ゲスト
(ka0000)
葬送行列
マスター:後醍醐

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/11 19:00
- 完成日
- 2014/07/16 23:06
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
歪虚と人類の最前線――辺境。
ハンター達の活躍により、チュー族の一団が無事、怪我人もなくブルゲド族の居留地へと到着した。
保護されたチュー族の一団は疲労困憊から回復し、日常生活を行えるところまで体力は回復した。
場所はブルゲド族の族長のゲル。
「チュー族、族長第四婦人の子。アラウ・チューといいます」
座しているエリナに同じように座して頭を下げるアラウ。
族長は相手の地位的に会うまでもないとの判断で妻であるエリナが対応していた。
「……大変だったようね」
「……はい」
エリナはアラウに労る言葉をかけ、暫くの間、沈黙が続く。
「庇護の件よね。私達に頼みたいのよね」
「……はい。……お願い致したいのですが……」
庇護を求めてやって来た――それがアラウ達チュー族一団が荒野を進んできた理由だ。
もし、庇護されないとなると――荒野を流離う事になる。
それだけは絶対に避けなければならない事だ。
「そうね……」
瞑目して考えるエリナ――ブルゲド族といえ、実のところ余裕はあまりない。
しかし、あしらう事も出来ない――それは不幸な結果を招くだけだから。
「どうか……どうかお願いします」
アラウは祈るように、涙を流して頭を下げ懇願する。
すがりつくほどのアラウの懇願――しばしの間、時間が過ぎる。
「残ったのは……30人ほどよね」
「……はい。ハンターの方のお陰でそれ以上の犠牲者を出さずに済みました」
羊型ヴォイドの襲撃を受けた時点でそこまで減っていたが、それ以降の犠牲者は出なかった。
「貴方達は、戦士の一族よね。……歪虚との戦い、狩りの手伝い、肉体労働とかお願いしても大丈夫?」
「いさせて頂けるなら……させていただきます」
ただ庇護されるだけではない――その為の対価としての条件。
エリナとしても戦力としての戦士、収入と食料確保の為の狩りの人手は必要であった。
人が増えると負担が増える。だが、その代わりに働けば多少はましになるはずだ。
「わかったわ。貴方達チュー族は我々、ブルゲド族が庇護します。……あと、何かあるのかしら?」
庇護が受けられる事にホッとした様子だったアラウだったが、すぐに影が落ちる表情に変わったのをエリナが気がついた。
「……後、シンボルを取りに、部族の皆の埋葬をしたいのですが……」
そう、奇襲を受けたせいでシンボルを持ち出すことが出来ず、襲われて死んだ部族の埋葬もできていない状況だ。
「シンボルは我々、部族とって重要なものよね。取りに行くのを手伝うわ」
精神的支柱であるシンボルは部族にとっても重要なもの。エリナは快諾し手伝うと約束した。
「あ、ありがとうございます!」
「いいのよ……。それよりもシンボルのある居留地を調べないとね」
涙を流し頭を土に着くほど下げて感謝するアラウ。
「リーナ! リーナ!」
「お母さん、どうしたの? ……!?」
アラウとエリナの様子を見てビックリするリーナ。
「リーナ、実は……」
エリナは事情をリーナに説明する――チュー族の元居留地を調べてきてほしいと。
「わかった。……大丈夫?」
「あ、はい……」
アラウとリーナの二人はゲルを出る。
●
「じゃあ、案内お願いっ」
「あ、はい。お願いします」
アラウの案内でチュー族の旧居留地へと向かう二人。
アラウはああ言い出したものの、居留地へ戻るのは気分的に重かった。
しかし、遺体をそのままにしたくはなかったし、シンボルは自分達に重要なものでもあった。
だからアラウは残された者の責任として居留地へ向かうのだった。
リーナの後ろに少し背の低いアラウという形で一頭の馬に二人が乗った。
リーナに比べて背が低く痩せているために二人乗っても大丈夫だった。
馬に乗り居留地を出た二人。
「はいやっ!」
馬を駆けるリーナとアラウは風になって荒野を進む。
しばらく荒野を二人を乗せた馬が進んでいくと……。
「あそこです」
アラウが指を指す先――朽ちたゲルの残骸が痛々しく残っていた。
「……!?」
「え……あぁ……!?」
そして、その先――見えたモノは。
ゾンビとなったチュー族の人間だったものの群れだった。
ボロ布となった衣服から彼らがチュー族の人間であったことが確かめられた。
まだゾンビたちはアラウ達の事には気がついてないようだった。
「……一旦、戻ろう」
「……はい」
ショックを隠し切れない、二人。
この事実を知らせるために急いで戻る必要があった。
日が経てば経つほどにゾンビが増える可能性があるからだ。
失意と悲しみを胸にブルゲド族の居留地へと戻る。
●
「……助けなきゃ。あのままじゃ」
「お母さんにお願いしてハンターの人達に助けて貰おう」
ブルゲド族の居留地へと戻った二人はどうすべきか考える。
リーナはエリナの所へ相談しに向かった。
