ゲスト
(ka0000)
廃屋に発生した雑魔退治
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/05/23 07:30
- 完成日
- 2015/05/28 22:22
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●廃屋に雑魔が!
とある街の外れに廃屋がある。見た目はかなり立派な家屋にも関わらず、街の中心からやや遠いこともあって住み手も見つからず、放置されて久しいのだという。
以前は子供達が秘密基地にしていたものが、いつしかお化けが済むとされ、子供達すらも近寄らなくなった。
地主も長いこと事業に営むことで気にかける余裕がなかった。ただ、最近になって近隣住人から苦情が来るようになった為、やむなく対処することになったのだが……。
「雑魔、か」
地主は報告を聞いて溜息をつく。使いに出した者が館に住み着いた雑魔を見たというのだ。蜘蛛とネズミが確認されており、それぞれが家の中で縄張り争いをしているらしい。また、1体は人のサイズにまで大きくなっている。お化けの原因はこれなのだろう。
使用人もさすがに、具体的な場所までは確定できなかったようだが、いずれにせよ、この雑魔を退治せねば廃屋を取り壊すこともできない。地主は仕方ないかと腰を上げ、ハンターオフィスへと出向いていった。
その依頼に興味を抱いたハンターへ、受付の女性が声を掛ける。
「それは、先ほど来たばかりの雑魔退治の依頼ですね」
女性はハンター達へと説明を行うと、それならばとハンター達が快く引き受けてくれた。
「地主さんは渋々といった感じで依頼を出されたようですが、周辺住人からはこの雑魔が被害を及ぼすのではないかと不安がっています」
何か被害が出てしまう前に、どうか早い解決を願いますと、その女性はハンター達に頭を上げるのである。
とある街の外れに廃屋がある。見た目はかなり立派な家屋にも関わらず、街の中心からやや遠いこともあって住み手も見つからず、放置されて久しいのだという。
以前は子供達が秘密基地にしていたものが、いつしかお化けが済むとされ、子供達すらも近寄らなくなった。
地主も長いこと事業に営むことで気にかける余裕がなかった。ただ、最近になって近隣住人から苦情が来るようになった為、やむなく対処することになったのだが……。
「雑魔、か」
地主は報告を聞いて溜息をつく。使いに出した者が館に住み着いた雑魔を見たというのだ。蜘蛛とネズミが確認されており、それぞれが家の中で縄張り争いをしているらしい。また、1体は人のサイズにまで大きくなっている。お化けの原因はこれなのだろう。
使用人もさすがに、具体的な場所までは確定できなかったようだが、いずれにせよ、この雑魔を退治せねば廃屋を取り壊すこともできない。地主は仕方ないかと腰を上げ、ハンターオフィスへと出向いていった。
その依頼に興味を抱いたハンターへ、受付の女性が声を掛ける。
「それは、先ほど来たばかりの雑魔退治の依頼ですね」
女性はハンター達へと説明を行うと、それならばとハンター達が快く引き受けてくれた。
「地主さんは渋々といった感じで依頼を出されたようですが、周辺住人からはこの雑魔が被害を及ぼすのではないかと不安がっています」
何か被害が出てしまう前に、どうか早い解決を願いますと、その女性はハンター達に頭を上げるのである。
リプレイ本文
●雑魔の巣食う廃屋を前に
廃屋を前にしたハンター達。その反応は様々だ。
「うわー、思った以上にボロいなぁ……」
問題の廃屋を目の当たりにしたフィーサ(ka4602)が率直な感想を述べた。見た目は立派に見える建物だが、如何せん長いこと放置されており、あちこちガタがきているようだ。
「古い建物の香りも、いいのですが、雑魔の臭いは、やはり、良くありません」
ミオレスカ(ka3496)は一通り、建物の外側を確認する。窓はあったものの、その全てが封鎖されており、踏み込めそうなのは玄関と裏口くらいだ。
「使われていない廃屋といえど、雑魔が住み着いているとなれば、周りの住民が怯えるのも仕方ない。疾く退治して不安を和らげる事としよう」
