ゲスト
(ka0000)
敏腕記者リョーコのインタビュー
マスター:sagitta

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~10人
- サポート
- 0~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/06/30 19:00
- 完成日
- 2015/07/08 00:13
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●記者リョーコとカメラマンタカヤマ
リョーコ、こと斉藤涼子は、故郷であるリアルブルーにいたころ、実力派の雑誌記者だった。猪突猛進型突撃取材が功を奏し、いくつものスクープをあげていたのだ。モットーは「ペンは剣よりも強し」。
そんな彼女は、今から5年ほど前、ここクリムゾンウェストに転移した。現在、30歳になったリョーコは、リアルブルーにいたころ以上に精力的に活動を続けている。故郷のような出版社も雑誌も存在しないここで、たった一人で取材を続け、雑誌の代わりに手づくりのペーパーを作成しては、ハンターズオフィスや各国の政府、はたまた民衆たちに向けて売り込んでいるのだ。
高山猛は、リアルブルーにいたころ、報道写真を中心に幅広く写真を手がけるフリーのカメラマンだった。
そんな彼が、このクリムゾンウェストに「転移」してきたのは2年前。こちらの世界では、彼の得意とするカメラは、手に入れることすらままならない。突然、生業としていた職を断たれ、絶望的な気分になっていた彼が出会ったのが、リョーコだった。
以来、タカヤマはリョーコのアシスタント的な立場で、彼女の取材について回っている。プロ並みとまではいかないものの、絵の心得もあったタカヤマは、写真の代わりに記事に添えるスケッチをリョーコのつくるペーパーに載せたりもしている。ともすれば非常識で暴走しがちなリョーコをなだめる常識人として、泣かされることも多い役割だが、彼なりに楽しんでやっているらしい。
精霊や魔法の力が渦巻くクリムゾンウェストには、取材すべき対象が数限りなくある。今日も、ふたりが休まることはなかった。
●リョーコの思いつき
「今回の取材対象は、いつもとやや趣向を変えてみようかと思うの」
酒場で果実酒を傾けながら、リョーコが出し抜けに言う。
前置きなしにいきなり話すのは、リョーコのいつものことだ。タカヤマも、そんなことで今さらいちいち驚きはしない。
「いつもと変えてみる、というと? 歪虚を取材するんじゃなかったのか?」
「歪虚もいいけれど、もっと興味深い取材対象を見つけたのよ」
リョーコの瞳は、タカヤマではなく、もっと遠くを見つめている。その目に見えているのはきっと、彼女の追い求める真実。これも、いつものことだ。
「ハンターよ」
リョーコの言葉に、タカヤマがなるほど、とつぶやく。
リョーコとタカヤマは、一度、歪虚を取材するためにハンターオフィスに依頼し、ハンターの力を借りたことがあった。そのときにふれあったハンター達が、リョーコの思考に影響を与えたことは、想像に難くない。
「ハンターは、リアルブルーにいた頃の、どんな職業ともちがっているわ。つねに危険と隣り合わせで、経済的な保証があるわけでもない。それなのに、この世界では老若男女、さまざまな人たちがハンターとして生活している」
「確かになぁ。あっちじゃまだ学校に通っているような、ずいぶん若いハンターとかもいて、驚いたもんだ」
「どうしてハンターになったのか。ハンターとして何がしたいと思っているのか。そして――ハンター達がめざす『理想の世界』とはどんなものか。それらをインタビューして、フリーペーパーとしてまとめるの。……わくわくしてきた」
リョーコの頭の中は、すでに自分の計画で夢中で、目の前で話を聞いているタカヤマのことなど、眼中にないだろう。だが、それでいい。自分はリョーコのそういうところが好き――ちらりとそんなことを思った自分に驚いて、タカヤマは思わず声を出した。
「よし、じゃあ、ハンターに依頼してきましょう」
リョーコ、こと斉藤涼子は、故郷であるリアルブルーにいたころ、実力派の雑誌記者だった。猪突猛進型突撃取材が功を奏し、いくつものスクープをあげていたのだ。モットーは「ペンは剣よりも強し」。
そんな彼女は、今から5年ほど前、ここクリムゾンウェストに転移した。現在、30歳になったリョーコは、リアルブルーにいたころ以上に精力的に活動を続けている。故郷のような出版社も雑誌も存在しないここで、たった一人で取材を続け、雑誌の代わりに手づくりのペーパーを作成しては、ハンターズオフィスや各国の政府、はたまた民衆たちに向けて売り込んでいるのだ。
高山猛は、リアルブルーにいたころ、報道写真を中心に幅広く写真を手がけるフリーのカメラマンだった。
そんな彼が、このクリムゾンウェストに「転移」してきたのは2年前。こちらの世界では、彼の得意とするカメラは、手に入れることすらままならない。突然、生業としていた職を断たれ、絶望的な気分になっていた彼が出会ったのが、リョーコだった。
