ゲスト
(ka0000)
ナイト・ウォーカー2
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/06 12:00
- 完成日
- 2015/06/12 03:24
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「――フェノンノ! これはあなたがやったのですか!?」
燃える森の中、女は返り血に染まった頬を拭い振り返る。
足元に転がる死体はエルフハイム警備隊で同じ部隊に所属していた隊員達。そして……。
「うふふ。そうですよ~、アイリス隊長。さっき私が殺しました」
アイリスと呼ばれたエルフは部隊を束ねる立場にあった。
理解が及ばないのは当然の事だ。フェノンノは心優しく穏やかな女性だった。
年下の隊長であるアイリスをよく支え、警備隊としての生き方を教えてくれた人だった筈。
「なぜ……どうしてです、フェノンノ。この騒動もあなたの仕業なのですか?」
「そうだけど、そうではないわ~。これはすべてあなた達姉妹の招いた罪……まあ、私はどうでもいいんだけど」
剣を抜いたフェノンノは血に染まった刃を舐め、うっとりと笑みを浮かべる。
「いっぱい、い~っぱい死んだわ。自分がなぜ殺されるのか理解も出来ずにね」
「……そこを退きなさい、フェノンノ!」
「器はもう彼らに引き渡したから、今更追いかけるだけムダですよぉ、隊長?」
唇を噛み締め、アイリスは腰から対となる短剣を抜いた。
「人間と手を組んで私達を陥れ、器を奪ったあなたを許す事は出来ない……例え恩人でも!」
「あっはは~! いいですよアイリス隊長。すごくいい感じです~。憎しみが人を強くする。あなたはもっともっと強くなれる!」
地を蹴り刃を交える二人、顔を突き合わせ、フェノンノは目を細め笑う。
「あなたはこれまでで一番美味しそうな獲物。ちゃあんと熟成するまで我慢したんです……その愛らしい顔を苦痛に歪ませながら、命乞いをしてください~。泣き喚きながら、最愛の姉を救えずに……ここで私にバラバラにされてください。あったかい内蔵をぶちまけて! 首から上だけにしてお姉ちゃんにプレゼントしましょう!」
「――きッッッさまああ!!」
叫ぶアイリスの目尻から涙が溢れる。
警備隊として共に過ごした時間が、優しくて甘くて穏やかだったその全てが今、憎しみに変わろうとしていた。
「……フェノンノ様。検問です」
「はえ~? 居眠りしちゃいました~」
ずり落ちた丸眼鏡を押し上げ、涎を拭う。随分懐かしい夢を見た気がする。
トラックの荷台で立ち上がったフェノンノの視線の先。進行方向に帝国軍の兵士達の姿が見えた。
「どうしてこんな所に検問が~?」
「わかりません。他の部隊が捕捉されたのかもしれません」
部下の言葉に首を傾げるフェノンノ。それからあくびしつつ剣を取り。
「まあいいわ。皆殺しにして進みましょう」
『た、頼む……早く来てくれ。バケモノが……ぐああっ!?』
そんな通信を最後に帝国兵からの応答はなくなった。
ハンター達は帝国軍の依頼で数カ所に分かれ検問を敷いていた。
帝国領内にある、シュレーベンラント州。そこに不穏な物資の流れがあるとタレコミがあり、その後実際に反政府組織、ヴルツァライヒが引っかかったという。
帝国軍はその結果を受け、シュレーベンラント州へ続く道に検問を増設し、ハンター達もそれに参加していたのだが……。
自分達の担当場所から救援を要請されたエリアに到達した時、そこには既に無数の切断された肉塊が転がっていた。
「あら~? 帝国兵……ではないようね~?」
「フェノンノ様」
「構わないから先に行きなさいな~」
既に反政府組織と思しき者達を乗せたトラックが検問を通過し始めている。
先に進ませるわけにはいかないが、その前にはエルフらしき女性が立ちはだかっていた。
「この感じ、覚醒者かしらね~? ハンター……帝国軍よりは歯ごたえがありそうだけれど……」
ニタリと笑う女は美しい顔を醜悪に歪ませている。
心の底から沸き上がるような悪意……だが、思わず身震いがしたのはそれだけが理由ではない。
女が持っている血に染まったククリ刀。それとは別に、鞘に収まったままの剣が腰に見える。
「ああ……これに気づいたの~? 鋭いのね」
女はゆっくりと刃を鞘から解き放つ。すると紫色の光が蠢き、刀身に絡みついた。
聞いたことがある。亡霊型歪虚の中には、武具に怨念を宿らせた個体も存在していると。
「流石に覚醒者複数が相手じゃ私も苦戦するから、少しズルさせてもらうわねぇ?」
女からは歪虚に似た気配がする。だがまだ完全に歪虚化したわけではないのだろう。
“歪虚病”……そんな言葉がエルフハイムでは良く聞こえる。
