• 無し

流砂に抗え

マスター:革酎

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/06/17 09:00
リプレイ完成予定
2015/06/26 09:00

オープニング

 ケルティス・アービンはつい三日程前にハンターとして登録されたばかりの、猟撃士をなりわいとする人間の少年である。
 13歳の誕生日を迎えたばかりだが、まだあどけなさが残る、妙に線の細い整った顔立ちの為、女性に間違えられることも少なくなかった。

 その日の夕刻、ケルティスは他数名のハンター達と共に、ゴブリンに農作物を荒らされて困っているという農村からの依頼を受けて、ゴブリン退治の任務を達成したところであった。
 しかしケルティスは自分でもまだまだ未熟だということを心得ており、他のハンター達から色々なことを学ぼうと必死になっていたのだが、今回のゴブリン退治ではあまり目立った活躍が出来ず、内心でひとり落ち込んでいた様子であった。
 そして、その帰路。
 ケルティスと仲間のハンター達は小高い丘の馬車道を進んでいる最中、突然足元が崩れ、流砂の中に呑み込まれてしまった。

 * * *

「うぅ……皆さ~ん、どこですかぁ~?」
 薄闇の中で意識を取り戻したケルティスは仲間のハンター達に呼びかけてみたが、自身の声が殷々と響くばかりで、返答らしい返答は何ひとつ聞こえてこない。
 仕方なくケルティスは携行品の中から松明を取り出し、火を起こして当面の照明を得ることにした。
 そこで、彼が見たものは――。
「こ、これは……砂岩の迷路?」
 天井と壁、或いは柱等は全て白い砂岩で構成され、足元は一面、柔らかな砂に覆われている。
 しかもこの洞窟は縦横に通路が走っており、ケルティスが思わず呟いたように、まさに迷路と呼ぶに相応しい様相を呈していた。
 この時ケルティスは、ゴブリン退治に出る前に調べ上げた情報の中に、アシナガクロスナグモという、体長1メートル強にもなる大型砂蜘蛛の存在があったことを思い出していた。
 曰く、件の農村近辺にはこの砂蜘蛛の地下巣窟が存在するかも知れないという噂であったが、あくまでも噂の域を出ず、その地下巣窟が今まで確認されたことは一度も無かった。
 ただ数十年前に一度だけ、アシナガクロスナグモの死骸が近隣で発見されたことがあり、その当時には近辺の地下深くに生息しているかも知れないという程度の認識はあったかも知れない。
 しかし現在では領主はおろか、近隣の住民でさえ、その存在を知る者はほとんど居なかったに等しい。
 自分はまだまだ素人だからということで、ケルティスは必要以上にこの地域の情報を仕入れていた為、アシナガクロスナグモに関する知識を得る機会を得ていたに過ぎないのだが、まさかその情報が、ここで活きる形になろうとは、本人も予想だにしていなかった。

 アシナガクロスナグモは、一匹当たりの強さだけを見れば、新米ハンターでも辛うじて倒せる程度らしい。
 またその特徴としては、地下の闇の中で生活している為、強い光を浴びると多少は動きが鈍るということと、蜘蛛の糸や毒等の特殊能力はなく、集団で噛みついてくるだけの、単純な力押しだけで攻めてくるということは分かっている。
 獰猛ではあるが、地上に姿を現すことは皆無で、基本的には人里に出現することも無いのだという。
 但し縄張り意識が異常に強く、他の生物が地下巣窟内に迷い込んでくると、全力でこれを排除しようとする性質であるとの由。
 何を餌にしているのかは不明で、色々と謎の多い生態であった。

 ケルティスは、ごくりと喉を鳴らした。
「や、やばいかも……」
 その時、ケルティスの視界の中でおぞましい姿がもそり、と動いた。
 のみならず、その漆黒の影は一斉に数を増し、ケルティスの姿を認めるや、怒涛の勢いで突進を仕掛けてきたのである。
 ケルティスは、悲鳴を上げながら遁走した。
 ところが地面の砂は微妙に流れを持っており、ある種の流砂状態を作り出している。
 今この場に於いては、足元の砂は後方、即ち砂蜘蛛の群れへと流れつつあった。
 しかし砂蜘蛛の群れは、どういう訳か流砂の上でも難なく移動してきている。中には壁や天井に張り付いている個体もあり、流砂の影響は全く受けていない様子であった。
 ケルティスは後方に引っ張られるような格好になりながらも、必死に両脚を回転させた。
「じょ、冗談じゃないっすよ~ッ!」
 果たしてケルティスは、他のハンター達と無事に合流を果たし、この砂蜘蛛地獄から脱出することが出来るのだろうか。

解説

■目的
今回はケルティス共々、地下巣窟に滑り落ちてしまったという状況から開始となります。
よって、目的はこの地下巣窟からの脱出ということになります。

■砂蜘蛛の地下巣窟
地面以外は砂岩で出来ていますが、砂蜘蛛達が唾液で塗り固めただけなので、非常に脆いです。
今回の地下巣窟は偶然帰路となった馬車道の真下を通っており、範囲拡大に伴って一部が地表付近にまで延伸し、地盤が脆くなっていた為、偶然踏み抜いてしまっただけに過ぎません。
それ以外の箇所は地下数メートルに位置し、普通であればまず足を踏み入れることはありません。
規模としては小さな農村の面積に等しい空間に、二層か三層程度の迷路が交差しているという程度です。
事前に噂で聞いたことがあるとして、たまたま対策をしておいたということにしても問題ありません。

■ケルティス・アービン
ハンターとしては未熟ですが、猟撃士としての技量はそこそこで、もし合流することが出来れば、前衛のひとりとして頭数に入れることが出来る程度の戦闘力は具えています。
ただ若干おっちょこちょいな部分もありますので、多少の指導は必要になるかも知れません。

マスターより

本オープニングをお読み頂きまして、ありがとうございます。
まだまだ初心者街道驀進中の革酎でございます。
今回も下名にお付き合い頂ければ幸いに存じます。
どうぞ宜しくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/06/21 19:57

参加者一覧


  • ノノトト(ka0553
    ドワーフ|10才|男性|霊闘士
  • 幻獣王親衛隊
    ザレム・アズール(ka0878
    人間(紅)|19才|男性|機導師
  • 星々をつなぐ光
    アルフィ(ka3254
    エルフ|12才|女性|聖導士
  • ♯冷静とは
    ミネット・ベアール(ka3282
    人間(紅)|15才|女性|猟撃士
  • 清冽なれ、栄達なれ
    龍華 狼(ka4940
    人間(紅)|11才|男性|舞刀士
  • 多彩な技師
    グエン・チ・ホア(ka5051
    人間(蒼)|21才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/06/16 00:46:50
アイコン 地下から脱出! 相談卓
アルフィ(ka3254
エルフ|12才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2015/06/16 22:02:22