以来、タカヤマはリョーコのアシスタント的な立場で、彼女の取材について回っている。プロ並みとまではいかないものの、絵の心得もあったタカヤマは、写真の代わりに記事に添えるスケッチをリョーコのつくるペーパーに載せたりもしている。ともすれば非常識で暴走しがちなリョーコをなだめる常識人として、泣かされることも多い役割だが、彼なりに楽しんでやっているらしい。
精霊や魔法の力が渦巻くクリムゾンウェストには、取材すべき対象が数限りなくある。今日も、ふたりが休まることはなかった。
●リョーコの思いつき
「今回の取材対象は、いつもとやや趣向を変えてみようかと思うの」
酒場で果実酒を傾けながら、リョーコが出し抜けに言う。
前置きなしにいきなり話すのは、リョーコのいつものことだ。タカヤマも、そんなことで今さらいちいち驚きはしない。
「いつもと変えてみる、というと? 歪虚を取材するんじゃなかったのか?」
「歪虚もいいけれど、もっと興味深い取材対象を見つけたのよ」
リョーコの瞳は、タカヤマではなく、もっと遠くを見つめている。その目に見えているのはきっと、彼女の追い求める真実。これも、いつものことだ。
「ハンターよ」
リョーコの言葉に、タカヤマがなるほど、とつぶやく。
リョーコとタカヤマは、一度、歪虚を取材するためにハンターオフィスに依頼し、ハンターの力を借りたことがあった。そのときにふれあったハンター達が、リョーコの思考に影響を与えたことは、想像に難くない。
「ハンターは、リアルブルーにいた頃の、どんな職業ともちがっているわ。つねに危険と隣り合わせで、経済的な保証があるわけでもない。それなのに、この世界では老若男女、さまざまな人たちがハンターとして生活している」
「確かになぁ。あっちじゃまだ学校に通っているような、ずいぶん若いハンターとかもいて、驚いたもんだ」
「どうしてハンターになったのか。ハンターとして何がしたいと思っているのか。そして――ハンター達がめざす『理想の世界』とはどんなものか。それらをインタビューして、フリーペーパーとしてまとめるの。……わくわくしてきた」
リョーコの頭の中は、すでに自分の計画で夢中で、目の前で話を聞いているタカヤマのことなど、眼中にないだろう。だが、それでいい。自分はリョーコのそういうところが好き――ちらりとそんなことを思った自分に驚いて、タカヤマは思わず声を出した。
「よし、じゃあ、ハンターに依頼してきましょう」
リプレイ本文
●
町の一角にある小さな酒場。
ふだんならまだ準備中のはずの昼下がり――今日は、ほとんど満員だった。リョーコが貸し切りにしたのだ。
「こんなに集まってくれるとは思わなかった……あなた方のサービス精神に、感謝するわ」
カウンターの前に立ち、店内を見回しながらリョーコが言う。
「いやしかし、想像以上に若者が多いな……あれ、もしかして、見たところオレが最年長か? まいったなぁ」
苦笑を浮かべたのは、リョーコの相棒の、タカヤマ。
「こっちの世界では外見は当てにならないけど……今回は確かに、みんなあたし達より年下のようね」
リョーコが腕組みをしながらタカヤマに同意する。
「インタビューは、個別でおこなうわ。別室を用意してあるから、ひとりずつ入ってくれるかしら」
●
「今度はハンターのレポートだなんて、さすが目の付け所がちがってて面白ぇや!」
別室の椅子に腰かけてそう言ったのは、ヒュムネ・ミュンスター(ka4288)だ。リョーコ達とは面識もある彼女は、リアルブルーではまだ義務教育を受けている年齢にみえる。
「ありがとう。……そういえばあなたは、あちらから来たんだったわね。その歳でどうしてハンターに?」
「俺様は、好きでなったわけじゃねぇ……自衛のためだ。いつ戦禍に巻き込まれるか分からねぇ以上、自分の身を守れるのは自分だけだ。なら、有事に備えてハンターとして経験を積んでおいた方が良いだろ?」
そう言ってヒュムネは、にやりと笑ってみせる。歪虚の侵攻から逃れてきた避難民でありながら、彼女の瞳に絶望はない。自分の人生を自分で切り開く強さを、彼女はもっているのだ。
「……すごいな。君くらいの年の頃、俺はなんにもかんがえちゃいなかった」
タカヤマが、感心したようにつぶやく。
「クラスは……闘狩人ね?」
「ああ。身を守る為には良質な武具が欠かせないからな。重たい鎧も着られる闘狩人を選んだんだ」
「なるほど、自衛の為、ってことか」
タカヤマのつぶやきに、ヒュムネがうなずく。
「将来は何か考えているの?」
リョーコが聞くと、ヒュムネがうーん、と首を傾げた。
「……あんまり考えてねーな。ただ、CAMには乗ってみたい。この世界でもねーと、民間人がCAMに乗れる機会なんてねーしよ」
なるほど、とうなずきながら、リョーコがメモをとる。
「最後に何か一言ある?」
「世の中何があるか分からねぇ。鍛えるだけ鍛えといて損はねーと思うぜ?」」
●
「ハンターになったのは、そうだな、生きるため、だ」
クリスティン・ガフ(ka1090)が静かに言う。歴戦の剣士としての風格を漂わせる彼女も、よく見ればまだどこかあどけなさが残っている。
「故郷で革命が起きて、両親と家を失った。生きるために兵士の死体から装備を漁り、見様見真似で戦いながら綱渡りで世を渡ってきた。あるとき覚醒することができて、1つ上の生活と戦場を求めてハンターになった。」
「まだ若いのに、苦労してきているのね……」
リョーコが思わず同情した表情になると、クリスはきっぱりと首を横に振った。
