ゲスト
(ka0000)
遺品整理
マスター:江口梨奈

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/10 07:30
- 完成日
- 2014/07/16 20:09
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「ズーシィ・トリナ氏のお宅は、こちらでしょうか?」
ある日、身形のよい男がナツの元を訪れてそう尋ねたが、ナツにはそれが誰か分からなかった。
「60年ほど前から、○×窯で陶器に絵付けをしていた職人さんだと思うのですが」
「ろくじゅうッ……って、あたし、まだ17歳なんで……。ちょっと待って下さい、ばあちゃんを呼んできます」
無茶なことを尋ねる来客だ、と苦笑しながらナツは、慌てて祖母を呼びに戻った。今年で70歳になる祖母のタラミはまだまだ頭も体もぴんしゃんしていて、来客の問いにあっさり答えた。
「わしの父親ですじゃ。けど、もう20年も前に亡くなっております」
「あなたが、娘さん?」
「はい」
「他に、ご兄弟は?」
「わし一人ですじゃ」
身形のよい男は姿勢を正し、改めて礼をして、自分は仲介屋のバルバだと名乗った。
「仲介屋?」
「はい。おおざっぱに言いますと、私共のお客様が買いたい物があるとしたら、それを売ってくれる人を捜して交渉する仕事ですね」
「はあ。それで、わしの父親に、何のご用でしょうぞ?」
「お父様がご存命の頃に発表した、裸婦像を売って頂きたいのです」
ズーシィはいわゆる、売れない画家だった。生活のために絵付けの仕事をしていたが、合間に油絵を描いては画壇に発表していた。しかし、これといった評価もされず絵に価値も付かず、陶器屋の雇われ職人として人生を終えたのだという。
「歌劇女優の△△、ご存知ですか?」
バルバは、どこかの公演で好評を得てなんとか言う賞を取ったという、ここ最近に急激に人気の出た女優の名前をあげた。祖母は頸をかしげたが、ナツは十分知っていた。ファンだと言ってもいい。
「彼女がまだ無名だった時、絵のモデルをしていたそうで。もうお分かりでしょう? お父様の発表された裸婦像が△△で、世の好事家たちがその絵を捜しているのですよ。未発表のものや、下書きなどがあればそれらもまとめて」
画家ではなく、モデルに価値があるということか。なんとも皮肉な話である。
「はあ、そりゃ構いませんが。けンど、絵の一切はここにはありませんで」
今、住んでいるこの家は祖母の嫁ぎ先であり、ズーシィが晩年に足腰が立たなくなって、その世話をするために一人娘の祖母が呼び寄せたのである。絵の類は、トリナの実家に置きっぱなしになっている。
「ご実家は、どちらなんですか?」
「ちょっと遠くての。ほれ、ここから北へ向かったどん詰まりにある村じゃ」
場所を聞いて、バルバは眉をひそめた。その意味が分かるタラミも頷いた。
「あそこですか……」
「あそこなんじゃ」
鬱蒼とした山の中にある、寂れた村である。いや、もう誰も住んでいないかもしれない。ズーシィが生きていた頃にヴォイド騒ぎが起き、それもタラミが父を安全な街へ呼び寄せた理由のひとつだった。今も時々、ヴォイドが出たとの噂を聞くし、そうでなければ野盗が住み着いてるとも聞く。そもそもどん詰まりの村なので、よほどの用事がない限り、誰も近寄らない場所なのだ。
「いかがでしょう、絵の管理を、私に任せてもらえませんか? タラミさんのお許しが頂けるなら、私が北の村へ行って絵を取って参ります」
「けどなあ、今日会ったばっかりの人に、はいどうぞって任せるんもなあ……」
「ごもっともです。ですが、こういったものは、売り時があるのですよ。ここだけの話、女優の人気なぞ今だけのものです。旬を過ぎればあとは値が下がる一方なんです」
なかなか世知辛い話だ。
「それに、急激に注目を浴びた人には、あまり好ましからざる後援者が現れたりするのですよ、ルールもマナーも知らないような連中が、ね。裸婦像の話は、私が簡単にこの家を探せた程度に、知れ渡ってる話でして。もしかしたらズーシィさんの生家も、もう知られてるかもしれません。私としましては、正当な方法で譲り受けたものが本当のファンの方の手に渡って欲しいのですよ」
ともすれば脅しととれるようなことをバルバは言ったが、ナツはそう受け取らなかった。彼はどうも本心から、自分の顧客のために真っ当な商売をしたいと思ってるようだった。
「じゃあ、ばあちゃん。あたしが、ひいじいちゃんの家に行って、持って帰ってくるってのはどう? △△の絵だけでいいんでしょう、顔ぐらい知ってるわ」
