ゲスト
(ka0000)
うら若きお嬢様のおみ足に
マスター:言の羽

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/05 07:30
- 完成日
- 2015/07/13 01:40
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
その日、ひとりのハンターオフィス受付員が、とある貴族の屋敷に呼び出されていた。
実のところ――ある意味で当然とも言えるが――彼は名指しで召喚されたのではない。誰でもいいから口の堅い者をよこすようにとの連絡があって、上司から彼が指名されたにすぎない。
口が堅いとの印象を持たれていること自体は喜んでもよかったのだが、イレギュラーな業務というものは往々にして面倒事だ。断れるのであれば断りたかったというのが受付員の本音であった。
「わかっているでしょうけれど、依頼を出したいの」
そら来た、と受付員はつぶやいた。声にも表情にも出すことなく、胸の内で。
彼が通されたのは応接室だった。待っていたのはこの家の長子である娘と、その娘専属だという若い執事のふたり。執事から促されソファに腰を下ろすやいなや、娘が口を開いたのだ。
赤いドレスを纏い、爪と唇を赤く塗ったその娘の名はジルマリア。桃色の長い髪を左右それぞれでまとめ、これでもかときつい縦ロールにしている。その形状がリアルブルーの工具に似ているとかで、一部では密かにピンクドリルと呼ばれているそうなのだが、まあそれはいい。問題は別のところにある。
「まどろっこしいことは嫌いだから、単刀直入に言うわ。私に踏まれる者を集めてちょうだい」
縦ロールよりもきつい眼差し、傲慢な態度。ここまでは貴族にはよくある話だ。しかしジルマリアは、持って生まれた美貌がもったいないと思えてしまうほど、趣味が一般人のそれとは一線を画しているようだった。
「……念のため確認いたしますが、それは物理的に踏まれるという意味で間違いないでしょうか」
「は? 当たり前でしょう?」
しかめ面で返されて、受付員は無表情のまま心から帰りたいと願った。
「まあいいわ。この私の高潔なる考えなど貴方ごときの及べるところにはないのだから、特別に許してあげてよ」
「ありがとうございます」
してあげた、と言われたらとりあえず礼を述べておくのがこの受付員の処世術のひとつである。
「今度、この屋敷で舞踏会を開くの。貴族にとって舞踏会は結婚相手を探すための場。少なくともこの家ではそう。私にもそろそろ未来の夫をと、お母様とお父様が企画してくださったのよ」
貴族には貴族なりの事情があるのだろう。長子であればなおのこと。
しかし、参加予定者のリスト作成とか、同じ年頃の男性貴族の素行調査とか、なぜそういった依頼にはならなかったのか。疑問を抱きつつも、反面で答えを聞きたくないなあと受付員が考えていたところに、ジルマリアが続ける。
「夫には踏み心地の良い従順な男を選ばなければならないのだけど、私はこれまで、この執事しか踏んだことがないのよ。むやみに主従関係を結んではならないでしょう? だからそういった関係にはならない相手で舞踏会の前に経験を積んでおくべきと考えて、ハンターオフィスに連絡したの。ハンターは何でもやってくれると聞いているわ」
つっこみたいところは幾つもあるが、つっこんだところでジルマリアの中では正しく、疑念を挟む余地のないことならば意味がない。彼女の思考を一般人的に解釈するならば、愛の告白の練習を手伝えといったところなのだろうか。
「……ご依頼は確かに承りました。ですが、受けるかどうかについてはハンター個人の意思に任されています。ご期待に沿えぬ可能性があること、ご承知おきくださいますよう」
「理解していてよ。あくまで依頼、命令ではないのですもの。そのかわり、受けたハンターのことはそれなりに可愛がってあげてもいいわ」
「その旨、備考として付け加えます」
メモを取りながら、受付員は今夜の晩御飯のメニューを模索する。現実逃避しながらでも仕事の手は緩めない自分を賞賛するも、とにかく早く帰りたいだけかもしれない。
「そうそう、夫選びの前にハンターを踏んだと知っては候補の男たちが悲しむかもしれないから、そのあたりは隠してくれるかしら。その他の細かい打ち合わせは執事としてちょうだい。――後は頼んだわよ」
「仰せのままに」
ジルマリアの後ろで一言も喋らず直立不動だった執事が、片手を胸に添え一礼する。
なるほど、彼女独特の理論によって口の堅い者が呼ばれたということか。
「どんな人材が来るか、楽しみにしているわ」
赤い唇を薄く開いてにんまり笑うジルマリア。獲物を狙う猛禽類のような眼差しに、受付員はオフィスへ帰ったら自分を指名した上司に文句を言おうと心に決めた。
実のところ――ある意味で当然とも言えるが――彼は名指しで召喚されたのではない。誰でもいいから口の堅い者をよこすようにとの連絡があって、上司から彼が指名されたにすぎない。