歳を重ねた、或いは歪虚の汚染に近しい場所に身を置いた物が、徐々にその身を歪虚に変えていく症状を指す言葉だ。
右にマテリアルを帯びたククリ刀。左に闇を帯びたロングソード。
「ひょっとしたら、こういうタイプの敵とヤるのは初めて?」
にっこりと女が笑う。そうこうしている間にトラックは先へ進んでしまう……。
「邪魔はさせないわよぉ。折角これからお祭りが始まるんだから……ねぇ?」
燃える森の中、女は返り血に染まった頬を拭い振り返る。
足元に転がる死体はエルフハイム警備隊で同じ部隊に所属していた隊員達。そして……。
「うふふ。そうですよ~、アイリス隊長。さっき私が殺しました」
アイリスと呼ばれたエルフは部隊を束ねる立場にあった。
理解が及ばないのは当然の事だ。フェノンノは心優しく穏やかな女性だった。
年下の隊長であるアイリスをよく支え、警備隊としての生き方を教えてくれた人だった筈。
「なぜ……どうしてです、フェノンノ。この騒動もあなたの仕業なのですか?」
「そうだけど、そうではないわ~。これはすべてあなた達姉妹の招いた罪……まあ、私はどうでもいいんだけど」
剣を抜いたフェノンノは血に染まった刃を舐め、うっとりと笑みを浮かべる。
「いっぱい、い~っぱい死んだわ。自分がなぜ殺されるのか理解も出来ずにね」
「……そこを退きなさい、フェノンノ!」
「器はもう彼らに引き渡したから、今更追いかけるだけムダですよぉ、隊長?」
唇を噛み締め、アイリスは腰から対となる短剣を抜いた。
「人間と手を組んで私達を陥れ、器を奪ったあなたを許す事は出来ない……例え恩人でも!」
「あっはは~! いいですよアイリス隊長。すごくいい感じです~。憎しみが人を強くする。あなたはもっともっと強くなれる!」
地を蹴り刃を交える二人、顔を突き合わせ、フェノンノは目を細め笑う。
「あなたはこれまでで一番美味しそうな獲物。ちゃあんと熟成するまで我慢したんです……その愛らしい顔を苦痛に歪ませながら、命乞いをしてください~。泣き喚きながら、最愛の姉を救えずに……ここで私にバラバラにされてください。あったかい内蔵をぶちまけて! 首から上だけにしてお姉ちゃんにプレゼントしましょう!」
「――きッッッさまああ!!」
叫ぶアイリスの目尻から涙が溢れる。
警備隊として共に過ごした時間が、優しくて甘くて穏やかだったその全てが今、憎しみに変わろうとしていた。
「……フェノンノ様。検問です」
「はえ~? 居眠りしちゃいました~」
ずり落ちた丸眼鏡を押し上げ、涎を拭う。随分懐かしい夢を見た気がする。
トラックの荷台で立ち上がったフェノンノの視線の先。進行方向に帝国軍の兵士達の姿が見えた。
「どうしてこんな所に検問が~?」
「わかりません。他の部隊が捕捉されたのかもしれません」
部下の言葉に首を傾げるフェノンノ。それからあくびしつつ剣を取り。
「まあいいわ。皆殺しにして進みましょう」
『た、頼む……早く来てくれ。バケモノが……ぐああっ!?』
そんな通信を最後に帝国兵からの応答はなくなった。
ハンター達は帝国軍の依頼で数カ所に分かれ検問を敷いていた。
帝国領内にある、シュレーベンラント州。そこに不穏な物資の流れがあるとタレコミがあり、その後実際に反政府組織、ヴルツァライヒが引っかかったという。
帝国軍はその結果を受け、シュレーベンラント州へ続く道に検問を増設し、ハンター達もそれに参加していたのだが……。
自分達の担当場所から救援を要請されたエリアに到達した時、そこには既に無数の切断された肉塊が転がっていた。
「あら~? 帝国兵……ではないようね~?」
「フェノンノ様」
「構わないから先に行きなさいな~」
既に反政府組織と思しき者達を乗せたトラックが検問を通過し始めている。
先に進ませるわけにはいかないが、その前にはエルフらしき女性が立ちはだかっていた。
「この感じ、覚醒者かしらね~? ハンター……帝国軍よりは歯ごたえがありそうだけれど……」
ニタリと笑う女は美しい顔を醜悪に歪ませている。
心の底から沸き上がるような悪意……だが、思わず身震いがしたのはそれだけが理由ではない。
女が持っている血に染まったククリ刀。それとは別に、鞘に収まったままの剣が腰に見える。
「ああ……これに気づいたの~? 鋭いのね」
女はゆっくりと刃を鞘から解き放つ。すると紫色の光が蠢き、刀身に絡みついた。
聞いたことがある。亡霊型歪虚の中には、武具に怨念を宿らせた個体も存在していると。
「流石に覚醒者複数が相手じゃ私も苦戦するから、少しズルさせてもらうわねぇ?」
女からは歪虚に似た気配がする。だがまだ完全に歪虚化したわけではないのだろう。
“歪虚病”……そんな言葉がエルフハイムでは良く聞こえる。