「蜘蛛とかネズミとか……雑魔の生態の多様さには驚かされますが、こうなって来ると本当に凶悪な害獣そのものなので……頑張って退治したいと思います」
この世界でできることをと考えている榊 兵庫(ka0010)は近隣住民のことを考え、依頼解決に当たっている。埃やクモの糸から守る為に全身を布で覆っていた、クオン・サガラ(ka0018)も雑魔退治に意欲を見せていたようである。
一方で、退屈そうに煙草を吹かしているのは、眼帯をしたバイオレット(ka0277)だ。
「こういう害獣駆除ってのは燃やすのが一番なんだけどな」
取り壊すつもりなら、燃やしてしまえばいいのではないかと考えるバイオレット。近い案として、ミオレスカも戸締りして燻すことを考えていたが、雑魔が逃げ出す危険性も考慮し、中に入って討伐というメンバー達の方針に合わせることにしていた。それもあって、バイオレットは面倒だなと独り言ちる。
「雑魔が屋敷の外へ出て、街へ被害を及ぼすとも限りませんからね」
放置した場合を含めて、翡翠(ka2534)が雑魔が外に出る可能性を懸念する。そうなる前になんとかせねばならない。
「ちゃちゃっとお掃除しちゃおうね~」
「ちゃんと掃除人でも雇っておけば、大金使ってハンターなんぞ雇わなくても済んだのにー」
メルクーア(ka4005)の言葉にフィーサは文句を垂れるが、彼女は急に笑い出す。
「ま、アタシ達ハンターもゴミが雑魔に置き換わっただけで掃除人みたいなもんかー、ワハハ」
場が和んだところで。一行は改めて中にいる雑魔退治の準備を確認する。
ミオレスカとトランシーバーの送受信を確認する、遠火 楓(ka4929)が溜息をついた。
「はぁ……依頼に興味はないけど、肩慣らしには丁度いいか」
準備は万端。煙管を一度吹かした楓は、最後尾で廃屋へと入っていくのだった。
●廃屋の探索
「おじゃましまーす」
フィーサが先頭で扉を開く。
廃屋へ踏み込むハンター一行。暗い家屋内を照らすべく、各自ライトで照らす。掃除する者もいない家屋内には、かなり埃が溜まっているようだ。メルクーアやクオンは埃を吸わないよう、口元をマスクで覆う。
「ちょっとだけ、試していいですか?」
クオンは仲間に了解をとってから、玄関脇にファイアスローワーを放つ。
煙を上げて玄関脇の壁が壊れたものの、引火はしないようだ。彼はそれを確認し、仲間へ先に行くよう促す。
迅速な解決を行うことで、依頼人は喜ぶかもしれない。
そう考えた一行は、4人ずつ二手に分かれて1、2階の捜索を同時に行うことにした。各自に希望を取りまとめたメルクーアが迅速に振り分け、メンバー達は二手に分かれていく。
そのまま1階の探索を始めたメンバー達。ミオレスカの提案もあり、死角を作らないように仲間同士で陣形を組み、慎重に奥へと歩いていく。
(うわー、ギシギシ言ってる……2階の人達、床が抜けないといいけど)
階下にまで聞こえる足音を聞き、フィーサは上を見上げる。
「ネズミ……かな?」
メルクーアが床を見る。何かが動き回った跡はあるが、天井や梁を見ていても、蜘蛛の糸らしきものが全く見られないのだ。つまり、1階には蜘蛛がいない可能性が極めて高い。
敵をある程度特定したものの、敵は天井から飛びかかってくる可能性すらある。その可能性を考慮しながら進むと、前方にリビングに通じる扉が。
前へ進み出た兵庫が軍隊時代の経験を生かし、中の様子を窺う。
ガサゴソ、ガソゴソ……。
いる。そう確信して仲間を下がらせた兵庫は扉を開き、銃を構えて全弾を発射する。
その後、仲間達が続いてリビングへと踏み込む。
「どうもー、お掃除に参りましたー」
フィーサがリビングへと呼びかける。そこには、1体……いや、キッチンから姿を現した1体合わせて2体のネズミ。銃弾は数発が命中していたようだ。
そして、人ほどの大きさの巨大ネズミが、外敵の接近を察して真っ赤な両目で睨み付けてきたのだった。
一方、2階に上がったメンバー達は、下のメンツ以上に注意して歩く。極力気配を殺して歩こうとするが、所々の床がギシギシと音を立ててしまうのだ。
「中マジボロ屋……こんな所、さっさと片付けておさらばだね」
中の状況に辟易としていた楓は両手を空けるべく、スカートのベルトにLEDライトを挟み込んでいた。
