ゲスト
(ka0000)
ゴブリン騎兵に追われて
マスター:北生見理一

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/29 19:00
- 完成日
- 2015/07/02 00:26
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
自由都市同盟が存在する半島東部。
そこは雨に包まれていた。
山の地肌を冷たい雨が打ち、濡れた木々の間から雨粒が容赦なく滴る。
ヒューゴという行商人は、足を引きずりながら、谷間を縫うように歩いていた。濁流が流れる音が聞こえる。刻一刻と水かさを増しているようだ。
追われているのか、ヒューゴは時折、周囲に視線を走らせる。
不意に山々の間から狼の咆哮が木霊した。
(奴らか……!)
ヒューゴは岩陰に身を潜ませ、しばらく様子をうかがう。
ここ最近、狼に騎乗したゴブリンたちが出没していた。狭い道しかない山間部でありながら、彼らゴブリン騎兵は狼の特性を活かし、騎兵としての強みを失うことがない。討伐は遅々として進まず、今も山道では旅人や行商人を悩ませている。
ヒューゴは念のため、一般魔法を利用した狼煙を携帯していた。
(助けが近くに来ていると分かれば、狼煙を上げられるんだが)
だが、狼煙を上げれば、ゴブリン騎兵にも気づかれてしまう。
闇雲に狼煙を上げるわけにはいかなかった。
改めて、自分が危険な道を選んだことを実感する。
ヒューゴにはどうしても村に届けたい物があった。
(この本を村に届ければ、みんなの生活が……!)
ヒューゴの村は貧しい。
痩せた土地に実る作物は少なく、暮らしはなかなか楽にならない。ヒューゴも娘を村に残し、行商人として各地を歩いている。妻亡き今、できれば娘と一緒に暮らしたい。そう願いながらも、村で生きてゆく道が見つからないのだった。
そんな折、一冊の魔法書を手に入れた。
マテリアルを活性化させるという内容らしい。これを使えば、土地の収穫量を増やすことも夢ではない。どうやら第二級禁術に当たり、魔法公害を起こす危険があった。だが、使い方さえ間違わなければ、きっと上手くいく。
ヒューゴはそう確信していた。
その確信が願望に基づくものだと気づかないまま。
実際問題、禁術を記した魔法書を手に入れるという偶然が起こりえるだろうか。その可能性をヒューゴは考えない。
(この魔法書は渡す訳にはいかない)
ヒューゴは歯を食いしばって痛みに耐えた。
雨で体は冷えきったというのに、怪我をした足は火が出たように熱い。過熱した脳裏に浮かぶのは、村の生活を向上させて娘と暮らしたいという思いだけだった。
岩陰から出て、ヒューゴは執念だけで進み始めた。
娘との生活を手に入れるために。
◆
「お願いします、父を助けて下さい」
ハンターソサエティ本部の一室で、少女が深々と頭を下げた。
三つ編みにした金髪が頭よりさらに深く垂れる。
少女の名前はシエラ。
今年一六歳になるというが、栄養が不足しているためか、痩せている印象が強かった。しかし、見目は決して悪くない。今はどこにでもいる村娘と言った装いだが、それなりの衣装を着せれば、驚くほど変わるだろう。
そんなシエラは切羽詰まった表情で、ハンターたちに救いを乞う。
「父の相方が言っていました。父はゴブリンに襲われて、谷底へ落ちていったと。でも私は父が生きていると信じています。お願いです。父が私の結婚資金として貯めていたお金を全部差し上げます。だから、父を助けて下さい」
シエラは目に涙を浮かべ、懸命に父親の救出を訴えた。
感極まったのだろうか、シエラは続く言葉が出てこない様子だった。
そんなシエラに代わり、ハンターソサエティ職員が説明を引き継ぐ。
「問題のゴブリンは狼に騎乗しています。山間部でありながら騎兵としての機動力を発揮する彼らは神出鬼没。なかなか討伐出来ていない現状です。こちらは歩兵、あちらが騎兵では、追撃は容易ではありません」
職員は事務的な口調で状況を述べてゆく。
しかもです、と職員は続ける。
「ヒューゴ氏が谷底へ落ちて無傷とは思えません。ゴブリンたちがうろつく中、彼をどうやって安全な場所まで運ぶのか。難しい問題だと思います。仮に彼を背負ったとして、そのハンターの戦闘力は激減するでしょう」
これも難しい問題だった。
職員は天候についても言及する。
「折り悪く、この地域では雨が降り続いています。ヒューゴ氏の体力はどんどん落ちているでしょうし、土砂崩れの危険もあるかもしれません。もし、この依頼を受けるであれば、足場には重々、気をつけてください」