歳を重ねた、或いは歪虚の汚染に近しい場所に身を置いた物が、徐々にその身を歪虚に変えていく症状を指す言葉だ。
右にマテリアルを帯びたククリ刀。左に闇を帯びたロングソード。
「ひょっとしたら、こういうタイプの敵とヤるのは初めて?」
にっこりと女が笑う。そうこうしている間にトラックは先へ進んでしまう……。
「邪魔はさせないわよぉ。折角これからお祭りが始まるんだから……ねぇ?」
リプレイ本文
ルピナス(ka0179)は真っ先にフェノンノへ駆け寄り、振動刀を振るう。
フェノンノが選択したのは回避。そこへミリア・コーネリウス(ka1287)が続いて斧を振り下ろすと、今度は左手の魔剣で防御する。
刃が交わると相反するマテリアルの光が散り、衝撃が爆ぜた。
「この細腕で……しかも片腕で弾かれたって!?」
驚くミリア。ルピナスは逡巡しつつ声をかける。
「やあ、また会ったね」
「あなたは~……不思議な縁ですね~。本当にまた会うなんて」
にこりと微笑むフェノンノだが、以前出会った時とは少し様子が違う。
良くも悪くも疾影士らしかった彼女は、あんな高火力攻撃を正面から打ち返す膂力などなかった筈だ。
それより何より、今は亡霊に焼かれた肌が不自然に青白く変色し、顔の左半分にまで影響は昇りつつあった。
「エルフ……いや、歪虚なのか? ルピナス、こいつを止めるぞ!」
「わかっているよ。さあ、一緒に踊ろうか」
両手で斧を構えるミリアにルピナスは応じ、二人はフェノンノに再度攻撃を開始する。
その横を脇目もふらずに駆け抜けるロイド・ブラック(ka0408)の姿があった。
ハンターの接近を確認し、慌てたように加速する先頭車両。数人の帝国軍人らしい格好をした男達が立ちふさがるが……。
「偽装した反政府組織か……お前さんたちの相手は後でしよう」
ロイドの足元が発光すると同時、その身体が大地の上を滑るように加速した。
そのまま銃撃を掻い潜り接近すると雷撃を放つ。組織兵がそれに怯んだ隙に間を抜け、車両を目指す。
しかし走って駆け寄る車両に到達するまでには時間がかかる。その間に第一車両が検問を突破しようとしていた……次の瞬間。
反政府組織の車両に側面から突っ込むトラックが見えた。当然、二台のトラックは衝撃で停止する。
「とりあえずこれで時間は稼げるでしょう……」
運転席から降りてきたマッシュ・アクラシス(ka0771)が銃を抜きながら呟く。
そのまま目の前で妙な方向に傾いているトラックのタイヤに発泡しながら歩いていく。
そんなマッシュごと、道を塞いでいるトラックをどかそうと勢い良く二台目のトラックが直進する。
ヘッドライトがマッシュを捉えたその直後、視界からマッシュは消えた。
遠距離からのCharlotte・V・K(ka0468)による狙撃でタイヤが吹っ飛んだのだ。ドリフト気味に滑った車両が横転すると、マッシュは背後に跳んで回避する。
「やれやれ。検問と木々と邪魔な敵兵のせいで射線の確保には苦労するな」
薬莢を吐き出すライフルを担ぎ、再度移動する。さっきからトラックが吹っ飛んだり転がったりしていて、微調整が面倒である。
「まあ、お陰で狙撃できるわけだが」
三台目のトラックは検問がめちゃくちゃで通行出来ずに足止めされている。
そこから降りてくる武装した敵兵を無視して車両のタイヤを銃撃。空気が晴れるする音にみじろいだ敵兵がCharlotteの姿を探すが、互いの有効射程には雲泥の差がある。
「早くトラックを起こすんだ! せめてここから離脱を……ぐあっ!?」
慌てる敵兵の背後からΣ(ka3450)が大太刀で斬りつけ、拳銃で威嚇すると兵士たちは車両の影に入りライフルを取り出す。
「通行は不可能だ! 後続車両は退却しろ!」
「む、そう来たか」
検問の突破は不可能と踏んだ反政府勢力のトラック、四台目と五台目はよたつきながらバックを開始。
道の端の木々に衝突しつつ、強引にUターンを試みる。
「あいつら……逃げるつもりか!?」
「一応訓練された軍人ですから~、その辺の雑兵と一緒にされては困ります~」
戦闘の目端でトラックを捉え声を上げるミリア。フェノンノは魔剣から黒いオーラをまとった斬撃で二人を薙ぎ払う。
「間に合うか……!?」
ロイドは敵を突っ切りながら走る。既に後方車両へ向かっていた彼は大きく跳躍した。
バックする車両のボンネットに着地したロイドはブラストナックルをボンネットに突き刺し、爆発を起こす。
その衝撃で四代目のトラックは猛スピードでバックし、林道で木々に激突。煙を巻き上げ停止する。
そして五台目は移動を終えたCharlotteがライフルを構える。その視線にには必死で車を後ろ向きに走らせる敵兵が見えた。
