ゲスト
(ka0000)
大口を叩け!
マスター:STANZA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/06 07:30
- 完成日
- 2014/07/17 00:05
このシナリオは2日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
同盟領内のとある集落には、こんな言い伝えがあった。
「大口叩けりゃ一人前」
それは、身の丈に合わない偉そうな事を堂々と言ってのける様になれば、大人として認めてやる……という意味ではない。
文字通り、大口を叩くのだ——物理的に。
解説しよう。
大口(ビッグマウス)というのは、この地方に現れるモンスターの名前なのだ。
それは遠目には普通のカエルの様にも見える。
だが、カエルとは明らかに違う点がひとつあった。
その身体の殆ど全てが口なのだ。
リアルブルー出身者には「がま口にカエルの足が付いた様な形」と言えば、わかりやすいだろうか。
そう、あのパカッと開く財布のガマグチだ。
大口はタテヨコ50cm程度の、ほぼ丸い形をしている。
一見したところ、身体には目も鼻も耳もない。
それでどうやって周囲の様子を探っているのかは不明だが、獲物を見付けた大口はその丸い身体に付いた短い足でぴょんぴょんと跳ねて近付き、襲いかかる。
その時には開きすぎて裏返しになるんじゃないか、という位に口が上下に開かれ——そして丸呑み。
身長1mくらいの子供なら、軽く呑み込まれてしまう。
大口は主に川や池などの水辺、しかも水深が浅い場所に現れる。
これから暑くなるこの時期、子供達が水辺で遊ぶ機会も増えるが、それだけに大口と遭遇する危険も増える事になるだろう。
だが、大人なら呑み込まれる心配はないし、覚醒者でなくとも物理で殴れば退治出来る程の弱さだった。
というわけで。
集落では夏を目前にしたこの時期に、若者の成人式を兼ねた大口退治を行うのが毎年の決まり事になっていた。
大口を物理的に叩き、斬り、或いは……まあ、何でも良いからとにかく退治する事が出来れば成人と認められる。
退治の際に自身も大きな口を叩いて、その胸に抱いた夢や希望、野望、大望などを周囲にアピール出来れば尚良し。
しかし今年は、水辺に現れる大口の数がやけに多かった。
「こりゃあ、村の若い衆だけに任せんのは、危ねぇかもしんねぇな」
集落の大人達は考えた。
「だども、これは成人の儀式だでなぁ」
「んだ、集落の大人が関わるわけにはいかねぇべ」
しかし、外部の人間なら大人でも構わないだろう。
大口の数も多いことだし、どうせならハンターに頼んだ方が安全ではないだろうか。
————
かくして、ハンターオフィスに大口退治の依頼が貼り出される事となった。
大口を叩きながら、大口を叩こう。
仕事は簡単、何か大きな事を叫びながら大口を退治するだけだ。
物理でも魔法でも、至近距離でも遠く離れた所からでも。
大人も子供もお姉さんも、勿論お兄さんでもジサマもバサマも。
年齢性別種族出身、一切不問。
「さあ、キミも大口を叩いて大人になろう!」
元から大人でも、きっと更に良い感じの渋い大人になれるんじゃないかな!
多分きっと!
リプレイ本文
集まったのは、何れ劣らぬ個性的なメンバーだった。
中でも特に目を惹くのが――
「くまーーーー!! 頑張るくまーーーー!!」
気合の雄叫びを上げるこの熊だろう。
「しろくま(ka1607)くまー。どうぞよろしくお願いいたしますくまー」
ギャラリーの注目を一身に集めている事にはたと気付いた彼は、我に返ってペコリと頭を下げる。
「いきなり叫んだりして、驚かせてしまったくま?」
いや、驚いているのは確かだが、ポイントは多分そこじゃない。
精巧に作られた着ぐるみは、それだけでインパクト充分だった。
「何だかいきなり持ってかれた気がするけど」
リズリエル・ュリウス(ka0233)が、ひょいと肩を竦める。
しかし大道芸人の真価は技で魅せてこそ、大口退治が始まってからが本当の勝負だ。
大勢のギャラリーに囲まれるのも、いつもの事。
「それでこそ気分も上がるってもんだよね」
「そうそう、特に女の子♪」
にこにこと手を振るラウリィ・ディバイン(ka0425)は、女の子達の声援が全て自分に向けられたものであると信じて疑わなかった。
「応援ありがとね! よーっし、俺がんばっちゃおー♪」
と、その前に。
「これ、リアルブルーのお酒をなんだけど、良ければ受け取ってほしいな」
手土産の缶ビールを、偉そうな人に渡す。
「ほら、大事な儀式が成功した後って、どんちゃん騒ぎがつきものでしょ?」
そして始まる大口退治。
「大口を叩く前の大口退治か」
エルデ・ディアマント(ka0263)は面白そうに言うと、魔導銃を構えた。
折角だから、存分に叩かせて貰おうか――とびきりの大口を。
「法螺や夢で終わらせるつもりなんて毛頭ないけどね!」
遥か遠くから、遠慮なくぶっ放す。
バシャバシャと派手に水を跳ね散らかしながら近付いて来る大口達は、目視で確認しなくても大体の居場所を掴む事が出来た。
ひときわ大きな水音がした後は、狙いを空中に定めれば良い。
大ジャンプで飛び上がったものが落ちて来た所を狙って一発必中。
「ふふーふ、大口の割には大したことないじゃないか」
回避や受けは苦手だが、近寄られる前に粉砕すれば問題なし!
