急募、お化けアルバイト

マスター:尾仲ヒエル

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/06/14 19:00
完成日
2015/06/19 22:51

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●少年の希望
「リアルブルーには、お化け屋敷っていうのがあるんでしょ」
 とある郊外のお屋敷に集められたハンターたち。
 ソファーに座る彼らの前に立っていたのは、乗馬服に身を固めた10歳くらいの少年だった。
 栗色の巻き毛の下で、猫を思わせる緑色の瞳がきらめく。顔立ちは整っており、ありありとそこに浮かぶ生意気な表情さえなければ、まさに絵に描いたような美少年そのものだった。
 少年の脇には、大きな木箱が何個も積まれていた。その内の1つはふたが開いていて、中から脚立やランタンが見えている。
「吟遊詩人から話を聞いて、そのお化け屋敷に行こうとしたら、この近くにはなかったんだ。だったら作っちゃおうと思ってさ。道具を少しと、あと部屋を1つ用意した」
 少年はそう言うと、革のブーツのつま先を木箱に当て、カツンと音を立てた。
 話に耳を傾けるハンターの横では、一分の隙もなく銀髪を撫でつけた執事が、薄手の優美なティーカップに人数分の紅茶をそそいでいく。きらびやかな調度品に溢れた部屋が、華やかな香りで満たされた。
「君たちには、お化けになって僕をおどかしてほしいんだ」
 少年は木箱の前面に張った大きな紙を示した。そこには部屋の見取り図が書かれている。
「部屋には、黒い布でこんな風に通路が作られてる。僕がそこを通る。君たちがおどかす。簡単でしょ?」
 手にした乗馬用の鞭で、とんとんと見取り図を叩いていた少年が、くるっと振り返った。
「でも、僕が子供だからって手を抜かないでよね。せっかくここまでするんだし、本格的なお化け屋敷を体験したいんだ。できないと思ったら、今すぐ降りてもらって構わないから」
 ふふん、と尊大な笑みを浮かべる少年に、紅茶を給仕し終わった執事が、そっと声をかける。
「ウィリアム様、そろそろ乗馬の先生のいらっしゃるお時間です」
「分かったよ」
 まだ話し足りない様子の少年だったが、渋々といった様子で部屋を後にした。

●執事の本音
「急な話で申し訳ありません。生憎、屋敷に詳しい知識を持つ者がおらず、かといって怪しげな施設に入って、ウィリアム様にもしものことがあっては大変です。その点、ハンターの方々になら安心してお任せできますし、経験豊かな皆様ならきっと成し遂げてくださると思い、お願いした次第です」
 執事は木箱の中から脚立とランタンを取り出すと、ハンターたちに見せた。
「布や脚立、ランタンなどはこちらであらかじめ用意してあります。他に何か必要な物がありましたら、なるべくこちらで御用意させていただこうと思います。希少な物や、入手に手間のかかる物は難しいかもしれませんが、近隣の町で買える程度の物でしたら善処致しますのでお申し付けください」
 ランタンを箱に戻した執事は、優美な仕草でペンを取ると見取り図に近付いた。
「また、万が一事故があってはいけませんので、こちらでも人を配置させていただきます」
 見取り図に6つの丸印を書き入れた執事は、深いため息をついた。
「分かっております。さぞや、『あのこまっしゃくれたガキめ。いつもいつも無茶ばかり言いやがって』『子供だと思っていい気になるなよ。いつか目にもの見せてやる』とお思いのことでしょう」
 そこまでは思っていない、と、遮ろうとしたハンターの1人は、妙に実感のこもった執事の様子に気圧されて口をつぐんだ。
「しかし、ウィリアム様はまだ10歳。お父様とお母様はお忙しく、ウィリアム様と何日も顔を合わせることがない日々です。きっと、強がってはいてもお寂しいのです。時々こうして我儘を言うことで、お気持ちが晴れるのであれば、可能な範囲で叶えて差し上げたい。わたくしたちはそう思ってお仕えしております。ハンターの皆様には無理を申し上げることになってしまいますが、どうかお手伝いいただけないでしょうか」
 深々と頭を下げる執事を見て、ハンターたちの間にしんみりした空気が漂う。
 そのとき、外の廊下から軽やかな足音が聞こえてきた。ばたんと勢いよく開いた扉の間から、悪戯っぽい表情を浮かべたウィリアムの顔がひょこっと覗く。
「ねえ、僕を簡単におどかせるなんて思わないでよね」