「タイヤを狙える角度ではないのでな……悪く思ってくれるなよ」
引き金を引くと弾丸が発射され、それは吸い込まれるように運転手に命中。フロントガラスが赤く染まった。
車両はやはり林道を逸れ、木々に衝突。白い煙を巻き上げながら車両は停止した。
騒音が一瞬静寂に代わり、しかし車両から降りた兵士達による銃撃の音が響く中、ぽつりぽつりと雨粒が落ち始めていた。
「どうやら悪巧みは失敗に終わったみたいだね」
「悪巧み……? 私達がですか~?」
「そうさ。お前達を行かせればこの場の帝国兵みたいな奴が増える事になる」
「お嬢さんは、なぜ闘っているんですか~?」
突然の質問にミリアは呆れたように声を漏らす。
「私達はヴルツァライヒの中でも傭兵……つまり、その行いの善悪には興味がないんですよ~。戦場があるから闘う。ただそれだけですから」
「悪いけどね、傭兵をみんなお前達みたいなのと一緒にされるのは心外なんだよ」
「ハンターは戦いの中でしか自分を証明出来ない。あなたもそれは同じはずでしょう?」
この女の与太話に聞く耳など持つつもりはないが、何故か妙に癇に障る。
「あなた達は私達と同じ。どの陣営についているかの違いでしかないわ~」
「俺も正直正義に殉じる性質じゃないけどね。それにしたって、人間にはここまで出来ないんじゃないかなーって思うよ」
フェノンノはこの場にいた帝国兵十名以上を惨殺している。
「君の血は酷く冷たかった。ミリアちゃんとは違うよ」
引きつるように笑みを浮かべるフェノンノ。返り血に濡れたその横顔は美しく、だが酷く醜い。
その時、背後から衝撃音が聞こえた。トラックの荷台が内側から暴れているのだ。
「くそ、駄目だ! 衝撃で奴らが起動した!」
「フェノンノ様! ……兵長! ここは危険です!」
兵士の一人が叫ぶと同時、荷台の天井が突き破られた。そこから長い腕で這い出てきたのは巨大な剣機型。
「……トウルスト型だと? 馬鹿なのか君たちは?」
舌打ちするCharlotte。そんな物騒な物、人間が運んでいればそうなる。
別のトラックからは強化されたゾンビがぞろぞろと出現し、敵兵と交戦している。
「なるほど……コントロール出来ないのか」
この場に剣機を扱える人間が居ない。だからリンドヴルムで空輸できなかったのか。
更にトウルスト型が一体、荷台から這い出る。雨脚が強くなる中、怪物は空に吼えた。
「予想はしていたがこの数……実に面倒である」
眼鏡のブリッジを持ち上げるロイド。周囲ではゾンビと敵兵の言わば同士討ちが始まり、場は混乱を極める。
検問の前後から出現した帝国軍のトラックから兵士が降りてくるが、わけのわからない状況に唖然としていた。
「応援の要請でここまで来たが……なんだこれは!?」
振り返り状況を説明するマッシュ。先に軍のトランシーバーで自分達と同じように近くに張っていた帝国軍を呼び寄せていたのだ。
「我々にあんなデカブツをどうにかする装備はないぞ!」
「……ですよね。仕方ありません、私達でなんとかします」
小さく息を吐くマッシュ。遠巻きにフェノンノを眺めるが、今あそこに向かう余裕はない。
「それにしても……兵長、ですか」
嫌な呼び名だ。案外あの服は、見掛け倒しではないのか。
それに、目の前の敵兵達も……。
トウルスト型は何の武器も持っていないが、その口部に光を収束させ熱線を発射する。
散開する帝国兵が乗ってきたトラックに着弾すると、轟音と共に爆炎を巻き上げた。
「フェノンノ様!」
「適当に離脱しなさい! ここは私が受け持つ!」
林の中に撤退していく敵兵。フェノンノは対の刃を振るい、ミリアとルピナスに襲いかかる。
「こんな事してる場合かよ!」
「だからこそでしょ~? 戦いは楽しい! どうせならグチャグチャの方がねぇっ!」
ルピナスとミリアはフェノンノと交戦している。帝国兵もゾンビと戦闘を開始しているが、強化ゾンビ相手では分が悪い。
「……こちらが先決であるか」
仲間を信じて今はゾンビへ。帝国兵が車両を盾に銃撃するところへ駆け寄り、ロイドは火炎で薙ぎ払う。
「纏めて沈んでくれたまえ」
更に横転したトラックの側にいる兵に声をかけ。
「車両を狙って爆発させるのだ!」
ウヨウヨ歩いているゾンビ共ごと爆発が吹き飛ばす。炎に包まれ、それでもゾンビは立ち上がるが。
ゾンビは武装がないので攻撃能力は低いが、数が多すぎる。
Σは一度車両の上に登り、ウロウロしているゾンビを銃撃する。が、撃っても撃ってもわいてくる。
マッシュはスピアを構えると、敵集団めがけて突進。まとめて貫いたゾンビごと振りぬくように薙ぎ払い、肉片をぶちまける。
「兵士の皆さんは足を狙い、動きを制限してください。止めは私が刺します」
