ゲスト
(ka0000)
【聖呪】亜人からの『条件』
マスター:赤山優牙

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~6人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/13 09:00
- 完成日
- 2015/07/18 11:32
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
――奇縁
幾何学模様が美しい角を持つ歪虚が一人の男を呼び止めた。
「貴様が、ヘクスか」
呼ばれた男は緩慢な動きで振り返る。
ニヤリと……笑っているようにも見えた。
その人物は、港街ガンナ・エントラータの領主であり、王国の貴族である、ヘクス・シャルシェレット(kz0015)だ。
「やぁ、ネル・ベル君。僕の街はどうだったかな? 楽しんでいってくれたかい」
「そんな事はどうでもいい」
歪虚は、港町を始め、王国内のいくつかの場所で事件を起こしてきた。
なるべく目立たないように活動していたつもりなのだが……。
「貴様が、油断ならぬ人間だと、私は知っている。なにを企んでいる」
「こっちでも悪い噂ばかり立つんだなあ……やれやれ。出処はクラベル様かい?」
やはり、ニヤリと笑っている……気がする。
底知れぬ不気味な雰囲気だと歪虚は思った。
「私は、貴様を絶対に信用しない」
その言葉にヘクスが肩を竦めながら両手を軽く挙げた。
「信用は積み上げるもの、ってね。今はそれでいいけど、何か困ったら、声を掛けてくれよ。必ず役に立つから、さ」
「一々、一言の多い人間だ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
楽しそうに言うと、ヘクスは立ち去っていった。
その後ろ姿が見えなくなるまで、歪虚は油断なく睨みつけていた。
●緑髪少女の行き先
少女は、グラズヘイム王国西部の小さい村で生まれた。
幼い頃から両親に虐げられ、歪虚との戦いの戦火に巻き込まれ、王都に避難してきた。
辛酸な生活が続いた。少女にとって、生きる事とは地獄にも等しく、孤独と絶望の日々が全てだった。
ハンター達が少女を絶望から救い、ある歪虚が生きる術を導いた。
なにかが欠けていたら、きっと、今この瞬間、その少女はこの場に居なかっただろう。
少女の名は、『ノゾミ』。
明るい未来を信じ、願いを冠するリアルブルーの言葉である。
――王国北部の山林にて
緑髪が視界の妨げになる。
ふわふわゆるゆるな上にくるくるっとした髪は、少女の主からも好評だったので、自身でもお気に入りなのだが、こういう時は不便極まりない。
「ノゾミ嬢ちゃんや、遅れておるぞ」
声を掛けて来たのは、白髪のお爺さんだ。
それなりに高齢であるはずなのに、山道を平気な顔をして登っていた。
「オキナ、早いです」
「まったく。若いのに情けないのぉ」
「……この前まで、床で苦しんでいた人に言われたくありません」
少女と翁の2人は、ある亜人の後を続いていた。
その亜人はラプターに乗っているゴブリンだ。名前をエネミンという。
「ニンゲン、ハヤクシロ」
「……ラプターに乗ってるのずるいです。ここは、『れでぃ~ふぁ~すと』とやらで、私が乗るべきです」
「いや、年寄を大切にせんとあかん。ワシが乗る」
起伏の激しく、足場も悪いのに、ラプターは苦もない様子だ。
それなりに訓練を受けているに違いない。
「ニンゲンハ、オモスギル」
「私、そんなに重くないです!」
ノゾミの抗議にエネミンは、少女を凝視する。
そして、言い放った。
「タシカニ……ムネナイ。カルソウダ」
「機導砲を撃ってもいいですか?」
「マテ、ノゾミ。サイショノ、モクテキ、ワスレテル」
慌てるエネミン。
ノゾミとオキナの目的。それは、ゴブリンとの折衝であった。
先の依頼で、亜人との関わりを持ったと知ったある人物がノゾミに依頼を出して来たのだ。
『ゴブリンとの交渉の席を用意せよ』
そういう事で、ノゾミとオキナはエネミンを通じて、事前折衝の場へと向かっていたのだ。
●ゴラグオ
「お前が、ウィーダの街から来た人間か」
そのゴブリンは、体格が一際大きかった。背の高い人間と同じ位はあるだろう。体型も人間のそれと良く似ていた。
騎乗しているラプターも大型だ。大きい馬と同じ位の大きさはある。
「俺は、人間共と取引はしない。本来なら、ここで八つ裂きだが、お前には恩がある。話だけは聞いてやろう」
