ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】燃えよソード!
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/22 19:00
- 完成日
- 2015/06/30 10:16
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●前口上
同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催されていたのだが、昨年の秋から状況が一変。同盟の商人や各地からの観光客が集まるお祭りとして賑わっていた。
そして今年の春。遠き辺境の地での戦いが終息に向かったのを見計らい、延期にしていた春の村長祭を開催する運びとなった。
今回は辺境のお祭りとの共催となり、より一層の盛り上がりが予想されるが、今回のジェオルジ村長祭はどんな催しが行われるのか。
●本編
遠く春郷祭を見下ろす場所で、はげ頭の大男が腕組みしていた。
「面白くねぇなぁ……」
馬車が出入りし人がひしめく様子を見つつ、不満そうに呟く。
「まったくだ。俺っちらの心はこんなに空っぽなのに、奴らは祭りだなんだと幸せそうじゃねーか」
隣には、鍵っ鼻の小男。顔をしわくちゃにしつつ吐き捨てている。
「だよなぁ……祭りってのは、だれもかれも楽しくやらなくちゃなんねぇんだろ?」
その後ろに座るのは、盾を丹念に磨いている下唇の捩れた男。腰にはねじくれた刀身の剣を下げている。
「ま、だれもかれもが似たような楽しみを求めている訳じゃないけどね」
少し離れて気取ったように立つ男は、丸めた鞭を手で弄びつつぼそり。短剣をいくつか下げているのも気取っている。
「お前らなぁ……」
ここで、新たにひげ面のおっさんがやって来た。
「ガキじゃねぇんだから、楽しみたきゃ勝手に行って楽しみゃいいだろうが」
「んなこというが、勝手なことしたらボスの三段打ちが火ぃ吹くだろ? あんた、気が短けぇんだから」
顔だけ振り向いたはげ頭の言葉に、鍵っ鼻や盾の男、気取った男も無言で頷く。
「別に祭りは仕事じゃねぇ。……行くんなら、みな一人で好き好き遊ぶがいい」
ひげ面のボスの言葉に、全員がびっくりして振り向いた。
「ええんかい!」
「んじゃ、俺っちはうまいモンでも食うかな?」
突っ込む大男に、ナイフを抜いてうれしそうな鍵っ鼻。
「……明らかに食べ物じゃなくて、腕の立つ誰かとやりたいみたいですね」
「ま、喧嘩は祭りの華ともいいますか?」
盾の男の冷静なツッコミに、気取った男の気取ったセリフ。
「これだけ祭りがでかくなったんなら、警備も腕の立つのを連れてきてるだろ。たまにゃ、そいつら相手に遊んでやってもよかろう」
ひげ面、身を乗り出した。
「よし、万年寝太郎も起こして出発だ。……セラータ・スパーダ(宵闇の剣)一味のお出ましだぁ」
というわけで、ならず者集団「セラータ・スパーダ」(宵闇の剣)が祭りで一般人に難癖つけることになる。
ボスのひげ面おっさん、「グランジ」はストレートに腕の立ちそうなのに声を掛ける。
はげ頭の大男、「バルデオ」は手当たり次第に一般人に突っかかる。
鍵っ鼻の男、「ラデオラ」は飲食屋台で難癖つけてたり。
盾の男、「ステイゼ」は静かにベンチに座りつつできそうな男が通り掛かると足を出してひっかけ。
気取った男、「アルゼア」は美人を選んでナンパ中。
万年根太郎、「エドアム」はぽけーっとしながら屋台の輪投げなんかで才能を発揮し荒らしていたり。
いずれも、近接戦闘の強い相手を求めて地味に暴れ中である。
彼らの暴挙を止める人材、求ム。
同盟領内に存在する農耕推進地域ジェオルジ。
この地では初夏と晩秋の頃に、各地の村長が統治者一族の土地に集まって報告を行う寄り合いが行われる。その後、労をねぎらうべくささやかなお祭りが催されていたのだが、昨年の秋から状況が一変。同盟の商人や各地からの観光客が集まるお祭りとして賑わっていた。
そして今年の春。遠き辺境の地での戦いが終息に向かったのを見計らい、延期にしていた春の村長祭を開催する運びとなった。
今回は辺境のお祭りとの共催となり、より一層の盛り上がりが予想されるが、今回のジェオルジ村長祭はどんな催しが行われるのか。
●本編
遠く春郷祭を見下ろす場所で、はげ頭の大男が腕組みしていた。
「面白くねぇなぁ……」
馬車が出入りし人がひしめく様子を見つつ、不満そうに呟く。
「まったくだ。俺っちらの心はこんなに空っぽなのに、奴らは祭りだなんだと幸せそうじゃねーか」