そこへトウルスト型が駆け寄り拳を振り下ろす。マッシュはスピアでこれを打ち払い、金属音が高らかに鳴り響いた。
Charlotteは狙いを定め、トウルストの足を撃ちぬく。一発二発で倒れる相手ではないが。
「上等だ……相手になってやるよ、おばちゃん!」
フェノンノの斬撃は見た目より遥かに重い。理屈は分からないが、魔剣による攻撃はインパクトの瞬間重さが増す感覚がある。
だがミリアはこれに真っ向勝負で打ち合えるパワーがある。光が迸ると、ルピナスは背後へ回り込み刃を繰り出す。
最初は異常に鋭かったフェノンノだが、その動きは衰え始めていた。明らかに疲労が出始めている。
「ミリアちゃん、狙うなら左手の剣だよ」
「わかってる!」
ルピナスが素早く連撃を繰り出す。フェノンノが回避した先を狙うようにミリアが斧を振り下ろすと、左腕が勝手に持ち上がりガードする。
「前に君は歪虚も人間なんて言ってたけど、やはり二つは相容れないんじゃないかな?」
「同じですよ~。どちらも本能的に滅びを求めている。だってこんなに戦争は愉しい!」
魔剣に収束した闇のオーラが黒い斬撃となって放たれる。ミリアがこれを真正面から斧で打ち払うと同時、ルピナスは空を舞う。
フェノンノの頭上からワイヤーを放つとそれを魔剣に巻きつけながら着地。ぎしりと地べたに手を着くように引き寄せる。
「ミリアちゃん!」
雄叫びを上げながら斧を振り下ろすミリア。フェノンノは右手のククリ刀で防御するが、その防御をぶちぬいて斧は左腕に食い込む。
切断された腕が魔剣を握ったまま跳ね上がる。血飛沫が吹き出し、フェノンノは笑いながら背後へ跳んだ。
「これで魔剣は使えない」
「ふふ、ふふひひひ……あはははは!」
切り落とされた腕がぴくりと動き、そのまま二人へ襲いかかる。
「何!?」
腕から吹き出していた血液が空中で停止し、渦巻くようにして結晶化する。その様子にルピナスは目を細める。
「歪虚……に、なりつつあるのか?」
「ルピナス氏、ミリア氏!」
背後からのロイドの声に振り返ると、トウルストが熱線を発射する。二人は左右へ跳んで回避するが、フェノンノは浮かんだ魔剣と共に爆炎の向こうへと姿を消した。
「逃げたか……くそ、だけど今はこっちだ」
斧を肩に乗せ駆け出すミリア。ルピナスもその後に続く。
Charlotteの銃撃がトウルストに膝を突かせると、倒れてくる顎に向かってマッシュはスピアを繰り出す。
顎から脳天まで突き破った一撃に巨人は悲鳴を上げ、もがくようにして仰向けに倒れた。ついでにゾンビが巻き沿いになる。
「やれやれ……後は巨人が一体……あちらは良いとして」
帝国兵に足を撃たれ這いずっているゾンビを一体ずつ銃撃で潰していく。
「後片付けが面倒ですね……」
Charlotteは距離を詰め、デルタレイでうろつくゾンビを始末していく。その足元には逃げきれずゾンビに殺された敵兵も転がっていた。
「……分不相応な事をするからこうなるのだ」
一方、もう一体の巨人。ロイドが雷撃でひるませると、ルピナスは大地を蹴り、空を舞って巨人の顔を斬りつける。
その間にミリアは斧で片足を両断。倒れてくると三人が次々に攻撃を放ち、巨人はやがて動かなくなった。
「くはー、無駄にかったいのねこいつ」
「どうやら大凡片付いたようであるが……フェノンノは?」
「片腕切り落としたけど逃げられた。腕だけそこに落ちてるよ」
ルピナスの答えに頷くロイド。戦果としては十分過ぎるだろう。
炎上するトラックが何台も横転した戦場の後始末には時間がかかりそうだった。
ハンター達は道端で雨宿りしつつ、状況を報告しあう。
「色々と間一髪ではあったが、結果的には万全の成果であったな」
ロイドの言葉に頷くハンター達。マッシュは腕を組み。
「……反政府組織の中には元帝国軍人も混ざっているのでしょう。練度で言えば、現役の帝国兵より上のようでした」
「あのフェノンノってやつもなんか階級で呼ばれてたよ」
「ええ。であれば、帝国軍となんらかの関係性があると見るべきでしょう」
ミリアに頷き返すマッシュ。Charlotteはふむと息を吐き。
「奴はエルフハイムの結界術を使っていた。過去の帝国とも関係があるのなら、タングラムくんなら何かわかるかもしれないな……」
「しかし、エルフというのはああなってしまうものなのかな?」
呟くルピナス。フェノンノはまるで歪虚のようだった。以前はまだ少しは人間の気配を残していたが、今はもうよくわからない。
「それも、タングラムくんに聞いてみるか」
「とりあえず連中の装備は回収して出処を探らないとだね。あいつは傭兵って言ってた。なら、雇い主がいるはずだからね」
敵兵が使っていたライフルを拾い上げて頷くミリア。その銃は型こそ古いものの、帝国兵が持っている銃と同じように見えた。