まだ、チュー族の人間では戦闘は難しい、ブルゲド族の他の人間も今回の件は関わりたくないだろう。
自分達との関わりがないというのが関わりたくない理由として大きい。
そういう意味で部族の人間を頼るのは難しい。
だから、こういった時はハンターに頼るのが一番だとリーナは考えていた。
アラウは他のチュー族の人間に庇護に入ったことと居留地の現状を伝えに行った。
良い知らせは庇護に入ったこと。悪い知らせは歪虚に殺され、ゾンビ化してしまった事。
アラウは責任をもって伝えなけなければと思っていた。
二人は一旦別れた。
「リーナさん。シンボルの回収を私にさせてほしいです」
「私じゃ……アラウさんの所のシンボルの扱い方とかしらないしね……うん、わかった」
説明の終えたアラウがエリナの用事が終わるのを待っていたリーナに嘆願してきた。
他部族のシンボルとなると扱いがわからない事もあるのでアラウも同行することになった。
「大オババ様から浄化に関する書物を借りておくわ。それとこれ」
エリナの所へやって来たリーナ。
リーナの報告の受けたエリナはすぐに必要な物の手配を始めた。
依頼の概要を書いた羊皮紙をエリナから受け取ったリーナ。
シンボルはチュー族の人間が回収。ハンターはゾンビの討伐。そして居留地の浄化。
すべきことは沢山ある――一つ一つを確実にこなしていく必要がある。
まずはハンターズソサエティに依頼を出し、浄化の方法が書かれた書物と道具を持って居留地へ向かう。
シンボルの回収の為にアラウも連れて行く。
アラウ曰く、シンボルは一抱えあるサイズのトーテムで居留地中心部の族長のゲルの近くに祀ってあるという。
焦る気持ちを抑えてリーナは馬を走らせてハンターズソサエティの支部へと向かった。
こうして、依頼が発行された。
歪虚と人類の最前線――辺境。
ハンター達の活躍により、チュー族の一団が無事、怪我人もなくブルゲド族の居留地へと到着した。
保護されたチュー族の一団は疲労困憊から回復し、日常生活を行えるところまで体力は回復した。
場所はブルゲド族の族長のゲル。
「チュー族、族長第四婦人の子。アラウ・チューといいます」
座しているエリナに同じように座して頭を下げるアラウ。
族長は相手の地位的に会うまでもないとの判断で妻であるエリナが対応していた。
「……大変だったようね」
「……はい」
エリナはアラウに労る言葉をかけ、暫くの間、沈黙が続く。
「庇護の件よね。私達に頼みたいのよね」
「……はい。……お願い致したいのですが……」
庇護を求めてやって来た――それがアラウ達チュー族一団が荒野を進んできた理由だ。
もし、庇護されないとなると――荒野を流離う事になる。
それだけは絶対に避けなければならない事だ。
「そうね……」
瞑目して考えるエリナ――ブルゲド族といえ、実のところ余裕はあまりない。
しかし、あしらう事も出来ない――それは不幸な結果を招くだけだから。
「どうか……どうかお願いします」
アラウは祈るように、涙を流して頭を下げ懇願する。
すがりつくほどのアラウの懇願――しばしの間、時間が過ぎる。
「残ったのは……30人ほどよね」
「……はい。ハンターの方のお陰でそれ以上の犠牲者を出さずに済みました」
羊型ヴォイドの襲撃を受けた時点でそこまで減っていたが、それ以降の犠牲者は出なかった。
「貴方達は、戦士の一族よね。……歪虚との戦い、狩りの手伝い、肉体労働とかお願いしても大丈夫?」
「いさせて頂けるなら……させていただきます」
ただ庇護されるだけではない――その為の対価としての条件。
エリナとしても戦力としての戦士、収入と食料確保の為の狩りの人手は必要であった。
人が増えると負担が増える。だが、その代わりに働けば多少はましになるはずだ。
「わかったわ。貴方達チュー族は我々、ブルゲド族が庇護します。……あと、何かあるのかしら?」
庇護が受けられる事にホッとした様子だったアラウだったが、すぐに影が落ちる表情に変わったのをエリナが気がついた。
「……後、シンボルを取りに、部族の皆の埋葬をしたいのですが……」
そう、奇襲を受けたせいでシンボルを持ち出すことが出来ず、襲われて死んだ部族の埋葬もできていない状況だ。
「シンボルは我々、部族とって重要なものよね。取りに行くのを手伝うわ」
精神的支柱であるシンボルは部族にとっても重要なもの。エリナは快諾し手伝うと約束した。
「あ、ありがとうございます!」
「いいのよ……。それよりもシンボルのある居留地を調べないとね」
涙を流し頭を土に着くほど下げて感謝するアラウ。
「リーナ! リーナ!」
「お母さん、どうしたの? ……!?」
アラウとエリナの様子を見てビックリするリーナ。
「リーナ、実は……」
エリナは事情をリーナに説明する――チュー族の元居留地を調べてきてほしいと。
「わかった。……大丈夫?」
「あ、はい……」
アラウとリーナの二人はゲルを出る。
●
「じゃあ、案内お願いっ」
「あ、はい。お願いします」
アラウの案内でチュー族の旧居留地へと向かう二人。
アラウはああ言い出したものの、居留地へ戻るのは気分的に重かった。
