ゲスト
(ka0000)
火事だあああああ!!!
マスター:ぴえーる

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/23 15:00
- 完成日
- 2015/06/28 10:29
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
「誰か!! 誰か助けて下さい!!」
辺り一面に響き渡るのは、切羽詰まった女性の甲高い声。
ここは冒険都市リゼリオから郊外に行ったところにある倉庫街。普段なら人が寄りつかなくて静寂に包まれている場所だが、この時に限ってはいつもとは真逆で、人でごった返しており、様々な音で溢れていた。
そこに集まっている人びとの視線は、倉庫街の中でもひときわ大きくそびえ立っている倉庫へと向けられていた。その倉庫は今、天へと伸びる勢いで真っ赤な炎を燃え上がらせている。
「おい! 救助要請したハンターはまだ来ねえのか」
バケツの水をぶちまけて、集団の中にいる一人の男があたりを見回しながら叫んだ。
有志で集まった男たちがバケツリレーを行いながら消火活動を行っているが焼け石に水だった。火が一向に収まる気配がないどころか、むしろ火の勢いが増しているようにすら見える。
「クソッ。こんなふうにチマチマやってたって埒があかねえ。こうなったら俺が火の中に飛び込んで助けに行ってやる」
集団の先頭に立って、倉庫の入り口にバケツの水をぶっかけていた男は、腕まくりをして逞しい腕を見せつけながら火の中へと飛び込んでいこうとする。しかしすぐさまその後ろにいたひ弱そうな男が止めに入る。
「だ、だめですよ。ただでさえ、倉庫の中は荷物で溢れかえっていて迷路みたいになってるんですから、無闇に飛び込んでも被害が増えるだけですってば。それに火の球みたいな形をした歪虚を見たっていう証言だってあるんですから、そもそも僕らの手じゃ負えないんですよ。発見した歪虚は一匹って言ってましたが、それ以上いないとも限らないんですから」
「そういうけどな。事態は一刻を争ってるんだ。トムがこの中で閉じ込められてるんだろ。だったらなおのこと急がなきゃいけねえじゃねえか」
倉庫に閉じ込められているトムというのは、今年十歳になる少年である。
彼はよくこの倉庫街にやってきては友人とともに隠れんぼなどをして遊んでいた。障害物の多い倉庫の中は、隠れんぼとして最適な空間になっているのだ。
今回もそんなふうに遊んでいる最中に突然歪虚が現れて、この騒動に巻き込まれて、倉庫に閉じ込められることになってしまったのだ。
人間の進入を拒むかのように入り口の炎が激しく燃えており、トムの姿はここから見えないが、きっと心細い思いをしていることだろう。
トムの母親もこの場に居合わせており、さきほどから自分の息子の助けを求めて、声を枯らしながら叫び続けている。その様子がとても痛ましくて、彼女と視線を合わせる者はいない。
「クソッ、俺に何かできることがねえのか……」
逞しい体つきの男は、無力な自分に拳を握りしめて唇を噛みしめることしかできなかった。
幸いにして、発見が早かったおかげで、火の手が上がってから間もなくしてハンターオフィスへの要請と消火活動に臨むことが出来ている。が、時間が経過するにつれて、トムの命の灯火がどんどん薄れていくのは間違いない。倉庫の中がどうなっているのかは、ここから窺い知れないが、もはや一刻として無駄にできる時間はないのかもしれない。そう思うと、焦る気持ちだけが先行する。
それにトムの命はもちろんのこと、このままでは倉庫街全体に火の手が移りかねない。
「そういえば、トムといっつも一緒に遊んでいるリムルって男の子がいましたよね。そいつは今日は一緒じゃなかったんでしょうか」
ひ弱な男の言葉に、周囲の男たちの顔が一斉に青ざめる。
その時だった。
「ハンターのみなさんっ! こちらです。私の息子のトムがこの倉庫の中で閉じ込められて……」
こちらに向かってくる数人のハンターたちにすがりつくような勢いで、トムの母が叫び声を上げた。バケツリレーをしていた男たちも、ハンターの登場に作業の手を止めて彼らを向かい入れたのだった。
辺り一面に響き渡るのは、切羽詰まった女性の甲高い声。
ここは冒険都市リゼリオから郊外に行ったところにある倉庫街。普段なら人が寄りつかなくて静寂に包まれている場所だが、この時に限ってはいつもとは真逆で、人でごった返しており、様々な音で溢れていた。
そこに集まっている人びとの視線は、倉庫街の中でもひときわ大きくそびえ立っている倉庫へと向けられていた。その倉庫は今、天へと伸びる勢いで真っ赤な炎を燃え上がらせている。