リプレイ本文

●準備
 廊下の端でハーレキン(ka3214)が、金髪のメイドに黒い袋状のものを手渡した。
「じゃあ、そういうことだから、倒れている間はこれをかぶってね」
「かしこまりました」
 近くの部屋の中では、ハンターたちがそれぞれに準備を始めていた。
 部屋の奥には、2つのついたてが設けられている。
 左側のついたての向こうから、フィーサ(ka4602)の声が聞こえてくる。
「おっとと……気を付けないとこぼれちゃいそうだー」
「フィーサ様。お着物の布が足りません。ここを手でおさえていていただけますか?」
「うーん、入りきらない。ギリギリにし過ぎたかなー?」
 メイドがフィーサの着付けを手伝っているらしい。
 右側のついたての向こうでは、久木 満(ka3968)が全身スーツに改造を加えているらしく、先ほどから、ぎりぃ、みちぃ、といった不穏な音が響いてきていた。
「クックックックッ……出来たぞ」
 向こう側で一体どんな格好をしているのか、ついたての上からスーツの足の部分が覗く。
「これでヤツに恐怖と言う名の一生拭い切れないナニかをインプラントしてくれる……!」
 足の先にはめられた白い手袋が、久木が喋るたびにびよびよと震えた。
「うわあ。先に僕たちに恐怖が植えつけられそうだね」
 部屋に入ってきたハーレキンが、飛び出た足を見て顔をひきつらせる。
「うん。でもいいかも。お化け屋敷の一発目は『身構えた割にはこの程度か』と思うものが良いけど、そうして一度油断したところに、もっとキツいものを浴びせると効果的だから……あなたみたいな」
「クックックッ」
 そんな2人のやりとりを眺めながら、ぼろぼろに破れた修道服を着たミルティア・ミルティエラ(ka0155)は、手にしたヘラでボウルに入った赤黒い液体を混ぜていた。
「それなあに?」
 ハーレキンがミルティアの手元を覗き込む。
「血のり。顔に塗ろうと思って」
 ミルティアがヘラを持ち上げると、その先から粘度の高い液体がたらりと垂れた。
「用意できなかったら、自分の血を使おうと思ってたんだけどね……やだな。冗談だよ。冗談」
 固まったハーレキンの肩をぺしぺし叩きながら、ミルティアは明るい笑い声を上げた。 

●お化け屋敷、入り口
「本日は我らハンターの手による『お化け屋敷』にようこそ」
 お化け屋敷に改造された部屋の前で、レイ・T・ベッドフォード(ka2398)が少年に向かって優雅な礼をした。
「ウィリアム様には、この回廊を進んで頂きます。ゆっくりと……そう、決して、迷わぬように」
 少年の肩に、にふわりと黒いマントがかけられる。
「立ち入りの際には、このマントをお付けください。何か有った時に、貴方の身代わりになってくれるよう――私の故郷に伝わる、まじない人形を付けています」
 マントの左胸のあたりには、愛嬌のある顔立ちをした小さな人形がブローチのように付けられている。
 マントの紐を結ぶと、レイは少年の両肩に手を置き、じっと目を見つめながら語りかけた。
「……リアルブルーでは、こういう話があるのをご存知ですか? 深夜に行う怪談や、夜間に1人で行う儀式――霊に纏わる事柄は、概して幽霊を呼び寄せる、と」
 レイが両手を離す。少年は気付いていなかったが、マントに隠れたシャツの両肩には、べったりと赤い手形がつけられていた。
「……くれぐれもご注意ください」
 少年の後ろ姿に向かって声をかけると、レイは自分の持ち場に向かった。