それに、一緒に参加した仲間達がそれを黙って見逃す筈もなかった。
「撃ち漏らしは俺に任せて下さい」
雪ノ下正太郎(ka0539)は、エルデの背後に回り込もうとしていた生意気な大口をハンドアックスで斬って捨てる。
この程度の相手に覚醒など不要だ。
呑み込まれる怖れはないだろうが、川に入らず視野を広く取れば、今の様に仲間の危機にも即応できる。
そうして周囲に気を配りながら、際限なく湧いて来るかに見える大口をちまちまと――沈黙を保ったままで。
(まだだ、まだ大口を叩くには早すぎる)
だってヒーローは最後の最後、最高に盛り上がった所で登場するものだから!
「さて、変な相手や条件があっても依頼は依頼です。きっちりこなして見せましょう」
元軍人らしく、シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)は手慣れた様子で装備を確認すると、訓練された無駄のない動きで現場の川に入って行く。
ヘルメットに隠された表情は見えないが、動作の端々から生真面目な人物であろう事が窺えた。
「では村の方々が安全に成人式を行えるように努力させて頂きます」
猟銃を構えつつ敵との距離を詰め――
ぼぐっ!
殴った。
しかも素手で。
猟銃の存在意義とは何だったのか。
せめて台尻で殴るとか、何かしら活躍の場を与えて欲しかった……と、猟銃に心があるならそう嘆いているかもしれない。
だが心配は無用だ。
拳の一撃で倒れるほど、大口はヤワではないのだ。
「ならば、これでどうでしょう」
大口の口に猟銃を突っ込み、撃つ。
その身体は風船が破裂する様な良い音を立てて四散した。
これで猟銃も本望だろう。
後は集落の若者達が叩きやすい様に、大口の数を適当に減らして行けば良い。
ついでに自分も、小さな声でこっそりと大口を。
「これから一緒に戦う味方はみんな私が助けてみますからっ」
どうやら皆の前で大口を叩くのは恥ずかしい様だ。
「私の前では誰も怪我させません」
誰かに聞いて貰うまでもない、それは自分自身への言葉――
「……この生き物、普段どんなの、食べてるのか、ちょっと興味、沸く」
雨音・みさぎ(ka1448)はそう言いつつも、興味の対象を容赦なく焼き払った。
興味はあるが、それを確認するのは後で良い。
今はこの魔法の威力、それがもたらす破壊の様相を確かめる事が優先だ。
「自分は、この世界の全て、極めてみせる。事事物物、あらゆる技術、知識、それら全て、自分自身の手で、自らのモノにしてみせる」
炎の矢に貫かれた大口の様子を見ながら、みさぎはそっと呟いた。
非覚醒者でも倒せる程の敵を相手に、少々やりすぎの感がなきにしもあらずだが、手加減はしない。
「魔術も、極めるべきものの一片」
その為には全力で事に当たる必要があるのだ。
「大口らの、生態、知るのもまた、極めるべき一端……ではあるものの、それはまた今度」
芝居がかった大仰な動きでワンドを振り、今度は石つぶてを浴びせる。
大口は一撃で肉片と化した。
「リズリエル・ュリウス、道化師だぞっ!」
リズリエルは観客に向かって名乗りを上げると、小道具のロープを投げ縄にして大口の大口をぎゅっと捕縛。
そのまま縛り上げ、ぴょいと飛び乗れば、大玉乗りならぬ大口乗りのパフォーマンスだ。
「はっはっはぁ! 技芸の道の礎になれー!」
戦闘は芸の肥やし、戦いさえもショータイムに変える、それが真の芸人というものだ。
「あえて弱い武器で挑んでやらねばぁ、見せ場を作る前に終わってしまうからなぁ!」
身軽に飛び降りたら次は二本のナイフをジャグリングの様にひょいひょいと持ち替えながら投げる。
「ふふん……前座にもならんぜっ」
投げたナイフを回収ついでに滅多切りから、それを持ち上げて――
「……お前等、丁度良いサイズだなっ」
がぼんっ!
他の大口の大口にねじ込む。
「名付けて、あいたくちがふさがらない作戦だ!」
そうして次々に大口入り大口を拵えていくが、理由は特にない。
強いて言うなら、なんかウケそうだから?
「これは私が一人前の大人だって言う事を証明する良い機会ですわね」
ミスティ・メイフィールド(ka0782)はマギスタッフを振りかざす。
「どう見てもまだ子供だろう、ですって?」
人を見た目で判断してはいけません。
見た目通りの年齢だけどね!
