ゲスト
(ka0000)
ホネ! ホネ! ホネ!
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/05/02 22:00
- 完成日
- 2015/05/09 22:37
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●僕たちの秘密基地
カタカタ……カタカタ……
大昔にうち捨てられた館があった。
カタカタ……カタカタ……
その館には蔦が這い覆い、日中であっても薄暗く、すきま風がまるで泣き声のようにビョウビョウと鳴っていた。
いつからか館は『お化け屋敷』と呼ばれ、子ども達の秘密基地として密かに人気を集めていた。
カタカタ……カタカタ……
「おい、お前何ビンボーゆすりしてんだよ」
「え~、ボクしてないよー」
カタカタ……カタカタ……
「だって、さっきからお前の方からカタカタ音がしてんじゃん」
「ボクじゃないよ-。あっちの部屋からじゃないかなー?」
カタカタ……カタカタ……
「……風かなぁ? 何かずっと鳴ってるな」
「気になるね。見に行こうか」
2人は連れ添ってそっと扉に近付いた。
カタカタ……カタカタ……
扉に耳をくっつけて、音を確認して、顔を見合わせて、頷いた。
そして、兄貴分が扉をそっと開けた。
カタカタカタカタカタカタ
中に居たのはスケルトンが3体。
それぞれが斧、剣、槍を持っていた。
「「うわぁっ!!」」
2人は驚いて、尻餅をつきながら、扉から後ずさった。
カタカタ、カタカタカタ、カタカタ……
音に気がついた骸骨達が2人の方に近付いて来る。
「逃げるぞ! 立て! 早くっ!!」
「うわぁ、待ってよ! 待ってぇっ!!」
子ども達は慌てて走り、逃げ出した。
開け放たれた扉から、スケルトン達は廊下へと出てくると、館の中を徘徊し始めるのだった……
●ある日のハンターオフィス
「郊外にある廃墟にスケルトンが3体出現したと依頼がありました。行って、倒してきて下さい」
余りにぞんざいな説明に、ハンター達は絶句する。
「……これ以上説明のしようがないのですが……廃墟は以前、ある貴族が保養地として建てた館でしたが、ここ10年近く放置されています。街からもさほど離れておらず、近年は子ども達の秘密の遊び場になっていたようです」
たしかに子どもというのは何故か『秘密基地』というフレーズにとびっきりの魅力を感じるものだ。
そして何故かそういう場所を見つけるのが上手い子どもというのが必ずいて、『他の人には絶対言うなよ!』とかいう秘密の共有をする事で更に絆が深まったりするのだ。
……懐かしい……という顔をしたハンターが何人かいた。
「今の所館の外へは出てきていないようですが、斧を持ったスケルトンが一体確認されていますので、これが扉を破るような事があれば……いつ、街へ出てきてもおかしくありません」
秘密基地ではあったが、流石にスケルトンに荒らされたのでは子どもの力では太刀打ちできない。
あの2人は『秘密基地』としての価値よりも、雑魔が現れたという恐怖を大人に知らせる事を優先させたのだ。
自警団が様子を見に行き、事実を確認した後、ハンターオフィスへと依頼が来た、というのがここまでの流れだという。
「剣、斧、槍をそれぞれ持っているそうです。連携……まではしてこないと思いたいですが、誕生した経緯が分からない以上、油断はしない方がいいでしょう。現在は3体がバラバラに館内を徘徊しているようです」
屋敷は、1階が中央階段ホール、台所、居間、応接室、風呂トイレ、他使用人の部屋が3つ。
中央の階段を上がって2階が書斎、主寝室、客間が5つという構造らしい。
「そう複雑な建物でもありませんが、廊下や階段などでは少々戦いにくいかもしれません」
6人が6人横に並ぶのは難しいが、客間などなら3人が並んで戦っても問題は無い程度の広さはあるらしい。
しかし、廊下は流石に2人が精一杯だろうという事だった。
「あと、一つ付け加えるなら。教えてくれた子ども達から『秘密基地を守って』と伝言を預かっています。既にもう持ち主のいない廃墟ですから、どのような戦術を使っていただいても構いません。つまり、この子ども達の意向が守れなくとも、報酬には響きません」
説明係の女性はにっこりと微笑んだ。
「赴かれるハンターの皆さんの心意気にお任せいたします」
それでは、ご武運を。と女性はいつも通り丁寧に頭を下げたのだった。
カタカタ……カタカタ……
大昔にうち捨てられた館があった。
カタカタ……カタカタ……
その館には蔦が這い覆い、日中であっても薄暗く、すきま風がまるで泣き声のようにビョウビョウと鳴っていた。
いつからか館は『お化け屋敷』と呼ばれ、子ども達の秘密基地として密かに人気を集めていた。