「アホか、おまえ。あんな危ないところに、おまえ一人で行かせられるか」
「でしたら、私が用心棒を雇いますよ!」
目を輝かせて、バルバは言った。交渉の第一段階は成功したのである。
ある日、身形のよい男がナツの元を訪れてそう尋ねたが、ナツにはそれが誰か分からなかった。
「60年ほど前から、○×窯で陶器に絵付けをしていた職人さんだと思うのですが」
「ろくじゅうッ……って、あたし、まだ17歳なんで……。ちょっと待って下さい、ばあちゃんを呼んできます」
無茶なことを尋ねる来客だ、と苦笑しながらナツは、慌てて祖母を呼びに戻った。今年で70歳になる祖母のタラミはまだまだ頭も体もぴんしゃんしていて、来客の問いにあっさり答えた。
「わしの父親ですじゃ。けど、もう20年も前に亡くなっております」
「あなたが、娘さん?」
「はい」
「他に、ご兄弟は?」
「わし一人ですじゃ」
身形のよい男は姿勢を正し、改めて礼をして、自分は仲介屋のバルバだと名乗った。
「仲介屋?」
「はい。おおざっぱに言いますと、私共のお客様が買いたい物があるとしたら、それを売ってくれる人を捜して交渉する仕事ですね」
「はあ。それで、わしの父親に、何のご用でしょうぞ?」
「お父様がご存命の頃に発表した、裸婦像を売って頂きたいのです」
ズーシィはいわゆる、売れない画家だった。生活のために絵付けの仕事をしていたが、合間に油絵を描いては画壇に発表していた。しかし、これといった評価もされず絵に価値も付かず、陶器屋の雇われ職人として人生を終えたのだという。
「歌劇女優の△△、ご存知ですか?」
バルバは、どこかの公演で好評を得てなんとか言う賞を取ったという、ここ最近に急激に人気の出た女優の名前をあげた。祖母は頸をかしげたが、ナツは十分知っていた。ファンだと言ってもいい。
「彼女がまだ無名だった時、絵のモデルをしていたそうで。もうお分かりでしょう? お父様の発表された裸婦像が△△で、世の好事家たちがその絵を捜しているのですよ。未発表のものや、下書きなどがあればそれらもまとめて」
画家ではなく、モデルに価値があるということか。なんとも皮肉な話である。
「はあ、そりゃ構いませんが。けンど、絵の一切はここにはありませんで」
今、住んでいるこの家は祖母の嫁ぎ先であり、ズーシィが晩年に足腰が立たなくなって、その世話をするために一人娘の祖母が呼び寄せたのである。絵の類は、トリナの実家に置きっぱなしになっている。
「ご実家は、どちらなんですか?」
「ちょっと遠くての。ほれ、ここから北へ向かったどん詰まりにある村じゃ」
場所を聞いて、バルバは眉をひそめた。その意味が分かるタラミも頷いた。
「あそこですか……」
「あそこなんじゃ」
鬱蒼とした山の中にある、寂れた村である。いや、もう誰も住んでいないかもしれない。ズーシィが生きていた頃にヴォイド騒ぎが起き、それもタラミが父を安全な街へ呼び寄せた理由のひとつだった。今も時々、ヴォイドが出たとの噂を聞くし、そうでなければ野盗が住み着いてるとも聞く。そもそもどん詰まりの村なので、よほどの用事がない限り、誰も近寄らない場所なのだ。
「いかがでしょう、絵の管理を、私に任せてもらえませんか? タラミさんのお許しが頂けるなら、私が北の村へ行って絵を取って参ります」
「けどなあ、今日会ったばっかりの人に、はいどうぞって任せるんもなあ……」
「ごもっともです。ですが、こういったものは、売り時があるのですよ。ここだけの話、女優の人気なぞ今だけのものです。旬を過ぎればあとは値が下がる一方なんです」
なかなか世知辛い話だ。
「それに、急激に注目を浴びた人には、あまり好ましからざる後援者が現れたりするのですよ、ルールもマナーも知らないような連中が、ね。裸婦像の話は、私が簡単にこの家を探せた程度に、知れ渡ってる話でして。もしかしたらズーシィさんの生家も、もう知られてるかもしれません。私としましては、正当な方法で譲り受けたものが本当のファンの方の手に渡って欲しいのですよ」
ともすれば脅しととれるようなことをバルバは言ったが、ナツはそう受け取らなかった。彼はどうも本心から、自分の顧客のために真っ当な商売をしたいと思ってるようだった。
「じゃあ、ばあちゃん。あたしが、ひいじいちゃんの家に行って、持って帰ってくるってのはどう? △△の絵だけでいいんでしょう、顔ぐらい知ってるわ」
「アホか、おまえ。あんな危ないところに、おまえ一人で行かせられるか」
「でしたら、私が用心棒を雇いますよ!」
目を輝かせて、バルバは言った。交渉の第一段階は成功したのである。
リプレイ本文
●出発
