ゲスト
(ka0000)
【幻導】死者が動くその夜に
マスター:剣崎宗二

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/13 07:30
- 完成日
- 2015/07/16 12:04
このシナリオは5日間納期が延長されています。
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●New Shadow
「ディーン。今回は――」
「はいはい、わぁーってるよ。またいっぱい殺して、暴れて来て、囮になれって事だろ? ……さっきあいつが来て帰ってった時から予測はついてたよ」
「……なら、話は早い。行って来てくれるか?」
「どーせ俺に拒否権なんてねぇよ。それに、殺すのは嫌いじゃねぇしな」
外に出ようとした男――ディーン・キルが、ふと立ち止まり。彼の主である、『災厄の十三魔』が一人――アレクサンドル・バーンズに問いかける。
「……まーた、『危なくなったら帰って来い』とかじゃねぇだろうなぁ?」
「残念ながら、おっさんのその命令は今回も有効だ。けど……その代わり、今回はお前が出来るだけ『長く』楽しめるよう、ちょっとした準備をしてある」
そう言い放ったアレクサンドルの後ろから立ち上がったのは、五体の歪虚。それは一見、つぎはぎだらけのゾンビのようにも見える。ゆっくりと、大きく体を揺らしながら、ディーンの傍へと歩いていく。
「……なんじゃこりゃ」
気持ち悪がるように眉をしかめるディーン。
「……お前の戦法に合わせて設計した物だ。とにかく『牽制』『足止め』に特化してある。いざ倒されそうになったら――お前が纏めてぶった切ればいい」
そこまで聞いて、ディーンの顔には笑みが浮かんでいた。試すのを待ちきれない、そんな表情だ。
「今回ちゃんと陽動してくれれば、これを使わせる。……大丈夫かね?」
「ああ、ありがとよ!」
嬉々として飛び出すディーンの後ろを、五体の歪虚がついていくのを見送るアレクサンドル。
彼らの姿が見えなくなった頃、アレクサンドルの後ろから巨大な黒い影が出現する。
「……急な頼み…すまんな…」
「何。おっさんも相応の報酬は得た。…それよりも、次の段階だ。これが成功しなければ、意味がないのだからな」
●死者が動くその夜に
ナルガンド塔近辺。
探索、及び防衛の為、その付近には幾隊かの辺境勢力が駐在していた。
「はーぁ、暇だなぁ」
パトロール隊の一つが、彼らのキャンプと塔の、丁度中央地点に差し掛かっていた。
「しゃきっとしやがれ! ったく……いつ歪虚が出てくるとも分からないのによ――」
「へーい」
叱られた兵が、口を尖らせる。
「周りでは何重にも警戒線が張られてるしよ、この中まで死にに来る歪虚はいませんよ」
「――ところが居るんだなこれがぁ!」
闇の中。刃が月光を反射し、煌いた。
次の瞬間、後に残ったのは、首の無い死体。
「――例の『殺人鬼』か。ハンターに連絡を出せ!集中射撃で牽制しろ!!」
――ディーンは、幾度か大きな作戦の前に『襲撃』を行っている。故に、今回も来るだろうと言う事は、ある程度予想がついていた。ハンターたちが待機し、迎撃の準備をしていたのである。
彼に相対する場合、戦力のない一般兵を出来るだけ早く脱出させる事が急務となる。その能力――『血狂い』によって、殺された一般兵は彼を強化させる事になる。
兵士たちが、必死にハンターたちが増援してくるであろう方角に向かって、逃走していく。
ガキッ。
脚甲が、何かに引っかかって動かなくなる。
それを解除しようと手を掛け、そちらを見た瞬間。
「ひぃっ!?」
目から血を流し。ほぼ骸骨のような者が、彼の脚を掴んでいた。
「ちったぁ使えるじゃねぇか」
パァン。
銃撃音と共に、兵士が胸に大穴を開け、倒れる。
空に浮かぶ、暗闇によって不可視になった黒刃に当たり跳ね返りながら空を舞う魔弾は、彼の回りに居た兵士三人をも、打ち抜いていく。
――騒ぎを聞きつけたハンターたちが駆けつけたのは、その時であった。
「ディーン。今回は――」
「はいはい、わぁーってるよ。またいっぱい殺して、暴れて来て、囮になれって事だろ? ……さっきあいつが来て帰ってった時から予測はついてたよ」
「……なら、話は早い。行って来てくれるか?」
「どーせ俺に拒否権なんてねぇよ。それに、殺すのは嫌いじゃねぇしな」
外に出ようとした男――ディーン・キルが、ふと立ち止まり。彼の主である、『災厄の十三魔』が一人――アレクサンドル・バーンズに問いかける。
「……まーた、『危なくなったら帰って来い』とかじゃねぇだろうなぁ?」
「残念ながら、おっさんのその命令は今回も有効だ。けど……その代わり、今回はお前が出来るだけ『長く』楽しめるよう、ちょっとした準備をしてある」