「おい! 救助要請したハンターはまだ来ねえのか」
バケツの水をぶちまけて、集団の中にいる一人の男があたりを見回しながら叫んだ。
有志で集まった男たちがバケツリレーを行いながら消火活動を行っているが焼け石に水だった。火が一向に収まる気配がないどころか、むしろ火の勢いが増しているようにすら見える。
「クソッ。こんなふうにチマチマやってたって埒があかねえ。こうなったら俺が火の中に飛び込んで助けに行ってやる」
集団の先頭に立って、倉庫の入り口にバケツの水をぶっかけていた男は、腕まくりをして逞しい腕を見せつけながら火の中へと飛び込んでいこうとする。しかしすぐさまその後ろにいたひ弱そうな男が止めに入る。
「だ、だめですよ。ただでさえ、倉庫の中は荷物で溢れかえっていて迷路みたいになってるんですから、無闇に飛び込んでも被害が増えるだけですってば。それに火の球みたいな形をした歪虚を見たっていう証言だってあるんですから、そもそも僕らの手じゃ負えないんですよ。発見した歪虚は一匹って言ってましたが、それ以上いないとも限らないんですから」
「そういうけどな。事態は一刻を争ってるんだ。トムがこの中で閉じ込められてるんだろ。だったらなおのこと急がなきゃいけねえじゃねえか」
倉庫に閉じ込められているトムというのは、今年十歳になる少年である。
彼はよくこの倉庫街にやってきては友人とともに隠れんぼなどをして遊んでいた。障害物の多い倉庫の中は、隠れんぼとして最適な空間になっているのだ。
今回もそんなふうに遊んでいる最中に突然歪虚が現れて、この騒動に巻き込まれて、倉庫に閉じ込められることになってしまったのだ。
人間の進入を拒むかのように入り口の炎が激しく燃えており、トムの姿はここから見えないが、きっと心細い思いをしていることだろう。
トムの母親もこの場に居合わせており、さきほどから自分の息子の助けを求めて、声を枯らしながら叫び続けている。その様子がとても痛ましくて、彼女と視線を合わせる者はいない。
「クソッ、俺に何かできることがねえのか……」
逞しい体つきの男は、無力な自分に拳を握りしめて唇を噛みしめることしかできなかった。
幸いにして、発見が早かったおかげで、火の手が上がってから間もなくしてハンターオフィスへの要請と消火活動に臨むことが出来ている。が、時間が経過するにつれて、トムの命の灯火がどんどん薄れていくのは間違いない。倉庫の中がどうなっているのかは、ここから窺い知れないが、もはや一刻として無駄にできる時間はないのかもしれない。そう思うと、焦る気持ちだけが先行する。
それにトムの命はもちろんのこと、このままでは倉庫街全体に火の手が移りかねない。
「そういえば、トムといっつも一緒に遊んでいるリムルって男の子がいましたよね。そいつは今日は一緒じゃなかったんでしょうか」
ひ弱な男の言葉に、周囲の男たちの顔が一斉に青ざめる。
その時だった。
「ハンターのみなさんっ! こちらです。私の息子のトムがこの倉庫の中で閉じ込められて……」
こちらに向かってくる数人のハンターたちにすがりつくような勢いで、トムの母が叫び声を上げた。バケツリレーをしていた男たちも、ハンターの登場に作業の手を止めて彼らを向かい入れたのだった。
リプレイ本文
「いやー。はっは。めっちゃ燃えてるじゃないか……。もえている。まじであのなかに。いくのだなぁ。トミヲ」
倉庫から燃え上がる炎を見つめた水流崎トミヲ(ka4852)は、遠い目をしながら他人事のようにぼやく。
「ふう。冗談は置いておいて、子供……二人かな。彼らの命も掛かってるし、頑張らなくちゃ、だね」
報告として上がっているのはトムの存在だけだが、彼の友達であるリムルも倉庫に取り残されている可能性があると見なすべきだろう。
「大丈夫、トムの他に残されてる子が居ても、絶対ざくろ達が助け出してくれるから、任せておいてよ!」
少し離れたところでは、時音 ざくろ(ka1250))が自分の任せておけとばかりに、トムの母を励ます言葉を掛けている。
その隣では、集まった民衆に向けて、彼らを励ますように沖本 権三郎(ka2483)がその逞しい身体に見合った野太い声を響かせている。
「しっかり祈ってくれよな! そんでもって火の消し込みは頼んだ! けど、無茶はすんじゃねぇぞ!? お前らが居なかったら、だれがガキどもを迎えるんだ!」
周囲を勇気づけ、絶望的な空気を一変させた六人のハンターたちは、改めて倉庫の入り口に並んだ。
個性的なメンバーを前にして、最初に口火を切ったのは紅薔薇(ka4766)である。
