ゲスト
(ka0000)
名前を付けて!―花―
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/04/29 12:00
- 完成日
- 2015/05/07 16:48
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
蒸気工場都市フマーレ、その工業区の外れにひっそり佇む煉瓦造りの工場。アイビーの絡む塀に囲まれた広い庭、門に掲げられた看板には、「阪井紡績有限会社」。
水車が回る動力が建物内の歯車を伝い、今日も何百と並ぶスピンドルが絶え間なく綿花を紡ぐ軽快な音が響いている。
先月、この工場にもたらされた二つの吉報。
一、防火の魔術が施された種子から育ち、機械では紡げないが手を掛けて紡いで織れば、多少の炎ではびくつかない布に仕上がる特殊な綿花
一、ふかふかな尻尾が愛らしく、どうやら人の言葉をある程度分かっていそうな振る舞いを見せる賢い狐
「さて……」
工場長、阪井輔は綿花の袋を片腕に抱え、膝に乗ってきた狐を撫でて溜息を零す。
遠い山から来た狐は社員一号のエンリコ・アモーレの元で回復し、最近では工場の庭を走り回る快活さを見せる。希に工場を尋ねてくる客人にも吠えついたりせず、大人しく座って撫でられれば尻尾を振って懐いてみせる卒の無さがある。
そろそろ、散歩に出しても良いのかもしれないね。
先日、阪井がそう呟くと、狐を抱えていたエンリコよりも先に飛び跳ねて喜んでいた。
丁度良い、そろそろあの綿花を紡がなければならないし、そうしている間は構ってやれないから。
●
ハンターのチームが2組呼ばれた。
片方は阪井が、もう片方はエンリコが依頼したらしい。
阪井は黒染の麻袋から一掴みの綿花を取り出して見せた。
「これは特殊な綿花で……」
その中から一輪、ハンターに摘まませて、触ってみてくれと促した。
ハンター達の手に触れられながら、綿花はぽろぽろと崩れ、解れて、細かな繊維が風に流れた。
「この通り、とても弱い花なんだ。だから、紡績も機械では無く手で行う。こっちの丈夫な綿花と混ぜながら少しずつ紡いでいくことになるんだ。上手くすれば、とても火に強い布が出来るそうだよ。まずは、この一袋だけなんだが、まあ、うちには人手が無くてね」
それじゃあ、スピンドルの使い方から話そうか。
袋を抱えて阪井は工場内にハンター達を招く。
「じゃあ、そういうわけだから、エンリコ君は狐のお守りを頼んだよ」
狐を連れ出したエンリコを見送って、工場の扉をガシャンと閉めた。
水車を回して動力を繋ぐ限り動き続ける紡績機は少しなら目を離しても大丈夫だ。
阪井はハンター達に1つずつスピンドル――装飾のされた手紡ぎ用のコマ――を差し出した。
ハンター達の手元には、練習用にと渡された綿の固まりと1本のスピンドル。
阪井はその1つを取って、綿を軽く引き出してスピンドルの先に絡めると、コマの重さでするすると引き延ばし、中空で揺れるコマの回転で撚りを掛けて軸にくるくる巻き取っていく。
「こんな感じかな。慣れは必要だけど、丁寧にやっていけば難しいことでは無いよ」
特殊な綿花は通常の物と混紡するから、弾いて混ぜている間、暫くその辺の綿を紡いで軽く慣れていてくれ。そう言い残し、作業に掛かった。
「そうそう、言い忘れていたけれど……この綿花にも名前が無いそうなんだ。何か良い名前を付けて欲しいと言われているんだが、どうだろうか?」
綿花を解す綿打ち用の弓を張りながらハンター達を振り返る。オーバーオールのポケットから取り出した手紙、この綿花の扱いについて記されたそれに付記された言葉をハンター達に伝えると、弦をぴしと綿に向けた。
細かな綿埃を散らし、仄かな色を付けた綿花が真白いそれに混ぜられていく。
弓で弾いて細い繊維を絡ませ馴染む内に、柔らかな固まりとなり、皺の多い節くれた指に馴染んでいった。
●
「どうだろう?」
ハンター達の手元を覗き、阪井は穏やかに声を掛けた。
「そろそろ、こちらの本番に掛かってもらっても良いかな?」
柔らかな綿を一掴みハンター達の手に委ねる。
「紡ぎながら、さっきのことも考えてみてくれないだろうか? 私の硬い頭ではなかなか、ね」
苦く笑って肩を竦め。阪井もハンター達に混じってスピンドルを回した。
蒸気工場都市フマーレ、その工業区の外れにひっそり佇む煉瓦造りの工場。アイビーの絡む塀に囲まれた広い庭、門に掲げられた看板には、「阪井紡績有限会社」。