「時間をかけるのもかったるいですわ、さくっと片付けてしまいましょう」
魔術師らしく、後方から魔法全開で。
「でも私は大口など叩けませんからスマートに撃退しますわよ?」
とか言いつつ大口もがっつり全開ですわよ!
「そもそも私がハンターになったのは、歪虚なんてものが世界に蔓延っているからですわ」
マジックアローばひゅーん。
「生き物からマテリアルを吸い取り衰弱させて死に至らしめ、更には死んだ後の転生も安らぎさえも与えずに……」
ウインドスラッシュしゅばばーん。
「森も、動物達も、エルフも人も、関係なく歪虚は歪めてしまう……そんな事が許されるわけありませんもの」
ドワーフ? 知らない子ですわね。だってエルフですもの!
「私がハンターになったからには、いずれは歪虚は根こそぎ滅ぼし」
ばひゅーん!
「北の果てまで押し返してその根源を叩いてやりますわ」
しゅばばーん!
「その為に今は経験を積み、力をつけているんですもの――ガマ口になんか負けませんわよ!」
「大口をたたいて敵もたたくくまー!」
しろくまはロッドをぶんぶん振り回し、バシャバシャと川の中へ。
「くまはもふもふ教を世界中に広めてやるくま!」
敵が大量に集まる場所を狙ってロッドを一振り!
「そしてゆくゆくはもふもふ教を世界最大の宗派にしてみせるくまーーー!」
大胆に繊細にしろくまのように舞い!
「そしてそしてもふもふ教の教会を村単位の小さな場所まで立てるくまーー!」
しろくまのように狩る!
「そしてそしてそしてもふもふ教を国教にしてみせるくまーーーーーーーーー!」
それはまるで川を上る鮭を捕るかの如く!
「もふもふくまーーー☆」
「かわいい女の子、美人なお姉さん、妙齢のご婦人! 俺が! 皆の未来の幸せを! この手で保証するよ!」
大声で宣言しながら、ラウリィは大口に向けて次々に矢を放つ。
見よ、この華麗なる弓使い!
(あー……たくさんの大口をカッコ良く倒して女の子たちにアピールできたら、キャーキャー言われちゃうかなー♪)
むしろキャーキャー言ってほしいなー♪
(いや、言われなきゃ嘘だよ何これ俺ってカッコ良すぎ!)
陶酔している。
「世界中の女性と仲良くなるんだ! 俺ならできる!」
欲求がダダ漏れである。
公開ナンパとでも言うべきか。
しかし陶酔しながらも、周囲に気を配る事は忘れなかった。
囲まれない様に注意しつつ、遠い間合いからでも確実に仕留めていく。
「キャー!」
女の子達の黄色い悲鳴が耳に心地よかった。
そうかそうか、そんなにカッコイイか。
え、なに? 違う? 後ろ?
くるりと振り向くと、そこには――
「ほう、これが成人式か。中々面白そうじゃねーか」
メリケンサックを握り込んだ加山 斬(ka1210)は、不敵な笑みを浮かべつつ川の中へ踏み込んで行く。
「取り敢えずその大口とやらを退治しながら大口を叩けば良いんだな。何とも洒落の利いた話だな……実に面白い」
拳ひとつで戦うならフットワークも軽いし、何より小回りが利くから他の仲間の邪魔になる事もないだろう。
「いや実に興味深いな。この世界の風習やら生物は」
蒼の世界では物語の中でしか触れる事の出来なかったもの。
「是非とももっと色んな所を回って調べてみたい所だな」
きっと物語の中でさえ見た事のない、驚きの世界が広がっているに違いない。
「そう、この世界を隅々まで旅してぇ、知らない事全部見て回りてぇ――だがこの世界には歪虚が蔓延ってやがる、自由には旅も出来ない。だから……ってうおっと」
なんかスゴイの出た!?
「なるほどなぁ、大口とはまた上手い名前をつけたもんだ」
その姿を見た飄 凪(ka0592)は、感心した様に呟く――が、感心している場合ではなかった。
「そんじゃま、とっととご退場してもらおうかねぇ」
巨大な槍斧を振り回しながら、放電の様なオーラを纏った凪は大口の群れに突っ込んで行く。
大きく踏み込んで力任せに叩き付け、まず一匹を両断。
引き上げざまに手首を返して斧刃を水平に向けると、刃先の重量とリーチを活かして回転する様に周囲を薙ぎ払った。
群がる大口達が面白い様に吹っ飛び、腹を見せて引っ繰り返る。
「はっ、気が晴れねぇ気が晴れねぇ気が晴れねぇ。雑魚相手じゃ全然すかっとしねぇよ、雑魚は地べたを這い蹲って泥でもすすってろ」
飛び掛かって来るものには手首のスナップを利かせてブンブン振り回し、弾き飛ばす。
重たい筈の槍斧をデッキブラシか何かの様に軽々と回す様子に、観客からどよめきが起こった。
「二度と朝日を拝めると思うんじゃねぇぞ、生まれ変わって出直して来い!」
周囲の反応に気を良くしたのか、槍斧ばかりか口も滑らかに良く回る。
「もっとも生まれ変わったところで雑魚は雑魚だがな」
それは大口と言うよりただの悪口だが、デカい事を言う為のスタイルは人それぞれで構わないのだ。
「もっと手応えのある奴はいねぇのか!」
そのリクエストにお答え――した訳でもないだろうが。
出ました、もっとデカいのが!