口が堅いとの印象を持たれていること自体は喜んでもよかったのだが、イレギュラーな業務というものは往々にして面倒事だ。断れるのであれば断りたかったというのが受付員の本音であった。
「わかっているでしょうけれど、依頼を出したいの」
そら来た、と受付員はつぶやいた。声にも表情にも出すことなく、胸の内で。
彼が通されたのは応接室だった。待っていたのはこの家の長子である娘と、その娘専属だという若い執事のふたり。執事から促されソファに腰を下ろすやいなや、娘が口を開いたのだ。
赤いドレスを纏い、爪と唇を赤く塗ったその娘の名はジルマリア。桃色の長い髪を左右それぞれでまとめ、これでもかときつい縦ロールにしている。その形状がリアルブルーの工具に似ているとかで、一部では密かにピンクドリルと呼ばれているそうなのだが、まあそれはいい。問題は別のところにある。
「まどろっこしいことは嫌いだから、単刀直入に言うわ。私に踏まれる者を集めてちょうだい」
縦ロールよりもきつい眼差し、傲慢な態度。ここまでは貴族にはよくある話だ。しかしジルマリアは、持って生まれた美貌がもったいないと思えてしまうほど、趣味が一般人のそれとは一線を画しているようだった。
「……念のため確認いたしますが、それは物理的に踏まれるという意味で間違いないでしょうか」
「は? 当たり前でしょう?」
しかめ面で返されて、受付員は無表情のまま心から帰りたいと願った。
「まあいいわ。この私の高潔なる考えなど貴方ごときの及べるところにはないのだから、特別に許してあげてよ」
「ありがとうございます」
してあげた、と言われたらとりあえず礼を述べておくのがこの受付員の処世術のひとつである。
「今度、この屋敷で舞踏会を開くの。貴族にとって舞踏会は結婚相手を探すための場。少なくともこの家ではそう。私にもそろそろ未来の夫をと、お母様とお父様が企画してくださったのよ」
貴族には貴族なりの事情があるのだろう。長子であればなおのこと。
しかし、参加予定者のリスト作成とか、同じ年頃の男性貴族の素行調査とか、なぜそういった依頼にはならなかったのか。疑問を抱きつつも、反面で答えを聞きたくないなあと受付員が考えていたところに、ジルマリアが続ける。
「夫には踏み心地の良い従順な男を選ばなければならないのだけど、私はこれまで、この執事しか踏んだことがないのよ。むやみに主従関係を結んではならないでしょう? だからそういった関係にはならない相手で舞踏会の前に経験を積んでおくべきと考えて、ハンターオフィスに連絡したの。ハンターは何でもやってくれると聞いているわ」
つっこみたいところは幾つもあるが、つっこんだところでジルマリアの中では正しく、疑念を挟む余地のないことならば意味がない。彼女の思考を一般人的に解釈するならば、愛の告白の練習を手伝えといったところなのだろうか。
「……ご依頼は確かに承りました。ですが、受けるかどうかについてはハンター個人の意思に任されています。ご期待に沿えぬ可能性があること、ご承知おきくださいますよう」
「理解していてよ。あくまで依頼、命令ではないのですもの。そのかわり、受けたハンターのことはそれなりに可愛がってあげてもいいわ」
「その旨、備考として付け加えます」
メモを取りながら、受付員は今夜の晩御飯のメニューを模索する。現実逃避しながらでも仕事の手は緩めない自分を賞賛するも、とにかく早く帰りたいだけかもしれない。
「そうそう、夫選びの前にハンターを踏んだと知っては候補の男たちが悲しむかもしれないから、そのあたりは隠してくれるかしら。その他の細かい打ち合わせは執事としてちょうだい。――後は頼んだわよ」
「仰せのままに」
ジルマリアの後ろで一言も喋らず直立不動だった執事が、片手を胸に添え一礼する。
なるほど、彼女独特の理論によって口の堅い者が呼ばれたということか。
「どんな人材が来るか、楽しみにしているわ」
赤い唇を薄く開いてにんまり笑うジルマリア。獲物を狙う猛禽類のような眼差しに、受付員はオフィスへ帰ったら自分を指名した上司に文句を言おうと心に決めた。
リプレイ本文
広い部屋のほぼ中央で、依頼人ジルマリアは待っていた。ビロード張りの椅子に座り肘掛に頬杖をつきながら、リアルブルーの工具に酷似する形状の髪を揺らして。本日の赤いドレスはスリットから足がのぞくマーメイドラインだ。
全員が室内へ入ると、扉の閉まる音が重く響いた。
「それは何」
そう言ってジルマリアが顎で示したのは、Celestine(ka0107)の傍らにある大きな袋やカゴだった。とにかく数が多く、使用人が裏口に横付けされた馬車から必死で運んできたものだ。
「ふふっ、小道具です」
興味を示されたのが嬉しいらしく、セレスティーンはいくつか取り出して見せてくれた。靴、靴下、ストッキング、ガーターベルト、その他もろもろ。
「殿方に触れる部位、それは殿方へ魅力を与える部位。踏み心地も大事ですが『踏まれ心地』も演出して差し上げるのが淑女のたしなみですわ」
「ふぅん。一理あるわね」
執事を介してそれらを手に取ったジルマリアも、選び抜かれた(にしては多いが)小道具の質の良さを感じとる。その様子にセレスティーンはニコニコ顔。
