ゲスト
(ka0000)
お仕事見せて!
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2014/07/11 15:00
- 完成日
- 2014/07/17 00:38
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――洞窟に棲み着いてしまった大蜘蛛を退治してくれ。
若い男からの依頼を受けて、ハンターたちはとある岩山に赴いていた。
切り立った断崖の、その中腹辺り。まだ新しい崩落の後が見られる洞窟が、ぽっかりと口を開けていた。どうやら蜘蛛は、崩落によって現れた穴を新居に選んだようだ。入り口は屈めばなんとか通れるほどの大きさだったが、その奥は広く、二人は並んで通れる程の空間が続いている。進んでいけば、更に広い空間に繋がっていそうだ。
しかしおかしなことに、入り口付近には、蜘蛛の糸らしきものが見当たらなかった。蜘蛛であればすべからく、巣の作成や獲物の獲得に糸を使うはずだ。
依頼主が嘘をついたとも考えにくい。ハンターたちは首を捻りながらも、依頼を遂行するために奥へと向かうことを決める。
そうして、暗闇の淀むその先へ一歩を踏み出した時、ハンターの一人が、何かの気配に気がついた。
背後に、何かがいる。誰かがそう呟くと、メンバーに緊張が走った。
武器を抜き、気配へと近づく。奇襲を受けてもいいように、しっかりと武器を構え、万全な警戒を行いながら。
「ま、待って!」
しかし、そこで響き渡った声は、こちらの心配とは真逆のものだった。甲高い、子供の声だ。そしてひょこりと、岩の陰から一人の少年が顔を出した。
「あのぅ」
申し訳なさげに、しかし輝きを灯した瞳を隠し切れない様子で、少年は口を開く。
「ハンターのお仕事を、見せて下さい!」
●
聞くに少年は、リアルブルーの出身だという。
リゼリオに訪れ、ハンターの話を聞き、いずれは自分も世界を回りたいという夢を抱いた。そんな話を、憧れのハンターを目の前に少年は熱く語る。そして最後に、
「お仕事見せて! 邪魔しないから!」
ふんすと鼻息荒く、そう言った。口調は懇願だが、揺るぎない意思を感じさせる。
危ないから帰りなさい。そう言うのは簡単だが、簡単に退いてくれるとはとても思えなかった。そう思ったハンターが、無理矢理にでも洞窟の外へ連れ出そうとした時。
突如、轟音と共に地面が一度大きく揺れ、外から流れ込んでいた光が消えた。一瞬にして、辺りは完全な暗闇に呑み込まれる。
そしてその直後、闇の中に、ガサガサと無数に蠢く気配を感じた。今度は、はっきりと、皮膚を刺すような殺気に満ちた気配だった。
――やられた。
崩落のタイミングが良すぎる。どうやら、間抜けにも巣に入り込んできた獲物を閉じ込めて仕留めるのが、ここに棲む蜘蛛の狩りの仕方だったらしい。入り口を塞いだ岩を触ってみれば、ベタベタとした蜘蛛の糸が手に絡みついた。入口から見える範囲に蜘蛛の糸が見えなかったのも、獲物を油断させ奥へと誘いこむためなのかもしれない。
……咄嗟にハンターの足にしがみついていた少年の肩が、かたかたと震えている。何があっても、この少年だけは守らなければ。
若い男からの依頼を受けて、ハンターたちはとある岩山に赴いていた。
切り立った断崖の、その中腹辺り。まだ新しい崩落の後が見られる洞窟が、ぽっかりと口を開けていた。どうやら蜘蛛は、崩落によって現れた穴を新居に選んだようだ。入り口は屈めばなんとか通れるほどの大きさだったが、その奥は広く、二人は並んで通れる程の空間が続いている。進んでいけば、更に広い空間に繋がっていそうだ。
しかしおかしなことに、入り口付近には、蜘蛛の糸らしきものが見当たらなかった。蜘蛛であればすべからく、巣の作成や獲物の獲得に糸を使うはずだ。
依頼主が嘘をついたとも考えにくい。ハンターたちは首を捻りながらも、依頼を遂行するために奥へと向かうことを決める。
そうして、暗闇の淀むその先へ一歩を踏み出した時、ハンターの一人が、何かの気配に気がついた。
背後に、何かがいる。誰かがそう呟くと、メンバーに緊張が走った。
武器を抜き、気配へと近づく。奇襲を受けてもいいように、しっかりと武器を構え、万全な警戒を行いながら。
「ま、待って!」
しかし、そこで響き渡った声は、こちらの心配とは真逆のものだった。甲高い、子供の声だ。そしてひょこりと、岩の陰から一人の少年が顔を出した。
