ゲスト
(ka0000)
隠者と流離いエルフ
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~9人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/05/04 07:30
- 完成日
- 2015/05/12 04:54
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
「あれ?」
農耕推進地域「ジェオルジ」に近い森の奥で、一人の金髪エルフ娘が目を丸めていた。
「こんなところに小屋がある……しかも一つだけ。エルフの集落って感じじゃないなぁ」
ぶつくさ言いつつ小屋に近付く姿は、胸の下まで隠す上着でおへそを出し、短いスカート。服の色は紫色で、背の低さも合わせまるでブルーベリーのような印象。大樹の幹に身を隠していたが好奇心が勝るようで、森の中の空き地に建つ一軒家に無防備に近付いて行く。
その時ちょうど、小屋から背の低い老人が姿を現した。
「おや? 骸骨が来るかと思えば……」
扉を開けた姿勢のまま少女に気付き、意外そうにこぼした。
「おじいさん、こんにちは。ここはどこかの村なのかな?」
「しっ。声が大きい。……よし、戸締りはがっちりした。ここから急いで離れるぞ」
「へ?」
「いいから来い。いずれここは戦場になろう」
というわけでこのエルフ娘、老人とともに森の中に戻っていく。
やがて、じゅうぶん住居から離れた時。
「とりあえず、ここまで離れればいいじゃろう。……これ、娘。名を何という?」
「ボク? フラっていうんだ。で、秘密の名前は♭(フラット)」
老人に聞かれ、エルフ娘は元気よく答えた。
「……馬鹿者、秘密なら軽々に口にするでない」
こちん、と杖でエルフ娘――フラの頭を軽く小突いて呆れる老人。いてー、と頭を手で押さえるフラ。
「秘密の名前の意味を知ってる人にしか意味はないらしいから、別に口にしてもいいんだって」
「しっ。声が高い。……とにかくこれでも舐めてるがいい。わしはジル・コバルトという」
ふぅん、とフラ。大人しくなったのは、ジルから飴玉をもらい口に入れたから。ころころと口の中で転がすのに忙しい。「これ、美味しいね。何ていうの?」とか夢中である。
「キャンディじゃ。……とにかくフラ、お前さんは運がいい。いま、この森の奥で骸骨の足跡が散見され、日々徐々に近付いておる。おそらくスケルトンどもでもいるのだろう。ここは何かの古戦場跡でもあるしな。ナイフ投げのうまい組んで戦う盗賊たちの伝説もあったようじゃし……」
ジル、飴玉を含ませても口うるさいフラに辟易しつつあんまり騒ぐと敵が寄ってくるかもしれないことを諭す。
「じゃ、やっつけにいこう。ボク、こう見えても強いんだよ」
「止しておけ。足跡から数人ではないようじゃ。……とはいえ、三十も四十もいるわけではなさそうじゃが」
結構いるね、と大人しくなるフラ。飴玉で右の頬が膨らんでいるが。
「あの小屋は頑丈に戸締りをした。スケルトンがこちらに来るようになってもあの小屋を調べるなりするはずじゃ。この隙に……」
「逃げるの?」
ころ、と口の中で飴玉を転がしながら聞く。
「いいや。この隙にハンターに来てもらって倒すんじゃ。……フラ、お前さんの集落も近くにあるんじゃろう? ちゃんと倒して……」
「ううん、ボクは『百年目のエルフ』。ボクの集落では百年ごとに生まれた子供に旅をさせるんだ。よくわからないけど、小さい集落だと血が濃くなりすぎるから出すんだって。その代り、よそからきた百年目のエルフを受け入れるんだって」
ジル、思わぬ話を聞いて目を丸めた。そして興味深そうに瞳を輝かす。
「とにかく事情は分かったよ。このボクがハンターを呼んでくるからねっ!」
それだけ言って元気よく、軽快に駆け出すフラ。
ジル、大声を張ってこれを止めた。
「待て、フラ。ハンターはもう呼んでおる。あとは到着を待つばかりじゃ」
というわけで、きききと止まるフラ。
「ええー。つまんないなぁ」
「それより、秘密の名前はおそらく集落の識別名じゃろう。名前の通りフラフラされてもたまらん。どれ、一つ新しいファミリーネームを考えてやろう」
「あ、それなら」
フラを大人しくさせるため早めに話題を変えたのだが、食いつきも早かった。
「ジルさんからもらった記念に、これにするよ。とっても美味しいし、ボク、気に入っちゃったな」
そう言って、膨らんだ自分の左頬を指差した。
「『フラ・キャンディ』か……ふむ。可愛いしいいじゃろう」
そんなこんなで、やがて到着するハンターとともに小屋の扉を破壊し居つくことになるスケルトンを退治することになる。
「あれ?」
農耕推進地域「ジェオルジ」に近い森の奥で、一人の金髪エルフ娘が目を丸めていた。
「こんなところに小屋がある……しかも一つだけ。エルフの集落って感じじゃないなぁ」
