連続討伐!

マスター:秋風落葉

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/05/30 09:00
完成日
2015/06/06 03:57

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●依頼人、再び
 王都イルダーナのとあるハンターオフィスで。
 時間はまだ早朝だ。誰もいない施設の中で、カウンターにいる一人の受付嬢はあくびをかみころしていた。
 バタン!
 そんな彼女を一瞬で覚醒させるような音が響き、受付嬢は慌てて顔をそちらに向ける。
 そして、彼女は顔を大きくひきつらせた。
 入り口に立っていたのは一人の男。
 もうすぐしたら初老に達するか、といった風情であった。
 そして、彼は受付嬢がとある事情でよく知っている人物でもある。
 男はいそいそと掲示板へと近寄り、一枚の紙を勝手に貼り付ける。
 そこにでかでかと書かれていた文字は……。

【求む! 幻獣! 出来たら複数!!】

「あ、あ、あ、貴方はあの時の! ……っていうかなにやってるんですか!?」
 受付嬢は嫌な予感に怯えながらも、カウンターを抜けて男の側にやってきた。
 男は喜色満面で彼女の方を振り返る。
「おお、わしのことを覚えていてくれたのかね。お嬢さん」
「忘れませんよっ!! ……それで、これは何なんですか!?」
 受付嬢は男が貼り付けた紙をはがし、それをそのまま突きつける。
「いったいこれはどういう意味ですか!? まさか、また『あの肉』が欲しいとか言うんじゃないでしょうね!?」
「その通りだよ娘さん。そう! わしは幻獣が欲しい。いや、はっきり言うがヒュージスコーピオンの肉が欲しいのだ!」
「いやああああああああああああ!!」
 その名は聞きたくなかった、とばかりに受付嬢は耳をふさぐ。
 ヒュージスコーピオン。かつて、目の前の男――名をガードナーという――がこのハンターオフィスでハンターを募り、討伐した幻獣のことだ。その名の通り、巨大なサソリである。
 なお、彼がかつてヒュージスコーピオンの討伐依頼を出した理由は、自分がその肉を食べるためである。
 この受付嬢はサソリが大の苦手らしく、先日の依頼の時にも恐怖の眼差しでガードナーのことを見つめていた。
「……正直言って関わりたくないんですけど、仕事だし今私しかいないし、一応聞きますが、『複数』とはどういう意味です?」
「決まっておろう。一匹ではなく、複数倒してもらうのだ。ヒュージスコーピオンを」
「……そんなに大量の肉を手に入れてどうするつもりなんですか?」
 よくぞ聞いてくれた、と言わんばかりにガードナーはにやりと笑った。
「わしが以前ハンター達と共にヒュージスコーピオンを倒した時にな。そのサイズのせいもあり、やはり全ての肉を食べることは出来ず、一部の肉は置き去りにせざるを得なかった」
 老人は懐かしそうに語る。
「しかし、わしが後ろ髪を引かれながら荒野を去ろうとしたその時! 一人のハンターがわしにある物を手渡した。何だと思う?」
「……見当もつきませんが、なんだか嫌な予感がします」
「何を言うか。とてもすばらしいものだったぞ。何と、その娘さんはわしに、干し肉風に加工したサソリの肉をプレゼントしてくれたのだ!」
「いやあああああああああああああ!」
 受付嬢は再び絶叫した。しかし、ガードナーの口の動きは止まらない
「そう! その娘さんのおかげでわしは気付いたのだ! 肉は全て持ち帰り、干し肉にすればいいと!」
 ――なんということを! なんということをこの老人に教えてしまったのだ! そのハンターは!
 老人に知恵を与えた何者かを呪う受付嬢であったが、仕事は仕事である。気を取り直し、依頼の概要を尋ねた。
「……そ、それで、今回はヒュージごにょごにょ……を複数倒して欲しいと、そういうことですか」
「うむ。もちろん、解体作業と肉を適当な大きさに切ってもらう加工作業も依頼したい。それ用の道具はこちらで準備しよう」
「……うう、分かりました。ではそういった依頼を出しておきます……」
 ペンを走らせ、受付嬢は依頼書の作成に取り掛かる。
「ああ、そうそう。大量に肉が手に入ることを考え、今度は馬車を用意して行くことにした。肉や道具を積むためのものだから、人を乗せてやることはできんがな。御者はわしがやるからハンターの手をわずらわせることはあるまい」
 今回もハンター達に同行するつもりらしいガードナー。上機嫌の彼は、思い出したかのように受付嬢に一言付け加える。
「あんたにも土産を持ってきてやるぞ?」
「いりませんよっ!!」