「あのぅ」
申し訳なさげに、しかし輝きを灯した瞳を隠し切れない様子で、少年は口を開く。
「ハンターのお仕事を、見せて下さい!」
●
聞くに少年は、リアルブルーの出身だという。
リゼリオに訪れ、ハンターの話を聞き、いずれは自分も世界を回りたいという夢を抱いた。そんな話を、憧れのハンターを目の前に少年は熱く語る。そして最後に、
「お仕事見せて! 邪魔しないから!」
ふんすと鼻息荒く、そう言った。口調は懇願だが、揺るぎない意思を感じさせる。
危ないから帰りなさい。そう言うのは簡単だが、簡単に退いてくれるとはとても思えなかった。そう思ったハンターが、無理矢理にでも洞窟の外へ連れ出そうとした時。
突如、轟音と共に地面が一度大きく揺れ、外から流れ込んでいた光が消えた。一瞬にして、辺りは完全な暗闇に呑み込まれる。
そしてその直後、闇の中に、ガサガサと無数に蠢く気配を感じた。今度は、はっきりと、皮膚を刺すような殺気に満ちた気配だった。
――やられた。
崩落のタイミングが良すぎる。どうやら、間抜けにも巣に入り込んできた獲物を閉じ込めて仕留めるのが、ここに棲む蜘蛛の狩りの仕方だったらしい。入り口を塞いだ岩を触ってみれば、ベタベタとした蜘蛛の糸が手に絡みついた。入口から見える範囲に蜘蛛の糸が見えなかったのも、獲物を油断させ奥へと誘いこむためなのかもしれない。
……咄嗟にハンターの足にしがみついていた少年の肩が、かたかたと震えている。何があっても、この少年だけは守らなければ。
リプレイ本文
沈殿する闇の奥から、ガサガサと無数の音が染み出してくる。音は狭い洞窟に反響し、どこから聞こえているのかすら分からない。
反射的に、ハンターたちは手元の光源に火を点していた。
「うぅっ……」
灯りが点ったことでようやく状況を飲み込めたのか、少年が肩を震わせて小さく声を上げた。
「大丈夫。怖くないよっ、私たちが守るからね!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)は、そんな少年に向けて元気に声と笑顔を向ける。
しかし実際、状況は芳しくない。敵の能力、数、地形、何も分からず退路を絶たれ、不自由な戦いを強いられるのだ。
「数では不利と思われます。速攻をかけましょう」
少年を、長く危機に晒す訳にはいかない。ピロー・クラースヌィ(ka1435)は、そう提案する。
狭い通路に七人が固まっている今の状況では、全員が満足に動くことは不可能だ。しかし、少年を連れて広い場所に出てしまえば、万が一、多方面からの襲撃を受けた場合に少年を守りきることは難しくなる。
一行はそう結論し、前衛と後衛の二つに班を分けることにした。
●
「貸してやるっす! これで俺を照らすといいっすよ!」
神楽(ka2032)が軽い調子で、少年に手持ちのLEDライトを渡した。電源を入れれば、白い光が洞窟を照らす。少年はライトを握りしめ、こくりと頷いた。
「さぁ、頑張って行きましょう~」
酔仙(ka1747)は肌を紅潮させ、ふらふらとした足取りでおーと手を挙げた。その目はふにゃりと垂れ下がり、呂律も回っていない。
「す、酔仙さん、お酒飲んでるんですか?」
いつの間に、と自分よりも大きな盾を背負ったノノトト(ka0553)が、若干困惑して尋ねる。
「ええ~? 飲んれないれすよぉ。らからぁ――」
その問いにひらりと手を振って答えた次の瞬間、ふらふらとした妙な体勢から、風を切る鋭い拳が繰り出された。その一撃は乾いた音を響かせ、何か小さいものを壁に叩きつける。
「こぉんらことも、れきるんれすよぉ」
灯りを向ければ、手の平サイズの蜘蛛が壁に潰れて張り付いていた。
「これは、蜘蛛の幼体ですか。あまり強くはないようですね」
ティーナ・エル・クルーリエン(ka1353)がしげしげと、その哀れな姿に無機質な、しかし若干の好奇を持った視線を浴びせる。
「さあ、奥に行くっすよ!」
それを尻目に神楽が洋々と、松明に火を点けた。奥までの道に等間隔で、火の点いた松明を置いていくつもりだ。
酔仙と神楽が、まず奥へと向かう。その後ろで、ピローはスキルを発動した。
「プロテクション」
呟くと、少年の体を光が覆っていく。目を見開き驚く少年に向けて、ピローは声をかけた。
「貴方が大きな怪我をしないよう、おまじないを掛けました。小さな怪我なら、私が後で癒やします。ですから……安心してください。後は私達に、任せて」