「げげ、出たぁぁぁぁっ!!」
正太郎が大袈裟に驚く。
「って、いつの間に!?」
ラウリィは頭上から覆い被さろうとする超巨大な口に、咄嗟に弓を突っ込んだ。
それをつっかえ棒にして、閉じられないように粘る!
「集落の皆は後ろに下がって! 普通の奴とはちょっと違う感じがするっ」
って言うか明らかに違う。
違っているのはサイズだけの様ではあるが、それだけでも充分に別モノだ。
「いや待て! ちょっと待て! 今一体何処から出やがった。ここ深い所でも膝下までしか無い筈だろうがっ!?」
斬が実に冷静なツッコミを入れる。
だが、気にしてはいけない。
それは「そういうもの」なのだ。OK?
……OK。
「まあ他の大口は逃げ出したし後は奴一匹だけだな」
斬がファイティングポーズをとる。
「おうっ、やっぱこーいう大道具もねーと盛り上がらんなっ」
華美、派手、大仰はリズリエルの大好物だ。
「……でか。予想外。でもだからこそ、ここ、面白い」
みさぎは予想もつかない生態を目の当たりにして、満足げに頷いた。
「うん、ますます興味、加速する」
「こりゃあ大物だな。いや、小物かもしれねぇが」
槍斧を肩に担いだ凪は、楽しそうに見得を切る。
「楽しくなってきたなぁ!」
超大型だろうと関係ない、仲間と共に蹴散らすのみだ。
「こいつはやばそうだ、獅子変身っ!!」
遂にその時が来たとばかりに、覚醒した正太郎はライオン人間の姿になる。
最後にエルデが仲間の特性に合わせて各種強化をかけた。
「さあ、皆頑張ってぶっとばそう!」
それに応えて、みさぎが開けっ放しの口に魔法を叩き込んだ。
同時に弓のつっかえ棒を引き抜いたラウリィは、そのまま口の中に追撃の矢を放つ。
「さすがにこんな規格外がいたんじゃ、大事な儀式どころじゃなくなっちゃうもんね」
続いて飛び出したリズリエルは、ロープを水中に隠したまま超大口の周りを一周すると、ぐるぐると周回しつつ機会を伺った。
「さぁーて、上手く行ったらお慰み!」
超大口がジャンプしようとしたその瞬間。
リズリエルは思いきりロープを引っ張り、超大口の脚を引っかけた。
それはバランスを楠して引っ繰り返り、周囲に盛大な水飛沫が上がる。
水のカーテンを突き破り、凪が現れた。
「死にたくなけりゃ逃げ出しな! もっとも、逃がしゃしねぇけどな!」
槍斧を一振りし、その大きな口を更に大きく切り開く。
それに合わせて走り込んだ正太郎は、獅子の爪に見立てたメリケンサックで渾身の一撃を叩き込んだ。
「CAMのパイロットに復帰して、巨大な敵を駆逐してやるっ!!」
続いて懐に飛び込んだ斬が、屈み込みからのアッパーをぶちかます。
ついでにさっき中断された大口の続きを、超大口に合わせたバージョンアップ版で!
「だから、歪虚何ぞ物ともしない位強くなる! 怪力乱神の鬼と呼ばれるぐらいにな!!!」
流石にこの大きさでは打ち上げからのコンボを決めるのは無理だった様だ。
だが確実に効いてはいる様で、超大口はじたばたと暴れ始める。
どうやら逃げようとしている様だが、その脚はしっかりとロープに絡まっていた。
べしべしべし、その身体をスキル切れのミスティが杖で殴る。
スキルも切れたが、どうやら大口のネタも尽きた様だ。
そしてシルヴィアは、相手が動けないのを良い事に、ジャンプからの踵落としを決めてみる。
最後に決めるのは、しろくまだ。
「しろくまあたーーーっくくまーー!!」
握ったロッドにありったけの力を込めて、叩く!
「そしてそしてそしてそしてもふもふ教国家を立ち上げるくまーーーーーーーー!!」
もういっちょ!
「そしてそしてそしてそしてそして世界中の人がもふもふ教信者くまーーーーーー!!」
決まった。
世界よもふもふたれ+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+
って、あれ? まだ動くの? しぶといなぁ。
「全く、しつこい奴は嫌われるって知らないのかな?」
エルデが魔導銃で止めを刺した。
追い払うまでもなく、退治完了――
「ちょっと喋り過ぎましたわ……」
がっくりと膝を付いたミスティは、喋り疲れたというよりも照れくさくて顔を上げられない様だ。
「ヒールくま~+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+」
しろくまが、怪我をした村の若者達を癒して回る。
もっとも、そう大怪我をした者はいないし……癒されるのは寧ろヒールよりもその姿に、かもしれない。
「成人式も無事に終わった事だし、後は酒池肉り……いや、お祝いのどんちゃん騒ぎだね♪」
ラウリィの両隣に座ったのはどちらも男だったけど、でも泣かない!