しかし、遺体をそのままにしたくはなかったし、シンボルは自分達に重要なものでもあった。
だからアラウは残された者の責任として居留地へ向かうのだった。
リーナの後ろに少し背の低いアラウという形で一頭の馬に二人が乗った。
リーナに比べて背が低く痩せているために二人乗っても大丈夫だった。
馬に乗り居留地を出た二人。
「はいやっ!」
馬を駆けるリーナとアラウは風になって荒野を進む。
しばらく荒野を二人を乗せた馬が進んでいくと……。
「あそこです」
アラウが指を指す先――朽ちたゲルの残骸が痛々しく残っていた。
「……!?」
「え……あぁ……!?」
そして、その先――見えたモノは。
ゾンビとなったチュー族の人間だったものの群れだった。
ボロ布となった衣服から彼らがチュー族の人間であったことが確かめられた。
まだゾンビたちはアラウ達の事には気がついてないようだった。
「……一旦、戻ろう」
「……はい」
ショックを隠し切れない、二人。
この事実を知らせるために急いで戻る必要があった。
日が経てば経つほどにゾンビが増える可能性があるからだ。
失意と悲しみを胸にブルゲド族の居留地へと戻る。
●
「……助けなきゃ。あのままじゃ」
「お母さんにお願いしてハンターの人達に助けて貰おう」
ブルゲド族の居留地へと戻った二人はどうすべきか考える。
リーナはエリナの所へ相談しに向かった。
まだ、チュー族の人間では戦闘は難しい、ブルゲド族の他の人間も今回の件は関わりたくないだろう。
自分達との関わりがないというのが関わりたくない理由として大きい。
そういう意味で部族の人間を頼るのは難しい。
だから、こういった時はハンターに頼るのが一番だとリーナは考えていた。
アラウは他のチュー族の人間に庇護に入ったことと居留地の現状を伝えに行った。
良い知らせは庇護に入ったこと。悪い知らせは歪虚に殺され、ゾンビ化してしまった事。
アラウは責任をもって伝えなけなければと思っていた。
二人は一旦別れた。
「リーナさん。シンボルの回収を私にさせてほしいです」
「私じゃ……アラウさんの所のシンボルの扱い方とかしらないしね……うん、わかった」
説明の終えたアラウがエリナの用事が終わるのを待っていたリーナに嘆願してきた。
他部族のシンボルとなると扱いがわからない事もあるのでアラウも同行することになった。
「大オババ様から浄化に関する書物を借りておくわ。それとこれ」
エリナの所へやって来たリーナ。
リーナの報告の受けたエリナはすぐに必要な物の手配を始めた。
依頼の概要を書いた羊皮紙をエリナから受け取ったリーナ。
シンボルはチュー族の人間が回収。ハンターはゾンビの討伐。そして居留地の浄化。
すべきことは沢山ある――一つ一つを確実にこなしていく必要がある。
まずはハンターズソサエティに依頼を出し、浄化の方法が書かれた書物と道具を持って居留地へ向かう。
シンボルの回収の為にアラウも連れて行く。
アラウ曰く、シンボルは一抱えあるサイズのトーテムで居留地中心部の族長のゲルの近くに祀ってあるという。
焦る気持ちを抑えてリーナは馬を走らせてハンターズソサエティの支部へと向かった。
こうして、依頼が発行された。
リプレイ本文
●チュー族旧居留地にて
依頼を受けたハンター達とリーナとアラウはチュー族の旧居留地の近くへ到着した。
「あー、テステス」
(ド田舎の辺境から都会のリゼリオに出られたのにまた辺境とかマジ萎えるわ……)
魔導短伝話のテストをしながらエハウィイ・スゥ(ka0006)は少し残念な気持ちだ。
「二人共、慌てず冷静にね」
「はい」
「はい……」
心配したエハウィイはリーナとアラウに慌てず冷静に、と声を掛けていた。
彼女達は覚悟はできている様で問題は無さそうだった。
(……てかリーナのその胸反則だろ、くそぅ)
「うむ、聞こえておるぞ」
エハウィイとの魔導短伝話のテストしていたディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)。
(死者を弔うのは大王でなくとも大事な事だ)
ディアドラは世界が歪虚の侵攻により荒廃している今の状況を憂い、自身の考えのもと今回の依頼に参加していた。
「この悲しみからでも希望を……!」
優しい武人気質な守原 有希弥(ka0562)は想う――例えこの悲しみのなかからでも希望を見いだせれば、と。
だから、守原は逸らすことなく前を見据えて依頼へと臨んだ。
「……これでいいかしらね」
宇都宮 祥子(ka1678)は事前に石を集めている。
祥子は辺境に人々の苦境を知らない――故に見て、聞いて知らなければと思っていた。
「クリムゾンウェストに来たとはいっても、基本的に私達日本人って故郷を失う経験ってしたことがないの。それは幸いなことではあるけど、民族として経験がないから辺境の人々の気持ちを理解するには時間がかかる」
「正直ですね……そして、羨ましい」
正直な祥子の言葉に正直に返すアラウ。
「贅沢な悩みかもしれない。けど、あなた達の事をもっと理解したい気持ちはわかって欲しい」