●ハーレキン
 墨を流したような真っ暗闇の中を、少年が警戒しながら歩き出す。
 ランタンの光が届く範囲だけが明るく浮かび上がって見えた。
 少年は、1つめの曲がり角の手前でぴたりと足を止めた。
 曲がり角の影から、長い黒髪をばさりと顔の前に垂らした、白いワンピースの女がこちらを覗いていた。
「そんなんじゃ僕はおどろかないよ」
 少年の言葉に、人影は黙ったまま、すうっと通路の奥へと消えた。
 拍子抜けした様子で曲がり角を曲がった少年は、通路の先に誰かが倒れているのを見つけた。
 こちらに背中を向けているため顔が見えないが、その服からすると屋敷のメイドの誰かのようだ。
「だから、そんなんじゃ僕は」
 そう言いながら少年が近づいたとき、メイドがごろりと仰向けになった。
「ひ」
 少年が悲鳴を上げる。メイドの首から先は、闇に食われたように無くなっていた。
「……驚か、ない」
 ぎこちなく呟きながら、少年は通路の真ん中に転がる首なし死体を避けて進んでいく。
 2つめの曲がり角には、机が据えられていた。
 机の上には、まるで花瓶か何かのように生首が飾られていた。
 目を閉じたそれは、ハーレキンと名乗ったハンターのものだ。
 整った顔立ちと、血の気の失せた白い肌が、ハーレキンの首を人形めいて見せている。
 机の下にあるはずの胴体は見えず、ぽっかりと黒い空間が広がっていた。
 「こ、こんなの、前に手品で見たことあるし。全然怖くないし」
 少年が横を通り過ぎようとしたとき、生首の目がぱちりと開いた。
 はっとするほど青い目が少年を見つめ、色のない唇がわななきながら言葉を紡ぐ。
「タスケテ……タスケテ……」
 すがるような眼差しに、少年が後ずさる。
「カラダガ、ナイノ……タスケテ……」
 青い目から、ぽろりと涙がこぼれた。
 少年は耳を塞ぐと、逃げるようにその場を離れた。
「怖くない。怖くない。だって、ぜんぶ作り物だし」
 自分に言い聞かせるように呟きながら、少年は3つ目の曲がり角を曲がる。
 当初の余裕はどこかに消え失せていた。

●久木
 通路の先の暗闇に、光が2つ浮かんでいる。
 ランタンの光に照らされて浮かび上がったものは、久木と名乗ったハンターに似ていた。
 しかし、その腕はありえない角度に曲がり、手はだらりと垂れている。
 少しかしいだ頭部の真ん中で、昆虫を思わせる大きな瞳が不気味に光っていた。
 それは大きく体を揺らしながら、ぎこちなく一歩を踏み出した。
 動くたびに、ぎり、みちぃ、と異様な音が鳴る。
「う」
 少年の口から短い悲鳴がもれる。
 不気味な物体の正体は、全身スーツを上下逆に着こんで逆立ちをした久木だった。
 股の間には空っぽの頭部が取り付けられ、腕の間に張られた黒い布が本物の頭を隠している。
 少年をおどかすことについては成功と言えそうだったが、スーツの中では、久木がこの改造の致命的な欠点に気が付いていた。
「クックック……前が見えん」
 声と気配のする方を探りながら前に進んでいた久木は、急に気配が遠くなったことを感じ取った。
 相手の動きが遅いことに気が付いた少年が、素早く横をすり抜けたのだ。
「逃がすかぁぁぁ!」
 体ごと振り返った久木が「地を駆けるもの」を使って加速する。
「うわあ!」
「ヒャーハハハハ!」
 慌てて走り出す少年を、逆立ちをした久木が狂乱した笑い声と共に追いかけた。
 前が見えない久木は、加速したまま闇雲に走り回って何度も壁にぶつかった。
 あらぬ方向に曲がった首や手がぶらぶらと揺れる。
 必死に逃げる少年の背中でマントがひるがえり、ぷつりと糸が切れて、レイに渡されたまじない人形が取れた。
 マントに弾かれた人形は、通路の黒い布に当たって、パチン、と乾いた音を立てた。
「そぉこぉかぁぁぁ~!?」
 音を聞いた久木が壁に向かって突進した。
 そしてそのままの勢いで、布の向こうに消えていった。