少年が頷くのを見届け、ピローは二人の背中を追った。
●
「――んしょっ」
入り口に程近い、地面が比較的平らな地点に、ノノトトは自分の身長よりも大きな盾を置き構えた。全面をカバーできるわけではないが、かなり敵の動きを制限できるだろう。
前衛の援護を、と思っていたティーナとリンカだったが、奥への通路が途中から下っていたらしく前衛三人の姿はすでに見えなくなっていた。神楽の置いて行った松明が二つ、転がっているのが見て取れる。
「くらいけど大丈夫……くらいけど大丈夫……」
「……蜘蛛の姿はありませんね」
自分に言い聞かせるノノトトを目の端に、盾の横からティーナが顔を覗かせる。
ガサガサと音だけは絶えず聞こえているだけに、周囲にその姿が見えないのが一層不気味だった。
「前衛のみんなは、もう戦ってるのかな?」
少年を安心させるべく手を握って、盾よりも背の高いリンカがつま先立ちで洞窟の奥に目を凝らす。
そうしてしばらく、強い緊張感が辺りに漂い。そして通路の奥に、白い光が点った。
●
通路の先に広がっていたのは、かなり大きな空間だった。ドーム状の洞窟は、入口から奥まで照らし切ることができないほどで、とても自然の洞窟とは思えない。
「蜘蛛さんが掘ったんれすかねぇ」
邪魔にならないところにランタンを置きながら、酔仙は辺りを見渡した。トロンとした表情に合わせた陽気な声色だったが、その実、周囲に油断なく視線を送っている。
「プロテクション」
努めて落ち着きながら、ピローが静かに魔法を唱えた。その体を、光の膜が覆っていく。
続けざまに、シャインの魔法も発動する。発動と同時に刀を抜き放てば、その真紅の刀身から眩い光が放たれた。
「光源は確保します。まず、大本の大蜘蛛を倒しましょう。怪我をしたら、声を出して合図をして下さい」
「光源は、多いほうがいいっすよね!」
そう言い、神楽は残った二本の松明に火を点し、光の範囲が被らないように奥へと松明を投げ入れた。地面に這った糸が熱に焦がされ、じゅうと音を鳴らす。
「ライトアップ終了っす!」
シャインと松明の光によって、殆どが純白の糸で覆われた洞窟の壁面が露わになる。所々にぽこりとした糸の塊が見えているが、あれが蜘蛛の卵なのだろう。
そしてその最奥、一際立派な文様を描く巨大な蜘蛛の巣を玉座に、大蜘蛛がギロリと八つの濁った赤い目でこちらを睨みつけていた。
その目は、愚かにも食物連鎖に逆らおうとする存在に苛つきを覚えているように見えた。
――ギイと大蜘蛛が叫びを上げる。呼応し、そこら中に点在する糸の塊から、大小様々な子蜘蛛が飛び出した。
その光景を目にし、神楽がうひゃーと声を上げる。
「気持ち悪いっすね。でも蜘蛛でよかったっす。これがGとかカメ虫だったら動けなくなりそうっす」
「……ちょっとやめてよ、想像しちゃうじゃない!」
「これれもじゅーぶん気持ち悪いれすけどねぇ~」
軽口を交わしながら、三人は戦闘態勢に入った。二百、三百は下らない数の蜘蛛が、一斉に襲いかかってくる。
飛びかかってくる蜘蛛をナイフで払い、刀で斬り裂き殴り飛ばし、同時に地面を這うものを出来る限り踏み潰しながら、三人はとにかく奥へと向かう。
「この数を止めるのは無理っすね!」
部屋の入口に目をやり、神楽がでたらめにナイフを振り回しながら叫ぶ。数が多すぎて、まともに狙いが付けられない。まとわり付いてくる蜘蛛に、一々鳥肌を立てている暇もない。蜘蛛を踏みつぶす嫌な感触もすぐに慣れて気にならなくなる。
「信じるしかないれすねぇ~」
ふらふらと奇妙な動きで回避、攻撃を繰り出しながら、酔仙は二人の視線をカバーするように立ち回る。
「早く大蜘蛛を倒して、入り口に戻ろう!」
二人の後ろで、ピローは二人に張り付いた蜘蛛を払っていく。
体力も無限ではないのだから、とにかく、囲まれている今の状況を打破しなくてはならない。大蜘蛛さえ倒してしまえば、入り口の岩をどかして脱出することもできる。子蜘蛛は邪魔だが、それだけだ。
「うわっ!」
飛び掛ってきた蜘蛛を避けきれず、神楽は腹部に強烈な衝撃を受けて押し倒された。
「神楽さん!」
「こんのっ……!」
神楽の腹に乗った大きめな一匹がギイと鳴き、挟角を大きく広げる。神楽は咄嗟に、その頭にナイフを突き刺していた。その一撃は蜘蛛の頭部を深々と抉り、動きの鈍くなった蜘蛛を神楽が思い切り払いのける。
「あ~も~、ベトベトして鬱陶しいっす!」