「剣に生きることを後悔してはいない。これが私の道だ。もしハンターになってなくても、傭兵として引き続き、剣に生きていただろうな。闘狩人を選んだのも、『切った張ったがいちばん私らしい』故だ」
そう言ってクリスは、片時も離さない相棒の斬魔刀をしめしてみせた。
「私はこいつと共に、打算なく何があろうとどんな相手にも立ち向かい、誰よりも厳しく剣士を貫し研鑽を怠らず、ハンターとしてこれからも戦って戦い抜きたい。そしていつかは……十三魔のガルドブルム、やつに追いつきたいな」
「最後に大切な人に何か伝えたいことはある?」
「えっ、いいのか? じゃあ……」
リョーコの問いに、クリスの表情が急に変わる。
「啓一君、この前は一緒に行ってくれてありがとう! 大好きだよ! また祭りか何かあったら予定合わせて行こうね!」
「……えっと、それを載せられるかどうかは、ちょっと検討してみるわね……」
●
「ハンターになったのは、僕にとっては自然なことだったんだ」
軽い口調でそう言ったのは、仁川 リア(ka3483)。
「もっと自分の磨いた剣の腕を活かして生きようかなって。僕、今までずっと一人で、それこそ生きるか死ぬかの中で生きてきたからね。その中で旅しながら剣術磨いてきたんだけど」
「ずっとひとりで旅をしているのか?」
タカヤマの問いに、リアはもちろん、といったふうに軽い調子でうなずいた。
「幼い頃に両親が歪虚に殺されてね。それ以来ずっと。ハンターにならなかったら、普通の仕事には就けないだろうね。どこかで野生動物にやられるか、飢えて死んじゃってたかもしれない」
そう言いながらも、リアの表情には余裕がある。自分の剣の腕に、絶対の自信があるからこその余裕。それも、ただの自信過剰とはちがう。鍛錬に裏打ちされた、確かな自信だ。
「将来は、誰よりも強いハンターになりたいね。腕っぷしだけじゃなくて、技のキレや頭の回転の速さも含めた『強さ』だね」
(もしかしたら、)
話しながらリアは、心の中でつぶやく。
(僕はただ、自分の生きた証をどこかで残したいのかもしれない……歪虚が村を襲ったあの日に、家族も友達も故郷も、何もかもなくなっちゃったから)
「ありがとう、すばらしい意志を感じたわ。誰かに、何か伝えたいことはある?」
「それじゃあ、死んだ両親に……母さん、父さん。2人が残してくれた技で、僕はここまで強くなれたよ。だから、安心して天国で仲良く、ね」
●
「ベルセルクのAnbarだ。宜しく頼むぜ、記者さん」
「ええ、よろしく。あなたがハンターになった理由を教えてくれる?」
リョーコが尋ねると、Anbar(ka4037)はその琥珀色の瞳をぎらりと燃え上がらせた。
「……そんなもん、歪虚共を一体でも多く倒す為に決まっているだろうが。力なきものを守る為、なんて奇麗事は言わない。俺が戦い続けるのは歪虚への憎悪だからな」
強い意志を込めた言葉。聞いていたリョーコも、思わず背筋を伸ばす。
「俺のいた部族が、歪虚に滅ぼされた。俺が今生きてられるのも部族の戦士達が逃れる時間を作ってくれたからだ。だから俺は、部族の祖霊を背負ってベルセルクとして戦うんだ。それこそが彼らの無念を晴らす為の手段だろ」
「……なるほど、復讐のため、なんだな」
タカヤマのつぶやきに、Anbarが迫力のある笑みを浮かべてみせる。
「ああ‥‥俺達の代だけで歪虚との戦いが終わるとは思わないが、せめて俺のガキの時代にはもう少しマシな世界になっているように願う。その為にももっと力を蓄えて、少しでも多くの歪虚共を葬れるようにならないとな」
●
「取材依頼か! もしかしてお茶の間に?! ……って、テレビなんてなかったなこの世界!」
そう言いながらハイテンションで別室に入ってきたのは、篠崎 宗也(ka4210)だ。
「あら、あなたもあちらの世界から来たのね」
「そうなんだ! こっちに来たときに歪虚に襲われたんだけど、とある聖導士さんに助けられて、それでハンターに憧れたんだ! あの人が居なかったら死んでたぜ!」
そう言って宗也が服の襟をめくってみせると、首のところにざっくりと大きな傷跡があるのが見えた。
「だから本当は聖導士になりたかったんだけど、信仰が足りないとか適性が低いとかで、修業して魔術師になったんだぜ!」
「こっちに来たことで戸惑いはなかったのか?」
タカヤマが尋ねると、宗也はちょっと首をひねり、
「それよりも聖導士さんの魔法やらなんやらに興味を引かれちゃったからな! それにこっちだと、槍とかを堂々と持ち歩けるのもいいよな。向こうじゃ捕まるもんな!」
と、明るく答えてみせる。
「ポジティブだな、うらやましいよ」
タカヤマが苦笑する。
「そんなわけで、俺も聖導士みたいに人を守るハンターになりたいかな! 俺を助けてくれた聖導士さん! この記事を見たら誇っていいからな!」
●
「どこからお話ししましょうか」
華彩 理子(ka5123)は、別室に入ってくるなり口を開き、淡々と語りはじめた。
「私には弟と妹がおりますが、妹は体が弱く、私は薬師としてのわざを学んでおりました。ですが……私が嫁ぐことと相成りまして、家を出ました。そんな折、嫁ぎ先で騒ぎを起こしてしまったのでございます」
そこまで一気にしゃべると、理子はふと目を上げて、リョーコの瞳を見つめた。