「はい」
理解したい――という人間を拒絶することもないだろう、と思い祥子の言葉に答えるアラウ。
祥子は辺境での出来事をこの依頼で一部ではあるが知るだろう。
「リーナちゃんの依頼だから、すっとんで着たわよぉ~♪ しかも、今回はルナちゃんも一緒だしぃ~心強いわ! 頑張ろうね」
元気な声でリーナとアラウの二人にやって来たのは松岡 奈加(ka0988)ともう一人だ。
(アラウちゃんは心配……最後は看取ってあげて欲しいけど、その過程は見せたくないな……)
アラウを気遣う気持ち、そして葛藤が奈加の中でおこる。
「今回は奈加さんが一緒なら心強いです。頑張りましょうね!」
奈加の言葉に答えたのは隣にいたルナ・クリストファー(ka2140)。
ルナは奈加とは友人で同行して参加してきた。
(もう戦いは避けようもないですね。アラウさんには、なるべくゾンビ達を倒す瞬間を見せたくありませんが……)
(私の信条『冷静かつ的確に状況を見極め、臨機応変に判断して行動すべし』)
(それは情を切り捨てることと、必ずしも同じではありません……だから)
「できるだけ素早くゾンビ達を全滅させ……かつての同族達が倒れる瞬間を、アラウさんが見なくても済むようにしたいですね」
「全力で手助けさせてもらう」
オイマト族男性と帝国女性の混血の故に部族にとってのシンボルの重要性を知っているノート(ka2372)は全力で依頼にあたることを心で誓う。
ノートの目標は『聖地奪還』、その為に己を鍛えるためにも辺境の為にも依頼へと参加した。
「悲しい思いを断ち切る為に」
(お兄ちゃんがゾンビになっていたら、私は悲しいし悔しい)
栂牟礼 千秋(ka0989)は今回の出来事を自分に照らし合わせ、想う。
だからこそ、悲しい思いが連鎖するのを断ち切るためにも千秋は参加したのだった。
集まったハンター達は打ち合わせを始めて班分けする事となった。
敵を誘き出す誘導班にエハウィイ・守原・祥子の3名。
誘引した敵を攻撃する迎撃班はディアドラ・奈加・千秋・ルナ・ノートの5名。
それぞれが役割を果たすべく動き出した。
●対ゾンビ
誘導班が迎撃班の展開を待って行動を開始。
ゾンビ達は旧居留地の入り口付近でゆらゆらと立っている。
10体近くゾンビがエハウィイ達を見つけるとゆっくりとこちらへと接近してきた。
「数だけは多いなぁ」
エハウィイはホーリーライトを撃ち出すと、ゾンビの右腕が腐敗の為に千切れる。
攻撃を受けて何体かは足早にエハウィイへ近付こうとしていた。
「此方に誘導です」
守原は命中、外れを考えずに弓を使って誘導された敵が向かって来るようだ。
「銃を使うのは簡単だけれども……」
祥子は事前に集めていた石を投げつける。
石ということもあり、ダメージを与えることはないが気をひくことに成功。
敵がゾロゾロと誘導されてそれぞれのハンターへと移動している。
「誘引に成功したよ」
エハウィイはディアドラに魔導短伝話を使って連絡した。
誘導班は迎撃班のいるところまで敵を引きつけた。
突然、銃声とともに胴体が吹き飛んで倒されるゾンビ。
猟銃で伏撃ちをしていた千秋は射程距離を生かして次々と撃っていく。
敵が他のハンター達の射的距離へと入る。
「タゲ合わせていけば効率良いよね~♪」
奈加が放つホーリーライトが敵の頭部を吹き飛ばすが、そのまま立っていた。
「全部で二十四発までなら……撃てます」
ルナがマジックアローを放つ――スキルはマジックアローだけなので使える回数が多い。
立っていたゾンビの胴体をルナのマジックアローが吹き飛ばして倒した。
「ふわぁ~ルナちゃんの魔法すごーい♪」
ルナの攻撃を見ていた奈加が感心したように声を上げる。
そうしているうちに前衛のハンター達とゾンビが接敵。
「死者を弄ぶのは許しがたい行為であると言える! 大王の名の元に現世への迷いを断ち切ってくれようぞ!」
ディアドラはエストックを構えてゾンビの脚や腕を突いて攻撃をすると腐って脆くなった為、呆気無く千切れた。
「持久戦を念頭に臨むか」
(同時に相手にするゾンビが多いと危険か……)
ノートは後衛のスキル回数を確認しながら攻撃に移る。
ツヴァイハンダー――2mもある巨大な両手剣で叩き切る事により敵は衝撃で吹き飛んでいく。
程なくして、最初に誘引した10体近い敵が全滅した。
一方、誘導班は旧居留地の入り口にいた敵が全滅した為に先へ進む。
幾つものゲルや朽ちたのが雑然と並んで建っている為、見通しが悪い。
「……ホラーはあんま得意じゃないんだけどなぁ」
エハウィイはホラーの話を思い出してごちた。
「中心のシンボルがある族長のゲルへ敵が来ないように誘導したいです」
守原はエハウィイと祥子にシンボルの安全なルートを提案した。
その結果、誘導班は時計回りに警戒しながら進む事になったが――。
「敵がいたらお願いします」
守原はゲルの入り口を警戒して開け、エハウィイと祥子はその横で何時でも攻撃できるように構えた。
幸いにゾンビはいなかったので印をつけて次のゲルへ移動。
3人は次のゲルへ進もうとすると先のゲルからゾンビがゆっくり出て来る。