そう言い放ったアレクサンドルの後ろから立ち上がったのは、五体の歪虚。それは一見、つぎはぎだらけのゾンビのようにも見える。ゆっくりと、大きく体を揺らしながら、ディーンの傍へと歩いていく。
「……なんじゃこりゃ」
気持ち悪がるように眉をしかめるディーン。
「……お前の戦法に合わせて設計した物だ。とにかく『牽制』『足止め』に特化してある。いざ倒されそうになったら――お前が纏めてぶった切ればいい」
そこまで聞いて、ディーンの顔には笑みが浮かんでいた。試すのを待ちきれない、そんな表情だ。
「今回ちゃんと陽動してくれれば、これを使わせる。……大丈夫かね?」
「ああ、ありがとよ!」
嬉々として飛び出すディーンの後ろを、五体の歪虚がついていくのを見送るアレクサンドル。
彼らの姿が見えなくなった頃、アレクサンドルの後ろから巨大な黒い影が出現する。
「……急な頼み…すまんな…」
「何。おっさんも相応の報酬は得た。…それよりも、次の段階だ。これが成功しなければ、意味がないのだからな」
●死者が動くその夜に
ナルガンド塔近辺。
探索、及び防衛の為、その付近には幾隊かの辺境勢力が駐在していた。
「はーぁ、暇だなぁ」
パトロール隊の一つが、彼らのキャンプと塔の、丁度中央地点に差し掛かっていた。
「しゃきっとしやがれ! ったく……いつ歪虚が出てくるとも分からないのによ――」
「へーい」
叱られた兵が、口を尖らせる。
「周りでは何重にも警戒線が張られてるしよ、この中まで死にに来る歪虚はいませんよ」
「――ところが居るんだなこれがぁ!」
闇の中。刃が月光を反射し、煌いた。
次の瞬間、後に残ったのは、首の無い死体。
「――例の『殺人鬼』か。ハンターに連絡を出せ!集中射撃で牽制しろ!!」
――ディーンは、幾度か大きな作戦の前に『襲撃』を行っている。故に、今回も来るだろうと言う事は、ある程度予想がついていた。ハンターたちが待機し、迎撃の準備をしていたのである。
彼に相対する場合、戦力のない一般兵を出来るだけ早く脱出させる事が急務となる。その能力――『血狂い』によって、殺された一般兵は彼を強化させる事になる。
兵士たちが、必死にハンターたちが増援してくるであろう方角に向かって、逃走していく。
ガキッ。
脚甲が、何かに引っかかって動かなくなる。
それを解除しようと手を掛け、そちらを見た瞬間。
「ひぃっ!?」
目から血を流し。ほぼ骸骨のような者が、彼の脚を掴んでいた。
「ちったぁ使えるじゃねぇか」
パァン。
銃撃音と共に、兵士が胸に大穴を開け、倒れる。
空に浮かぶ、暗闇によって不可視になった黒刃に当たり跳ね返りながら空を舞う魔弾は、彼の回りに居た兵士三人をも、打ち抜いていく。
――騒ぎを聞きつけたハンターたちが駆けつけたのは、その時であった。
リプレイ本文
●夜の疾走
――夜闇を切り裂き、松明の束が投入される。それは周囲を照らし出し、夜に潜む殺人者――ディーン・キルの姿を映し出す。
「よし、牽制する……後は任せたよ!」
松明を投擲した者。アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が後ろに居る仲間たちに伝えると、一気に突進する。その後ろには、彼女とペアを組む麗奈 三春(ka4744)の姿。二人の剣に共に点るは、フレイア(ka4777)により掛けられた火の魔術。
「これも…Present 4 ya!」
投擲される毛布にカンテラが着火し、別のポイントを照らし出す。それを確認したlol U mad ?(ka3514)は、直ぐに銃を構える。
その後ろから、更に突進するはバイクに乗った四人。
「こっちへ!」
叫ぶはアルファス(ka3312)。その目標は、未だに戦場の中央にいる一般兵の四人。彼らは這うようにして、バイクに近づこうとするが――届かない。
「苦しいですか……」
この状況もまた織り込み済みだ。フィルメリア・クリスティア(ka3380)がバイクを前進させ、彼らの傍へと寄る。そのまま、兵士の一人を、ひょいっとバイクの後ろに引っ張り上げる。
「乗り心地はあまり良くないですが、少し我慢してください」
彼女の言葉に、兵士がこくこくと頷く。
「しっかり掴まって!……荒っぽいかもだけどさ、我慢してね!」
同様に、兵士の腰に手を回すようにして、バイクの後ろに乗せる仁川 リア(ka3483)。
然し、彼らハンターが一般兵を救出するのを、黙って見ているディーンでもない。
「逃げんなよ!!」
「やらせん!」
「しつけぇよ!!」
銃に武器を変更するディーンに、肉薄するアルト。忌々しげな声に応じるように、地中からゾンビの手が伸び、アルトの足首を掴もうとする。
――その瞬間。清らかな歌声が、一帯に響き渡る。
「優しき叡智の宵闇よ、星屑となりし魂よ」
祈る天使のように、少女――アニス・エリダヌス(ka2491)は謡う。その歌に込められた聖なる力が、ゾンビたちのみならず、ディーンの手も一瞬、封じる。
「しゃらくせぇ!!」