ぶつくさ言いつつ小屋に近付く姿は、胸の下まで隠す上着でおへそを出し、短いスカート。服の色は紫色で、背の低さも合わせまるでブルーベリーのような印象。大樹の幹に身を隠していたが好奇心が勝るようで、森の中の空き地に建つ一軒家に無防備に近付いて行く。
その時ちょうど、小屋から背の低い老人が姿を現した。
「おや? 骸骨が来るかと思えば……」
扉を開けた姿勢のまま少女に気付き、意外そうにこぼした。
「おじいさん、こんにちは。ここはどこかの村なのかな?」
「しっ。声が大きい。……よし、戸締りはがっちりした。ここから急いで離れるぞ」
「へ?」
「いいから来い。いずれここは戦場になろう」
というわけでこのエルフ娘、老人とともに森の中に戻っていく。
やがて、じゅうぶん住居から離れた時。
「とりあえず、ここまで離れればいいじゃろう。……これ、娘。名を何という?」
「ボク? フラっていうんだ。で、秘密の名前は♭(フラット)」
老人に聞かれ、エルフ娘は元気よく答えた。
「……馬鹿者、秘密なら軽々に口にするでない」
こちん、と杖でエルフ娘――フラの頭を軽く小突いて呆れる老人。いてー、と頭を手で押さえるフラ。
「秘密の名前の意味を知ってる人にしか意味はないらしいから、別に口にしてもいいんだって」
「しっ。声が高い。……とにかくこれでも舐めてるがいい。わしはジル・コバルトという」
ふぅん、とフラ。大人しくなったのは、ジルから飴玉をもらい口に入れたから。ころころと口の中で転がすのに忙しい。「これ、美味しいね。何ていうの?」とか夢中である。
「キャンディじゃ。……とにかくフラ、お前さんは運がいい。いま、この森の奥で骸骨の足跡が散見され、日々徐々に近付いておる。おそらくスケルトンどもでもいるのだろう。ここは何かの古戦場跡でもあるしな。ナイフ投げのうまい組んで戦う盗賊たちの伝説もあったようじゃし……」
ジル、飴玉を含ませても口うるさいフラに辟易しつつあんまり騒ぐと敵が寄ってくるかもしれないことを諭す。
「じゃ、やっつけにいこう。ボク、こう見えても強いんだよ」
「止しておけ。足跡から数人ではないようじゃ。……とはいえ、三十も四十もいるわけではなさそうじゃが」
結構いるね、と大人しくなるフラ。飴玉で右の頬が膨らんでいるが。
「あの小屋は頑丈に戸締りをした。スケルトンがこちらに来るようになってもあの小屋を調べるなりするはずじゃ。この隙に……」
「逃げるの?」
ころ、と口の中で飴玉を転がしながら聞く。
「いいや。この隙にハンターに来てもらって倒すんじゃ。……フラ、お前さんの集落も近くにあるんじゃろう? ちゃんと倒して……」
「ううん、ボクは『百年目のエルフ』。ボクの集落では百年ごとに生まれた子供に旅をさせるんだ。よくわからないけど、小さい集落だと血が濃くなりすぎるから出すんだって。その代り、よそからきた百年目のエルフを受け入れるんだって」
ジル、思わぬ話を聞いて目を丸めた。そして興味深そうに瞳を輝かす。
「とにかく事情は分かったよ。このボクがハンターを呼んでくるからねっ!」
それだけ言って元気よく、軽快に駆け出すフラ。
ジル、大声を張ってこれを止めた。
「待て、フラ。ハンターはもう呼んでおる。あとは到着を待つばかりじゃ」
というわけで、きききと止まるフラ。
「ええー。つまんないなぁ」
「それより、秘密の名前はおそらく集落の識別名じゃろう。名前の通りフラフラされてもたまらん。どれ、一つ新しいファミリーネームを考えてやろう」
「あ、それなら」
フラを大人しくさせるため早めに話題を変えたのだが、食いつきも早かった。
「ジルさんからもらった記念に、これにするよ。とっても美味しいし、ボク、気に入っちゃったな」
そう言って、膨らんだ自分の左頬を指差した。
「『フラ・キャンディ』か……ふむ。可愛いしいいじゃろう」
そんなこんなで、やがて到着するハンターとともに小屋の扉を破壊し居つくことになるスケルトンを退治することになる。
リプレイ本文
●
「やっぱり立て篭もっているのか?」
アサルトライフルの整備がてら、柊 真司(ka0705)がジルに聞いた。
ここは、ジルの仮住まいとしていた小屋の見える森の中。
家屋のある広場には畑以外何もないが、窓からスケルトンの姿が見て取れる。
「そうじゃの」
低木の影となるちょっとした隠れ場所に身を潜めるジル・コバルトが頷く。駆けつけたハンターたちもここにいる。
「なら、裏口に回れるな」
真司、顔を上げ、同時にオープンフィンガー手袋をきゅっと絞り直す。
「では、私は正面から。比較的楽な仕事に思えますが……さて」
その背後で頷くように瞳を閉じ、上泉 澪(ka0518)が大太刀「獅子王」を胸に抱き、立ち上がる。銀の長髪に白い肌と淡い印象の中、黒漆塗りの鞘に収まった鍔無しの刀が目を引く。