隣には、鍵っ鼻の小男。顔をしわくちゃにしつつ吐き捨てている。
「だよなぁ……祭りってのは、だれもかれも楽しくやらなくちゃなんねぇんだろ?」
その後ろに座るのは、盾を丹念に磨いている下唇の捩れた男。腰にはねじくれた刀身の剣を下げている。
「ま、だれもかれもが似たような楽しみを求めている訳じゃないけどね」
少し離れて気取ったように立つ男は、丸めた鞭を手で弄びつつぼそり。短剣をいくつか下げているのも気取っている。
「お前らなぁ……」
ここで、新たにひげ面のおっさんがやって来た。
「ガキじゃねぇんだから、楽しみたきゃ勝手に行って楽しみゃいいだろうが」
「んなこというが、勝手なことしたらボスの三段打ちが火ぃ吹くだろ? あんた、気が短けぇんだから」
顔だけ振り向いたはげ頭の言葉に、鍵っ鼻や盾の男、気取った男も無言で頷く。
「別に祭りは仕事じゃねぇ。……行くんなら、みな一人で好き好き遊ぶがいい」
ひげ面のボスの言葉に、全員がびっくりして振り向いた。
「ええんかい!」
「んじゃ、俺っちはうまいモンでも食うかな?」
突っ込む大男に、ナイフを抜いてうれしそうな鍵っ鼻。
「……明らかに食べ物じゃなくて、腕の立つ誰かとやりたいみたいですね」
「ま、喧嘩は祭りの華ともいいますか?」
盾の男の冷静なツッコミに、気取った男の気取ったセリフ。
「これだけ祭りがでかくなったんなら、警備も腕の立つのを連れてきてるだろ。たまにゃ、そいつら相手に遊んでやってもよかろう」
ひげ面、身を乗り出した。
「よし、万年寝太郎も起こして出発だ。……セラータ・スパーダ(宵闇の剣)一味のお出ましだぁ」
というわけで、ならず者集団「セラータ・スパーダ」(宵闇の剣)が祭りで一般人に難癖つけることになる。
ボスのひげ面おっさん、「グランジ」はストレートに腕の立ちそうなのに声を掛ける。
はげ頭の大男、「バルデオ」は手当たり次第に一般人に突っかかる。
鍵っ鼻の男、「ラデオラ」は飲食屋台で難癖つけてたり。
盾の男、「ステイゼ」は静かにベンチに座りつつできそうな男が通り掛かると足を出してひっかけ。
気取った男、「アルゼア」は美人を選んでナンパ中。
万年根太郎、「エドアム」はぽけーっとしながら屋台の輪投げなんかで才能を発揮し荒らしていたり。
いずれも、近接戦闘の強い相手を求めて地味に暴れ中である。
彼らの暴挙を止める人材、求ム。
リプレイ本文
●
祭りの人波の中、ひときわひらめくメイドドレスの裾がある。
「お祭り、楽しいですね~♪」
ひらひらひらん、となびく髪も軽やかに榛 菫香(ka4875)が歩いている。
もちろん、祭りの警備で雇われているはずなのだが……。
「……ちょっとくらいなら、遊んでも良いですよね」
るんるん気分そのままに屋台に首を突っ込むと、ほくほくのじゃがバターを手ににっこり。
と思ったら何かを発見してまっしぐら。
「おお~? これはおにぎり!! 懐かしい~」
屋台の人波に首を突っ込んだままお尻を揺すって感動している。
「ちょっとくらい、ちょっとくらい~♪」
おにぎりを食べてちょんちょん、と指先を舐めたその時。
「わあっ!」
付近からどよめきが起こった。
「やれやれ、相手にもなりゃしねぇ」
下唇を捻じ曲げたならず者が、大地に伏している威勢の良さそうな若者を見下ろしているではないか。
「はわわわ、喧嘩ですかぁ~!?」
菫香、肉串焼きをもぐもぐやりつつやじうま。
「お祭りだからって、喧嘩はダメですよ~」
一応注意したあたり、奇跡的に役目は忘れてないようだ。
が、手にした串でびしりと差したところ、食べかけの肉が飛んでしまった。
「……ほう? ちょいと顔貸しな?」
「ふぇ? いつの間にか菫香がターゲットになってるかもかも~?」
ならず者に睨まれて腰を引く菫香だが、先の肉が彼の頬に当たったのだから仕方ない。
菫香、ドナドナと連行中。
「ふぇ? どこに連れて行くんですかぁ~? あ! もしかして、あーんなことやこーんなこと……」
「さあ、ここならあーんなことやこーんなこともできるだ……ろっ!」
動揺を誘った菫香だが、敵、ステイゼは構わず剣を抜き切り上げ。菫香の服の胸元を狙う。
「イヤらしいです……わわっ!」
すぐに離れるが敵は肩から体当たり。横にそれて日本刀「虎徹」を振るうもこれは敵の盾に阻まれる。
「あーんなことされたいんじゃねぇのか?」
「違いますぅ。……盾が邪魔ですね~。ってことで、菫香の魔法を喰らえ~! 必殺魔法! ウィンドスラーーーッシュ!!」
叫ぶ菫香。
しかし、何も起こらない。
「ふえ?」
「おい、お前ハンターだろ。もしかして……」
ステイゼの瞳に憐みの色が宿る。
菫香、スキルを準備してなかったのだッ!