だが、封じられたのは一瞬。狂人は直ぐに聖歌の影響を抜け出す。ゾンビが使えなければもう一つ。彼には手があるのだ。
「っ…!」
ぞくりとした感覚がアルトの背中を駆け抜ける。それは、友の祈りがもたらした警告か。
足元を見れば、そこには飛来する黒い刃。地面すれすれを飛んでいた故に夜闇の影響を強く受け、察知されにくかったのだろう。振動刀を立て迎撃しようとするが、それは刀をいともたやすくすり抜ける。
「な…!?」
脚を動かすと、黒い刃は地面に突き刺さり、そしてすり抜けるように空に舞い上がる。幻刃を回避してしまったのかと警戒するが、追撃は来ない。
だが、迎撃するにしろ回避するにしろ。一手を使ってしまい、攻撃の機を逸したのは事実。その間に、ディーンは射撃の準備に入っていた。
パァン。
発せられた弾丸に即座に対応したのは三春。接近していた彼女は、即座にその体を射線に割り込ませ、刀の腹で地面に向かって弾丸を弾く。
「甘ェ!」
だが、弾丸が地面に届くその直前。そこに更に別の黒刃が滑り込み、再度前方に向かって弾丸を反射する。
三春の脇下を抜けた弾丸は、そのまま一直線にリアの方に向かい――
――バイクの急発進と共に、空を切る。
ハンターたちの努力は無駄ではない。彼らのディーンへの干渉は、ディーンの攻撃を遅らせる事に成功し、発進までの奇跡の一瞬を稼ぎ取ったのであった。
四台のバイクが夜闇の中、救えた四つの命を乗せ、遠ざかっていく。
●戦力差
(「っち、これじゃとどかねぇか…ムカつくなぁ」)
『照妖鏡』の最大射程を以ってすれば、まだバイクには届くかもしれない。だが、幾ら夜戦に慣れているとは言え、夜の中での視界には限界がある。更に言えば、弾丸を反射する為の黒刃の操作可能距離にも。
追撃しようにも目の前のハンターたちは自分を通してはくれまい。それにあの拘束効果を持つ歌の問題もある。
「……相手するしかねぇか」
彼は腹を決める。目の前のハンターたちを倒してから、追撃する、と。
武器が、刃に戻る。それはディーンが狙撃での追撃を諦めた証。
「終に諦めましたか」
先手を取った三春が、彼を斬るべく、接近する。が、それに対して、ディーンはブレードを伸縮させ、リィン、と言う心に響く嫌な音を発したのみ。
それに応じるように、アニスもまた聖歌を謡う。音と音がぶつかりあう。
ガクン、と抜刀してディーンを切り裂こうとした三春が、何かに躓く。それは、聖歌によって止められていた筈のゾンビ。
「――てめぇらに出来て、俺にできねぇとでも思ったのか?」
このタイミングでの鬼哭は、接近していたアルトと三春を止める為の物ではない。アニスの聖歌を『相殺』する為の物。皮肉にも、ハンターたちの方が実証したのだ。ディーンの音に音をぶつければ、『効果が無くなる』或いは『軽減される』事を。
「なら、実弾でやるまでよ!」
遠距離から放たれる掃射。ロルの制圧射撃が、アルトと三春を掴んでいたゾンビたちの動きを停止させ、手を離させる。だが、すぐさま入れ替わるようにして地下からもう二本の手が伸びる。この場に居るハンターは四人。対するゾンビは5体。歪虚の方が数の有利を占めているのである。
三春とアルトが足止めされたその一瞬の隙を突き、ディーンは彼女らの間を抜ける。狙うは後方にて聖歌を展開しているアニス。突進するディーンに対し、彼女は光の矢を、顔に向けて放つ。
「……もう、あの人のような犠牲を生みたくないんです」
想うは、目の前の殺人鬼と同じ名前を持った愛する人。彼の為にも、同じ名前を持つ目の前の『悪』は倒さなければならない。
顔に向かってくる光の矢に対し――
「へっ、これでどうだ!」
ディーンは、足元の松明を、蹴りつけた。
バン。
光の矢と松明が彼らの間で弾け、生み出された光量は、両者の相手側に向けての視界を同時に塗りつぶす。だが、両者共に視界が無いのならば、匂いで相手を有る程度探知できるディーンの方が有利。
光の幕を割き、彼は刃を振るう。左手の刃は音を頼りに盾を構えたアニスに防がれるが、右手の刃は防御をすり抜け、彼女の肩に突き刺さる。
(「あなたが死んだら、悲しむ人だって居るんだからね」)
友の願いが、刃を鈍らせる。
「星よ光よ!」
癒しの円陣が、彼女の傷を回復させる。
「Help is here! ってな」
冷気を纏ったロルの弾丸が、ゾンビの腕を打ち砕く。拘束から脱したアルトが、急激に加速。一直線に、ディーンの背中を狙う。
「甘ぇよ!」
ディーンの至近距離には、ゾンビに掴まれて移動できないアニス。フェイントが読まれたのか、それを無視して彼はアニスを盾にしようとする。
「ちっ…!」
強引に途中で軌道を変え、剣はアニスを掴むゾンビを狙う。だが、強引な軌道変更は僅かに剣筋の遅れを生み、ディーンに対応の機を与える。
怪力を以って、ディーンは、それでも強引に――アニスをゾンビへ向かう剣の軌道上に、押し込んだ。
「あぅっ!」