「そんなにいろんなパターンで踏んでもらえるのでしょうかっ!」
躍り出たのはフェリル・L・サルバ(ka4516)だった。期待に満ちた眼差しでひざまずくフェリルは、ジルマリアが意地悪く微笑んでしまうほど、それはもう輝いていた。
「希望はなるべく叶えると約束しているから、あなたがそう望むなら」
「ありがたきお言葉! このフェリル、徹底的に踏まれに来ました! どうぞ踏んでくださいっ!!」
歓びからさらに前へ出ようとするフェリルを、今度はシェルミ=K=シュルシュタット(ka3047)が押しのけた。勢い余って転がるフェリルに詫びる様子もないまま、シェルミは舐めるようにジルマリアを見定めていく。
「俺も俺もぉ、踏んでもらえるってんなら勿論喜んで踏まれるしかねぇっていうかぁ?? そういうわけで来たんだけどよおぉ……」
くひっ、とシェルミの喉から空気が漏れた。仮面のせいで表情の判別ができないが、笑ったのかもしれない。
「その髪やばくね?」
そして完全なる上から目線で、残酷な言葉を告げる。
瞬間、ジルマリアの両目がカッと見開かれた。執事も傍らで主の動向をうかがっている。しかしシェルミにとってそんな反応は痛くもかゆくもなく、むしろ道化のように体を揺らして挑発する。
「俺ちゃんってば聖母並みに心優しいきゅーーとぼぉいだからよぉぉ、どんなに趣味じゃねぇ女でもどんなに趣味じゃねぇ女が変な髪していやがりましてもどんなに趣味じゃねぇ女が変な髪でだっせぇ言葉遣いしてやがっても踏んでくれるってんなら喜んで踏まれちまいますよぉ???」
「……そう。ならば、趣味ではない私に踏まれて喜びに浸るがいいわ」
ひとクセある髪型の持ち主は往々にして、その髪型に並々ならぬこだわりと自負を持つもの。ジルマリアも例外ではなかった。据わった目で怒りのオーラを纏いながら立ち上がる。
「で? で? お前ってばどんな感じで踏んじゃいたいの? 俺の好きでいいの? 駄目なの? ブリッジしちゃう? 四つん這い?」
「あなたはどうされたいの」
「俺? 俺の趣味? 俺の趣味は取り敢えず痛い感じでお願いしたいよねぇぇっつーーーー出来ればヒールでぶっさすレベルなんだけどそのヒール太くね? もっと針みたいなのねぇの? 血が出るまでぐりぐりぐちゃぐちゃとかしてくれちゃったりしちゃったりしたら? 俺ちゃんってばてめぇの言うことなんでも聞いちゃってもいいんだけどなぁあああとか思っちゃったり!」
「絨毯を汚したくはないのだけど――あるかしら」
問いかけられたセレスティーンは、すぐに見事なピンヒールを取り出した。
執事の手を借りて履き替える間、悪態をつきながらワクワクするシェルミ。ワクワクドキドキしすぎてはやったのか、それとも催促だったのか。ぽろりと漏らした一言が――
「でもお前ほんとその髪やばいな」
即座に踏みつけられたことは言うまでもない。それがあまりに遠慮のない行動だったので、シェルミの背にはさっそく穴が開いた。
走った痛みにシェルミがはしゃぐ隙にジルマリアのとった行動は、ヒールを脱ぐこと。脱いだものは執事が受け取ったが、察していたセレスティーンが別の靴を差し出した。
「足元を変えるのは、殿方に触れたものを使い続けるのがイヤという時のためでもありますわ」
小声で耳打ちしてから、ニコリと笑う。表と裏の顔を使い分けるとは、恐ろしい女性である。
「……そこのあなたは何をしているのかしら」
履き替えながらジルべリアが言う。先ほどからちらちらと視界に入る、リィ・ヴェスト(ka5075)の動き回る姿が気になっていたのだろう。
「探しものよ。とても大切なもの。ここにあるかもしれないわ」
「大切なもの?」
「何かはわからないけれど、でも大切なもの」
カーテンの陰から顔を出してそう答える。わからないものを探すのならば、椅子の下なりランプの傘の内側なり、セレスティーンの持ち込んだ袋やカゴの中でさえも、あらゆるところを探すのは、彼女にとっての必然。出したものをちゃんと片付けるのが救いか。
あっけにとられるジルマリアをよそに、室内をコンプリートしたらしいリィは勝手に廊下へ出ていく。別の部屋に向かうようだ。執事が使用人を呼び、リィを追いかけさせる。
「次!」
「イエスマイロード!」
自由すぎる行動に機嫌を悪くしたのか声を荒げたジルマリアの前へ、四つん這いのフェリルがセットした。そこへ叩き込まれた靴は、さほど細くも高くもないヒールだったが、そのぶん力が伝わりやすく、思い切り体重をかけてもヒールが折れる気配はない。
「あなた、けっこう鍛えているのね。踏みごたえがあるわ」
ジルマリアの体重を支えるフェリルの両腕にはそれなりの負荷がかかるが、まさか肘を曲げることなどあってはならない。たとえ硬い筋肉の隙間を縫うようにヒールがグリグリねじ込まれ、程よくめり込もうとも、彼にとって踏まれることはご褒美に他ならないのだから。
「ありがとうございますッッ!!」
考えるより先に口から出てきた言葉は感謝。踏んでいただいたことへの圧倒的感謝であった。
(周りの冷たい視線など構うものか。俺は今、幸せを噛み締めている!)