それともう一つ、と職員は付け加えた。
「ヒューゴ氏の相方から聞いたところ、ヒューゴ氏は禁術が記された魔法書を手に入れたとか。マテリアルを活性化させることで、その土地の収穫量を飛躍的に増大させる。そのような内容のようです」
ですが、と職員は私見を述べる。
「魔法公害を引き起こしかねない内容です。第二級禁術に当たるでしょうね。そのようなシロモノがヒューゴ氏のような一般人の手に入るものでしょうか。私個人の考えを言えば、偽書ではないかと」
確かにそうだった。
しかし、ヒューゴ自身が本物だと信じているのであれば、決定的な証拠を突きつけなければならない。
それとも他に手段があるだろうか。
職員はそこに言及する。
「ヒューゴ氏は貧しい村を立て直して、娘さんとまた一緒に暮らしたいと思っているそうです。だとすれば、そのあたりに説得の鍵があるのかもしれませんね」
最後に職員は、情緒的な意見を付け加えた。
「自分の結婚資金を差し出してまで父親を救いたい。そんな依頼人の気持ちを察してください」
確かに女性として重い決断だ。
ようやく呼吸を整えたのか、シエラが再度お願いする。
「私は父と一緒に暮らせればいいんです。貧しくてもいい。ただ、昔のように一緒にいられれば……」
娘の想いは父に届くだろうか。
そこは雨に包まれていた。
山の地肌を冷たい雨が打ち、濡れた木々の間から雨粒が容赦なく滴る。
ヒューゴという行商人は、足を引きずりながら、谷間を縫うように歩いていた。濁流が流れる音が聞こえる。刻一刻と水かさを増しているようだ。
追われているのか、ヒューゴは時折、周囲に視線を走らせる。
不意に山々の間から狼の咆哮が木霊した。
(奴らか……!)
ヒューゴは岩陰に身を潜ませ、しばらく様子をうかがう。
ここ最近、狼に騎乗したゴブリンたちが出没していた。狭い道しかない山間部でありながら、彼らゴブリン騎兵は狼の特性を活かし、騎兵としての強みを失うことがない。討伐は遅々として進まず、今も山道では旅人や行商人を悩ませている。
ヒューゴは念のため、一般魔法を利用した狼煙を携帯していた。
(助けが近くに来ていると分かれば、狼煙を上げられるんだが)
だが、狼煙を上げれば、ゴブリン騎兵にも気づかれてしまう。
闇雲に狼煙を上げるわけにはいかなかった。
改めて、自分が危険な道を選んだことを実感する。
ヒューゴにはどうしても村に届けたい物があった。
(この本を村に届ければ、みんなの生活が……!)
ヒューゴの村は貧しい。
痩せた土地に実る作物は少なく、暮らしはなかなか楽にならない。ヒューゴも娘を村に残し、行商人として各地を歩いている。妻亡き今、できれば娘と一緒に暮らしたい。そう願いながらも、村で生きてゆく道が見つからないのだった。
そんな折、一冊の魔法書を手に入れた。
マテリアルを活性化させるという内容らしい。これを使えば、土地の収穫量を増やすことも夢ではない。どうやら第二級禁術に当たり、魔法公害を起こす危険があった。だが、使い方さえ間違わなければ、きっと上手くいく。
ヒューゴはそう確信していた。
その確信が願望に基づくものだと気づかないまま。
実際問題、禁術を記した魔法書を手に入れるという偶然が起こりえるだろうか。その可能性をヒューゴは考えない。
(この魔法書は渡す訳にはいかない)
ヒューゴは歯を食いしばって痛みに耐えた。
雨で体は冷えきったというのに、怪我をした足は火が出たように熱い。過熱した脳裏に浮かぶのは、村の生活を向上させて娘と暮らしたいという思いだけだった。
岩陰から出て、ヒューゴは執念だけで進み始めた。
娘との生活を手に入れるために。
◆
「お願いします、父を助けて下さい」
ハンターソサエティ本部の一室で、少女が深々と頭を下げた。
三つ編みにした金髪が頭よりさらに深く垂れる。
少女の名前はシエラ。
今年一六歳になるというが、栄養が不足しているためか、痩せている印象が強かった。しかし、見目は決して悪くない。今はどこにでもいる村娘と言った装いだが、それなりの衣装を着せれば、驚くほど変わるだろう。
そんなシエラは切羽詰まった表情で、ハンターたちに救いを乞う。
「父の相方が言っていました。父はゴブリンに襲われて、谷底へ落ちていったと。でも私は父が生きていると信じています。お願いです。父が私の結婚資金として貯めていたお金を全部差し上げます。だから、父を助けて下さい」