背負っていた巨大な斬馬刀を無造作に地面に投げ落す。
交戦の意思はないという事だろう。ノゾミは、このゴブリンの部下であるエネミンを救った経緯があった。
「ノゾミと言います。こちらは、オキナです」
亜人相手に少女は丁寧に頭を下げた。
「ゴラグオだ。ラプターを駆る軍団の頭だ」
その言葉に、オキナは周囲を警戒しつつ、なるほどと思った。
確かに、ラプターが多い。どうやら、ゴブリンライダーの群れの様だ。そして、そのボスが、このゴラグオなのだ。
自らの群れの事を『軍団』と呼ぶ所を見ると、それなりに自信が誇りを持っていそうである。
「交渉の場ができる事を、私の依頼主は望まれています。理由があり、今、その人物の名を出すわけにはいきませんが」
「その事情は理解できる。人間と我らは、仇敵同士なのだからな。名前を明かせない理由があるように、俺も呼掛けだけに応じる事もできない」
群れの統率の問題。メンツの問題。
ゴブリンにもゴブリンの事情が存在するという事の様だ。
「交渉の場に出る為の条件がある。お前達、人間の誠意を見せてもらおうか」
ゴラグオの台詞にノゾミはオキナを振りかえった。
対応に不安を感じたからだ。オキナは少女の悩みが手に取るように分かったので、深く頷いて見せる。
「分かりました。条件を教えて下さい」
「雑魔を討伐しろ。そうすれば、交渉の場には出向いてやろう」
意外な提案だと思った。
雑魔を討伐するのであれば、このゴブリンでも難しい事の様には見えないからだ。
「山奥深くにある池に潜む雑魔だ。そいつのせいで、テリトリーに穴が開いている」
「さすがに、私達2人では難しいです。応援を呼んでもいいですか?」
「構わない。ただし、人質は置いていってもらおう」
ゴラグオはオキナを指差した。
「やれやれ。儂の肉より、ノゾミ嬢ちゃんの方が美味しいだろうに」
「もし、食べる事があったとしても、お前はラプターの餌だ」
「鳥葬は勘弁じゃ。ノゾミ嬢ちゃん、頼んだぞ」
ゴラグオの無慈悲な言葉に肩を竦めるオキナ。
まぁ、この人物なら1人で脱出してきても可笑しくなさそうではあるが。
「必ず、迎えに来ますからね!」
それでも、真剣な眼差しを向けてくる辺り、少女の純粋さが伝わってくるのであった。
リプレイ本文
●出逢いと再会
王国北部に位置するウィーダの街に滞在中という騎士からの依頼で、北の山に潜む雑魔退治を任されたハンター達は、目的地となる池の周辺に到着した。
任務外の情報としてハンターオフィスから二つの事を知らされていた。一つは、亜人との交渉に臨む為に、雑魔を退治しなくてはならない事。そして、もう一つは、現地で同行者が待っている事であった。
豪快な足音が聞こえ、ノゾミは振り返ると、同時に、力強い抱擁に包まれ驚く。
「ノゾミ! もうどこ行ってたのよ、あたし心配したわぁ!」
それは、Non=Bee(ka1604)だった。
お母さんの様な……ではなく、強い母性を感じさせながら、筋肉質な胸板にノゾミの頭を押し当てる。
「心配かけてごめんなさい。今は、覚醒者としての修行中なのです」
「元気そうで安心したわ」
Nonは、ホッとして少女を解放する。
昨年の歪虚襲来の合間、王都郊外の林の中で出逢い、『ノゾミ』という名を考えたのはNon自身だ。紆余曲折を経ての再会であったが、少女が無事で良かったと安堵した。
「やっほー! ノゾミ、また来たよん!」
横からノゾミに飛び付く小鳥遊 時雨(ka4921)。
「時雨さん! また、よろしくです」
「今日も、私だけじゃないよ!」
ノゾミと同じような華奢な身体をスッとずらす。
そこには、マヘル・ハシバス(ka0440)が、穏やかな微笑を浮かべていた。
「こんにちわ。ノゾミさん」
「マヘルさんも! また、ご一緒できて、光栄です!」
ノゾミにとっては、憧れのお姉さんであり、そして、機導師の先輩的存在でもある。
落ち着いた雰囲気も、大人な容姿も……私も、あの様に成れるのだろうか、と。
ノゾミが自身の胸に手を当てた時にポンポンと肩を叩くエルフの女性。
「きみがノゾミちゃんね。お姉さんは、『アルラウネ』。そう、呼ばれているわ」
アルラウネ(ka4841) が色っぽく胸を強調しながら名乗った。
「は、はい。よろしくお願いします」
「……どうして私の胸をそんなに睨むの?」
「に、睨んでいませんよ~」
身長はあんまり変わらないのにという心の声が視線となっていた様だ。
ノゾミが慌てて視線をラスティ(ka1400)に変える。それに気がつき、最終調整していたライフルを近くに立て掛けた。