「ああ、このお話は広くお知らせいただけるのでしたよね。申し訳ありません、仔細は伏せていただけると助かりますが……私の薬の至らぬばかりに愛する夫を殺めてしまったのでございます」
リョーコの瞳が、理子を気遣うように微かに揺れる。出しかけた言葉を飲み込んで、リョーコはまっすぐに理子を見つめ返した。黙って聞くことが、彼女の為だと考えたのだ。
「その騒ぎより私は家を逃げ出て、旧家にも戻れず途方に暮れておりました。それから私は町に出て、他人様に仇なす事で生きのびて参りました。この体と、毒を使って――非力な薬師の女には、そうする他なかったのであります。このような私が、どうして弟妹に再び相見えましょうか!」
理子の語る壮絶な話に、タカヤマは思わず、息をのんだ。非難することは容易い。だが、彼女の苦難を思えば、軽々しいことなど言えない。
「そんなとき、私はハンターのことを耳にしたのです。直ぐに契約をいただいたのは言うに及びません。そして覚醒の力を借り、また薬師――いえ、ひとを生かすわざを為したいと聖導士となったのでございます」
「ハンターの仕事は、あなたにとって希望なのですね」
リョーコの言葉に、理子は静かにうなずいた。
「心あらば、広く、広く私を明るみに出してくださいませ。遠い地で、彼らの目にとまるように」
●
「ハンターになったのは便利だから、かな。異世界から来た身としては、先立つものを手に入れる方法は限られてるしな」
リアルブルーからの転移者であるティーア・ズィルバーン(ka0122)はそう話す。
「向こうでも何でも屋やってたし、あまり抵抗はなかったな。ハンターは色々融通が利きそうだし、依頼を通じていろんな人とふれあえるのは楽しそうだし。向こうにいない異種族とコミュニケーション取れるってのも楽しいな」
「リアルブルーで何でも屋をやっていた、というのは、確かにハンターの仕事になじみやすそうね」
リョーコが言う。彼女も仕事柄、「何でも屋」の力を借りたことがあり、清濁さまざまなものに通じた彼らのことを知らないでもない。
「そうだな。たぶん、たいていのやつらよりはずっとこっちになじんでると思うぜ。疾影士ってクラスも、俺のスタイルに合ってたしな」
「今後やりたい仕事とかはある?」
「やっぱ、血沸き肉踊るような戦いをしたいな。とりあえず、目下なところは東方の悪路王だな」
そう言ってティーアは、不敵な笑みを浮かべてみせた。
●
「何故ハンターになったか……うぅん、そうですね。見聞を広める為、ですかね」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)は、じっくりと考えながら答える。
「私、最初は兵役に就こうと思ってたんですよ。でも、育ててくれている父に相談したら、勿体無いって言われて。『目指す場所が決まってるなら、もっとデカイ世界を見渡せる目を養え』って。まぁ、それで……ですかね」
「なるほどね。確かに、ハンターだとさまざまな世界を見聞きすることができるわね」
リョーコが言うと、メリエは静かにうなずいた。
「ハンターになっていなかったら、家業を手伝っていたか、兵士になっていたか……でも、私のめざしているものはハンターではないのです。将来、そこにたどり着くことができたとしたら。それまでは、求められる事をこなしますよ。戦闘が多い気もしますけどね」
「めざしているもの、というのは?」
タカヤマが尋ねると、メリエはゆっくりと首を振る。
「まだ、口にするわけにはいきません。そこにたどり着くのは、まだ先だから。だけど――そう、もしあの方に伝えることができるのならば、『必ず追いつくので、御自身の道を行きながら待っていて下さい』そう、申し上げたいです」
「わかったわ。……答えてくれてありがとう」
「いいえ。取材って、新鮮でした。平時ではあまり経験ないので。あ、そうだ。ペーパーが完成したらAPVにも配って下さいね。私も読みたいですし」
●
「『解らないこと、識らないことを識りたい』それが僕の動機です」
穏やかな口調でそう言ったのは、学者然とした風貌の天央 観智(ka0896)だ。
「こちらの世界で研究されている『マテリアル』というものに興味が湧いたんです。リアルブルーにいた頃、僕は科学者でした。こちらにきて、精霊と契約した僕は、魔術師になりました。どちらも、世界の法則や理を識る、という意味では同じだと思っています」
「……せかいの、ことわり? いやー、すごいことを考えるなぁ。考えてみたこともないなぁ」
タカヤマが驚いたような声を上げる。
「そうですか? まぁ、学者特有の好奇心というやつですよ。職業病かもしれない。識りたいことはいくらでもあります。具体的に、マテリアルがどんなものか? 根本的に増減するものなのか? はたまたエネルギーとエントロピーの様に、一方にむかって変質していくものなのか? とか……」
「うーむ、聞いているだけで頭が痛くなりそうだな……」
タカヤマの言葉に、観智が微笑を返す。
「それに、もしそれが、純粋に殖やしていけるモノなら……この世界の、人々の危機の根源……とも言える、歪虚の問題への対処法も見付かるかも知れませんしね。識った先に絶望しかない可能性も否定できませんけれど……それでも、何も解らないよりは、色々と考えられるはずです」
「あなたが、歪虚の正体について解き明かしてくれること、願っているわ」
そう言ったリョーコの表情は、真剣だった。