「楽かどうかは小屋や戦場にもよるでしょう。日が暮れる前に方を付けたいです、夜は亡霊たちの時間ですからね」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が、ジルに小屋の間取りなどを聞く。青いローブを着ているのだがあちこち改造してラフに着こなしている。
「間取りはの……」
「ねー? おじいさんさー。戸締りしたってことは、あそこに住んでるんだよねー?」
ジルが間取りの説明をしていると、ラン・ヴィンダールヴ(ka0109)が割って入った。右の大きな眼帯越しに左の青い瞳を向ける。
「ああ、世捨て人としてあそこに隠棲しとるの」
「なんでわざわざ戸締りとかしたのかなー?」
ラン、スケルトンに通過してもらった方が良かったのではと聞いてみる。
「居つけば南下を止められるじゃろ?」
「ふぅん? でも何で戸締りした家を調べて留まるって分かるの?」
今度は横から細身のエルフ娘が首を突っ込んできた。
ネーナ・ドラッケン(ka4376)だ。
これにはジル、にやりとする。
「あれが古の盗賊の成れの果てなら、調べるんじゃなかろうかのぅ?」
「スケルトンにどれほど知能があるか知らないけれど、そんなものに固執するものかな?」
「強欲は死んでも治るまいよ」
「なんだー。おじいさん、伝説の盗賊の生き残りとかじゃないのー?」
これを聞いて残念がるラン。「あの建物にお宝を隠してたり、ねー」とかも呟くが、「探したが特に残ってなかったの」とジルが返す。
「とはいえ、そんなところを亡者共の拠点としては後々更なる災禍が降り掛からないとも限らないからな。速やかに退治することとしよう」
会話もきりがいい、と新たに立ち上がる姿があった。
榊 兵庫(ka0010)だ。十字の穂先の槍をぐっと掴んでいる。
「手筈は、二手に分かれて表口側が囮、裏口側が強襲して追い出し、でいいな? 俺は表口に。裏口は……」
「颯におまかせですの!」
兵庫の探すような視線を受け、ツインテールにビキニアーマーでスタイリッシュに決めた八劒 颯(ka1804)が立ち上がった。武器もこだわりなのだろう、魔導ドリルを手にしている。
「さて、埴輪の魅力を広める為にも頑張っていこうかね。……や、骸骨にその魅力が分かるとも思えないがね、と」
続いて涼やかな面持ちのリアルブルー男性、アルト・ハーニー(ka0113)も立ち上がる。
「……なんか、最近のハンターは変わったのが多いの」
これを見たジルがこぼす。
実はアルト、「100t」と大書されたウォーハンマーを構えている。こだわりなのだろう。
が、それだけではない。
アルトの左肩には、なぜか素焼きの埴輪が乗っているのだ。こだわりなのだろう。
●
この少し前、、ラル・S・コーダ(ka4495)は仲間たちとは少し離れ、より広間に近い場所にいた。
その茂みに、四つん這いになったお尻が突き出ている。フラ・キャンディだ。
「まあまあ、お可愛らしいエルフさん」
ラルはあまりの無防備っぷりにくすくす。
「どう? 随分と沢山のお相手がいるようだけど」
自分もやってみようと四つん這いになって茂みに頭を突っ込んだ。
「あっ、ラルさん。敵はのんきにしてるみたいだし、きっと大丈夫だよ」
「そうね、そうね、楽しく踊りましょう♪」
フラ、奇襲すれば大丈夫との見解。楽しく踊れそう、とラルはうきうきする。
ここで背後から気配。
ラルとフラ、立ち上がり振り向く。
「建物から出てきてくれるならラッキーだが……どうかね。籠城されると面倒だ。主に建物を破壊しないようにするのが」
ハンマーを担ぎ、手をひさしにしたアルトが立っている。
「敵は連携してくる伝説の盗賊の成れの果て。効率よく戦いたいね」
兵庫もいる。
「真っ直ぐ入り口まで歩いて行きましょう」
アデリシアが胸を張っている。
「あなたにはここを頼みます」
澪は、立ち上がったフラの髪を撫でて後ろに下がらせる。フラ、これに不満顔。
「えー、ボクも……」
「誰があの老人を守るのです?」
アデリシアがこの時ばかりは目尻を緩めた。これで従ってくれた。
「では行きましょう」
ラルがうなずき、広場に出た。
こうして兵庫、アルト、澪、ラル、アデリシアがまるで散歩するように小屋に進む。
一方、小屋はしーんと静まり返った。明らかに待っている。
「どうする?」
畑を抜けて投擲武器の間合いと思われる手前で、兵庫が仲間に聞いた。
「派手に挑発して外におびき出したいね」
アルト、短く返す。
「レクイエムにはもう少し……」
速度を緩めた二人をアデリシアが追い抜いて行く。
「ここは任せてくださいね」
ラルは小走りに前に出る。
同時に、小屋の窓から何かが旋回しながら飛んで来た。
何かの骨である。
ぴっ、とラルの肩をかすめると血がしぶいた。骨の両端は鋭利に尖っているらしい。
瞬間!
「……では」
ラルの右頬あたりに蝶の文様が浮かんだ!