カタカタ……カタカタ……
「おい、お前何ビンボーゆすりしてんだよ」
「え~、ボクしてないよー」
カタカタ……カタカタ……
「だって、さっきからお前の方からカタカタ音がしてんじゃん」
「ボクじゃないよ-。あっちの部屋からじゃないかなー?」
カタカタ……カタカタ……
「……風かなぁ? 何かずっと鳴ってるな」
「気になるね。見に行こうか」
2人は連れ添ってそっと扉に近付いた。
カタカタ……カタカタ……
扉に耳をくっつけて、音を確認して、顔を見合わせて、頷いた。
そして、兄貴分が扉をそっと開けた。
カタカタカタカタカタカタ
中に居たのはスケルトンが3体。
それぞれが斧、剣、槍を持っていた。
「「うわぁっ!!」」
2人は驚いて、尻餅をつきながら、扉から後ずさった。
カタカタ、カタカタカタ、カタカタ……
音に気がついた骸骨達が2人の方に近付いて来る。
「逃げるぞ! 立て! 早くっ!!」
「うわぁ、待ってよ! 待ってぇっ!!」
子ども達は慌てて走り、逃げ出した。
開け放たれた扉から、スケルトン達は廊下へと出てくると、館の中を徘徊し始めるのだった……
●ある日のハンターオフィス
「郊外にある廃墟にスケルトンが3体出現したと依頼がありました。行って、倒してきて下さい」
余りにぞんざいな説明に、ハンター達は絶句する。
「……これ以上説明のしようがないのですが……廃墟は以前、ある貴族が保養地として建てた館でしたが、ここ10年近く放置されています。街からもさほど離れておらず、近年は子ども達の秘密の遊び場になっていたようです」
たしかに子どもというのは何故か『秘密基地』というフレーズにとびっきりの魅力を感じるものだ。
そして何故かそういう場所を見つけるのが上手い子どもというのが必ずいて、『他の人には絶対言うなよ!』とかいう秘密の共有をする事で更に絆が深まったりするのだ。
……懐かしい……という顔をしたハンターが何人かいた。
「今の所館の外へは出てきていないようですが、斧を持ったスケルトンが一体確認されていますので、これが扉を破るような事があれば……いつ、街へ出てきてもおかしくありません」
秘密基地ではあったが、流石にスケルトンに荒らされたのでは子どもの力では太刀打ちできない。
あの2人は『秘密基地』としての価値よりも、雑魔が現れたという恐怖を大人に知らせる事を優先させたのだ。
自警団が様子を見に行き、事実を確認した後、ハンターオフィスへと依頼が来た、というのがここまでの流れだという。
「剣、斧、槍をそれぞれ持っているそうです。連携……まではしてこないと思いたいですが、誕生した経緯が分からない以上、油断はしない方がいいでしょう。現在は3体がバラバラに館内を徘徊しているようです」
屋敷は、1階が中央階段ホール、台所、居間、応接室、風呂トイレ、他使用人の部屋が3つ。
中央の階段を上がって2階が書斎、主寝室、客間が5つという構造らしい。
「そう複雑な建物でもありませんが、廊下や階段などでは少々戦いにくいかもしれません」
6人が6人横に並ぶのは難しいが、客間などなら3人が並んで戦っても問題は無い程度の広さはあるらしい。
しかし、廊下は流石に2人が精一杯だろうという事だった。
「あと、一つ付け加えるなら。教えてくれた子ども達から『秘密基地を守って』と伝言を預かっています。既にもう持ち主のいない廃墟ですから、どのような戦術を使っていただいても構いません。つまり、この子ども達の意向が守れなくとも、報酬には響きません」
説明係の女性はにっこりと微笑んだ。
「赴かれるハンターの皆さんの心意気にお任せいたします」
それでは、ご武運を。と女性はいつも通り丁寧に頭を下げたのだった。
リプレイ本文
●『秘密基地』
バルバロス(ka2119)が軽々と閂を外すと、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)が扉を押した。
ギギギ……と軋んだ金属音と共に扉が開き、埃が舞って淀んだ空気が鼻孔をくすぐる。
6人は順々にその大きな『秘密基地』に入ると、館内を見回した。
「俺も『秘密基地』でよく遊んだっけ、懐かしいな 」
那月 蛍人(ka1083)が自分の子供の頃を思い出し、少し遠い目をした。
「そうだな」と久延毘 大二郎(ka1771)が同意すると、蛍人は目を瞬かせて少し意外そうに問う。
「大二郎さんも秘密基地とかやった事ありますか?」
「あぁ。私も子供の頃、秘密基地を作っていたな。故郷は田舎である故、こういった廃墟ではなく自然と出来た山の洞窟や森の木陰を利用して作った物だったがね」
大二郎はリアルブルーで過ごした幼少時代に思いを馳せ、独り苦く嗤う。秘密を共有する友人がいる、そんな彼らが羨ましいと素直に思う。