水車が回る動力が建物内の歯車を伝い、今日も何百と並ぶスピンドルが絶え間なく綿花を紡ぐ軽快な音が響いている。
先月、この工場にもたらされた二つの吉報。
一、防火の魔術が施された種子から育ち、機械では紡げないが手を掛けて紡いで織れば、多少の炎ではびくつかない布に仕上がる特殊な綿花
一、ふかふかな尻尾が愛らしく、どうやら人の言葉をある程度分かっていそうな振る舞いを見せる賢い狐
「さて……」
工場長、阪井輔は綿花の袋を片腕に抱え、膝に乗ってきた狐を撫でて溜息を零す。
遠い山から来た狐は社員一号のエンリコ・アモーレの元で回復し、最近では工場の庭を走り回る快活さを見せる。希に工場を尋ねてくる客人にも吠えついたりせず、大人しく座って撫でられれば尻尾を振って懐いてみせる卒の無さがある。
そろそろ、散歩に出しても良いのかもしれないね。
先日、阪井がそう呟くと、狐を抱えていたエンリコよりも先に飛び跳ねて喜んでいた。
丁度良い、そろそろあの綿花を紡がなければならないし、そうしている間は構ってやれないから。
●
ハンターのチームが2組呼ばれた。
片方は阪井が、もう片方はエンリコが依頼したらしい。
阪井は黒染の麻袋から一掴みの綿花を取り出して見せた。
「これは特殊な綿花で……」
その中から一輪、ハンターに摘まませて、触ってみてくれと促した。
ハンター達の手に触れられながら、綿花はぽろぽろと崩れ、解れて、細かな繊維が風に流れた。
「この通り、とても弱い花なんだ。だから、紡績も機械では無く手で行う。こっちの丈夫な綿花と混ぜながら少しずつ紡いでいくことになるんだ。上手くすれば、とても火に強い布が出来るそうだよ。まずは、この一袋だけなんだが、まあ、うちには人手が無くてね」
それじゃあ、スピンドルの使い方から話そうか。
袋を抱えて阪井は工場内にハンター達を招く。
「じゃあ、そういうわけだから、エンリコ君は狐のお守りを頼んだよ」
狐を連れ出したエンリコを見送って、工場の扉をガシャンと閉めた。
水車を回して動力を繋ぐ限り動き続ける紡績機は少しなら目を離しても大丈夫だ。
阪井はハンター達に1つずつスピンドル――装飾のされた手紡ぎ用のコマ――を差し出した。
ハンター達の手元には、練習用にと渡された綿の固まりと1本のスピンドル。
阪井はその1つを取って、綿を軽く引き出してスピンドルの先に絡めると、コマの重さでするすると引き延ばし、中空で揺れるコマの回転で撚りを掛けて軸にくるくる巻き取っていく。
「こんな感じかな。慣れは必要だけど、丁寧にやっていけば難しいことでは無いよ」
特殊な綿花は通常の物と混紡するから、弾いて混ぜている間、暫くその辺の綿を紡いで軽く慣れていてくれ。そう言い残し、作業に掛かった。
「そうそう、言い忘れていたけれど……この綿花にも名前が無いそうなんだ。何か良い名前を付けて欲しいと言われているんだが、どうだろうか?」
綿花を解す綿打ち用の弓を張りながらハンター達を振り返る。オーバーオールのポケットから取り出した手紙、この綿花の扱いについて記されたそれに付記された言葉をハンター達に伝えると、弦をぴしと綿に向けた。
細かな綿埃を散らし、仄かな色を付けた綿花が真白いそれに混ぜられていく。
弓で弾いて細い繊維を絡ませ馴染む内に、柔らかな固まりとなり、皺の多い節くれた指に馴染んでいった。
●
「どうだろう?」
ハンター達の手元を覗き、阪井は穏やかに声を掛けた。
「そろそろ、こちらの本番に掛かってもらっても良いかな?」
柔らかな綿を一掴みハンター達の手に委ねる。
「紡ぎながら、さっきのことも考えてみてくれないだろうか? 私の硬い頭ではなかなか、ね」
苦く笑って肩を竦め。阪井もハンター達に混じってスピンドルを回した。
リプレイ本文
●
からから、からからと、機械が回す紡ぎ針は止まらない。軽快な音が満たす中で、阪井はハンター達に、塵を除いた二種を混ぜた綿を配る。
練習と同じようにと、自身も一塊取って細く引き出し、前腕程度の長さのスピンドルに引っ掛ける。錘にするコマを回して撚りを掛けると、柔らかな綿が引き延ばされ、くるくると中空で踊るように紡がれていく。巻き付けながら引き出して、逆に回して撚りを掛ける。細い綿花の繊維が絡み合って糸になると、それをコマの上に巻き取っていく。
淡い色の特殊な綿花が混ざった糸が溜まっていく。数回それを繰り返し、阪井はハンター達の手元へ順に目を向けていった。