ズーシィ作品の引き上げ作業に必要と思われる道具は、バルバがすべて用意してくれた。ハンター達を護衛に呼んだだけでなく、これだけの道具を揃えるには安くない費用がかかっただろうが、それを差し引いても元が取れるという判断なのか……ナツは若い娘らしく俗物なので、降って湧いた遺産話に小躍りしてしまうのも仕方のないことだろう。
「理由はどうあれ、自分の作品が世に出るってのは嬉しいことだろうし、何より、心血注いだ作品が無為に朽ちていくのを防げるって点では、ズーシィさんも喜んでくれるんじゃないっすかねー?」
と、虎丸 陽一(ka1971)は言った。
「せっかく評価されるんなら、生きてるうちの方がいいと思うけど」
メリル・フロレンス(ka0999)もまた、もっともな事を言う。
「生きてるうちに評価される方が稀っすよ、多くの偉人は死後に業績が見直されてるモンっす」
「となると、モデルの女優さんは幸運なんだねー、まさに生きてる今に賞をもらったんだろ?」
(世の中、分からんもんだ)
皆の会話を聞きながら、マウローゼ・ツヴァイ(ka2489)は呟いた。評価や価値の、なんと曖昧なことか。
「芸術って、分かんないよねー」
マウローゼの独り言が聞こえたのか単なる偶然か、ティアナ・アナスタシア(ka0546)が似たような嘆息を漏らす。
「でも、ひとつだけ分かるのは、創作に対する思いは護ってあげなきゃ、ってことだね」
ティアナの言葉に、皆が頷いた。浮かれていたナツも硬い表情になる。
『あまり好ましからざる後援者が現れたりするのですよ、ルールもマナーも知らないような連中が、ね』……きっとそんな連中は、ズーシィの作品に、なんの敬意も払わないだろう。つい先日まで名前すら知らなかった曾祖父であるが、愛する祖母、タラミの父親であることを思えば、それが蔑ろにされるのは気分が良いものではなかった。
「そんな怖い顔しなくても、だいじょーぶよ。あーしは、引き受けた仕事はきっちりこなすんらからね」
ナツの隣を歩くテルヒルト(ka0963)がそう言うも、逆に心配になってきた。この呂律の回ってないエルフ娘は、酔っているのではないだろうか?
「あー、その顔、信用してにゃいね? こぉ見えてもあーしは、ナツちゃんよりず~っと、おねぇちゃんなんだよ」
「まあまあ。ナツさんも、僕たちとは初対面ですから、いろいろ不安もございましょうが、貴方の護衛を精一杯務めさせていただく気持ちは、皆同じですよ」
テルヒルトとは対照的に、いかつい大男のダグラス・ゴルトベルク(ka1341)が、これまた対照的にかっちりした口調でそう言った。
「ダグラスさん、この辺りが境界のようですよ?」
道の分岐にきて、聖盾(ka2154)が指さした。いよいよ街道を外れ、北の村へ入る道となるようだ。
「そうか、では、先に行かせて貰います」
ダグラスと盾は、ペットのゴールデン・レトリバーを連れ、露払いとしてまず駆ける。
「分け入っても分け入っても青い山、ね。レオ君、行きましょう!」
「わん!」
2人と1匹がいなくなるとナツは、ほぅ、と感心したように息を吐いた。
「こんな、進む順番とか、こういうのも考えるんですね」
「化け物をぶっ叩くだけなら簡単なのだが、今回はそうじゃないのでね。ま、こうやって策を練る作業というのも、なかなかやりがいがあるものだったよ」
そう言う霧島(ka2263)は、テルヒルト、マウローゼと共にナツと並んで歩く。そこから離れて後ろを、残る3人が守るようにする、これがあらかじめ決めておいた陣形だ。
「作戦段階で色々考えてみたものの……さて、問題がなければいいがな」
言いながらも霧島の口調は、自信にあふれたものだった。
●ズーシィの生家
到着するまでの道中は、何事も無さすぎるほど、何も無かった。
ナツの祖母が言っていたとおり、もうここには誰も住んでいないようだ。かつては剪定された庭木だったらしいものは、自由自在に生い茂り、その奥にある家屋を見えなくしている。隙間から見えるそれらの家々にもツタが絡まり、屋根に土が積もって草が生えているものもある。時が止まったような、澱んだ空気の中を進み、ようやく目的のズーシィの生家が見えた。
「主を失った家。そこに残る作品の数々……ちょっとした宝探しってところかな」
呑気な事を言っていたティアナだが、家の前まで来ると、違和感に気が付いて表情が変わった。他の皆もそうだ。
「……ナツさんは、ここで待っていてくれるかな?」
「へ?」
ナツが人より鈍感なのか、ハンターが人より敏感なのか、ともかくナツは訳が分からないという風な顔になり、しかし言われるまま、荷車を長椅子代わりに座って大人しく待つことにした。