「オレは、ラスティだ。あんたもオレと同じ機導師の様だな」
「は、はい! まだ、未熟者ですけど……」
ノゾミが装着しているデバイスが埋め込まれた篭手を見たラスティは、ノゾミのクラスに気がついたようだ。
だが、それ以上は、その事に関して触れる事はしなかった。
「亜人との『交渉』か……そういえば、赤フードの友人が、前に関わったらしいな」
王国北部で発生する亜人騒ぎ……この件が上手く行けば、なにか情報が得られるかもしれない。ラスティは近くの丘の上で、自分達を監視している亜人を見上げた。
(……久しぶりの再開と思うと緊張するな)
いつ名乗りだそうかとタイミングを計り損ねたヴァイス(ka0364)が、冷静な表情を保ちながら、心の中でそんな事を呟いていた。
小走りに近付いてきたノゾミ。その表情は、最後に分かれた日の時とは見違える程、可愛らしかった。
「久しぶり……だな。俺のこと覚えているか? ノゾミは見違えたな」
「忘れるはずありません。あの時は、本当に……本当に、ありがとうございました」
一度、深く頭を下げるノゾミ。ふわふわゆるゆるの緑髪が揺れた。
見覚えのあるローブの生地で作られた真っ赤なリボンを見て、ヴァイスは表情を緩めた。
今回、再会できる事が嬉しかったが、歪虚ネル・ベルと関わりがあり、いくつか、この少女絡みで事件があったのもあるので、複雑な心境だった。それでも、実際に、少女と再会できた事。そして、元気に成長した姿を見れて良かったと思った。
●雑魔討伐
「余り、直視はしたくない見た目ですね」
マヘルの言葉通り、雑魔は異様な姿をしていた。姿は大蛇なのに、頭にはゴブリンの頭部が九つ融合し合っているのだ。池の中央で佇み、囮班として近付く、覚醒者達を睨んでいる。
「誰が、池の淵まで近付くかだな」
ヴァイスが槍を柄の感触を確認しながら言った。
池の周りは泥状になっており、あのまま戦うのは足場が悪すぎるので、陸地まで誘き出す作戦なのだ。
「囮ですか……一人、適任がいますね」
チラっとノゾミに視線を送るマヘル。
「え……えぇ!?」
「私も一緒に行きますから安心してください」
その時、背後で待ち伏せしているNonから声が響いた。
「ヴァイスちゃん! しっかり守ってあげてちょうだい! 作戦とはいえ、女の子を囮にするのは偲びないのだから!」
赤髪の男は、返事をする代わりに槍を掲げてみせた。
「こっちまで来たら、後は、お姉さんに任せなさい、ノゾミちゃん」
「池ぽちゃ気をつけてー! ふぁいとー!」
アルラウネと時雨の2人も声を大にした。
「ニンゲン、ハヤク、タオセ」
ゴブリンのエネミンの声も聞こえた。
どういうわけか、時雨から荷物を預けさせられている。
「……」
ラスティは油断なくライフルを構えたままだった。
準備は万全だとアイコンタクトを飛ばす。
ヴァイスは前に進み出ていく。沼地で足が取られやすい。
沼の淵までヴァイスが近付いた瞬間、突然、水上を駆ける様に雑魔が突撃してきた。
「行くぞぉ!」
叫び声と共に、彼の背後から、マヘルとノゾミが放った機導術の光が雑魔に突き刺さる。
それでも、勢い止まらない雑魔がヴァイスに突撃した。
彼は槍を棒代わりに、泥に突っ込むとそれを支えに跳躍し、そして、強引に槍を引き抜くと、水際から2人の場所まで下がる。
「ノゾミさんに、触れさせないです」
少女を庇う様にマヘルが機導術で盾を高速に動かし、雑魔が放った禍々しい色した毒の塊を防ぐ。
「引き付けながら下がるぞ」
グッと伸びてきた首を槍で払いながらヴァイスが声をかける。
2人は頷くと、雑魔との距離を保ちつつ、後退した。
雑魔の頭の一つが吹き飛ぶ。ラスティと時雨が放った弾矢が吹き飛ばしたのだ。
更に別方向から放たれたマテリアルの光が雑魔を傷つける。Nonが側面に回り込んでいた。
「多少足場が悪くたって、これくらい……!」
覚醒状態に入り、アルラウネが大太刀を構える。
エネミンが言うには、池と周囲の地形状況が、得意な戦闘地形でなく、損害が大きくて手を焼いていたという。
また、追い詰めても池の中に逃げ込まれるというのも、亜人らで倒せなかった原因だったようだ。
「雑魔に手を焼くのは、人も亜人も変わらないわけね……」
「蛇なのにゴブヘッドなのはなんで? 教えてエーネミンっ」
アルラウネの呟きに、時雨が首を傾げながら、背後にいるエネミンに呼び掛ける。
「ソイツ、ナカマ、クッタ。ソレト、オレノナハ、エネミン、ダ。マナイタニンゲン」
亜人の台詞が言い終わると同時に時雨からぶっぱなされた物騒なハリセンが、エネミンの頭をはたき飛ばしたが、今は戦闘中だ。時雨は視線を雑魔に向き直す。