●
「えっと、最後はあなたね。セリア」
リョーコが言うと、セリア・シャルリエ(ka4666)はきっ、と顔を上げて、リョーコの瞳を見すえた。
「戦う宿命の私には取材を受けている時間は無いのです。だから私へのインタビューはお断りします……と言いたいところですが」
「そこをなんとか頼むわ。後に続くかもしれない未来のハンター達に、あなたが戦う意味を、伝えていきたいの」
「……そう言われると、無碍にはできませんね。いいでしょう。手短に頼みます」
リョーコに正面から頭を下げられてセリアが表情を緩めた。
「私がハンターになったのは戦う為です。以前カフェで働いていたのですがお客様から「ミルクプリンちゃんはみんなの為に戦い続けるヒロインなんだ」と言われました」
「えっと、……ミルクプリンちゃん?」
「私のことです」
怪訝そうに尋ねたタカヤマに、きっぱりと返す。
「あのときのお客様が何を言いたかったのか今でもよく分かりませんが、その言葉で私が私である為に、そして誰かの希望である為に戦い続けている今の私がある気がします」
「……な、なるほど、じゃあもし、ハンターになってなかったら?」
「今でもおっぱいカフェでミルクプリンちゃんとして働いています」
「……何カフェだって?」
「おっぱいカフェです。何かおかしいですか? 何なら揉みますか」
あくまで真面目な表情で応えるセリアに気圧され、思わずセリアの胸元に視線をやり、うなずきそうになったタカヤマを、リョーコがにらみつける。
「……えっと、何か伝えたいことはある?」
「私はこの『おっぱい』で世界を救います」
(このインタビュー、使ってもいいものかしら……)
堂々と胸を張って言ったセリアに、リョーコは、戸惑いを隠せずにいるのだった……。
●
「最後に、この質問はみんなから聞きたいのだけど」
個別のインタビューを終えてくつろぐハンター達に、リョーコが声をかけた。
「ハンターをやっていて、楽しいことを教えてほしいの。やりがい、のような。たぶん、それがみんなの聞きたいことだと思うわ」
最初に口を開いたのは、メリエ。
「色んな人との交流がありますね。ハンター同士、依頼者や依頼先で。そういった所の経験を得られるのは、楽しいですよ」
「そうだな。俺も、いろんな人間と触れ合えることが喜びだ。仮に部族が滅ぼされなかったら、部族の中の狭い世界しか識らなかっただろうから、な」
Anbarもそれに同意する。
「いろんな催し物も楽しいな。この世界じゃなきゃ、体験できなかったことばっかで新鮮だからな。」
ヒュムネが笑顔で応える。
「俺がいちばん楽しいのは、強敵相手に命かけた闘争を仕掛けられることだな」
ティーアが言うと、リアとクリスがうなずいて同意した。クリスが続けて言う。
「頭も身体も使い倒すから、充実感は半端ないな。それに貴重な経験や、好きな人と出会うきっかけにもなったし」
「依頼を達成すると、そして期待に応えると誰かしら喜びます。歓声をあげて、笑顔をみせる。そんな姿がみたくて、つらい事はあまり気になりません」
きっぱりと言ったセリアに、その場にいた全員がそれぞれにうなずく。
「……みんなありがとう。希望のある、いい記事が書けそうだわ」
インタビューが終わり、リョーコのハンターへの興味は、ますます大きくなったのだった。
町の一角にある小さな酒場。
ふだんならまだ準備中のはずの昼下がり――今日は、ほとんど満員だった。リョーコが貸し切りにしたのだ。
「こんなに集まってくれるとは思わなかった……あなた方のサービス精神に、感謝するわ」
カウンターの前に立ち、店内を見回しながらリョーコが言う。
「いやしかし、想像以上に若者が多いな……あれ、もしかして、見たところオレが最年長か? まいったなぁ」
苦笑を浮かべたのは、リョーコの相棒の、タカヤマ。
「こっちの世界では外見は当てにならないけど……今回は確かに、みんなあたし達より年下のようね」
リョーコが腕組みをしながらタカヤマに同意する。
「インタビューは、個別でおこなうわ。別室を用意してあるから、ひとりずつ入ってくれるかしら」
●
「今度はハンターのレポートだなんて、さすが目の付け所がちがってて面白ぇや!」
別室の椅子に腰かけてそう言ったのは、ヒュムネ・ミュンスター(ka4288)だ。リョーコ達とは面識もある彼女は、リアルブルーではまだ義務教育を受けている年齢にみえる。
「ありがとう。……そういえばあなたは、あちらから来たんだったわね。その歳でどうしてハンターに?」
「俺様は、好きでなったわけじゃねぇ……自衛のためだ。いつ戦禍に巻き込まれるか分からねぇ以上、自分の身を守れるのは自分だけだ。なら、有事に備えてハンターとして経験を積んでおいた方が良いだろ?」
そう言ってヒュムネは、にやりと笑ってみせる。歪虚の侵攻から逃れてきた避難民でありながら、彼女の瞳に絶望はない。自分の人生を自分で切り開く強さを、彼女はもっているのだ。
「……すごいな。君くらいの年の頃、俺はなんにもかんがえちゃいなかった」
タカヤマが、感心したようにつぶやく。
「クラスは……闘狩人ね?」
「ああ。身を守る為には良質な武具が欠かせないからな。重たい鎧も着られる闘狩人を選んだんだ」
「なるほど、自衛の為、ってことか」
タカヤマのつぶやきに、ヒュムネがうなずく。
「将来は何か考えているの?」