アニスもまた、盾で受けたとは言え。アルトの一撃は与し易い物ではない。体力の大半を削られる事となる。
既にヒールで回復できる量を超えている。満足げな笑みを浮かべ、ディーンが刃を振り上げた直後。
「うぉっ!?」
その顔に光の矢が直撃する。
「…この距離なら!」
そう、この至近距離からの光の矢ならば、油断しきった彼には防げない。そう踏んだアニスの判断は正しい。
「…へっへ、いいぜ、もっと楽しませろよぉ!」
だが、痛みはディーンの狂気に触れた。そのまま、猛然とザクザクト、刃が掴まれたアニスに連続で突きたてられる。
アルトの一閃が、背後から彼の背中を切り裂くが、そのまま前につんのめるだけで、ぐるりと振り返る。
「いいぜぇ…いてぇのはな!」
武器を銃に切り替える。そしてその銃を、ディーンは――狙撃によって腕を失った、ゾンビの方へと向けた。
パァン。
銃声と共に、弾丸が黒刃の間を跳ね返り。腕の無いゾンビ、三春に斬られていたゾンビ、そしてアルト、ロルの順に打ち抜いていく。
幻刃を伴った一撃。アルトは何とかそれを刀で受ける事には成功する物の、脚を弾丸が掠め、無傷とは行かない。回避に優れる彼女ですらこれだ。回避を得意としないロルは、尚更であった。
痛みで僅かに震える腕を逆の腕で支えるようにして安定させ、ライフルで強引に正面から飛び込んでくるディーンに狙いをつける。
「お人形遊びたァまた可愛い趣味じゃねーか。Are U nuts?」
「なーに言ってんのかわかんねぇよ!」
ディーンがブレードを振り上げた瞬間。三春の剣撃が、彼を後ろから狙う。そして直後、それを回避した彼の足を狙い、冷気を纏った弾丸が飛来する。
「ちぃぃぃぃ!」
強引に空中で三春の大太刀に刃を当てて反動で体勢を変え、直撃を避ける。弾丸が掠め、それだけで冷気が体に入り込む。
「くっそがぁ!」
武器を手甲に変形させ、追撃に来たアルトの一閃を受け止める。
攻撃の回数は少ない。ハンターたちもこの手甲の能力を警戒し、追撃を控えていたからだ。だが、それでもアルトの一撃は、十分なエネルギーを、手甲に注ぎこんでいた。
「喰らいやがれぇぇ!」
地面に叩き付けられる爆炎の拳。それを三春は外套で防御するが、爆風までは防げない。大きく後退する事を余儀なくされる。
一方、ディーンの後ろへ回り込んだアルトは、爆風の煽りを大幅に軽減させる事に成功した。そのままフェイントも混ぜた一撃が、横一文字にディーンの背中を切り裂こうと迫る。
「――っ」
だが、猛烈に前方に突進したディーンの行動で、刀の切っ先が背中を掠めるのみ。ディーンの狙いは、制圧でゾンビたちの行動を止められるロル。
「Not gonna go down easy!」
応射。ディーンの刃がロルの腹部を貫くのと同時に、ロルの弾丸もまた、ディーンを貫通していた。
●増援
「お待たせ、ごめんね強敵の相手任せちゃって!」
バイクから飛び降りるように、リアが戦場に降り立つ。彼は他の者より少し早く降り、同乗していた兵士を逃走させていた。故に、少し早く戦場に復帰できていたのである。
着地と共に、疾走。瞬脚の勢いをつけた一撃は、手甲と激突する。がりがりと金属がぶつかり合う音を上げた後、薙ぎ払うようなディーンの拳打を避けるように、リアは後退する。
――戦場に残るハンターたちは、これで三人。対するゾンビも三体。だが、ディーンはゾンビ二体とハンター二人を倒し、その力は高まっている。
何より、ゾンビを制圧する術を持っていた二人は、既にディーンによって倒されている。
四人のみでディーンとゾンビたちを相手にする事になっていながら、十分な時間稼ぎの手段が無かった事。それがこの苦戦の原因であった。
「ひゃーっはははぁ!」
ディーンが、無数の黒刃を伴い、突進する。黒刃を回避した三春は、然し、別の角度からのディーンの襲来に気づく。
刀を構えて強引に一撃を受けるが、次の瞬間に足首をゾンビに掴まれる。
彼女を助けようと刀を振るうアルトの顔に、然しディーンは松明を蹴りつけた。
「っ…!」
視界が覆われたその一瞬の隙に、強引に三春を剣の軌跡に押し込む。そしてそのまま、ディーンは手甲から炎を噴出させた。
「――やれやれ、残ったのは僕だけか。――止めろってんなら止めるよ。全力でね」
一人で果たして、この殺人鬼の相手は務まるのか。
だが、やらなければ『殺られる』。
「おっと、捕まるのって嫌いなんだよね、僕」
足元から伸ばされた手を、踊るようにステップし、回避する。そのまま体を回転させるように、踊るように、槍とダガーによる複合攻撃が足元のゾンビを狙う。地面に体が埋まり、回避できないそれは、成す術も無く彼に切り刻まれていくが――
「おいおい、無視してていいのかよ!?」
飛び掛るようにして、ディーンの刃が彼を襲った。黒刃は回避するが、そこを狙っていたかのようにディーンが回りこみ、刃を突き立てる。