「群れの仲間の弔い合戦とかなら頑張らないと、ね!」
ムスっとしながら、宣言すると、雑魔の動きを注意深く観察する。
攻撃の予備動作の有無や、特異な点があれば仲間へ伝える為と、敵の体勢を見て、必要であれば、牽制するつもりだからだ。
雑魔の頭から鋭い舌が不気味な音を立てながら迫る。
それをマヘルは盾で防ぎながら、反撃とばかりに、盾を押し上げると、機導術を放つ。
マテリアルの電撃で相手の行動を阻害するのだ。
「ノゾミさん、密着しているなら、これが使えます。皆さん、今です」
少女に説明した後に全員に呼び掛ける。確かな手ごたえを感じたからだ。
動きが鈍った所で、マテリアルの光跡を足から残し、ラスティとNonが雑魔へと一気に距離を詰めた。
ラスティは胸元に構えた拳――メタリック・レッドの手甲型機械拳――を機導術と共に繰り出す。
「これが、オレの一撃だ」
マテリアルによって超重練成され巨大化した拳が雑魔の頭部に叩きこまれる。揺らめいた雑魔が苦し紛れに尾を仲間に薙ぎ払うのを、マテリアルの壁を練成し支援する。
数ヶ月前重傷を負った自身の姿をふいに思い出した。強くなりたいと願ったあの時からと比べると、ハンターとして、機導師として、彼は強くなった。
前衛でも後衛でも支援でも機導師としての特性を十分に発揮する姿をノゾミは機導砲を放つのを忘れみつめていた。
「凄い……」
「ノゾミちゃん、戦闘中の余所見は危ないわよ」
Nonが電撃の機導術を雑魔に使いながら声をかける。
立て続けの電撃に雑魔は本来の動きを取り戻せないようだ。不利を悟り、池へと戻ろうとする。
「このゴブリンちゃんはもう助けてはあげられないのよね?」
「明らかに雑魔化しているからな」
憐みの視線で疑問を口にするNonに、雑魔の正面で戦っていたヴァイスが答える。
亜人の言葉から推測すると、この雑魔によって殺されたら吸収されてしまうのだろうか。
「逃がさないよ」
アルラウネが泥の上という悪条件の中、大太刀で舞うかの如く、立ち回っていた。
自身や仲間が踏み込んで硬くなった場所を狙って足場にして円を描くように動き回ると、刀身の重さと勢いを利用して、刀先で雑魔の胴体を切り刻んでいく。
「緑色になったなにかが揺れてる……って、そうじゃない! 池には逃がさないよー!」
マテリアルを込めて時雨が放った矢が、雑魔の足元の泥に突き刺さるが、それでも強引に突破しようとする。
池の中に逃げ込まれたら自分達が不利になると分かっているだけに、なんとしても止めたい。
その想いが強かったのか、自身をマテリアルの壁で守りつつ、Nonが池に向かって突進する雑魔を身体で受け止めた。
「ヵアアアァァァ!」
雄叫びをあげ、ドワーフにしては長身の肉体が、全力で持って雑魔の動きを一瞬抑え込んだ。
「今よ! ヴァイスちゃん!」
「お、おう!」
ヴァイスは槍を構え、大きく跳躍すると、全体重を槍の穂先にかける。
その一撃は、雑魔の胴体を貫き、泥に深く貫通した。
逃げられないと悟ったのか、雑魔が暴れて、舌で周囲を薙ぎ払おうとしたが、それをラスティが掴み取った。
「後は、ひたすら切り刻むだけね」
アルラウネの言葉通り、雑魔はハンター達による集中攻撃を受け、ボロボロと崩れていったのであった。
●再会と別れ
「いえいっ! おつかれー!」
時雨が元気な声と勢いで、ノゾミにハイタッチをした。誇らしげに胸を張る……控えめな身体にノゾミが飛びついて一緒に喜んだ。
泥によって汚れた所を、時雨が用意した水とタオルで拭き取り、一段落した所で、人質となっていたオキナがエネミンと一緒にやってきた。
「ニンゲン、ヨク、ヤッタ……エルフ、フク、キロ」
汚れを取るのに大胆な姿になっているアルラウネにエネミンが声をかける。
「ア、アルラウネさん! だ、ダメです! そんな、姿!」
ノゾミが慌ててタオルを掛けようとするが、頭の上に?マークを掲げたアルラウネは面白がって逃げ始める。
「時雨さんも、手伝ってー!」
「わかったよー! 欲しいものは掴みとろう!」
両手をニギニギして、2人の少女はアルラウネを追いかけていった。
「あの雑魔は、あんたらの仲間仇、って事で良いのか」
念入りに武装の泥を落としながらラスティは、ゴラグオに話しかける。
ゴブリンの表情はよくわからなかった。だが、どことなく笑ったかの様にも見える。
「そうだ。お前達が倒したおかげで、この水場を利用できるようになった」
「北の方が騒がしい事について、何ぞ知らねェか? 理由が分かれば、お互い歩み寄れるかも知れんだろ?」