すでに彼の中から羞恥という感情が消え、顔は幸福感からニヤけていた。結論として、ただの変態のようだ。
フェリルが間違っていたとすれば、「周りからの冷たい視線」というものはこの時この部屋には存在しなかった、ということだろう。
「おにーぃぃぃいちゃんに乗ってもいいかな? フェリルーン!」
緩んだ顔を覗き込んだのは仮面だった。ジルマリアに踏み方を教えてやると言ったら、まずやって見せろと言われたのだ。体よく追い払われた感は否めない。
「俺を見くびるなよ! 好んで野郎に踏まれたいと思うような種類の変態ではないっ!」
「あくまでも女性に踏まれたいのですよね」
「イグザクトリィ!!」
体力のあるフェリル。シェルミとの鬼ごっこの途中でも、セレスティーンの言葉に花丸を贈るくらいの余裕はあった。
部屋の広さが救いとなり、その間にも踏まれるお仕事は続く。
(お嬢様に踏まれるなんて貴重な体験やんな?)
絨毯にうつぶせで寝そべったのは京島 虹花(ka1486)だった。
いつも通りの力で、できれば思いっきり踏んで欲しい――そんな希望から、フェリルと同じ類かと想定されたのだが違った。
「いたいいたいいたい!」
険しい山も安全に歩けそうながっちりとした靴で背中を踏まれ、虹花は床を手で叩きまくる。目じりに涙も浮かんでいる。
「やはり男性と女性とでは感触が違うわね」
一応は一応の配慮をしたのか、ジルマリアはそっと足を下ろす。だがその足を、虹花はがっちりつかんで離さなかった。
「うち……顔も踏んでもらいたいんよ……」
涙目で懇願することではない。一般的な感覚の持ち主かと思いきや、実は開いてはいけない扉を開いてしまったのかもしれない。
とりあえず虹花の要望を叶えた(頬やおでこに足跡をつけた)ジルマリアが、別のハイヒールに履き替えて次の志望者は誰かと振り向くと、リナリス・リーカノア(ka5126)と目が合った。
「やれるもんならやってみればぁ?」
巫女装束姿の少女が挑戦的な言葉とともにほくそ笑む。ジルマリアは冷ややかな眼差しのままつかつかと歩み寄り、リナリスの眼前で止まった。
ひゅっ、と風を切る音。平手打ちではない、裏拳だ。年齢に似合わない豊満な胸を揺らしながら倒れるリナリス。這いつくばる彼女の背に容赦なくヒールが落とされる。
「いぎっ……ふん、痛くも痒くもないね♪」
「あらそう」
胸と尻以外は年齢相応、肉付きの薄い身体が踏みにじられれば、逃れようとして、動ける下半身がもがく。
「心得ていてよ。わざわざこういった依頼を引き受けるくらいだもの、強引にしてほしいのでしょう?」
「ひぎゃあああ!」
幾度も踏まれ、ついには突き出した尻にヒールが刺さった。リナリスの叫びは苦痛とも快感ともつかない声で――いや、彼女には苦痛すらも快感のうちなのだろう。蕩けた表情で自分を踏みつけた靴と足にすがり、何でも言うことを聞くと隷属を告げた。
反抗的な相手でも、踏みつけて屈服させれば内なる被虐心が目覚める可能性がある――リナリスの態度はそういう理論を学んでもらうための演技だったようだが、結果として彼女自身の被虐心をさらけ出すこととなった。
待てと犬のように命じられたリナリスの次は、連れ戻されたリィだった。もちろん一筋縄ではいかず、リィはジルマリアの縦ロールを手に取ったかと思うと、おもむろに口に入れた。
「……おいしくない」
人毛だ。食品ではないし、たいていの人は美味しいとは感じない。ジルマリアが顔をひきつらせながら理由を問えば、
「だってコロネパンをぶら下げていたら気になるわ」
この応答であるから、自慢の髪形を台無しにされた屈辱を何とか抑えつけるしかなかった。
だが想定と異なる現実に肩を落としたのはリィも同じで、今度はジルマリアのドレスに手を伸ばした。
「服を脱いでもらえるかしら、ジルマリア」
例の探し物だと言うが、体の線に沿ったドレスの内側に何を隠しているというのか。執事にも脱げと言い、実際に手を伸ばしたので、仕方なくジルマリアが折れた。髪型がパンに見えるくらいだからよほど空腹で、そのために不思議な言動なのやもと、パンや菓子類を用意させた。
それなのに腹が満たされても、リィの不思議加減は全く変化なかった。
「俺は、まだ死ぬわけには……」
などと言いながら床を這う。
「……? どうしたのかしら。ここは『死に損ないが、逃げられると思ってんのかァ?』って踏みながら言うシーンだと思うわ」
「はいはい、逃がしはしないわよ」
要望により靴なしストッキングで踏まれたリィの表情はやはりほとんど変わらなかったが、痛いとだけ漏らした。ただ、女性で、筋肉質でもないのに弾力がある踏み心地はお嬢様の興味を引いたようだった。
「あとはあなただけよ」
「え?」