リプレイ本文


「美味そうなサソリの肉ってのに興味が湧いて参加したが……こりゃ純粋に戦いも楽しませてもらえそうだ」
 依頼人のガードナーからヒュージスコーピオンについての話を聞いたエヴァンス・カルヴィ(ka0639)。討伐目標であるその幻獣は堅牢な外殻に覆われ、獲物を麻痺させる毒針を尻尾に持っているという。また、その巨体から繰り出される鋏も相当な威力だとのこと。
「研究というのはいつも狂気と紙一重。常識を疑うところから始めるもの。肉食、大変結構ではありませんか」
 と口にしているものの、自分で試食してみるつもりはあまり無いガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401)。その視線は、なぜか弟のレイ・T・ベッドフォード(ka2398)に向けられているようであった。
(巨大な蠍=巨大な肉……食卓と家計を潤すこと間違いなしです。姉上がいらっしゃったのが誤算ですが……何としても隠し通さなくては……)
 姉は蠍の尻尾に含まれる毒に対して興味があり、弟は蠍肉そのものに興味があった。
(いや、暗黒趣味の姉上の事。この肉も何かの餌食になるかもしれません……か……)
 レイはガーベラが席を外した時を見計らって依頼人に近づき、真顔で言った。
「……あの。首尾よく行きましたら、蠍の肉、多少分けていただけたりは……?」


「胡椒やら香辛料なんかもあったら風味ある干し肉になるんじゃねぇですかね」
 直射日光を避けるため、馬車の陰にかくれて移動している伊出 陸雄(ka0249)。御者をしているガードナーとサソリ肉について論じている。
「ヒュージスコーピオン……すぐに見つかればいいんだが」
 呟きながら双眼鏡を覗いているのは柊 真司(ka0705)。幸い、彼の目はやがて荒野をうろつく巨大な生き物を見つけ出す。即座に真司はガードナーと仲間にそれを伝える。
「ぐぇへへ……美味しそうなさそりさんです……」
 ミネット・ベアール(ka3282)は涎を垂らさんばかりの表情で……というか、実際にじゅるっ、と涎を拭っていた。
 ハンター達は即座に陣を組む。まず動いたのは囮役を務めるジェーン・ノーワース(ka2004)。
 大蠍の注意を引くため、手裏剣「八握剣」を投擲するジェーン。狙いは違わず、敵の頭へとまっすぐに飛ぶが、大蠍は器用にも鋏で手裏剣を払いのけた。とはいえ目論見通り、幻獣は彼女の方へと近寄ってくる。
 エヴァンスは馬に乗ったまま距離を詰め、グレートソード「テンペスト」を上段から叩き込む。やわな敵なら一撃で屠る威力を秘めたそれを受けても、ヒュージスコーピオンはまだ活動を止めない。
 陸雄もひるんだ敵に、アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」を斧形態にして振り下ろす。蠍の背に刃がぶちあたり、外殻を見事に破壊し肉を切り裂いた。
 巨大な蠍は鎌首をもたげた蛇のように尻尾を揺らし、陸雄に狙いを定めると毒針を振り下ろす。
「あぶねぇ、防御障壁展開!」
 咄嗟に真司は防御障壁を両者の間に張った。しかし、尾の威力はその援護すら凌駕した。レザーグローブに包まれた陸雄の腕に針が突き刺さり、彼は不快な液体が注がれるのを感じた。たちまち陸雄の体は自由を失い、土の上へと倒れ込む。
 アバルト・ジンツァー(ka0895)は弓胎弓の弦を引き、矢を放つ。高加速射撃のスキルにより加速した矢がヒュージスコーピオンを襲う。しかし偶然か否か、蠍が振った鋏に当たり、矢は威力をそがれた。
 その隙にエヴァンスは陸雄と敵の間に割って入り、囮になろうとする。ジェーンも気を引くため、手裏剣を敵の頭部を狙って放つ。今度は上手く突き刺さり、大蠍はのけぞった。
 ガーベラはキュアを陸雄に用いた。光が彼の体を包み込み、陸雄は動きを取り戻そうともう一度全身に力を込める。今度こそ彼は蠍の毒に打ち勝ち、起き上がるために地面に手をついた。
 蠍の背後に周り込んだレイの雷神斧が尾を狙い、横薙ぎに振るわれた。だが、蠍が素早く体の向きを変えたことで刃は空を切ってしまう。
「通るか分かりませんが……これで!」
 ミネットのレイターコールドショットが青い閃光となり、蠍の横腹へと突き刺さった。冷気が敵の全身を覆いつくそうと広がるも、幻獣はそれすら耐えてのける。巨体にふさわしいタフさであった。しかし、ハンター達の攻撃がかなりの効果をあげているのは間違いない。
 怒れるヒュージスコーピオンは動きながら両の鋏を滅茶苦茶に振り回し、目の前の敵を狙う。巻き込まれたのはエヴァンスとジェーン。エヴァンスは脛のあたりを強打されたものの、まだまだ余裕のありそうな顔であった。ジェーンは華麗なステップで避け、事なきを得る。
 しかし、蠍の反撃もこれまで。ハンター達の猛攻により、やがて蠍は地に伏し、その動きを止めたのであった。