一日お世話になります、と括った髪を揺らす辞儀をしてから作業を始めた来未 結(ka4610)は阪井の視線に気付くと、興味深げに機械へ向けていた目を手元に戻した。
「想像していたより……」
くるくる、と、来未の手を弄ぶように、スピンドルがその小さな手の中で跳ね回る。
「難しいですね」
困ったように肩を竦めて、跳ねる軸を押さえながら、少しずつ綿を摘まんで巻き付ける。
呼吸を整え、糸に指を添えながら丁寧に撚りを掛けて、腕の中であやすようにコマを回す。
軸に巻き付いた糸にしっかりと撚りを掛け直しながら、紡いだ糸を巻き取り眺めた。
「……どんな風に使われるのかなあ……」
少しずつ紡いでいく糸を眺めて思う。来未は糸をそっと撫でると、口を噤んで手を動かした。回転するスピンドル、鮮やかなコマの柄、途切れないように優しく指を添えながら紡ぐ不思議な糸。
手に握る綿に込められた思いを、紡いだ糸に与えられる願いを想像しながら紡ぎ続ける。
丁寧な作業を続け、次第に慣れていくように見える来未を見詰め柔和な目を細めた。
笑む視線を向けた先、マキナ・バベッジ(ka4302)が途切れた糸の撚りを解き、繊維を重ねて紡ぎ直していた。
「こう、ですね……撚りを作れば紡ぎ続けることが出来ます……」
初めて使うスピンドルを手に慣らし、繋ぎ直した糸もその継ぎ目をすっきりと寄りの中に収めている。
技師として新しい技術に触れ、それを世に出す役に立てる喜びに口元が微かに綻ぶ。
触れる綿の感触が興味深く、少しずつ紡いでいくその綿が糸となって軸に巻き取られていく。くるくるとまた一周。
「面白いものですね……」
阪井の方へ目礼を一つ、
「こうして……手間を掛ける作業は好きです」
紡いだ糸を示して言うと、阪井は私もそうだと頷いた。
集まったときは、機械のことはさっぱりだといっていたアイ・シャ(ka2762)だが、その手は楽しげにスピンドルを操っている。
「糸紡ぎ~」
透き通る愛らしい声が歌いながら、綿から糸を引き出す。
「くるくるくる~」
コマを回して撚りを掛けると、また歌いながら巻き取っていく。
スピンドルを回しながら、ふと目を向けた窓の外。庭木の枝に降りた1羽の鳥が、小さな花を摘み取って空に舞い戻って行った。
アイは、ぱたりと瞬いて、手元の綿をふわふわと弄る。
「鳥……花……食べちゃう……うーん」
何か思いつきそうだと頸を捻って髪を揺らした。手元に視線を戻すと、紡いだ糸をじっと眺めた。
これを布にする織機も手作業だろうか、軸から数センチ解いて撚りを緩めたり掛け直したりと弄ってみる。機械で織るには少し柔らかそうに感じられた。
「大変お高い商品になりそうな予感が致します……」
呟く言葉が聞こえたのか、阪井がくすりと笑って、そうだねと頷いた。
この間運んだ綿花か、と、ジオラ・L・スパーダ(ka2635)は手の中の綿を眺めた。仲間達は既に紡ぎ始めている。
瞼を伏せると、練習した感覚と、この綿を運んだときのことが思い出された。暫し感慨に浸り、よし、と頷いた。
「それじゃ、あたしも頑張って挑戦するか」
綿を摘まんでその先をスピンドルに掛ける。細く引き延ばした綿をくるりと捻りコマを回す。
練習通りに、と強張りそうな手に言い聞かせるように呟いた。
「くるくる回る紡ぎ錘」
唇に即興の歌を乗せながら、焦る呼吸を落ち着けて指を柔らかに。
リズムが大事、太さが疎らにならないように、丁寧に引っ張って、撚りを掛けたら巻き取って。そして、同じように引っ張ってもう一度、もう一度と繰り返す。
「禍も福も、共にくるくる糾いて」
コマは思い切りよく回した方が撚りがしっかり掛かって切れにくい。かちと境と目が合うと、そう言われた言葉を思い出す。
「回れ回れ踊るが如く」
帯のように連なる鮮やかなコマの柄の残像が、踊る。
紡績の技術を身につけて糸と生地を作れるようになれば、と姉たちの衣服代を抑えるべく、レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は緑の双眸に力を込める。
その目的を伏せる様に恭しい辞儀を添え、
「ベッドフォート家の末弟として、十全に務めさせていただきます……」
真摯な声でそう告げた。
周囲に水気が無い事を確かめ、己の手が汗ばんで濡らさぬようにグローブを着け。練習も一通りを覚えるまで行って。
「さて」
静かに特殊な綿花の混ざる綿を受け取るとグローブ越しの少しぎこちない指が綿の端を摘まんだ。
引き出す細い繊維の絡む綿は透ける程薄く広がり、更に引っ張ると細い糸の形になる。そこへスピンドルを使って撚りを掛けていく。綿を見詰めたレイの手が止まった。