出てきたゾンビはこちらに気がついたようだ。
その時、3人より先の道――ゲルから出たゾンビの後方にある角からも敵が数体、出てきた。
それぞれのゾンビがこちらへとゆっくり近づいてきている。
3人は後方を警戒して後退しながら敵を誘導。
「少し多いわね……」
祥子は強弾とエイミングを使い、アサルトライフルでゾンビを攻撃。
ゾンビへ殺到するアサルトライフルの弾丸は銃撃音と共に敵を粉砕した。
足止めのはずだったが、威力が高かった為に倒すまでに至った様だ。
このまま戦闘を継続すれば包囲される危険性もあったので、3人は迎撃班まで誘導する事にした。
迎撃班まで誘導を終えると急いで旧居留地へと向かう。
戻った誘導班は安全を確認したゲルを安全確保の為に崩してから先へと進んだ。
進んだ先には前の誘引の為か、いなかったゾンビ達がいた。
「早いところ片付けなきゃね」
ホーリライトを地面に撃ち込んで気付かせるエハウィイ。
それに気がついたのか、外やゲルから出てきたゾンビが3人へ向かってくる。
ゲルを崩して作った撤退路から後退してそれぞれが誘導した。
こうして、外周部を時計回りに移動して敵を誘導しながら中心を目指す。
一方、迎撃班。
誘引されてきたゾンビに対して攻撃を行っているハンター達。
先程の迎撃と同じ様に進んでいたが――。
「危ない!」
ルナのマジックアローが光る矢となり、前衛を抜けて奈加を狙ったゾンビへと向かう。
「行かせん」
ルナが攻撃したゾンビへノートの巨大な両手剣が振り下ろされると両断して倒された。
「数が多いだけに気をつけなければな」
ディアドラは突破されない為にも敵の脚を重点的に狙うように切り替えて攻撃をする。
誘導班によって次々と引きつけられてくる敵。
5人は誘導班の元へ行って戦闘をしたい気持ちもあったが、迎撃班の後方ではリーナ達が儀式の準備を行っている為に出来なかった。
二人は儀式の準備しながらも目の前で起きている事に目を逸らさずに見ていた――それが彼女達の覚悟なのだから。
迎撃班は次々と来る敵に対して斬ったり撃ったりして倒していく。
リロードの必要がない前衛が奮戦していた。
大剣で敵を切り伏せるノート、確実に敵の脚を狙って移動不能にさせるディアドラ。
「今回は――」
「うむ、わかった」
ディアドラとエハウィイは魔導短伝話で敵の捜索の状況と誘導する敵の数の情報を連絡しあっていた。
●残された者達のつとめ
誘導班と迎撃班が連携してゾンビ撃退は問題なく、収束を迎えようとしていた。
周囲のゲルの探索が終わり、中央にある族長のゲルへ向かった誘導班。
祥子とエハウィイは攻撃できるように構え、守原が入り口を開けたが誰もいなかった。
シンボルらしきものは探索ルートが良かったのか、族長のテントの横に傷つくことなく無事に祀られていた。
周囲を確認してゾンビの掃討できた事を迎撃班へ伝えると一旦、合流する事となった。
ハンター達はリーナとアラウのそれぞれを護衛して旧居留地へと向かう。
浄化儀式へ向かうリーナと護衛のハンター達。
継続したゾンビの発生をさせない為にも浄化をする必要がある。
いつもとは違った飾りの多いデールを着たリーナの手には浄化の方法が書かれた書物と道具一式が入った袋を持っていた。
その横では守原が警戒は厳にしてついていく。
「一応、私も巫女だし……手伝える事は何でもするから言ってね♪」
「はい」
リーナを護衛している奈加が儀式を手伝う提案をした。
辺境独自なのか聞きなれない言葉の歌が明るく、威厳のある旋律にのって流れてくる。
両手に錫杖の様な短い杖を両手に持ち、鳴らしながら歌うリーナ。
どれ位、経ったのだろう――歌が終わる。
皆は旧居留地を包んでいた淀んだ空気が無くなった様に感じられた。
次に行ったのは鎮魂のための埋葬作業。
ノートや千秋、他のハンター達も手伝い、遺体と遺品の埋葬作業はすぐに終わる。
鎮魂の儀式が始まる――。
ハンター達の前にはリーナと儀式を手伝う奈加がいた。
先ほどとは違い、皆が解る言葉で悲しみを慰めるような静かな歌をリーナと奈加が歌う。
「どうか安らかな眠りを……」
ルナは花に手を向けつつ俯いた目から涙を流していた。
「もう二度と……このようなことがないようにしなければいけませんね」
儀式の様子を見て強く心に誓うルナだった。
「どうかもう迷わずに、此等が死者と遺族の希望になりますように」
守原はアラウとリーナから習った祈りの作法で祈る。
歌が終わる――鎮魂の儀式が終わったようだ。
「お疲れ様。安らかに眠ってね」
共に歌っていた奈加は言葉をかける。
(……こういう部族ってたくさんみえるのよね……もっと頑張らなきゃ……こんなのこれ以上増やしちゃいけない!!)
「救いたかった……!」
(全てを早々救えんて、軍の頃から解ってても死者と遺族を思うと申し訳なくて、未熟なうちが悔しくて……)
守原は自身の悔しさに涙する。
(でもこの痛みを受止めちゃんと傷つき進み遍く久しく希望を有らしめるて名の通りありたい)
涙を拭い、真っ直ぐ見据える守原。
(この夢想家の未熟者、次あらば頼って頂けますか?)