 戦いが終わり、ガーベラは仲間達の中心でヒーリングスフィアを使う。柔らかい光が仲間達を包み、彼らの傷と疲労を癒していく。陸雄はそれに加え、マテリアルヒーリングを自身に二回用いた。それでもまだ毒針によって付けられた傷は残っているのだから、どれほどの威力だったかが窺えるというものだ。
 早速ガードナーの指示の下、解体作業に取り掛かるハンター達。
「力仕事なら任せておくんなせぃ」
 斧で殻を割る陸雄。
「……この臭いをかぎつけて、別の蠍が寄ってくるかもしれない。余分な被害を出さない為にもここは速やかに解体しておくべきだな」
 ガードナーから解体用の道具を借りたアバルトは手早く作業に取り掛かる。
 その隣で急かされたかのように斧を振るうのはレイ。
「急ぎましょう。蠍が逃げるかもしれません」
 早くも二体目の敵と戦うことを思い描いているらしいレイ。
 ――まだだ。まだ足りない。
 そう心中で呟きながら彼は斧をひたすらに振り下ろす。
「おぉ~! これはいいお肉です! たんぱく質の希少なこの荒野では高級食材かもしれませんね!」
 ミネットは殻に包まれた身を目にし、歓声をあげた。つまみ食いしようかと考えたが、怒られそうなのでこの場ではやめておいた。
 ガーベラは蠍の尻尾の部分に興味津々であり、毒腺だけでも分けてもらえないないかとガードナーに持ちかけていた。彼は快く承諾する。
 彼女は尻尾の麻痺毒を薬に転用し、解毒薬に出来ないかと考えたのだ。
「何も作れなくても、刃や鏃に塗れば使えるわ」
 ガーベラは肉の解体に皆が勤しむなか、一人、尻尾の分析に熱をあげていた。彼女の分は、弟のレイが二人分働くということで決着したらしい。

 作業の合間の小休止中。
「うんまぃ干し肉が出来ると良いでさぁね」
「おう! わしもまだまだ研究段階だがな、必ずいいものに仕上げてみせる!」
 持ち込んだミネラルウォーターで水分補給を図る陸雄。そこにエヴァンスもやって来た。
「俺はまだ一般的な肉しか扱ったことがなくてよ、是非ともサソリ肉のお勧めの調理法を教えてくれねぇか?」
「良かろう! あとでわしの手料理を振舞おう! 先日とあるハンター達に教えてもらったものだがな!」
 サソリ肉の料理に興味津々のエヴァンス。それに上機嫌で答えるガードナー。
 ミネットは聞こえてきたその言葉にぴくりと耳を動かし、嬉々として解体作業を再開したのであった。


 解体作業もひと段落し、切り分けた肉を馬車へと積み終わったハンター達。
 真司は持ち込んだ炭酸飲料で喉を潤した。
「さてと、一息ついたところで討伐再開といくか」
 そこに馬で哨戒に出ていたミネットが短弓「テムジン」を手に戻ってくる。
「見つけました。3時方向です」
 涎を拭いながらの彼女の報告。
 言葉の通り、その方角から一体の蠍がこちらへと向かってきているようだ。矢で注意を引き、誘導してきたらしい。
 ハンター達は各々武器を取る。二度目の狩りの時間だ。