「じゃあ、あーしは、この辺の木の上でも登らせてもらうのー」
テルヒルトは、2階の窓のそばまで枝を伸ばしている木をめざとく見つけ、それにするすると登りはじめる。
違和感。それは、微かな気配というか、温度の違いというか。
20年以上、誰も立ち入っていない家だ、周りの家と同様、誰にも動かされていない空気の層があってもおかしくないのだ。だが、それが消えている。
「レオ君、何か怪しいものを見つけたら教えてちょうだい」
「わん」
「では、開けますね……鍵を」
ダグラスはナツから鍵を受け取り、扉の鍵穴に差そうとした。が、その必要はなかった。
「……やはり、先客がいるようですね」
「大丈夫かな?」
家の中に入った盾とダグラスを心配するナツだが、霧島は、ふん、と小さく笑った。木の上から窓に移り渡ったテルヒルトは霧島の方を向き、頭上で両腕を○の形にしていた。
「相手が人間なら、何ということもない」
と、霧島はサングラスを外すことなく、デリンジャーを取り出した。
「……痛い目に遭ってもらおうか」
マウローゼも、魔導銃を構える。なるほど、迷い無く空き家の鍵を壊すなど、礼儀を知らない連中のようだ。こういう輩は、『痛い目』に遭わないと分からないだろう。
「なんだ、てめぇら?」
それはこっちの台詞だ、と思いながらも盾は、物で溢れかえった薄暗い室内にいた3人組の質問に答えてやる。3人組はかなり前から来ていたようで、部屋の脇には画布や画帳がきっちり仕分けられて山に積まれていた。
「この家の所有者に頼まれて片付けに来た者ですよ。あなた方こそ、誰です?」
「片付けに来た、か。じゃあ丁度いい、俺らも手伝ってやるよ」
無礼にも男は背を向け、先ほどまで行っていただろう作業の続きに取りかかる。
「例の女優さんの絵を捜しているのですか?」
ダグラスがずばり聞くと、男たちは動きを止め、舌打ちをした。
「今回の作品回収は、作者の親族の方から許可を受けているので、僕たちに正当性があります。もしあなたたちが作品を奪うつもりであれば、それは窃盗や強盗にあたります、それはご承知ですか?」
「はン、正当性って言うなら、こっちは描かれた本人から許可を貰ってんだ」
「それなら、堂々と受け取りにくればいいでしょうに、鍵を壊して勝手に入り込んだ理由は?」
「ごちゃごちゃ、うっせぇんだよ!」
男の一人はそう言うと、懐からジャンクガンを取り出した。
「教えてやらぁ。コイツはリアルブルー製の武器だ、当たると痛ェぞ」
話し合いは無駄だ、早々に諦めてダグラスは、バスタードソードを構えた。
「仕方ないですね、僕たちも自衛しないといけませんので……」
まったく怯む様子のない邪魔者に、銃を構えた男はぎょっとする。
「おまえら……ハンターか!?」
「人を襲うのですから、それ相応の覚悟があるってことですね!」
「おー、始まったなー」
家の中が賑やかになってきたのを、メリルはまるでショータイムの開幕ベルかのように言った。中を覗くテルヒルト曰く、中にいる賊は3人で、それなりの武装はしているようだ。
「どうだ、ティアナ? 加勢にいかないか」
「そうねー、人の思いを踏みにじる下郎には、直々に引導を渡してやりたいよね」
と、言い終わる間もなく、部屋の窓が内側から開けられ、箒で掃き出されるように3人の人間が転がり出てきた。
「中で剣を振り回すには、狭かったものですから」
「いい判断だぜ、ダグラス」
中に入る手間がはぶけたと、にんまりするメリル。ロッドを高々と掲げ、小さな体を一回りも二回りも大きく見せる。
「てめえらに渡す物は仕置きの鉄槌しかねえよ!」
「ガキはすっこんでろ!」
見た目が子供では脅しはきかないか、しかしちんぴら相手にキラキラバシューンと覚醒するのもなあ、と逡巡するメリル。だが振り返ると陽一が、金色になった髪の毛を逆立てて、牙を見せている。
「動くなァ、おまえらーーーッ」
『ウィンドスラッシュ』が、ちんぴらの頭をかすめ、屋根の方へ飛んだ。
●ヴォイド
ハンター達の力が次々と『覚醒』される。
ある者は輝き、ある者は外見が変わり、ある者は異質なものが体に現れる。
「ナツ、私の後ろに」
マウローゼが銃を構え、庇の欠けた屋根に向ける。黒い影がひとつ、庭にどすんと飛び降りた。衝撃に地面が揺れる。目の前まで迫ったそれは、ナツがこれまで見たことのある動物とはどれも似ていない形をしていた。ずんぐりした手足の先に大きな爪。ぎょろりとした目は視線が定まらず瞬きもせず、変わりに少し長い耳が忙しく動いて、こちらの様子を伺っているようだ。
「雑魚、だな」