フェノンノが選択したのは回避。そこへミリア・コーネリウス(ka1287)が続いて斧を振り下ろすと、今度は左手の魔剣で防御する。
刃が交わると相反するマテリアルの光が散り、衝撃が爆ぜた。
「この細腕で……しかも片腕で弾かれたって!?」
驚くミリア。ルピナスは逡巡しつつ声をかける。
「やあ、また会ったね」
「あなたは~……不思議な縁ですね~。本当にまた会うなんて」
にこりと微笑むフェノンノだが、以前出会った時とは少し様子が違う。
良くも悪くも疾影士らしかった彼女は、あんな高火力攻撃を正面から打ち返す膂力などなかった筈だ。
それより何より、今は亡霊に焼かれた肌が不自然に青白く変色し、顔の左半分にまで影響は昇りつつあった。
「エルフ……いや、歪虚なのか? ルピナス、こいつを止めるぞ!」
「わかっているよ。さあ、一緒に踊ろうか」
両手で斧を構えるミリアにルピナスは応じ、二人はフェノンノに再度攻撃を開始する。
その横を脇目もふらずに駆け抜けるロイド・ブラック(ka0408)の姿があった。
ハンターの接近を確認し、慌てたように加速する先頭車両。数人の帝国軍人らしい格好をした男達が立ちふさがるが……。
「偽装した反政府組織か……お前さんたちの相手は後でしよう」
ロイドの足元が発光すると同時、その身体が大地の上を滑るように加速した。
そのまま銃撃を掻い潜り接近すると雷撃を放つ。組織兵がそれに怯んだ隙に間を抜け、車両を目指す。
しかし走って駆け寄る車両に到達するまでには時間がかかる。その間に第一車両が検問を突破しようとしていた……次の瞬間。
反政府組織の車両に側面から突っ込むトラックが見えた。当然、二台のトラックは衝撃で停止する。
「とりあえずこれで時間は稼げるでしょう……」
運転席から降りてきたマッシュ・アクラシス(ka0771)が銃を抜きながら呟く。
そのまま目の前で妙な方向に傾いているトラックのタイヤに発泡しながら歩いていく。
そんなマッシュごと、道を塞いでいるトラックをどかそうと勢い良く二台目のトラックが直進する。
ヘッドライトがマッシュを捉えたその直後、視界からマッシュは消えた。
遠距離からのCharlotte・V・K(ka0468)による狙撃でタイヤが吹っ飛んだのだ。ドリフト気味に滑った車両が横転すると、マッシュは背後に跳んで回避する。
「やれやれ。検問と木々と邪魔な敵兵のせいで射線の確保には苦労するな」
薬莢を吐き出すライフルを担ぎ、再度移動する。さっきからトラックが吹っ飛んだり転がったりしていて、微調整が面倒である。
「まあ、お陰で狙撃できるわけだが」
三台目のトラックは検問がめちゃくちゃで通行出来ずに足止めされている。
そこから降りてくる武装した敵兵を無視して車両のタイヤを銃撃。空気が晴れるする音にみじろいだ敵兵がCharlotteの姿を探すが、互いの有効射程には雲泥の差がある。
「早くトラックを起こすんだ! せめてここから離脱を……ぐあっ!?」
慌てる敵兵の背後からΣ(ka3450)が大太刀で斬りつけ、拳銃で威嚇すると兵士たちは車両の影に入りライフルを取り出す。
「通行は不可能だ! 後続車両は退却しろ!」
「む、そう来たか」
検問の突破は不可能と踏んだ反政府勢力のトラック、四台目と五台目はよたつきながらバックを開始。
道の端の木々に衝突しつつ、強引にUターンを試みる。
「あいつら……逃げるつもりか!?」
「一応訓練された軍人ですから~、その辺の雑兵と一緒にされては困ります~」
戦闘の目端でトラックを捉え声を上げるミリア。フェノンノは魔剣から黒いオーラをまとった斬撃で二人を薙ぎ払う。
「間に合うか……!?」
ロイドは敵を突っ切りながら走る。既に後方車両へ向かっていた彼は大きく跳躍した。
バックする車両のボンネットに着地したロイドはブラストナックルをボンネットに突き刺し、爆発を起こす。
その衝撃で四代目のトラックは猛スピードでバックし、林道で木々に激突。煙を巻き上げ停止する。
そして五台目は移動を終えたCharlotteがライフルを構える。その視線にには必死で車を後ろ向きに走らせる敵兵が見えた。
「タイヤを狙える角度ではないのでな……悪く思ってくれるなよ」
引き金を引くと弾丸が発射され、それは吸い込まれるように運転手に命中。フロントガラスが赤く染まった。
車両はやはり林道を逸れ、木々に衝突。白い煙を巻き上げながら車両は停止した。
騒音が一瞬静寂に代わり、しかし車両から降りた兵士達による銃撃の音が響く中、ぽつりぽつりと雨粒が落ち始めていた。
「どうやら悪巧みは失敗に終わったみたいだね」
「悪巧み……? 私達がですか~?」