「まずは脚を破壊して身動きを取れなくさせて貰う」
 真司は水中用アサルトライフルP5のトリガーを引いた。先の戦いで大蠍が巨体に似合わず動き回ることは分かっている。脚の一本に命中するものの、敵は動きを止めない。先ほどと同じように、囮役を担当するジェーンは巧みに手裏剣を投げた。陸雄も外殻の隙間を狙って斧を振り回す。
 ハンター達の猛攻に蠍はよろめき、目に怒りを灯す。そして正面に立つ敵へと鋏を思い切り叩きつけた。狙われたのはジェーン。ジェーンの身のこなしならば、大抵の攻撃は回避できるはずであった。しかし、怒りに燃える大蠍の攻撃は彼女の俊敏さを凌駕した速度で振るわれた。真司の防御障壁が光の壁を生み出したものの、胴体を強打された彼女はたまらず吹き飛ぶ。
 レイは即座に蠍の正面に回りこみ、頭部へと雷神斧を一閃させた。ガーベラも倒れたジェーンの前に立ち、盾を構える。
 アバルトは高加速射撃を行い、今度こそ彼の矢は綺麗に蠍の横腹へと突き刺さる。そこにエヴァンスのグレートソードが振るわれ、二体目の巨大蠍にとどめをさした。


 ガーベラがヒーリングスフィアを仲間達へと使用する。先ほど大きな傷を負ったジェーンはマテリアルヒーリングで己の傷を癒す。そして再び解体作業に従事するハンター達。さすがに慣れてきたこともあり、彼らは初回よりも随分と短い時間で作業を終えた。
「巨大サソリも殻をむいちまえば肉の塊、と」
 ガードナーから聞いた殻剥きのコツを自分のものとしつつある陸雄。肉好きだという彼はそんなことを口にしながら最後の肉を切り分けた。
 小休止の後、ジェーンとレイが同時に敵の姿を見つけた。しかし、二人が向いている方角は全く逆であった。つまり、二体発見してしまった訳だ。間の悪いことに、その二体は彼らの方へと向かってきている。
「私が馬で引っ張って時間を稼ぎます」
 そう言うとレイはゴースロンに跨り、自分が見つけた蠍の方へと駆け出した。ハンター達は残る一体を迎え撃つために武器を構えた。
 三体目の討伐である。
 ハンター達はいくらかの手傷は負ったものの、恐ろしい毒針の餌食となる者はおらず、何とか巨大な蠍を打ち倒す。そこに、馬に乗ったレイが戻ってきた。その後ろからはもちろん先ほどの蠍が追いかけてきている。
 ガーベラのヒーリングスフィアによる癒しを受けた後、ハンター達はすぐに四回目の戦いへと身を投じた。