その向かいでは、エルデが大きな夢を語っていた。
「ボクの夢かい? そりゃあ自分の工房で沢山の物を作ることさ」
武器から防具、日用品に不思議なマジックアイテムまで。
「とりあえずの今の一番大きな目標は……仲間と一緒に宇宙船を作ることかな。そして皆であの空の向こう、宇宙に行って月でピクニックすることさっ!」
一緒に行きたい者がいれば、工房には誰でも歓迎だ。
「ふふーふ、集え作り手達よ! ってね」
向こうでは、斬が老人達の話を一心に書き留めていた。
この地方に伝わる昔話や風習など……似合わないなんて、言わないよ!
そして、まだ川原に残っている者がひとり。
「そういえば、あの大口、体内、どうなってるんだろう」
みさぎは原型が残っているものを探して、口の中を覗いてみる。
「これも、この謎な生物について、より詳しく、知るため」
だが、大きく開いた口はぶるんと震えて裏返しになってしまった。
「でも、これも、表?」
裏返した筈なのに、何度やっても表が出る。
やはり、この世界は不思議だ――
中でも特に目を惹くのが――
「くまーーーー!! 頑張るくまーーーー!!」
気合の雄叫びを上げるこの熊だろう。
「しろくま(ka1607)くまー。どうぞよろしくお願いいたしますくまー」
ギャラリーの注目を一身に集めている事にはたと気付いた彼は、我に返ってペコリと頭を下げる。
「いきなり叫んだりして、驚かせてしまったくま?」
いや、驚いているのは確かだが、ポイントは多分そこじゃない。
精巧に作られた着ぐるみは、それだけでインパクト充分だった。
「何だかいきなり持ってかれた気がするけど」
リズリエル・ュリウス(ka0233)が、ひょいと肩を竦める。
しかし大道芸人の真価は技で魅せてこそ、大口退治が始まってからが本当の勝負だ。
大勢のギャラリーに囲まれるのも、いつもの事。
「それでこそ気分も上がるってもんだよね」
「そうそう、特に女の子♪」
にこにこと手を振るラウリィ・ディバイン(ka0425)は、女の子達の声援が全て自分に向けられたものであると信じて疑わなかった。
「応援ありがとね! よーっし、俺がんばっちゃおー♪」
と、その前に。
「これ、リアルブルーのお酒をなんだけど、良ければ受け取ってほしいな」
手土産の缶ビールを、偉そうな人に渡す。
「ほら、大事な儀式が成功した後って、どんちゃん騒ぎがつきものでしょ?」
そして始まる大口退治。
「大口を叩く前の大口退治か」
エルデ・ディアマント(ka0263)は面白そうに言うと、魔導銃を構えた。
折角だから、存分に叩かせて貰おうか――とびきりの大口を。
「法螺や夢で終わらせるつもりなんて毛頭ないけどね!」
遥か遠くから、遠慮なくぶっ放す。
バシャバシャと派手に水を跳ね散らかしながら近付いて来る大口達は、目視で確認しなくても大体の居場所を掴む事が出来た。
ひときわ大きな水音がした後は、狙いを空中に定めれば良い。
大ジャンプで飛び上がったものが落ちて来た所を狙って一発必中。
「ふふーふ、大口の割には大したことないじゃないか」
回避や受けは苦手だが、近寄られる前に粉砕すれば問題なし!
それに、一緒に参加した仲間達がそれを黙って見逃す筈もなかった。
「撃ち漏らしは俺に任せて下さい」
雪ノ下正太郎(ka0539)は、エルデの背後に回り込もうとしていた生意気な大口をハンドアックスで斬って捨てる。
この程度の相手に覚醒など不要だ。
呑み込まれる怖れはないだろうが、川に入らず視野を広く取れば、今の様に仲間の危機にも即応できる。
そうして周囲に気を配りながら、際限なく湧いて来るかに見える大口をちまちまと――沈黙を保ったままで。
(まだだ、まだ大口を叩くには早すぎる)
だってヒーローは最後の最後、最高に盛り上がった所で登場するものだから!
「さて、変な相手や条件があっても依頼は依頼です。きっちりこなして見せましょう」
元軍人らしく、シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338)は手慣れた様子で装備を確認すると、訓練された無駄のない動きで現場の川に入って行く。
ヘルメットに隠された表情は見えないが、動作の端々から生真面目な人物であろう事が窺えた。
「では村の方々が安全に成人式を行えるように努力させて頂きます」
猟銃を構えつつ敵との距離を詰め――
ぼぐっ!