「……美しいな」
独り言のように零れた言葉に阪井が振り返る。何か言ったかと尋ねる様な目にレイは首肯し、紡ぎ掛けの糸を示した。
「緩やかな綿花が、少しずつ糸になっていく様、というのは……美しいもの、ですね」
綿へ視線を向ける。その視線を軸に巻いた糸へと移して、レイは顔を上げた。
初めに聞いた綿花の話しを思い起こす。
他の綿と併せる事で、特別な何かになる。そのことはとても象徴的で、素敵なことだ。
「糸を併せると書いて、絣、と言うそうです。そうですね……」
染め分けた糸を併せる技法だ。レイのグローブが糸を撫でた。
「カスリックフラワーと言うのは……!」
得意げに満面の笑み。
絣の花かと阪井は頷いて、阪井は辺りを見回す。もう1人いたはずだと探すと腰の辺りに小柄な女性の頭を見付けた。
からからとスピンドルを回す紡績機械をじっと見詰め、鼻先をひくつかせながらその動きに瞠る彼女、スーズリー・アイアンアックス(ka1687)の目が瞬きを忘れている。
時折鼻が動いて匂いを探り、何かを見付けたような目が幾つもの点を注視している。
阪井が何度か躊躇ってから声を掛けて綿を差し出した。
「へえ……これが燃えない綿になるんだ……」
ふわ、ふわっと受け取った綿を弄りながら、スーズリーはぱたりと瞬いた。
元がただの綿なら触っても、勿論着ても安全そうで、炎に強い。それで、と青い瞳を輝かせる。
「火ねずみの皮衣、なんてどう?」
阪井が首を傾がせて、かぐや姫かと尋ねた。
「反って、古いのも良いかも知れないと思ったんだ」
短く引き出した綿を掲げてにこりと笑む。
これを織って布にして、機械でがしゃこんがしゃこん動かすのは好きなんだ、と。
●
ぱん、と手を鳴らす音が工場内に響いた。
「休憩に、致しましょう……綿花に障らぬよう、別室で」
レイが声を掛けると、阪井はそれなら2階へと階段を指し、そのまま2階へ向かう者、レイと給仕を手伝う者、機械を眺める者に別れた。
マキナと来未がレイを追って給湯室へ向かう。
「ベッドフォードさん、来未さん……僕も、手伝います……祖父の店で、支度してきましたから……」
「私も! ……今度は腕に縒りをかけて!」
給湯室でレイはヤカンをコンロに掛けて、炭の中に燐寸の火を落とした。ツナ缶を開けて中身を解しながら2人へ尋ねる。
「手軽に食べられるサンドイッチなどは如何でしょうか?」
声が聞こえたらしい阪井が給湯室を覗き、使って良いとバゲットを指す。襷で袖を上げて来未がバゲットを薄く切り、マキナはそれにツナを乗せていく。
オープンサンドが並ぶ隣で、レイはポットを2つ用意し、それぞれに紅茶の支度をする。
給湯室を覗いて戻った阪井は機械の世話の傍らスーズリーに機械紡績の仕組みを話していた。
「くるるーん、くるるーん……は、これか」
ずらりと並ぶ軸を指してスーズリーはこくこくと頷いた。手ずから紡いでいた物に比べて丈夫に細く紡がれているが、その分綿花の繊維は強く引っ張られている。
考え込み始めたスーズリーに声を掛けて阪井は2階へ向かった。
「ああ、丁度良く開いていたよ」
ジオラが手を振る。屋根へ出る梯子の横、2階へ運んでいた荷物を退かした空間に温かく日が差している。
「――考えたんですけど、紡いだ後の耐水はどうなるのでしょう……? 強くなる、のでしょうか」
アイの問いに阪井は首を横に揺らした。詳しいことは綿花を送ってきた研究者で無ければ分からないらしい。
給湯室から3人が本を抱えて階段を上ってくる。
少し豪華な休憩となった。
丁寧に入れられた紅茶の1つはジェオルジ産の物で阪井にも馴染みがあった。
「――こちらは、グラズヘイム王国のヒカヤ高原で栽培されている物です」
豊かな香が広がり、こちらもとても美味しい、と阪井が眦の皺を濃く微笑んだ。
時計が針を1つ進める頃、休憩を終えたハンター達が1階に戻る。
片付けに向かった3人を手伝いに、阪井も給湯室へ向かった。
コンロの火の落ちた炭を眺めていたマキナが阪井の方へと視線を向けた。
「火は……パイロと言います。綿のコットンと併せて……パイロン……などはどうでしょう」
カップを濯いだ手に残った雫を拭い、来未も考えがまとまったと手を止めた。
「露のようなものだけど、しっかり災いを祓ってくれるように。露払亥とか、どうかなあって思います……亥は植物の種というか……可能性が秘められてますように、と」
2人の提案に悩みながら阪井は給湯室を出た。