「流石に強いよね、正直僕よりも圧倒的に強いのがいるなんて思わなかった……。けど、せめてこいつは…!」
先ほどの戦闘を見れば分かる。ゾンビを残しておいては、いざと言う時ディーンが強化されかねない。故に彼は全力で武器を振るう。
だが、血に狂ったディーンの攻撃とて受け易い物ではなく。リアの槍がゾンビの頭蓋を貫くのは、ディーンの刃が背後から彼を貫いたのとほぼ同時。
――フィルメリア、アルファス、そしてフレイアが到着したのは、その直後。
ゾンビとハンターたち。幾人も倒し、ディーンの殺気は既に、極端にまで膨れ上がっている。けれど――
「好き勝手してくれるなよ……殺人鬼!」
「これ以上、好きに殺らせるものですか…」
フレイアのマジックアローが、黒い刃の壁をこじ開ける。それに乗じて、左右からフィルメリアとアルファスが接近する。
先ず仕掛けたのはフィルメリア。殴りつけると同時に、ガントレットから爪が伸びる。が、それをディーンは、同じように自身の手甲をぶつけ、受け流す。それを見たアルファスは、盾に切り替え、手甲にエネルギーを溜めないよう防御に回るが……
「ちんたらしてていいのかぁ?」
ディーンの姿が消える。血狂いによって強化されたその身体能力に、アルファスですら、反応が一瞬遅れる。振り返り、彼を追おうとした二人は、然し足元から伸びる手に掴まれる事になる。
「…邪魔ですね」
フレイアのマジックアローが、ゾンビの腕を砕く。だが、その一瞬の隙に、既にディーンは彼女の傍に寄っていた。
「寄らないでください」
迎撃のマジックアローは、しかしディーンの膝を掠め。剛拳が、フレイアを叩き伏せる。
背後から突き刺さる刀。手応えを感じると、アルファスは一気にそれを拡大させる。
「ぐぉぉぉ!? いいじゃねぇかぁ!」
痛みにディーンが浮かべたのは笑顔。ぐりぐりと内臓を抉る刀を意に介さず、ガン、と両方の拳でアルファスの頭部を挟み込むように叩き付ける。
「この距離なら両方逃げられねぇ…根競べといこうじゃねぇか!」
フィルメリアが、相方を援護すべく拳を振り上げれば、ディーンの借刀殺がそれを阻む。隙を突いて回り込もうとする物の、高まった反応能力で手甲で受け流され、そして
「砕けちれぇ!!」
爆発が、一帯を覆った。
「――中々楽しかったぜぇ……」
荒い息を吐き、全身から血を流しながらも、ディーンは立っていた。
四人ずつの交戦になってしまったが故に、完全にこの殺人鬼を止める事はできなかったが――それでも相応の損傷を与える事に成功した。
「さて、奴らが逃げた方向はあっちかい」
――夜闇を切り裂き、松明の束が投入される。それは周囲を照らし出し、夜に潜む殺人者――ディーン・キルの姿を映し出す。
「よし、牽制する……後は任せたよ!」
松明を投擲した者。アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)が後ろに居る仲間たちに伝えると、一気に突進する。その後ろには、彼女とペアを組む麗奈 三春(ka4744)の姿。二人の剣に共に点るは、フレイア(ka4777)により掛けられた火の魔術。
「これも…Present 4 ya!」
投擲される毛布にカンテラが着火し、別のポイントを照らし出す。それを確認したlol U mad ?(ka3514)は、直ぐに銃を構える。
その後ろから、更に突進するはバイクに乗った四人。
「こっちへ!」
叫ぶはアルファス(ka3312)。その目標は、未だに戦場の中央にいる一般兵の四人。彼らは這うようにして、バイクに近づこうとするが――届かない。
「苦しいですか……」
この状況もまた織り込み済みだ。フィルメリア・クリスティア(ka3380)がバイクを前進させ、彼らの傍へと寄る。そのまま、兵士の一人を、ひょいっとバイクの後ろに引っ張り上げる。
「乗り心地はあまり良くないですが、少し我慢してください」
彼女の言葉に、兵士がこくこくと頷く。
「しっかり掴まって!……荒っぽいかもだけどさ、我慢してね!」
同様に、兵士の腰に手を回すようにして、バイクの後ろに乗せる仁川 リア(ka3483)。
然し、彼らハンターが一般兵を救出するのを、黙って見ているディーンでもない。
「逃げんなよ!!」
「やらせん!」
「しつけぇよ!!」
銃に武器を変更するディーンに、肉薄するアルト。忌々しげな声に応じるように、地中からゾンビの手が伸び、アルトの足首を掴もうとする。
――その瞬間。清らかな歌声が、一帯に響き渡る。
「優しき叡智の宵闇よ、星屑となりし魂よ」
祈る天使のように、少女――アニス・エリダヌス(ka2491)は謡う。その歌に込められた聖なる力が、ゾンビたちのみならず、ディーンの手も一瞬、封じる。
「しゃらくせぇ!!」
だが、封じられたのは一瞬。狂人は直ぐに聖歌の影響を抜け出す。ゾンビが使えなければもう一つ。彼には手があるのだ。
「っ…!」