「……だからこそ、お節介の一つも焼きたくなる」
大二郎の言葉を受けて、「はい」と蛍人は頷いた。
「秘密基地、か……懐かしい響きだな。自分達しか知らない特別な場所が欲しいという気持ちは、私も分かる」
覚醒して見た目がぐっと大人の女性となったイレーヌ(ka1372)が、腰まで伸びた髪を揺らして微笑むと、その横でフィオナ・クラレント(ka4101)が「くちん」と可愛らしくくしゃみをした。
全体方針は『建物への被害を極力おさえる』事に決めて挑むこととなった。
「秘密基地、なぁ」
特に思い当たるような経験も無い上に、この埃っぽさに、少々辟易したようにフィオナはロングコートの袖口で口元を押さえながら、室内を見回していた。
「じゃ、また後で」
イレーヌ、フィオナ、エヴァの3人は2階を探索すべく階段を上がっていった。
●骸骨が棲む館
玄関から続く中央階段ホールはこの館の中でも一番広い部分になるのだろう、1階を探索班の大二郎、蛍人、バルバロスは戦う際にはここが良さそうだと確認し合う。
「さっさと済ませるか」
戦いこそが至上の誉れであるバルバロスにとって、たかがスケルトン3体相手では物足りない可能性が高い。しかし、建物への被害を最小限で抑えるという目的が加わったことで、使い慣れた巨大戦斧ではなく、ナックルを持ってきていた。
『……これで少しは楽しく戦えるといいのだが』
2mを超える身長と100kgを超える巨漢のバルバロスが一歩動く度に床が、ギシギシと泣き言を漏らす。
バルバロスはふと立ち止まり、息を吐ききると動物霊の力を借りるべく精神を集中させた。
「どうしましたか? バルバロスさん」
立ち止まったまま動かないバルバロスに蛍人が声をかけると、彼は太い人差し指を唇に当てて、ジェスチャーで静かにするよう訴えた。
蛍人は首を傾げながらも、大二郎に伝えて大人しくバルバロスが動き出すまで待つことにした。
すると、最初は周囲の音で上手く聞き取れなかったが、再度試すと明らかに違う物音を背後から察知することに成功した。
「こっちからは物音がしないようだ。あっち側に1体、居そうだ」
「なるほど、超聴覚か。助かるな」
大二郎が礼を言うと、バルバロスは豪快に笑った。
「使えるスキルは使わねばな」
そうして3人は進みかけた右手の探索を早々に斬り上げ、左手へと移動した。
左手の廊下沿いには手前から応接間らしき部屋があり、奥2つの部屋は質素な扉があることから使用人の部屋かと推測された。
「一番奥だな」
その言葉を受けて蛍人はトランシーバーを取り出した。
「こちら1階班。スケルトン1体右手奥部屋に発見、どうぞ」
暫く待つと、ジャッというノイズ音と共に、イレーヌの声が返ってきた。
「こちら2階班。こちらも一体遭遇。お互い生きてまた会おう」
バルバロスがズンズンと奥へと進んでいくと、一番奥の開けっ放しになっている扉の傍へと近寄った。
――その時、空を斬る音が響き、バルバロスの足下に両刃の戦斧が振り下ろされた。
床板が抉られ、木片が周囲に散る。
「っち、中に入ってしまいたかったんだがな……! ホールまで戻ろう!」
大二郎が叫ぶと同時に踵を返し、蛍人は光弾を炸裂させた。
「ほら、こっちだ!」
バルバロスはスケルトンに殴りかかろうと思ったが、扉の入口付近であるため、自身の身体と破壊力を考慮するとここで攻撃を躱された場合に、館に傷が付く可能性が高いと判断して止めた。
代わりに殿となり蛍人を庇いつつホールへの移動を始める。
敵が骨を鳴らしながら、ぽっかりと穴の開いた眼窩で3人を見る。
そして、バルバロスの予想よりも早い動きで再び戦斧が振り下ろされた。ガチンとナックルの甲でその攻撃をかろうじて受けて刃を逸らすと刃は勢いそのままに窓の桟を強打した。ガシャンと硝子の割れる音が響く。
「蛍人! 走れ!!」
「はい!」
蛍人は金色の瞳でスケルトンを見ながらホールへと向かった。
スケルトンは割れた窓より、目の前の動く生者に興味があるらしく、骨を鳴らしながら後を追ってきているのを確認して、少しだけ安堵の息を吐いた。
その瞬間、蛍人は足を縺れさせた。
「うわぁっ!?」
「ぬぉっ!?」
転んだ蛍人に驚いたバルバロスだが、何とか蛍人を踏まずに飛び越えたものの、バランスを崩して蹌踉けた。その為彼は蛍人を庇う、という行動が取れなくなり、スケルトンは転んだ蛍人を格好の餌と斧を振り上げた。
蛍人は盾を顔前に掲げ、この絶体絶命の危機に死を覚悟した。
が。来るはずの衝撃とは違う、幾つもの小さな物が空を切る音に、蛍人は盾を掲げたままスケルトンの方を見ると、敵は幾つもの石礫に晒されて、数歩後ろによろめいていた。
「何を呆けておるのかね? 早く立ち上がらないと、次こそ胴体と脚がサヨウナラだぞ」