「妾は子どもの救出を最優先事項とするつもりじゃ。トミヲ殿達は火の気の強い所から頼むのじゃ。おそらく、歪虚はその辺りに居るはずじゃ」
「じゃあ、僕はトミヲさんと歪虚の討伐を目指す」
火椎 帝(ka5027)が静かな闘志を燃やして宣言する。
「トランシーバーは持っているか? 中に入ったらコイツで情報共有をしよう」
柊 真司(ka0705)の問いに、全員が頷く。
話がまとまったところで六人は頭から水を被って、それに加えて各々の防火対策を施し、燃えさかる倉庫の中へと飛び込んだ。
「子供は多分、二人居る筈だ! 此処は僕たちに任せて! さあ早く!」
散り散りになった仲間たちは、トミヲを置いてとっくに先行してしまっているが、雰囲気を出すためだけに吐いた言葉なので特に意味はない。
倉庫内は火災による煙で満ちており、まともに視界が効かず、このままでは子ども捜しも歪虚退治もままならないような状況だった。
「今こそ唸れ!僕の童貞魔力……!」
トミヲは天井へと手をかざし、手のひらから火の球を発射させる。弾丸のように飛んでいった火の球は天井を貫き、煙の逃げ道を作った。
「これで少し視界が良くなりましたね。それじゃあ、トミヲさん。急ぎましょう」
その様子を眺めていた帝が呟く。
トミヲは持参した毛布に水を掛けて一部を切ってマスク代わりにし、帝は濡れた布を市販のマスクに挟んだ格好で、炎が燃えさかる奥を目指した。
「さて、ここからは時間との戦いだ。いそがねぇとな」
倉庫から入って左奥のエリアを目指している柊は、自身を高ぶらせるように呟いた。
トミヲのおかげで倉庫内の煙が上空へと逃げていき、突入した時と比べると見通しは多少良くなってはいるものの、それでも室内には煙が充満しており遠くまで見渡すのは不可能だった。煙対策にゴーグルをしていても、それだけで視界が明瞭になるわけではない。
柊はジェットブーツを使用しながら、障害物を避けながら進んでいるが、未だトムの姿は見当たらない。煙を吸い込まないようにバンダナをマスク代わりに用いているため、柊自身は気分が悪くなったりしてはいないが、中に取り残されているトムは苦しい思いをしていることだろう。そう思うと、焦る気持ちだけが募る。
『そっちはどんな感じ? トムはいた?』
柊と同じくジェットブーツを使用して飛び回っているざくろが、トランシーバー越しに語りかけてくる。彼の表情が見えなくとも、なんとなく焦れている様子が浮かんでくる。
「いや、こっちはまだだ。もう一人いるかもしれないって話だが、そっちもまだ見つかってない」
『そうなんだ。ざくろもまだ見つけられてないんだよね。とりあえず他のみんなにも様子を聞いてみるよ。そっちはヨロシクね』
「ああ、任せとけ」
「トム、リムル! 助けに来たから返事をするのじゃ! 声が出なければ、近くの物を叩いて音を出すのじゃ!」
紅薔薇は塗らしたタオルで口と鼻を覆った格好で、煙を吸わないように身を屈めながら子どもたちの名前を懸命に叫んでいる。
トムたちはここでよく隠れん坊をしていた、という情報から推測して、荷物の隙間等できる限りせまくて視認できる範囲の少ない場所に身を出来るだけ小さくして居るはずだろうと、紅薔薇はそれに近い場所を捜索していた。
荷物の隙間を通り、地べたに這うようにしながら奥へと進んで行く。
そして、木箱が無造作に配置された場所で、ちょうど隙間に挟まるようにして壁際にうずくまるように横たわっている子どもの姿を発見した。
「おい、大丈夫か? おぬし、トムじゃろう?」
その手でトムの小さな身体を抱えて、紅薔薇は彼へと呼びかけると、閉じられていたトムの目がうっすらと開けられる。
「そう……だよ。お姉ちゃん、誰?」
トムは夢見心地といった様子で、紅薔薇の顔を見上げている。憔悴しており、意識がはっきりとはしていないようだが、それでも言葉もはっきりとしゃべれているし、今のところ命に別状はなさだ。
「心配するでない。妾がちゃんと安全なところまで連れて行ってやる」
紅薔薇は持参した水筒の水をトムに掛けて、同じく持参した濡れタオルでトムの鼻と口を塞いでやる。
「少し苦しいかもしれぬが、これ以上煙を吸い込むことに比べたらよっぽどマシじゃ」
応急処置を施したトムを背負って、紅薔薇は歩き出した。
「お姉ちゃん、もしかしてハンター?」
「うむ。そうじゃ。時にトムよ。ひょっとして倉庫にリムルという少年がまだ取り残されているかもしれぬとのことだが、心当たりはないか?」
「そうだ! リムル君! リムル君も一緒に隠れん坊してたんだ。もしかしたら、まだ取り残されてるかも。お姉ちゃん、お願いだよ。リムル君も助けてあげて……」
泣きそうな声で、紅薔薇の背中をぎゅっと握りしめるトム。