それまで可愛らしい女の子だったティアナの髪は白くなり、口調まで豹変した。現れたヴォイドが不出来ななり損ないと見るや、容赦なく『ホーリーライト』を浴びせかける。光の弾がぶつけられ、それを避けようとしたヴォイドだが、テルヒルトがそれを許さない。
「逃がさないもんね~」
ヴォイドを上回る素早さでショートソードを振り、まずは片腕を切り落とす。
「うーん、一撃じゃ決まらないか~」
決して酔っているから的を外したわけではない、確実に狙ったところに確実な攻撃をたたき込めたはずだが、テルヒルトのもつ短剣に対してヴォイドの四肢は太すぎた。間髪入れずに、次のを……と思ったが、それより早くヴォイドはきびすを返しテルヒルトから離れようとした。
「う、うわああああ!」
そしてその進行方向には、先ほどの3人組が腰を抜かしている。ちんぴらと言えど、でかい面が出来るのは人間に対してだけだ、こんな化け物に迫られたことは無いのだ。
霧島の猟銃が火を吹いた。横っ面に弾丸を浴びせられ、ヴォイドの進路は大きくずれる。
「優しいな、霧島は」
そんな連中、放っておけばいいのに、とマウローゼは言う。
「なあに、奴らに恩を売りつけただけだ」
と、霧島はつかつかと3人組に近づき、睨み付けた。
「ヴォイドに襲われたとなると、逃げる口実もできるだろう? それとも、あのヴォイドの始末はあんた達がしてくれるの?」
視線の先には、己の危機に逆に猛り狂っているヴォイドがいた。生臭い体液をまき散らし、ごつい足を踏み鳴らし、今まさに反撃をしようとしている。
男たちはこけつまろびつ、逃げていった。さあ、邪魔者はいなくなった。
瀕死のヴォイド1体など、8人も揃ったハンターの敵ではない。さっさと片付けて、本来の用件を終わらせなければ。
●遺品整理
悪党どもはかなり長時間作業をしていたのだろう、なんともありがたいことに、作品の類は一カ所に集められ、分類の大半が終えられていた。このまま全部、荷車に積んで持ち帰っても問題ないぐらいだ。
問題の、歌劇女優の裸婦像を何枚か見つけた。特に綺麗な額縁に入っている物が、発表した作品だろうか。
「こういうのが高く売れるのか……実家にもあったけど、よくわかんねえや」
メリルが首をかしげる。ナツも同じ反応だ。確かに、丁寧な絵だ。だが、裸の女性が立っているだけの絵という印象以上のものは感じなかった。
「こっちは……練習帳でしょうか、ページによって風景も人物も、ごちゃまぜですね」
「静物、花のスケッチ……へえ、デザインもあるね」
素描ばっかりの画帳、画布に塗られたもの、額縁に納められているもの、と、それなりの数があった。
「ナツさん、時間もあるし、ここでオレが目録を作ってもいいっすかねー?」
陽一が提案する。
「目録?」
「簡単に、っすよ。バルバさんに渡す前に、どんなサイズのどんな絵が何枚あるか、第三者のオレ達が記録を付けてた方が、あとあとのゴタゴタが起こらずに済むっしょ?」
特に、提案を却下する理由も無い。予定していた時間よりずいぶん早く片づいたし、せっかく(誰も住んでおらず、これからも誰も住まないとはいえ)祖母の実家に来たのだから、窓という窓を全部開け放って、埃を払おうかと思っていたところだった。
何人かは外での見張りを続け、他の者で荷物を片付けつつ掃除、ということになった。
そうして、台所に来たナツは、そこで可愛らしいものを見つけた。
「あれ、この中の食器……?」
普段使いの食器が並べられている棚だ。縁取りに、黄色とオレンジの花の絵が散りばめられている。同じ絵柄のもので、カップや皿、ボウルなどが揃っている。おそらく、ズーシィも、その妻も、タラミも使っていたものだろう。
「さっきの画帳に、これと同じ花のデザインがありましたよ」
盾が気が付いた。「やっぱり」とナツも言った。
ナツは想像する。もしかしたらこの絵柄は、曾祖父が考えたものではないだろうか。それがこうして商品となり、ズーシィの名は刻まれなくとも、広く世に売り出されたのではないかと。
「可愛いカップよね。あたし、こういうの好きだわ」
窓から身を乗り出し、外で荷造りをしているダグラスに声をかける。
「ねー、まだ荷物、乗せられるかしら? ここの食器も持って帰りたいのー!」
全然問題ない、とダグラスは返事をした。それを聞いてナツは嬉しそうに、食器を包みだした。
「お待たせっすー。全部終わりましたー」
こうして、ズーシィの残した作品は、無事に娘とその孫のところへ戻ったのだった。
ズーシィ作品の引き上げ作業に必要と思われる道具は、バルバがすべて用意してくれた。ハンター達を護衛に呼んだだけでなく、これだけの道具を揃えるには安くない費用がかかっただろうが、それを差し引いても元が取れるという判断なのか……ナツは若い娘らしく俗物なので、降って湧いた遺産話に小躍りしてしまうのも仕方のないことだろう。