ぞくりとした感覚がアルトの背中を駆け抜ける。それは、友の祈りがもたらした警告か。
足元を見れば、そこには飛来する黒い刃。地面すれすれを飛んでいた故に夜闇の影響を強く受け、察知されにくかったのだろう。振動刀を立て迎撃しようとするが、それは刀をいともたやすくすり抜ける。
「な…!?」
脚を動かすと、黒い刃は地面に突き刺さり、そしてすり抜けるように空に舞い上がる。幻刃を回避してしまったのかと警戒するが、追撃は来ない。
だが、迎撃するにしろ回避するにしろ。一手を使ってしまい、攻撃の機を逸したのは事実。その間に、ディーンは射撃の準備に入っていた。
パァン。
発せられた弾丸に即座に対応したのは三春。接近していた彼女は、即座にその体を射線に割り込ませ、刀の腹で地面に向かって弾丸を弾く。
「甘ェ!」
だが、弾丸が地面に届くその直前。そこに更に別の黒刃が滑り込み、再度前方に向かって弾丸を反射する。
三春の脇下を抜けた弾丸は、そのまま一直線にリアの方に向かい――
――バイクの急発進と共に、空を切る。
ハンターたちの努力は無駄ではない。彼らのディーンへの干渉は、ディーンの攻撃を遅らせる事に成功し、発進までの奇跡の一瞬を稼ぎ取ったのであった。
四台のバイクが夜闇の中、救えた四つの命を乗せ、遠ざかっていく。
●戦力差
(「っち、これじゃとどかねぇか…ムカつくなぁ」)
『照妖鏡』の最大射程を以ってすれば、まだバイクには届くかもしれない。だが、幾ら夜戦に慣れているとは言え、夜の中での視界には限界がある。更に言えば、弾丸を反射する為の黒刃の操作可能距離にも。
追撃しようにも目の前のハンターたちは自分を通してはくれまい。それにあの拘束効果を持つ歌の問題もある。
「……相手するしかねぇか」
彼は腹を決める。目の前のハンターたちを倒してから、追撃する、と。
武器が、刃に戻る。それはディーンが狙撃での追撃を諦めた証。
「終に諦めましたか」
先手を取った三春が、彼を斬るべく、接近する。が、それに対して、ディーンはブレードを伸縮させ、リィン、と言う心に響く嫌な音を発したのみ。
それに応じるように、アニスもまた聖歌を謡う。音と音がぶつかりあう。
ガクン、と抜刀してディーンを切り裂こうとした三春が、何かに躓く。それは、聖歌によって止められていた筈のゾンビ。
「――てめぇらに出来て、俺にできねぇとでも思ったのか?」
このタイミングでの鬼哭は、接近していたアルトと三春を止める為の物ではない。アニスの聖歌を『相殺』する為の物。皮肉にも、ハンターたちの方が実証したのだ。ディーンの音に音をぶつければ、『効果が無くなる』或いは『軽減される』事を。
「なら、実弾でやるまでよ!」
遠距離から放たれる掃射。ロルの制圧射撃が、アルトと三春を掴んでいたゾンビたちの動きを停止させ、手を離させる。だが、すぐさま入れ替わるようにして地下からもう二本の手が伸びる。この場に居るハンターは四人。対するゾンビは5体。歪虚の方が数の有利を占めているのである。
三春とアルトが足止めされたその一瞬の隙を突き、ディーンは彼女らの間を抜ける。狙うは後方にて聖歌を展開しているアニス。突進するディーンに対し、彼女は光の矢を、顔に向けて放つ。
「……もう、あの人のような犠牲を生みたくないんです」
想うは、目の前の殺人鬼と同じ名前を持った愛する人。彼の為にも、同じ名前を持つ目の前の『悪』は倒さなければならない。
顔に向かってくる光の矢に対し――
「へっ、これでどうだ!」
ディーンは、足元の松明を、蹴りつけた。
バン。
光の矢と松明が彼らの間で弾け、生み出された光量は、両者の相手側に向けての視界を同時に塗りつぶす。だが、両者共に視界が無いのならば、匂いで相手を有る程度探知できるディーンの方が有利。
光の幕を割き、彼は刃を振るう。左手の刃は音を頼りに盾を構えたアニスに防がれるが、右手の刃は防御をすり抜け、彼女の肩に突き刺さる。
(「あなたが死んだら、悲しむ人だって居るんだからね」)
友の願いが、刃を鈍らせる。
「星よ光よ!」
癒しの円陣が、彼女の傷を回復させる。
「Help is here! ってな」
冷気を纏ったロルの弾丸が、ゾンビの腕を打ち砕く。拘束から脱したアルトが、急激に加速。一直線に、ディーンの背中を狙う。
「甘ぇよ!」
ディーンの至近距離には、ゾンビに掴まれて移動できないアニス。フェイントが読まれたのか、それを無視して彼はアニスを盾にしようとする。
「ちっ…!」
強引に途中で軌道を変え、剣はアニスを掴むゾンビを狙う。だが、強引な軌道変更は僅かに剣筋の遅れを生み、ディーンに対応の機を与える。
怪力を以って、ディーンは、それでも強引に――アニスをゾンビへ向かう剣の軌道上に、押し込んだ。
「あぅっ!」
アニスもまた、盾で受けたとは言え。アルトの一撃は与し易い物ではない。体力の大半を削られる事となる。
既にヒールで回復できる量を超えている。満足げな笑みを浮かべ、ディーンが刃を振り上げた直後。