「大丈夫じゃ。妾以外にも仲間はおるし、絶対にトムの友人を助けてくれるじゃろう。しかし、リムルの居所について、何か思い当たる節があったら教えて欲しい」
「リムル君は鬼の役だったんだ。鬼の子は倉庫の中央の広いところで百数えることになってるの。だから――」
手がかりを聞いた紅薔薇はトランシーバーを取りだして、すかさず仲間へと繋ぐ。
「なるほどね。それじゃあ、ざくろの予想は間違ってなかったんだね。絶対助けるもん!」
紅薔薇から、トムを救出したこと、そして中央の開けたところにリムルがいる可能性が高い、という報告をトランシーバーから受けたざくろは、より一層気合いを込め直した。
ジェットブーツを使用して、障害物を避けながら進んでいたざくろは、広場の中央の開けた空間を探していた。上空から見ると、この辺りは火が弱くなっているようであり、ざくろはこの辺りに見当を付けて捜索していた。
「ん? あれは……」
ざくろはゴーグルを装着しているものの、周囲の視界は煙が遮っており、遠くまでは見えない状態だった。しかし気になるモノを見つけたので近づいてみると、そこには子どもが横たわっていた。
「リムル! リムルだよね?」
すぐさま近づいて、ざくろよりも幼い顔をしている少年に話しかけてみるが、彼からの反応はない。彼の口元からは、呼吸の音は聞こえるので、気を失っているだけのようだ。
「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ」
呟いて、ざくろはリムルに水を掛けてあげて、鼻と口をぬれタオルで覆って上げてから彼を背負って進み始める。
「こちらざくろ。リムルのほうも見つかったよ。すぐに脱出するね」
トランシーバーで仲間に報告し、そして来た道を引き返そうとした瞬間、ざくろの前に陽炎が立ちはだかった。
「……!」
燃え盛る球体、そしておぞましいその気配は間違いなく歪虚のものだった。
すぐさまここで斬りかかりたいところではあったが、ここはリムルを安全なところへ送り届けるのが最優先だ。とりあえず進路だけを確保して、この場から離脱することだけを考える。
とはいえ、リムルを背負ったままだと、武器を構えることすらままならない。どうすべきかと、思考を巡らせていた、そのときだった。
歪虚の横から現れた影が歪虚の身体を吹き飛ばした。
その大きな影はざくろの方へと向き直り、
「最優先事項はガキどもの命だ。これは穂にもなる、大事なもんだ。絶対に守らなければならん。例え俺の命を引き換えにしてもな」
この場に現れた権三郎の覚悟を受け取ったざくろは、助太刀したい気持ちを堪えつつ、彼の覚悟と自身の任務を優先させる判断を下した。
「うん、それじゃあここは任せるよ。みんなには伝えておくから」
「ああ、走れ!」
ざくろは一度も振り返ることなく、リムルを背負ったままその場を後にした。
その背後では、権三郎が身を挺して、ざくろに攻撃を仕掛けてきた歪虚の一撃を防いでいた。
「三十余年を費やしたこの童貞魔力ならば……永遠の炎でも消して見せるさ……」
ドヤ顔を決めたトミヲは、対峙している歪虚に向けてウォーターシュートを放つ。しかし狙いを定めたはずの一撃は、目測が外れ歪虚に躱されてしまった。
トミヲと帝は、炎が激しい場所を求めて歩いていた結果、二体の歪虚と遭遇し、予定通り戦闘へと突入した。歪虚自身の脅威はそれほどではないにしろ、如何せん煙で視界が遮られており、思うような攻撃が通らない。
「子ども二人は無事に救出できたみたい。でも、権三郎さんが一人で歪虚と戦っているみたいだよ」
「それじゃあ、ボクらはさっさとこいつらをなんとかしないとね。というわけで、やっちまいなー帝君!」
まずは帝の視界を確保するため、彼にウィンドガストを付与する。
「ありがとう。助かるよ」
すかさず、帝は刀を振り上げて、歪虚へと迫る。もう一体の歪虚が帝への攻撃を仕掛けようと、火の球を飛ばしてきたが、それにはトミヲがウォーターシュートで対処する。
歪虚が上空へと離脱しようとするが、帝は近くの足場を利用して歪虚と同じ高さまで駆け上がる。
「はああーー!」
気合いの一声ともに、歪虚へと斬りかかると、真っ二つになった歪虚は灰となって空気の中にかき消えた。
残る一体に対して、今度はトミヲが攻撃を仕掛ける。
「今度は、外さないっ」
先ほどと同じように、しかし今度はおちゃらけた様子ではなく、よりしっかりと歪虚へと狙いを定めウォーターシュートを放った。水球は一直線に歪虚へと向かっていき、ヤツの身体を飲み込んだ。
そして歪虚は水の中に溶けていき、あっさりと消失した。
「それじゃ、さっさと次に行こう」
帝は勝利の余韻に浸ることなく、次の歪虚目がけて駆け出した。