●
別の場所でも、もぐもぐする姿。
フェイル・シャーデンフロイデ(ka4808)だ。
「あむ……」
黒い手袋をした指先が口に放っているのは、真っ白なマシュマロ。
「……ん?」
ここで異変に気付く。
「私、まだ子供ですから」
「そう? 十分大人びてるじゃないか?」
「え? そ、そんな……」
気取った男が少女に言い寄っている。経緯は不明だが青少年健全育成の見地からは即アウトだ。
「すまねぇがこれを片付けといてくれねぇか?」
やれやれ、と腰を上げたフェイル。間に入ると娘にマシュマロの袋を手渡した。娘は「まぁ」。
ここで、言い寄る男――アルゼアに向き直る。
「ナンパするのはいーけどさぁ……嫌がられてる時には素直にあきらめねぇと迷惑ってもんさ」
フェイル、ナンパの手本を見せて堂々としたものだ。
「いいだろう。こっちで詳しく話そうか?」
アルゼア、顎をしゃくる。めんどくせぇなぁとついていくフェイル。
「ここらで遊べますかね?」
路地裏の奥の広場で、ぴしりと鞭をしごいて向き直るアルゼア。
おっと。
フェイルはすぐにウィップ「ドラゴンテール」の先を飛ばした。楽しそうな笑みも浮かべているっ!
「くっ!」
アルゼア、鞭を踊らせ弾く。
「こーっちゃもう戦闘モードだぜ?」
フェイルの言葉に返事はない。敵、回避に集中しているのだ。
「おーんなじ武器だけどさぁ、俺の方が使い方わかっちゃってる系? ねぇねぇ、遊びついでにぃ~教えてあげましょうかぁ素人くん」
言った瞬間、とん、と敵の背にする壁にナイフ「サグストロ」が刺さった。服の端も刺さっている。
直後、敵との間合いを詰め、にやり。
「なぁ、どーだい? 生半可な気持ちでこんな人気のない場所で戦い挑んじゃぁいけねぇなあ……そうだろ?」
「そうか? 一般人を巻き込まなくていいぜ?」
敵、抜いたナイフをフェイルに手渡しつつ素早く横から抜け出る。小粋な行動だ。
かちんときたフェイル、殺気をまとった!
「だったら……かぁくぅご……できてねぇだろ、きみ」
フェイルの鞭が敵の左足に巻き付きさらった!
「ああ、できてないね」
瞬間、敵が倒れつつナイフを投げたッ!
――すとん、がらがら……。
何と、敵が狙ったのはフェイルではなく、広間に立てかけてあった木材だった。フェイルのそばで大きな音がして崩れる。
「おっ、と」
ひらりとかわすフェイル。こんなのに巻き込まれるほど間抜けではない。
が、敵はその隙に逃れていた。
「楽しい遊びだったよ。また今度な」
「……遊びでとか酔狂ー……仕事以外で戦闘なんざしたくないね、俺は」
大きな音に一般人が寄って来るのを見て、ばかばかしいと見逃してやるフェイルだった。
●
自転車で巡回する姿もある。
「祭り! 祭りだな! オトコノコにオンナノコ、ジイサマもバアサマも皆イイ顔してやがる!」
鶏冠のようにシャキーンと立てた金髪に、ワイルドなジーンズをはきがに股で自転車をこぐ姿は――。
「イイコトだぜ!」
マッド・ロウ(ka4589)である。今日もワイルド、笑顔もヒャッハーだ。
そして突然響く奇声。
「ヒャッハー!」
マッドが叫んだわけではない。
「こいつ、この俺をどつきゃがったぜ!」
マッドが振り向いた先で、はげ頭の大男が気弱そうな若者に突っかかっていた。若者の隣で男の子がイカ焼きを手に涙目になっている。
「タレもつけやがって、どう落とし前つけんだ、おぉ?」
「……こいつぁいけねェ」
大男が凄んだところにちりんちりんと自転車が横付けした。
マッドだ!
「何じゃ、おぉ?」
「折角の祭りに水を差すなぁいけねェな!」
ガンつけられてビビるマッドではない。首をねじってガンを飛ばし返す。
「ならお前の血で血祭りにしてやらぁ!」
「おっと!」
ここでマッド、手の平で大男のやる気をそいだ。周りには遠巻きながら一般人がいる。巻き込むわけにはいかない。
「名前は何てーんだ? ああ、バルデオな! ちょい待っとけ。チャリは路地の横に邪魔んならねえように駐めとくぜ!」
うまい。
乗っていた自転車を壁際に止める動きで、自然と敵を路地裏に「ちょっと来いや」することができた。
そして裏路地奥の広間へ。
「そんじゃ、楽しい喧嘩、始める……か?!」
大男のバルデオ、大きな剣を抜いて大振りしてきた。
「ヒャッハー!」
マッド、バックステップでかわす。
そこへずずいと進んでくるバルデオ、今度はダウンスイング!