●レイ
「はあ……はあ。なんだったんだ……」
 なんとか久木を振り切った少年は、4つ目の曲がり角で息を整えた。
 再び歩きだすと、通路の先にぼんやりとした人影が見えた。
 少年が警戒して足を止めると、人影も同時に足を止める。
 人影の正体が、鏡に映った自分だと気が付いた少年は、ほっとしたようにため息をついた。
 その時、どこからか声が響いてきた。
『紳士たるもの、正しい礼が出来なくてはいけません。鏡に向かってお辞儀をしたまま――左をご覧ください』
 それが入り口で話した青年の声だと気付いた少年は、いぶかしげな表情を浮かべながらも声の指示に従った。
 自然、首だけをひねる格好になる。
 そこで少年は、自分の肩に、いつの間にかべったりと真っ赤な手形が付いていることに気が付いた。
「ひ」
 同時に、誰もいなかったはずの背後から、ガチャリと音が聞こえた。
 振り返った少年の目の前には、全身金属で出来た鎧が立っていた。
 魔物を思わせる禍々しい意匠の鎧は、両腕を前に突き出したまま、ぎこちなく動き出した。
 ガチャリ、ガチャリ。
 怯えた少年が後ろに下がると、ゆっくりと鎧も前に進む。
 ガチャリ、ガチャリ、ガチャリ。
 少年の背中が曲がり角の壁についた。
「た~~~~~まや~~~~~~」
 鎧の中から、唸るような低い声がもれる。
 その呪文のような響きに驚いた少年は、後ろも見ずに逃げ出した。

●ミルティア
「……素直に親に甘えられる様な環境だったら……ま、仕事は仕事、私には関係ないか」
 最初にそう呟いたきり、ミルティアは床にうつ伏せに倒れたままじっとしていた。
 その顔からは、いつもの明るい表情が消えている。
 そうして1人でいると、脳裏に浮かぶのは妹の恋人のことだった。その存在は、歪虚よりも強い憎悪をかきたてた。
「あいつさえいなければ……憎い……憎い……」
 ミルティアの心の中に、どろどろとした独占欲が渦巻く。
 そんな感情が具現化したかのように、覚醒したミルティアの足首のあたりから、黒い影のようなものが立ちのぼった。
 腕だけが奇妙に大きいその影は、ミルティアの上でゆらゆらと揺れる。
「憎い!」
 ミルティアの体から、近くに控えていた黒服が身構えるほどの殺気が放たれた。
 6つ目の曲がり角を曲がってきた少年は、通路の先に倒れている人影に気付き、はっと足を止めた。
 人影が、ゆっくりと上半身を起こした。
 破れたシスター服を着た女性だ。
 両の目からは赤い血が涙のように流れ、口の周りは、まるで何か汁気の多い物にかぶりついたかのように真っ赤に汚れている。
「……誰か! 誰かいないの!?」
 もはや限界だというように少年が叫んだ。
 いつもならすぐに誰かが駆けつけてくるはずなのに、お化け屋敷の中は静まり返っている。 
「どうして?」
 泣き出しそうな少年に答えるように、赤く濡れた唇の両端がニィと吊り上がった。
「私がァ……みんな食べちゃったからァ」
 赤い舌が、ぺろりと汚れた口の周りを舐めた。
「キャハハハ!」
 甲高い笑い声をあげて、血まみれのシスターが床の上を這いずりながら近付いてくる。
「やだ! 来るな。やだぁ!」
 悲鳴を上げた少年は、出口を目指して走り出した。

