コボルド叩き

マスター:植田誠

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/05/20 22:00
完成日
2015/05/28 00:18

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング


 山の中腹、今は使われなくなった古い坑道の出口に帝国兵たちが陣取っていた。
 この坑道の奥はコボルドの巣となっており、中には大量のコボルドが巣食っていることだろう。
「もっと早く討伐に踏み切れればましだったんだがな……」
 兵士がぽつりと言葉を漏らす。コボルドの繁殖力は侮りがたく、少し間を置いてしまえばすぐに数が増えていく。それを承知で手を出さなかったのはこの坑道のせいだ。かなり入り組んでいるうえ古いため、正確な出口もすぐに割り出せなかった。出口をしっかり把握していなければそこから逃げられ、またコボルドはどこかで繁殖し、人々に危害を及ぼすだろう。
 だが、それも今日までだ。これより行われる作戦が成功すればコボルドは殲滅されるはずだ。
 作戦はこうだ。まず正面、最も大きい出口から帝国軍の本隊が突入する。当然コボルドは他の出口を使って逃げ出そうとするだろう。見つけだした別の出口は全部で4つ。その出口を少数精鋭のハンターで押さえておき、逃げ出してくるコボルドを叩いていくというものだ。
「モグラ叩きならぬコボルド叩きってところか……さぁ、待ってろよコボルド共。一網打尽にしてやる」
 帝国軍とハンターの共同作戦が、今まさに開始されようとしていた。


 坑道内。コボルド達はにわかに浮き足立っていた。見張りが帝国兵の襲来を告げてきたからである。
 コボルド達は慌てて自分たちのリーダー……1匹のゴブリンの元に集まる。
 ゴブリンは、すぐさまコボルドに指示を出す。正面は敵が大量にいるだろうから別の出口から分散して逃げるように、と。コボルド達はその指示に従い武器を持って逃げ出していく。
 指示を出したゴブリンはというと、すぐに動かず逃げ出していくコボルドの様子を眺める。コボルド達にはその姿が、自分たちのために殿を務めているようにも見えた。コボルド達は思う。「あぁ、やはりこのゴブリンをリーダーとして仰いだのは正解だった」と。
 だが、事実はそうではなかった。このゴブリンは実際頭が良い方ではあり、今までもコボルド達を良く指揮していた。そして出口にも敵が控えているということも、当然のように予期していた。それでもコボルド達を逃がしたのは、その様子を見るため。正面以外の出口に配された敵はそう多いとは思えない。ならばどこかに脆い部分はあるはずだ。そこをついて逃げようというつもりなのだ。
 ゴブリンは傍らに控えていた狼の背にまたがりその時を待つ。思惑通り動くコボルド達……いや、便利な動く道具たちを見るその表情は満足げなものだった。

リプレイ本文

●出口A
 帝国軍主導によるコボルド掃討作戦が開始された。
 ハンターたちは4つの出口にそれぞれ待機し、出てくるコボルド達を撃破していくことになる。
 ここはその出口のうち一つだ。
「コボルドも良く出てきますね……」
 現れたコボルドに向い駆けだした上泉 澪(ka0518)は、すぐさまクラッシュブロウを叩き込む。強力な一撃に耐えきれず一体のコボルドはすぐに絶命する。
「万物の根源、すべての力の源よ……」
 後方から聞こえた七夜・真夕(ka3977)の詠唱。それを聞いた澪はすぐさまその場を飛び退く。
「わが手につどいて爆炎となれ!」
 声を上げ、輝く炎をまるで舞でも踊るように放つ。澪を掠めるように飛ぶ真夕のファイアーボールは過たずコボルドに着弾し爆ぜる。後に残ったのは動かなくなったコボルドのみである。
「お見事」
「ありがとう……次、来たわよ」
「ええ……本当に、数だけは多いことで」
 すぐさま奥から次のコボルドが走ってくる。コボルドは相手との実力差を本能で感じ取ったのか、同時攻撃で戦力のフリを補おうと攻撃する。その攻撃は多少澪の体を掠めるが……大したダメージにはならない。
「この程度では相手になりませんよ」
 すぐさま返す刃で1体を斬り倒す。
「……ん? これは……」
 不意に、澪の周りを取り巻くように緑に輝く風が吹く。真夕のウィンドガストだ。続けてコボルドが棍棒を振り上げて向かってきたが、風の力が澪を守るように吹きコボルドの攻撃を逸らす。
「成程、便利なものですね」
 攻撃を躱した澪は向かってきたコボルドを一撃のもと斬り伏せる。
「お節介だったかもしれないわね」
「いいえ、ありがとうございます」
 礼を言いつつ澪は先程斬り倒したコボルドの死骸を穴の中に放り込む。出てこようというコボルドの気勢を削ごうというのだろう。
「剣を振るうだけが能ではないということです。理解は……」
 視線を穴の奥に向ける。仲間の死骸を見て……しかしそれで勢いがそがれるということは無い。どちらにせよ後ろからは帝国兵たちが追い込みをかけているのだから当然かもしれない。
「……言うだけ無駄ですか」
「そういうことね……万物の根源、すべての力の源よ!」
 真夕は再度ファイアーボールを解き放ち、向かってきていた2体のコボルドへ向かって撃つ。強力無比な魔法が2体のコボルドを1撃で葬る。その奥からはすぐに次のコボルドが現れる。前にいたコボルドを盾にでもしたのか、出てきたコボルドは無傷だ。
「全く……どれだけいるのかしらね」
「一匹見かけたら……そうですね三十匹くらいはいるのかもしれません」
 出てきたコボルドに手裏剣を投げながら澪が真夕の疑問に答える。
 尤も、どれだけ出てこようと全て倒すのだから同じことなのかもしれない。
「このまま叩きます」
「ええ。援護は任せてちょうだい」
 刀を構える澪の背で、真夕は炎の矢を顕現しようとしていた。