踏まれ足りないフェリルとシェルミを彼らの希望する靴で踏んでいたセレスティーンに、ジルマリアから声がかかる。自分にはその気がないと幾重ものオブラートに包んで拒んだが、ジルマリアには通じなかった。
依頼したのはあくまでも踏まれることだと、何度もきつく言われては従うしかなく。私だって貴族なのにとぼやきながら、セレスティーンは床に仰向けで寝転んだ。貴族だからこそ、ジルマリアが譲らなかったのだとは気づいていない。ジルマリアの本番の相手も当然貴族なのだ、貴族の反応は最も気になるところだった。
嫌々従った割に、セレスティーンの希望踏みつけ部位はおなかだった。さすがのジルマリアも女性の腹部ということで躊躇したが、大丈夫だと促されて絹の靴下で踏んでみれば、意外にもフェリルの背中より硬かった。
「常にコルセットをつけていますから」
さすが貴族、と言えよう。ジルマリアは締めつけられるのを好まず普段からコルセットを着けないので、考えが及んでいなかった。
踏まれることを拒みながら、踏まれることを想定し被害を最小限にとどめる工夫をしたのだ。その策士のごとき思考にジルマリアが一目置こうとした時のこと。
「下から眺めるジルマリア様もお美しいですわ……どうか、私を姉妹にして下さりませんか?」
踏みつけられたまま笑顔で義理姉妹の誓いを求めるセレスティーン。今回唯一まともな存在かと思われたのだが、やはり違ったようだ。
「妹なら間に合っているわ。ひとりいるの」
「そうですか、残念です。あ、女性の皆さんも宜しければ、私の姉妹になってくださいませんか? ご希望の履物で踏んで差し上げることもできますわ」
なおも足の下のセレスティーンから笑顔で手を取られ、虹花は戸惑いながら周囲に助けを求めたが助けてくれそうな者などいない。リィは追加された菓子を食している。
リナリスにはそもそもセレスティーンの言葉が届いていなかった。執事に頼んで溶かしてもらった持参のチーズ(煮えたぎっている)、そして鞭とロープを手に、ジルマリアにすがる。
「お嬢様ぁ……悪い子のあたしをもっと罰して下さい……♪」
「待てもできないの? ダメな子ね」
巫女服をはだけたリナリスは執事によって手を後ろに縛られる。両膝をつき、頭を垂れた、その首筋に熱いチーズが垂らされる。リナリスは叫んだが、当のジルマリアは鞭の使い勝手を確かめていて見向きもしない。
「どうもしっくりこないわ。いつものを」
執事からジルマリアに手渡される、黒皮の鞭。使い込まれよくしなるその鞭は、一振りしただけで、それがもたらす痛みに(一部の人が)感動すら覚えるほど綺麗な音を立てた。
「じ、実はあたし……今朝もベッドに粗相してしまって、ママにお仕置きされたんです……こんなはしたないあたしに、たっぷり罰を与えて下さいい!」
たまらなくなってリナリスが絶叫に似た懇願をすれば、ようやく彼女の望むものがもたらされた。
「ひぎぃいいっ♪」
リナリスのあげた歓喜の声に、怪我を求めるシェルミが文句をつける。
「はあああ!? ズルくね、ズルくね!? そんなイイものあるなら最初から出してくれてもよかったんじゃねえのおおおぉ!? つぅかお前ほんとその髪やばくね」
リィに食べられたため、確かに今のジルマリアの髪はやばかった。何とか我慢できていたものの指摘されればそれまでで、激情に駆られて振るわれた鞭は、シェルミの望み通り彼の体に傷を作った。
「おうちの中は探し終わってないからまた来るわ。ばいばい」
菓子を食べつくしたリィが立ち去っても、室内に満ちた混沌はおさまる気配すらなかった。
全員が室内へ入ると、扉の閉まる音が重く響いた。
「それは何」
そう言ってジルマリアが顎で示したのは、Celestine(ka0107)の傍らにある大きな袋やカゴだった。とにかく数が多く、使用人が裏口に横付けされた馬車から必死で運んできたものだ。
「ふふっ、小道具です」
興味を示されたのが嬉しいらしく、セレスティーンはいくつか取り出して見せてくれた。靴、靴下、ストッキング、ガーターベルト、その他もろもろ。
「殿方に触れる部位、それは殿方へ魅力を与える部位。踏み心地も大事ですが『踏まれ心地』も演出して差し上げるのが淑女のたしなみですわ」
「ふぅん。一理あるわね」
執事を介してそれらを手に取ったジルマリアも、選び抜かれた(にしては多いが)小道具の質の良さを感じとる。その様子にセレスティーンはニコニコ顔。
「そんなにいろんなパターンで踏んでもらえるのでしょうかっ!」
躍り出たのはフェリル・L・サルバ(ka4516)だった。期待に満ちた眼差しでひざまずくフェリルは、ジルマリアが意地悪く微笑んでしまうほど、それはもう輝いていた。
「希望はなるべく叶えると約束しているから、あなたがそう望むなら」