一足先にホールに着いていた大二郎が指し棒のようなワンドを構えたまま、呆れたように告げると、蛍人は慌てて立ち上がり、一気にホールへと駆け込んだ。
「ありがとうございます」
「礼ならバルバロス氏に言い給え。流石にあの巨体に踏み抜かれたらそっちの方が痛そうではないかね?」
大二郎の本気とも冗談とも取れる言葉に、一瞬バルバロスに踏み潰された自分を想像して、蛍人の額から冷たい汗が流れた。
そんな2人のやり取りを聞いていたバルバロスは豪快に笑った。
「違いない!」
そして3人はスケルトンがいつ来てもいいように、ホールの中央で構えた。
廊下からホールへと現れたスケルトンは、その大きな戦斧を振り上げてバルバロスに向かって歩き出した。
それに真正面から挑むように、バルバロスはメテオブレイカーに祖霊の力を乗せ、拳を構える。
まず後衛で控えていた大二郎がマテリアルの動きを感知し、最良のタイミングで水球を飛ばした。それはスケルトンの骨に染み込むように命中し、更にそこに蛍人のホーリーライトが炸裂する。
斧刃で庇う様に防御したスケルトンは、再びバルバロスに向かって斧を振りかぶる。
バルバロスは向かってくるスケルトンを抉り込むような豪腕で殴り飛ばした。
それでも再び立ち上がってくるスケルトンに、バルバロスは嬉しそうに笑った。
「だが、ワシらの敵ではない!」
そうバルバロスが吼え、蛍人が大きく頷き、大二郎は眼鏡を押し上げた。
――そうして、何度かの交戦の後。
蛍人のシールドバッシュで移動不能に追い込んでからの、バルバロスのクラッシュブロウが決まり、ついにスケルトンは塵となって消えていく。
蛍人はそれを見守り、トランシーバーを取り出した。
「こちら1階組。斧スケルトン撃破。すぐ2階へ応援に向かう。どうぞ」
●骸骨が徘徊する館
2階組は女子3人という気易さもあり、穏やかに談笑しながら階段を上がっていた。
……とは言っても、エヴァは声を出すことが叶わないので、もっぱら聞き役で、相づちを打つ事がメインだったが。
エヴァは傍らのゴールデンレトリバーの頭を撫で、背後の警戒を任せるとまず、左手すぐの部屋のうっすらと開いたままの扉をそっと大きく開けた。
そこは書斎だった。
入口正面には大きな机、その奥はバルコニーになっていた。左右の壁が本棚になっており、多少歯抜けではあるが、本がそのまま残っており、イレーヌが一つ取り出してみると、その内容は10年以上前に流行った娯楽小説だった。
だがその下の段には、明らかに新しい本や紙が置かれており、手に取ればそれは最近流行の挿絵の多い冒険活劇の小説であったり、落書き帳であったりした。
「こちらの部屋は主寝室のようだな」
書斎から直接繋がる扉の向こう、中をのぞき込んだフィオナが目を凝らした。
部屋には分厚いカーテンが掛かっていて、暗くて良く見えない。
思えばこの館には灯りが無かった。
吹き抜け構造になっている為、階段ホールは日の光が入って明るかったし、廊下も視認するのに苦労する程暗くは無い。が、このようにカーテンがしまってしまうと他が明るいため、余計に暗く感じて部屋の造り自体が見づらい。
「一つぐらい懐中電灯でも持ってきた方が良かったか」
フィオナの呟きに、エヴァはツンツンと服の裾を引いた。
フィオナが振り向くと、そこにはランタンを掲げたイレーヌが居た。どうやら子ども達の秘密道具らしい。
「そうだな、ちょっと拝借することとしよう」
フィオナが足下に何もないことを確認しながら寝室の奥へと進み、まずカーテンを開けようと手を伸ばした、その時。
エヴァの愛犬が低いうなり声を上げた。
そのスケルトンは嗤うように、歯をカチャカチャと合わせ鳴らしながら3人の居る主寝室へと近寄ってくる。
フィオナがカーテンを開けて、室内を明るくした。
エヴァはそれと同時に室内を見回し、主寝室から廊下に繋がる扉の内鍵を開けて、戦いやすい部屋へと移動しようとしたが……丁度歩き寄ってくる槍を持ったスケルトンと目が合ってしまった。
じりじりと後退するエヴァに、槍スケルトンは、まるで嗤うように両肩をカタカタと上下に鳴らしながら主寝室へと入ってきた。
「……挟まれた、か」
イレーヌがすぅ、と息を吸い込むと、透き通るような綺麗な声で歌い始めた。
それは思いを受け取る歌。生きとし生けるものの鎮魂歌。
それを聞いていたスケルトン2体がギシギシと動きを止める。
「さて、どうしたものか。下も今交戦中なら、下手にロビーに集まるのは危険かもしれん」
「幸いにしてこの寝室なら3人で戦うにも広さは十分ではあるし、レクイエムも有効の様だから……1体ずつ確実に仕留める方向でどうだ?」
フィオナの提案にエヴァもこくこくと頷いて賛成の意を伝える。