王国北部での亜人に関する事件は今だ謎な部分が多い。
「難しい事ではない。単なる縄張り争いだ。俺は奴が気に食わない。それだけ」
「ゴブリンにも、いろいろあるという事か」
ゴラグオが頷いたようにも見えた。
池の周りを追いかけ回る3人の少女を見て、苦笑を浮かべているオキナにマヘルが声をかけた。
「お久しぶりです。オキナさん」
「おぉ……マヘル嬢ちゃんか。どうしたんじゃい」
「機導術のアドバイスを聞きたくて」
オキナは優れた機導師であると、薄々、マヘルは感じていた。
前に同じ様に師事を仰ごうとしたハンターもいたが、軽く流されていたので、今日こそちゃんと聞きたかったのだ。
「術に用いられるマテリアルの総量は変わらぬ。もし、ワシの術が強力な様に見えたなら、それは、ワシが扱うマテリアルの総量が多いという事じゃろう」
まるで講義かという様な口調でオキナは静かに言った。
「鍛錬を忘れなければ、強くなれる。そうじゃろ、青年」
オキナは通りがかったヴァイスを呼ぶ。
突然、話しを振られた彼は頷くと、オキナに向き合った。
「初めましてだな。俺はヴァイス。あんたのことは仲間から聞いている」
「キミが、ヴァイス君か。ノゾミ嬢ちゃんから話は聞いておるよ」
「なら、話が早い。ノゾミが表立って動いている今、歪虚に恨みを持ち、且つ、あんた達の存在に気付く奴は必ず出てくる……」
歪虚の仲間や手下として活動していると疑われれば、人間社会から追われる立場になる。
「そこはワシが上手く立ち回るからのぉ。今回の件も、ノゾミ嬢ちゃんから聞いた話をワシがリークしたのじゃ」
「それで、ノゾミさんの事を知ったのですか……条件を満たした訳ですし、無事に交渉が進むといいですね」
マヘルが疑問に思っていた事が解決された様であった。
同時に、やはり、この人物がただ者ではないと感じる。
「俺が言うのも可笑しいが、ノゾミを宜しく頼むよ。……あんたも息災でな」
「ワシはできる所までやるがの。最後は若いもんに任せるぞ」
ニヤっと笑って、オキナは走りまわるノゾミに声をかけた。
オキナの元へ駆け戻るノゾミをNonが引き止める。
「ノゾミちゃん」
「はい! なんでしょうか!」
まだ興奮から冷めてないようだ。その緑色の瞳は輝かしかった。
絶望の中にいる人間がする輝きではない。希望を持って生きる人間の輝きだ。Nonは嬉しかった。歪虚の仲間か手下か、事件を起こしていたという話しは聞いたが、少女は少女なりに精一杯、生きている。
「元気そうで何よりだわ。恋愛相談ならいつでも乗るわよぉ」
「私、あの御方がいれば、それで充分ですから、だ、大丈夫ですよ~」
顔を真っ赤にして、分かりやすい少女だ。
純粋な想いが、いつか、砕かれなければいいと思うほど、素直な反応だった。
ノゾミのこれからを心配しつつも、またの再会を願いながら、ハンター達は報告の為、ハンターオフィスへと戻って行った。
条件が達成された事で、フレッサの街に滞在中のある騎士が交渉に臨む事になった。それが、やがて大きな意味を持つ事になるのであった。
おしまい。
王国北部に位置するウィーダの街に滞在中という騎士からの依頼で、北の山に潜む雑魔退治を任されたハンター達は、目的地となる池の周辺に到着した。
任務外の情報としてハンターオフィスから二つの事を知らされていた。一つは、亜人との交渉に臨む為に、雑魔を退治しなくてはならない事。そして、もう一つは、現地で同行者が待っている事であった。
豪快な足音が聞こえ、ノゾミは振り返ると、同時に、力強い抱擁に包まれ驚く。
「ノゾミ! もうどこ行ってたのよ、あたし心配したわぁ!」
それは、Non=Bee(ka1604)だった。
お母さんの様な……ではなく、強い母性を感じさせながら、筋肉質な胸板にノゾミの頭を押し当てる。
「心配かけてごめんなさい。今は、覚醒者としての修行中なのです」
「元気そうで安心したわ」
Nonは、ホッとして少女を解放する。
昨年の歪虚襲来の合間、王都郊外の林の中で出逢い、『ノゾミ』という名を考えたのはNon自身だ。紆余曲折を経ての再会であったが、少女が無事で良かったと安堵した。
「やっほー! ノゾミ、また来たよん!」
横からノゾミに飛び付く小鳥遊 時雨(ka4921)。
「時雨さん! また、よろしくです」
「今日も、私だけじゃないよ!」
ノゾミと同じような華奢な身体をスッとずらす。
そこには、マヘル・ハシバス(ka0440)が、穏やかな微笑を浮かべていた。
「こんにちわ。ノゾミさん」
「マヘルさんも! また、ご一緒できて、光栄です!」