シエラは目に涙を浮かべ、懸命に父親の救出を訴えた。
感極まったのだろうか、シエラは続く言葉が出てこない様子だった。
そんなシエラに代わり、ハンターソサエティ職員が説明を引き継ぐ。
「問題のゴブリンは狼に騎乗しています。山間部でありながら騎兵としての機動力を発揮する彼らは神出鬼没。なかなか討伐出来ていない現状です。こちらは歩兵、あちらが騎兵では、追撃は容易ではありません」
職員は事務的な口調で状況を述べてゆく。
しかもです、と職員は続ける。
「ヒューゴ氏が谷底へ落ちて無傷とは思えません。ゴブリンたちがうろつく中、彼をどうやって安全な場所まで運ぶのか。難しい問題だと思います。仮に彼を背負ったとして、そのハンターの戦闘力は激減するでしょう」
これも難しい問題だった。
職員は天候についても言及する。
「折り悪く、この地域では雨が降り続いています。ヒューゴ氏の体力はどんどん落ちているでしょうし、土砂崩れの危険もあるかもしれません。もし、この依頼を受けるであれば、足場には重々、気をつけてください」
それともう一つ、と職員は付け加えた。
「ヒューゴ氏の相方から聞いたところ、ヒューゴ氏は禁術が記された魔法書を手に入れたとか。マテリアルを活性化させることで、その土地の収穫量を飛躍的に増大させる。そのような内容のようです」
ですが、と職員は私見を述べる。
「魔法公害を引き起こしかねない内容です。第二級禁術に当たるでしょうね。そのようなシロモノがヒューゴ氏のような一般人の手に入るものでしょうか。私個人の考えを言えば、偽書ではないかと」
確かにそうだった。
しかし、ヒューゴ自身が本物だと信じているのであれば、決定的な証拠を突きつけなければならない。
それとも他に手段があるだろうか。
職員はそこに言及する。
「ヒューゴ氏は貧しい村を立て直して、娘さんとまた一緒に暮らしたいと思っているそうです。だとすれば、そのあたりに説得の鍵があるのかもしれませんね」
最後に職員は、情緒的な意見を付け加えた。
「自分の結婚資金を差し出してまで父親を救いたい。そんな依頼人の気持ちを察してください」
確かに女性として重い決断だ。
ようやく呼吸を整えたのか、シエラが再度お願いする。
「私は父と一緒に暮らせればいいんです。貧しくてもいい。ただ、昔のように一緒にいられれば……」
娘の想いは父に届くだろうか。
リプレイ本文
●出発
「面白い工夫でございますね、レオン様」
メリル・E・ベッドフォード(ka2399)は感心したように、レオンの持つLEDライトを眺めた。
そのLEDライトは油紙で包まれている。
レオン・フォイアロート(ka0829)は生真面目な口調で答えた。
「雨に備えて油紙で包んでみた」
確かににその工夫が必要と言える。
ハンターたちの視線の先には、靄に覆われた山々がそびえていた。
いまだ雨勢は弱まることを知らない。
時音 ざくろ(ka1250)は心配そうに呟く。
「ヒューゴ、大丈夫かなあ」
彼の安否が気がかりなのは、時音一人ではない。
しかもハンターたちに課せられたのは、ヒューゴの救助だけではなかった。
禁術に執着する彼の心を解けるのか。
「彼が夢より覚めるよりも先に、まずは彼を助けなければなりませんね」
ガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401)はそう独り言ちる。
図らずも、ハンターたち全員の思いでもあった。
●ゴブリン騎兵の影
パティ=アヴァロンウッド(ka3439)と時音が教えてもらったヒューゴの滑落地点は、山の中腹だった。果たしてヒューゴは無事だろうか、とハンターたちはヒューゴの身を案じる。
オルドレイル(ka0621)と時音は双眼鏡で崖の下を観察していた。
二人は谷底に小さな物体を見つける。
ハンターたちは馬首を巡らして谷底に回り込んだ。
谷底には男性用の帽子が落ちていた。
「ヒューゴの物かもしれないな」
と、オルドレイルは連れてきた二匹の犬に帽子の匂いを嗅がせた。
「よし、行け」
オルドレイルに命じられると、犬たちは歩き始めた。果たして犬たちがヒューゴの匂いを追っているかどうかは分からない。
まだ日は落ちていないが、厚い雨雲によって日差しは遮られている。あたりはひどく暗い。ガーベラのシャイン、レオンのLEDライト、パティのランタンの明かりが岩だらけの足元を照らす。
時音は腰にLEDライトをくくりつけていた。
激しく揺れる馬上ではLEDライトは瞬くようにきらめく。