リョーコが聞くと、ヒュムネがうーん、と首を傾げた。
「……あんまり考えてねーな。ただ、CAMには乗ってみたい。この世界でもねーと、民間人がCAMに乗れる機会なんてねーしよ」
なるほど、とうなずきながら、リョーコがメモをとる。
「最後に何か一言ある?」
「世の中何があるか分からねぇ。鍛えるだけ鍛えといて損はねーと思うぜ?」」
●
「ハンターになったのは、そうだな、生きるため、だ」
クリスティン・ガフ(ka1090)が静かに言う。歴戦の剣士としての風格を漂わせる彼女も、よく見ればまだどこかあどけなさが残っている。
「故郷で革命が起きて、両親と家を失った。生きるために兵士の死体から装備を漁り、見様見真似で戦いながら綱渡りで世を渡ってきた。あるとき覚醒することができて、1つ上の生活と戦場を求めてハンターになった。」
「まだ若いのに、苦労してきているのね……」
リョーコが思わず同情した表情になると、クリスはきっぱりと首を横に振った。
「剣に生きることを後悔してはいない。これが私の道だ。もしハンターになってなくても、傭兵として引き続き、剣に生きていただろうな。闘狩人を選んだのも、『切った張ったがいちばん私らしい』故だ」
そう言ってクリスは、片時も離さない相棒の斬魔刀をしめしてみせた。
「私はこいつと共に、打算なく何があろうとどんな相手にも立ち向かい、誰よりも厳しく剣士を貫し研鑽を怠らず、ハンターとしてこれからも戦って戦い抜きたい。そしていつかは……十三魔のガルドブルム、やつに追いつきたいな」
「最後に大切な人に何か伝えたいことはある?」
「えっ、いいのか? じゃあ……」
リョーコの問いに、クリスの表情が急に変わる。
「啓一君、この前は一緒に行ってくれてありがとう! 大好きだよ! また祭りか何かあったら予定合わせて行こうね!」
「……えっと、それを載せられるかどうかは、ちょっと検討してみるわね……」
●
「ハンターになったのは、僕にとっては自然なことだったんだ」
軽い口調でそう言ったのは、仁川 リア(ka3483)。
「もっと自分の磨いた剣の腕を活かして生きようかなって。僕、今までずっと一人で、それこそ生きるか死ぬかの中で生きてきたからね。その中で旅しながら剣術磨いてきたんだけど」
「ずっとひとりで旅をしているのか?」
タカヤマの問いに、リアはもちろん、といったふうに軽い調子でうなずいた。
「幼い頃に両親が歪虚に殺されてね。それ以来ずっと。ハンターにならなかったら、普通の仕事には就けないだろうね。どこかで野生動物にやられるか、飢えて死んじゃってたかもしれない」
そう言いながらも、リアの表情には余裕がある。自分の剣の腕に、絶対の自信があるからこその余裕。それも、ただの自信過剰とはちがう。鍛錬に裏打ちされた、確かな自信だ。
「将来は、誰よりも強いハンターになりたいね。腕っぷしだけじゃなくて、技のキレや頭の回転の速さも含めた『強さ』だね」
(もしかしたら、)
話しながらリアは、心の中でつぶやく。
(僕はただ、自分の生きた証をどこかで残したいのかもしれない……歪虚が村を襲ったあの日に、家族も友達も故郷も、何もかもなくなっちゃったから)
「ありがとう、すばらしい意志を感じたわ。誰かに、何か伝えたいことはある?」
「それじゃあ、死んだ両親に……母さん、父さん。2人が残してくれた技で、僕はここまで強くなれたよ。だから、安心して天国で仲良く、ね」
●
「ベルセルクのAnbarだ。宜しく頼むぜ、記者さん」
「ええ、よろしく。あなたがハンターになった理由を教えてくれる?」
リョーコが尋ねると、Anbar(ka4037)はその琥珀色の瞳をぎらりと燃え上がらせた。
「……そんなもん、歪虚共を一体でも多く倒す為に決まっているだろうが。力なきものを守る為、なんて奇麗事は言わない。俺が戦い続けるのは歪虚への憎悪だからな」
強い意志を込めた言葉。聞いていたリョーコも、思わず背筋を伸ばす。
「俺のいた部族が、歪虚に滅ぼされた。俺が今生きてられるのも部族の戦士達が逃れる時間を作ってくれたからだ。だから俺は、部族の祖霊を背負ってベルセルクとして戦うんだ。それこそが彼らの無念を晴らす為の手段だろ」
「……なるほど、復讐のため、なんだな」
タカヤマのつぶやきに、Anbarが迫力のある笑みを浮かべてみせる。
「ああ‥‥俺達の代だけで歪虚との戦いが終わるとは思わないが、せめて俺のガキの時代にはもう少しマシな世界になっているように願う。その為にももっと力を蓄えて、少しでも多くの歪虚共を葬れるようにならないとな」
●
「取材依頼か! もしかしてお茶の間に?! ……って、テレビなんてなかったなこの世界!」
そう言いながらハイテンションで別室に入ってきたのは、篠崎 宗也(ka4210)だ。
「あら、あなたもあちらの世界から来たのね」
「そうなんだ! こっちに来たときに歪虚に襲われたんだけど、とある聖導士さんに助けられて、それでハンターに憧れたんだ! あの人が居なかったら死んでたぜ!」
そう言って宗也が服の襟をめくってみせると、首のところにざっくりと大きな傷跡があるのが見えた。
「だから本当は聖導士になりたかったんだけど、信仰が足りないとか適性が低いとかで、修業して魔術師になったんだぜ!」
「こっちに来たことで戸惑いはなかったのか?」
タカヤマが尋ねると、宗也はちょっと首をひねり、