スーズリーは相変わらず、機械を眺めながら。けれど、綿花を紡ぐ手は止まっていない。
糸を紡いで機を織る彼女が歌う馴染みの無い歌は、聞いていれば直ぐに機織り歌だと察せられた。
阪井が尋ねると、にこりと笑んでコマを回しながら大きく頷いた。
「地元……私の、ドワーフの地元に、伝わる歌なんだ」
くるる、くるる、と歌いながら紡ぐ手は楽しげに動き続けた。
アイは鳥を見付けた窓の外を眺めていた。コマの側が丸くなる程手は進んでいる。
手の中の綿を弄り、外を眺め。ぼんやりととりとめも無く思いつくままに呟いた。
「燃え難い特性を生かして出来そうなこと…………燃え残る演出、燃え尽きない、燃え残る……愛とか! ……に~さまになにか……」
編んでみようと糸を撫でて瞼を伏せる。
暫く経って目を開けると、別の鳥が枝に止まっていた。その鳥が、花を、啄んだ。
「あ。……火食花。実際たべちゃうわけじゃないですが……」
あの鳥が花を摘み取ったみたいに。阪井に声を掛けて思いついたとその名前を伝えると、阪井も外を眺め、花を咥えて去って行く鳥を眩しげに目を細めた。
「もうひと頑張りか」
ジオラが元の席に戻り、練習を、リズムを思い出して落ち着こうと目を閉じる。
綿がすっと細い線を引くと、ジオラの唇から歌が零れた。
「紡げ紡げ縁が如く」
スピンドルに巻き取って、
「繋げ繋げ絆が如く」
コマを回して撚りを掛け、その手が、止まった。
「紡いで、繋いで、儚いものも形になる綿花、か……」
1つでは儚いけど、繋がり合えば強固なものに。スピンドルを握った手を離し、艶を持って響く声で歌いながら、思い切りよくコマを回した。
「私も思いついた。……花の絆。絆のように繋がり会って強くなる意味合いで」
「……ああ、良さそうだね。確かに、今日の皆の絆も撚り合わさっているわけだから……絆か、良い名前だと私は思うよ」
阪井が彼の手のスピンドルを止めてジオラを見る。穏やかな声で告げると、工場内のハンター達へゆっくりと視線を移していった。
用途をあれこれと思い浮かべていたアイは、贈る誰かを思っているのか嬉しそうに微笑んで糸を撫でている。
スーズリーは紡績機と彼女の手のスピンドルを見比べたり、糸を比べたり忙しそうにしながら、着々と作業を進めていた。
来未は糸を見詰め何かを思いついたようにマキナへ話し掛けている。マキナも頷いて糸を見て給湯室を振り返った。
丁度出てきたレイが首を傾がせた。
「キッチンミトンも良いと思うんです。それから、火災の救命活動も。使い方は沢山です……」
「はい。戦いのためだけ……では、なさそうです……」
「……使い道ですか? 私でしたら、そうですね……」
レイが糸をグローブを着け直して糸に触れる。傾げた首を横に揺らして、
「いえ、流石に……ドレスにするにはただの高いだけの布になってしまいそうですね」
レイが阪井の方へ歩いてくる。手にした綿と動いている紡績機を示し、
「この花が崩れやすいのは、その性質上湿度に弱いから知れませんね」
そう伝えた。機械で紡げるようになれば、使い道の幅も広がるかも知れない、と、からから響く音を聞きながら綿の端を引っ張った。
彼等の思いが糸の中に合わさっていく。
紡ぐ作業を再開させてから黙っていた来未が突然に声を上げた。
「うん……大分、慣れてきました……!」
唇に小さな声で歌が乗る。即興の歌を口ずさんでいる内に日が傾き掛けて、ハンター達の仕事も無事に終わった。
マキナが工場の見学に残ると言い、来未も屋根からの景色を描きたいと言った。
2階の梯子から露台へ出る。歩きながら、つむくり、つむくり、と糸紡ぎの歌を口ずさんで。
夕日の中、おかえりなさい、ただいまと声が響く。きゅっと狐の鳴く声がして、仲間の誰かの笑い声が聞こえた。
出来上がった来未の絵には狐を連れて帰ってきたハンター達と、偶然それを出迎えた仲間達の姿が捉えられていた。
からから、からからと、機械が回す紡ぎ針は止まらない。軽快な音が満たす中で、阪井はハンター達に、塵を除いた二種を混ぜた綿を配る。
練習と同じようにと、自身も一塊取って細く引き出し、前腕程度の長さのスピンドルに引っ掛ける。錘にするコマを回して撚りを掛けると、柔らかな綿が引き延ばされ、くるくると中空で踊るように紡がれていく。巻き付けながら引き出して、逆に回して撚りを掛ける。細い綿花の繊維が絡み合って糸になると、それをコマの上に巻き取っていく。
淡い色の特殊な綿花が混ざった糸が溜まっていく。数回それを繰り返し、阪井はハンター達の手元へ順に目を向けていった。