起き上がる神楽の背中には、地面に張られた蜘蛛の糸がベッタリとついていた。それを確認し、神楽が大きくため息をつく。
「なんで白くてべたつく糸に絡まるのが俺なんすか! そういうのは女の子にお願いしてえっす!」
邪な鬱憤を晴らすように、神楽は転がった蜘蛛に蹴りを入れて止めを刺した。
「だいぶ、近づけたようれすねぇ~」
数匹まとめて踏み潰し、酔仙が奥の大蜘蛛に目をやる。回避に専念していたために外傷はあまり無いようだが、額に汗を浮かべ肩で息をしていた。
だが、もう少しだ。
大蜘蛛が、乱戦中に襲ってこなかったのは幸いだった。子蜘蛛たちに狩りを教えるつもりだったのか、しかし、それが仇になった。
神楽は自らを回復し、ピローも酔仙の傷を癒やす。シャインの光は消えたが、もう問題はないだろう。
「行きまふよぉ~!」
マテリアルを足に込め、酔仙が地面を蹴る。姿が掻き消えんばかりの速度で大蜘蛛に肉薄し、流れるような連撃を放てば、その動きが蜘蛛如きに見切られるはずもなく。数多の打撃が吸い込まれ、不快な苦悶の鳴き声が響き渡る。
「神楽さんも行くっすよ!」
気合一閃、ここぞとばかりに神楽も一気に大蜘蛛に跳びかかる。
「クラッシュブロウ!」
叫び、ナイフに祖霊の力を込める。飛びかかった勢いのまま大きく振り抜かれた一撃は、大気と共に大蜘蛛の鎮座する玉座とその足を斬り飛ばした。
大蜘蛛も何とか反撃を試みようと蠢くが、もはや残った足が地面を虚しく掻くだけだ。
「とどめ……!」
最後にピローが刀を頭部に突き立てれば、ビクンと体を一度震わせて、大蜘蛛はついにその動きを止めた。
●
通路の先に光が灯り、戦闘の音が聞こえてからしばらく。津波のように、数十匹の蜘蛛がなだれ込んできた。
「来た!」
事前に集中を高めていたリンカが、出鼻を挫くべく盾の隙間からワンドの先を子蜘蛛の群れに向ける。
「かっこよくびしっと決めるところ、見ててね!」
少年を振り返り、リンカは弾けるような笑顔を見せた。そうしてすぐさま向き直り、魔法を紡ぐ。より密度を高めた水球が、尾を引いて放たれる。
「そういえば、あなたのお名前は何と言うのでしょう」
リンカの横で同様にマテリアルを活性化させながら、ふと思いついたようにティーナは少年に尋ねた。
「……あ、アルノ―、です」
「それではアルノ―さん、ちゃんと下がっててくださいね」
顔を向けずにそれだけ言って、ティーナは光の矢を放つ。
水球と矢はそれぞれ蜘蛛たちの眼前に着弾し、衝撃とともに弾け飛んだ。吹き飛ばされた蜘蛛が壁に叩きつけられ嫌な音を立てる。
しかし蜘蛛たちにとって、仲間の死などに関心はないらしい。進軍の速度は少しも落ちず、仲間の死骸を踏みつけては獲物へ牙を突き立てようと迫る。
大量の蜘蛛が通路を文字通り埋め尽くす。魔法も連続して撃てるわけではない、次弾までにどうしても空隙ができる。
「いち、にの、さんで盾をずらすよ!」
そのため、一発でも無駄にするわけには行かない。ノノトトの合図と共に傾けられた盾の隙間から、タイミングを図って魔法が放たれる。風の斬撃が蜘蛛を裂き、光の矢が炸裂する。咄嗟にノノトトが盾を戻せば、こちらに吹き飛ばされた蜘蛛の残骸が盾にバチバチとぶつかる。
何度かそれを繰り返し、着実に蜘蛛の死骸は増えていく。
だが、減らない。
通路の奥から次々と現れる。そしてそれらは、仲間の死骸を盾にして、着実にこちらへの距離を縮めていた。
――異変が起きたのは、その時だった。
唐突に、通路の奥の光が増した。同時に、蜘蛛たちの叫ぶ音が響く。
「え、え、なに、なにっ?」
盾で前の見えないノノトトが、驚きの声を上げる。
「まずいですね」
ティーナが呟く。その視線の先には、いくつもの小さな炎が蠢いていた。
蜘蛛の死骸が道を塞ぎ、押し出された蜘蛛の一部が床に転がった松明に触れてしまったのだ。炎は、蜘蛛の全身を覆った細かい毛に瞬時に燃え移る。
炎に巻かれ悲痛な音を立てる蜘蛛たちは、それでも本能は残っているのだろうか、その命を急激に削りながらもこちらに向けて突っ込んでくる。
「大丈夫、大丈夫だからね」
リンカは油断なく前を見据えながら、怯える少年の頭に手を乗せる。
燃える蜘蛛に辿り着かれてしまえば、炎によって大きなダメージを受けるだろう。死に瀕して何かのリミッターが外れでもしたのか、燃える蜘蛛の動きは素早い。
「松明を回収しないと」
魔法では、火を消すことは出来ない。燃え広がれば、洞窟内の酸素も保たない。