すぐに一礼して見えなくなる。かがめた元の位置にほかの窓から骨が飛んで来て過ぎ行く。
これが開戦の合図となった。
「出てこないとこうです!」
ラルの横からアデリシアが躍り出る。黒い髪が流れように銀のグラデーションになる。
そしてワンドを掲げホーリーライト。輝く光の弾が跳ね上げ戸を吹っ飛ばした。
さらにその横で陽光を受け、虹色に光る髪が踊る。
「目立つのは好みではありませんが」
澪がするするっと前に出て八方手裏剣を窓から中に入れる!
この一撃でスケルトンの対応が変わった!
――バンッ!
正面玄関が開き、スケルトンどもが雪崩を打って出てきたのだ。
「こいつは……」
兵庫、事態に気付いた。
別働隊が後背を突く前に突撃され、数的不利に陥った可能性が高い。
さらに間の悪いことに!
――ぼこっ、ぼこっ!
「何だ?」
アルトが背後からの音に振り向く。
すると、畑の土中からスケルトン4体が姿を現しているではないか。
敵の策にはまったのだ!
が、アルトはむしろ生き生きしているぞ?
「外ならいろいろ気にすることはないな! 派手に行かせて貰うとするかね」
ぶうん、とハンマーを回して担ぎ反転。後背の敵に突っ込んでいく。
♪
古い歌が聴こえてくるようですね
そう成る前はなんだったのでしょう
♪
前方ではそんな歌が。
「投げナイフの得意な盗賊さん? さあ、さあ、さあ! かつての記憶を抱いて踊ろう!」
ラルだ。
戦場をステップしながら迂回。包囲を軽やかに回避し、斧にしたアックスブレードを振るっている。
「わたしの腕の中で眠りなさい」
かしゃん、と崩れ落ちるスケルトン。斧を担ぎ直したラルが、にこり。
●
この少し前、別働隊。
真司、ラン、颯、ネーナが急いで森の中を迂回している。
「ボク、思うんだ」
道中、ネーナが言った。
「この小屋って実はそれこそ盗賊の拠点だったんじゃないかしら、って」
「あー。それ、十分ありそうですの」
ネーナの言葉に颯が同調する。
「倒した後が楽しみだよねー」
ラン、後から家探しする気満々だ。
「そうだな。後からいろいろ……ちょっと待った!」
真司も似たような考えだが、皆の注意を促した。
「あ、敵が出て来てますの!」
颯の言う通り。
敵は正面から何者かが接近していると見るや、こっそりと裏口からスケルトン4体が抜け出したのだ。そのまま2班に分かれて小屋の左右に潜伏する。
「正面から出て、さらに左右からも出て包囲するつもりですの!」
颯、敵の狙いを味方に伝える。
そうこうするうち正面で戦闘が始まった。
「これは行くしかないよねー」
ランの合図で颯とネーナが出た。
最初の計画では前で遠距離戦をしている間に裏から突っ込み撹乱し、前も突っ込むという計画だったが、敵もしっかりと防衛戦術は事前に構築していたらしい。
「ここを根城にしてたってのは、間違いなさそうだね」
ネーナ、これで確信。
そして初志貫徹。左右はランと颯に任せて裏口からの潜入を試みた。
その時ッ!
「まさかっ!」
すぐに突入しなかった真司が奇跡的に気付く。
いや、奇跡ではない。
もしかしたら、スケルトンが小屋にやってきた来た方面からの援軍があるかもしれないと、頭の隅に淹れていた。それが、幸運にも振り返った時に鋭敏視覚で敵影を遠くに確認することにつながった。
が、すでに仲間3人は大きく動いた後だ。
「俺一人でも何とかするぜ」
ジェットブーツで小屋の屋根に飛び乗る。
すぐにアサルトライフルを構え、森からの増援に備え、息をひそめた。
「一気に焼いてしまえです」
こちら、颯。
ジェットブーツで遠い左側の2体に肉薄してからドリルを引く。まずは反対の手から……。
「ファイアスローワーですの!」
ごぉう、と扇状に炎がほとばしる。
気付いた敵は振り向く動作とともに骨を投げる。が、颯の前に出る圧力を前にしてはか弱い抵抗でしかない。
――どんっ!
炎を囮に一瞬に敵まで到達した颯。伸ばしたドリルで敵を貫き、そのまま壁ドンした。
「びりびり電撃どりるぅ~!!」
エレキトリックショックが敵を襲う。がくがくがく、と振動した敵はそのまま崩れた。
直後、どす、と背中に打撃を受ける颯。もう1体の敵だ。
「お前もですの~~っ!」
再びどりるがどりどり穿つことになる。
一方のラン。
「あはは、骨を投げるのはいいけどさ、骨も無限じゃないよねー?」
青い左目を野生の瞳に輝かせ、飛んでくる骨を避けながら敵に迫っていく。
いや、近付くにつれ厳しくなり、ついに食らう。
食らうが……。
ひゅん、とレイピアが風を切る。
「確実に一体ずつ倒していきたいよねー」
振り抜いたままの構え。その背後で敵の頭蓋骨が舞った。
「あはは。正面の援護には行かせないよ」
次の敵に突撃。
右側の敵遊撃隊を完封する。
●
この時、正面。
「合計6体が出てきたようですね」
澪、敵の振るう棍棒を下からすり抜けるように動き「獅子王」と銘の刻まれた大太刀を振り抜いていた。祖霊の力を武器に込めたスイングは、クラッシュブロウ。敵を脇の下から粉砕する。
「ちょうどいいです。セイクリッドフラッシュで吹き飛ばしですっ」
ワンドを天にかざしたアデリシアから、光の波動が周囲に走る。敵に連携させない。衝撃波で敵がぐらついた。
「後ろは4体だ。こっちは俺が何とかする!」
アデリシアの影から兵庫が躍り出てルーメンスピアを薙ぎ払い。先の範囲攻撃で弱った2体に止めを刺した。
「近寄られても引きません!」
間合いの詰まった戦闘になったが、アデリシアは八角棍「紫電」を手にしている。殴り合いでも負けるつもりはないのだ!