一日お世話になります、と括った髪を揺らす辞儀をしてから作業を始めた来未 結(ka4610)は阪井の視線に気付くと、興味深げに機械へ向けていた目を手元に戻した。
「想像していたより……」
くるくる、と、来未の手を弄ぶように、スピンドルがその小さな手の中で跳ね回る。
「難しいですね」
困ったように肩を竦めて、跳ねる軸を押さえながら、少しずつ綿を摘まんで巻き付ける。
呼吸を整え、糸に指を添えながら丁寧に撚りを掛けて、腕の中であやすようにコマを回す。
軸に巻き付いた糸にしっかりと撚りを掛け直しながら、紡いだ糸を巻き取り眺めた。
「……どんな風に使われるのかなあ……」
少しずつ紡いでいく糸を眺めて思う。来未は糸をそっと撫でると、口を噤んで手を動かした。回転するスピンドル、鮮やかなコマの柄、途切れないように優しく指を添えながら紡ぐ不思議な糸。
手に握る綿に込められた思いを、紡いだ糸に与えられる願いを想像しながら紡ぎ続ける。
丁寧な作業を続け、次第に慣れていくように見える来未を見詰め柔和な目を細めた。
笑む視線を向けた先、マキナ・バベッジ(ka4302)が途切れた糸の撚りを解き、繊維を重ねて紡ぎ直していた。
「こう、ですね……撚りを作れば紡ぎ続けることが出来ます……」
初めて使うスピンドルを手に慣らし、繋ぎ直した糸もその継ぎ目をすっきりと寄りの中に収めている。
技師として新しい技術に触れ、それを世に出す役に立てる喜びに口元が微かに綻ぶ。
触れる綿の感触が興味深く、少しずつ紡いでいくその綿が糸となって軸に巻き取られていく。くるくるとまた一周。
「面白いものですね……」
阪井の方へ目礼を一つ、
「こうして……手間を掛ける作業は好きです」
紡いだ糸を示して言うと、阪井は私もそうだと頷いた。
集まったときは、機械のことはさっぱりだといっていたアイ・シャ(ka2762)だが、その手は楽しげにスピンドルを操っている。
「糸紡ぎ~」
透き通る愛らしい声が歌いながら、綿から糸を引き出す。
「くるくるくる~」
コマを回して撚りを掛けると、また歌いながら巻き取っていく。
スピンドルを回しながら、ふと目を向けた窓の外。庭木の枝に降りた1羽の鳥が、小さな花を摘み取って空に舞い戻って行った。
アイは、ぱたりと瞬いて、手元の綿をふわふわと弄る。
「鳥……花……食べちゃう……うーん」
何か思いつきそうだと頸を捻って髪を揺らした。手元に視線を戻すと、紡いだ糸をじっと眺めた。
これを布にする織機も手作業だろうか、軸から数センチ解いて撚りを緩めたり掛け直したりと弄ってみる。機械で織るには少し柔らかそうに感じられた。
「大変お高い商品になりそうな予感が致します……」
呟く言葉が聞こえたのか、阪井がくすりと笑って、そうだねと頷いた。
この間運んだ綿花か、と、ジオラ・L・スパーダ(ka2635)は手の中の綿を眺めた。仲間達は既に紡ぎ始めている。
瞼を伏せると、練習した感覚と、この綿を運んだときのことが思い出された。暫し感慨に浸り、よし、と頷いた。
「それじゃ、あたしも頑張って挑戦するか」
綿を摘まんでその先をスピンドルに掛ける。細く引き延ばした綿をくるりと捻りコマを回す。
練習通りに、と強張りそうな手に言い聞かせるように呟いた。
「くるくる回る紡ぎ錘」
唇に即興の歌を乗せながら、焦る呼吸を落ち着けて指を柔らかに。
リズムが大事、太さが疎らにならないように、丁寧に引っ張って、撚りを掛けたら巻き取って。そして、同じように引っ張ってもう一度、もう一度と繰り返す。
「禍も福も、共にくるくる糾いて」
コマは思い切りよく回した方が撚りがしっかり掛かって切れにくい。かちと境と目が合うと、そう言われた言葉を思い出す。
「回れ回れ踊るが如く」
帯のように連なる鮮やかなコマの柄の残像が、踊る。
紡績の技術を身につけて糸と生地を作れるようになれば、と姉たちの衣服代を抑えるべく、レイ・T・ベッドフォード(ka2398)は緑の双眸に力を込める。
その目的を伏せる様に恭しい辞儀を添え、
「ベッドフォート家の末弟として、十全に務めさせていただきます……」
真摯な声でそう告げた。
周囲に水気が無い事を確かめ、己の手が汗ばんで濡らさぬようにグローブを着け。練習も一通りを覚えるまで行って。
「さて」
静かに特殊な綿花の混ざる綿を受け取るとグローブ越しの少しぎこちない指が綿の端を摘まんだ。
引き出す細い繊維の絡む綿は透ける程薄く広がり、更に引っ張ると細い糸の形になる。そこへスピンドルを使って撚りを掛けていく。綿を見詰めたレイの手が止まった。
