• 聖呪

【聖呪】乗っ取られた鉱山

マスター:秋風落葉

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
8~12人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
7日
締切
2015/05/22 22:00
完成日
2015/05/28 23:06

みんなの思い出

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オープニング

●ある日の出来事
 鉱夫達の朝は早い。
 ドワーフである彼らは前日に浴びるほど酒を飲んでいたが、それが理由で仕事に遅れるなどということは無く、いつも通りに鉱山へと向かう準備をしていた。
 しかし、いつもは起きないことが今日、発生した。
 一人のドワーフが扉を勢い良く開ける。
「た、大変だ! ワシらの鉱山にゴブリンやコボルドが住み着いちまったらしいぞ!」
「なんだとぉ? やれやれ、どうやら今日はつるはしじゃなくて斧を振るう日らしいな。待っておれゴブリンども、ワシのバトルアックスの錆にしてくれ……」
「それが50体以上いるらしいぞ!」
「何それ多すぎりゅううううううううううううう!?」
 慌てたあまり妙な悲鳴を出してしまったドワーフの男――名をガンデルという――は、軽く咳払いをすると言い直した。
「いやちょっと待て多すぎんかそれは! なぜそんなに!?」
 鉱山の責任者である彼は情報を持ってきたドワーフに尋ねる。今まで、そんなに大量のゴブリン達が現れた経験はない。
 周りの者達もざわついていた。
「どうするのだ、ガンデル?」
 ガンデルは仲間の声にも答えず、立てかけてある斧を手にしたまま固まっている。1体や2体なら、大した相手ではないが、さすがに50体以上となると……。
 やがてガンデルはつるはしでも斧でもなく、通信機を手に取った。
「……こほん。あー。もしもし、ハンターオフィスだな? 大至急、腕に覚えのあるハンター達をよこしてくれ。人手は多いほうが助かる……ああ、それで頼む」
 ハンターオフィスに用件を伝え終わったガンデルは通信機を置き、仲間達を振り返る。
「そういう訳だ。ワシらは大人しくハンター達の到着を待つとするぞ」
「ワシらはどうする? 戦う必要があるならやるが?」
「そうだな。少なくとも、彼らが討ち漏らしたゴブリンくらいはワシらで始末するとするか」
 ドワーフ達は皆頷いた。自分達の仕事場を乗っ取られ、それをただ指をくわえて見ているのはさすがに我慢がならなかったのである。
「あー、あと、だな……」
「うん? どうした? 言いたいことがあるならはっきりと言いなさい」
 ガンデルに促され、一人の男は頭をかきながら彼に尋ねた。その表情は、何かを期待するかのような気配がある。
「やっぱあれかね? 今のうちに、ゴブリン連中を倒してもらったときの宴会の準備とかをしておいたほうがいいのかね?」
「ふむ、分かってるではないか同志。彼らはきっと疲れて帰ってくるだろう。それをねぎらう必要があるからな」
「……ワシらも宴会に加わってもいいんだよな?」
「当たり前だろう同志!」
 ガンデルの言葉にわっと場内は沸きあがり、ドワーフの面々はさっそくハンター達の労をねぎらう宴会場の準備を始めた。
「しかし、どこから来たんだろうな、その大量のゴブリンどもは……」
 ガンデルは小さな疑問を抱いたが、すぐにそのことは忘れ、自分も作業に従事した。

リプレイ本文


「鉱山! 良いねぇ。ドワーフさんから鍛冶や金属細工の技術を学んだんだよね私! ゴブリンには鉱山の価値なんて分からないだろうし、宝の持ち腐れ……とはちょっと違うけど、排除するよ!」
 依頼の詳細を聞いたレイン・レーネリル(ka2887)は元気な声でそう宣言した。
「生産拠点を奪還するのは基本中の基本よね。何をするにも金と物資、人が必要なわけだし。とりま、ちゃっちゃと終わらせますか」
 それに答えたのは遥・シュテルンメーア(ka0914)。ビキニアーマーを愛好する彼女は、今日もいつものようにビキニアーマーを纏い、戦いに赴くつもりだ。
「ドワーフのはらからたちが困っているとあらば捨て置けはせぬ! こういうときのために我らハンターはあることじゃしな! それともちろん、終わった後の宴が楽しみじゃて!」
 今回の依頼者達と同じ、ドワーフ族のオイゲーニエ・N・マラボワ(ka2304)。彼女の言葉の通り、依頼が無事解決した際に酒宴が開かれるという話である。ドワーフは酒好きで有名だ。もちろん、彼女も同様のようだ。
(漸く誰かのお役に立てる日が来ましたね。経験不足でも他の皆さんに負けない様頑張ります)
 アルカ・ティルク(ka2673)はハンターオフィスでの依頼を受けて戦いに参加するのは今回が初めてであった。
 彼女達をはじめ、依頼解決の為に集められたハンターの数は二桁を超える。それだけ激戦が予想されているということでもあるが。
 ハンター達は現地へと向かい、依頼者であるドワーフの鉱夫達と面会する。鉱山の責任者であるガンデルにいくつかの質問を行い、状況の把握に努めるハンター達。
 やがて必要な情報を得ると、彼らはゴブリン達に乗っ取られたという鉱山へと出発した。