「では、我らだけでやろう」
3人は目配せして小さく頷き合うと、バルコニー側へエヴァが行き(なお、愛犬にはベッドの下で待つように命令した)、フィオナが剣スケルトンの前へ行くとその後ろにイレーヌが付いた。
まずエヴァがワンドから火矢を飛ばし、次にイレーヌが光の精霊を呼び出し、フィオナのフォルティスに宿らせる。
「本物の骨だろうが作り物だろうが……所詮は骨であろう? なれば……至極簡単だ」
そしてフィオナが力強く踏み込み、渾身の一撃を見舞う。
スケルトン2体は思うように動けないまま、3人の攻撃を受け続けるしかなかった。
エヴァがワンドを振るう度に、花や蝶などの光が舞った。
漸く槍スケルトンが本来の動きを取り戻し、槍を構えてイレーヌを襲うが、彼女はそれをひらりと躱し、再び鎮魂歌を歌い、彼らの動きを阻害した。
見事な連携と的確なレクイエムの発動により、結局剣スケルトンは一太刀すら返す事が出来ないまま塵となった。
「よし、後はこいつだけだな」
フィオナがバスタードソードで槍スケルトンを指す。
「うーん。こんなに良く効くなら、もっと準備してくれば良かったか」
ぽりぽりと頬を掻きながらイレーヌは言うと、ホーリーセイバーをフィオナへとかけ直す。
間もなく本来の動きを取り戻すであろうが、これ以上鎮魂歌は歌えない。
エヴァはこの動きの鈍い間に武器を奪えないか試してみようと火矢を放ち肉薄したが、スケルトンの手と槍はがっちりと負のマテリアルの作用により固定されており、奪うことは出来なかった。
「時間をかければ、いくら気をつけても周囲の損害が増えるのは自明。ともかく後は全力で叩くのみであろう」
フィオナはバスタードソードを敵の腕をへし折るように叩き付けた。
遂に敵が鎮魂歌の効果から抜け出し、大きく槍を突き出してきた。
しかし、フィオナはそれを剣と鞘で受け流し、槍の穂先を天井へと大きく弾いた。
その隙を突いてイレーヌも紫電をがら空きとなった胴へ突き入れる。
そしてエヴァが雷電を呼び出し、稲妻でスケルトンを焼く。
槍が横凪に振り払われ、フィオナの胴を浅く切り裂いた。
しかし、フィオナは動じず冷静に一撃を当てる事に集中していた。
そんなフィオナをイレーヌは全力でサポートしながら、攻撃出来る時には直接攻撃を繰り出し、エヴァはその豊潤な魔力で攻撃し続けた。
「こちら1階組。斧スケルトン撃破。すぐ2階へ応援に向かう。どうぞ」
トランシーバーからそんな通信が入ってきたのは、エヴァの最後の火矢が敵を焼き、塵へと還る様を皆で見守っている時だった。
イレーヌは前髪を掻き上げながら、ふふふと笑うとトランシーバーを持った。
「こちら2階組。剣及び槍スケルトン撃破。応援は不要。以上」
●『秘密基地』の守り方
空は夕日であかね色に染まりつつあった。
バルバロスと蛍人は、敵の斧が当たった床と窓の修復に取りかかり、エヴァは愛犬とイレーヌと共に子ども達のランタンを借りて見回りをした。
よく見てみると、すきま風が入ってくる所は粘土を詰めてあったり、不自然に置かれた棚を動かしてみると、壁にネズミの空けたとおぼしき穴があったりと、子ども達は子ども達なりにここを補強し修復し使っていたようだった。
「子どもと言うのは、大人の知らないところで試行錯誤し様々な知識と技術を身につけていく物だ。こういう創意工夫の後が見られるのは実に興味深い」
そう言って大二郎は笑い、フィオナはふわりと欠伸を一つした。
最後にエヴァは愛犬の頭を撫でて、主寝室へと入った。
何故この部屋だけカーテンで閉ざされていたのか。フィオナがカーテンを開けた時にエヴァは気付いたのだ。
天井に広がる染みが、お化けのように見える事に。
恐らくこの染みが怖くて、この部屋は『封印』されていたのだろうとエヴァは検討を付けていた。
机を寄せて、筆を執ると、エヴァは天井に絵を描く。
冴え冴えと輝く白い月。煌めき囁き合う、それは満天の星空。
いつか、この秘密基地から出て大人になる日まで、子ども達をいつでも見守る、優しい夜空を。
バルバロス(ka2119)が軽々と閂を外すと、エヴァ・A・カルブンクルス(ka0029)が扉を押した。
ギギギ……と軋んだ金属音と共に扉が開き、埃が舞って淀んだ空気が鼻孔をくすぐる。
6人は順々にその大きな『秘密基地』に入ると、館内を見回した。
「俺も『秘密基地』でよく遊んだっけ、懐かしいな 」
那月 蛍人(ka1083)が自分の子供の頃を思い出し、少し遠い目をした。
「そうだな」と久延毘 大二郎(ka1771)が同意すると、蛍人は目を瞬かせて少し意外そうに問う。
「大二郎さんも秘密基地とかやった事ありますか?」
「あぁ。私も子供の頃、秘密基地を作っていたな。故郷は田舎である故、こういった廃墟ではなく自然と出来た山の洞窟や森の木陰を利用して作った物だったがね」