「どこにどの雑魔がいるのかは分かってないようですが……どちらも厄介なものを持っているようですからね……」
「いや……そうとも限りませんよ」
楓をクオンが否定する。天井には蜘蛛の巣がびっしり張られてある。……となると、2階は蜘蛛の住処ということか。
「蜘蛛とネズミは縄張り争いしてるんだっけ」
こちらのメンバーもある程度敵に当たりをつけ、探索を行う。罠の存在も懸念していた為、十分に警戒を行うべくライトで周囲を照らす。
多少暗いが、外からの光が僅かに差し込んでいる。ライトでカバーすれば十分だった為、バイオレットも壁の破壊は留まっていたようだ。
クオンが用意した間取り図によると、通路右手に2室の寝室。それに、左手側に大きな寝室が一部屋ある。小型から攻めたい一行は、右手側の寝室から調べることにした。
手前の寝室の扉を開く。そこにいたのは、通常種よりも1回り大きな蜘蛛……小型の蜘蛛型雑魔1体だけ。家具があまり残されていない為に物陰も敵はいないとすぐに分かったが、天井に張り付いているかもしれない。楓はそう考えて頭上を見上げるが、敵の姿は見られない。
敵の発見を確認した翡翠は魔導短伝話を取り出して、階下メンバーへと伝達を行う。
蜘蛛が飛びかかってきたのを見て、残りの面々は構えを取る。
「単独行動はないと踏んでいたのですが……」
クオンが苦い顔で敵の対処を行うが、楓、バイオレットの対処が速い。討伐に乗り出すバイオレットは眼帯を外し、楽しそうに笑いながら拳銃を発砲する。
メンバー達は蜘蛛の逃げ場をなくそうと、部屋の角へ追い込んでいく。
「逃すか……!」
大きく息を吸い込む楓。マテリアルを全身に巡らせた彼女は、鋭い一撃を蜘蛛へ放つ。真っ二つに割れた蜘蛛はその動きを止めたのである。
●害獣駆除!
ネズミ型雑魔と戦う階下メンバー。そんな中でフィーサの魔導短伝話が鳴る。
「あー、あー、こちらフィーサだよー、どうぞー」
「翡翠です。小型蜘蛛を1体退治しました」
戦いの手を止めて、フィーサは通話する。こちらが現在ネズミと交戦していることを告げると、彼はそれを察して通話を切った。
戦いの中では、細かい状況のやり取りは難しい。ならば、逸早くネズミどもを潰すべきだろう。
「逃げない習性なら、私達にはありがたいです」
ミオレスカが思う。向かってくる相手ならば、1体ずつ潰せばいい。まずは小物を狙うべく、彼女は拳銃を構えて『高加速射撃』を行う。
銃弾を浴びたネズミは刹那宙を舞うが、すぐさま着地して疾走する。
できる限り早く討伐を、そう考えるメルクーアが兵庫へとマテリアルを注入すると、彼の体に力が廻っていく。
兵庫はすらりと刀を抜いて銃弾を浴びたネズミを捉えると、刀身にマテリアルを込めていく。そして、刀の峰をネズミに叩きつけると、そいつは地面に這いつくばって動かなくなった。
その後もハンター達の攻勢は続く。フィーサが巨大ネズミを引きつける間、他のメンバーがもう1体を相手にしていた。ネズミとてやすやすとやられることはなく、伸びた爪でひっかいて来るが、ハンターに深手を負わせることができない。
アルケミストタクトをネズミへと差し向けたメルクーア。
「確実に仕留めるわよん、どか~ん!」
タクトの尖端から放たれる一条の光。それに体を貫通されたネズミが血を噴き出して床に転がった。
巨大ネズミを抑えるフィーサ。立体的な動きで敵を翻弄する。ハンター達にとって、雑魔はさほど脅威とはならぬ存在ではあるが、その巨大ネズミはなかなかに骨の折れる相手だった。牙から麻痺毒を注入され、体に痺れを覚えてフィーサの顔が引きつる。ほんの少しステップを誤っただけでも、敵はその隙を突いてくるのだ。
しかし、仲間達が他のネズミを始末してくれている。巨大ネズミに狙いを定めたミオレスカが弾丸にマテリアルを篭める。拳銃の外からでも漂う冷気を彼女は巨大鼠の顔面に浴びせかけた。
戦況は4対1に。ハンター達の攻撃に、ネズミは弱々しい鳴き声を上げ始める。
それでもしぶとくリビングを駆けるネズミのそばをフィーサが鞭で叩きつけると、一瞬、ネズミの動きが止まった。
その巨大ネズミ目がけ、兵庫は渾身の一太刀を振り下ろす!