●出口D
「……準備良し」
「これでいつ来ても大丈夫ね」
 クロード・インベルク(ka1506)とブリジット(ka4843)は作戦開始前に、出口に簡単な罠を準備していた。ロープを足首少し上ぐらいの高さに張っておくことで敵が上手く転ばせようというつもりだ。
 2人の思惑は当たった。出口から出てきた2体のコボルドは揃ってロープで転んでくれた。
「よし、仕掛けるわ!」
 その隙を逃すはずはない。ブリジットが半身に構えた状態から瞬時に接近。疾風剣を使用して倒れたコボルドに一撃を与える。
「チッ……ちょっと浅かったわね」
「問題ないよ、援護する」
 倒し切れなかったかとすぐさま飛び退くブリジット。そこにクロードの銃撃が止めを刺す。この間にもう1体のコボルドはロープを引っ張り外すことで罠を無力化する。
「罠が……まったくのバカってわけじゃないね」
「大丈夫、それなら正面から叩くだけよ!」
 再度ブリジットが疾風剣を使用して突撃。さらにクロードが銃撃で援護。確実に1体ずつ倒していくつもりだ。
「次が来てる! 気を付けろ!」
 だが、位置的にややブリジットが突出気味か。そこに奥から新たなコボルド達が接近。澪に行ったのと同じように同時攻撃でブリジットを狙う。
「くっ……出すぎたわね」
 避けきれず、棍棒で殴打されるブリジット。たかがコボルド……とはいえ棍棒での攻撃は軽視できないダメージをブリジットに与える。
 更に連続攻撃を加えようとするコボルド達。
「悪いけど、それ以上はやらせないよ」
 その出鼻を挫くように放たれたのはクロードのデルタレイ。目の前に現れた光の三角形。その頂点から伸びた光がコボルド達を貫く。
 これを好機と見て、ブリジットは疾風剣で最接近から一撃を加えコボルドを撃破する。
 だが、攻撃直後はこちらも隙を晒すことになる。横合いからブリジットを狙ってコボルドが棍棒を振り上げる。
「大丈夫か?」
 そこに割って入ったのは武器を剣に持ち替えたクロード。衝撃を完全には受け切れなかったがブリジットへの攻撃は阻止した。
「助かったわ」
 礼を言いつつブリジットは態勢を整えると、奥を見据える。見るとさらに2体のコボルド達が接近してきている。
(回復を……いいえ)
 その隙に横を抜けられるようなことになるとまずい。それに敵はまだ奥にいるかもしれない。数で不利にならないためにも、ここはあくまでも攻めの姿勢を崩さない。全身全霊の力を込めて再度疾風剣を使用し敵に肉薄する。
「このまま攻める……その首、もらった!」
「ブリジットさん! いや、今は目の前の敵を……!」
 前に出るブリジットを横目に見つつ、まずは自分の相手を倒そうと、クロードは剣を振るった。
 