「……ボクが、いきます」
ノノトトが息を呑み、そして言った。体力、腕力、持ち得るスキルを鑑みても、それが一番妥当だった。
相談している暇はない。ノノトトは盾を横に倒し、動物霊の力を借りて防御を底上げする。
「気をつけてね!」
リンカの言葉を背に、ノノトトは盾を構えたまま飛び出した。
「ウィンドスラッシュ」
その背をティーナの放つ風の刃が掠め、暴風が幾らかの蜘蛛を吹き飛ばす。立て続けにリンカも水球を放ち、ノノトトを援護する。
少年を守るために、魔術師二人は前に出ることが出来ない。援護はここまでだ。二人はノノトトを越えてきた蜘蛛を払うことに専念するしかない。
「く、うぅっ!」
先頭の蜘蛛に、盾がぶつかった。僅かな重さが掛かり、恐怖が鎌首をもたげる。だが、それを抑えこみ、ノノトトは更に足を踏み出していく。
天井から、燃える蜘蛛が数匹、背中に落ちてきた。焼ける痛みが全身を貫く。続けて普通の蜘蛛が足元から這い上がり、幾つもの牙が皮膚を突く。
漏れそうになる弱音と涙を飲み込んで、ノノトトは、一歩また一歩と歩を進め――そして、松明を掴み取った。
●
入り口を塞いだ岩を魔法で砕き、腕力で押し退け、時間をかけてようやく外に出ることが出来た。最後に神楽の提案で蜘蛛の巣に火を掛け、完全に蜘蛛の痕跡を焼き尽くした。これで、子蜘蛛が成長して――などという展開にはならないだろう。できれば松明を回収したいと思っていた神楽だったが、全て燃え尽きてしまいそれは叶わなかった。
「みんなで無事に出られてよかったです」
新鮮な風を全身に浴び、ノノトトはほっと胸を撫で下ろす。
「ごめんね、怖かったでしょ?」
リンカが、思わず座り込んでいた少年の頭を撫でる。
「ううん、全然怖くなかった!」
そうすれば、少年はキラキラと目を輝かせて全員を見渡した。
そんな少年に、神楽はつかつかと歩み寄り、
「神楽さんの活躍を見たっすか! 家に帰ったら、近所の姉ちゃんに神楽さんの活躍と絶賛彼女募集中って事を語り継ぐといいっす! ついでにお前の親に息子の護衛代金を後日徴収しに行くって伝えておけっす!」
胸を張ってそう言った。
「ちょっと神楽さん! それはがめつすぎでしょ!」
素面に戻った酔仙に怒られ、神楽はちぇーと口を尖らせる。
「だ、大丈夫だよー。伝えなくていいから、ね!」
慌ててフォローに入ったリンカを、少年は不思議そうに眺めた。どうやらあまり理解出来ていなかったようだ。
「神楽さん、面白い人ですね」
ティーナは、自作図鑑に項目を追加しようかと思案する目を神楽に向けた。
――少年は、ずっとこの出来事を忘れないだろう。そしていつの日か、少年自身が人々を助ける日が来るかもしれない。少年の目に映っていたのは、紛れも無い、ヒーローたちの姿だったのだから。
反射的に、ハンターたちは手元の光源に火を点していた。
「うぅっ……」
灯りが点ったことでようやく状況を飲み込めたのか、少年が肩を震わせて小さく声を上げた。
「大丈夫。怖くないよっ、私たちが守るからね!」
リンカ・エルネージュ(ka1840)は、そんな少年に向けて元気に声と笑顔を向ける。
しかし実際、状況は芳しくない。敵の能力、数、地形、何も分からず退路を絶たれ、不自由な戦いを強いられるのだ。
「数では不利と思われます。速攻をかけましょう」
少年を、長く危機に晒す訳にはいかない。ピロー・クラースヌィ(ka1435)は、そう提案する。
狭い通路に七人が固まっている今の状況では、全員が満足に動くことは不可能だ。しかし、少年を連れて広い場所に出てしまえば、万が一、多方面からの襲撃を受けた場合に少年を守りきることは難しくなる。
一行はそう結論し、前衛と後衛の二つに班を分けることにした。
●
「貸してやるっす! これで俺を照らすといいっすよ!」
神楽(ka2032)が軽い調子で、少年に手持ちのLEDライトを渡した。電源を入れれば、白い光が洞窟を照らす。少年はライトを握りしめ、こくりと頷いた。
「さぁ、頑張って行きましょう~」
酔仙(ka1747)は肌を紅潮させ、ふらふらとした足取りでおーと手を挙げた。その目はふにゃりと垂れ下がり、呂律も回っていない。
「す、酔仙さん、お酒飲んでるんですか?」
いつの間に、と自分よりも大きな盾を背負ったノノトト(ka0553)が、若干困惑して尋ねる。
「ええ~? 飲んれないれすよぉ。らからぁ――」