「あ、帝君。待ってよ」
トミヲも同じように倉庫の中を駆けてゆく。
「ふむん。この程度の壁、打ち抜けずして剣の頂には辿り着けんのじゃ!」
壁を前にした紅薔薇は、攻撃のみに特化した一の太刀の構えを取る。少し離れたところから、トムがその様子を見守っている。
次いで、気息充溢により全身に力を巡らせて、すぐさま疾風剣の態勢へと入り、壁面へと斬りかかる。
「トム、今、新鮮な空気を吸わせてやるからの」
「うん」
トムを連れて、壊した壁から倉庫の外に出てきた紅薔薇は、外で待機していた大人たちに囲まれた。
トムの母親を始めとして、歓喜の渦が紅薔薇を包むが、彼女にはまだやるべき仕事が残されている。
「トムよ。リムルも必ず助けるのじゃ」
――遠くから壁が崩れるような音が聞こえてきた。
それは歪虚が暴れたことにより生まれた音なのか、それとも子どもたちを助けるために、誰かが壁をこじ開けた音なのか、権三郎には判断ができなかったが、きっと後者だろうと思うことにした。
「あいつら。もう脱出できたころか……」
ざくろたちの脱出を手伝って負傷した権三郎は、子どもたちのことを案じていた。
目の前では、火の球を巨大化させたような形をしている歪虚がメラメラと炎を滾らせている。
権三郎自身は知る由もないが、目の前に立ちはだかっている歪虚は帝たちが対峙した二体の歪虚よりもサイズが大きかった。
「まだだ。ここで倒れるわけにはいかねえな……」
自慢の肉体は、やけどによってボロボロになっているが、それでも彼は立ち上がる。
(やっぱり、最初の一撃が効いたな……)
無我夢中でざくろたちを庇ったあのとき、権三郎はまともに攻撃を食らってしまった。その傷がこの戦闘においては、大きなハンデとして響いている。
力の入らない一撃は歪虚に軽いダメージを与えていたが、致命傷となるダメージを与えるには至っていない。
そんな権三郎に対して、歪虚は容赦なく体当たりを仕掛けてくる。
もちろん逃げることなどできやしないし、そもそもそんな考えは浮かびもしなかったので、迎え撃とうと傷だらけの体に鞭打って態勢を整える。
(倒せなくてもいい。きっとここで足止めをしていれば、誰かが駆けつけてくるはずだ。俺の役目はその誰かに引き継ぐことだ)
その時、何かが視界の端を横切ったと思ったら、その何かが歪虚の体を貫き、権三郎の身を守った。
「…………」
その何かの正体が弾丸であると気がついたのは、それを発射させた本人が柊であると気がついたのと同時だった。
銃を構えた柊が、歪虚へと注意を向けたまま話しかけてくる。
「大丈夫か?」
柊は、銃口を歪虚に向けたまま静かに言い放つ。
「お前の相手をしてる時間はねぇ、邪魔すんな」
柊が歪虚に告げると同時に、数発の弾丸が発射され、歪虚の身体を貫いたのだった。歪虚の身体が大きく歪んだかと思うと、ヤツはそのまま空気の中にかき消えた。
「悪いな。助かった」
「歪虚を殲滅させるのも、犠牲者を出さないというのも、全部任務のうちだからな。権三郎が無事でなによりだ」
柊が差し伸べてくれた手を掴み、権三郎は痛む身体に鞭打って立ち上がって、柊に肩を貸してもらいながら倉庫を脱出した。
そして、子ども二人の命を救ったハンター六人は、倉庫を囲んでいた大人たちに手厚い祝福を受けたのだった。
歪虚が消えたことで、ようやく倉庫の消火活動が進み始めた。
戦闘中に負傷した権三郎は、手当てを受けながら、徐々に小さくなって行く炎を眺めていた。隣には、穏やかに寝息を立てているトムとリムルの姿もある。
「怖い思いをさせて、すまなかったな。大事な大事な穂に育てよ」
権三郎は横目で子どもたちを眺めて呟いた。
こうして未来を担う大事な子どもたちの命は無事に守られたのだった。
「さて、動いたあとにはビールかねぇ」
倉庫から燃え上がる炎を見つめた水流崎トミヲ(ka4852)は、遠い目をしながら他人事のようにぼやく。
「ふう。冗談は置いておいて、子供……二人かな。彼らの命も掛かってるし、頑張らなくちゃ、だね」
報告として上がっているのはトムの存在だけだが、彼の友達であるリムルも倉庫に取り残されている可能性があると見なすべきだろう。
「大丈夫、トムの他に残されてる子が居ても、絶対ざくろ達が助け出してくれるから、任せておいてよ!」
少し離れたところでは、時音 ざくろ(ka1250))が自分の任せておけとばかりに、トムの母を励ます言葉を掛けている。
その隣では、集まった民衆に向けて、彼らを励ますように沖本 権三郎(ka2483)がその逞しい身体に見合った野太い声を響かせている。
