓職1体の下肢を打ち抜く。斜面を上ることはもうできまい。続けて一矢。もう1体へは外し、しかし神代の待ち構える方向へと追いやった。
(装甲と回避の両立は課題であるな)
 オスの下肢でこれなら女性型なら更に大変であろう。研究と上申の対象か……
(いや、上申ってどこに?)
 アバルトのクソ真面目なボケに突っ込んだ神代が、ふと我にかえる事故が発生する。
「わかるぜ。男の本能ってヤツだ。双丘に眼を奪われ手を伸ばさずにはいられない。夢が大きければ大きいほど、体当たりでむしゃぶりつき鷲掴みしなきゃならねぇ」
 まな板じゃ雄っぱいと区別がつかねぇし、球面率が小さければテメェらゴブリンにも簡単に手が届いてしまうからな。そうだ無防備に両手を広げ無心に走れ。
 全開で相手するぜ。レイオスがオレも男だと、倒れるときは前屈みの覚悟で踏込から渾身の試作雷撃刀を敵に浴びせる。
 何匹かの侵入速度が想定より速い。
「距離速度、よし。主砲斉射……」
 が、ピュアホワイトを向けられた先の1匹が霧散する。
 南条さんの再計算どおりだったよ。問題ない。
 機導砲の火力だけは自慢なんだけどさ……でも、巨砲主義より時代は機動戦だと思うんだけどねぇ。
 雷撃とのシナジーを成功させた南條の、眼鏡の奥が猫のように光る。



 瞬時。残るは3匹。敵の通商破壊部隊はその数を半減させた。
 だが……ゴブリンが無防備となる機会最大値は過ぎた。
「逃げる? それとも破壊に来る?」
(ボスの特定は?)
(あの頭飾り付き)
 ケイとロベリアの短い会話。司令塔の動きを読み先制する。

 ボスの視線は、フラつく南條、なにやらブツブツ唱えている神代、一見軽装備で設計図らしきファイルを持つロベリアを一周する。
 そして一喝!

「重要な戦略物資戦略物資戦略物資戦略物資……」
「挟み撃ちよ、神代っ」
 自己催眠をなにかのエンチャントと勘違いしたものか?
 退路確保に動いた1匹が詠唱中に神代を排除せんと突撃し、斜め背面からケイの牽制射撃をうけたたらを踏む。
「おっぱいバンザイ!」
 元よりシラフ以外の隙はない神代の敵ではない。挽回した気迫で一閃。そこにケイがエイミングで調教した暴れ馬魔導銃の追撃が決まる。
「おっぱいバンザイ!」
 まるで右乳と左乳とで挟み撃ったような見事な連携ね。昇天なさい。
 ケイの敵への引導に神代も重々しく頷く。自己暗示が効き過ぎるのも考え物である。

「ギィィッ!」
 奇声を上げ1匹のゴブリンが特攻──敵秘密兵器の破壊に走る。
 ついに「リカ」へもたれ掛かった南條が、身を挺して荷を庇っているように見えたものか。玉砕覚悟、大音声で恫喝し注目を惹く。
 ──だが。
「テメェェ! その胸部装甲の谷間に一番最初に挟まるのはオレだぁっ!」
 元CAMパイロットとしてその位置は譲れん!
 奇声を上回る大音声で急接近したレイオスがゴブリンを殴り飛ばし──騒音で機嫌最悪の南條が機導砲の露に変えた。

 特攻に気をとられたロベリアに、2匹の部下を散らせ作った隙でボスが体当たりし、その手のファイルを掏り取る。
 そのまま一目散に逃亡を図り……もちろん叶わなかった。
「大丈夫であるか? 危なかったな」
「平気。掏らせたのわざとだもの。勧進帳も役に立つわね」
 アベルトの強弾にロベリアの機導砲。背面をとられたゴブリンを倒すのは一瞬、だった。



「え? 分解……しちゃうの?」
 折りしも、到達した現場は防衛から追撃戦へ急転換する戦地。何か助力を、とハンター達は不足著しい防御補強を買って出る。
「道中の装甲の説明、全部がデタラメじゃないもの。これ、弾除けにはなかなかよ?」
 ガラクタの寄せ集め、追加胸部装甲「リカ」。ロベリアは手際よく解体・再構築してゆく。
「手伝います」
 普段より疲れる護衛でしたけど悪くなかった。神代が選別を請け負う。自分も、オレも。皆が続く。

 人の夢、それは儚い…
 けれど人々を護り育む希望に変わりはないのだ。

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MVP一覧

  • 軌跡を辿った今に笑む
    ロベリア・李ka4206

重体一覧

参加者一覧

  • 孤高の射撃手
    アバルト・ジンツァー(ka0895
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • 王国騎士団“黒の騎士”
    レイオス・アクアウォーカー(ka1990
    人間(蒼)|20才|男性|闘狩人
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • ヒースの黒猫
    南條 真水(ka2377
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • 憤怒王FRIENDS
    ケイ(ka4032
    エルフ|22才|女性|猟撃士
  • 軌跡を辿った今に笑む
    ロベリア・李(ka4206
    人間(蒼)|38才|女性|機導師

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ロベリア・李(ka4206
人間(リアルブルー)|38才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/04/20 03:41:24
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/04/16 22:46:57