浄化の儀式と鎮魂の儀式を終えた旧居留地は明るさを取り戻すも静寂だった。
浄化が終わり、アラウがシンボルを回収する番だ。
「シンボルは部族にとって大切なものだしね、一応私も辺境の少数部族出身だし気持ちは分かるつもり」
シンボルの回収を手伝うエハウィイはアラウに声を掛ける。
「あと、さ。部外者の私が言う事じゃないかもしれないけどさ。この先、責任感だけで生きちゃダメだよ」
「……はい」
エハウィイなりにアラウの事を心配して話を続けた。
「そりゃ残った部族のために、とかあるんだろうけどさ。アラウは、アラウだから」
「ええ……」
アラウはエハウィイの言葉を小さく繰り返す。
「チュー族である前に、アラウだから。アラウ自身がやりたい事を見つけていかなきゃ、ダメだよ」
「わかりました」
「あ~、こういうのキャラじゃないんだよ恥ずかし」
恥ずかしそうにするエハウィイとさっきより表情が明るくなったアラウ。
エハウィイとの会話を終えたアラウに祥子が話しかける。
「シンボルは部族の、民族の心の支えだものね……。それがあり続ける限り立ち直ることはできるはず。私の国がそうだったみたいにね」
「はい、ありがとうございます」
アラウに慰めの言葉をかける祥子。
祥子との会話が終わり、シンボルの回収を行うアラウ。
回収のための儀式を行い、丁寧にトーテムを袋へと収めていく。
その間、ディアドラやノート、ハンター達が周囲を警戒していた。
回収を終えたアラウにディアドラが近づいて話しかける。
「死者には死者のルールがある以上、生者にも生き続けなければいけないというルールがある」
ディアドラもアラウの事を心配していた。
「生き残っている者がいるのであれば、死した友を乗り越えて繁栄を約束するのが貴殿らの役目であるぞ」
「私達の役目……」
ディアドラの言葉を受けて考えるアラウ。
「ささぁーげぇ、つっ!」
千秋の号令で銃を持つ者は捧げ銃を行い、そうでない者は黙祷した。
旧居留地を去るハンター達。
こうして依頼を終え、様々な想いをのせて帰路へつく。
葬送行列 完
依頼を受けたハンター達とリーナとアラウはチュー族の旧居留地の近くへ到着した。
「あー、テステス」
(ド田舎の辺境から都会のリゼリオに出られたのにまた辺境とかマジ萎えるわ……)
魔導短伝話のテストをしながらエハウィイ・スゥ(ka0006)は少し残念な気持ちだ。
「二人共、慌てず冷静にね」
「はい」
「はい……」
心配したエハウィイはリーナとアラウに慌てず冷静に、と声を掛けていた。
彼女達は覚悟はできている様で問題は無さそうだった。
(……てかリーナのその胸反則だろ、くそぅ)
「うむ、聞こえておるぞ」
エハウィイとの魔導短伝話のテストしていたディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271)。
(死者を弔うのは大王でなくとも大事な事だ)
ディアドラは世界が歪虚の侵攻により荒廃している今の状況を憂い、自身の考えのもと今回の依頼に参加していた。
「この悲しみからでも希望を……!」
優しい武人気質な守原 有希弥(ka0562)は想う――例えこの悲しみのなかからでも希望を見いだせれば、と。
だから、守原は逸らすことなく前を見据えて依頼へと臨んだ。
「……これでいいかしらね」
宇都宮 祥子(ka1678)は事前に石を集めている。
祥子は辺境に人々の苦境を知らない――故に見て、聞いて知らなければと思っていた。
「クリムゾンウェストに来たとはいっても、基本的に私達日本人って故郷を失う経験ってしたことがないの。それは幸いなことではあるけど、民族として経験がないから辺境の人々の気持ちを理解するには時間がかかる」
「正直ですね……そして、羨ましい」
正直な祥子の言葉に正直に返すアラウ。
「贅沢な悩みかもしれない。けど、あなた達の事をもっと理解したい気持ちはわかって欲しい」
「はい」
理解したい――という人間を拒絶することもないだろう、と思い祥子の言葉に答えるアラウ。
祥子は辺境での出来事をこの依頼で一部ではあるが知るだろう。
「リーナちゃんの依頼だから、すっとんで着たわよぉ~♪ しかも、今回はルナちゃんも一緒だしぃ~心強いわ! 頑張ろうね」
元気な声でリーナとアラウの二人にやって来たのは松岡 奈加(ka0988)ともう一人だ。
(アラウちゃんは心配……最後は看取ってあげて欲しいけど、その過程は見せたくないな……)
アラウを気遣う気持ち、そして葛藤が奈加の中でおこる。
「今回は奈加さんが一緒なら心強いです。頑張りましょうね!」
奈加の言葉に答えたのは隣にいたルナ・クリストファー(ka2140)。
ルナは奈加とは友人で同行して参加してきた。
(もう戦いは避けようもないですね。アラウさんには、なるべくゾンビ達を倒す瞬間を見せたくありませんが……)
(私の信条『冷静かつ的確に状況を見極め、臨機応変に判断して行動すべし』)
(それは情を切り捨てることと、必ずしも同じではありません……だから)
「できるだけ素早くゾンビ達を全滅させ……かつての同族達が倒れる瞬間を、アラウさんが見なくても済むようにしたいですね」
「全力で手助けさせてもらう」
オイマト族男性と帝国女性の混血の故に部族にとってのシンボルの重要性を知っているノート(ka2372)は全力で依頼にあたることを心で誓う。
ノートの目標は『聖地奪還』、その為に己を鍛えるためにも辺境の為にも依頼へと参加した。
「悲しい思いを断ち切る為に」
(お兄ちゃんがゾンビになっていたら、私は悲しいし悔しい)
栂牟礼 千秋(ka0989)は今回の出来事を自分に照らし合わせ、想う。