「しっかり祈ってくれよな! そんでもって火の消し込みは頼んだ! けど、無茶はすんじゃねぇぞ!? お前らが居なかったら、だれがガキどもを迎えるんだ!」
周囲を勇気づけ、絶望的な空気を一変させた六人のハンターたちは、改めて倉庫の入り口に並んだ。
個性的なメンバーを前にして、最初に口火を切ったのは紅薔薇(ka4766)である。
「妾は子どもの救出を最優先事項とするつもりじゃ。トミヲ殿達は火の気の強い所から頼むのじゃ。おそらく、歪虚はその辺りに居るはずじゃ」
「じゃあ、僕はトミヲさんと歪虚の討伐を目指す」
火椎 帝(ka5027)が静かな闘志を燃やして宣言する。
「トランシーバーは持っているか? 中に入ったらコイツで情報共有をしよう」
柊 真司(ka0705)の問いに、全員が頷く。
話がまとまったところで六人は頭から水を被って、それに加えて各々の防火対策を施し、燃えさかる倉庫の中へと飛び込んだ。
「子供は多分、二人居る筈だ! 此処は僕たちに任せて! さあ早く!」
散り散りになった仲間たちは、トミヲを置いてとっくに先行してしまっているが、雰囲気を出すためだけに吐いた言葉なので特に意味はない。
倉庫内は火災による煙で満ちており、まともに視界が効かず、このままでは子ども捜しも歪虚退治もままならないような状況だった。
「今こそ唸れ!僕の童貞魔力……!」
トミヲは天井へと手をかざし、手のひらから火の球を発射させる。弾丸のように飛んでいった火の球は天井を貫き、煙の逃げ道を作った。
「これで少し視界が良くなりましたね。それじゃあ、トミヲさん。急ぎましょう」
その様子を眺めていた帝が呟く。
トミヲは持参した毛布に水を掛けて一部を切ってマスク代わりにし、帝は濡れた布を市販のマスクに挟んだ格好で、炎が燃えさかる奥を目指した。
「さて、ここからは時間との戦いだ。いそがねぇとな」
倉庫から入って左奥のエリアを目指している柊は、自身を高ぶらせるように呟いた。
トミヲのおかげで倉庫内の煙が上空へと逃げていき、突入した時と比べると見通しは多少良くなってはいるものの、それでも室内には煙が充満しており遠くまで見渡すのは不可能だった。煙対策にゴーグルをしていても、それだけで視界が明瞭になるわけではない。
柊はジェットブーツを使用しながら、障害物を避けながら進んでいるが、未だトムの姿は見当たらない。煙を吸い込まないようにバンダナをマスク代わりに用いているため、柊自身は気分が悪くなったりしてはいないが、中に取り残されているトムは苦しい思いをしていることだろう。そう思うと、焦る気持ちだけが募る。
『そっちはどんな感じ? トムはいた?』
柊と同じくジェットブーツを使用して飛び回っているざくろが、トランシーバー越しに語りかけてくる。彼の表情が見えなくとも、なんとなく焦れている様子が浮かんでくる。
「いや、こっちはまだだ。もう一人いるかもしれないって話だが、そっちもまだ見つかってない」
『そうなんだ。ざくろもまだ見つけられてないんだよね。とりあえず他のみんなにも様子を聞いてみるよ。そっちはヨロシクね』
「ああ、任せとけ」
「トム、リムル! 助けに来たから返事をするのじゃ! 声が出なければ、近くの物を叩いて音を出すのじゃ!」
紅薔薇は塗らしたタオルで口と鼻を覆った格好で、煙を吸わないように身を屈めながら子どもたちの名前を懸命に叫んでいる。
トムたちはここでよく隠れん坊をしていた、という情報から推測して、荷物の隙間等できる限りせまくて視認できる範囲の少ない場所に身を出来るだけ小さくして居るはずだろうと、紅薔薇はそれに近い場所を捜索していた。
荷物の隙間を通り、地べたに這うようにしながら奥へと進んで行く。
そして、木箱が無造作に配置された場所で、ちょうど隙間に挟まるようにして壁際にうずくまるように横たわっている子どもの姿を発見した。
「おい、大丈夫か? おぬし、トムじゃろう?」
その手でトムの小さな身体を抱えて、紅薔薇は彼へと呼びかけると、閉じられていたトムの目がうっすらと開けられる。
「そう……だよ。お姉ちゃん、誰?」
トムは夢見心地といった様子で、紅薔薇の顔を見上げている。憔悴しており、意識がはっきりとはしていないようだが、それでも言葉もはっきりとしゃべれているし、今のところ命に別状はなさだ。
「心配するでない。妾がちゃんと安全なところまで連れて行ってやる」
紅薔薇は持参した水筒の水をトムに掛けて、同じく持参した濡れタオルでトムの鼻と口を塞いでやる。
「少し苦しいかもしれぬが、これ以上煙を吸い込むことに比べたらよっぽどマシじゃ」
応急処置を施したトムを背負って、紅薔薇は歩き出した。
「お姉ちゃん、もしかしてハンター?」