ノゾミにとっては、憧れのお姉さんであり、そして、機導師の先輩的存在でもある。
落ち着いた雰囲気も、大人な容姿も……私も、あの様に成れるのだろうか、と。
ノゾミが自身の胸に手を当てた時にポンポンと肩を叩くエルフの女性。
「きみがノゾミちゃんね。お姉さんは、『アルラウネ』。そう、呼ばれているわ」
アルラウネ(ka4841) が色っぽく胸を強調しながら名乗った。
「は、はい。よろしくお願いします」
「……どうして私の胸をそんなに睨むの?」
「に、睨んでいませんよ~」
身長はあんまり変わらないのにという心の声が視線となっていた様だ。
ノゾミが慌てて視線をラスティ(ka1400)に変える。それに気がつき、最終調整していたライフルを近くに立て掛けた。
「オレは、ラスティだ。あんたもオレと同じ機導師の様だな」
「は、はい! まだ、未熟者ですけど……」
ノゾミが装着しているデバイスが埋め込まれた篭手を見たラスティは、ノゾミのクラスに気がついたようだ。
だが、それ以上は、その事に関して触れる事はしなかった。
「亜人との『交渉』か……そういえば、赤フードの友人が、前に関わったらしいな」
王国北部で発生する亜人騒ぎ……この件が上手く行けば、なにか情報が得られるかもしれない。ラスティは近くの丘の上で、自分達を監視している亜人を見上げた。
(……久しぶりの再開と思うと緊張するな)
いつ名乗りだそうかとタイミングを計り損ねたヴァイス(ka0364)が、冷静な表情を保ちながら、心の中でそんな事を呟いていた。
小走りに近付いてきたノゾミ。その表情は、最後に分かれた日の時とは見違える程、可愛らしかった。
「久しぶり……だな。俺のこと覚えているか? ノゾミは見違えたな」
「忘れるはずありません。あの時は、本当に……本当に、ありがとうございました」
一度、深く頭を下げるノゾミ。ふわふわゆるゆるの緑髪が揺れた。
見覚えのあるローブの生地で作られた真っ赤なリボンを見て、ヴァイスは表情を緩めた。
今回、再会できる事が嬉しかったが、歪虚ネル・ベルと関わりがあり、いくつか、この少女絡みで事件があったのもあるので、複雑な心境だった。それでも、実際に、少女と再会できた事。そして、元気に成長した姿を見れて良かったと思った。
●雑魔討伐
「余り、直視はしたくない見た目ですね」
マヘルの言葉通り、雑魔は異様な姿をしていた。姿は大蛇なのに、頭にはゴブリンの頭部が九つ融合し合っているのだ。池の中央で佇み、囮班として近付く、覚醒者達を睨んでいる。
「誰が、池の淵まで近付くかだな」
ヴァイスが槍を柄の感触を確認しながら言った。
池の周りは泥状になっており、あのまま戦うのは足場が悪すぎるので、陸地まで誘き出す作戦なのだ。
「囮ですか……一人、適任がいますね」
チラっとノゾミに視線を送るマヘル。
「え……えぇ!?」
「私も一緒に行きますから安心してください」
その時、背後で待ち伏せしているNonから声が響いた。
「ヴァイスちゃん! しっかり守ってあげてちょうだい! 作戦とはいえ、女の子を囮にするのは偲びないのだから!」
赤髪の男は、返事をする代わりに槍を掲げてみせた。
「こっちまで来たら、後は、お姉さんに任せなさい、ノゾミちゃん」
「池ぽちゃ気をつけてー! ふぁいとー!」
アルラウネと時雨の2人も声を大にした。
「ニンゲン、ハヤク、タオセ」
ゴブリンのエネミンの声も聞こえた。
どういうわけか、時雨から荷物を預けさせられている。
「……」
ラスティは油断なくライフルを構えたままだった。
準備は万全だとアイコンタクトを飛ばす。
ヴァイスは前に進み出ていく。沼地で足が取られやすい。
沼の淵までヴァイスが近付いた瞬間、突然、水上を駆ける様に雑魔が突撃してきた。
「行くぞぉ!」
叫び声と共に、彼の背後から、マヘルとノゾミが放った機導術の光が雑魔に突き刺さる。
それでも、勢い止まらない雑魔がヴァイスに突撃した。
彼は槍を棒代わりに、泥に突っ込むとそれを支えに跳躍し、そして、強引に槍を引き抜くと、水際から2人の場所まで下がる。
「ノゾミさんに、触れさせないです」
少女を庇う様にマヘルが機導術で盾を高速に動かし、雑魔が放った禍々しい色した毒の塊を防ぐ。
「引き付けながら下がるぞ」
グッと伸びてきた首を槍で払いながらヴァイスが声をかける。
2人は頷くと、雑魔との距離を保ちつつ、後退した。
雑魔の頭の一つが吹き飛ぶ。ラスティと時雨が放った弾矢が吹き飛ばしたのだ。
更に別方向から放たれたマテリアルの光が雑魔を傷つける。Nonが側面に回り込んでいた。
