流砂に抗え

マスター:革酎

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/06/17 09:00
完成日
2015/06/21 19:57

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

 ケルティス・アービンはつい三日程前にハンターとして登録されたばかりの、猟撃士をなりわいとする人間の少年である。
 13歳の誕生日を迎えたばかりだが、まだあどけなさが残る、妙に線の細い整った顔立ちの為、女性に間違えられることも少なくなかった。

 その日の夕刻、ケルティスは他数名のハンター達と共に、ゴブリンに農作物を荒らされて困っているという農村からの依頼を受けて、ゴブリン退治の任務を達成したところであった。
 しかしケルティスは自分でもまだまだ未熟だということを心得ており、他のハンター達から色々なことを学ぼうと必死になっていたのだが、今回のゴブリン退治ではあまり目立った活躍が出来ず、内心でひとり落ち込んでいた様子であった。
 そして、その帰路。
 ケルティスと仲間のハンター達は小高い丘の馬車道を進んでいる最中、突然足元が崩れ、流砂の中に呑み込まれてしまった。

 * * *

「うぅ……皆さ~ん、どこですかぁ~?」
 薄闇の中で意識を取り戻したケルティスは仲間のハンター達に呼びかけてみたが、自身の声が殷々と響くばかりで、返答らしい返答は何ひとつ聞こえてこない。
 仕方なくケルティスは携行品の中から松明を取り出し、火を起こして当面の照明を得ることにした。
 そこで、彼が見たものは――。
「こ、これは……砂岩の迷路?」
 天井と壁、或いは柱等は全て白い砂岩で構成され、足元は一面、柔らかな砂に覆われている。
 しかもこの洞窟は縦横に通路が走っており、ケルティスが思わず呟いたように、まさに迷路と呼ぶに相応しい様相を呈していた。
 この時ケルティスは、ゴブリン退治に出る前に調べ上げた情報の中に、アシナガクロスナグモという、体長1メートル強にもなる大型砂蜘蛛の存在があったことを思い出していた。
 曰く、件の農村近辺にはこの砂蜘蛛の地下巣窟が存在するかも知れないという噂であったが、あくまでも噂の域を出ず、その地下巣窟が今まで確認されたことは一度も無かった。
 ただ数十年前に一度だけ、アシナガクロスナグモの死骸が近隣で発見されたことがあり、その当時には近辺の地下深くに生息しているかも知れないという程度の認識はあったかも知れない。
 しかし現在では領主はおろか、近隣の住民でさえ、その存在を知る者はほとんど居なかったに等しい。
 自分はまだまだ素人だからということで、ケルティスは必要以上にこの地域の情報を仕入れていた為、アシナガクロスナグモに関する知識を得る機会を得ていたに過ぎないのだが、まさかその情報が、ここで活きる形になろうとは、本人も予想だにしていなかった。

 アシナガクロスナグモは、一匹当たりの強さだけを見れば、新米ハンターでも辛うじて倒せる程度らしい。
 またその特徴としては、地下の闇の中で生活している為、強い光を浴びると多少は動きが鈍るということと、蜘蛛の糸や毒等の特殊能力はなく、集団で噛みついてくるだけの、単純な力押しだけで攻めてくるということは分かっている。
 獰猛ではあるが、地上に姿を現すことは皆無で、基本的には人里に出現することも無いのだという。
 但し縄張り意識が異常に強く、他の生物が地下巣窟内に迷い込んでくると、全力でこれを排除しようとする性質であるとの由。
 何を餌にしているのかは不明で、色々と謎の多い生態であった。

 ケルティスは、ごくりと喉を鳴らした。
「や、やばいかも……」
 その時、ケルティスの視界の中でおぞましい姿がもそり、と動いた。
 のみならず、その漆黒の影は一斉に数を増し、ケルティスの姿を認めるや、怒涛の勢いで突進を仕掛けてきたのである。
 ケルティスは、悲鳴を上げながら遁走した。
 ところが地面の砂は微妙に流れを持っており、ある種の流砂状態を作り出している。
 今この場に於いては、足元の砂は後方、即ち砂蜘蛛の群れへと流れつつあった。
 しかし砂蜘蛛の群れは、どういう訳か流砂の上でも難なく移動してきている。中には壁や天井に張り付いている個体もあり、流砂の影響は全く受けていない様子であった。
 ケルティスは後方に引っ張られるような格好になりながらも、必死に両脚を回転させた。
「じょ、冗談じゃないっすよ~ッ!」
 果たしてケルティスは、他のハンター達と無事に合流を果たし、この砂蜘蛛地獄から脱出することが出来るのだろうか。