大二郎はリアルブルーで過ごした幼少時代に思いを馳せ、独り苦く嗤う。秘密を共有する友人がいる、そんな彼らが羨ましいと素直に思う。
「……だからこそ、お節介の一つも焼きたくなる」
大二郎の言葉を受けて、「はい」と蛍人は頷いた。
「秘密基地、か……懐かしい響きだな。自分達しか知らない特別な場所が欲しいという気持ちは、私も分かる」
覚醒して見た目がぐっと大人の女性となったイレーヌ(ka1372)が、腰まで伸びた髪を揺らして微笑むと、その横でフィオナ・クラレント(ka4101)が「くちん」と可愛らしくくしゃみをした。
全体方針は『建物への被害を極力おさえる』事に決めて挑むこととなった。
「秘密基地、なぁ」
特に思い当たるような経験も無い上に、この埃っぽさに、少々辟易したようにフィオナはロングコートの袖口で口元を押さえながら、室内を見回していた。
「じゃ、また後で」
イレーヌ、フィオナ、エヴァの3人は2階を探索すべく階段を上がっていった。
●骸骨が棲む館
玄関から続く中央階段ホールはこの館の中でも一番広い部分になるのだろう、1階を探索班の大二郎、蛍人、バルバロスは戦う際にはここが良さそうだと確認し合う。
「さっさと済ませるか」
戦いこそが至上の誉れであるバルバロスにとって、たかがスケルトン3体相手では物足りない可能性が高い。しかし、建物への被害を最小限で抑えるという目的が加わったことで、使い慣れた巨大戦斧ではなく、ナックルを持ってきていた。
『……これで少しは楽しく戦えるといいのだが』
2mを超える身長と100kgを超える巨漢のバルバロスが一歩動く度に床が、ギシギシと泣き言を漏らす。
バルバロスはふと立ち止まり、息を吐ききると動物霊の力を借りるべく精神を集中させた。
「どうしましたか? バルバロスさん」
立ち止まったまま動かないバルバロスに蛍人が声をかけると、彼は太い人差し指を唇に当てて、ジェスチャーで静かにするよう訴えた。
蛍人は首を傾げながらも、大二郎に伝えて大人しくバルバロスが動き出すまで待つことにした。
すると、最初は周囲の音で上手く聞き取れなかったが、再度試すと明らかに違う物音を背後から察知することに成功した。
「こっちからは物音がしないようだ。あっち側に1体、居そうだ」
「なるほど、超聴覚か。助かるな」
大二郎が礼を言うと、バルバロスは豪快に笑った。
「使えるスキルは使わねばな」
そうして3人は進みかけた右手の探索を早々に斬り上げ、左手へと移動した。
左手の廊下沿いには手前から応接間らしき部屋があり、奥2つの部屋は質素な扉があることから使用人の部屋かと推測された。
「一番奥だな」
その言葉を受けて蛍人はトランシーバーを取り出した。
「こちら1階班。スケルトン1体右手奥部屋に発見、どうぞ」
暫く待つと、ジャッというノイズ音と共に、イレーヌの声が返ってきた。
「こちら2階班。こちらも一体遭遇。お互い生きてまた会おう」
バルバロスがズンズンと奥へと進んでいくと、一番奥の開けっ放しになっている扉の傍へと近寄った。
――その時、空を斬る音が響き、バルバロスの足下に両刃の戦斧が振り下ろされた。
床板が抉られ、木片が周囲に散る。
「っち、中に入ってしまいたかったんだがな……! ホールまで戻ろう!」
大二郎が叫ぶと同時に踵を返し、蛍人は光弾を炸裂させた。
「ほら、こっちだ!」
バルバロスはスケルトンに殴りかかろうと思ったが、扉の入口付近であるため、自身の身体と破壊力を考慮するとここで攻撃を躱された場合に、館に傷が付く可能性が高いと判断して止めた。
代わりに殿となり蛍人を庇いつつホールへの移動を始める。
敵が骨を鳴らしながら、ぽっかりと穴の開いた眼窩で3人を見る。
そして、バルバロスの予想よりも早い動きで再び戦斧が振り下ろされた。ガチンとナックルの甲でその攻撃をかろうじて受けて刃を逸らすと刃は勢いそのままに窓の桟を強打した。ガシャンと硝子の割れる音が響く。
「蛍人! 走れ!!」
「はい!」
蛍人は金色の瞳でスケルトンを見ながらホールへと向かった。
スケルトンは割れた窓より、目の前の動く生者に興味があるらしく、骨を鳴らしながら後を追ってきているのを確認して、少しだけ安堵の息を吐いた。
その瞬間、蛍人は足を縺れさせた。
「うわぁっ!?」
「ぬぉっ!?」
転んだ蛍人に驚いたバルバロスだが、何とか蛍人を踏まずに飛び越えたものの、バランスを崩して蹌踉けた。その為彼は蛍人を庇う、という行動が取れなくなり、スケルトンは転んだ蛍人を格好の餌と斧を振り上げた。
蛍人は盾を顔前に掲げ、この絶体絶命の危機に死を覚悟した。