「うぉっ!?」
その顔に光の矢が直撃する。
「…この距離なら!」
そう、この至近距離からの光の矢ならば、油断しきった彼には防げない。そう踏んだアニスの判断は正しい。
「…へっへ、いいぜ、もっと楽しませろよぉ!」
だが、痛みはディーンの狂気に触れた。そのまま、猛然とザクザクト、刃が掴まれたアニスに連続で突きたてられる。
アルトの一閃が、背後から彼の背中を切り裂くが、そのまま前につんのめるだけで、ぐるりと振り返る。
「いいぜぇ…いてぇのはな!」
武器を銃に切り替える。そしてその銃を、ディーンは――狙撃によって腕を失った、ゾンビの方へと向けた。
パァン。
銃声と共に、弾丸が黒刃の間を跳ね返り。腕の無いゾンビ、三春に斬られていたゾンビ、そしてアルト、ロルの順に打ち抜いていく。
幻刃を伴った一撃。アルトは何とかそれを刀で受ける事には成功する物の、脚を弾丸が掠め、無傷とは行かない。回避に優れる彼女ですらこれだ。回避を得意としないロルは、尚更であった。
痛みで僅かに震える腕を逆の腕で支えるようにして安定させ、ライフルで強引に正面から飛び込んでくるディーンに狙いをつける。
「お人形遊びたァまた可愛い趣味じゃねーか。Are U nuts?」
「なーに言ってんのかわかんねぇよ!」
ディーンがブレードを振り上げた瞬間。三春の剣撃が、彼を後ろから狙う。そして直後、それを回避した彼の足を狙い、冷気を纏った弾丸が飛来する。
「ちぃぃぃぃ!」
強引に空中で三春の大太刀に刃を当てて反動で体勢を変え、直撃を避ける。弾丸が掠め、それだけで冷気が体に入り込む。
「くっそがぁ!」
武器を手甲に変形させ、追撃に来たアルトの一閃を受け止める。
攻撃の回数は少ない。ハンターたちもこの手甲の能力を警戒し、追撃を控えていたからだ。だが、それでもアルトの一撃は、十分なエネルギーを、手甲に注ぎこんでいた。
「喰らいやがれぇぇ!」
地面に叩き付けられる爆炎の拳。それを三春は外套で防御するが、爆風までは防げない。大きく後退する事を余儀なくされる。
一方、ディーンの後ろへ回り込んだアルトは、爆風の煽りを大幅に軽減させる事に成功した。そのままフェイントも混ぜた一撃が、横一文字にディーンの背中を切り裂こうと迫る。
「――っ」
だが、猛烈に前方に突進したディーンの行動で、刀の切っ先が背中を掠めるのみ。ディーンの狙いは、制圧でゾンビたちの行動を止められるロル。
「Not gonna go down easy!」
応射。ディーンの刃がロルの腹部を貫くのと同時に、ロルの弾丸もまた、ディーンを貫通していた。
●増援
「お待たせ、ごめんね強敵の相手任せちゃって!」
バイクから飛び降りるように、リアが戦場に降り立つ。彼は他の者より少し早く降り、同乗していた兵士を逃走させていた。故に、少し早く戦場に復帰できていたのである。
着地と共に、疾走。瞬脚の勢いをつけた一撃は、手甲と激突する。がりがりと金属がぶつかり合う音を上げた後、薙ぎ払うようなディーンの拳打を避けるように、リアは後退する。
――戦場に残るハンターたちは、これで三人。対するゾンビも三体。だが、ディーンはゾンビ二体とハンター二人を倒し、その力は高まっている。
何より、ゾンビを制圧する術を持っていた二人は、既にディーンによって倒されている。
四人のみでディーンとゾンビたちを相手にする事になっていながら、十分な時間稼ぎの手段が無かった事。それがこの苦戦の原因であった。
「ひゃーっはははぁ!」
ディーンが、無数の黒刃を伴い、突進する。黒刃を回避した三春は、然し、別の角度からのディーンの襲来に気づく。
刀を構えて強引に一撃を受けるが、次の瞬間に足首をゾンビに掴まれる。
彼女を助けようと刀を振るうアルトの顔に、然しディーンは松明を蹴りつけた。
「っ…!」
視界が覆われたその一瞬の隙に、強引に三春を剣の軌跡に押し込む。そしてそのまま、ディーンは手甲から炎を噴出させた。
「――やれやれ、残ったのは僕だけか。――止めろってんなら止めるよ。全力でね」
一人で果たして、この殺人鬼の相手は務まるのか。
だが、やらなければ『殺られる』。
「おっと、捕まるのって嫌いなんだよね、僕」
足元から伸ばされた手を、踊るようにステップし、回避する。そのまま体を回転させるように、踊るように、槍とダガーによる複合攻撃が足元のゾンビを狙う。地面に体が埋まり、回避できないそれは、成す術も無く彼に切り刻まれていくが――
「おいおい、無視してていいのかよ!?」
飛び掛るようにして、ディーンの刃が彼を襲った。黒刃は回避するが、そこを狙っていたかのようにディーンが回りこみ、刃を突き立てる。
「流石に強いよね、正直僕よりも圧倒的に強いのがいるなんて思わなかった……。けど、せめてこいつは…!」
先ほどの戦闘を見れば分かる。ゾンビを残しておいては、いざと言う時ディーンが強化されかねない。故に彼は全力で武器を振るう。