これを横にかわす。敵の剣は大地を耕すだけ。余りの勢いに壁際に立てかけてあった木材が大きな音を立てて崩れた。
「ヒャハハ、野良仕事でもしてぇのか?」
「なんだ……とっ!」
マッド、マントを横振りして煽ると案の定、バルデオは乗って来た。マントに対して横の大振りで応じる。
これで勝負あり。
振り切って半身になった敵に対し素早く寄せたマッド、手にしたS字型のナイフをバルデオの首筋に当てていた。
「……肉切りナイフでミンチにされたくなきゃ、そこの木材、直しときな」
「くっ……てめぇ、喧嘩慣れしてやがるな?」
「ふっかけられるコトぁ多かったがな」
やや遠い目をするマッドだった。
こうして、二人で木材を直す。
「折角イイカラダしてんだ。クワでも振ってた方が気がいいんじゃねぇのか? スジは悪くなさそうだしな! ヒャハハ」
「うるせぇよ。おら、これでいいんだろ? 今日のところはこのくらいにしといてやらぁ」
風を切るように振り向き立ち去るバルデオ。
「ヒャッハー!」
マッドも自転車をまたぐ背中で答え、走り去る。
●
遊びの屋台でも問題が。
「わ~、輪投げとっても上手ですっ!」
ぱちぱち、と無邪気に拍手してるのは緋乃宮 姫翠(ka5031)。大きく目を見開き心の底から感心している。
視線の先には、少しのんびりした表情ながら次々と高額商品を狙って輪を掛けていく若者の姿があった。
「ちょ……あんた、宵闇一味のエドアムだろ? これ以上は勘弁してくれぇ」
「……知らない」
店主は悲鳴を上げるが、エドアムと呼ばれた若者は容赦しない。盗賊の一味だが、正規の金を払って正々堂々と遊んでいるので問題はないが……
「ほら、ちゃんと『プロはお断り』って書いてあるだろ? このプロってのはあんたのことだよ」
どうやら毎度荒らされているらしい。
「知らない」
エドアム、容赦なく次の金を払おうとしている。断ろうとすると腰の剣に手を掛ける。
「だ、誰か助けてくれぇ~」
「はっ! 見惚れてる場合じゃないです。お祭りに来た他の人たちが困ってますから、これ以上はダメですよー!!」
だだだー、と姫翠が割り込み剣に掛けたエドアムの手を抑えた。
「……次の遊び、君?」
「へ?」
言われて見上げる姫翠。どうやら次の獲物としてロックオンされたらしい。
で、路地裏の広間。
「ここでいいですか……きゃっ!」
「うん、いいよ」
移動して振り向いた姫翠に遠慮なく突いてくるエドアム。速い。しかも連続。
「はっ!」
姫翠もバスタードソード「ガラティン」で……コンパクトに突いた。ほへぇ……と意外そうなエドアム。すぐにまた突いてくるが。
「だって……とっても早いですからっ」
どうやら隙を作らない戦法。
ついでに、攻撃を受けた直後を狙っていた。
これを見抜いたエドアム、今度はリズムを変えて来る。
「いくら攻撃が早くても、しっかりと読めば受け流す事は……わわっ!」
姫翠、エドアムの呼吸に合わせて回避していたのがばれてしまう。
このまま負けてしまうのかっ!
――ふわっ……。
「?」
エドアムが止まったのは、姫翠の背に緑色の翼の幻影が浮かんだから。
「……私の切り札、お見せします」
姫翠、覚醒。そして納刀。エドアムものんびりしていた目を細めた。
「舞刀士、緋乃宮姫翠。――参ります!」
ざ、と動く。
敵も応じた。
――カキィン……。
●
「そこのカッコいいお兄さん、買ってかない?」
屋台でそんな呼び込みの声が。
売り子の女性の前には数人の若い男性が歩いていた。
「美人さんにそこまで言われちゃ断れないな」
その中の一人、ジャック・エルギン(ka1522)が真っ先に振り返って返事をした。自分じゃないかもしれない、などという迷いは全くない。
「毎度あり、いい男はやっぱ違うねぇ。少しサービスしとくよ」
「美人さんにサービスされた俺は幸せモンだ。繁盛するといいな」
ジャック、肉の串焼きを手に立ち去る。
と、その足が止まった。
「おぅ。兄ィちゃん、ええ度胸してんじゃねぇか」
目の前に髭面の男が立ち塞がっていた。
「今の美人さんの美人局か何かか?」
「馬鹿言え。……素直な兄ィちゃんだからセールスに来たぜ?」
「で、売りモンは何だ?」
ジャック、目を光らせ顔を上げる。
「これだよ」
拳を固めた髭面。つまり、喧嘩。
「楽しむモンは山ほどあるってのに、どーしようもねえヤツだな」
「山ほどあるのにこれほど面白れぇモンもねぇ。……今なら一割引きだ」
これにギラリと睨むジャック。
「それだけか?」
「不満ならもうちょい負けてやってもいい」
「まあ、売られた喧嘩は買い叩くっての流儀なモンでね」
こうして二人、路地裏の広間に。
二人、剣を構える。
先に動いたのは髭面。
「じゃ、三割引きで……いいかっ!」
「うおっと! ……危ねー危ねー。オッサン、けっこうやるじゃん」
「グランジ、だ」
髭面、名乗って振り返った。
直進した一段目を後退してかわし、二段目を横にそれて逃げたジャックが身を反らす。
「んじゃ花火の時間にゃ早えーが、火花散らしてみっか!」
今度はジャックがバスタードソード「フォルティス」を振るい踏み込む。
「ほぉ……力強いな」
「そういや三割引きって言ってたな? 割引なしだとどうなる?」
がつり、と払って引くグランジに聞いてみる。
「三段……打ちだっ!」
また来た!