その問いにひらりと手を振って答えた次の瞬間、ふらふらとした妙な体勢から、風を切る鋭い拳が繰り出された。その一撃は乾いた音を響かせ、何か小さいものを壁に叩きつける。
「こぉんらことも、れきるんれすよぉ」
灯りを向ければ、手の平サイズの蜘蛛が壁に潰れて張り付いていた。
「これは、蜘蛛の幼体ですか。あまり強くはないようですね」
ティーナ・エル・クルーリエン(ka1353)がしげしげと、その哀れな姿に無機質な、しかし若干の好奇を持った視線を浴びせる。
「さあ、奥に行くっすよ!」
それを尻目に神楽が洋々と、松明に火を点けた。奥までの道に等間隔で、火の点いた松明を置いていくつもりだ。
酔仙と神楽が、まず奥へと向かう。その後ろで、ピローはスキルを発動した。
「プロテクション」
呟くと、少年の体を光が覆っていく。目を見開き驚く少年に向けて、ピローは声をかけた。
「貴方が大きな怪我をしないよう、おまじないを掛けました。小さな怪我なら、私が後で癒やします。ですから……安心してください。後は私達に、任せて」
少年が頷くのを見届け、ピローは二人の背中を追った。
●
「――んしょっ」
入り口に程近い、地面が比較的平らな地点に、ノノトトは自分の身長よりも大きな盾を置き構えた。全面をカバーできるわけではないが、かなり敵の動きを制限できるだろう。
前衛の援護を、と思っていたティーナとリンカだったが、奥への通路が途中から下っていたらしく前衛三人の姿はすでに見えなくなっていた。神楽の置いて行った松明が二つ、転がっているのが見て取れる。
「くらいけど大丈夫……くらいけど大丈夫……」
「……蜘蛛の姿はありませんね」
自分に言い聞かせるノノトトを目の端に、盾の横からティーナが顔を覗かせる。
ガサガサと音だけは絶えず聞こえているだけに、周囲にその姿が見えないのが一層不気味だった。
「前衛のみんなは、もう戦ってるのかな?」
少年を安心させるべく手を握って、盾よりも背の高いリンカがつま先立ちで洞窟の奥に目を凝らす。
そうしてしばらく、強い緊張感が辺りに漂い。そして通路の奥に、白い光が点った。
●
通路の先に広がっていたのは、かなり大きな空間だった。ドーム状の洞窟は、入口から奥まで照らし切ることができないほどで、とても自然の洞窟とは思えない。
「蜘蛛さんが掘ったんれすかねぇ」
邪魔にならないところにランタンを置きながら、酔仙は辺りを見渡した。トロンとした表情に合わせた陽気な声色だったが、その実、周囲に油断なく視線を送っている。
「プロテクション」
努めて落ち着きながら、ピローが静かに魔法を唱えた。その体を、光の膜が覆っていく。
続けざまに、シャインの魔法も発動する。発動と同時に刀を抜き放てば、その真紅の刀身から眩い光が放たれた。
「光源は確保します。まず、大本の大蜘蛛を倒しましょう。怪我をしたら、声を出して合図をして下さい」
「光源は、多いほうがいいっすよね!」
そう言い、神楽は残った二本の松明に火を点し、光の範囲が被らないように奥へと松明を投げ入れた。地面に這った糸が熱に焦がされ、じゅうと音を鳴らす。
「ライトアップ終了っす!」
シャインと松明の光によって、殆どが純白の糸で覆われた洞窟の壁面が露わになる。所々にぽこりとした糸の塊が見えているが、あれが蜘蛛の卵なのだろう。
そしてその最奥、一際立派な文様を描く巨大な蜘蛛の巣を玉座に、大蜘蛛がギロリと八つの濁った赤い目でこちらを睨みつけていた。
その目は、愚かにも食物連鎖に逆らおうとする存在に苛つきを覚えているように見えた。
――ギイと大蜘蛛が叫びを上げる。呼応し、そこら中に点在する糸の塊から、大小様々な子蜘蛛が飛び出した。
その光景を目にし、神楽がうひゃーと声を上げる。
「気持ち悪いっすね。でも蜘蛛でよかったっす。これがGとかカメ虫だったら動けなくなりそうっす」
「……ちょっとやめてよ、想像しちゃうじゃない!」
「これれもじゅーぶん気持ち悪いれすけどねぇ~」
軽口を交わしながら、三人は戦闘態勢に入った。二百、三百は下らない数の蜘蛛が、一斉に襲いかかってくる。
飛びかかってくる蜘蛛をナイフで払い、刀で斬り裂き殴り飛ばし、同時に地面を這うものを出来る限り踏み潰しながら、三人はとにかく奥へと向かう。
「この数を止めるのは無理っすね!」
部屋の入口に目をやり、神楽がでたらめにナイフを振り回しながら叫ぶ。数が多すぎて、まともに狙いが付けられない。まとわり付いてくる蜘蛛に、一々鳥肌を立てている暇もない。蜘蛛を踏みつぶす嫌な感触もすぐに慣れて気にならなくなる。