●出口C
「来たみたいじゃもん!」
 超聴覚を使用した泉(ka3737)は、耳をぴこぴこさせながらジャンクにそう伝えた。
「了解。それにしてもコボルド一匹見りゃあ何十匹とはよく言ったもんだが、こりゃまた叩き甲斐があらぁな」
 ジャンク(ka4072)の方は魔導銃を構えて出口を見据える。2人で協力して後方の茂みに準備してきたトラバサミを設置、さらに出口にはワイヤーを使った罠を準備してある。これならいつ敵が来ても大丈夫だ。
 ジャンクたちの思惑通り、敵はワイヤーに引っかかって倒れた。そこを逃がさずジャンクが狙撃。まずは1体目を撃破する。さらに泉。身長の倍はあろうかというハンマーを振り上げる。
「ぺったんこなんじゃもん」
 倒れたコボルドにその攻撃を避ける術は無い。上段に構えたハンマーによるクラッシュブロウを叩き込まれたコボルドは、文字通り叩き潰された。
「注意しろ! 次の敵が来てるぞ!」
 だが、敵はこれだけではない。すぐに次のコボルドが向かってきた。うち1体がワイヤーの罠を看破し、棍棒に引っかけてワイヤーを取り去る。
 さらにもう一体のコボルドは前に出ていた泉に攻撃。多少ダメージを与える。
「にゃう……でも負けないんじゃもん!」
 ダメージを意に介することなく再度泉はハンマーを振りかぶる。大ぶりの攻撃だ。回避するのは難しくは無い。
「援護するぜ。デカいの一発決めてくれ」
 だが、それは何の妨害もなければの話。タイミングよく撃ち込まれたジャンクからの牽制射撃。銃弾が撃ち込まれコボルドの足元が爆ぜる。それによりコボルドの態勢が大きく崩される。
「ぺったんぺったんぺったんこーじゃもん!」
 そうなったら後は泉の餌食となるばかり。ハンマーに真上から叩き潰される。これも無邪気さゆえの容赦なさというものなのか。
 無論コボルド達も黙ってやられているわけではない。向かってきた別のコボルドが泉に攻撃。防御の薄い脚を狙われたか、強かなダメージを受ける。
 だが、その攻撃も一度だけに留まる。すぐさまジャンクから狙撃を受け撃破されたからだ。
「ジャンク凄いんじゃもん! ばきゅーん☆って一発なんじゃもん! かっくいーんじゃもん!」
 キラキラした目でジャンクに振り返る泉。だが、敵はまだまだ追加されてくる。気を抜いているわけにもいかず、泉も再度気を引き締める。
「ボクも……負けてられんのじゃもーん♪」
 新たに向かってきたコボルド2体。それらを纏めて撃破しようと大きく横になぎ倒すかのようにハンマーを振り回す。
 だが、大ぶり故にその攻撃は読まれやすく、コボルド達は回避する。ジャンクも丁度リロードを挟むタイミングだったため、援護が出来なかった。
「にゃう!」
 コボルド2体の同時攻撃が、またも泉の脚部分に当たる。泉も背が低いがコボルドも負けず劣らず背が低い。攻撃が下の方に寄ってしまっているのかもしれない。
 その様子を見てすぐさまジャンクが狙撃。片割れを撃破する。
「にゃぁう……ごめんなんじゃもん」
「気にすんな……それより、今度はしっかり頼むぜ!」
 しょんぼりとした様子の泉をそう言ってジャンクは鼓舞しつつ、再度牽制射撃を行う。
「うん、今度は当てるんじゃもん!」
 足元を狙われ動きを制限されたコボルドは攻撃を躱すことが出来ず、すでに潰されてきた他のコボルドと同様の運命をたどることになった。