だが、血に狂ったディーンの攻撃とて受け易い物ではなく。リアの槍がゾンビの頭蓋を貫くのは、ディーンの刃が背後から彼を貫いたのとほぼ同時。
――フィルメリア、アルファス、そしてフレイアが到着したのは、その直後。
ゾンビとハンターたち。幾人も倒し、ディーンの殺気は既に、極端にまで膨れ上がっている。けれど――
「好き勝手してくれるなよ……殺人鬼!」
「これ以上、好きに殺らせるものですか…」
フレイアのマジックアローが、黒い刃の壁をこじ開ける。それに乗じて、左右からフィルメリアとアルファスが接近する。
先ず仕掛けたのはフィルメリア。殴りつけると同時に、ガントレットから爪が伸びる。が、それをディーンは、同じように自身の手甲をぶつけ、受け流す。それを見たアルファスは、盾に切り替え、手甲にエネルギーを溜めないよう防御に回るが……
「ちんたらしてていいのかぁ?」
ディーンの姿が消える。血狂いによって強化されたその身体能力に、アルファスですら、反応が一瞬遅れる。振り返り、彼を追おうとした二人は、然し足元から伸びる手に掴まれる事になる。
「…邪魔ですね」
フレイアのマジックアローが、ゾンビの腕を砕く。だが、その一瞬の隙に、既にディーンは彼女の傍に寄っていた。
「寄らないでください」
迎撃のマジックアローは、しかしディーンの膝を掠め。剛拳が、フレイアを叩き伏せる。
背後から突き刺さる刀。手応えを感じると、アルファスは一気にそれを拡大させる。
「ぐぉぉぉ!? いいじゃねぇかぁ!」
痛みにディーンが浮かべたのは笑顔。ぐりぐりと内臓を抉る刀を意に介さず、ガン、と両方の拳でアルファスの頭部を挟み込むように叩き付ける。
「この距離なら両方逃げられねぇ…根競べといこうじゃねぇか!」
フィルメリアが、相方を援護すべく拳を振り上げれば、ディーンの借刀殺がそれを阻む。隙を突いて回り込もうとする物の、高まった反応能力で手甲で受け流され、そして
「砕けちれぇ!!」
爆発が、一帯を覆った。
「――中々楽しかったぜぇ……」
荒い息を吐き、全身から血を流しながらも、ディーンは立っていた。
四人ずつの交戦になってしまったが故に、完全にこの殺人鬼を止める事はできなかったが――それでも相応の損傷を与える事に成功した。
「さて、奴らが逃げた方向はあっちかい」
依頼結果
参加者一覧
サポート一覧
マテリアルリンク参加者一覧
- ユーリ・ヴァレンティヌス(ka0239) → アルファス(ka3312)
- 米本 剛(ka0320) → lol U mad ?(ka3514)
- ヴァイス・エリダヌス(ka0364) → フィルメリア・クリスティア(ka3380)
- マリア・ベルンシュタイン(ka0482) → アルファス(ka3312)
- 久延毘 大二郎(ka1771) → アルファス(ka3312)
- エイル・メヌエット(ka2807) → フィルメリア・クリスティア(ka3380)
- シガレット=ウナギパイ(ka2884) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- ティス・フュラー(ka3006) → アニス・エリダヌス(ka2491)
- エリス・ブーリャ(ka3419) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- シルウィス・フェイカー(ka3492) → lol U mad ?(ka3514)
- グレイブ(ka3719) → lol U mad ?(ka3514)
- エルディラ(ka3982) → フィルメリア・クリスティア(ka3380)
- 佐久間 恋路(ka4607) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- 夕凪 沙良(ka5139) → 仁川 リア(ka3483)
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/09 03:21:08 |
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ロレントさんへ質問 アニス・エリダヌス(ka2491) エルフ|14才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/07/13 00:36:39 |
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相談~より良き夜明けを~ アニス・エリダヌス(ka2491) エルフ|14才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/07/13 02:38:34 |