完全に胴体を二つに切り裂かれた巨大ネズミは血飛沫を上げて崩れ去った。
ネズミ達を駆除したメンバー達。今度はミオレスカが2階メンバーへ魔導短伝話を掛けるのである。
プルル、プルル……。
2階でも、寝室の大部屋で巨大蜘蛛との交戦が始まろうとしていた。部屋に入る前、バイオレットがデリンジャーでの「デッドリーキッス」で先制して戦いに入っている。
「巨大蜘蛛を補足しました。今度は蜘蛛1体と本命の巨大蜘蛛1体です」
その前に、もう一つの寝室で蜘蛛1体を駆除していたメンバー達。
武器を肩に担いだバイオレットは本命の登場にかなり首を長くしていたようだ。
「どうせ取り壊すんだ、派手に壊したところで問題はないだろう?」
その時、寝室内を光が照らし出す。翡翠がハンディライトで部屋を照らし出したのだ。
光を感知してそこから逃げるようにかさかさと蠢く蜘蛛達。2組の8つの目がハンター達を狙い、鋭い針を突き出す。
ネズミと蜘蛛、楓はどちらの敵に出会ってもいいように、シミュレーションを行っていた。その為、彼女は迷いなく敵に対処を行っている。
「気持ち悪い……近寄るなッ」
仲間達の攻撃で動きが鈍った蜘蛛。楓がその日本刀を振り下ろすと、蜘蛛の胴が見事に寸断された。しばらくもぞもぞと足を動かしていたが、それもすぐに止まってしまう。
配下の絶命にも蜘蛛は怯む様子はない。その体躯に見合わない動きでハンターへ迫り、毒針を注入してくる。翡翠がそれを避けられずに食らってしまい、体に回った毒によって顔色が青ざめていく。
クオンは蜘蛛に向けてファイアスローワーを放射する。飛びあがって逃げようとする巨大蜘蛛だが、もろに炎を浴びていた。
翡翠も巨大蜘蛛に2度も毒を食らうまいと、立ち回りを気にしながらも、彼は魔術具を叩き付け、デリンジャーの一発をお見舞いする。
巨大蜘蛛のしぶとさは、階下の鼠以上だったかもしれない。強力なアゴがバイオレットを狙う。かぶりつかれた彼女は、なかなか倒れぬ相手に小賢しさすら感じていた。
(いっそ、燃やすか)
バイオレットは松明に火をつけて投げつけることも考える。しかし、この状況だと階下の仲間達にも被害が及びかねない。それはあくまで最後の手段と考えた彼女は、両手に余るほど大きい頭めがけて金砕棒を叩き付けた。
足が奇妙に動き始めたのは、その命が尽きかけているからなのか。炎を全て撃ち尽くしたクオンが、拳銃を発砲させる。巨大蜘蛛の瞳の1つにヒットし、体液が飛び散る。
「死ね」
女装を付けて飛びかかる楓。まさに電光石火の一撃が蜘蛛の頭を斬り伏せる。飛び散る体液が、布団のなくなったベッドを汚す。
敵がいなくなったことを確認したバイオレットは眼帯を戻し、退屈そうに欠伸をするのだった。
●害獣を退治して……
残っていた1階のネズミも、風呂で発見されて討伐された。くまなく捜索を行って全ての雑魔を駆除したメンバー達は、玄関から外へと出る。
ミオレスカが大きく背伸びをした。閉ざされた廃屋から出て、彼女は世界の明るさと広さを感じる。彼女はそんな世界が大好きなのだと改めて実感していた。
「……敵同士が協力せずに、各個撃破出来たのが今回は大きかったな」
兵庫は今回の戦いを振り返る。今回の敵は両種が連携して攻撃してくることはなかった。彼の言う通り、ハンター達はスムーズに対処できたことは間違いない。
「……屋内戦闘では銃と刀の連携が最適とは、自分で選択したといえ、多少口惜しくはあるな」
普段の主兵装が槍である兵庫は誰に言うでもなく、他愛のない愚痴を漏らす。バイオレットはそれを聞いていたようだが、反応することもなく退屈そうにしていた。
はぁと小さく可愛らしい息をついたのは翡翠だ。