先と同じく後退、そして横に回避。これで敵の背を取るが……。
「甘いっ!」
振り向いての一撃の早いこと、重いこと。かろうじて剣で受けた。
「オッサン、そんだけ強いならハンターやらね?」
「組織に属して好きに動けるかぁっ!」
がつ、と弾いてもう一度!
(なるほど、三つか……)
ジャック、今度は一段、二段とまともに受けた。
「いい度胸だ。止められると思うなよっ!」
三段目、力強いッ!
●
そして夕刻。警備はお終い。
詰め所に戻ったマッドが自転車を置く。
「で、どうなったんだよ?」
中に入ると、フェイルがジャックに話し掛けていた。
「ん? やられたさ。見事に受けた剣ごと押しつぶされたね」
「負けたのかよ?」
涼しそうに言うジャックに、フェイルが不審そうにする。
「その時はね。でも……」
ジャック、三段目にガードごと押しつぶされたが、敵の剣を反らしつつ崩れがら空きの脇を狙いすぐに剣を振ったのだ。
「男も剣も、磨くにゃ世界を股にかけた喧嘩ほど良いモンはねーぜ」
「知るか。俺は子分を背負った方が性に合うんだよ」
ぴたりと敵の脇腹に当てたまま、そんな会話をしたとか。
ふうん、と聞いていたマッドに、クッキーが手渡された。
姫翠である。
「なんだ、オイ?」
「敵さんから頂きました」
気分良さそうに、くるんと姫翡が衣装をひるがえしている。
どうやら納刀の構えからの一撃に敵が感心したようで、「いいもの……見た」とお礼に輪投げで取ったお菓子包みの一つをもらったらしい。勝利の賜物だ。
おや、菫香はしゅんとしている。
姫翠からクッキーをもらい、言う。
「菫香はお菓子、もらえなかったですぅ」
ちなみに菫香の最後はどうだったのだろう。
「それでもやるのですぅ。必殺魔法!! ウィンドスラーーッシュ!!」
敵は菫香のドジっ娘属性にため息をつきつつも、魔法と剣を警戒して盾を掲げた。
で、剣が来た。
これを剣で受ける。
続いて体当たり。
これは盾で防ぐ。
が、いずれも回転付き。
右に剣を弾き、左の盾で体当たりを左に弾く。
結果、中央が開いた。
そこへ回し蹴りが来た。
ずぅん、と倒れる敵。
「ふっ。魔法でも峰打ちがあるから、命に別状はないはずですよ~! これに懲りたら悪い事はやめるのですぅ~!」
回想以上。
「でも、お菓子は……」
「私、今から輪投げでお菓子取ってきます!」
しょんぼり菫香を元気付ける姫翠。
聞いたマッド、立つ。
「ヒャッハー! 野郎ども、行くぜ!」
「そういやあれから祭りを見てないな」
ジャックも腰を上げる。
「そういやマシュマロ」
フェイルもその気になった。
今度は本当に、祭りを楽しみに行くのである。
祭りの人波の中、ひときわひらめくメイドドレスの裾がある。
「お祭り、楽しいですね~♪」
ひらひらひらん、となびく髪も軽やかに榛 菫香(ka4875)が歩いている。
もちろん、祭りの警備で雇われているはずなのだが……。
「……ちょっとくらいなら、遊んでも良いですよね」
るんるん気分そのままに屋台に首を突っ込むと、ほくほくのじゃがバターを手ににっこり。
と思ったら何かを発見してまっしぐら。
「おお~? これはおにぎり!! 懐かしい~」
屋台の人波に首を突っ込んだままお尻を揺すって感動している。
「ちょっとくらい、ちょっとくらい~♪」
おにぎりを食べてちょんちょん、と指先を舐めたその時。
「わあっ!」
付近からどよめきが起こった。
「やれやれ、相手にもなりゃしねぇ」
下唇を捻じ曲げたならず者が、大地に伏している威勢の良さそうな若者を見下ろしているではないか。
「はわわわ、喧嘩ですかぁ~!?」
菫香、肉串焼きをもぐもぐやりつつやじうま。
「お祭りだからって、喧嘩はダメですよ~」
一応注意したあたり、奇跡的に役目は忘れてないようだ。
が、手にした串でびしりと差したところ、食べかけの肉が飛んでしまった。
「……ほう? ちょいと顔貸しな?」
「ふぇ? いつの間にか菫香がターゲットになってるかもかも~?」
ならず者に睨まれて腰を引く菫香だが、先の肉が彼の頬に当たったのだから仕方ない。
菫香、ドナドナと連行中。
「ふぇ? どこに連れて行くんですかぁ~? あ! もしかして、あーんなことやこーんなこと……」
「さあ、ここならあーんなことやこーんなこともできるだ……ろっ!」
動揺を誘った菫香だが、敵、ステイゼは構わず剣を抜き切り上げ。菫香の服の胸元を狙う。
「イヤらしいです……わわっ!」
すぐに離れるが敵は肩から体当たり。横にそれて日本刀「虎徹」を振るうもこれは敵の盾に阻まれる。
「あーんなことされたいんじゃねぇのか?」
「違いますぅ。……盾が邪魔ですね~。ってことで、菫香の魔法を喰らえ~! 必殺魔法! ウィンドスラーーーッシュ!!」
叫ぶ菫香。
しかし、何も起こらない。
「ふえ?」
「おい、お前ハンターだろ。もしかして……」
ステイゼの瞳に憐みの色が宿る。
菫香、スキルを準備してなかったのだッ!