が。来るはずの衝撃とは違う、幾つもの小さな物が空を切る音に、蛍人は盾を掲げたままスケルトンの方を見ると、敵は幾つもの石礫に晒されて、数歩後ろによろめいていた。
「何を呆けておるのかね? 早く立ち上がらないと、次こそ胴体と脚がサヨウナラだぞ」
一足先にホールに着いていた大二郎が指し棒のようなワンドを構えたまま、呆れたように告げると、蛍人は慌てて立ち上がり、一気にホールへと駆け込んだ。
「ありがとうございます」
「礼ならバルバロス氏に言い給え。流石にあの巨体に踏み抜かれたらそっちの方が痛そうではないかね?」
大二郎の本気とも冗談とも取れる言葉に、一瞬バルバロスに踏み潰された自分を想像して、蛍人の額から冷たい汗が流れた。
そんな2人のやり取りを聞いていたバルバロスは豪快に笑った。
「違いない!」
そして3人はスケルトンがいつ来てもいいように、ホールの中央で構えた。
廊下からホールへと現れたスケルトンは、その大きな戦斧を振り上げてバルバロスに向かって歩き出した。
それに真正面から挑むように、バルバロスはメテオブレイカーに祖霊の力を乗せ、拳を構える。
まず後衛で控えていた大二郎がマテリアルの動きを感知し、最良のタイミングで水球を飛ばした。それはスケルトンの骨に染み込むように命中し、更にそこに蛍人のホーリーライトが炸裂する。
斧刃で庇う様に防御したスケルトンは、再びバルバロスに向かって斧を振りかぶる。
バルバロスは向かってくるスケルトンを抉り込むような豪腕で殴り飛ばした。
それでも再び立ち上がってくるスケルトンに、バルバロスは嬉しそうに笑った。
「だが、ワシらの敵ではない!」
そうバルバロスが吼え、蛍人が大きく頷き、大二郎は眼鏡を押し上げた。
――そうして、何度かの交戦の後。
蛍人のシールドバッシュで移動不能に追い込んでからの、バルバロスのクラッシュブロウが決まり、ついにスケルトンは塵となって消えていく。
蛍人はそれを見守り、トランシーバーを取り出した。
「こちら1階組。斧スケルトン撃破。すぐ2階へ応援に向かう。どうぞ」
●骸骨が徘徊する館
2階組は女子3人という気易さもあり、穏やかに談笑しながら階段を上がっていた。
……とは言っても、エヴァは声を出すことが叶わないので、もっぱら聞き役で、相づちを打つ事がメインだったが。
エヴァは傍らのゴールデンレトリバーの頭を撫で、背後の警戒を任せるとまず、左手すぐの部屋のうっすらと開いたままの扉をそっと大きく開けた。
そこは書斎だった。
入口正面には大きな机、その奥はバルコニーになっていた。左右の壁が本棚になっており、多少歯抜けではあるが、本がそのまま残っており、イレーヌが一つ取り出してみると、その内容は10年以上前に流行った娯楽小説だった。
だがその下の段には、明らかに新しい本や紙が置かれており、手に取ればそれは最近流行の挿絵の多い冒険活劇の小説であったり、落書き帳であったりした。
「こちらの部屋は主寝室のようだな」
書斎から直接繋がる扉の向こう、中をのぞき込んだフィオナが目を凝らした。
部屋には分厚いカーテンが掛かっていて、暗くて良く見えない。
思えばこの館には灯りが無かった。
吹き抜け構造になっている為、階段ホールは日の光が入って明るかったし、廊下も視認するのに苦労する程暗くは無い。が、このようにカーテンがしまってしまうと他が明るいため、余計に暗く感じて部屋の造り自体が見づらい。
「一つぐらい懐中電灯でも持ってきた方が良かったか」
フィオナの呟きに、エヴァはツンツンと服の裾を引いた。
フィオナが振り向くと、そこにはランタンを掲げたイレーヌが居た。どうやら子ども達の秘密道具らしい。
「そうだな、ちょっと拝借することとしよう」
フィオナが足下に何もないことを確認しながら寝室の奥へと進み、まずカーテンを開けようと手を伸ばした、その時。
エヴァの愛犬が低いうなり声を上げた。
そのスケルトンは嗤うように、歯をカチャカチャと合わせ鳴らしながら3人の居る主寝室へと近寄ってくる。
フィオナがカーテンを開けて、室内を明るくした。
エヴァはそれと同時に室内を見回し、主寝室から廊下に繋がる扉の内鍵を開けて、戦いやすい部屋へと移動しようとしたが……丁度歩き寄ってくる槍を持ったスケルトンと目が合ってしまった。
じりじりと後退するエヴァに、槍スケルトンは、まるで嗤うように両肩をカタカタと上下に鳴らしながら主寝室へと入ってきた。
「……挟まれた、か」
イレーヌがすぅ、と息を吸い込むと、透き通るような綺麗な声で歌い始めた。
それは思いを受け取る歌。生きとし生けるものの鎮魂歌。
それを聞いていたスケルトン2体がギシギシと動きを止める。
「さて、どうしたものか。下も今交戦中なら、下手にロビーに集まるのは危険かもしれん」