「こん中に敵がうじゃうじゃいるってわけか……気をつけねぇと逆に狩られちまうかもな。あとドワーフたちに被害が出ないように注意しないとな。もしかしたら外に出払ってる敵がいないとも限らないし」
 ぱっくりと口を開けた坑道の入り口を遠目に見て、ティーア・ズィルバーン(ka0122)は呟く。
「……さすがにこれだけのゴブリン達が住み着いたとなれば、排除するしかありませんわね。微力ながら、全力を尽くさせて頂きます」
 日下 菜摘(ka0881)の瞳に映るのは坑道の中で動く亜人達の小さな影だ。ドワーフ達から聞いた話では、その数が50を超えるとのことだ。
「これだけの数が集まるなんて、一体何が……。一先ず、目の前の問題を片付けてから少し原因を探ってみましょう。ドワーフ達には被害を出す事が無いようにしたいものね」
 フィルメリア・クリスティア(ka3380)は後ろからついてくるドワーフ達を振り返る。責任者であるガンデルをはじめとした数人が、ハンター達が突入した後に入り口を封鎖し、ゴブリン達を逃がさないようにする手はずとなっている。
 もちろん、ハンター達の手でけりがつくのなら、それに越したことはない。
 ゴブリンも、どうやらハンター達の接近に気付いたらしい。入り口付近にいた数体が、坑道の中へと入っていく。
 ハンター達は足を速め、坑道の中へと侵入した。


 急ぎ足で奥へ向かう中、数人のハンターは周囲を気にしている。罠や待ち伏せを警戒しているのはもちろんだが、ジーク・ヴュラード(ka3589)はゴブリン達の侵入経路についても気になっていた。
(物事には原因が必ずあります。どこかにきっと侵入経路があるはず。もしかしたら外から逃げ込んだだけかもしれませんがね)
 大きめの道はまっすぐに続いている。ゴブリン達も奥に引っ込んだのか、今のところ姿は見えない。
 鵯(ka4720)はハンディLEDライトを持ち込んでいたが、幸い坑道の中は光源がいくつか設置されており、活動に支障のない明るさが保たれていた。
 やがてハンター達は丁字路で立ち止まり、班を4つに分けた。ドワーフ達からこの鉱山の大体の構造は聞いている。A班はここから左の突き当たりへ、B班とC班は前進、D班はこの場で待機して逃げてきた敵を討つのが目的だ。先の道から、ゴブリン達の声が聞こえる。待ち伏せを企んでいる可能性がある。
 A班がまず先に動き、その後の状況によって合流するつもりだったが、敵に気付かれていることを考えると状況は流動的だ。ハンター達は通路をふさぐ方針に切り替えている。
 それぞれの班は行動を開始し、中央の丁字路にはティーアとフィルメリアが残された。
「さぁて……突っ込んでいった連中が無茶してなきゃいいけど……」
 ティーアが坑道の分岐点でぽつりと漏らす。その後ろを、入り口から入ってきた四足獣の駆ける音が響き、すぐにA班が向かった方角へと曲がっていった。それは、明らかに馬の足音であった。