殴った。
しかも素手で。
猟銃の存在意義とは何だったのか。
せめて台尻で殴るとか、何かしら活躍の場を与えて欲しかった……と、猟銃に心があるならそう嘆いているかもしれない。
だが心配は無用だ。
拳の一撃で倒れるほど、大口はヤワではないのだ。
「ならば、これでどうでしょう」
大口の口に猟銃を突っ込み、撃つ。
その身体は風船が破裂する様な良い音を立てて四散した。
これで猟銃も本望だろう。
後は集落の若者達が叩きやすい様に、大口の数を適当に減らして行けば良い。
ついでに自分も、小さな声でこっそりと大口を。
「これから一緒に戦う味方はみんな私が助けてみますからっ」
どうやら皆の前で大口を叩くのは恥ずかしい様だ。
「私の前では誰も怪我させません」
誰かに聞いて貰うまでもない、それは自分自身への言葉――
「……この生き物、普段どんなの、食べてるのか、ちょっと興味、沸く」
雨音・みさぎ(ka1448)はそう言いつつも、興味の対象を容赦なく焼き払った。
興味はあるが、それを確認するのは後で良い。
今はこの魔法の威力、それがもたらす破壊の様相を確かめる事が優先だ。
「自分は、この世界の全て、極めてみせる。事事物物、あらゆる技術、知識、それら全て、自分自身の手で、自らのモノにしてみせる」
炎の矢に貫かれた大口の様子を見ながら、みさぎはそっと呟いた。
非覚醒者でも倒せる程の敵を相手に、少々やりすぎの感がなきにしもあらずだが、手加減はしない。
「魔術も、極めるべきものの一片」
その為には全力で事に当たる必要があるのだ。
「大口らの、生態、知るのもまた、極めるべき一端……ではあるものの、それはまた今度」
芝居がかった大仰な動きでワンドを振り、今度は石つぶてを浴びせる。
大口は一撃で肉片と化した。
「リズリエル・ュリウス、道化師だぞっ!」
リズリエルは観客に向かって名乗りを上げると、小道具のロープを投げ縄にして大口の大口をぎゅっと捕縛。
そのまま縛り上げ、ぴょいと飛び乗れば、大玉乗りならぬ大口乗りのパフォーマンスだ。
「はっはっはぁ! 技芸の道の礎になれー!」
戦闘は芸の肥やし、戦いさえもショータイムに変える、それが真の芸人というものだ。
「あえて弱い武器で挑んでやらねばぁ、見せ場を作る前に終わってしまうからなぁ!」
身軽に飛び降りたら次は二本のナイフをジャグリングの様にひょいひょいと持ち替えながら投げる。
「ふふん……前座にもならんぜっ」
投げたナイフを回収ついでに滅多切りから、それを持ち上げて――
「……お前等、丁度良いサイズだなっ」
がぼんっ!
他の大口の大口にねじ込む。
「名付けて、あいたくちがふさがらない作戦だ!」
そうして次々に大口入り大口を拵えていくが、理由は特にない。
強いて言うなら、なんかウケそうだから?
「これは私が一人前の大人だって言う事を証明する良い機会ですわね」
ミスティ・メイフィールド(ka0782)はマギスタッフを振りかざす。
「どう見てもまだ子供だろう、ですって?」
人を見た目で判断してはいけません。
見た目通りの年齢だけどね!
「時間をかけるのもかったるいですわ、さくっと片付けてしまいましょう」
魔術師らしく、後方から魔法全開で。
「でも私は大口など叩けませんからスマートに撃退しますわよ?」
とか言いつつ大口もがっつり全開ですわよ!
「そもそも私がハンターになったのは、歪虚なんてものが世界に蔓延っているからですわ」
マジックアローばひゅーん。
「生き物からマテリアルを吸い取り衰弱させて死に至らしめ、更には死んだ後の転生も安らぎさえも与えずに……」
ウインドスラッシュしゅばばーん。
「森も、動物達も、エルフも人も、関係なく歪虚は歪めてしまう……そんな事が許されるわけありませんもの」
ドワーフ? 知らない子ですわね。だってエルフですもの!
「私がハンターになったからには、いずれは歪虚は根こそぎ滅ぼし」
ばひゅーん!
「北の果てまで押し返してその根源を叩いてやりますわ」
しゅばばーん!
「その為に今は経験を積み、力をつけているんですもの――ガマ口になんか負けませんわよ!」
「大口をたたいて敵もたたくくまー!」
しろくまはロッドをぶんぶん振り回し、バシャバシャと川の中へ。
「くまはもふもふ教を世界中に広めてやるくま!」
敵が大量に集まる場所を狙ってロッドを一振り!
「そしてゆくゆくはもふもふ教を世界最大の宗派にしてみせるくまーーー!」
大胆に繊細にしろくまのように舞い!
「そしてそしてもふもふ教の教会を村単位の小さな場所まで立てるくまーー!」
しろくまのように狩る!
「そしてそしてそしてもふもふ教を国教にしてみせるくまーーーーーーーーー!」
それはまるで川を上る鮭を捕るかの如く!