「お疲れ様でした」
一仕事終えた彼女の笑顔はとても晴れやかで眩しい。
「なんか全身ホコリっぽい……早くシャワー浴びたいなー」
蜘蛛の巣や埃などが体に絡みついているのが、フィーサはかなり不快そうだ。
とはいえ、メルクーアはそれをあまり気にしていない様子。
「みんなで乾杯しない~? ほら、汚れた場所にいたから、お酒で中から消毒しましょ」
ただ飲みたいだけでしょと突っ込まれ、そのドワーフは豪快に笑う。お風呂に入るのは悲しいかな先になりそうと、フィーサは肩を落とすのである。
廃屋を前にしたハンター達。その反応は様々だ。
「うわー、思った以上にボロいなぁ……」
問題の廃屋を目の当たりにしたフィーサ(ka4602)が率直な感想を述べた。見た目は立派に見える建物だが、如何せん長いこと放置されており、あちこちガタがきているようだ。
「古い建物の香りも、いいのですが、雑魔の臭いは、やはり、良くありません」
ミオレスカ(ka3496)は一通り、建物の外側を確認する。窓はあったものの、その全てが封鎖されており、踏み込めそうなのは玄関と裏口くらいだ。
「使われていない廃屋といえど、雑魔が住み着いているとなれば、周りの住民が怯えるのも仕方ない。疾く退治して不安を和らげる事としよう」
「蜘蛛とかネズミとか……雑魔の生態の多様さには驚かされますが、こうなって来ると本当に凶悪な害獣そのものなので……頑張って退治したいと思います」
この世界でできることをと考えている榊 兵庫(ka0010)は近隣住民のことを考え、依頼解決に当たっている。埃やクモの糸から守る為に全身を布で覆っていた、クオン・サガラ(ka0018)も雑魔退治に意欲を見せていたようである。
一方で、退屈そうに煙草を吹かしているのは、眼帯をしたバイオレット(ka0277)だ。
「こういう害獣駆除ってのは燃やすのが一番なんだけどな」
取り壊すつもりなら、燃やしてしまえばいいのではないかと考えるバイオレット。近い案として、ミオレスカも戸締りして燻すことを考えていたが、雑魔が逃げ出す危険性も考慮し、中に入って討伐というメンバー達の方針に合わせることにしていた。それもあって、バイオレットは面倒だなと独り言ちる。
「雑魔が屋敷の外へ出て、街へ被害を及ぼすとも限りませんからね」
放置した場合を含めて、翡翠(ka2534)が雑魔が外に出る可能性を懸念する。そうなる前になんとかせねばならない。
「ちゃちゃっとお掃除しちゃおうね~」
「ちゃんと掃除人でも雇っておけば、大金使ってハンターなんぞ雇わなくても済んだのにー」
メルクーア(ka4005)の言葉にフィーサは文句を垂れるが、彼女は急に笑い出す。
「ま、アタシ達ハンターもゴミが雑魔に置き換わっただけで掃除人みたいなもんかー、ワハハ」
場が和んだところで。一行は改めて中にいる雑魔退治の準備を確認する。
ミオレスカとトランシーバーの送受信を確認する、遠火 楓(ka4929)が溜息をついた。
「はぁ……依頼に興味はないけど、肩慣らしには丁度いいか」
準備は万端。煙管を一度吹かした楓は、最後尾で廃屋へと入っていくのだった。
●廃屋の探索
「おじゃましまーす」
フィーサが先頭で扉を開く。
廃屋へ踏み込むハンター一行。暗い家屋内を照らすべく、各自ライトで照らす。掃除する者もいない家屋内には、かなり埃が溜まっているようだ。メルクーアやクオンは埃を吸わないよう、口元をマスクで覆う。
「ちょっとだけ、試していいですか?」
クオンは仲間に了解をとってから、玄関脇にファイアスローワーを放つ。
煙を上げて玄関脇の壁が壊れたものの、引火はしないようだ。彼はそれを確認し、仲間へ先に行くよう促す。