「ありがたきお言葉! このフェリル、徹底的に踏まれに来ました! どうぞ踏んでくださいっ!!」
歓びからさらに前へ出ようとするフェリルを、今度はシェルミ=K=シュルシュタット(ka3047)が押しのけた。勢い余って転がるフェリルに詫びる様子もないまま、シェルミは舐めるようにジルマリアを見定めていく。
「俺も俺もぉ、踏んでもらえるってんなら勿論喜んで踏まれるしかねぇっていうかぁ?? そういうわけで来たんだけどよおぉ……」
くひっ、とシェルミの喉から空気が漏れた。仮面のせいで表情の判別ができないが、笑ったのかもしれない。
「その髪やばくね?」
そして完全なる上から目線で、残酷な言葉を告げる。
瞬間、ジルマリアの両目がカッと見開かれた。執事も傍らで主の動向をうかがっている。しかしシェルミにとってそんな反応は痛くもかゆくもなく、むしろ道化のように体を揺らして挑発する。
「俺ちゃんってば聖母並みに心優しいきゅーーとぼぉいだからよぉぉ、どんなに趣味じゃねぇ女でもどんなに趣味じゃねぇ女が変な髪していやがりましてもどんなに趣味じゃねぇ女が変な髪でだっせぇ言葉遣いしてやがっても踏んでくれるってんなら喜んで踏まれちまいますよぉ???」
「……そう。ならば、趣味ではない私に踏まれて喜びに浸るがいいわ」
ひとクセある髪型の持ち主は往々にして、その髪型に並々ならぬこだわりと自負を持つもの。ジルマリアも例外ではなかった。据わった目で怒りのオーラを纏いながら立ち上がる。
「で? で? お前ってばどんな感じで踏んじゃいたいの? 俺の好きでいいの? 駄目なの? ブリッジしちゃう? 四つん這い?」
「あなたはどうされたいの」
「俺? 俺の趣味? 俺の趣味は取り敢えず痛い感じでお願いしたいよねぇぇっつーーーー出来ればヒールでぶっさすレベルなんだけどそのヒール太くね? もっと針みたいなのねぇの? 血が出るまでぐりぐりぐちゃぐちゃとかしてくれちゃったりしちゃったりしたら? 俺ちゃんってばてめぇの言うことなんでも聞いちゃってもいいんだけどなぁあああとか思っちゃったり!」
「絨毯を汚したくはないのだけど――あるかしら」
問いかけられたセレスティーンは、すぐに見事なピンヒールを取り出した。
執事の手を借りて履き替える間、悪態をつきながらワクワクするシェルミ。ワクワクドキドキしすぎてはやったのか、それとも催促だったのか。ぽろりと漏らした一言が――
「でもお前ほんとその髪やばいな」
即座に踏みつけられたことは言うまでもない。それがあまりに遠慮のない行動だったので、シェルミの背にはさっそく穴が開いた。
走った痛みにシェルミがはしゃぐ隙にジルマリアのとった行動は、ヒールを脱ぐこと。脱いだものは執事が受け取ったが、察していたセレスティーンが別の靴を差し出した。
「足元を変えるのは、殿方に触れたものを使い続けるのがイヤという時のためでもありますわ」
小声で耳打ちしてから、ニコリと笑う。表と裏の顔を使い分けるとは、恐ろしい女性である。
「……そこのあなたは何をしているのかしら」
履き替えながらジルべリアが言う。先ほどからちらちらと視界に入る、リィ・ヴェスト(ka5075)の動き回る姿が気になっていたのだろう。
「探しものよ。とても大切なもの。ここにあるかもしれないわ」
「大切なもの?」
「何かはわからないけれど、でも大切なもの」
カーテンの陰から顔を出してそう答える。わからないものを探すのならば、椅子の下なりランプの傘の内側なり、セレスティーンの持ち込んだ袋やカゴの中でさえも、あらゆるところを探すのは、彼女にとっての必然。出したものをちゃんと片付けるのが救いか。
あっけにとられるジルマリアをよそに、室内をコンプリートしたらしいリィは勝手に廊下へ出ていく。別の部屋に向かうようだ。執事が使用人を呼び、リィを追いかけさせる。
「次!」
「イエスマイロード!」
自由すぎる行動に機嫌を悪くしたのか声を荒げたジルマリアの前へ、四つん這いのフェリルがセットした。そこへ叩き込まれた靴は、さほど細くも高くもないヒールだったが、そのぶん力が伝わりやすく、思い切り体重をかけてもヒールが折れる気配はない。
「あなた、けっこう鍛えているのね。踏みごたえがあるわ」
ジルマリアの体重を支えるフェリルの両腕にはそれなりの負荷がかかるが、まさか肘を曲げることなどあってはならない。たとえ硬い筋肉の隙間を縫うようにヒールがグリグリねじ込まれ、程よくめり込もうとも、彼にとって踏まれることはご褒美に他ならないのだから。
「ありがとうございますッッ!!」
考えるより先に口から出てきた言葉は感謝。踏んでいただいたことへの圧倒的感謝であった。
(周りの冷たい視線など構うものか。俺は今、幸せを噛み締めている!)