「理由はどうあれ、自分の作品が世に出るってのは嬉しいことだろうし、何より、心血注いだ作品が無為に朽ちていくのを防げるって点では、ズーシィさんも喜んでくれるんじゃないっすかねー?」
と、虎丸 陽一(ka1971)は言った。
「せっかく評価されるんなら、生きてるうちの方がいいと思うけど」
メリル・フロレンス(ka0999)もまた、もっともな事を言う。
「生きてるうちに評価される方が稀っすよ、多くの偉人は死後に業績が見直されてるモンっす」
「となると、モデルの女優さんは幸運なんだねー、まさに生きてる今に賞をもらったんだろ?」
(世の中、分からんもんだ)
皆の会話を聞きながら、マウローゼ・ツヴァイ(ka2489)は呟いた。評価や価値の、なんと曖昧なことか。
「芸術って、分かんないよねー」
マウローゼの独り言が聞こえたのか単なる偶然か、ティアナ・アナスタシア(ka0546)が似たような嘆息を漏らす。
「でも、ひとつだけ分かるのは、創作に対する思いは護ってあげなきゃ、ってことだね」
ティアナの言葉に、皆が頷いた。浮かれていたナツも硬い表情になる。
『あまり好ましからざる後援者が現れたりするのですよ、ルールもマナーも知らないような連中が、ね』……きっとそんな連中は、ズーシィの作品に、なんの敬意も払わないだろう。つい先日まで名前すら知らなかった曾祖父であるが、愛する祖母、タラミの父親であることを思えば、それが蔑ろにされるのは気分が良いものではなかった。
「そんな怖い顔しなくても、だいじょーぶよ。あーしは、引き受けた仕事はきっちりこなすんらからね」
ナツの隣を歩くテルヒルト(ka0963)がそう言うも、逆に心配になってきた。この呂律の回ってないエルフ娘は、酔っているのではないだろうか?
「あー、その顔、信用してにゃいね? こぉ見えてもあーしは、ナツちゃんよりず~っと、おねぇちゃんなんだよ」
「まあまあ。ナツさんも、僕たちとは初対面ですから、いろいろ不安もございましょうが、貴方の護衛を精一杯務めさせていただく気持ちは、皆同じですよ」
テルヒルトとは対照的に、いかつい大男のダグラス・ゴルトベルク(ka1341)が、これまた対照的にかっちりした口調でそう言った。
「ダグラスさん、この辺りが境界のようですよ?」
道の分岐にきて、聖盾(ka2154)が指さした。いよいよ街道を外れ、北の村へ入る道となるようだ。
「そうか、では、先に行かせて貰います」
ダグラスと盾は、ペットのゴールデン・レトリバーを連れ、露払いとしてまず駆ける。
「分け入っても分け入っても青い山、ね。レオ君、行きましょう!」
「わん!」
2人と1匹がいなくなるとナツは、ほぅ、と感心したように息を吐いた。
「こんな、進む順番とか、こういうのも考えるんですね」
「化け物をぶっ叩くだけなら簡単なのだが、今回はそうじゃないのでね。ま、こうやって策を練る作業というのも、なかなかやりがいがあるものだったよ」
そう言う霧島(ka2263)は、テルヒルト、マウローゼと共にナツと並んで歩く。そこから離れて後ろを、残る3人が守るようにする、これがあらかじめ決めておいた陣形だ。
「作戦段階で色々考えてみたものの……さて、問題がなければいいがな」
言いながらも霧島の口調は、自信にあふれたものだった。
●ズーシィの生家
到着するまでの道中は、何事も無さすぎるほど、何も無かった。
ナツの祖母が言っていたとおり、もうここには誰も住んでいないようだ。かつては剪定された庭木だったらしいものは、自由自在に生い茂り、その奥にある家屋を見えなくしている。隙間から見えるそれらの家々にもツタが絡まり、屋根に土が積もって草が生えているものもある。時が止まったような、澱んだ空気の中を進み、ようやく目的のズーシィの生家が見えた。
「主を失った家。そこに残る作品の数々……ちょっとした宝探しってところかな」
呑気な事を言っていたティアナだが、家の前まで来ると、違和感に気が付いて表情が変わった。他の皆もそうだ。
「……ナツさんは、ここで待っていてくれるかな?」
「へ?」
ナツが人より鈍感なのか、ハンターが人より敏感なのか、ともかくナツは訳が分からないという風な顔になり、しかし言われるまま、荷車を長椅子代わりに座って大人しく待つことにした。
「じゃあ、あーしは、この辺の木の上でも登らせてもらうのー」
テルヒルトは、2階の窓のそばまで枝を伸ばしている木をめざとく見つけ、それにするすると登りはじめる。
違和感。それは、微かな気配というか、温度の違いというか。