ハンター一行はひどく目立つ。
ヒューゴに気づいてもらわなければ捜索は一層困難になる。
「ヒューゴさん! いるか! 助けに来たぞ!」
レオンは時折、ヒューゴの名前を呼び、狼煙を上げた。
しかし、ハンターたちに気づいたのは――。
「あ! ゴブリンだよ!」
双眼鏡で周囲を観察していた時音が声を上げた。
見れば、狼に乗ったゴブリン騎兵が五騎、崖の上に姿を見せていた。
レオン、オルドレイル、メリルが素早く拳銃を抜く。
三人が放った銃弾は二騎のゴブリンを貫いた。
「ぐぎゃあ!」
死体が谷底に転がってくる。
このまま射撃だけで片がつけば。
そんな期待感は一瞬だけのものだった。
有利不利を悟るだけの知恵をゴブリンたちは持っていたようだ。
ゴブリン騎兵は崖の向こうに姿を隠してしまった。
「先を急ぎましょう。ヒューゴ様が心配です」
メリルに促され、ハンターたちはさらに探索を進めた。
谷底に流れる川は、雨によって勢いが増している。
おそらくヒューゴはこの川に沿って村を目指しているだろう。
レオン、時音、パティはそう予測した。
岩だらけの谷底にハンターたちが駆る馬蹄の音が響く。周囲には、まだゴブリン騎兵の気配が残っている。残った三騎がどこからか様子をうかがっているようだ。それでもハンターたちは捜索を優先する。
一体、何度狼煙を上げただろう。
もしかすると、ヒューゴはすでに……。
そんな不安がハンターたちの脳裏をかすめた時。
不意に、ハンターたちに応えるように狼煙が上がった。
ハンターたちが向かった先にヒューゴがいた。彼は岩のくぼみに隠れ、身を横たえている。どうやら足を怪我しているらしい。ハンターたちに気づいても、一人では立ち上がることができなかった。
狼煙を上げたのは、最後の力を振り絞ってのことだったのかもしれない。
メリルは馬から降り、水の入ったペットボトルを片手にヒューゴに駆け寄った。
「私たちはハンターでございます。ヒューゴ様でございますか。貴方を助けに参りました」
「あ、ああ。私がヒューゴだ。ありがとう、助かった」
ヒューゴは衰弱しているものの、受け答えはしっかりしていた。
メリルは、水で傷口を消毒し、用意したローブの一部を割いて患部を固定した。
さらにリトルファイアで火を起こして暖を取らせる。
今まで寒さに耐えいていたヒューゴは、メリルが用意したウェットスーツに着替えさせられ、手をこすり合わせながら火に当たった。
ようやく要救助者を見つけた。
と、ほっと一息ついた瞬間。
風下に注意していたパティが声を上げた。
「誰か来ます!」
パティの声とほぼ同時に、岩陰からゴブリン騎兵が飛びかかってきた。
だが、この程度の事態に動じるハンターたちではない。
とっさのことでありながら、レオン、オルドレイル、時音の三人は、横一列に馬を並べて防衛線を敷いた。
それぞれ一騎のゴブリン騎兵を受け持つ。
しかし、レオンたちの攻撃は空を切った。
ゴブリン騎兵は岩場を巧みに利用して、ハンターたちの攻撃をかわす。狼の軽快な脚さばきは馬にはないもの。今まで討伐が進まなかったこともうなずける。
苛立った時音がファイアスローワーを放つ。
「このぉ!」
炎が噴き出した。
ゴブリンたちが駆る狼は獣としての性質を強く残していた。
獣が炎を恐れるのは道理。
狼たちは一瞬、体を硬直させた。
その隙を、レオンは見逃さなかった。
「はぁっ!」
レオンの村雨丸がゴブリンを強打する。鮮血が咲いた。
抜けば玉散る。
村雨丸の表面に滴る水滴が血糊を落とす。
「ゴブリンなんかに! 親子の暮らしを壊させたりしないもん!」
続く時音はレヴァリーを一閃。
ゴブリンを一刀のもとに斬り伏せる。
レヴァリーの軌跡は長く残った。
「狼藉はここまでだ!」
オルドレイルの雷切が千鳥にも似た風切音を鳴らす。
最後のゴブリン騎兵が倒される。
ハンターたちの鮮やかな手並みをヒューゴは眩しそうに眺めていた。
●大切なもの
目についたゴブリン騎兵を倒し、ハンターたちは自然とヒューゴの周りに集まる。
ガーベラが恭しくヒューゴに申し出た。
「わたくし、幼少より魔術に情熱を注いできました。貴方の持つ魔法書について少々、興味があります。拝見させていただいてもよろしいですか?」
「ああ、かまわないが」
ヒューゴは懐に大事に仕舞っていた魔法書をガーベラに渡す。
ぱらぱら、とガーベラは魔法書を読み始めた。
その間、レオンが場をもたせる。
「その魔法書ですが、一体どれくらいの値段で手に入れたんですか?」
「それは――」