●フィーサ
 出口の扉の横にはランタンが置かれ、そこだけ明るくなっている。
 出口のすぐ横には井戸のようなものが据えられ、その中には、白い着物姿のフィーサが潜んでいた。
「ふわぁぁ……ねむぅ。思いの外居心地いいなぁ……」
 黒いカツラの、目を完全におおうほど長い前髪の上には、三角形の白い頭巾が付いている。
 手の中でコインをもてあそんでいたフィーサは、近付いてくる足音に気付いて振り返った。
「あった! 出口……!」
 必死の思いで逃げてきた少年が、出口の扉を見つける。
 ほっとした様子で扉に駆け寄ろうとしたとき、すぐ後ろでチリンと音がした。
 少年がひきつった顔で振り向く。
 しかし、そこには誰もいない。
 気のせいかと出口に向き直りかけた少年の顔が、突然、何か柔らかいものに埋まった。
 むに。ふにょん。
「むううう!」
 くぐもった声でうめきながら、少年がじたばたともがく。
「うらめしや~、おもては蕎麦屋~」
 フィーサは少年の体を、むにむにと豊満な胸に押し付けた。
 一部の人間にとっては夢のような状況かもしれないが、怯えきった少年にとってはそれどころではなかった。正体不明の何かから逃れようと、もがき続ける。
 必死で伸ばされた手が、しばらく空を掴み、やがて出口の扉に届いた。
 それを見たフィーサは腕を緩めると、少年の耳元でささやいた。
「お疲れ様ー、よく頑張ったねー」
 少年の動きがぴたりと止まる。
「ひゃ!」
 おそるおそるといった様子で顔を上げた少年は、噂に聞いていた幽霊そっくりの姿を認めて悲鳴を上げた。
「ハンターのお姉さんだよー」
 それを聞いた少年の瞳から、大粒の涙がぽろっとこぼれる。
 フィーサののんびりした喋り方に緊張の糸が切れたのか、少年が堰を切ったように泣き出した。
「みんな……食べられちゃったのかと、思って……怖くて……」 
「怖かったんだねー。よく頑張った。えらい、えらい」
 フィーサは泣きじゃくる少年を抱きしめて、よしよしと頭をなでる。
 余程怖かったのか、少年はフィーサにぎゅうっとしがみついたまま、しばらく声を殺して泣き続けた。
「ふぅ……アタシ、何かイケないモノに目覚めそうで怖い……」
 少年を優しくなで続けながら、フィーサは誰にも聞こえないほど小さな声で独り言を呟いた。

●もう1人の
 いつもの服装に着替えたハンターたちは、用意された部屋でくつろいでいた。
 新しいシャツに着替えた少年がハンターたちの前に進み出た。そのまぶたは腫れ、鼻の先は赤くなっている。
「君たちのお化け、なかなかだったよ」
 これが少年なりの最大限の賛辞らしい。
「でも、最初の白いワンピースの人は、そんなに怖くなかったからね」
 泣いてしまったことが相当恥ずかしかったのか、それだけ言うと少年はそそくさと部屋から出ていった。
「白いワンピース?」
 ハンターたちが不思議そうに顔を見合わせる。
 そのとき、少年と入れ替わるように執事が部屋に入ってきた。
 丁寧に畳まれたマントと、まじない人形をレイに返した執事は、ハンターたちに向かって深々と礼をした。
「このたびはありがとうございました。皆様のおかげで、ウィリアム様も大変御満足のようです。ずいぶん大人しくなられて、屋敷も平和になりそうです。……しばらくのあいだは」
 最後に付け加えられた言葉に苦労が滲んでいる。
 そこで何かに気が付いたように、執事が部屋の中を見回した。
「おや、もう1人の方は?」
「いえ。私たちは全部で5人ですよ?」
 レイが怪訝そうな表情を浮かべる。
「もうおひとかた、白いワンピースの方がいらっしゃったと思ったのですが。裸足で、長い黒髪の女性です。もともと6名までの募集でしたので、都合のついた方を追加で連れてきてくださったのかと……」
 心当たりのないハンターたちは、一様に首を横に振った。
「まさか……本物?」
 ぽつりとミルティアが呟いた言葉に、しん、と部屋が静まり返る。
 屋敷の中にハンターたちの悲鳴が響き渡った。

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重体一覧

参加者一覧

  • 明日への祝杯
    ミルティア・ミルティエラ(ka0155
    エルフ|20才|女性|聖導士
  • SKMコンサルタント
    レイ・T・ベッドフォード(ka2398
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
  • トランプマイスター
    ハーレキン(ka3214
    人間(紅)|10才|男性|疾影士
  • 食撃のヒッサキーマン
    久木 満(ka3968
    人間(蒼)|32才|男性|霊闘士
  • 雪下の向日葵
    フィーサ(ka4602
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/13 14:40:16
アイコン 少年にトラウマを植えつける会
フィーサ(ka4602
人間(リアルブルー)|17才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/06/13 23:39:18