「おらおらぁ、雑魚共。かかってこないならこのゾファルがお前らをぶっ散らばしてやるじゃーん」
 威勢のいいことを叫んで坑道で馬を駆るのは、バトルジャンキーなゾファル・G・初火(ka4407)であった。もちろん、先ほど入り口から突っ込んできたのは彼女である。
 A班が対峙する亜人達。彼らは簡単な罠をしかけて侵入者を待っていたのだが、さすがに馬に乗って突撃してくる者がいるというのは想像の埒外であった。
 罠や待ち伏せをすべて踏み潰すように特攻するゾファル。
 用意していた罠を起動する間もなく、ゾファルのギガースアックスから放たれた『衝撃波』によって一体のコボルドが倒れた。
 そこにアルケミストであるレインのスキル、『デルタレイ』が中空に光の三角形を描く。三つの頂点から光線が放たれ、亜人達へと襲い掛かった。ホブゴブリンをはじめとした彼らは迸る閃光に胸を貫かれ、地面へと倒れ込む。
 しかしようやく最初の驚愕から立ち直った亜人達は、倒れた仲間を乗り越えるようにしてハンター達へと迫る。
「全くもう! 数が多いんだから!」
 レインはもう一度『デルタレイ』を用いる準備に入る。その隣に立つのはロッドとバックラーを構えたアルカだ。
「さぁ、掛かって来るが良い!」
 威勢良い声を発したアルカに、ゴブリンの一体が襲いかかる。
 この戦いが初陣といってもいいアルカは緊張気味ではあったものの、バックラーで上手く敵の攻撃を受け流し、致命傷をさけた。お返しとばかりにロッドを相手の鼻面へと叩き込み、見事にひるませる。
 器用に馬を操り、そこに追撃するゾファル。彼女の斧がよろめいた敵をとらえ、とどめをさす。
 その時、レインの『デルタレイ』がもう一度坑道の中を走った。先ほどと同じように、三本の光線がゴブリン達へと襲い掛かり、瞬く間に彼らを貫いた。


 A班が戦っている頃、B班、C班の面々は通路をふさぎ、上手くいくならばA班が敵を殲滅してからこの先にいるゴブリン達と戦うつもりであったが、そう上手く事は運ばなかった。武装を整えたゴブリン達が、二つの通路からそれぞれ得物を持って駆けてくる。
 B班は正面へと伸びる道を、C班は右手に伸びる道を、それぞれ封鎖する。
「妾を目がけて、来い!」
 迫る敵へと大声で見得を切るのはC班のオイゲーニエ。かかってきたコボルドをスタボーンアックスで『強撃』する。コボルドの振るった剣よりもそれは速く命中し、亜人は粗末な鎧ごと体を断ち切られた。
 しかし、血を噴きながら倒れるコボルドの背から飛び出す形で彼女を強襲するホブゴブリン。オイゲーニエに亜人の剣が迫る。
「たまには私も格好つけさせて頂きましょうか。男ですからね」
 オイゲーニエをフォローしようと駆けだすジーク。しかし、オイゲーニエはホブゴブリンの攻撃を斧で受け止め、力強く押し返すと体勢を崩した亜人に反撃の刃を喰らわせる。無様に転がるホブゴブリン。
「……たまには格好つけたかったんですが、そんな場面はなかった」
 どことなく悲しげに呟きながら、それでも倒れたホブゴブリンへとダガー「ドゥダール」を突き立てるジーク。ゴブリン達の中では強者に位置するホブゴブリンもそれであっさりとどめをさされた。
「やはりジーク殿は頼りになるのう!」
 なじみの仲間であるジークとの連携プレーにオイゲーニエは喜びの声をあげる。彼女の称賛に少し複雑な心境のジークであった。
 先ほど見得を切ったオイゲーニエへと攻撃をしかけるゴブリンとコボルド。彼女の背丈が小さいこともあるのだろう。しかし、オイゲーニエは彼らの剣を斧で受け止め、あるいは鎧で完全に防いだ。
「まだまだ、こんな程度かの!」
 全くひるんだ様子もなく、ゴブリン達を挑発するように声を発する彼女に怯えたのか、一歩後ずさるゴブリン達。
 同じくC班のルーエル・ゼクシディア(ka2473)は腰だめにパイルバンカーを構え、マテリアルを込めながら引き金を引いた。高速で射出された杭がそのゴブリンの胸を貫き、命を奪う。コボルドもジークによってあっけなく切り裂かれた。
 敵を倒し終えたルーエルの瞳に、通路の先から新たに駆けてくる亜人の群れが見える。彼は仲間に一言断りをいれ、やや突出した位置に付く。そこに群がるゴブリン達。ぎりぎりまで敵をひきつけ、ルーエルは『セイクリッドフラッシュ』を放つ。彼の周囲に光の波動が広がり、不意をつかれたゴブリン達はそれに抗する術もなく弾きとばされ、そのまま立ち上がることはなかった。