そして殴り合いといえば。
「骨なら叩けば壊れるだろうさ。さっさと壊させて貰う。……しかし自分の骨かどうかしらないが、投げてくるとは思わなかったぞ、と」
アルトが骨の投擲を食らいつつも圧倒的な質量を振り回し敵を粉砕している。
無論、敵は距離を置きだした。
そこに、八方手裏剣が襲い掛かる。
「さて、落ち着いて対処を」
澪だ。
アルトに敵が集中している隙に手裏剣を投げてその後に詰めて……。
「時間は掛けたくありません」
クラッシュブロウ一閃!
「フラさんたちの方には行かせません」
ラルもいる。敵の肋骨にアックスソードを入れてまずは行動を阻害し、止めにかかっている。
「この距離なら一気に近付けるさね。これは俺の間合いなんだぞ、と」
おかげでアルトも自由に動けるようになった。全力全開で流れを引き寄せる。
「よし、確保」
兵庫が槍を捨てて小太刀に持ち替え小屋に突入した時。
「罠とかはなかったから楽だったよ」
すでに潜入していたネーナが埃を払っていた。兵庫、どうやった、と聞くような目つき。
「投擲の上手い敵2体が残っていたみたい。ランナウトで投げられる前に詰めて、後はこれで、ね」
ネーナ、ギザギザした刃の剣を見せて、にこり。スラッシュエッジで見た目より滑らかに斬ったらしい。敵の連携を見越して先に動き、片付けたのだ。
この時、屋根から銃声が。「ちっ」という声も聞こえる。
慌てて二人が裏口から出る。
「一気に片付けるぜ」
同時に、屋根から真司が降りてきた。目の前には、1体のスケルトン。
ぱりん、と何かが割れる音がしたのは、防御障壁が敵の棍棒を防いだ音。着地と同時に真司が展開していた。
「風に消えな」
真司、持ち替えた魔導拳銃の至近距離射撃で敵を沈めた。
●
戦闘後、皆で小屋の中や外を探索した。
「変わったところ、ある?」
ネーナはジルに以前と様子の違う部分を探してもらう。
「なるほどの。ここは見付けにくかった」
敵が確認したのだろう。新たに動かした痕跡を床に発見し、中から隠し財産を発見した。これは皆で山分けすることに。
「道理でここに固執したわけだな」
兵庫も納得だ。
そしてフラは純粋にネーナに感心していた。
「わあっ。すごいね~」
ネーナ、振り返る。
「ボクはネーナ。ネーナ・ドラッケン。ネアでもいいよ。よろしく」
にこっ、と微笑した。
「うんっ、ボクはフラ。よろしくねっ」
「元気な娘なんだな、と」
きゃいきゃい楽しそうな様子にアルトもにこり。
「へー、可愛いね。今度さ、一緒に食事でも行かない?」
「あらいいわね。 急ぐ旅でないなら、お送りしていきたいですね」
ランとラルも加わってにぎやかになった。
小屋の外では。
「勇敢なる戦士の躯よ、今、天上の魂の元へ送ろう……」
アデリシアが周囲の浄化をしていた。その後、墓標も立ててやった。
「畑は元に戻しておくですの」
颯は敵の出てきた穴を埋めようとして……。
「……」
澪の視線に気付いた。ドリルを見ている。
「べ、別に颯が掘ったわけじゃないですの!」
「くす」
もちろん澪は分かっているのだが。
敵の来た北側では。
「何か怪しい物は、見つからねぇかな」
真司が探索中。戦闘中にこちらから来た敵が援軍か偵察に出て帰ってきた敵かも調べたかったようだが、さすがに判別はつかず。
「もしかしたら、まだ敵は残ってるかもだな」
とにかく、今回は勝利を収めたのだ。
「やっぱり立て篭もっているのか?」
アサルトライフルの整備がてら、柊 真司(ka0705)がジルに聞いた。
ここは、ジルの仮住まいとしていた小屋の見える森の中。
家屋のある広場には畑以外何もないが、窓からスケルトンの姿が見て取れる。
「そうじゃの」
低木の影となるちょっとした隠れ場所に身を潜めるジル・コバルトが頷く。駆けつけたハンターたちもここにいる。
「なら、裏口に回れるな」
真司、顔を上げ、同時にオープンフィンガー手袋をきゅっと絞り直す。
「では、私は正面から。比較的楽な仕事に思えますが……さて」
その背後で頷くように瞳を閉じ、上泉 澪(ka0518)が大太刀「獅子王」を胸に抱き、立ち上がる。銀の長髪に白い肌と淡い印象の中、黒漆塗りの鞘に収まった鍔無しの刀が目を引く。
「楽かどうかは小屋や戦場にもよるでしょう。日が暮れる前に方を付けたいです、夜は亡霊たちの時間ですからね」
アデリシア=R=エルミナゥ(ka0746)が、ジルに小屋の間取りなどを聞く。青いローブを着ているのだがあちこち改造してラフに着こなしている。