リプレイ本文

●薄闇の中の邂逅

 ランタンで光源を確保した直後、アルフィ(ka3254)は何かに気付いた様子ではっと後方を振り返り、それからじっと耳を澄ませた。
「……今の声、ケルティスお兄さん、だよね?」
 傍らで、頭上十メートル程の位置に太陽の光が射し込んできているのをじっと凝視していたザレム・アズール(ka0878)も、アルフィの呼び掛けに応じて同じ方向に視線を巡らせた。
「アルフィがいっていた、例のアシナガなんとかグモに追われているのかも知れないな」
 呑気に構えている場合ではないな、と低く漏らしながら、ザレムはハンディLEDライトを片手に、もう一方の手に携えたスコップで壁面に軽く印を刻んだ。
 最初に落下した位置をスタート地点としておくことで、迷わないようにしようという意図であった。
 一方のアルフィは、早くケルティスと合流しなければという焦りもあるが、しかし冷静に現況を分析するだけの落ち着きはあった。
 落下直後はわたわたと焦り倒していたアルフィだったが、ザレムと合流してからは、自然と心が落ち着くに至っている。
 矢張り仲間の存在というものは、非常に大きいようだ。
 そんなアルフィは紙巻煙草を取り出して火をつけ、その煙で空気の流れを読もうとしていた。
「あ、ボクが吸う訳じゃないよ」
「いやいや……見れば分かる」
 同じく、指先を湿らせて空気の流れを掴もうと考えていたザレムは、妙な反応を見せたアルフィに苦笑しながらも、そのアイデアには感心した。
「成る程……視覚的に捉えた方が、確実か。頭上の穴は十メートル近い高さだが、どうやら二階層ぐらいの構造になっているようだ。もう一層上がれば、ジェットブーツで何とかなりそうだ」
「その前に、ケルティスお兄さんと合流しないとね」
 空気の流れを掴んだアルフィは、ザレムと連れ立って早速移動を開始した。
 程無くして、ふたりはグエン・チ・ホア(ka5051)とも無事に合流を果たした。
 ホアは落下した際に打ち付けた腰の辺りを僅かに気にしている素振りを見せていたが、本人はどちらかといえば、この暗さに意識がいっている様子だった。
「暑さは慣れてるけど、地下だと直射日光がないからマシなほうね。それよりも、問題は化け物グモ……アシナガクロスナグモだっけ? さっきケルティスの声が聞こえたけど、大丈夫かしら?」
「う~ん、あんなに必死そうな悲鳴だったから、あんまり大丈夫じゃないかも知んない」
 アルフィの応えに、ホアのみならず、ザレムも苦笑を禁じ得ない。
 だが、まだまだ新米に毛が生えた程度のケルティスなのだ。自分達がしっかりサポートしてやらなければならない、という責任感も同時に芽生えてきていた。
「まだ他にもあと三人、合流出来ていないからな。とにかく、急ごう」
「洞窟の探検なんて専門外だけど、とりあえず、すばしっこい私が先行しようか?」
 そんな訳で、ホアを斥候役としてまずは残りのメンバーとの合流を優先し、探索を再開。
 専門外という割には、足場が取られ易い流砂の中の地下巣窟内を、ホアは悠々と進んでゆく。
 大したものだ、とザレムが感心していると、ホアは早々に他の仲間を発見するという結果を出した。
「もうひとり発見~……っていっても、ケルティスじゃなかったけど」
 次に合流出来たのは、龍華 狼(ka4940)だった。
 狼を簡単に見つけることが出来たのは、単純に彼がハンディLEDライトを携行していたからに他ならないのだが、いつ砂蜘蛛と遭遇するかも知れないという危機感の中で、いち早く狼の存在に気付いたのは、矢張りホアの疾影士としての資質に因るところが大きい。
「ケルティスさんは、まだ合流出来ていないんですか」
 狼が、幾分心配げな面持ちで訊いた。
 ケルティスのただならぬ響きを伴う甲高い悲鳴を耳にしてから、とにかく心配で仕方が無い様子だった。
 狼もケルティス同様、ハンターになってから日が浅い。ほとんど同僚と呼ぶに近しいケルティスの安否が気になるのも、当然といえば当然であったろう。
「出口はありそうでしたか?」
「地上に抜ける穴が見えた。多分あそこから、落ちたんだと思う」
 応じたザレムだが、しかしもう一層上に行かなければ脱出は難しい、ともいい添えた。
 中々、一筋縄ではいきそうにもない。