迅速な解決を行うことで、依頼人は喜ぶかもしれない。
そう考えた一行は、4人ずつ二手に分かれて1、2階の捜索を同時に行うことにした。各自に希望を取りまとめたメルクーアが迅速に振り分け、メンバー達は二手に分かれていく。
そのまま1階の探索を始めたメンバー達。ミオレスカの提案もあり、死角を作らないように仲間同士で陣形を組み、慎重に奥へと歩いていく。
(うわー、ギシギシ言ってる……2階の人達、床が抜けないといいけど)
階下にまで聞こえる足音を聞き、フィーサは上を見上げる。
「ネズミ……かな?」
メルクーアが床を見る。何かが動き回った跡はあるが、天井や梁を見ていても、蜘蛛の糸らしきものが全く見られないのだ。つまり、1階には蜘蛛がいない可能性が極めて高い。
敵をある程度特定したものの、敵は天井から飛びかかってくる可能性すらある。その可能性を考慮しながら進むと、前方にリビングに通じる扉が。
前へ進み出た兵庫が軍隊時代の経験を生かし、中の様子を窺う。
ガサゴソ、ガソゴソ……。
いる。そう確信して仲間を下がらせた兵庫は扉を開き、銃を構えて全弾を発射する。
その後、仲間達が続いてリビングへと踏み込む。
「どうもー、お掃除に参りましたー」
フィーサがリビングへと呼びかける。そこには、1体……いや、キッチンから姿を現した1体合わせて2体のネズミ。銃弾は数発が命中していたようだ。
そして、人ほどの大きさの巨大ネズミが、外敵の接近を察して真っ赤な両目で睨み付けてきたのだった。
一方、2階に上がったメンバー達は、下のメンツ以上に注意して歩く。極力気配を殺して歩こうとするが、所々の床がギシギシと音を立ててしまうのだ。
「中マジボロ屋……こんな所、さっさと片付けておさらばだね」
中の状況に辟易としていた楓は両手を空けるべく、スカートのベルトにLEDライトを挟み込んでいた。
「どこにどの雑魔がいるのかは分かってないようですが……どちらも厄介なものを持っているようですからね……」
「いや……そうとも限りませんよ」
楓をクオンが否定する。天井には蜘蛛の巣がびっしり張られてある。……となると、2階は蜘蛛の住処ということか。
「蜘蛛とネズミは縄張り争いしてるんだっけ」
こちらのメンバーもある程度敵に当たりをつけ、探索を行う。罠の存在も懸念していた為、十分に警戒を行うべくライトで周囲を照らす。
多少暗いが、外からの光が僅かに差し込んでいる。ライトでカバーすれば十分だった為、バイオレットも壁の破壊は留まっていたようだ。
クオンが用意した間取り図によると、通路右手に2室の寝室。それに、左手側に大きな寝室が一部屋ある。小型から攻めたい一行は、右手側の寝室から調べることにした。
手前の寝室の扉を開く。そこにいたのは、通常種よりも1回り大きな蜘蛛……小型の蜘蛛型雑魔1体だけ。家具があまり残されていない為に物陰も敵はいないとすぐに分かったが、天井に張り付いているかもしれない。楓はそう考えて頭上を見上げるが、敵の姿は見られない。
敵の発見を確認した翡翠は魔導短伝話を取り出して、階下メンバーへと伝達を行う。
蜘蛛が飛びかかってきたのを見て、残りの面々は構えを取る。
「単独行動はないと踏んでいたのですが……」
クオンが苦い顔で敵の対処を行うが、楓、バイオレットの対処が速い。討伐に乗り出すバイオレットは眼帯を外し、楽しそうに笑いながら拳銃を発砲する。
メンバー達は蜘蛛の逃げ場をなくそうと、部屋の角へ追い込んでいく。
「逃すか……!」
大きく息を吸い込む楓。マテリアルを全身に巡らせた彼女は、鋭い一撃を蜘蛛へ放つ。真っ二つに割れた蜘蛛はその動きを止めたのである。
●害獣駆除!