「……美しいな」
独り言のように零れた言葉に阪井が振り返る。何か言ったかと尋ねる様な目にレイは首肯し、紡ぎ掛けの糸を示した。
「緩やかな綿花が、少しずつ糸になっていく様、というのは……美しいもの、ですね」
綿へ視線を向ける。その視線を軸に巻いた糸へと移して、レイは顔を上げた。
初めに聞いた綿花の話しを思い起こす。
他の綿と併せる事で、特別な何かになる。そのことはとても象徴的で、素敵なことだ。
「糸を併せると書いて、絣、と言うそうです。そうですね……」
染め分けた糸を併せる技法だ。レイのグローブが糸を撫でた。
「カスリックフラワーと言うのは……!」
得意げに満面の笑み。
絣の花かと阪井は頷いて、阪井は辺りを見回す。もう1人いたはずだと探すと腰の辺りに小柄な女性の頭を見付けた。
からからとスピンドルを回す紡績機械をじっと見詰め、鼻先をひくつかせながらその動きに瞠る彼女、スーズリー・アイアンアックス(ka1687)の目が瞬きを忘れている。
時折鼻が動いて匂いを探り、何かを見付けたような目が幾つもの点を注視している。
阪井が何度か躊躇ってから声を掛けて綿を差し出した。
「へえ……これが燃えない綿になるんだ……」
ふわ、ふわっと受け取った綿を弄りながら、スーズリーはぱたりと瞬いた。
元がただの綿なら触っても、勿論着ても安全そうで、炎に強い。それで、と青い瞳を輝かせる。
「火ねずみの皮衣、なんてどう?」
阪井が首を傾がせて、かぐや姫かと尋ねた。
「反って、古いのも良いかも知れないと思ったんだ」
短く引き出した綿を掲げてにこりと笑む。
これを織って布にして、機械でがしゃこんがしゃこん動かすのは好きなんだ、と。
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ぱん、と手を鳴らす音が工場内に響いた。
「休憩に、致しましょう……綿花に障らぬよう、別室で」
レイが声を掛けると、阪井はそれなら2階へと階段を指し、そのまま2階へ向かう者、レイと給仕を手伝う者、機械を眺める者に別れた。
マキナと来未がレイを追って給湯室へ向かう。
「ベッドフォードさん、来未さん……僕も、手伝います……祖父の店で、支度してきましたから……」
「私も! ……今度は腕に縒りをかけて!」
給湯室でレイはヤカンをコンロに掛けて、炭の中に燐寸の火を落とした。ツナ缶を開けて中身を解しながら2人へ尋ねる。
「手軽に食べられるサンドイッチなどは如何でしょうか?」
声が聞こえたらしい阪井が給湯室を覗き、使って良いとバゲットを指す。襷で袖を上げて来未がバゲットを薄く切り、マキナはそれにツナを乗せていく。
オープンサンドが並ぶ隣で、レイはポットを2つ用意し、それぞれに紅茶の支度をする。
給湯室を覗いて戻った阪井は機械の世話の傍らスーズリーに機械紡績の仕組みを話していた。
「くるるーん、くるるーん……は、これか」
ずらりと並ぶ軸を指してスーズリーはこくこくと頷いた。手ずから紡いでいた物に比べて丈夫に細く紡がれているが、その分綿花の繊維は強く引っ張られている。
考え込み始めたスーズリーに声を掛けて阪井は2階へ向かった。
「ああ、丁度良く開いていたよ」
ジオラが手を振る。屋根へ出る梯子の横、2階へ運んでいた荷物を退かした空間に温かく日が差している。
「――考えたんですけど、紡いだ後の耐水はどうなるのでしょう……? 強くなる、のでしょうか」
アイの問いに阪井は首を横に揺らした。詳しいことは綿花を送ってきた研究者で無ければ分からないらしい。
給湯室から3人が本を抱えて階段を上ってくる。
少し豪華な休憩となった。
丁寧に入れられた紅茶の1つはジェオルジ産の物で阪井にも馴染みがあった。
「――こちらは、グラズヘイム王国のヒカヤ高原で栽培されている物です」
豊かな香が広がり、こちらもとても美味しい、と阪井が眦の皺を濃く微笑んだ。
時計が針を1つ進める頃、休憩を終えたハンター達が1階に戻る。
片付けに向かった3人を手伝いに、阪井も給湯室へ向かった。
コンロの火の落ちた炭を眺めていたマキナが阪井の方へと視線を向けた。
「火は……パイロと言います。綿のコットンと併せて……パイロン……などはどうでしょう」
カップを濯いだ手に残った雫を拭い、来未も考えがまとまったと手を止めた。
「露のようなものだけど、しっかり災いを祓ってくれるように。露払亥とか、どうかなあって思います……亥は植物の種というか……可能性が秘められてますように、と」