20年以上、誰も立ち入っていない家だ、周りの家と同様、誰にも動かされていない空気の層があってもおかしくないのだ。だが、それが消えている。
「レオ君、何か怪しいものを見つけたら教えてちょうだい」
「わん」
「では、開けますね……鍵を」
ダグラスはナツから鍵を受け取り、扉の鍵穴に差そうとした。が、その必要はなかった。
「……やはり、先客がいるようですね」
「大丈夫かな?」
家の中に入った盾とダグラスを心配するナツだが、霧島は、ふん、と小さく笑った。木の上から窓に移り渡ったテルヒルトは霧島の方を向き、頭上で両腕を○の形にしていた。
「相手が人間なら、何ということもない」
と、霧島はサングラスを外すことなく、デリンジャーを取り出した。
「……痛い目に遭ってもらおうか」
マウローゼも、魔導銃を構える。なるほど、迷い無く空き家の鍵を壊すなど、礼儀を知らない連中のようだ。こういう輩は、『痛い目』に遭わないと分からないだろう。
「なんだ、てめぇら?」
それはこっちの台詞だ、と思いながらも盾は、物で溢れかえった薄暗い室内にいた3人組の質問に答えてやる。3人組はかなり前から来ていたようで、部屋の脇には画布や画帳がきっちり仕分けられて山に積まれていた。
「この家の所有者に頼まれて片付けに来た者ですよ。あなた方こそ、誰です?」
「片付けに来た、か。じゃあ丁度いい、俺らも手伝ってやるよ」
無礼にも男は背を向け、先ほどまで行っていただろう作業の続きに取りかかる。
「例の女優さんの絵を捜しているのですか?」
ダグラスがずばり聞くと、男たちは動きを止め、舌打ちをした。
「今回の作品回収は、作者の親族の方から許可を受けているので、僕たちに正当性があります。もしあなたたちが作品を奪うつもりであれば、それは窃盗や強盗にあたります、それはご承知ですか?」
「はン、正当性って言うなら、こっちは描かれた本人から許可を貰ってんだ」
「それなら、堂々と受け取りにくればいいでしょうに、鍵を壊して勝手に入り込んだ理由は?」
「ごちゃごちゃ、うっせぇんだよ!」
男の一人はそう言うと、懐からジャンクガンを取り出した。
「教えてやらぁ。コイツはリアルブルー製の武器だ、当たると痛ェぞ」
話し合いは無駄だ、早々に諦めてダグラスは、バスタードソードを構えた。
「仕方ないですね、僕たちも自衛しないといけませんので……」
まったく怯む様子のない邪魔者に、銃を構えた男はぎょっとする。
「おまえら……ハンターか!?」
「人を襲うのですから、それ相応の覚悟があるってことですね!」
「おー、始まったなー」
家の中が賑やかになってきたのを、メリルはまるでショータイムの開幕ベルかのように言った。中を覗くテルヒルト曰く、中にいる賊は3人で、それなりの武装はしているようだ。
「どうだ、ティアナ? 加勢にいかないか」
「そうねー、人の思いを踏みにじる下郎には、直々に引導を渡してやりたいよね」
と、言い終わる間もなく、部屋の窓が内側から開けられ、箒で掃き出されるように3人の人間が転がり出てきた。
「中で剣を振り回すには、狭かったものですから」
「いい判断だぜ、ダグラス」
中に入る手間がはぶけたと、にんまりするメリル。ロッドを高々と掲げ、小さな体を一回りも二回りも大きく見せる。
「てめえらに渡す物は仕置きの鉄槌しかねえよ!」
「ガキはすっこんでろ!」
見た目が子供では脅しはきかないか、しかしちんぴら相手にキラキラバシューンと覚醒するのもなあ、と逡巡するメリル。だが振り返ると陽一が、金色になった髪の毛を逆立てて、牙を見せている。
「動くなァ、おまえらーーーッ」
『ウィンドスラッシュ』が、ちんぴらの頭をかすめ、屋根の方へ飛んだ。
●ヴォイド
ハンター達の力が次々と『覚醒』される。
ある者は輝き、ある者は外見が変わり、ある者は異質なものが体に現れる。
「ナツ、私の後ろに」
マウローゼが銃を構え、庇の欠けた屋根に向ける。黒い影がひとつ、庭にどすんと飛び降りた。衝撃に地面が揺れる。目の前まで迫ったそれは、ナツがこれまで見たことのある動物とはどれも似ていない形をしていた。ずんぐりした手足の先に大きな爪。ぎょろりとした目は視線が定まらず瞬きもせず、変わりに少し長い耳が忙しく動いて、こちらの様子を伺っているようだ。
「雑魚、だな」
それまで可愛らしい女の子だったティアナの髪は白くなり、口調まで豹変した。現れたヴォイドが不出来ななり損ないと見るや、容赦なく『ホーリーライト』を浴びせかける。光の弾がぶつけられ、それを避けようとしたヴォイドだが、テルヒルトがそれを許さない。
「逃がさないもんね~」