ヒューゴの答えた金額は、レオンの調べた適正価格を遥かに下回っていた。
やはりな、とレオンは事実を指摘する。
「残念ながら第二級禁術を記した魔法書は、その値段では手に入りません」
「じゃあ私が手に入れたのは……」
ヒューゴは力なくうなだれた。
彼がすがったものが、徐々に崩れてゆく。
そんなヒューゴにオルドレイルが声をかける。
「君が危険な行為に出てまで村と娘の事を思っているのは素晴らしいが、蛮勇は無謀であり果たせなかった場合何も残らない」
ヒューゴの試みは、失敗した場合、村そのものの破滅を意味していた。
それがヒューゴにも分かっていたのだろう。
彼は辛そうに目を伏せた。
オルドレイルは続ける。
「私達の報酬は君が娘の為に貯めていた結婚資金で出ることになっている。何故そこまでするのか、心の機微がわからない私でも理解できる」
娘の気持ちが分からないヒューゴではないだろう。
ただ、焦燥感が彼の心を囚えていたというだけで。
最後にオルドレイルは再考を促す。
「今一度、その魔道書の価値と禁術に手を染める意味を考え直すといい」
禁術に手を染める意味。
それは果てしなく重い。
ヒューゴの求めているものは、そこまでしなければ手に入らないのだろうか。
メリルがオルドレイルの語を引き継ぐ。
「魔術とは、術者が望む願いを叶えるため、便宜的に行使する『道具』でございます。いかなる禁術といえど、それ自体が望みを実現してくれる“万能のすべ”とは正体が異なります」
メリルの言葉は力強かった。
「願いを成し掴むのは、あくまで術者自身……。お父様がこの術の先に望む未来は何でございますか? それを成すためには、本当に、この『道具』がなければなりませんか?」
ヒューゴは深くしわを作って考え込む。
彼が望む未来。
それは一体なんだったのか。
パティが禁術の危険性を説いた。
「……やめませんか。禁術に、頼るのは」
だって、とパティは訴える。
「この先は『閉じて』いますから」
パティにはどのような未来が見えているのだろうか。
彼女は悲しげに続けた。
「もし、本物だとしたら、魔術師協会が、動く筈です。だって、もう、ハンターズソサイエティは知っているんです。そんな不安定な未来に、貴方の身を案じて震えている娘さんを置いていくのですか……?」
彼女の視線の先にある未来が、ヒューゴにも見えただろうか。
ヒューゴの瞳が光をなくす。
彼は苦悩していた。
「私は、一体どうしたら……」
ぐるぐると自分の考えが頭の中で渦巻いているのかもしれない。
その渦の中からヒューゴが脱出するにはどうすればいいだろう。
一人の力では無理に違いない。
「ざっとですが、拝読しました」
ガーベラが魔法書から顔を上げた。
彼女はぱたんと魔法書を閉じる。
「残念ながら偽物と言わなければなりません」
とガーベラは断定した。
ガーベラは一つ一つ、ヒューゴが手に入れた魔法書の問題点を挙げていった。実用的な記述がほとんどなく、いたずらに魔法公害を起こすだけの代物。ガーベラはそのように評価した。
ところで、とガーベラは提案する。
「農地の改革でしたら――」
ガーベラが挙げたのは、自由都市同盟の農耕推進地域だった。
そこなら、ヒューゴの村を助けてくれるだろうか。
「……」
ヒューゴは言葉が出ないようだ。
すがっていたものが幻だと分かったのだ。
その幻が滅んだ時、夢から覚めたヒューゴにはどのような現があるだろう。
彼の生きる現実とはなんだったのか。
そんなヒューゴに時音が思いの丈をぶつける。
「それがほんとに幸せを得る方法なの? 娘さんこんなに心配させて、シエラ言ってたよ。貧しくても父と一緒に暮らせればいいって」
時音の言葉は、直接的なだけにヒューゴの耳には一層痛かっただろう。
そう、ヒューゴにはすでに大切な存在がある。
すべては娘のため。
娘の言葉が、ヒューゴが生きるべき現実を認識させてくれる。
ヒューゴは一人ではない。
時音は悲しみを隠そうとしない。
「こうやって命の危険にあったのも、もう一度よく考えてって事じゃないかな? それに魔法公害はほんとに恐ろしいよ、村の全てを台無しにする位……それが専門家でもね」
ヒューゴは沈黙を続けていた。
言うべきことを言い、ハンターたちは彼の言葉を静かに待つ。
どれくらい時間が経っただろう。
いつしか雨足は弱まり、雲の合間から日差しが差し込んできた。
ほのかに見え始めた光の下、ヒューゴはみずからの誤りを認めた。