 一方、当のケルティスはというと、ノノトト(ka0553)とミネット・ベアール(ka3282)に運良く救出され、辛うじて生命の危機は脱していた。
 ところが。
「ケルティス君は、あの蜘蛛の群れを見てどう思いましたか?」
 唐突に、そのような質問をぶつけてきたミネットに、ケルティスの脳内では『?』が複数個、一斉に浮かび上がっていた。
「ハンターは、捕食者でなければなりません。ちなみに私は、こう思いました。ごちそうが、沢山……」
 いいながらミネットは、うぇっへっへっへと不気味な笑いを漏らし、あまつさえ、涎を垂らさんばかりの勢いである。
 ケルティスがドン引きしているのも全くお構いなしに、ミネットの旺盛な食欲は彼女に圧倒的な戦意を沸き起こしつつあった。
 すると今度は、ノノトトが気を取り直せと横から笑みを覗かせた。
「大丈夫だよ。僕の方が年下だけど、しっかり守ってあげるッ! だから安心してね、ケルティスお姉さん」
 最後のひと言に、笑みを返しかけたケルティスの表情が微妙に強張った。
 え? なに? 自分、女の子に間違われてるんスか?
 そんな切ない疑問が喉の奥から飛び出そうとしているケルティスだったが、しかしこの面子の中では一番の素人である為か、言葉にすることが出来なかった。
 砂蜘蛛に食欲が湧くミネットと、あらぬ男の娘疑惑を叩きつけてきたノノトト。
 ふたりともハンターとしての実力は確かなようだが、いかんせん、変なところで観点がずれていた。
「それにしても、この流砂は曲者だね。今は普通に二本脚で立っていられるけど、流れがきついところだと、四つん這いで動かないと危ないね」
 いいながら、ノノトトは草履を脱いで腰のベルトの間に挟み込む。
 素足の方が砂の流れを読み易い、との判断であろう。
 また、砂蜘蛛が固めた箇所を素早く見つける際にも、裸足の感覚であれば発見がより容易であるとの考えもあるようであった。
「あ、もしかして砂蜘蛛が美味しそうって思っている訳ですね? 流石です」
「……違うよ、指先を濡らして空気の流れを読んでいるんだって」
 ミネットは、ノノトトが指先を咥えている様子に妙な勘違いを起こした。
 食欲旺盛なハンターを隣に置くと、どうしてもこのような不具合が起こり易い。いや、今回だけ特別だ、という意見も無くは無いだろうが。
「とにかく、他の皆さんと早く合流し……うわぁぁッ!?」
 ケルティスが、またもや甲高い悲鳴をあげた。これでもう何度目だろうか。
 だが、今度の悲鳴はやや性質が異なる。
 声音が空間の中を移動してゆく、ちょっとしたドップラー効果のような響きを伴っていた。
 ノノトトが慌ててその方角にハンディLEDライトを向けると、ケルティスは巨大な蟻地獄状の擂鉢型流砂の中へ吸い込まれそうになっていた。
 その様を、ミネットは幾分呆れた様子で眺めていた。
「ケルティス君、また落ちましたね。今度は地上からではなく、地下から地下へ……そんな高度なプレイを披露なさるなんて、只者ではありません」
「いやいやいやッ! そんな落ち着いて講評垂れてる場合じゃないですってッ!」
 確かにそりゃそうですね、とノノトトの叫びに頷きつつ、ミネットは手近の支柱にノノトトから手渡されたロープを巻きつけ、もう一方を蟻地獄の中へ呑み込まれつつあるケルティスへと放り投げた。
 地下巣窟は砂蜘蛛が縦横に巣穴を掘り進んでいる為、場所によっては壁状になったり、或いは柱状になったりしている。
 これらの構造が地下巣窟を支えている。
 ミネットがロープを巻きつけたのは、そういった偶然で出来上がった支柱のうちの一本であった。
「あ……どうやら、ゆっくり救出している暇は無さそうです」
 ノノトトがロープを掴んで、ケルティスを引っ張り上げようとしている傍らで、ミネットは戦闘態勢に入っていた。
 どうやら、先程の盛大な悲鳴を聞きつけて、砂蜘蛛の群れが接近してきている模様である。
「一撃必殺には程遠いかも知れませんが、ケルティス君を引っ張り上げるまでの牽制ぐらいなら」
「頼みますよ~ッ!」
 ノノトトはロープを引っ張り上げる両腕に全身の力を込めた。