(ゴブリン……数だけは、立派だね。早く片付けて、しまおう……)
 B班の鵯はまだ距離のある敵へとデリンジャー「デッドリーキッス」を向け、トリガーを引く。坑道の中に発砲音が響き、コボルドは突然の衝撃に倒れた。その上を亜人の群れが踏み越えていく。
「うわー……雑魚でも群れるとめんどいわー。まさに人海戦術……敵は人じゃないけど」
 水中銃で向かってくる敵へと応戦する遥。射線にいたゴブリンは胸を貫かれ、転げる。
 菜摘も『ホーリーライト』を強敵と思しきホブゴブリンへと放った。光の弾は命中したものの、ゴブリンよりも強靭な亜人はまだ倒れない。
 なだれ込んできた敵を迎え撃つべく遥はユナイテッド・ドライブ・ソードに持ち替え、『防性強化』を仲間へと使用した。菜摘も自身へと『メイスファイティング』を用いる。
 鵯も鞘から日本刀「虎徹」を引き抜いた。『剣心一如』で己の精神を統一する。『電光石火』で瞬く間に距離を詰め、ホブゴブリンの胴を薙ぐ。菜摘の魔法をすでに受けていた亜人はその一撃には耐えられず、絶命した。
 突然間合いに入ってきた鵯へと慌てて剣を振るゴブリン。不安定な体勢からの斬撃を鵯はなんなく回避してみせた。
 菜摘はシェルバックラーでゴブリンの攻撃を受け流し、ウィップ「カラミティバイパー」を巧みに操る。その名の通り、蛇のようにうねる鞭は亜人の体を激しく打ちつける。
 遥も剣でコボルドを一体切り伏せる。しかし新たに間合いに入って来たゴブリンが彼女を狙い、得物を振るった。刃は遥が身につけるビキニアーマーごと、彼女の体を切り裂いた。
「さすがビキニアーマーだ! なんともないぜ!!」
 実はなんともなくはなかったが、遥は痛みをこらえて目の前のゴブリンへと反撃の刃を繰り出した。


 敵の数だけは多く、さすがにハンター達といえども全てに対処するのは難しい。しかし、取りこぼしに備えて中央で待機していた二人が臨機応変に動く。
「わりぃが、先に行かせるわけにゃいかねぇんだよ」
 ティーアの試作光斬刀「MURASAMEブレイド」が通路を突破しようとしたゴブリンを切り伏せた。
「一体たりとて逃がさない……この場で仕留める」
 フィルメリアの魔導拳銃「エア・スティーラー」が火を吹き、コボルドの頭を一発で吹き飛ばす。
 フィルメリアは入り口付近で待機しているドワーフ達のことを頭に思い浮かべながら、敵にこの場を突破されないよう警戒を怠り無く続ける。ドワーフ達への負担は極力抑えたいという彼女の考えどおり、今のところゴブリン達を取り逃がしてはいない。
 まずA班側の戦いのけりがつく。すぐに彼女達は他の班と合流した。駆けつけた援軍にハンター達の士気があがり、ゴブリン達の士気は逆に下がった。ゴブリン達にあった優位性はその数の多さだけであったが、それもこの時点でほぼ失われていた。その上、新たな敵が現れてはひとたまりもない。やがて、通路での戦いはハンター達の勝利に終わる。とはいえ、もちろん彼らも無傷ではない。
 ハンター達は、一旦一箇所に集まって可能な限り傷を癒す。
「……こんな感じで良かったですか?」
 初陣のアルカは仲間に『ヒール』を使用するのにまだ不慣れなのか、スキルの行使と共に仲間に尋ねている。もちろん癒しの力は十分な効果を発揮し、痛みに顔をしかめていた仲間の表情を笑顔に変えた。
 手当ての終わったハンター達は、当初の予定通りに坑道の奥へと残る敵の姿を探して歩を進める。
 菜摘は坑道の中にゴブリン達が通れそうな抜け道がないかを気にしている。フィルメリアも思うところがあるのか、周囲を調べる目は鋭い。
 坑道の中で、もう一度だけゴブリン達との戦いが起きた。しかし、もはや亜人の群れがハンターに勝つ術はなく……ついにゴブリンの群れを討伐したハンター達は、奪い返した鉱山の中で凱歌をあげたのであった。