ネズミ型雑魔と戦う階下メンバー。そんな中でフィーサの魔導短伝話が鳴る。
「あー、あー、こちらフィーサだよー、どうぞー」
「翡翠です。小型蜘蛛を1体退治しました」
戦いの手を止めて、フィーサは通話する。こちらが現在ネズミと交戦していることを告げると、彼はそれを察して通話を切った。
戦いの中では、細かい状況のやり取りは難しい。ならば、逸早くネズミどもを潰すべきだろう。
「逃げない習性なら、私達にはありがたいです」
ミオレスカが思う。向かってくる相手ならば、1体ずつ潰せばいい。まずは小物を狙うべく、彼女は拳銃を構えて『高加速射撃』を行う。
銃弾を浴びたネズミは刹那宙を舞うが、すぐさま着地して疾走する。
できる限り早く討伐を、そう考えるメルクーアが兵庫へとマテリアルを注入すると、彼の体に力が廻っていく。
兵庫はすらりと刀を抜いて銃弾を浴びたネズミを捉えると、刀身にマテリアルを込めていく。そして、刀の峰をネズミに叩きつけると、そいつは地面に這いつくばって動かなくなった。
その後もハンター達の攻勢は続く。フィーサが巨大ネズミを引きつける間、他のメンバーがもう1体を相手にしていた。ネズミとてやすやすとやられることはなく、伸びた爪でひっかいて来るが、ハンターに深手を負わせることができない。
アルケミストタクトをネズミへと差し向けたメルクーア。
「確実に仕留めるわよん、どか~ん!」
タクトの尖端から放たれる一条の光。それに体を貫通されたネズミが血を噴き出して床に転がった。
巨大ネズミを抑えるフィーサ。立体的な動きで敵を翻弄する。ハンター達にとって、雑魔はさほど脅威とはならぬ存在ではあるが、その巨大ネズミはなかなかに骨の折れる相手だった。牙から麻痺毒を注入され、体に痺れを覚えてフィーサの顔が引きつる。ほんの少しステップを誤っただけでも、敵はその隙を突いてくるのだ。
しかし、仲間達が他のネズミを始末してくれている。巨大ネズミに狙いを定めたミオレスカが弾丸にマテリアルを篭める。拳銃の外からでも漂う冷気を彼女は巨大鼠の顔面に浴びせかけた。
戦況は4対1に。ハンター達の攻撃に、ネズミは弱々しい鳴き声を上げ始める。
それでもしぶとくリビングを駆けるネズミのそばをフィーサが鞭で叩きつけると、一瞬、ネズミの動きが止まった。
その巨大ネズミ目がけ、兵庫は渾身の一太刀を振り下ろす!