「それよりも聖導士さんの魔法やらなんやらに興味を引かれちゃったからな! それにこっちだと、槍とかを堂々と持ち歩けるのもいいよな。向こうじゃ捕まるもんな!」
と、明るく答えてみせる。
「ポジティブだな、うらやましいよ」
タカヤマが苦笑する。
「そんなわけで、俺も聖導士みたいに人を守るハンターになりたいかな! 俺を助けてくれた聖導士さん! この記事を見たら誇っていいからな!」
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「どこからお話ししましょうか」
華彩 理子(ka5123)は、別室に入ってくるなり口を開き、淡々と語りはじめた。
「私には弟と妹がおりますが、妹は体が弱く、私は薬師としてのわざを学んでおりました。ですが……私が嫁ぐことと相成りまして、家を出ました。そんな折、嫁ぎ先で騒ぎを起こしてしまったのでございます」
そこまで一気にしゃべると、理子はふと目を上げて、リョーコの瞳を見つめた。
「ああ、このお話は広くお知らせいただけるのでしたよね。申し訳ありません、仔細は伏せていただけると助かりますが……私の薬の至らぬばかりに愛する夫を殺めてしまったのでございます」
リョーコの瞳が、理子を気遣うように微かに揺れる。出しかけた言葉を飲み込んで、リョーコはまっすぐに理子を見つめ返した。黙って聞くことが、彼女の為だと考えたのだ。
「その騒ぎより私は家を逃げ出て、旧家にも戻れず途方に暮れておりました。それから私は町に出て、他人様に仇なす事で生きのびて参りました。この体と、毒を使って――非力な薬師の女には、そうする他なかったのであります。このような私が、どうして弟妹に再び相見えましょうか!」
理子の語る壮絶な話に、タカヤマは思わず、息をのんだ。非難することは容易い。だが、彼女の苦難を思えば、軽々しいことなど言えない。
「そんなとき、私はハンターのことを耳にしたのです。直ぐに契約をいただいたのは言うに及びません。そして覚醒の力を借り、また薬師――いえ、ひとを生かすわざを為したいと聖導士となったのでございます」
「ハンターの仕事は、あなたにとって希望なのですね」
リョーコの言葉に、理子は静かにうなずいた。
「心あらば、広く、広く私を明るみに出してくださいませ。遠い地で、彼らの目にとまるように」
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「ハンターになったのは便利だから、かな。異世界から来た身としては、先立つものを手に入れる方法は限られてるしな」
リアルブルーからの転移者であるティーア・ズィルバーン(ka0122)はそう話す。
「向こうでも何でも屋やってたし、あまり抵抗はなかったな。ハンターは色々融通が利きそうだし、依頼を通じていろんな人とふれあえるのは楽しそうだし。向こうにいない異種族とコミュニケーション取れるってのも楽しいな」
「リアルブルーで何でも屋をやっていた、というのは、確かにハンターの仕事になじみやすそうね」
リョーコが言う。彼女も仕事柄、「何でも屋」の力を借りたことがあり、清濁さまざまなものに通じた彼らのことを知らないでもない。
「そうだな。たぶん、たいていのやつらよりはずっとこっちになじんでると思うぜ。疾影士ってクラスも、俺のスタイルに合ってたしな」
「今後やりたい仕事とかはある?」
「やっぱ、血沸き肉踊るような戦いをしたいな。とりあえず、目下なところは東方の悪路王だな」
そう言ってティーアは、不敵な笑みを浮かべてみせた。
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「何故ハンターになったか……うぅん、そうですね。見聞を広める為、ですかね」
メリエ・フリョーシカ(ka1991)は、じっくりと考えながら答える。
「私、最初は兵役に就こうと思ってたんですよ。でも、育ててくれている父に相談したら、勿体無いって言われて。『目指す場所が決まってるなら、もっとデカイ世界を見渡せる目を養え』って。まぁ、それで……ですかね」
「なるほどね。確かに、ハンターだとさまざまな世界を見聞きすることができるわね」
リョーコが言うと、メリエは静かにうなずいた。
「ハンターになっていなかったら、家業を手伝っていたか、兵士になっていたか……でも、私のめざしているものはハンターではないのです。将来、そこにたどり着くことができたとしたら。それまでは、求められる事をこなしますよ。戦闘が多い気もしますけどね」
「めざしているもの、というのは?」
タカヤマが尋ねると、メリエはゆっくりと首を振る。
「まだ、口にするわけにはいきません。そこにたどり着くのは、まだ先だから。だけど――そう、もしあの方に伝えることができるのならば、『必ず追いつくので、御自身の道を行きながら待っていて下さい』そう、申し上げたいです」
「わかったわ。……答えてくれてありがとう」
「いいえ。取材って、新鮮でした。平時ではあまり経験ないので。あ、そうだ。ペーパーが完成したらAPVにも配って下さいね。私も読みたいですし」
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「『解らないこと、識らないことを識りたい』それが僕の動機です」