「それでは、ハンター殿達の活躍と、鉱山を取り戻せたことを祝って……乾杯!」
「かんぱーい!!」
 入り口で待つドワーフ達へと報告をすませたハンター達。喜ぶドワーフ達はすぐに彼らを酒場へと連れて行く。手際よく、そこはすでに宴会の準備が整っていた。そして、すぐに先ほどのガンデルによる乾杯の音頭が取られたという訳である。
「妾もこないだ成人したことじゃし、思い切り飲むぞ!」
 終わった後の宴を楽しみにしていたオイゲーニエ。外見年齢に似合わず、杯の中を豪快に呷る。
「やっぱりドワーフさんは酒に強い人が多いのかな……レインお姉さんも飲むの?」
「もちろん! 大してお酒強くないけど、今日は飲むよー! 私こう見えてお酒飲める年齢だし! エルフマジック!」
「……うん、付き合うけど……僕は紅茶だからね」
 ルーエルとレインは並んで座っている。レインは酒を、ルーエルは言葉通りに紅茶を注文した。
 酒の強さに自信があるフィルメリアは、ドワーフ達がどれほど強いのかに興味津々のようだ。アルカもお酒が大好きなようで、ドワーフの鉱夫達に混ざって仲良く飲んでいる。
「良いよね、装飾があるだけで道具って引き締まるじゃない。永遠を象徴する金なんて寿命の長い私には特別に感じちゃうねー」
「おお、エルフの中にも話が分かる者がおるな! さあさあ、じゃんじゃん飲むといい!」
 レインも、ドワーフ達と金属の装飾について語り合っていた。上機嫌のドワーフが、彼女の杯に酒を注ぐ。
「そうじゃ。ちょっと聞きたいことがあるのじゃがな」
 オイゲーニエは酒と料理を楽しみつつ、今回のゴブリンの大量進入事件について、隣のドワーフに尋ねた。同族の疑問に考え込む鉱夫。
「ふむ……確かに今までは無かったことだな」
 ゴブリン自体は別に珍しくもないが、50を超える数が大挙して押し寄せたことは、彼の記憶にはない。
 フィルメリアも責任者であるガンデルに、ソサエティ経由で王国に連絡をとってみては、と提案している。ガンデルも、気になることがあるのか小さく唸った。
「実は、ここ最近ゴブリン達の動きがおかしいらしい。今回のワシらの件も、何かしらの予兆かもしれんな……」
 ガンデルは杯を手にそう呟く。ハンターオフィスの職員から少しだけ耳にしたことだが、王国の北の地でゴブリン達の活動が活発になっているとかいないとか。
 ルーエルもゴブリンの大量発生の件について考え込んでおり、意見を求めようとレインの方を見たが、明らかに彼女は出来上がっていた。
(まぁ、いっか。ハンターオフィスにも何か情報がきてるかもしれないし……)
 レインの有様にひとしずくの汗を流しながらも、そう考えるルーエル。レインはルーエルの視線に気付いたのか酔っ払った顔を彼へと向けた。
「んー? ……あ! うふふー、つまらなそうだねルーエル君! 残念だったねーまだまだお子様だもんねー。お酒飲めれば、ほーら! こーんにゃにたのしーのに! ニャへへ、世界が私中心に回ってるわー。私神だわー」
 レインはそのままルーエルにしなだれかかってくる。
「ねー! 聞いてるのー!? そもそもさー……」
「……レインお姉さん、もう何言ってるか判らないよ……」
 もはや呂律が回らなくなってきたレイン。ルーエルは面倒そうな顔をしながらも、幼馴染であり恋人でもある彼女の相手をしている。どうやら、帰り道では彼女を背負うことになりそうだ。
 そんな中、酒の杯を前にして悶々としているのはジークである。
(飲みたいけど顔を晒したくない……なぜなら謎めいていた方がかっこいいから!)
 ヘルム「アシストアイ」を被ったまま、ジークは酒を前にひたすら悩み続ける。

依頼結果

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MVP一覧

  • スパイス・ボンバー
    オイゲーニエ・N・マラボワka2304

重体一覧

参加者一覧

  • アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」マイスター
    ティーア・ズィルバーン(ka0122
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 冥土へと還す鎮魂歌
    日下 菜摘(ka0881
    人間(蒼)|24才|女性|聖導士
  • Pf. M.A.D
    遥・シュテルンメーア(ka0914
    人間(蒼)|17才|女性|機導師
  • スパイス・ボンバー
    オイゲーニエ・N・マラボワ(ka2304
    ドワーフ|10才|女性|闘狩人
  • 掲げた穂先に尊厳を
    ルーエル・ゼクシディア(ka2473
    人間(紅)|17才|男性|聖導士

  • アルカ・ティルク(ka2673
    エルフ|20才|女性|聖導士
  • それでも私はマイペース
    レイン・ゼクシディア(ka2887
    エルフ|16才|女性|機導師
  • 世界より大事なモノ
    フィルメリア・クリスティア(ka3380
    人間(蒼)|25才|女性|機導師
  • 黒の騎士
    ジーク・ヴュラード(ka3589
    人間(紅)|21才|男性|闘狩人
  • ゾファル怠極拳
    ゾファル・G・初火(ka4407
    人間(蒼)|16才|女性|闘狩人

  • 三鷹 璃袈(ka4427
    人間(蒼)|16才|女性|機導師

  • 鵯(ka4720
    人間(蒼)|29才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/05/21 00:34:16
アイコン 依頼達成の為に
日下 菜摘(ka0881
人間(リアルブルー)|24才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/05/22 20:47:22