「間取りはの……」
「ねー? おじいさんさー。戸締りしたってことは、あそこに住んでるんだよねー?」
ジルが間取りの説明をしていると、ラン・ヴィンダールヴ(ka0109)が割って入った。右の大きな眼帯越しに左の青い瞳を向ける。
「ああ、世捨て人としてあそこに隠棲しとるの」
「なんでわざわざ戸締りとかしたのかなー?」
ラン、スケルトンに通過してもらった方が良かったのではと聞いてみる。
「居つけば南下を止められるじゃろ?」
「ふぅん? でも何で戸締りした家を調べて留まるって分かるの?」
今度は横から細身のエルフ娘が首を突っ込んできた。
ネーナ・ドラッケン(ka4376)だ。
これにはジル、にやりとする。
「あれが古の盗賊の成れの果てなら、調べるんじゃなかろうかのぅ?」
「スケルトンにどれほど知能があるか知らないけれど、そんなものに固執するものかな?」
「強欲は死んでも治るまいよ」
「なんだー。おじいさん、伝説の盗賊の生き残りとかじゃないのー?」
これを聞いて残念がるラン。「あの建物にお宝を隠してたり、ねー」とかも呟くが、「探したが特に残ってなかったの」とジルが返す。
「とはいえ、そんなところを亡者共の拠点としては後々更なる災禍が降り掛からないとも限らないからな。速やかに退治することとしよう」
会話もきりがいい、と新たに立ち上がる姿があった。
榊 兵庫(ka0010)だ。十字の穂先の槍をぐっと掴んでいる。
「手筈は、二手に分かれて表口側が囮、裏口側が強襲して追い出し、でいいな? 俺は表口に。裏口は……」
「颯におまかせですの!」
兵庫の探すような視線を受け、ツインテールにビキニアーマーでスタイリッシュに決めた八劒 颯(ka1804)が立ち上がった。武器もこだわりなのだろう、魔導ドリルを手にしている。
「さて、埴輪の魅力を広める為にも頑張っていこうかね。……や、骸骨にその魅力が分かるとも思えないがね、と」
続いて涼やかな面持ちのリアルブルー男性、アルト・ハーニー(ka0113)も立ち上がる。
「……なんか、最近のハンターは変わったのが多いの」
これを見たジルがこぼす。
実はアルト、「100t」と大書されたウォーハンマーを構えている。こだわりなのだろう。
が、それだけではない。
アルトの左肩には、なぜか素焼きの埴輪が乗っているのだ。こだわりなのだろう。
●
この少し前、、ラル・S・コーダ(ka4495)は仲間たちとは少し離れ、より広間に近い場所にいた。
その茂みに、四つん這いになったお尻が突き出ている。フラ・キャンディだ。
「まあまあ、お可愛らしいエルフさん」
ラルはあまりの無防備っぷりにくすくす。
「どう? 随分と沢山のお相手がいるようだけど」
自分もやってみようと四つん這いになって茂みに頭を突っ込んだ。
「あっ、ラルさん。敵はのんきにしてるみたいだし、きっと大丈夫だよ」
「そうね、そうね、楽しく踊りましょう♪」
フラ、奇襲すれば大丈夫との見解。楽しく踊れそう、とラルはうきうきする。
ここで背後から気配。
ラルとフラ、立ち上がり振り向く。
「建物から出てきてくれるならラッキーだが……どうかね。籠城されると面倒だ。主に建物を破壊しないようにするのが」
ハンマーを担ぎ、手をひさしにしたアルトが立っている。
「敵は連携してくる伝説の盗賊の成れの果て。効率よく戦いたいね」
兵庫もいる。
「真っ直ぐ入り口まで歩いて行きましょう」
アデリシアが胸を張っている。
「あなたにはここを頼みます」
澪は、立ち上がったフラの髪を撫でて後ろに下がらせる。フラ、これに不満顔。
「えー、ボクも……」
「誰があの老人を守るのです?」
アデリシアがこの時ばかりは目尻を緩めた。これで従ってくれた。
「では行きましょう」
ラルがうなずき、広場に出た。
こうして兵庫、アルト、澪、ラル、アデリシアがまるで散歩するように小屋に進む。
一方、小屋はしーんと静まり返った。明らかに待っている。
「どうする?」
畑を抜けて投擲武器の間合いと思われる手前で、兵庫が仲間に聞いた。
「派手に挑発して外におびき出したいね」
アルト、短く返す。
「レクイエムにはもう少し……」
速度を緩めた二人をアデリシアが追い抜いて行く。
「ここは任せてくださいね」
ラルは小走りに前に出る。
同時に、小屋の窓から何かが旋回しながら飛んで来た。
何かの骨である。
ぴっ、とラルの肩をかすめると血がしぶいた。骨の両端は鋭利に尖っているらしい。
瞬間!