●出口B
 ここではC、Dの出口同様罠を張ってコボルド達を引っかけることに成功。前衛としてダイ・ベルグロース(ka1769)が接近戦。さらに篠崎 宗也(ka4210)の魔法攻撃で1体をあっさりと片づけた。
「伊達に超高価な槍は使ってないんだぜ!」
 宗也は槍を構えながら自慢げな表情を浮かべる。
 だが、ダイの方はやや厳しい表情。その罠をコボルドに外されてしまったためだ。罠を外したコボルドは撃破したが、再度張るだけの時間は無い。
「どれだけ数がいるか掴めてないってのは、ちょっと不安だよな」
「まぁどんだけ居ても倒しちまえばいい話だろ?」
「確かに……来たよ、篠崎君」
 超聴覚を使用していたダイの耳には、向かってくるコボルド達の足音が確かに聞こえた。ダイは剣を構え直し敵に相対する。 
 向かってきたコボルドが棍棒を振り上げダイに迫る。それをダイは盾で受け、押し返しながら剣で斬りつける。
「魔法しか出来ないと思ったら大間違いだ!」
 その横合いから、宗也が突っ込んでくる。使える魔法にも限りがある。それを温存しようという策だ。
「そらそら、突き! 突き! 突きぃっ!」
 威力自体はやはり本職である魔法攻撃の方が高そうだが、飛び込んできた宗也に意表を突かれたのだろう。躱すことも受けることも出来ず、コボルドは胸を刺し貫かれる。
「よっしゃ!」
 喜ぶのも束の間。攻撃直後の隙を突いてもう一体のコボルドが攻撃。受けが間に合わず、低い位置から繰り出された攻撃をまともに受け、転ばないまでも態勢が崩される。
「くそ……やりやがったな!」
 声を荒げる宗也だが、このまま連続で攻撃されると少々まずい。コボルドはさらに追撃しようとしてくる……が、間にはいったダイがそれを阻む。この隙に宗也は態勢を整えマジックアローを使用。コボルドを撃破する。
「大丈夫かい、篠崎君」
「あぁ、助かったぜ」
 ホッとした表情を浮かべたダイだったが、それがすぐに緊張したものに変わる。
「どうした?」
「次の敵が来たみたいだけど……コボルドじゃない足音も一緒みたいだ」
 そうダイが言った直後、洞窟の奥から新たなコボルドと……狼に乗ったゴブリンが現れた。
「お前が親玉か! 逃げられると思ったら大間違いだぜ!」
 すぐさま宗也は集中を使用して、魔法の威力を高めた一撃を繰り出そうとする。だが、ゴブリン……というよりゴブリンの乗っている狼は思いのほか動きが速い。このまま撃っても必中とはいかないかもしれない。
「もうちっと速度を緩めてくれると助かるんだけどな……ん?」
 狙いを定めていた宗也だったが、不意に狼の動きが鈍ったのに気付いた。これが好機と、すぐさま宗也はマジックアローを叩き込む。
 ゴブリンを狙った攻撃だったが、当のゴブリンは狼が動けないと見るやすぐに狼から飛び降りその陰に隠れる。結果マジックアローは狼に命中し、撃破することに成功する。
「上手くいったな」
 狼の動きが鈍ったのは、ダイがブロウビートを使用したからだ。普段の温和な印象からは想像できない、射すくめるような視線が狼に突き刺さり、その動きを硬直させたのだ。
「おっと、逃がさないよ」
 狼が倒されたゴブリンは、今度はコボルドの陰に隠れながらこの場を逃げ出そうとしていた。だが、それを見逃すダイではなかった。ゴブリンを守るためか、あるいは生存本能のためかコボルド達はダイに攻撃を仕掛けるが、それを意に介せず再度ゴブリンに対してブロウビートを使用してその動きを鈍らせる。
「止めは頼むよ」
「任せとけ! 喰らえ!」
 タイミングを計り再度集中を使用したファイアアローがゴブリンを貫き、声も上げず倒れた。
「よし、後は残った連中を片付けるだけだな!」
「そうだね……コボルドとはいえこれだけ殴られると少し堪えるな……倒させてもらうよ」
 コボルドだけならば大した敵にはならない。そう間を置かずしてコボルドは殲滅された。
 このころには他の出口での戦闘も終了しており、潜んでいたコボルド……その総数は30程度だったそうだが、それらは敵のボスであるゴブリンも含め全て討伐された。
 これで、この周辺でコボルドによる被害が出ることはもうないだろう。作戦は大成功と言えた。

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MVP一覧

  • 林檎農園を護りし者
    ダイ・ベルグロースka1769

重体一覧

参加者一覧


  • 上泉 澪(ka0518
    人間(紅)|19才|女性|霊闘士

  • クロード・インベルク(ka1506
    人間(紅)|17才|男性|機導師
  • 林檎農園を護りし者
    ダイ・ベルグロース(ka1769
    人間(紅)|36才|男性|霊闘士
  • もぐもぐ少女
    泉(ka3737
    ドワーフ|10才|女性|霊闘士
  • 轟雷の巫女
    七夜・真夕(ka3977
    人間(蒼)|17才|女性|魔術師
  • 明敏の矛
    ジャンク(ka4072
    人間(紅)|53才|男性|猟撃士
  • 能力者
    篠崎 宗也(ka4210
    人間(蒼)|15才|男性|魔術師
  • 咲き初めし白花
    ブリジット(ka4843
    人間(紅)|16才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ジャンク(ka4072
人間(クリムゾンウェスト)|53才|男性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/05/20 21:26:51
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/05/17 16:45:31