「私が間違っていたようです。私は苦しい生活の中、不安定な未来を夢見て、今ある大切なものを忘れていたのでしょう。貴方たちのおかげでそれを思い出すことができました」
ヒューゴはメリルの肩を借りて立ち上がる。
ハンターたちに深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。おかげで目が覚めました」
●大地に根を張って
ヒューゴが村に腰を落ち着けてしばらくの時が経った。
畑仕事にはなかなか慣れないが、彼は貧しい中に光を見出していた。
村人たちと相談して、農耕推進地域に意見を求めたばかりだ。
もし彼らが協力してくれるなら村の暮らしは改善するかもしれない。
禁術に頼ることなく、地に足をつけて未来に進む。
ハンターたちと出会ったヒューゴはまっすぐ未来を見据えていた。
何故ならヒューゴは――。
畑から家に戻ったヒューゴを夕餉(ゆうげ)の匂いが出迎える。
「お帰りなさい、お父さん!」
――彼はすでに大切なものを手に入れているのだから。
「面白い工夫でございますね、レオン様」
メリル・E・ベッドフォード(ka2399)は感心したように、レオンの持つLEDライトを眺めた。
そのLEDライトは油紙で包まれている。
レオン・フォイアロート(ka0829)は生真面目な口調で答えた。
「雨に備えて油紙で包んでみた」
確かににその工夫が必要と言える。
ハンターたちの視線の先には、靄に覆われた山々がそびえていた。
いまだ雨勢は弱まることを知らない。
時音 ざくろ(ka1250)は心配そうに呟く。
「ヒューゴ、大丈夫かなあ」
彼の安否が気がかりなのは、時音一人ではない。
しかもハンターたちに課せられたのは、ヒューゴの救助だけではなかった。
禁術に執着する彼の心を解けるのか。
「彼が夢より覚めるよりも先に、まずは彼を助けなければなりませんね」
ガーベラ・M・ベッドフォード(ka2401)はそう独り言ちる。
図らずも、ハンターたち全員の思いでもあった。
●ゴブリン騎兵の影
パティ=アヴァロンウッド(ka3439)と時音が教えてもらったヒューゴの滑落地点は、山の中腹だった。果たしてヒューゴは無事だろうか、とハンターたちはヒューゴの身を案じる。
オルドレイル(ka0621)と時音は双眼鏡で崖の下を観察していた。
二人は谷底に小さな物体を見つける。
ハンターたちは馬首を巡らして谷底に回り込んだ。
谷底には男性用の帽子が落ちていた。
「ヒューゴの物かもしれないな」
と、オルドレイルは連れてきた二匹の犬に帽子の匂いを嗅がせた。
「よし、行け」
オルドレイルに命じられると、犬たちは歩き始めた。果たして犬たちがヒューゴの匂いを追っているかどうかは分からない。
まだ日は落ちていないが、厚い雨雲によって日差しは遮られている。あたりはひどく暗い。ガーベラのシャイン、レオンのLEDライト、パティのランタンの明かりが岩だらけの足元を照らす。
時音は腰にLEDライトをくくりつけていた。
激しく揺れる馬上ではLEDライトは瞬くようにきらめく。
ハンター一行はひどく目立つ。
ヒューゴに気づいてもらわなければ捜索は一層困難になる。
「ヒューゴさん! いるか! 助けに来たぞ!」
レオンは時折、ヒューゴの名前を呼び、狼煙を上げた。
しかし、ハンターたちに気づいたのは――。
「あ! ゴブリンだよ!」
双眼鏡で周囲を観察していた時音が声を上げた。
見れば、狼に乗ったゴブリン騎兵が五騎、崖の上に姿を見せていた。
レオン、オルドレイル、メリルが素早く拳銃を抜く。
三人が放った銃弾は二騎のゴブリンを貫いた。
「ぐぎゃあ!」
死体が谷底に転がってくる。
このまま射撃だけで片がつけば。
そんな期待感は一瞬だけのものだった。
有利不利を悟るだけの知恵をゴブリンたちは持っていたようだ。
ゴブリン騎兵は崖の向こうに姿を隠してしまった。
「先を急ぎましょう。ヒューゴ様が心配です」
メリルに促され、ハンターたちはさらに探索を進めた。
谷底に流れる川は、雨によって勢いが増している。
おそらくヒューゴはこの川に沿って村を目指しているだろう。
レオン、時音、パティはそう予測した。
岩だらけの谷底にハンターたちが駆る馬蹄の音が響く。周囲には、まだゴブリン騎兵の気配が残っている。残った三騎がどこからか様子をうかがっているようだ。それでもハンターたちは捜索を優先する。
一体、何度狼煙を上げただろう。
もしかすると、ヒューゴはすでに……。
そんな不安がハンターたちの脳裏をかすめた時。
不意に、ハンターたちに応えるように狼煙が上がった。