「うむ。そうじゃ。時にトムよ。ひょっとして倉庫にリムルという少年がまだ取り残されているかもしれぬとのことだが、心当たりはないか?」
「そうだ! リムル君! リムル君も一緒に隠れん坊してたんだ。もしかしたら、まだ取り残されてるかも。お姉ちゃん、お願いだよ。リムル君も助けてあげて……」
泣きそうな声で、紅薔薇の背中をぎゅっと握りしめるトム。
「大丈夫じゃ。妾以外にも仲間はおるし、絶対にトムの友人を助けてくれるじゃろう。しかし、リムルの居所について、何か思い当たる節があったら教えて欲しい」
「リムル君は鬼の役だったんだ。鬼の子は倉庫の中央の広いところで百数えることになってるの。だから――」
手がかりを聞いた紅薔薇はトランシーバーを取りだして、すかさず仲間へと繋ぐ。
「なるほどね。それじゃあ、ざくろの予想は間違ってなかったんだね。絶対助けるもん!」
紅薔薇から、トムを救出したこと、そして中央の開けたところにリムルがいる可能性が高い、という報告をトランシーバーから受けたざくろは、より一層気合いを込め直した。
ジェットブーツを使用して、障害物を避けながら進んでいたざくろは、広場の中央の開けた空間を探していた。上空から見ると、この辺りは火が弱くなっているようであり、ざくろはこの辺りに見当を付けて捜索していた。
「ん? あれは……」
ざくろはゴーグルを装着しているものの、周囲の視界は煙が遮っており、遠くまでは見えない状態だった。しかし気になるモノを見つけたので近づいてみると、そこには子どもが横たわっていた。
「リムル! リムルだよね?」
すぐさま近づいて、ざくろよりも幼い顔をしている少年に話しかけてみるが、彼からの反応はない。彼の口元からは、呼吸の音は聞こえるので、気を失っているだけのようだ。
「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ」
呟いて、ざくろはリムルに水を掛けてあげて、鼻と口をぬれタオルで覆って上げてから彼を背負って進み始める。
「こちらざくろ。リムルのほうも見つかったよ。すぐに脱出するね」
トランシーバーで仲間に報告し、そして来た道を引き返そうとした瞬間、ざくろの前に陽炎が立ちはだかった。
「……!」
燃え盛る球体、そしておぞましいその気配は間違いなく歪虚のものだった。
すぐさまここで斬りかかりたいところではあったが、ここはリムルを安全なところへ送り届けるのが最優先だ。とりあえず進路だけを確保して、この場から離脱することだけを考える。
とはいえ、リムルを背負ったままだと、武器を構えることすらままならない。どうすべきかと、思考を巡らせていた、そのときだった。
歪虚の横から現れた影が歪虚の身体を吹き飛ばした。
その大きな影はざくろの方へと向き直り、
「最優先事項はガキどもの命だ。これは穂にもなる、大事なもんだ。絶対に守らなければならん。例え俺の命を引き換えにしてもな」
この場に現れた権三郎の覚悟を受け取ったざくろは、助太刀したい気持ちを堪えつつ、彼の覚悟と自身の任務を優先させる判断を下した。
「うん、それじゃあここは任せるよ。みんなには伝えておくから」
「ああ、走れ!」
ざくろは一度も振り返ることなく、リムルを背負ったままその場を後にした。
その背後では、権三郎が身を挺して、ざくろに攻撃を仕掛けてきた歪虚の一撃を防いでいた。
「三十余年を費やしたこの童貞魔力ならば……永遠の炎でも消して見せるさ……」
ドヤ顔を決めたトミヲは、対峙している歪虚に向けてウォーターシュートを放つ。しかし狙いを定めたはずの一撃は、目測が外れ歪虚に躱されてしまった。
トミヲと帝は、炎が激しい場所を求めて歩いていた結果、二体の歪虚と遭遇し、予定通り戦闘へと突入した。歪虚自身の脅威はそれほどではないにしろ、如何せん煙で視界が遮られており、思うような攻撃が通らない。
「子ども二人は無事に救出できたみたい。でも、権三郎さんが一人で歪虚と戦っているみたいだよ」
「それじゃあ、ボクらはさっさとこいつらをなんとかしないとね。というわけで、やっちまいなー帝君!」
まずは帝の視界を確保するため、彼にウィンドガストを付与する。
「ありがとう。助かるよ」
すかさず、帝は刀を振り上げて、歪虚へと迫る。もう一体の歪虚が帝への攻撃を仕掛けようと、火の球を飛ばしてきたが、それにはトミヲがウォーターシュートで対処する。
歪虚が上空へと離脱しようとするが、帝は近くの足場を利用して歪虚と同じ高さまで駆け上がる。
「はああーー!」
気合いの一声ともに、歪虚へと斬りかかると、真っ二つになった歪虚は灰となって空気の中にかき消えた。
残る一体に対して、今度はトミヲが攻撃を仕掛ける。
「今度は、外さないっ」