「もふもふくまーーー☆」
「かわいい女の子、美人なお姉さん、妙齢のご婦人! 俺が! 皆の未来の幸せを! この手で保証するよ!」
大声で宣言しながら、ラウリィは大口に向けて次々に矢を放つ。
見よ、この華麗なる弓使い!
(あー……たくさんの大口をカッコ良く倒して女の子たちにアピールできたら、キャーキャー言われちゃうかなー♪)
むしろキャーキャー言ってほしいなー♪
(いや、言われなきゃ嘘だよ何これ俺ってカッコ良すぎ!)
陶酔している。
「世界中の女性と仲良くなるんだ! 俺ならできる!」
欲求がダダ漏れである。
公開ナンパとでも言うべきか。
しかし陶酔しながらも、周囲に気を配る事は忘れなかった。
囲まれない様に注意しつつ、遠い間合いからでも確実に仕留めていく。
「キャー!」
女の子達の黄色い悲鳴が耳に心地よかった。
そうかそうか、そんなにカッコイイか。
え、なに? 違う? 後ろ?
くるりと振り向くと、そこには――
「ほう、これが成人式か。中々面白そうじゃねーか」
メリケンサックを握り込んだ加山 斬(ka1210)は、不敵な笑みを浮かべつつ川の中へ踏み込んで行く。
「取り敢えずその大口とやらを退治しながら大口を叩けば良いんだな。何とも洒落の利いた話だな……実に面白い」
拳ひとつで戦うならフットワークも軽いし、何より小回りが利くから他の仲間の邪魔になる事もないだろう。
「いや実に興味深いな。この世界の風習やら生物は」
蒼の世界では物語の中でしか触れる事の出来なかったもの。
「是非とももっと色んな所を回って調べてみたい所だな」
きっと物語の中でさえ見た事のない、驚きの世界が広がっているに違いない。
「そう、この世界を隅々まで旅してぇ、知らない事全部見て回りてぇ――だがこの世界には歪虚が蔓延ってやがる、自由には旅も出来ない。だから……ってうおっと」
なんかスゴイの出た!?
「なるほどなぁ、大口とはまた上手い名前をつけたもんだ」
その姿を見た飄 凪(ka0592)は、感心した様に呟く――が、感心している場合ではなかった。
「そんじゃま、とっととご退場してもらおうかねぇ」
巨大な槍斧を振り回しながら、放電の様なオーラを纏った凪は大口の群れに突っ込んで行く。
大きく踏み込んで力任せに叩き付け、まず一匹を両断。
引き上げざまに手首を返して斧刃を水平に向けると、刃先の重量とリーチを活かして回転する様に周囲を薙ぎ払った。
群がる大口達が面白い様に吹っ飛び、腹を見せて引っ繰り返る。
「はっ、気が晴れねぇ気が晴れねぇ気が晴れねぇ。雑魚相手じゃ全然すかっとしねぇよ、雑魚は地べたを這い蹲って泥でもすすってろ」
飛び掛かって来るものには手首のスナップを利かせてブンブン振り回し、弾き飛ばす。
重たい筈の槍斧をデッキブラシか何かの様に軽々と回す様子に、観客からどよめきが起こった。
「二度と朝日を拝めると思うんじゃねぇぞ、生まれ変わって出直して来い!」
周囲の反応に気を良くしたのか、槍斧ばかりか口も滑らかに良く回る。
「もっとも生まれ変わったところで雑魚は雑魚だがな」
それは大口と言うよりただの悪口だが、デカい事を言う為のスタイルは人それぞれで構わないのだ。
「もっと手応えのある奴はいねぇのか!」
そのリクエストにお答え――した訳でもないだろうが。
出ました、もっとデカいのが!
「げげ、出たぁぁぁぁっ!!」
正太郎が大袈裟に驚く。
「って、いつの間に!?」
ラウリィは頭上から覆い被さろうとする超巨大な口に、咄嗟に弓を突っ込んだ。
それをつっかえ棒にして、閉じられないように粘る!
「集落の皆は後ろに下がって! 普通の奴とはちょっと違う感じがするっ」
って言うか明らかに違う。
違っているのはサイズだけの様ではあるが、それだけでも充分に別モノだ。
「いや待て! ちょっと待て! 今一体何処から出やがった。ここ深い所でも膝下までしか無い筈だろうがっ!?」
斬が実に冷静なツッコミを入れる。
だが、気にしてはいけない。
それは「そういうもの」なのだ。OK?