●目指せ、お日様

 ケルティスは、無事に救出された。
 というのも、そこへアルフィ、ザレム、ホア、そして狼の四人が駆けつけてきて、ケルティスの救出と砂蜘蛛への牽制に加わったからだ。
「需要があるかどうかは分からんが、これでも喰らっておけッ!」
 ザレムが持参していたチーズや干し肉、あるいはパン等を砂蜘蛛の群れに投げつけると、注意を逸らされた一部の砂蜘蛛がそれらの食品に喰らいついた。
 作戦は成功だ――と内心でほくそ笑んだザレムだが、その隣で何故かミネットが物凄く残念そうな表情を浮かべていたのが印象的だった。
 それはともかく、一同はケルティス救出が成った以上は長居は無用だとばかりに、上層を目指して一気に移動していった。
 途中、ケルティスが余りに興奮しっ放しなものだから、アルフィが足を止めて深呼吸を勧めた。
 ひとつ年下ではあるが、彼女の方が余程にしっかりしている。
 そうこうするうちに、一同は上層へと辿り着いた。
 目指す地上への穴は陽光が射し込んでいる為、位置を特定するのは簡単だった。
「あの高さなら、ロープの補助があれば何とかジェットブーツで届くな」
「では、皆さんのロープを貸して貰えますか? ノノトトさんからお借りしたのは、蟻地獄のところに置いてきてしまったので」
 ミネットが呼びかけると、他の面々が一斉に持参していたロープを差し出してきた。

 作戦は、こうだ。
 まずミネットが矢にくくりつけたロープを地上の樹木に撃ち込み、仮留めする。
 次いでそのロープをガイドにして、ザレムがジェットブーツと併用して地上へと跳ぶ。その際、ノノトトが用意していた鉄パイプとスコップも、一緒に持っていく。
 地上に出たザレムは、ノノトトが提供した鉄パイプとスコップ、そして自身のスコップも加えてロープを地面に固定する為の楔とする。
 後は、しっかり固定されたロープを伝って、残りの面々が地上に這い上がる、という算段だ。