「多少足場が悪くたって、これくらい……!」
覚醒状態に入り、アルラウネが大太刀を構える。
エネミンが言うには、池と周囲の地形状況が、得意な戦闘地形でなく、損害が大きくて手を焼いていたという。
また、追い詰めても池の中に逃げ込まれるというのも、亜人らで倒せなかった原因だったようだ。
「雑魔に手を焼くのは、人も亜人も変わらないわけね……」
「蛇なのにゴブヘッドなのはなんで? 教えてエーネミンっ」
アルラウネの呟きに、時雨が首を傾げながら、背後にいるエネミンに呼び掛ける。
「ソイツ、ナカマ、クッタ。ソレト、オレノナハ、エネミン、ダ。マナイタニンゲン」
亜人の台詞が言い終わると同時に時雨からぶっぱなされた物騒なハリセンが、エネミンの頭をはたき飛ばしたが、今は戦闘中だ。時雨は視線を雑魔に向き直す。
「群れの仲間の弔い合戦とかなら頑張らないと、ね!」
ムスっとしながら、宣言すると、雑魔の動きを注意深く観察する。
攻撃の予備動作の有無や、特異な点があれば仲間へ伝える為と、敵の体勢を見て、必要であれば、牽制するつもりだからだ。
雑魔の頭から鋭い舌が不気味な音を立てながら迫る。
それをマヘルは盾で防ぎながら、反撃とばかりに、盾を押し上げると、機導術を放つ。
マテリアルの電撃で相手の行動を阻害するのだ。
「ノゾミさん、密着しているなら、これが使えます。皆さん、今です」
少女に説明した後に全員に呼び掛ける。確かな手ごたえを感じたからだ。
動きが鈍った所で、マテリアルの光跡を足から残し、ラスティとNonが雑魔へと一気に距離を詰めた。
ラスティは胸元に構えた拳――メタリック・レッドの手甲型機械拳――を機導術と共に繰り出す。
「これが、オレの一撃だ」
マテリアルによって超重練成され巨大化した拳が雑魔の頭部に叩きこまれる。揺らめいた雑魔が苦し紛れに尾を仲間に薙ぎ払うのを、マテリアルの壁を練成し支援する。
数ヶ月前重傷を負った自身の姿をふいに思い出した。強くなりたいと願ったあの時からと比べると、ハンターとして、機導師として、彼は強くなった。
前衛でも後衛でも支援でも機導師としての特性を十分に発揮する姿をノゾミは機導砲を放つのを忘れみつめていた。
「凄い……」
「ノゾミちゃん、戦闘中の余所見は危ないわよ」
Nonが電撃の機導術を雑魔に使いながら声をかける。
立て続けの電撃に雑魔は本来の動きを取り戻せないようだ。不利を悟り、池へと戻ろうとする。
「このゴブリンちゃんはもう助けてはあげられないのよね?」
「明らかに雑魔化しているからな」
憐みの視線で疑問を口にするNonに、雑魔の正面で戦っていたヴァイスが答える。
亜人の言葉から推測すると、この雑魔によって殺されたら吸収されてしまうのだろうか。
「逃がさないよ」
アルラウネが泥の上という悪条件の中、大太刀で舞うかの如く、立ち回っていた。
自身や仲間が踏み込んで硬くなった場所を狙って足場にして円を描くように動き回ると、刀身の重さと勢いを利用して、刀先で雑魔の胴体を切り刻んでいく。
「緑色になったなにかが揺れてる……って、そうじゃない! 池には逃がさないよー!」
マテリアルを込めて時雨が放った矢が、雑魔の足元の泥に突き刺さるが、それでも強引に突破しようとする。
池の中に逃げ込まれたら自分達が不利になると分かっているだけに、なんとしても止めたい。
その想いが強かったのか、自身をマテリアルの壁で守りつつ、Nonが池に向かって突進する雑魔を身体で受け止めた。
「ヵアアアァァァ!」
雄叫びをあげ、ドワーフにしては長身の肉体が、全力で持って雑魔の動きを一瞬抑え込んだ。
「今よ! ヴァイスちゃん!」
「お、おう!」
ヴァイスは槍を構え、大きく跳躍すると、全体重を槍の穂先にかける。
その一撃は、雑魔の胴体を貫き、泥に深く貫通した。
逃げられないと悟ったのか、雑魔が暴れて、舌で周囲を薙ぎ払おうとしたが、それをラスティが掴み取った。
「後は、ひたすら切り刻むだけね」
アルラウネの言葉通り、雑魔はハンター達による集中攻撃を受け、ボロボロと崩れていったのであった。
●再会と別れ
「いえいっ! おつかれー!」
時雨が元気な声と勢いで、ノゾミにハイタッチをした。誇らしげに胸を張る……控えめな身体にノゾミが飛びついて一緒に喜んだ。
泥によって汚れた所を、時雨が用意した水とタオルで拭き取り、一段落した所で、人質となっていたオキナがエネミンと一緒にやってきた。
「ニンゲン、ヨク、ヤッタ……エルフ、フク、キロ」