……OK。
「まあ他の大口は逃げ出したし後は奴一匹だけだな」
斬がファイティングポーズをとる。
「おうっ、やっぱこーいう大道具もねーと盛り上がらんなっ」
華美、派手、大仰はリズリエルの大好物だ。
「……でか。予想外。でもだからこそ、ここ、面白い」
みさぎは予想もつかない生態を目の当たりにして、満足げに頷いた。
「うん、ますます興味、加速する」
「こりゃあ大物だな。いや、小物かもしれねぇが」
槍斧を肩に担いだ凪は、楽しそうに見得を切る。
「楽しくなってきたなぁ!」
超大型だろうと関係ない、仲間と共に蹴散らすのみだ。
「こいつはやばそうだ、獅子変身っ!!」
遂にその時が来たとばかりに、覚醒した正太郎はライオン人間の姿になる。
最後にエルデが仲間の特性に合わせて各種強化をかけた。
「さあ、皆頑張ってぶっとばそう!」
それに応えて、みさぎが開けっ放しの口に魔法を叩き込んだ。
同時に弓のつっかえ棒を引き抜いたラウリィは、そのまま口の中に追撃の矢を放つ。
「さすがにこんな規格外がいたんじゃ、大事な儀式どころじゃなくなっちゃうもんね」
続いて飛び出したリズリエルは、ロープを水中に隠したまま超大口の周りを一周すると、ぐるぐると周回しつつ機会を伺った。
「さぁーて、上手く行ったらお慰み!」
超大口がジャンプしようとしたその瞬間。
リズリエルは思いきりロープを引っ張り、超大口の脚を引っかけた。
それはバランスを楠して引っ繰り返り、周囲に盛大な水飛沫が上がる。
水のカーテンを突き破り、凪が現れた。
「死にたくなけりゃ逃げ出しな! もっとも、逃がしゃしねぇけどな!」
槍斧を一振りし、その大きな口を更に大きく切り開く。
それに合わせて走り込んだ正太郎は、獅子の爪に見立てたメリケンサックで渾身の一撃を叩き込んだ。
「CAMのパイロットに復帰して、巨大な敵を駆逐してやるっ!!」
続いて懐に飛び込んだ斬が、屈み込みからのアッパーをぶちかます。
ついでにさっき中断された大口の続きを、超大口に合わせたバージョンアップ版で!
「だから、歪虚何ぞ物ともしない位強くなる! 怪力乱神の鬼と呼ばれるぐらいにな!!!」
流石にこの大きさでは打ち上げからのコンボを決めるのは無理だった様だ。
だが確実に効いてはいる様で、超大口はじたばたと暴れ始める。
どうやら逃げようとしている様だが、その脚はしっかりとロープに絡まっていた。
べしべしべし、その身体をスキル切れのミスティが杖で殴る。
スキルも切れたが、どうやら大口のネタも尽きた様だ。
そしてシルヴィアは、相手が動けないのを良い事に、ジャンプからの踵落としを決めてみる。
最後に決めるのは、しろくまだ。
「しろくまあたーーーっくくまーー!!」
握ったロッドにありったけの力を込めて、叩く!
「そしてそしてそしてそしてもふもふ教国家を立ち上げるくまーーーーーーーー!!」
もういっちょ!
「そしてそしてそしてそしてそして世界中の人がもふもふ教信者くまーーーーーー!!」
決まった。
世界よもふもふたれ+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+
って、あれ? まだ動くの? しぶといなぁ。
「全く、しつこい奴は嫌われるって知らないのかな?」
エルデが魔導銃で止めを刺した。
追い払うまでもなく、退治完了――
「ちょっと喋り過ぎましたわ……」
がっくりと膝を付いたミスティは、喋り疲れたというよりも照れくさくて顔を上げられない様だ。
「ヒールくま~+゚*。:゚+(*´∀`*)+゚:。*+」
しろくまが、怪我をした村の若者達を癒して回る。
もっとも、そう大怪我をした者はいないし……癒されるのは寧ろヒールよりもその姿に、かもしれない。
「成人式も無事に終わった事だし、後は酒池肉り……いや、お祝いのどんちゃん騒ぎだね♪」
ラウリィの両隣に座ったのはどちらも男だったけど、でも泣かない!
その向かいでは、エルデが大きな夢を語っていた。
「ボクの夢かい? そりゃあ自分の工房で沢山の物を作ることさ」
武器から防具、日用品に不思議なマジックアイテムまで。
「とりあえずの今の一番大きな目標は……仲間と一緒に宇宙船を作ることかな。そして皆であの空の向こう、宇宙に行って月でピクニックすることさっ!」
一緒に行きたい者がいれば、工房には誰でも歓迎だ。
「ふふーふ、集え作り手達よ! ってね」
向こうでは、斬が老人達の話を一心に書き留めていた。
この地方に伝わる昔話や風習など……似合わないなんて、言わないよ!
そして、まだ川原に残っている者がひとり。
「そういえば、あの大口、体内、どうなってるんだろう」
みさぎは原型が残っているものを探して、口の中を覗いてみる。
「これも、この謎な生物について、より詳しく、知るため」
だが、大きく開いた口はぶるんと震えて裏返しになってしまった。
「でも、これも、表?」
裏返した筈なのに、何度やっても表が出る。
やはり、この世界は不思議だ――
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/01 06:38:46 |
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まぁ相談するまでもないけどなっ リズリエル・ュリウス(ka0233) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/07/03 18:45:55 |