 ミネットは提供されたロープを次々に地上へと撃ち放った。
 ロープは狙い通り、穴のすぐ傍に立つ樹木の幹へと仮留めされた。
「よし、次は俺の出番だな」
 地上から垂れる複数本のロープをガイドとして、ザレムがジェットブーツを発動した。
 ザレムの体躯はロープ伝いに地上へと脱出し、ここまではひとまず、予定通りに事が運んだといえる。
 問題は、ここからであった。
「……また、出てきましたね」
 狼が抜刀しながら、緊張に強張った声を低く漏らした。
 ミネットとアルフィ、そしてケルティスの三人が揃って戦闘態勢に入る。
 丸腰となったノノトトと、接近戦武器しか用意していないホアがまず優先的に、地上へと脱出することになった。
 ノノトトとホアがロープを登り切ると、次はアルフィの番である。
 地上から狼とミネット、そしてケルティスを援護出来る遠隔攻撃の持ち主といえば、ミネットとケルティスを除けば、アルフィしか居ない。
 よって、アルフィと猟撃士のふたりは分散して脱出する必要があった。
 しんがりを務めるのは、狼の役割である。
「ケルティスさん、天井を崩して奴らを足止めすることは出来そうですか?」
「あぅ、御免なさい。自分、そこまで火力無いっす」
 狼の提案に、ケルティスは心底申し訳無さそうに頭を下げた。
 出来ないものは、仕方が無い。
 ならばと気を取り直し、狼はミネットとケルティスの盾となるべく、一歩前進して砂蜘蛛の群れの前に立ちはだかった。
「次、ミネットとケルティスッ! 急げッ!」
 ザレムの呼び掛けに応じて、まずはミネットが、次いでケルティスがロープを登り始めた。
 その間、狼は単身穴の真下に陣取り、包囲戦を仕掛けてくる砂蜘蛛に徹底した防衛戦を展開する。
 勿論、地上からはアルフィがホーリーライトで援護するが、それもそう長くは続かない。
 ミネットとケルティスが地上に辿り着くや、ふたりもそれぞれの飛び道具を駆使して狼の周辺に迫り来る砂蜘蛛を牽制し、狼のロープでの脱出に援護を加えた。
 ところが。
「あ……ロープが、引きずり込まれてるッ!」
 ノノトトが、慌ててロープに飛びついた。
 見ると、無数の砂蜘蛛が地下へと垂れるロープの束に飛びつき、まるで手繰り寄せるようにして、ロープを登りつつある狼を再び地下巣窟へ引きずり込もうとしていた。
 ほとんど多勢に無勢に等しい、圧倒的な数の差である。
 ロープが全て地下巣窟内へ引きずり込まれるのは、時間の問題であった。
「狼ッ! 掴まってッ!」
 ホアが穴の縁から身を乗り出し、咄嗟に手を伸ばした。
 小柄なホアだが、狼がロープから飛び移れる程度の距離にまで登ってきているのを確認し、この距離ならばとの判断だった。
「恩に着ますッ!」
 狼は、意を決してホアの差し出した手に飛びついた。
 と同時に、それまで彼の体躯を支えていたロープが一斉に地下巣窟内へと滑り落ちてゆく。
 流石にホアひとりの力で狼を引っ張り上げるのは無理だったが、ザレムとノノトトが左右からホアを支えて、何とか事無きを得た。


「ふぅ、何とか、なりましたね」
「お日様、只今~ッ」
 安堵の吐息を漏らすケルティスの傍らで、アルフィが気持ち良さそうに背伸びしていた。
「お腹が空きました……折角ですし、ご飯行きましょう、ご飯」
「その食欲があれば、本当にあの砂蜘蛛共を全部食い尽くしたかも知れないな」
 ミネットの相変わらずの大食漢ぶりに、ザレムは感心するというよりも、呆れているといった方が正しいだろう。
「ケルティス君も、これからお互い頑張って強くなりましょうッ!」
「僕も頑張りますよ、ケルティスさん」
 ミネットと狼のふたりから声をかけられて、ケルティスは何ともいえぬ、はにかんだ笑みを浮かべた。
 それはそうと、とザレムが表情を引き締める。
 流石にこの砂蜘蛛の巣窟をそのままにして放ってはおけないと考えた彼は、周辺の農村にその危険性を伝えてから戻るべきだと提案した。
「賛成~。ケルティスお姉さんも一緒に伝えに行きましょうッ!」
「ぇ……お姉さん……」
 ノノトトの無邪気な笑顔に対し、ケルティスは再び、表情が引きつっていた。

依頼結果

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MVP一覧

重体一覧

参加者一覧


  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 星々をつなぐ光
    アルフィ(ka3254
    エルフ|12才|女性|聖導士
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • 清冽なれ、栄達なれ
    龍華 狼(ka4940
    人間(紅)|11才|男性|舞刀士
  • 多彩な技師
    グエン・チ・ホア(ka5051
    人間(蒼)|21才|女性|疾影士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/16 00:46:50
アイコン 地下から脱出! 相談卓
アルフィ(ka3254
エルフ|12才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/06/16 22:02:22