ヴォイドを上回る素早さでショートソードを振り、まずは片腕を切り落とす。
「うーん、一撃じゃ決まらないか~」
決して酔っているから的を外したわけではない、確実に狙ったところに確実な攻撃をたたき込めたはずだが、テルヒルトのもつ短剣に対してヴォイドの四肢は太すぎた。間髪入れずに、次のを……と思ったが、それより早くヴォイドはきびすを返しテルヒルトから離れようとした。
「う、うわああああ!」
そしてその進行方向には、先ほどの3人組が腰を抜かしている。ちんぴらと言えど、でかい面が出来るのは人間に対してだけだ、こんな化け物に迫られたことは無いのだ。
霧島の猟銃が火を吹いた。横っ面に弾丸を浴びせられ、ヴォイドの進路は大きくずれる。
「優しいな、霧島は」
そんな連中、放っておけばいいのに、とマウローゼは言う。
「なあに、奴らに恩を売りつけただけだ」
と、霧島はつかつかと3人組に近づき、睨み付けた。
「ヴォイドに襲われたとなると、逃げる口実もできるだろう? それとも、あのヴォイドの始末はあんた達がしてくれるの?」
視線の先には、己の危機に逆に猛り狂っているヴォイドがいた。生臭い体液をまき散らし、ごつい足を踏み鳴らし、今まさに反撃をしようとしている。
男たちはこけつまろびつ、逃げていった。さあ、邪魔者はいなくなった。
瀕死のヴォイド1体など、8人も揃ったハンターの敵ではない。さっさと片付けて、本来の用件を終わらせなければ。
●遺品整理
悪党どもはかなり長時間作業をしていたのだろう、なんともありがたいことに、作品の類は一カ所に集められ、分類の大半が終えられていた。このまま全部、荷車に積んで持ち帰っても問題ないぐらいだ。
問題の、歌劇女優の裸婦像を何枚か見つけた。特に綺麗な額縁に入っている物が、発表した作品だろうか。
「こういうのが高く売れるのか……実家にもあったけど、よくわかんねえや」
メリルが首をかしげる。ナツも同じ反応だ。確かに、丁寧な絵だ。だが、裸の女性が立っているだけの絵という印象以上のものは感じなかった。
「こっちは……練習帳でしょうか、ページによって風景も人物も、ごちゃまぜですね」
「静物、花のスケッチ……へえ、デザインもあるね」
素描ばっかりの画帳、画布に塗られたもの、額縁に納められているもの、と、それなりの数があった。
「ナツさん、時間もあるし、ここでオレが目録を作ってもいいっすかねー?」
陽一が提案する。
「目録?」
「簡単に、っすよ。バルバさんに渡す前に、どんなサイズのどんな絵が何枚あるか、第三者のオレ達が記録を付けてた方が、あとあとのゴタゴタが起こらずに済むっしょ?」
特に、提案を却下する理由も無い。予定していた時間よりずいぶん早く片づいたし、せっかく(誰も住んでおらず、これからも誰も住まないとはいえ)祖母の実家に来たのだから、窓という窓を全部開け放って、埃を払おうかと思っていたところだった。
何人かは外での見張りを続け、他の者で荷物を片付けつつ掃除、ということになった。
そうして、台所に来たナツは、そこで可愛らしいものを見つけた。
「あれ、この中の食器……?」
普段使いの食器が並べられている棚だ。縁取りに、黄色とオレンジの花の絵が散りばめられている。同じ絵柄のもので、カップや皿、ボウルなどが揃っている。おそらく、ズーシィも、その妻も、タラミも使っていたものだろう。
「さっきの画帳に、これと同じ花のデザインがありましたよ」
盾が気が付いた。「やっぱり」とナツも言った。
ナツは想像する。もしかしたらこの絵柄は、曾祖父が考えたものではないだろうか。それがこうして商品となり、ズーシィの名は刻まれなくとも、広く世に売り出されたのではないかと。
「可愛いカップよね。あたし、こういうの好きだわ」
窓から身を乗り出し、外で荷造りをしているダグラスに声をかける。
「ねー、まだ荷物、乗せられるかしら? ここの食器も持って帰りたいのー!」
全然問題ない、とダグラスは返事をした。それを聞いてナツは嬉しそうに、食器を包みだした。
「お待たせっすー。全部終わりましたー」
こうして、ズーシィの残した作品は、無事に娘とその孫のところへ戻ったのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/04 19:54:22 |
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作戦会議 ティアナ・アナスタシア(ka0546) 人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/07/09 22:43:38 |