●
別の場所でも、もぐもぐする姿。
フェイル・シャーデンフロイデ(ka4808)だ。
「あむ……」
黒い手袋をした指先が口に放っているのは、真っ白なマシュマロ。
「……ん?」
ここで異変に気付く。
「私、まだ子供ですから」
「そう? 十分大人びてるじゃないか?」
「え? そ、そんな……」
気取った男が少女に言い寄っている。経緯は不明だが青少年健全育成の見地からは即アウトだ。
「すまねぇがこれを片付けといてくれねぇか?」
やれやれ、と腰を上げたフェイル。間に入ると娘にマシュマロの袋を手渡した。娘は「まぁ」。
ここで、言い寄る男――アルゼアに向き直る。
「ナンパするのはいーけどさぁ……嫌がられてる時には素直にあきらめねぇと迷惑ってもんさ」
フェイル、ナンパの手本を見せて堂々としたものだ。
「いいだろう。こっちで詳しく話そうか?」
アルゼア、顎をしゃくる。めんどくせぇなぁとついていくフェイル。
「ここらで遊べますかね?」
路地裏の奥の広場で、ぴしりと鞭をしごいて向き直るアルゼア。
おっと。
フェイルはすぐにウィップ「ドラゴンテール」の先を飛ばした。楽しそうな笑みも浮かべているっ!
「くっ!」
アルゼア、鞭を踊らせ弾く。
「こーっちゃもう戦闘モードだぜ?」
フェイルの言葉に返事はない。敵、回避に集中しているのだ。
「おーんなじ武器だけどさぁ、俺の方が使い方わかっちゃってる系? ねぇねぇ、遊びついでにぃ~教えてあげましょうかぁ素人くん」
言った瞬間、とん、と敵の背にする壁にナイフ「サグストロ」が刺さった。服の端も刺さっている。
直後、敵との間合いを詰め、にやり。
「なぁ、どーだい? 生半可な気持ちでこんな人気のない場所で戦い挑んじゃぁいけねぇなあ……そうだろ?」
「そうか? 一般人を巻き込まなくていいぜ?」
敵、抜いたナイフをフェイルに手渡しつつ素早く横から抜け出る。小粋な行動だ。
かちんときたフェイル、殺気をまとった!
「だったら……かぁくぅご……できてねぇだろ、きみ」
フェイルの鞭が敵の左足に巻き付きさらった!
「ああ、できてないね」
瞬間、敵が倒れつつナイフを投げたッ!
――すとん、がらがら……。
何と、敵が狙ったのはフェイルではなく、広間に立てかけてあった木材だった。フェイルのそばで大きな音がして崩れる。
「おっ、と」
ひらりとかわすフェイル。こんなのに巻き込まれるほど間抜けではない。
が、敵はその隙に逃れていた。
「楽しい遊びだったよ。また今度な」
「……遊びでとか酔狂ー……仕事以外で戦闘なんざしたくないね、俺は」
大きな音に一般人が寄って来るのを見て、ばかばかしいと見逃してやるフェイルだった。
●
自転車で巡回する姿もある。
「祭り! 祭りだな! オトコノコにオンナノコ、ジイサマもバアサマも皆イイ顔してやがる!」
鶏冠のようにシャキーンと立てた金髪に、ワイルドなジーンズをはきがに股で自転車をこぐ姿は――。
「イイコトだぜ!」
マッド・ロウ(ka4589)である。今日もワイルド、笑顔もヒャッハーだ。
そして突然響く奇声。
「ヒャッハー!」
マッドが叫んだわけではない。
「こいつ、この俺をどつきゃがったぜ!」
マッドが振り向いた先で、はげ頭の大男が気弱そうな若者に突っかかっていた。若者の隣で男の子がイカ焼きを手に涙目になっている。
「タレもつけやがって、どう落とし前つけんだ、おぉ?」
「……こいつぁいけねェ」
大男が凄んだところにちりんちりんと自転車が横付けした。
マッドだ!