「ふえぇっ……流石に疲れが……んでも! この後美味しい食事が待ってます! へへっ……うひひっ……」
 巨大蠍を四度討伐し、解体作業を終えたハンター達。ミネットの言葉通り、さすがに彼らの顔にも疲れが見えてきているようである。しかし、彼女は疲労をねじ伏せるほどの野生的な捕食者の表情を浮かべていた。
「お、おう、そうだな」
 彼女の形相には依頼人であるガードナーでさえもやや引いていた。彼は馬車の中を確認し、呟く。
「さすがに、そろそろ一杯になってきたか……よし、ここまでにするか」
 ガードナーはハンター達の方を振り向いた。
「なんというか、本当にありがとうな! まさか、あの強敵のヒュージスコーピオンを四体も倒してくれるとは! これで干し肉作りに挑戦できそうだ」
 ガードナーは照れながらも頭を下げる。
「……自分もこの世界の蠍肉の味に興味を覚えるな」
 馬車の中の大量の肉を見て、アバルトがぽつりと呟く。
「おお、では、もう少し安全なところに移動して、そこでわしが料理を作ろう。道具も持ってきておる」
 ガードナーの言葉に喜びの声を上げる者、そうで無い者、それぞれだ。ともあれ、長居は無用である。速やかに移動を開始するハンター達。
 街道へともうすぐたどり着こうかというその時、ジェーンが仲間に注意を喚起し、一点の方角を指差した。そこにいたのはもちろんヒュージスコーピオン。お腹を空かせているのか、まっすぐにこちらへと向かってきている。
 エヴァンスにヒュージスコーピオンの味の魅力を語っていたガードナーは、そちらに顔を向けて敵の姿を確認する。このまま逃げるのは難しそうだ。
「……すまんが、もう一度だけ力を貸してくれんか?」
 ハンター達は快く頷き、それぞれの得物を持って五体目の大蠍との戦いを開始した。
「じっくり料理してやっから、今はおとなしく俺らに切り刻まれろやぁ!」
 エヴァンスの剣が唸る。ミネットの弓から冷気を纏う矢が放たれ、蠍の脚を捉えた。幻獣は毒針の尾をジェーンに向かって振り下ろしたが、彼女は妖精のように宙を舞い、それを回避した。ジェーンのプリーツスカートがふわりと踊る。
 陸雄も斧を叩きつけ、巨大蠍をひるませる。もう一度尻尾を見舞おうとした蠍だったが、自分の武器が動かせなくなっていることに気付く。いつの間にか、ジェーンの特殊強化鋼製ワイヤーウィップが尻尾を絡みとっていたのだ。
「……頂きます!」
 食卓的な意味で叫ばれた言葉とともに、レイの雷神斧が尻尾を見事に裁断する。最大の武器を失った巨大な蠍は、ほとんど反撃することも出来ずにハンター達の餌食となったのである。


 ハンター達は手早く解体作業を行う。ガードナーも料理の道具を馬車より降ろし、さっそく下準備に取り掛かった。
「……蠍と言えば、サバイバル訓練時代に口にした事があるが。考えてみれば、あのサイズならば可食部分は十分に存在するか。地上にいるエビと考えれば、げてものでもないのかもな」
 作業も終わり、料理中のガードナーを見てそう口にしたのはアバルトだ。
「最後まで頑張れたのは皆さんと……ハングリー精神のお陰ですね! とりあえず早く食べましょうよ!!」
 ハングリー精神が空腹という意味ならまさにその言葉通りだったミネット。今も出来上がりつつある料理を捕食者の眼差しで見つめている。
 やがてガードナーの手によるサソリ肉料理がハンター達に配られる。
「さあ食べてくれ! この前ハンターに教えてもらった調理法でな! いわゆるスリッパーというやつだ!」
 正しくはフリッターなのだが、彼は間違って覚えていた。しかし、幸い料理方法はちゃんと覚えていた。
 皆、それぞれの表情を顔に貼り付けて、ある者は恐る恐る、ある者は豪快にかぶりついた。
 ガーベラも一切れだけは口にしたが、それきり興味を失ったのか、尻尾の研究へと戻る。レイは、こっそりサソリ肉を分けてもらう約束を取り付けていた。
 ハンター達はサソリ肉料理におおむね満足しているようであった。とはいえ、一人だけ浮かない表情をしたまま料理に手をつけていない者がいる。リアルブルーの出身であるジェーンだ。
「私たちの場合、退治依頼とかでそういうのと接する機会も多いし、虫嫌い見たくない、とかそういうのは、無いけれど。その、ほら、日本ではあんまり、こういう習慣とか無い訳よね。だから君たちがそれを食べるのは自由だし、否定はしないけれど、私は遠慮しておくわ。……美味しい? いえ、そういう問題でも、あまり無くて……うん……」

依頼結果

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MVP一覧

  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワースka2004

重体一覧

参加者一覧


  • 伊出 陸雄(ka0249
    人間(蒼)|26才|男性|闘狩人
  • 赤髪の勇士
    エヴァンス・カルヴィ(ka0639
    人間(紅)|29才|男性|闘狩人
  • オールラウンドプレイヤー
    柊 真司(ka0705
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 孤高の射撃手
    アバルト・ジンツァー(ka0895
    人間(蒼)|28才|男性|猟撃士
  • グリム・リーパー
    ジェーン・ノーワース(ka2004
    人間(蒼)|15才|女性|疾影士
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士

  • ガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401
    人間(紅)|28才|女性|聖導士
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 連続狩猟:巨大蠍
レイ・T・ベッドフォード(ka2398
人間(リアルブルー)|26才|男性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/05/30 07:57:28
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/05/28 00:37:16