「信じるしかないれすねぇ~」
ふらふらと奇妙な動きで回避、攻撃を繰り出しながら、酔仙は二人の視線をカバーするように立ち回る。
「早く大蜘蛛を倒して、入り口に戻ろう!」
二人の後ろで、ピローは二人に張り付いた蜘蛛を払っていく。
体力も無限ではないのだから、とにかく、囲まれている今の状況を打破しなくてはならない。大蜘蛛さえ倒してしまえば、入り口の岩をどかして脱出することもできる。子蜘蛛は邪魔だが、それだけだ。
「うわっ!」
飛び掛ってきた蜘蛛を避けきれず、神楽は腹部に強烈な衝撃を受けて押し倒された。
「神楽さん!」
「こんのっ……!」
神楽の腹に乗った大きめな一匹がギイと鳴き、挟角を大きく広げる。神楽は咄嗟に、その頭にナイフを突き刺していた。その一撃は蜘蛛の頭部を深々と抉り、動きの鈍くなった蜘蛛を神楽が思い切り払いのける。
「あ~も~、ベトベトして鬱陶しいっす!」
起き上がる神楽の背中には、地面に張られた蜘蛛の糸がベッタリとついていた。それを確認し、神楽が大きくため息をつく。
「なんで白くてべたつく糸に絡まるのが俺なんすか! そういうのは女の子にお願いしてえっす!」
邪な鬱憤を晴らすように、神楽は転がった蜘蛛に蹴りを入れて止めを刺した。
「だいぶ、近づけたようれすねぇ~」
数匹まとめて踏み潰し、酔仙が奥の大蜘蛛に目をやる。回避に専念していたために外傷はあまり無いようだが、額に汗を浮かべ肩で息をしていた。
だが、もう少しだ。
大蜘蛛が、乱戦中に襲ってこなかったのは幸いだった。子蜘蛛たちに狩りを教えるつもりだったのか、しかし、それが仇になった。
神楽は自らを回復し、ピローも酔仙の傷を癒やす。シャインの光は消えたが、もう問題はないだろう。
「行きまふよぉ~!」
マテリアルを足に込め、酔仙が地面を蹴る。姿が掻き消えんばかりの速度で大蜘蛛に肉薄し、流れるような連撃を放てば、その動きが蜘蛛如きに見切られるはずもなく。数多の打撃が吸い込まれ、不快な苦悶の鳴き声が響き渡る。
「神楽さんも行くっすよ!」
気合一閃、ここぞとばかりに神楽も一気に大蜘蛛に跳びかかる。
「クラッシュブロウ!」
叫び、ナイフに祖霊の力を込める。飛びかかった勢いのまま大きく振り抜かれた一撃は、大気と共に大蜘蛛の鎮座する玉座とその足を斬り飛ばした。
大蜘蛛も何とか反撃を試みようと蠢くが、もはや残った足が地面を虚しく掻くだけだ。
「とどめ……!」
最後にピローが刀を頭部に突き立てれば、ビクンと体を一度震わせて、大蜘蛛はついにその動きを止めた。
●
通路の先に光が灯り、戦闘の音が聞こえてからしばらく。津波のように、数十匹の蜘蛛がなだれ込んできた。
「来た!」
事前に集中を高めていたリンカが、出鼻を挫くべく盾の隙間からワンドの先を子蜘蛛の群れに向ける。
「かっこよくびしっと決めるところ、見ててね!」
少年を振り返り、リンカは弾けるような笑顔を見せた。そうしてすぐさま向き直り、魔法を紡ぐ。より密度を高めた水球が、尾を引いて放たれる。
「そういえば、あなたのお名前は何と言うのでしょう」
リンカの横で同様にマテリアルを活性化させながら、ふと思いついたようにティーナは少年に尋ねた。
「……あ、アルノ―、です」
「それではアルノ―さん、ちゃんと下がっててくださいね」
顔を向けずにそれだけ言って、ティーナは光の矢を放つ。
水球と矢はそれぞれ蜘蛛たちの眼前に着弾し、衝撃とともに弾け飛んだ。吹き飛ばされた蜘蛛が壁に叩きつけられ嫌な音を立てる。
しかし蜘蛛たちにとって、仲間の死などに関心はないらしい。進軍の速度は少しも落ちず、仲間の死骸を踏みつけては獲物へ牙を突き立てようと迫る。
大量の蜘蛛が通路を文字通り埋め尽くす。魔法も連続して撃てるわけではない、次弾までにどうしても空隙ができる。
「いち、にの、さんで盾をずらすよ!」
そのため、一発でも無駄にするわけには行かない。ノノトトの合図と共に傾けられた盾の隙間から、タイミングを図って魔法が放たれる。風の斬撃が蜘蛛を裂き、光の矢が炸裂する。咄嗟にノノトトが盾を戻せば、こちらに吹き飛ばされた蜘蛛の残骸が盾にバチバチとぶつかる。
何度かそれを繰り返し、着実に蜘蛛の死骸は増えていく。
だが、減らない。
通路の奥から次々と現れる。そしてそれらは、仲間の死骸を盾にして、着実にこちらへの距離を縮めていた。
――異変が起きたのは、その時だった。