「何じゃ、おぉ?」
「折角の祭りに水を差すなぁいけねェな!」
ガンつけられてビビるマッドではない。首をねじってガンを飛ばし返す。
「ならお前の血で血祭りにしてやらぁ!」
「おっと!」
ここでマッド、手の平で大男のやる気をそいだ。周りには遠巻きながら一般人がいる。巻き込むわけにはいかない。
「名前は何てーんだ? ああ、バルデオな! ちょい待っとけ。チャリは路地の横に邪魔んならねえように駐めとくぜ!」
うまい。
乗っていた自転車を壁際に止める動きで、自然と敵を路地裏に「ちょっと来いや」することができた。
そして裏路地奥の広間へ。
「そんじゃ、楽しい喧嘩、始める……か?!」
大男のバルデオ、大きな剣を抜いて大振りしてきた。
「ヒャッハー!」
マッド、バックステップでかわす。
そこへずずいと進んでくるバルデオ、今度はダウンスイング!
これを横にかわす。敵の剣は大地を耕すだけ。余りの勢いに壁際に立てかけてあった木材が大きな音を立てて崩れた。
「ヒャハハ、野良仕事でもしてぇのか?」
「なんだ……とっ!」
マッド、マントを横振りして煽ると案の定、バルデオは乗って来た。マントに対して横の大振りで応じる。
これで勝負あり。
振り切って半身になった敵に対し素早く寄せたマッド、手にしたS字型のナイフをバルデオの首筋に当てていた。
「……肉切りナイフでミンチにされたくなきゃ、そこの木材、直しときな」
「くっ……てめぇ、喧嘩慣れしてやがるな?」
「ふっかけられるコトぁ多かったがな」
やや遠い目をするマッドだった。
こうして、二人で木材を直す。
「折角イイカラダしてんだ。クワでも振ってた方が気がいいんじゃねぇのか? スジは悪くなさそうだしな! ヒャハハ」
「うるせぇよ。おら、これでいいんだろ? 今日のところはこのくらいにしといてやらぁ」
風を切るように振り向き立ち去るバルデオ。
「ヒャッハー!」
マッドも自転車をまたぐ背中で答え、走り去る。
●
遊びの屋台でも問題が。
「わ~、輪投げとっても上手ですっ!」
ぱちぱち、と無邪気に拍手してるのは緋乃宮 姫翠(ka5031)。大きく目を見開き心の底から感心している。
視線の先には、少しのんびりした表情ながら次々と高額商品を狙って輪を掛けていく若者の姿があった。
「ちょ……あんた、宵闇一味のエドアムだろ? これ以上は勘弁してくれぇ」
「……知らない」
店主は悲鳴を上げるが、エドアムと呼ばれた若者は容赦しない。盗賊の一味だが、正規の金を払って正々堂々と遊んでいるので問題はないが……
「ほら、ちゃんと『プロはお断り』って書いてあるだろ? このプロってのはあんたのことだよ」
どうやら毎度荒らされているらしい。
「知らない」
エドアム、容赦なく次の金を払おうとしている。断ろうとすると腰の剣に手を掛ける。
「だ、誰か助けてくれぇ~」
「はっ! 見惚れてる場合じゃないです。お祭りに来た他の人たちが困ってますから、これ以上はダメですよー!!」
だだだー、と姫翠が割り込み剣に掛けたエドアムの手を抑えた。
「……次の遊び、君?」
「へ?」
言われて見上げる姫翠。どうやら次の獲物としてロックオンされたらしい。
で、路地裏の広間。
「ここでいいですか……きゃっ!」
「うん、いいよ」
移動して振り向いた姫翠に遠慮なく突いてくるエドアム。速い。しかも連続。
「はっ!」
姫翠もバスタードソード「ガラティン」で……コンパクトに突いた。ほへぇ……と意外そうなエドアム。すぐにまた突いてくるが。
「だって……とっても早いですからっ」
どうやら隙を作らない戦法。
ついでに、攻撃を受けた直後を狙っていた。
これを見抜いたエドアム、今度はリズムを変えて来る。
「いくら攻撃が早くても、しっかりと読めば受け流す事は……わわっ!」
姫翠、エドアムの呼吸に合わせて回避していたのがばれてしまう。
このまま負けてしまうのかっ!