2人の提案に悩みながら阪井は給湯室を出た。
スーズリーは相変わらず、機械を眺めながら。けれど、綿花を紡ぐ手は止まっていない。
糸を紡いで機を織る彼女が歌う馴染みの無い歌は、聞いていれば直ぐに機織り歌だと察せられた。
阪井が尋ねると、にこりと笑んでコマを回しながら大きく頷いた。
「地元……私の、ドワーフの地元に、伝わる歌なんだ」
くるる、くるる、と歌いながら紡ぐ手は楽しげに動き続けた。
アイは鳥を見付けた窓の外を眺めていた。コマの側が丸くなる程手は進んでいる。
手の中の綿を弄り、外を眺め。ぼんやりととりとめも無く思いつくままに呟いた。
「燃え難い特性を生かして出来そうなこと…………燃え残る演出、燃え尽きない、燃え残る……愛とか! ……に~さまになにか……」
編んでみようと糸を撫でて瞼を伏せる。
暫く経って目を開けると、別の鳥が枝に止まっていた。その鳥が、花を、啄んだ。
「あ。……火食花。実際たべちゃうわけじゃないですが……」
あの鳥が花を摘み取ったみたいに。阪井に声を掛けて思いついたとその名前を伝えると、阪井も外を眺め、花を咥えて去って行く鳥を眩しげに目を細めた。
「もうひと頑張りか」
ジオラが元の席に戻り、練習を、リズムを思い出して落ち着こうと目を閉じる。
綿がすっと細い線を引くと、ジオラの唇から歌が零れた。
「紡げ紡げ縁が如く」
スピンドルに巻き取って、
「繋げ繋げ絆が如く」
コマを回して撚りを掛け、その手が、止まった。
「紡いで、繋いで、儚いものも形になる綿花、か……」
1つでは儚いけど、繋がり合えば強固なものに。スピンドルを握った手を離し、艶を持って響く声で歌いながら、思い切りよくコマを回した。
「私も思いついた。……花の絆。絆のように繋がり会って強くなる意味合いで」
「……ああ、良さそうだね。確かに、今日の皆の絆も撚り合わさっているわけだから……絆か、良い名前だと私は思うよ」
阪井が彼の手のスピンドルを止めてジオラを見る。穏やかな声で告げると、工場内のハンター達へゆっくりと視線を移していった。
用途をあれこれと思い浮かべていたアイは、贈る誰かを思っているのか嬉しそうに微笑んで糸を撫でている。
スーズリーは紡績機と彼女の手のスピンドルを見比べたり、糸を比べたり忙しそうにしながら、着々と作業を進めていた。
来未は糸を見詰め何かを思いついたようにマキナへ話し掛けている。マキナも頷いて糸を見て給湯室を振り返った。
丁度出てきたレイが首を傾がせた。
「キッチンミトンも良いと思うんです。それから、火災の救命活動も。使い方は沢山です……」
「はい。戦いのためだけ……では、なさそうです……」
「……使い道ですか? 私でしたら、そうですね……」
レイが糸をグローブを着け直して糸に触れる。傾げた首を横に揺らして、
「いえ、流石に……ドレスにするにはただの高いだけの布になってしまいそうですね」
レイが阪井の方へ歩いてくる。手にした綿と動いている紡績機を示し、
「この花が崩れやすいのは、その性質上湿度に弱いから知れませんね」
そう伝えた。機械で紡げるようになれば、使い道の幅も広がるかも知れない、と、からから響く音を聞きながら綿の端を引っ張った。
彼等の思いが糸の中に合わさっていく。
紡ぐ作業を再開させてから黙っていた来未が突然に声を上げた。
「うん……大分、慣れてきました……!」
唇に小さな声で歌が乗る。即興の歌を口ずさんでいる内に日が傾き掛けて、ハンター達の仕事も無事に終わった。
マキナが工場の見学に残ると言い、来未も屋根からの景色を描きたいと言った。
2階の梯子から露台へ出る。歩きながら、つむくり、つむくり、と糸紡ぎの歌を口ずさんで。
夕日の中、おかえりなさい、ただいまと声が響く。きゅっと狐の鳴く声がして、仲間の誰かの笑い声が聞こえた。
出来上がった来未の絵には狐を連れて帰ってきたハンター達と、偶然それを出迎えた仲間達の姿が捉えられていた。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/27 19:05:07 |
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相談・雑談卓 マキナ・バベッジ(ka4302) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/04/28 19:15:24 |