「……では」
ラルの右頬あたりに蝶の文様が浮かんだ!
すぐに一礼して見えなくなる。かがめた元の位置にほかの窓から骨が飛んで来て過ぎ行く。
これが開戦の合図となった。
「出てこないとこうです!」
ラルの横からアデリシアが躍り出る。黒い髪が流れように銀のグラデーションになる。
そしてワンドを掲げホーリーライト。輝く光の弾が跳ね上げ戸を吹っ飛ばした。
さらにその横で陽光を受け、虹色に光る髪が踊る。
「目立つのは好みではありませんが」
澪がするするっと前に出て八方手裏剣を窓から中に入れる!
この一撃でスケルトンの対応が変わった!
――バンッ!
正面玄関が開き、スケルトンどもが雪崩を打って出てきたのだ。
「こいつは……」
兵庫、事態に気付いた。
別働隊が後背を突く前に突撃され、数的不利に陥った可能性が高い。
さらに間の悪いことに!
――ぼこっ、ぼこっ!
「何だ?」
アルトが背後からの音に振り向く。
すると、畑の土中からスケルトン4体が姿を現しているではないか。
敵の策にはまったのだ!
が、アルトはむしろ生き生きしているぞ?
「外ならいろいろ気にすることはないな! 派手に行かせて貰うとするかね」
ぶうん、とハンマーを回して担ぎ反転。後背の敵に突っ込んでいく。
♪
古い歌が聴こえてくるようですね
そう成る前はなんだったのでしょう
♪
前方ではそんな歌が。
「投げナイフの得意な盗賊さん? さあ、さあ、さあ! かつての記憶を抱いて踊ろう!」
ラルだ。
戦場をステップしながら迂回。包囲を軽やかに回避し、斧にしたアックスブレードを振るっている。
「わたしの腕の中で眠りなさい」
かしゃん、と崩れ落ちるスケルトン。斧を担ぎ直したラルが、にこり。
●
この少し前、別働隊。
真司、ラン、颯、ネーナが急いで森の中を迂回している。
「ボク、思うんだ」
道中、ネーナが言った。
「この小屋って実はそれこそ盗賊の拠点だったんじゃないかしら、って」
「あー。それ、十分ありそうですの」
ネーナの言葉に颯が同調する。
「倒した後が楽しみだよねー」
ラン、後から家探しする気満々だ。
「そうだな。後からいろいろ……ちょっと待った!」
真司も似たような考えだが、皆の注意を促した。
「あ、敵が出て来てますの!」
颯の言う通り。
敵は正面から何者かが接近していると見るや、こっそりと裏口からスケルトン4体が抜け出したのだ。そのまま2班に分かれて小屋の左右に潜伏する。
「正面から出て、さらに左右からも出て包囲するつもりですの!」
颯、敵の狙いを味方に伝える。
そうこうするうち正面で戦闘が始まった。
「これは行くしかないよねー」
ランの合図で颯とネーナが出た。
最初の計画では前で遠距離戦をしている間に裏から突っ込み撹乱し、前も突っ込むという計画だったが、敵もしっかりと防衛戦術は事前に構築していたらしい。
「ここを根城にしてたってのは、間違いなさそうだね」
ネーナ、これで確信。
そして初志貫徹。左右はランと颯に任せて裏口からの潜入を試みた。
その時ッ!
「まさかっ!」
すぐに突入しなかった真司が奇跡的に気付く。
いや、奇跡ではない。
もしかしたら、スケルトンが小屋にやってきた来た方面からの援軍があるかもしれないと、頭の隅に淹れていた。それが、幸運にも振り返った時に鋭敏視覚で敵影を遠くに確認することにつながった。
が、すでに仲間3人は大きく動いた後だ。
「俺一人でも何とかするぜ」
ジェットブーツで小屋の屋根に飛び乗る。
すぐにアサルトライフルを構え、森からの増援に備え、息をひそめた。
「一気に焼いてしまえです」
こちら、颯。
ジェットブーツで遠い左側の2体に肉薄してからドリルを引く。まずは反対の手から……。
「ファイアスローワーですの!」
ごぉう、と扇状に炎がほとばしる。
気付いた敵は振り向く動作とともに骨を投げる。が、颯の前に出る圧力を前にしてはか弱い抵抗でしかない。
――どんっ!