「そうさ。お前達を行かせればこの場の帝国兵みたいな奴が増える事になる」
「お嬢さんは、なぜ闘っているんですか~?」
突然の質問にミリアは呆れたように声を漏らす。
「私達はヴルツァライヒの中でも傭兵……つまり、その行いの善悪には興味がないんですよ~。戦場があるから闘う。ただそれだけですから」
「悪いけどね、傭兵をみんなお前達みたいなのと一緒にされるのは心外なんだよ」
「ハンターは戦いの中でしか自分を証明出来ない。あなたもそれは同じはずでしょう?」
この女の与太話に聞く耳など持つつもりはないが、何故か妙に癇に障る。
「あなた達は私達と同じ。どの陣営についているかの違いでしかないわ~」
「俺も正直正義に殉じる性質じゃないけどね。それにしたって、人間にはここまで出来ないんじゃないかなーって思うよ」
フェノンノはこの場にいた帝国兵十名以上を惨殺している。
「君の血は酷く冷たかった。ミリアちゃんとは違うよ」
引きつるように笑みを浮かべるフェノンノ。返り血に濡れたその横顔は美しく、だが酷く醜い。
その時、背後から衝撃音が聞こえた。トラックの荷台が内側から暴れているのだ。
「くそ、駄目だ! 衝撃で奴らが起動した!」
「フェノンノ様! ……兵長! ここは危険です!」
兵士の一人が叫ぶと同時、荷台の天井が突き破られた。そこから長い腕で這い出てきたのは巨大な剣機型。
「……トウルスト型だと? 馬鹿なのか君たちは?」
舌打ちするCharlotte。そんな物騒な物、人間が運んでいればそうなる。
別のトラックからは強化されたゾンビがぞろぞろと出現し、敵兵と交戦している。
「なるほど……コントロール出来ないのか」
この場に剣機を扱える人間が居ない。だからリンドヴルムで空輸できなかったのか。
更にトウルスト型が一体、荷台から這い出る。雨脚が強くなる中、怪物は空に吼えた。
「予想はしていたがこの数……実に面倒である」
眼鏡のブリッジを持ち上げるロイド。周囲ではゾンビと敵兵の言わば同士討ちが始まり、場は混乱を極める。
検問の前後から出現した帝国軍のトラックから兵士が降りてくるが、わけのわからない状況に唖然としていた。
「応援の要請でここまで来たが……なんだこれは!?」
振り返り状況を説明するマッシュ。先に軍のトランシーバーで自分達と同じように近くに張っていた帝国軍を呼び寄せていたのだ。
「我々にあんなデカブツをどうにかする装備はないぞ!」
「……ですよね。仕方ありません、私達でなんとかします」
小さく息を吐くマッシュ。遠巻きにフェノンノを眺めるが、今あそこに向かう余裕はない。
「それにしても……兵長、ですか」
嫌な呼び名だ。案外あの服は、見掛け倒しではないのか。
それに、目の前の敵兵達も……。
トウルスト型は何の武器も持っていないが、その口部に光を収束させ熱線を発射する。
散開する帝国兵が乗ってきたトラックに着弾すると、轟音と共に爆炎を巻き上げた。
「フェノンノ様!」
「適当に離脱しなさい! ここは私が受け持つ!」
林の中に撤退していく敵兵。フェノンノは対の刃を振るい、ミリアとルピナスに襲いかかる。
「こんな事してる場合かよ!」
「だからこそでしょ~? 戦いは楽しい! どうせならグチャグチャの方がねぇっ!」
ルピナスとミリアはフェノンノと交戦している。帝国兵もゾンビと戦闘を開始しているが、強化ゾンビ相手では分が悪い。
「……こちらが先決であるか」
仲間を信じて今はゾンビへ。帝国兵が車両を盾に銃撃するところへ駆け寄り、ロイドは火炎で薙ぎ払う。
「纏めて沈んでくれたまえ」
更に横転したトラックの側にいる兵に声をかけ。
「車両を狙って爆発させるのだ!」
ウヨウヨ歩いているゾンビ共ごと爆発が吹き飛ばす。炎に包まれ、それでもゾンビは立ち上がるが。
ゾンビは武装がないので攻撃能力は低いが、数が多すぎる。
Σは一度車両の上に登り、ウロウロしているゾンビを銃撃する。が、撃っても撃ってもわいてくる。
マッシュはスピアを構えると、敵集団めがけて突進。まとめて貫いたゾンビごと振りぬくように薙ぎ払い、肉片をぶちまける。
「兵士の皆さんは足を狙い、動きを制限してください。止めは私が刺します」
そこへトウルスト型が駆け寄り拳を振り下ろす。マッシュはスピアでこれを打ち払い、金属音が高らかに鳴り響いた。
Charlotteは狙いを定め、トウルストの足を撃ちぬく。一発二発で倒れる相手ではないが。
「上等だ……相手になってやるよ、おばちゃん!」
フェノンノの斬撃は見た目より遥かに重い。理屈は分からないが、魔剣による攻撃はインパクトの瞬間重さが増す感覚がある。
だがミリアはこれに真っ向勝負で打ち合えるパワーがある。光が迸ると、ルピナスは背後へ回り込み刃を繰り出す。