汚れを取るのに大胆な姿になっているアルラウネにエネミンが声をかける。
「ア、アルラウネさん! だ、ダメです! そんな、姿!」
ノゾミが慌ててタオルを掛けようとするが、頭の上に?マークを掲げたアルラウネは面白がって逃げ始める。
「時雨さんも、手伝ってー!」
「わかったよー! 欲しいものは掴みとろう!」
両手をニギニギして、2人の少女はアルラウネを追いかけていった。
「あの雑魔は、あんたらの仲間仇、って事で良いのか」
念入りに武装の泥を落としながらラスティは、ゴラグオに話しかける。
ゴブリンの表情はよくわからなかった。だが、どことなく笑ったかの様にも見える。
「そうだ。お前達が倒したおかげで、この水場を利用できるようになった」
「北の方が騒がしい事について、何ぞ知らねェか? 理由が分かれば、お互い歩み寄れるかも知れんだろ?」
王国北部での亜人に関する事件は今だ謎な部分が多い。
「難しい事ではない。単なる縄張り争いだ。俺は奴が気に食わない。それだけ」
「ゴブリンにも、いろいろあるという事か」
ゴラグオが頷いたようにも見えた。
池の周りを追いかけ回る3人の少女を見て、苦笑を浮かべているオキナにマヘルが声をかけた。
「お久しぶりです。オキナさん」
「おぉ……マヘル嬢ちゃんか。どうしたんじゃい」
「機導術のアドバイスを聞きたくて」
オキナは優れた機導師であると、薄々、マヘルは感じていた。
前に同じ様に師事を仰ごうとしたハンターもいたが、軽く流されていたので、今日こそちゃんと聞きたかったのだ。
「術に用いられるマテリアルの総量は変わらぬ。もし、ワシの術が強力な様に見えたなら、それは、ワシが扱うマテリアルの総量が多いという事じゃろう」
まるで講義かという様な口調でオキナは静かに言った。
「鍛錬を忘れなければ、強くなれる。そうじゃろ、青年」
オキナは通りがかったヴァイスを呼ぶ。
突然、話しを振られた彼は頷くと、オキナに向き合った。
「初めましてだな。俺はヴァイス。あんたのことは仲間から聞いている」
「キミが、ヴァイス君か。ノゾミ嬢ちゃんから話は聞いておるよ」
「なら、話が早い。ノゾミが表立って動いている今、歪虚に恨みを持ち、且つ、あんた達の存在に気付く奴は必ず出てくる……」
歪虚の仲間や手下として活動していると疑われれば、人間社会から追われる立場になる。
「そこはワシが上手く立ち回るからのぉ。今回の件も、ノゾミ嬢ちゃんから聞いた話をワシがリークしたのじゃ」
「それで、ノゾミさんの事を知ったのですか……条件を満たした訳ですし、無事に交渉が進むといいですね」
マヘルが疑問に思っていた事が解決された様であった。
同時に、やはり、この人物がただ者ではないと感じる。
「俺が言うのも可笑しいが、ノゾミを宜しく頼むよ。……あんたも息災でな」
「ワシはできる所までやるがの。最後は若いもんに任せるぞ」
ニヤっと笑って、オキナは走りまわるノゾミに声をかけた。
オキナの元へ駆け戻るノゾミをNonが引き止める。
「ノゾミちゃん」
「はい! なんでしょうか!」
まだ興奮から冷めてないようだ。その緑色の瞳は輝かしかった。
絶望の中にいる人間がする輝きではない。希望を持って生きる人間の輝きだ。Nonは嬉しかった。歪虚の仲間か手下か、事件を起こしていたという話しは聞いたが、少女は少女なりに精一杯、生きている。
「元気そうで何よりだわ。恋愛相談ならいつでも乗るわよぉ」
「私、あの御方がいれば、それで充分ですから、だ、大丈夫ですよ~」
顔を真っ赤にして、分かりやすい少女だ。
純粋な想いが、いつか、砕かれなければいいと思うほど、素直な反応だった。
ノゾミのこれからを心配しつつも、またの再会を願いながら、ハンター達は報告の為、ハンターオフィスへと戻って行った。
条件が達成された事で、フレッサの街に滞在中のある騎士が交渉に臨む事になった。それが、やがて大きな意味を持つ事になるのであった。
おしまい。
依頼結果
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マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 小鳥遊 時雨(ka4921) 人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/07/13 07:26:40 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/08 02:58:45 |