――ふわっ……。
「?」
エドアムが止まったのは、姫翠の背に緑色の翼の幻影が浮かんだから。
「……私の切り札、お見せします」
姫翠、覚醒。そして納刀。エドアムものんびりしていた目を細めた。
「舞刀士、緋乃宮姫翠。――参ります!」
ざ、と動く。
敵も応じた。
――カキィン……。
●
「そこのカッコいいお兄さん、買ってかない?」
屋台でそんな呼び込みの声が。
売り子の女性の前には数人の若い男性が歩いていた。
「美人さんにそこまで言われちゃ断れないな」
その中の一人、ジャック・エルギン(ka1522)が真っ先に振り返って返事をした。自分じゃないかもしれない、などという迷いは全くない。
「毎度あり、いい男はやっぱ違うねぇ。少しサービスしとくよ」
「美人さんにサービスされた俺は幸せモンだ。繁盛するといいな」
ジャック、肉の串焼きを手に立ち去る。
と、その足が止まった。
「おぅ。兄ィちゃん、ええ度胸してんじゃねぇか」
目の前に髭面の男が立ち塞がっていた。
「今の美人さんの美人局か何かか?」
「馬鹿言え。……素直な兄ィちゃんだからセールスに来たぜ?」
「で、売りモンは何だ?」
ジャック、目を光らせ顔を上げる。
「これだよ」
拳を固めた髭面。つまり、喧嘩。
「楽しむモンは山ほどあるってのに、どーしようもねえヤツだな」
「山ほどあるのにこれほど面白れぇモンもねぇ。……今なら一割引きだ」
これにギラリと睨むジャック。
「それだけか?」
「不満ならもうちょい負けてやってもいい」
「まあ、売られた喧嘩は買い叩くっての流儀なモンでね」
こうして二人、路地裏の広間に。
二人、剣を構える。
先に動いたのは髭面。
「じゃ、三割引きで……いいかっ!」
「うおっと! ……危ねー危ねー。オッサン、けっこうやるじゃん」
「グランジ、だ」
髭面、名乗って振り返った。
直進した一段目を後退してかわし、二段目を横にそれて逃げたジャックが身を反らす。
「んじゃ花火の時間にゃ早えーが、火花散らしてみっか!」
今度はジャックがバスタードソード「フォルティス」を振るい踏み込む。
「ほぉ……力強いな」
「そういや三割引きって言ってたな? 割引なしだとどうなる?」
がつり、と払って引くグランジに聞いてみる。
「三段……打ちだっ!」
また来た!
先と同じく後退、そして横に回避。これで敵の背を取るが……。
「甘いっ!」
振り向いての一撃の早いこと、重いこと。かろうじて剣で受けた。
「オッサン、そんだけ強いならハンターやらね?」
「組織に属して好きに動けるかぁっ!」
がつ、と弾いてもう一度!
(なるほど、三つか……)
ジャック、今度は一段、二段とまともに受けた。
「いい度胸だ。止められると思うなよっ!」
三段目、力強いッ!
●
そして夕刻。警備はお終い。
詰め所に戻ったマッドが自転車を置く。
「で、どうなったんだよ?」
中に入ると、フェイルがジャックに話し掛けていた。
「ん? やられたさ。見事に受けた剣ごと押しつぶされたね」
「負けたのかよ?」
涼しそうに言うジャックに、フェイルが不審そうにする。
「その時はね。でも……」
ジャック、三段目にガードごと押しつぶされたが、敵の剣を反らしつつ崩れがら空きの脇を狙いすぐに剣を振ったのだ。
「男も剣も、磨くにゃ世界を股にかけた喧嘩ほど良いモンはねーぜ」
「知るか。俺は子分を背負った方が性に合うんだよ」
ぴたりと敵の脇腹に当てたまま、そんな会話をしたとか。
ふうん、と聞いていたマッドに、クッキーが手渡された。
姫翠である。
「なんだ、オイ?」
「敵さんから頂きました」
気分良さそうに、くるんと姫翡が衣装をひるがえしている。
どうやら納刀の構えからの一撃に敵が感心したようで、「いいもの……見た」とお礼に輪投げで取ったお菓子包みの一つをもらったらしい。勝利の賜物だ。
おや、菫香はしゅんとしている。
姫翠からクッキーをもらい、言う。
「菫香はお菓子、もらえなかったですぅ」
ちなみに菫香の最後はどうだったのだろう。
「それでもやるのですぅ。必殺魔法!! ウィンドスラーーッシュ!!」
敵は菫香のドジっ娘属性にため息をつきつつも、魔法と剣を警戒して盾を掲げた。
で、剣が来た。
これを剣で受ける。
続いて体当たり。
これは盾で防ぐ。
が、いずれも回転付き。
右に剣を弾き、左の盾で体当たりを左に弾く。
結果、中央が開いた。
そこへ回し蹴りが来た。
ずぅん、と倒れる敵。
「ふっ。魔法でも峰打ちがあるから、命に別状はないはずですよ~! これに懲りたら悪い事はやめるのですぅ~!」
回想以上。
「でも、お菓子は……」
「私、今から輪投げでお菓子取ってきます!」
しょんぼり菫香を元気付ける姫翠。
聞いたマッド、立つ。
「ヒャッハー! 野郎ども、行くぜ!」
「そういやあれから祭りを見てないな」
ジャックも腰を上げる。
「そういやマシュマロ」
フェイルもその気になった。
今度は本当に、祭りを楽しみに行くのである。
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燃えよソード!相談卓 ジャック・エルギン(ka1522) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/22 07:41:08 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/20 07:51:13 |