完全に胴体を二つに切り裂かれた巨大ネズミは血飛沫を上げて崩れ去った。
ネズミ達を駆除したメンバー達。今度はミオレスカが2階メンバーへ魔導短伝話を掛けるのである。
プルル、プルル……。
2階でも、寝室の大部屋で巨大蜘蛛との交戦が始まろうとしていた。部屋に入る前、バイオレットがデリンジャーでの「デッドリーキッス」で先制して戦いに入っている。
「巨大蜘蛛を補足しました。今度は蜘蛛1体と本命の巨大蜘蛛1体です」
その前に、もう一つの寝室で蜘蛛1体を駆除していたメンバー達。
武器を肩に担いだバイオレットは本命の登場にかなり首を長くしていたようだ。
「どうせ取り壊すんだ、派手に壊したところで問題はないだろう?」
その時、寝室内を光が照らし出す。翡翠がハンディライトで部屋を照らし出したのだ。
光を感知してそこから逃げるようにかさかさと蠢く蜘蛛達。2組の8つの目がハンター達を狙い、鋭い針を突き出す。
ネズミと蜘蛛、楓はどちらの敵に出会ってもいいように、シミュレーションを行っていた。その為、彼女は迷いなく敵に対処を行っている。
「気持ち悪い……近寄るなッ」
仲間達の攻撃で動きが鈍った蜘蛛。楓がその日本刀を振り下ろすと、蜘蛛の胴が見事に寸断された。しばらくもぞもぞと足を動かしていたが、それもすぐに止まってしまう。
配下の絶命にも蜘蛛は怯む様子はない。その体躯に見合わない動きでハンターへ迫り、毒針を注入してくる。翡翠がそれを避けられずに食らってしまい、体に回った毒によって顔色が青ざめていく。
クオンは蜘蛛に向けてファイアスローワーを放射する。飛びあがって逃げようとする巨大蜘蛛だが、もろに炎を浴びていた。
翡翠も巨大蜘蛛に2度も毒を食らうまいと、立ち回りを気にしながらも、彼は魔術具を叩き付け、デリンジャーの一発をお見舞いする。
巨大蜘蛛のしぶとさは、階下の鼠以上だったかもしれない。強力なアゴがバイオレットを狙う。かぶりつかれた彼女は、なかなか倒れぬ相手に小賢しさすら感じていた。
(いっそ、燃やすか)
バイオレットは松明に火をつけて投げつけることも考える。しかし、この状況だと階下の仲間達にも被害が及びかねない。それはあくまで最後の手段と考えた彼女は、両手に余るほど大きい頭めがけて金砕棒を叩き付けた。
足が奇妙に動き始めたのは、その命が尽きかけているからなのか。炎を全て撃ち尽くしたクオンが、拳銃を発砲させる。巨大蜘蛛の瞳の1つにヒットし、体液が飛び散る。
「死ね」
女装を付けて飛びかかる楓。まさに電光石火の一撃が蜘蛛の頭を斬り伏せる。飛び散る体液が、布団のなくなったベッドを汚す。
敵がいなくなったことを確認したバイオレットは眼帯を戻し、退屈そうに欠伸をするのだった。
●害獣を退治して……
残っていた1階のネズミも、風呂で発見されて討伐された。くまなく捜索を行って全ての雑魔を駆除したメンバー達は、玄関から外へと出る。
ミオレスカが大きく背伸びをした。閉ざされた廃屋から出て、彼女は世界の明るさと広さを感じる。彼女はそんな世界が大好きなのだと改めて実感していた。
「……敵同士が協力せずに、各個撃破出来たのが今回は大きかったな」
兵庫は今回の戦いを振り返る。今回の敵は両種が連携して攻撃してくることはなかった。彼の言う通り、ハンター達はスムーズに対処できたことは間違いない。
「……屋内戦闘では銃と刀の連携が最適とは、自分で選択したといえ、多少口惜しくはあるな」
普段の主兵装が槍である兵庫は誰に言うでもなく、他愛のない愚痴を漏らす。バイオレットはそれを聞いていたようだが、反応することもなく退屈そうにしていた。
はぁと小さく可愛らしい息をついたのは翡翠だ。
「お疲れ様でした」
一仕事終えた彼女の笑顔はとても晴れやかで眩しい。
「なんか全身ホコリっぽい……早くシャワー浴びたいなー」
蜘蛛の巣や埃などが体に絡みついているのが、フィーサはかなり不快そうだ。
とはいえ、メルクーアはそれをあまり気にしていない様子。
「みんなで乾杯しない~? ほら、汚れた場所にいたから、お酒で中から消毒しましょ」
ただ飲みたいだけでしょと突っ込まれ、そのドワーフは豪快に笑う。お風呂に入るのは悲しいかな先になりそうと、フィーサは肩を落とすのである。
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 メルクーア(ka4005) ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/05/23 00:10:52 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/20 12:50:31 |