すでに彼の中から羞恥という感情が消え、顔は幸福感からニヤけていた。結論として、ただの変態のようだ。
フェリルが間違っていたとすれば、「周りからの冷たい視線」というものはこの時この部屋には存在しなかった、ということだろう。
「おにーぃぃぃいちゃんに乗ってもいいかな? フェリルーン!」
緩んだ顔を覗き込んだのは仮面だった。ジルマリアに踏み方を教えてやると言ったら、まずやって見せろと言われたのだ。体よく追い払われた感は否めない。
「俺を見くびるなよ! 好んで野郎に踏まれたいと思うような種類の変態ではないっ!」
「あくまでも女性に踏まれたいのですよね」
「イグザクトリィ!!」
体力のあるフェリル。シェルミとの鬼ごっこの途中でも、セレスティーンの言葉に花丸を贈るくらいの余裕はあった。
部屋の広さが救いとなり、その間にも踏まれるお仕事は続く。
(お嬢様に踏まれるなんて貴重な体験やんな?)
絨毯にうつぶせで寝そべったのは京島 虹花(ka1486)だった。
いつも通りの力で、できれば思いっきり踏んで欲しい――そんな希望から、フェリルと同じ類かと想定されたのだが違った。
「いたいいたいいたい!」
険しい山も安全に歩けそうながっちりとした靴で背中を踏まれ、虹花は床を手で叩きまくる。目じりに涙も浮かんでいる。
「やはり男性と女性とでは感触が違うわね」
一応は一応の配慮をしたのか、ジルマリアはそっと足を下ろす。だがその足を、虹花はがっちりつかんで離さなかった。
「うち……顔も踏んでもらいたいんよ……」
涙目で懇願することではない。一般的な感覚の持ち主かと思いきや、実は開いてはいけない扉を開いてしまったのかもしれない。
とりあえず虹花の要望を叶えた(頬やおでこに足跡をつけた)ジルマリアが、別のハイヒールに履き替えて次の志望者は誰かと振り向くと、リナリス・リーカノア(ka5126)と目が合った。
「やれるもんならやってみればぁ?」
巫女装束姿の少女が挑戦的な言葉とともにほくそ笑む。ジルマリアは冷ややかな眼差しのままつかつかと歩み寄り、リナリスの眼前で止まった。
ひゅっ、と風を切る音。平手打ちではない、裏拳だ。年齢に似合わない豊満な胸を揺らしながら倒れるリナリス。這いつくばる彼女の背に容赦なくヒールが落とされる。
「いぎっ……ふん、痛くも痒くもないね♪」
「あらそう」
胸と尻以外は年齢相応、肉付きの薄い身体が踏みにじられれば、逃れようとして、動ける下半身がもがく。
「心得ていてよ。わざわざこういった依頼を引き受けるくらいだもの、強引にしてほしいのでしょう?」
「ひぎゃあああ!」
幾度も踏まれ、ついには突き出した尻にヒールが刺さった。リナリスの叫びは苦痛とも快感ともつかない声で――いや、彼女には苦痛すらも快感のうちなのだろう。蕩けた表情で自分を踏みつけた靴と足にすがり、何でも言うことを聞くと隷属を告げた。
反抗的な相手でも、踏みつけて屈服させれば内なる被虐心が目覚める可能性がある――リナリスの態度はそういう理論を学んでもらうための演技だったようだが、結果として彼女自身の被虐心をさらけ出すこととなった。
待てと犬のように命じられたリナリスの次は、連れ戻されたリィだった。もちろん一筋縄ではいかず、リィはジルマリアの縦ロールを手に取ったかと思うと、おもむろに口に入れた。
「……おいしくない」
人毛だ。食品ではないし、たいていの人は美味しいとは感じない。ジルマリアが顔をひきつらせながら理由を問えば、
「だってコロネパンをぶら下げていたら気になるわ」
この応答であるから、自慢の髪形を台無しにされた屈辱を何とか抑えつけるしかなかった。
だが想定と異なる現実に肩を落としたのはリィも同じで、今度はジルマリアのドレスに手を伸ばした。
「服を脱いでもらえるかしら、ジルマリア」
例の探し物だと言うが、体の線に沿ったドレスの内側に何を隠しているというのか。執事にも脱げと言い、実際に手を伸ばしたので、仕方なくジルマリアが折れた。髪型がパンに見えるくらいだからよほど空腹で、そのために不思議な言動なのやもと、パンや菓子類を用意させた。
それなのに腹が満たされても、リィの不思議加減は全く変化なかった。
「俺は、まだ死ぬわけには……」