ハンターたちが向かった先にヒューゴがいた。彼は岩のくぼみに隠れ、身を横たえている。どうやら足を怪我しているらしい。ハンターたちに気づいても、一人では立ち上がることができなかった。
狼煙を上げたのは、最後の力を振り絞ってのことだったのかもしれない。
メリルは馬から降り、水の入ったペットボトルを片手にヒューゴに駆け寄った。
「私たちはハンターでございます。ヒューゴ様でございますか。貴方を助けに参りました」
「あ、ああ。私がヒューゴだ。ありがとう、助かった」
ヒューゴは衰弱しているものの、受け答えはしっかりしていた。
メリルは、水で傷口を消毒し、用意したローブの一部を割いて患部を固定した。
さらにリトルファイアで火を起こして暖を取らせる。
今まで寒さに耐えいていたヒューゴは、メリルが用意したウェットスーツに着替えさせられ、手をこすり合わせながら火に当たった。
ようやく要救助者を見つけた。
と、ほっと一息ついた瞬間。
風下に注意していたパティが声を上げた。
「誰か来ます!」
パティの声とほぼ同時に、岩陰からゴブリン騎兵が飛びかかってきた。
だが、この程度の事態に動じるハンターたちではない。
とっさのことでありながら、レオン、オルドレイル、時音の三人は、横一列に馬を並べて防衛線を敷いた。
それぞれ一騎のゴブリン騎兵を受け持つ。
しかし、レオンたちの攻撃は空を切った。
ゴブリン騎兵は岩場を巧みに利用して、ハンターたちの攻撃をかわす。狼の軽快な脚さばきは馬にはないもの。今まで討伐が進まなかったこともうなずける。
苛立った時音がファイアスローワーを放つ。
「このぉ!」
炎が噴き出した。
ゴブリンたちが駆る狼は獣としての性質を強く残していた。
獣が炎を恐れるのは道理。
狼たちは一瞬、体を硬直させた。
その隙を、レオンは見逃さなかった。
「はぁっ!」
レオンの村雨丸がゴブリンを強打する。鮮血が咲いた。
抜けば玉散る。
村雨丸の表面に滴る水滴が血糊を落とす。
「ゴブリンなんかに! 親子の暮らしを壊させたりしないもん!」
続く時音はレヴァリーを一閃。
ゴブリンを一刀のもとに斬り伏せる。
レヴァリーの軌跡は長く残った。
「狼藉はここまでだ!」
オルドレイルの雷切が千鳥にも似た風切音を鳴らす。
最後のゴブリン騎兵が倒される。
ハンターたちの鮮やかな手並みをヒューゴは眩しそうに眺めていた。
●大切なもの
目についたゴブリン騎兵を倒し、ハンターたちは自然とヒューゴの周りに集まる。
ガーベラが恭しくヒューゴに申し出た。
「わたくし、幼少より魔術に情熱を注いできました。貴方の持つ魔法書について少々、興味があります。拝見させていただいてもよろしいですか?」
「ああ、かまわないが」
ヒューゴは懐に大事に仕舞っていた魔法書をガーベラに渡す。
ぱらぱら、とガーベラは魔法書を読み始めた。
その間、レオンが場をもたせる。
「その魔法書ですが、一体どれくらいの値段で手に入れたんですか?」
「それは――」
ヒューゴの答えた金額は、レオンの調べた適正価格を遥かに下回っていた。
やはりな、とレオンは事実を指摘する。
「残念ながら第二級禁術を記した魔法書は、その値段では手に入りません」
「じゃあ私が手に入れたのは……」
ヒューゴは力なくうなだれた。
彼がすがったものが、徐々に崩れてゆく。
そんなヒューゴにオルドレイルが声をかける。
「君が危険な行為に出てまで村と娘の事を思っているのは素晴らしいが、蛮勇は無謀であり果たせなかった場合何も残らない」
ヒューゴの試みは、失敗した場合、村そのものの破滅を意味していた。
それがヒューゴにも分かっていたのだろう。
彼は辛そうに目を伏せた。
オルドレイルは続ける。
「私達の報酬は君が娘の為に貯めていた結婚資金で出ることになっている。何故そこまでするのか、心の機微がわからない私でも理解できる」
娘の気持ちが分からないヒューゴではないだろう。
ただ、焦燥感が彼の心を囚えていたというだけで。
最後にオルドレイルは再考を促す。
「今一度、その魔道書の価値と禁術に手を染める意味を考え直すといい」
禁術に手を染める意味。
それは果てしなく重い。
ヒューゴの求めているものは、そこまでしなければ手に入らないのだろうか。
メリルがオルドレイルの語を引き継ぐ。
「魔術とは、術者が望む願いを叶えるため、便宜的に行使する『道具』でございます。いかなる禁術といえど、それ自体が望みを実現してくれる“万能のすべ”とは正体が異なります」
メリルの言葉は力強かった。