最初は異常に鋭かったフェノンノだが、その動きは衰え始めていた。明らかに疲労が出始めている。
「ミリアちゃん、狙うなら左手の剣だよ」
「わかってる!」
ルピナスが素早く連撃を繰り出す。フェノンノが回避した先を狙うようにミリアが斧を振り下ろすと、左腕が勝手に持ち上がりガードする。
「前に君は歪虚も人間なんて言ってたけど、やはり二つは相容れないんじゃないかな?」
「同じですよ~。どちらも本能的に滅びを求めている。だってこんなに戦争は愉しい!」
魔剣に収束した闇のオーラが黒い斬撃となって放たれる。ミリアがこれを真正面から斧で打ち払うと同時、ルピナスは空を舞う。
フェノンノの頭上からワイヤーを放つとそれを魔剣に巻きつけながら着地。ぎしりと地べたに手を着くように引き寄せる。
「ミリアちゃん!」
雄叫びを上げながら斧を振り下ろすミリア。フェノンノは右手のククリ刀で防御するが、その防御をぶちぬいて斧は左腕に食い込む。
切断された腕が魔剣を握ったまま跳ね上がる。血飛沫が吹き出し、フェノンノは笑いながら背後へ跳んだ。
「これで魔剣は使えない」
「ふふ、ふふひひひ……あはははは!」
切り落とされた腕がぴくりと動き、そのまま二人へ襲いかかる。
「何!?」
腕から吹き出していた血液が空中で停止し、渦巻くようにして結晶化する。その様子にルピナスは目を細める。
「歪虚……に、なりつつあるのか?」
「ルピナス氏、ミリア氏!」
背後からのロイドの声に振り返ると、トウルストが熱線を発射する。二人は左右へ跳んで回避するが、フェノンノは浮かんだ魔剣と共に爆炎の向こうへと姿を消した。
「逃げたか……くそ、だけど今はこっちだ」
斧を肩に乗せ駆け出すミリア。ルピナスもその後に続く。
Charlotteの銃撃がトウルストに膝を突かせると、倒れてくる顎に向かってマッシュはスピアを繰り出す。
顎から脳天まで突き破った一撃に巨人は悲鳴を上げ、もがくようにして仰向けに倒れた。ついでにゾンビが巻き沿いになる。
「やれやれ……後は巨人が一体……あちらは良いとして」
帝国兵に足を撃たれ這いずっているゾンビを一体ずつ銃撃で潰していく。
「後片付けが面倒ですね……」
Charlotteは距離を詰め、デルタレイでうろつくゾンビを始末していく。その足元には逃げきれずゾンビに殺された敵兵も転がっていた。
「……分不相応な事をするからこうなるのだ」
一方、もう一体の巨人。ロイドが雷撃でひるませると、ルピナスは大地を蹴り、空を舞って巨人の顔を斬りつける。
その間にミリアは斧で片足を両断。倒れてくると三人が次々に攻撃を放ち、巨人はやがて動かなくなった。
「くはー、無駄にかったいのねこいつ」
「どうやら大凡片付いたようであるが……フェノンノは?」
「片腕切り落としたけど逃げられた。腕だけそこに落ちてるよ」
ルピナスの答えに頷くロイド。戦果としては十分過ぎるだろう。
炎上するトラックが何台も横転した戦場の後始末には時間がかかりそうだった。
ハンター達は道端で雨宿りしつつ、状況を報告しあう。
「色々と間一髪ではあったが、結果的には万全の成果であったな」
ロイドの言葉に頷くハンター達。マッシュは腕を組み。
「……反政府組織の中には元帝国軍人も混ざっているのでしょう。練度で言えば、現役の帝国兵より上のようでした」
「あのフェノンノってやつもなんか階級で呼ばれてたよ」
「ええ。であれば、帝国軍となんらかの関係性があると見るべきでしょう」
ミリアに頷き返すマッシュ。Charlotteはふむと息を吐き。
「奴はエルフハイムの結界術を使っていた。過去の帝国とも関係があるのなら、タングラムくんなら何かわかるかもしれないな……」
「しかし、エルフというのはああなってしまうものなのかな?」
呟くルピナス。フェノンノはまるで歪虚のようだった。以前はまだ少しは人間の気配を残していたが、今はもうよくわからない。
「それも、タングラムくんに聞いてみるか」
「とりあえず連中の装備は回収して出処を探らないとだね。あいつは傭兵って言ってた。なら、雇い主がいるはずだからね」
敵兵が使っていたライフルを拾い上げて頷くミリア。その銃は型こそ古いものの、帝国兵が持っている銃と同じように見えた。
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検問突破阻止相談 ミリア・ラスティソード(ka1287) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/05 10:19:45 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/01 12:48:29 |