などと言いながら床を這う。
「……? どうしたのかしら。ここは『死に損ないが、逃げられると思ってんのかァ?』って踏みながら言うシーンだと思うわ」
「はいはい、逃がしはしないわよ」
要望により靴なしストッキングで踏まれたリィの表情はやはりほとんど変わらなかったが、痛いとだけ漏らした。ただ、女性で、筋肉質でもないのに弾力がある踏み心地はお嬢様の興味を引いたようだった。
「あとはあなただけよ」
「え?」
踏まれ足りないフェリルとシェルミを彼らの希望する靴で踏んでいたセレスティーンに、ジルマリアから声がかかる。自分にはその気がないと幾重ものオブラートに包んで拒んだが、ジルマリアには通じなかった。
依頼したのはあくまでも踏まれることだと、何度もきつく言われては従うしかなく。私だって貴族なのにとぼやきながら、セレスティーンは床に仰向けで寝転んだ。貴族だからこそ、ジルマリアが譲らなかったのだとは気づいていない。ジルマリアの本番の相手も当然貴族なのだ、貴族の反応は最も気になるところだった。
嫌々従った割に、セレスティーンの希望踏みつけ部位はおなかだった。さすがのジルマリアも女性の腹部ということで躊躇したが、大丈夫だと促されて絹の靴下で踏んでみれば、意外にもフェリルの背中より硬かった。
「常にコルセットをつけていますから」
さすが貴族、と言えよう。ジルマリアは締めつけられるのを好まず普段からコルセットを着けないので、考えが及んでいなかった。
踏まれることを拒みながら、踏まれることを想定し被害を最小限にとどめる工夫をしたのだ。その策士のごとき思考にジルマリアが一目置こうとした時のこと。
「下から眺めるジルマリア様もお美しいですわ……どうか、私を姉妹にして下さりませんか?」
踏みつけられたまま笑顔で義理姉妹の誓いを求めるセレスティーン。今回唯一まともな存在かと思われたのだが、やはり違ったようだ。
「妹なら間に合っているわ。ひとりいるの」
「そうですか、残念です。あ、女性の皆さんも宜しければ、私の姉妹になってくださいませんか? ご希望の履物で踏んで差し上げることもできますわ」
なおも足の下のセレスティーンから笑顔で手を取られ、虹花は戸惑いながら周囲に助けを求めたが助けてくれそうな者などいない。リィは追加された菓子を食している。
リナリスにはそもそもセレスティーンの言葉が届いていなかった。執事に頼んで溶かしてもらった持参のチーズ(煮えたぎっている)、そして鞭とロープを手に、ジルマリアにすがる。
「お嬢様ぁ……悪い子のあたしをもっと罰して下さい……♪」
「待てもできないの? ダメな子ね」
巫女服をはだけたリナリスは執事によって手を後ろに縛られる。両膝をつき、頭を垂れた、その首筋に熱いチーズが垂らされる。リナリスは叫んだが、当のジルマリアは鞭の使い勝手を確かめていて見向きもしない。
「どうもしっくりこないわ。いつものを」
執事からジルマリアに手渡される、黒皮の鞭。使い込まれよくしなるその鞭は、一振りしただけで、それがもたらす痛みに(一部の人が)感動すら覚えるほど綺麗な音を立てた。
「じ、実はあたし……今朝もベッドに粗相してしまって、ママにお仕置きされたんです……こんなはしたないあたしに、たっぷり罰を与えて下さいい!」
たまらなくなってリナリスが絶叫に似た懇願をすれば、ようやく彼女の望むものがもたらされた。
「ひぎぃいいっ♪」
リナリスのあげた歓喜の声に、怪我を求めるシェルミが文句をつける。
「はあああ!? ズルくね、ズルくね!? そんなイイものあるなら最初から出してくれてもよかったんじゃねえのおおおぉ!? つぅかお前ほんとその髪やばくね」
リィに食べられたため、確かに今のジルマリアの髪はやばかった。何とか我慢できていたものの指摘されればそれまでで、激情に駆られて振るわれた鞭は、シェルミの望み通り彼の体に傷を作った。
「おうちの中は探し終わってないからまた来るわ。ばいばい」
菓子を食べつくしたリィが立ち去っても、室内に満ちた混沌はおさまる気配すらなかった。
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/05 03:26:35 |