「幸いにしてこの寝室なら3人で戦うにも広さは十分ではあるし、レクイエムも有効の様だから……1体ずつ確実に仕留める方向でどうだ?」
フィオナの提案にエヴァもこくこくと頷いて賛成の意を伝える。
「では、我らだけでやろう」
3人は目配せして小さく頷き合うと、バルコニー側へエヴァが行き(なお、愛犬にはベッドの下で待つように命令した)、フィオナが剣スケルトンの前へ行くとその後ろにイレーヌが付いた。
まずエヴァがワンドから火矢を飛ばし、次にイレーヌが光の精霊を呼び出し、フィオナのフォルティスに宿らせる。
「本物の骨だろうが作り物だろうが……所詮は骨であろう? なれば……至極簡単だ」
そしてフィオナが力強く踏み込み、渾身の一撃を見舞う。
スケルトン2体は思うように動けないまま、3人の攻撃を受け続けるしかなかった。
エヴァがワンドを振るう度に、花や蝶などの光が舞った。
漸く槍スケルトンが本来の動きを取り戻し、槍を構えてイレーヌを襲うが、彼女はそれをひらりと躱し、再び鎮魂歌を歌い、彼らの動きを阻害した。
見事な連携と的確なレクイエムの発動により、結局剣スケルトンは一太刀すら返す事が出来ないまま塵となった。
「よし、後はこいつだけだな」
フィオナがバスタードソードで槍スケルトンを指す。
「うーん。こんなに良く効くなら、もっと準備してくれば良かったか」
ぽりぽりと頬を掻きながらイレーヌは言うと、ホーリーセイバーをフィオナへとかけ直す。
間もなく本来の動きを取り戻すであろうが、これ以上鎮魂歌は歌えない。
エヴァはこの動きの鈍い間に武器を奪えないか試してみようと火矢を放ち肉薄したが、スケルトンの手と槍はがっちりと負のマテリアルの作用により固定されており、奪うことは出来なかった。
「時間をかければ、いくら気をつけても周囲の損害が増えるのは自明。ともかく後は全力で叩くのみであろう」
フィオナはバスタードソードを敵の腕をへし折るように叩き付けた。
遂に敵が鎮魂歌の効果から抜け出し、大きく槍を突き出してきた。
しかし、フィオナはそれを剣と鞘で受け流し、槍の穂先を天井へと大きく弾いた。
その隙を突いてイレーヌも紫電をがら空きとなった胴へ突き入れる。
そしてエヴァが雷電を呼び出し、稲妻でスケルトンを焼く。
槍が横凪に振り払われ、フィオナの胴を浅く切り裂いた。
しかし、フィオナは動じず冷静に一撃を当てる事に集中していた。
そんなフィオナをイレーヌは全力でサポートしながら、攻撃出来る時には直接攻撃を繰り出し、エヴァはその豊潤な魔力で攻撃し続けた。
「こちら1階組。斧スケルトン撃破。すぐ2階へ応援に向かう。どうぞ」
トランシーバーからそんな通信が入ってきたのは、エヴァの最後の火矢が敵を焼き、塵へと還る様を皆で見守っている時だった。
イレーヌは前髪を掻き上げながら、ふふふと笑うとトランシーバーを持った。
「こちら2階組。剣及び槍スケルトン撃破。応援は不要。以上」
●『秘密基地』の守り方
空は夕日であかね色に染まりつつあった。
バルバロスと蛍人は、敵の斧が当たった床と窓の修復に取りかかり、エヴァは愛犬とイレーヌと共に子ども達のランタンを借りて見回りをした。
よく見てみると、すきま風が入ってくる所は粘土を詰めてあったり、不自然に置かれた棚を動かしてみると、壁にネズミの空けたとおぼしき穴があったりと、子ども達は子ども達なりにここを補強し修復し使っていたようだった。
「子どもと言うのは、大人の知らないところで試行錯誤し様々な知識と技術を身につけていく物だ。こういう創意工夫の後が見られるのは実に興味深い」
そう言って大二郎は笑い、フィオナはふわりと欠伸を一つした。
最後にエヴァは愛犬の頭を撫でて、主寝室へと入った。
何故この部屋だけカーテンで閉ざされていたのか。フィオナがカーテンを開けた時にエヴァは気付いたのだ。
天井に広がる染みが、お化けのように見える事に。
恐らくこの染みが怖くて、この部屋は『封印』されていたのだろうとエヴァは検討を付けていた。
机を寄せて、筆を執ると、エヴァは天井に絵を描く。
冴え冴えと輝く白い月。煌めき囁き合う、それは満天の星空。
いつか、この秘密基地から出て大人になる日まで、子ども達をいつでも見守る、優しい夜空を。
依頼結果
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/30 08:30:22 |
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相談卓 那月 蛍人(ka1083) 人間(リアルブルー)|25才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/05/02 17:56:12 |