穏やかな口調でそう言ったのは、学者然とした風貌の天央 観智(ka0896)だ。
「こちらの世界で研究されている『マテリアル』というものに興味が湧いたんです。リアルブルーにいた頃、僕は科学者でした。こちらにきて、精霊と契約した僕は、魔術師になりました。どちらも、世界の法則や理を識る、という意味では同じだと思っています」
「……せかいの、ことわり? いやー、すごいことを考えるなぁ。考えてみたこともないなぁ」
タカヤマが驚いたような声を上げる。
「そうですか? まぁ、学者特有の好奇心というやつですよ。職業病かもしれない。識りたいことはいくらでもあります。具体的に、マテリアルがどんなものか? 根本的に増減するものなのか? はたまたエネルギーとエントロピーの様に、一方にむかって変質していくものなのか? とか……」
「うーむ、聞いているだけで頭が痛くなりそうだな……」
タカヤマの言葉に、観智が微笑を返す。
「それに、もしそれが、純粋に殖やしていけるモノなら……この世界の、人々の危機の根源……とも言える、歪虚の問題への対処法も見付かるかも知れませんしね。識った先に絶望しかない可能性も否定できませんけれど……それでも、何も解らないよりは、色々と考えられるはずです」
「あなたが、歪虚の正体について解き明かしてくれること、願っているわ」
そう言ったリョーコの表情は、真剣だった。
●
「えっと、最後はあなたね。セリア」
リョーコが言うと、セリア・シャルリエ(ka4666)はきっ、と顔を上げて、リョーコの瞳を見すえた。
「戦う宿命の私には取材を受けている時間は無いのです。だから私へのインタビューはお断りします……と言いたいところですが」
「そこをなんとか頼むわ。後に続くかもしれない未来のハンター達に、あなたが戦う意味を、伝えていきたいの」
「……そう言われると、無碍にはできませんね。いいでしょう。手短に頼みます」
リョーコに正面から頭を下げられてセリアが表情を緩めた。
「私がハンターになったのは戦う為です。以前カフェで働いていたのですがお客様から「ミルクプリンちゃんはみんなの為に戦い続けるヒロインなんだ」と言われました」
「えっと、……ミルクプリンちゃん?」
「私のことです」
怪訝そうに尋ねたタカヤマに、きっぱりと返す。
「あのときのお客様が何を言いたかったのか今でもよく分かりませんが、その言葉で私が私である為に、そして誰かの希望である為に戦い続けている今の私がある気がします」
「……な、なるほど、じゃあもし、ハンターになってなかったら?」
「今でもおっぱいカフェでミルクプリンちゃんとして働いています」
「……何カフェだって?」
「おっぱいカフェです。何かおかしいですか? 何なら揉みますか」
あくまで真面目な表情で応えるセリアに気圧され、思わずセリアの胸元に視線をやり、うなずきそうになったタカヤマを、リョーコがにらみつける。
「……えっと、何か伝えたいことはある?」
「私はこの『おっぱい』で世界を救います」
(このインタビュー、使ってもいいものかしら……)
堂々と胸を張って言ったセリアに、リョーコは、戸惑いを隠せずにいるのだった……。
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「最後に、この質問はみんなから聞きたいのだけど」
個別のインタビューを終えてくつろぐハンター達に、リョーコが声をかけた。
「ハンターをやっていて、楽しいことを教えてほしいの。やりがい、のような。たぶん、それがみんなの聞きたいことだと思うわ」
最初に口を開いたのは、メリエ。
「色んな人との交流がありますね。ハンター同士、依頼者や依頼先で。そういった所の経験を得られるのは、楽しいですよ」
「そうだな。俺も、いろんな人間と触れ合えることが喜びだ。仮に部族が滅ぼされなかったら、部族の中の狭い世界しか識らなかっただろうから、な」
Anbarもそれに同意する。
「いろんな催し物も楽しいな。この世界じゃなきゃ、体験できなかったことばっかで新鮮だからな。」
ヒュムネが笑顔で応える。
「俺がいちばん楽しいのは、強敵相手に命かけた闘争を仕掛けられることだな」
ティーアが言うと、リアとクリスがうなずいて同意した。クリスが続けて言う。
「頭も身体も使い倒すから、充実感は半端ないな。それに貴重な経験や、好きな人と出会うきっかけにもなったし」
「依頼を達成すると、そして期待に応えると誰かしら喜びます。歓声をあげて、笑顔をみせる。そんな姿がみたくて、つらい事はあまり気になりません」
きっぱりと言ったセリアに、その場にいた全員がそれぞれにうなずく。
「……みんなありがとう。希望のある、いい記事が書けそうだわ」
インタビューが終わり、リョーコのハンターへの興味は、ますます大きくなったのだった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/29 08:29:24 |
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相談用 仁川 リア(ka3483) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/06/27 07:53:37 |