だからこそ、悲しい思いが連鎖するのを断ち切るためにも千秋は参加したのだった。
集まったハンター達は打ち合わせを始めて班分けする事となった。
敵を誘き出す誘導班にエハウィイ・守原・祥子の3名。
誘引した敵を攻撃する迎撃班はディアドラ・奈加・千秋・ルナ・ノートの5名。
それぞれが役割を果たすべく動き出した。
●対ゾンビ
誘導班が迎撃班の展開を待って行動を開始。
ゾンビ達は旧居留地の入り口付近でゆらゆらと立っている。
10体近くゾンビがエハウィイ達を見つけるとゆっくりとこちらへと接近してきた。
「数だけは多いなぁ」
エハウィイはホーリーライトを撃ち出すと、ゾンビの右腕が腐敗の為に千切れる。
攻撃を受けて何体かは足早にエハウィイへ近付こうとしていた。
「此方に誘導です」
守原は命中、外れを考えずに弓を使って誘導された敵が向かって来るようだ。
「銃を使うのは簡単だけれども……」
祥子は事前に集めていた石を投げつける。
石ということもあり、ダメージを与えることはないが気をひくことに成功。
敵がゾロゾロと誘導されてそれぞれのハンターへと移動している。
「誘引に成功したよ」
エハウィイはディアドラに魔導短伝話を使って連絡した。
誘導班は迎撃班のいるところまで敵を引きつけた。
突然、銃声とともに胴体が吹き飛んで倒されるゾンビ。
猟銃で伏撃ちをしていた千秋は射程距離を生かして次々と撃っていく。
敵が他のハンター達の射的距離へと入る。
「タゲ合わせていけば効率良いよね~♪」
奈加が放つホーリーライトが敵の頭部を吹き飛ばすが、そのまま立っていた。
「全部で二十四発までなら……撃てます」
ルナがマジックアローを放つ――スキルはマジックアローだけなので使える回数が多い。
立っていたゾンビの胴体をルナのマジックアローが吹き飛ばして倒した。
「ふわぁ~ルナちゃんの魔法すごーい♪」
ルナの攻撃を見ていた奈加が感心したように声を上げる。
そうしているうちに前衛のハンター達とゾンビが接敵。
「死者を弄ぶのは許しがたい行為であると言える! 大王の名の元に現世への迷いを断ち切ってくれようぞ!」
ディアドラはエストックを構えてゾンビの脚や腕を突いて攻撃をすると腐って脆くなった為、呆気無く千切れた。
「持久戦を念頭に臨むか」
(同時に相手にするゾンビが多いと危険か……)
ノートは後衛のスキル回数を確認しながら攻撃に移る。
ツヴァイハンダー――2mもある巨大な両手剣で叩き切る事により敵は衝撃で吹き飛んでいく。
程なくして、最初に誘引した10体近い敵が全滅した。
一方、誘導班は旧居留地の入り口にいた敵が全滅した為に先へ進む。
幾つものゲルや朽ちたのが雑然と並んで建っている為、見通しが悪い。
「……ホラーはあんま得意じゃないんだけどなぁ」
エハウィイはホラーの話を思い出してごちた。
「中心のシンボルがある族長のゲルへ敵が来ないように誘導したいです」
守原はエハウィイと祥子にシンボルの安全なルートを提案した。
その結果、誘導班は時計回りに警戒しながら進む事になったが――。
「敵がいたらお願いします」
守原はゲルの入り口を警戒して開け、エハウィイと祥子はその横で何時でも攻撃できるように構えた。
幸いにゾンビはいなかったので印をつけて次のゲルへ移動。
3人は次のゲルへ進もうとすると先のゲルからゾンビがゆっくり出て来る。
出てきたゾンビはこちらに気がついたようだ。
その時、3人より先の道――ゲルから出たゾンビの後方にある角からも敵が数体、出てきた。
それぞれのゾンビがこちらへとゆっくり近づいてきている。
3人は後方を警戒して後退しながら敵を誘導。
「少し多いわね……」
祥子は強弾とエイミングを使い、アサルトライフルでゾンビを攻撃。
ゾンビへ殺到するアサルトライフルの弾丸は銃撃音と共に敵を粉砕した。
足止めのはずだったが、威力が高かった為に倒すまでに至った様だ。
このまま戦闘を継続すれば包囲される危険性もあったので、3人は迎撃班まで誘導する事にした。
迎撃班まで誘導を終えると急いで旧居留地へと向かう。
戻った誘導班は安全を確認したゲルを安全確保の為に崩してから先へと進んだ。
進んだ先には前の誘引の為か、いなかったゾンビ達がいた。
「早いところ片付けなきゃね」
ホーリライトを地面に撃ち込んで気付かせるエハウィイ。
それに気がついたのか、外やゲルから出てきたゾンビが3人へ向かってくる。
ゲルを崩して作った撤退路から後退してそれぞれが誘導した。
こうして、外周部を時計回りに移動して敵を誘導しながら中心を目指す。
一方、迎撃班。
誘引されてきたゾンビに対して攻撃を行っているハンター達。
先程の迎撃と同じ様に進んでいたが――。
「危ない!」
ルナのマジックアローが光る矢となり、前衛を抜けて奈加を狙ったゾンビへと向かう。
「行かせん」
ルナが攻撃したゾンビへノートの巨大な両手剣が振り下ろされると両断して倒された。
「数が多いだけに気をつけなければな」
ディアドラは突破されない為にも敵の脚を重点的に狙うように切り替えて攻撃をする。
誘導班によって次々と引きつけられてくる敵。
5人は誘導班の元へ行って戦闘をしたい気持ちもあったが、迎撃班の後方ではリーナ達が儀式の準備を行っている為に出来なかった。
二人は儀式の準備しながらも目の前で起きている事に目を逸らさずに見ていた――それが彼女達の覚悟なのだから。
迎撃班は次々と来る敵に対して斬ったり撃ったりして倒していく。
リロードの必要がない前衛が奮戦していた。
大剣で敵を切り伏せるノート、確実に敵の脚を狙って移動不能にさせるディアドラ。
「今回は――」
「うむ、わかった」
ディアドラとエハウィイは魔導短伝話で敵の捜索の状況と誘導する敵の数の情報を連絡しあっていた。