先ほどと同じように、しかし今度はおちゃらけた様子ではなく、よりしっかりと歪虚へと狙いを定めウォーターシュートを放った。水球は一直線に歪虚へと向かっていき、ヤツの身体を飲み込んだ。
そして歪虚は水の中に溶けていき、あっさりと消失した。
「それじゃ、さっさと次に行こう」
帝は勝利の余韻に浸ることなく、次の歪虚目がけて駆け出した。
「あ、帝君。待ってよ」
トミヲも同じように倉庫の中を駆けてゆく。
「ふむん。この程度の壁、打ち抜けずして剣の頂には辿り着けんのじゃ!」
壁を前にした紅薔薇は、攻撃のみに特化した一の太刀の構えを取る。少し離れたところから、トムがその様子を見守っている。
次いで、気息充溢により全身に力を巡らせて、すぐさま疾風剣の態勢へと入り、壁面へと斬りかかる。
「トム、今、新鮮な空気を吸わせてやるからの」
「うん」
トムを連れて、壊した壁から倉庫の外に出てきた紅薔薇は、外で待機していた大人たちに囲まれた。
トムの母親を始めとして、歓喜の渦が紅薔薇を包むが、彼女にはまだやるべき仕事が残されている。
「トムよ。リムルも必ず助けるのじゃ」
――遠くから壁が崩れるような音が聞こえてきた。
それは歪虚が暴れたことにより生まれた音なのか、それとも子どもたちを助けるために、誰かが壁をこじ開けた音なのか、権三郎には判断ができなかったが、きっと後者だろうと思うことにした。
「あいつら。もう脱出できたころか……」
ざくろたちの脱出を手伝って負傷した権三郎は、子どもたちのことを案じていた。
目の前では、火の球を巨大化させたような形をしている歪虚がメラメラと炎を滾らせている。
権三郎自身は知る由もないが、目の前に立ちはだかっている歪虚は帝たちが対峙した二体の歪虚よりもサイズが大きかった。
「まだだ。ここで倒れるわけにはいかねえな……」
自慢の肉体は、やけどによってボロボロになっているが、それでも彼は立ち上がる。
(やっぱり、最初の一撃が効いたな……)
無我夢中でざくろたちを庇ったあのとき、権三郎はまともに攻撃を食らってしまった。その傷がこの戦闘においては、大きなハンデとして響いている。
力の入らない一撃は歪虚に軽いダメージを与えていたが、致命傷となるダメージを与えるには至っていない。
そんな権三郎に対して、歪虚は容赦なく体当たりを仕掛けてくる。
もちろん逃げることなどできやしないし、そもそもそんな考えは浮かびもしなかったので、迎え撃とうと傷だらけの体に鞭打って態勢を整える。
(倒せなくてもいい。きっとここで足止めをしていれば、誰かが駆けつけてくるはずだ。俺の役目はその誰かに引き継ぐことだ)
その時、何かが視界の端を横切ったと思ったら、その何かが歪虚の体を貫き、権三郎の身を守った。
「…………」
その何かの正体が弾丸であると気がついたのは、それを発射させた本人が柊であると気がついたのと同時だった。
銃を構えた柊が、歪虚へと注意を向けたまま話しかけてくる。
「大丈夫か?」
柊は、銃口を歪虚に向けたまま静かに言い放つ。
「お前の相手をしてる時間はねぇ、邪魔すんな」
柊が歪虚に告げると同時に、数発の弾丸が発射され、歪虚の身体を貫いたのだった。歪虚の身体が大きく歪んだかと思うと、ヤツはそのまま空気の中にかき消えた。
「悪いな。助かった」
「歪虚を殲滅させるのも、犠牲者を出さないというのも、全部任務のうちだからな。権三郎が無事でなによりだ」
柊が差し伸べてくれた手を掴み、権三郎は痛む身体に鞭打って立ち上がって、柊に肩を貸してもらいながら倉庫を脱出した。
そして、子ども二人の命を救ったハンター六人は、倉庫を囲んでいた大人たちに手厚い祝福を受けたのだった。
歪虚が消えたことで、ようやく倉庫の消火活動が進み始めた。
戦闘中に負傷した権三郎は、手当てを受けながら、徐々に小さくなって行く炎を眺めていた。隣には、穏やかに寝息を立てているトムとリムルの姿もある。
「怖い思いをさせて、すまなかったな。大事な大事な穂に育てよ」
権三郎は横目で子どもたちを眺めて呟いた。
こうして未来を担う大事な子どもたちの命は無事に守られたのだった。
「さて、動いたあとにはビールかねぇ」
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あれは……火事だ! 水流崎トミヲ(ka4852) 人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/06/23 09:13:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/22 19:13:04 |