炎を囮に一瞬に敵まで到達した颯。伸ばしたドリルで敵を貫き、そのまま壁ドンした。
「びりびり電撃どりるぅ~!!」
エレキトリックショックが敵を襲う。がくがくがく、と振動した敵はそのまま崩れた。
直後、どす、と背中に打撃を受ける颯。もう1体の敵だ。
「お前もですの~~っ!」
再びどりるがどりどり穿つことになる。
一方のラン。
「あはは、骨を投げるのはいいけどさ、骨も無限じゃないよねー?」
青い左目を野生の瞳に輝かせ、飛んでくる骨を避けながら敵に迫っていく。
いや、近付くにつれ厳しくなり、ついに食らう。
食らうが……。
ひゅん、とレイピアが風を切る。
「確実に一体ずつ倒していきたいよねー」
振り抜いたままの構え。その背後で敵の頭蓋骨が舞った。
「あはは。正面の援護には行かせないよ」
次の敵に突撃。
右側の敵遊撃隊を完封する。
●
この時、正面。
「合計6体が出てきたようですね」
澪、敵の振るう棍棒を下からすり抜けるように動き「獅子王」と銘の刻まれた大太刀を振り抜いていた。祖霊の力を武器に込めたスイングは、クラッシュブロウ。敵を脇の下から粉砕する。
「ちょうどいいです。セイクリッドフラッシュで吹き飛ばしですっ」
ワンドを天にかざしたアデリシアから、光の波動が周囲に走る。敵に連携させない。衝撃波で敵がぐらついた。
「後ろは4体だ。こっちは俺が何とかする!」
アデリシアの影から兵庫が躍り出てルーメンスピアを薙ぎ払い。先の範囲攻撃で弱った2体に止めを刺した。
「近寄られても引きません!」
間合いの詰まった戦闘になったが、アデリシアは八角棍「紫電」を手にしている。殴り合いでも負けるつもりはないのだ!
そして殴り合いといえば。
「骨なら叩けば壊れるだろうさ。さっさと壊させて貰う。……しかし自分の骨かどうかしらないが、投げてくるとは思わなかったぞ、と」
アルトが骨の投擲を食らいつつも圧倒的な質量を振り回し敵を粉砕している。
無論、敵は距離を置きだした。
そこに、八方手裏剣が襲い掛かる。
「さて、落ち着いて対処を」
澪だ。
アルトに敵が集中している隙に手裏剣を投げてその後に詰めて……。
「時間は掛けたくありません」
クラッシュブロウ一閃!
「フラさんたちの方には行かせません」
ラルもいる。敵の肋骨にアックスソードを入れてまずは行動を阻害し、止めにかかっている。
「この距離なら一気に近付けるさね。これは俺の間合いなんだぞ、と」
おかげでアルトも自由に動けるようになった。全力全開で流れを引き寄せる。
「よし、確保」
兵庫が槍を捨てて小太刀に持ち替え小屋に突入した時。
「罠とかはなかったから楽だったよ」
すでに潜入していたネーナが埃を払っていた。兵庫、どうやった、と聞くような目つき。
「投擲の上手い敵2体が残っていたみたい。ランナウトで投げられる前に詰めて、後はこれで、ね」
ネーナ、ギザギザした刃の剣を見せて、にこり。スラッシュエッジで見た目より滑らかに斬ったらしい。敵の連携を見越して先に動き、片付けたのだ。
この時、屋根から銃声が。「ちっ」という声も聞こえる。
慌てて二人が裏口から出る。
「一気に片付けるぜ」
同時に、屋根から真司が降りてきた。目の前には、1体のスケルトン。
ぱりん、と何かが割れる音がしたのは、防御障壁が敵の棍棒を防いだ音。着地と同時に真司が展開していた。
「風に消えな」
真司、持ち替えた魔導拳銃の至近距離射撃で敵を沈めた。
●
戦闘後、皆で小屋の中や外を探索した。
「変わったところ、ある?」
ネーナはジルに以前と様子の違う部分を探してもらう。
「なるほどの。ここは見付けにくかった」
敵が確認したのだろう。新たに動かした痕跡を床に発見し、中から隠し財産を発見した。これは皆で山分けすることに。
「道理でここに固執したわけだな」
兵庫も納得だ。
そしてフラは純粋にネーナに感心していた。
「わあっ。すごいね~」
ネーナ、振り返る。
「ボクはネーナ。ネーナ・ドラッケン。ネアでもいいよ。よろしく」
にこっ、と微笑した。
「うんっ、ボクはフラ。よろしくねっ」
「元気な娘なんだな、と」
きゃいきゃい楽しそうな様子にアルトもにこり。
「へー、可愛いね。今度さ、一緒に食事でも行かない?」
「あらいいわね。 急ぐ旅でないなら、お送りしていきたいですね」
ランとラルも加わってにぎやかになった。
小屋の外では。
「勇敢なる戦士の躯よ、今、天上の魂の元へ送ろう……」
アデリシアが周囲の浄化をしていた。その後、墓標も立ててやった。
「畑は元に戻しておくですの」
颯は敵の出てきた穴を埋めようとして……。
「……」
澪の視線に気付いた。ドリルを見ている。
「べ、別に颯が掘ったわけじゃないですの!」
「くす」
もちろん澪は分かっているのだが。
敵の来た北側では。
「何か怪しい物は、見つからねぇかな」
真司が探索中。戦闘中にこちらから来た敵が援軍か偵察に出て帰ってきた敵かも調べたかったようだが、さすがに判別はつかず。
「もしかしたら、まだ敵は残ってるかもだな」
とにかく、今回は勝利を収めたのだ。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 榊 兵庫(ka0010) 人間(リアルブルー)|26才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/05/03 23:41:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/03 14:49:32 |