唐突に、通路の奥の光が増した。同時に、蜘蛛たちの叫ぶ音が響く。
「え、え、なに、なにっ?」
盾で前の見えないノノトトが、驚きの声を上げる。
「まずいですね」
ティーナが呟く。その視線の先には、いくつもの小さな炎が蠢いていた。
蜘蛛の死骸が道を塞ぎ、押し出された蜘蛛の一部が床に転がった松明に触れてしまったのだ。炎は、蜘蛛の全身を覆った細かい毛に瞬時に燃え移る。
炎に巻かれ悲痛な音を立てる蜘蛛たちは、それでも本能は残っているのだろうか、その命を急激に削りながらもこちらに向けて突っ込んでくる。
「大丈夫、大丈夫だからね」
リンカは油断なく前を見据えながら、怯える少年の頭に手を乗せる。
燃える蜘蛛に辿り着かれてしまえば、炎によって大きなダメージを受けるだろう。死に瀕して何かのリミッターが外れでもしたのか、燃える蜘蛛の動きは素早い。
「松明を回収しないと」
魔法では、火を消すことは出来ない。燃え広がれば、洞窟内の酸素も保たない。
「……ボクが、いきます」
ノノトトが息を呑み、そして言った。体力、腕力、持ち得るスキルを鑑みても、それが一番妥当だった。
相談している暇はない。ノノトトは盾を横に倒し、動物霊の力を借りて防御を底上げする。
「気をつけてね!」
リンカの言葉を背に、ノノトトは盾を構えたまま飛び出した。
「ウィンドスラッシュ」
その背をティーナの放つ風の刃が掠め、暴風が幾らかの蜘蛛を吹き飛ばす。立て続けにリンカも水球を放ち、ノノトトを援護する。
少年を守るために、魔術師二人は前に出ることが出来ない。援護はここまでだ。二人はノノトトを越えてきた蜘蛛を払うことに専念するしかない。
「く、うぅっ!」
先頭の蜘蛛に、盾がぶつかった。僅かな重さが掛かり、恐怖が鎌首をもたげる。だが、それを抑えこみ、ノノトトは更に足を踏み出していく。
天井から、燃える蜘蛛が数匹、背中に落ちてきた。焼ける痛みが全身を貫く。続けて普通の蜘蛛が足元から這い上がり、幾つもの牙が皮膚を突く。
漏れそうになる弱音と涙を飲み込んで、ノノトトは、一歩また一歩と歩を進め――そして、松明を掴み取った。
●
入り口を塞いだ岩を魔法で砕き、腕力で押し退け、時間をかけてようやく外に出ることが出来た。最後に神楽の提案で蜘蛛の巣に火を掛け、完全に蜘蛛の痕跡を焼き尽くした。これで、子蜘蛛が成長して――などという展開にはならないだろう。できれば松明を回収したいと思っていた神楽だったが、全て燃え尽きてしまいそれは叶わなかった。
「みんなで無事に出られてよかったです」
新鮮な風を全身に浴び、ノノトトはほっと胸を撫で下ろす。
「ごめんね、怖かったでしょ?」
リンカが、思わず座り込んでいた少年の頭を撫でる。
「ううん、全然怖くなかった!」
そうすれば、少年はキラキラと目を輝かせて全員を見渡した。
そんな少年に、神楽はつかつかと歩み寄り、
「神楽さんの活躍を見たっすか! 家に帰ったら、近所の姉ちゃんに神楽さんの活躍と絶賛彼女募集中って事を語り継ぐといいっす! ついでにお前の親に息子の護衛代金を後日徴収しに行くって伝えておけっす!」
胸を張ってそう言った。
「ちょっと神楽さん! それはがめつすぎでしょ!」
素面に戻った酔仙に怒られ、神楽はちぇーと口を尖らせる。
「だ、大丈夫だよー。伝えなくていいから、ね!」
慌ててフォローに入ったリンカを、少年は不思議そうに眺めた。どうやらあまり理解出来ていなかったようだ。
「神楽さん、面白い人ですね」
ティーナは、自作図鑑に項目を追加しようかと思案する目を神楽に向けた。
――少年は、ずっとこの出来事を忘れないだろう。そしていつの日か、少年自身が人々を助ける日が来るかもしれない。少年の目に映っていたのは、紛れも無い、ヒーローたちの姿だったのだから。
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ノノトト(ka0553)
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相談部屋 ノノトト(ka0553) ドワーフ|10才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/07/11 14:03:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/07/06 02:06:17 |