●残された者達のつとめ
誘導班と迎撃班が連携してゾンビ撃退は問題なく、収束を迎えようとしていた。
周囲のゲルの探索が終わり、中央にある族長のゲルへ向かった誘導班。
祥子とエハウィイは攻撃できるように構え、守原が入り口を開けたが誰もいなかった。
シンボルらしきものは探索ルートが良かったのか、族長のテントの横に傷つくことなく無事に祀られていた。
周囲を確認してゾンビの掃討できた事を迎撃班へ伝えると一旦、合流する事となった。
ハンター達はリーナとアラウのそれぞれを護衛して旧居留地へと向かう。
浄化儀式へ向かうリーナと護衛のハンター達。
継続したゾンビの発生をさせない為にも浄化をする必要がある。
いつもとは違った飾りの多いデールを着たリーナの手には浄化の方法が書かれた書物と道具一式が入った袋を持っていた。
その横では守原が警戒は厳にしてついていく。
「一応、私も巫女だし……手伝える事は何でもするから言ってね♪」
「はい」
リーナを護衛している奈加が儀式を手伝う提案をした。
辺境独自なのか聞きなれない言葉の歌が明るく、威厳のある旋律にのって流れてくる。
両手に錫杖の様な短い杖を両手に持ち、鳴らしながら歌うリーナ。
どれ位、経ったのだろう――歌が終わる。
皆は旧居留地を包んでいた淀んだ空気が無くなった様に感じられた。
次に行ったのは鎮魂のための埋葬作業。
ノートや千秋、他のハンター達も手伝い、遺体と遺品の埋葬作業はすぐに終わる。
鎮魂の儀式が始まる――。
ハンター達の前にはリーナと儀式を手伝う奈加がいた。
先ほどとは違い、皆が解る言葉で悲しみを慰めるような静かな歌をリーナと奈加が歌う。
「どうか安らかな眠りを……」
ルナは花に手を向けつつ俯いた目から涙を流していた。
「もう二度と……このようなことがないようにしなければいけませんね」
儀式の様子を見て強く心に誓うルナだった。
「どうかもう迷わずに、此等が死者と遺族の希望になりますように」
守原はアラウとリーナから習った祈りの作法で祈る。
歌が終わる――鎮魂の儀式が終わったようだ。
「お疲れ様。安らかに眠ってね」
共に歌っていた奈加は言葉をかける。
(……こういう部族ってたくさんみえるのよね……もっと頑張らなきゃ……こんなのこれ以上増やしちゃいけない!!)
「救いたかった……!」
(全てを早々救えんて、軍の頃から解ってても死者と遺族を思うと申し訳なくて、未熟なうちが悔しくて……)
守原は自身の悔しさに涙する。
(でもこの痛みを受止めちゃんと傷つき進み遍く久しく希望を有らしめるて名の通りありたい)
涙を拭い、真っ直ぐ見据える守原。
(この夢想家の未熟者、次あらば頼って頂けますか?)
浄化の儀式と鎮魂の儀式を終えた旧居留地は明るさを取り戻すも静寂だった。
浄化が終わり、アラウがシンボルを回収する番だ。
「シンボルは部族にとって大切なものだしね、一応私も辺境の少数部族出身だし気持ちは分かるつもり」
シンボルの回収を手伝うエハウィイはアラウに声を掛ける。
「あと、さ。部外者の私が言う事じゃないかもしれないけどさ。この先、責任感だけで生きちゃダメだよ」
「……はい」
エハウィイなりにアラウの事を心配して話を続けた。
「そりゃ残った部族のために、とかあるんだろうけどさ。アラウは、アラウだから」
「ええ……」
アラウはエハウィイの言葉を小さく繰り返す。
「チュー族である前に、アラウだから。アラウ自身がやりたい事を見つけていかなきゃ、ダメだよ」
「わかりました」
「あ~、こういうのキャラじゃないんだよ恥ずかし」
恥ずかしそうにするエハウィイとさっきより表情が明るくなったアラウ。
エハウィイとの会話を終えたアラウに祥子が話しかける。
「シンボルは部族の、民族の心の支えだものね……。それがあり続ける限り立ち直ることはできるはず。私の国がそうだったみたいにね」
「はい、ありがとうございます」
アラウに慰めの言葉をかける祥子。
祥子との会話が終わり、シンボルの回収を行うアラウ。
回収のための儀式を行い、丁寧にトーテムを袋へと収めていく。
その間、ディアドラやノート、ハンター達が周囲を警戒していた。
回収を終えたアラウにディアドラが近づいて話しかける。
「死者には死者のルールがある以上、生者にも生き続けなければいけないというルールがある」
ディアドラもアラウの事を心配していた。
「生き残っている者がいるのであれば、死した友を乗り越えて繁栄を約束するのが貴殿らの役目であるぞ」
「私達の役目……」
ディアドラの言葉を受けて考えるアラウ。
「ささぁーげぇ、つっ!」
千秋の号令で銃を持つ者は捧げ銃を行い、そうでない者は黙祷した。
旧居留地を去るハンター達。
こうして依頼を終え、様々な想いをのせて帰路へつく。
葬送行列 完
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/06 09:33:28 |
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作戦相談室 守原 有希弥(ka0562) 人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/07/11 12:44:22 |
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お二人への質問 守原 有希弥(ka0562) 人間(リアルブルー)|19才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/07/08 22:11:58 |