「願いを成し掴むのは、あくまで術者自身……。お父様がこの術の先に望む未来は何でございますか? それを成すためには、本当に、この『道具』がなければなりませんか?」
ヒューゴは深くしわを作って考え込む。
彼が望む未来。
それは一体なんだったのか。
パティが禁術の危険性を説いた。
「……やめませんか。禁術に、頼るのは」
だって、とパティは訴える。
「この先は『閉じて』いますから」
パティにはどのような未来が見えているのだろうか。
彼女は悲しげに続けた。
「もし、本物だとしたら、魔術師協会が、動く筈です。だって、もう、ハンターズソサイエティは知っているんです。そんな不安定な未来に、貴方の身を案じて震えている娘さんを置いていくのですか……?」
彼女の視線の先にある未来が、ヒューゴにも見えただろうか。
ヒューゴの瞳が光をなくす。
彼は苦悩していた。
「私は、一体どうしたら……」
ぐるぐると自分の考えが頭の中で渦巻いているのかもしれない。
その渦の中からヒューゴが脱出するにはどうすればいいだろう。
一人の力では無理に違いない。
「ざっとですが、拝読しました」
ガーベラが魔法書から顔を上げた。
彼女はぱたんと魔法書を閉じる。
「残念ながら偽物と言わなければなりません」
とガーベラは断定した。
ガーベラは一つ一つ、ヒューゴが手に入れた魔法書の問題点を挙げていった。実用的な記述がほとんどなく、いたずらに魔法公害を起こすだけの代物。ガーベラはそのように評価した。
ところで、とガーベラは提案する。
「農地の改革でしたら――」
ガーベラが挙げたのは、自由都市同盟の農耕推進地域だった。
そこなら、ヒューゴの村を助けてくれるだろうか。
「……」
ヒューゴは言葉が出ないようだ。
すがっていたものが幻だと分かったのだ。
その幻が滅んだ時、夢から覚めたヒューゴにはどのような現があるだろう。
彼の生きる現実とはなんだったのか。
そんなヒューゴに時音が思いの丈をぶつける。
「それがほんとに幸せを得る方法なの? 娘さんこんなに心配させて、シエラ言ってたよ。貧しくても父と一緒に暮らせればいいって」
時音の言葉は、直接的なだけにヒューゴの耳には一層痛かっただろう。
そう、ヒューゴにはすでに大切な存在がある。
すべては娘のため。
娘の言葉が、ヒューゴが生きるべき現実を認識させてくれる。
ヒューゴは一人ではない。
時音は悲しみを隠そうとしない。
「こうやって命の危険にあったのも、もう一度よく考えてって事じゃないかな? それに魔法公害はほんとに恐ろしいよ、村の全てを台無しにする位……それが専門家でもね」
ヒューゴは沈黙を続けていた。
言うべきことを言い、ハンターたちは彼の言葉を静かに待つ。
どれくらい時間が経っただろう。
いつしか雨足は弱まり、雲の合間から日差しが差し込んできた。
ほのかに見え始めた光の下、ヒューゴはみずからの誤りを認めた。
「私が間違っていたようです。私は苦しい生活の中、不安定な未来を夢見て、今ある大切なものを忘れていたのでしょう。貴方たちのおかげでそれを思い出すことができました」
ヒューゴはメリルの肩を借りて立ち上がる。
ハンターたちに深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。おかげで目が覚めました」
●大地に根を張って
ヒューゴが村に腰を落ち着けてしばらくの時が経った。
畑仕事にはなかなか慣れないが、彼は貧しい中に光を見出していた。
村人たちと相談して、農耕推進地域に意見を求めたばかりだ。
もし彼らが協力してくれるなら村の暮らしは改善するかもしれない。
禁術に頼ることなく、地に足をつけて未来に進む。
ハンターたちと出会ったヒューゴはまっすぐ未来を見据えていた。
何故ならヒューゴは――。
畑から家に戻ったヒューゴを夕餉(ゆうげ)の匂いが出迎える。
「お帰りなさい、お父さん!」
――彼はすでに大切なものを手に入れているのだから。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/29 08:08:02 |
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お父さまを救いましょう! パティ=アヴァロンウッド(ka3439) 人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/06/29 09:18:49 |