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【聖呪】亜人からの『条件』

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/07/13 09:00
リプレイ完成予定
2015/07/22 09:00

オープニング

 
 ――奇縁

 幾何学模様が美しい角を持つ歪虚が一人の男を呼び止めた。
「貴様が、ヘクスか」
 呼ばれた男は緩慢な動きで振り返る。
 ニヤリと……笑っているようにも見えた。
 その人物は、港街ガンナ・エントラータの領主であり、王国の貴族である、ヘクス・シャルシェレット(kz0015)だ。
「やぁ、ネル・ベル君。僕の街はどうだったかな? 楽しんでいってくれたかい」
「そんな事はどうでもいい」
 歪虚は、港町を始め、王国内のいくつかの場所で事件を起こしてきた。
 なるべく目立たないように活動していたつもりなのだが……。
「貴様が、油断ならぬ人間だと、私は知っている。なにを企んでいる」
「こっちでも悪い噂ばかり立つんだなあ……やれやれ。出処はクラベル様かい?」
 やはり、ニヤリと笑っている……気がする。
 底知れぬ不気味な雰囲気だと歪虚は思った。
「私は、貴様を絶対に信用しない」
 その言葉にヘクスが肩を竦めながら両手を軽く挙げた。
「信用は積み上げるもの、ってね。今はそれでいいけど、何か困ったら、声を掛けてくれよ。必ず役に立つから、さ」
「一々、一言の多い人間だ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
 楽しそうに言うと、ヘクスは立ち去っていった。
 その後ろ姿が見えなくなるまで、歪虚は油断なく睨みつけていた。

●緑髪少女の行き先
 少女は、グラズヘイム王国西部の小さい村で生まれた。
 幼い頃から両親に虐げられ、歪虚との戦いの戦火に巻き込まれ、王都に避難してきた。
 辛酸な生活が続いた。少女にとって、生きる事とは地獄にも等しく、孤独と絶望の日々が全てだった。

 ハンター達が少女を絶望から救い、ある歪虚が生きる術を導いた。
 なにかが欠けていたら、きっと、今この瞬間、その少女はこの場に居なかっただろう。

 少女の名は、『ノゾミ』。
 明るい未来を信じ、願いを冠するリアルブルーの言葉である。


 ――王国北部の山林にて
 緑髪が視界の妨げになる。
 ふわふわゆるゆるな上にくるくるっとした髪は、少女の主からも好評だったので、自身でもお気に入りなのだが、こういう時は不便極まりない。
「ノゾミ嬢ちゃんや、遅れておるぞ」
 声を掛けて来たのは、白髪のお爺さんだ。
 それなりに高齢であるはずなのに、山道を平気な顔をして登っていた。
「オキナ、早いです」
「まったく。若いのに情けないのぉ」
「……この前まで、床で苦しんでいた人に言われたくありません」
 少女と翁の2人は、ある亜人の後を続いていた。
 その亜人はラプターに乗っているゴブリンだ。名前をエネミンという。
「ニンゲン、ハヤクシロ」
「……ラプターに乗ってるのずるいです。ここは、『れでぃ~ふぁ~すと』とやらで、私が乗るべきです」
「いや、年寄を大切にせんとあかん。ワシが乗る」
 起伏の激しく、足場も悪いのに、ラプターは苦もない様子だ。
 それなりに訓練を受けているに違いない。
「ニンゲンハ、オモスギル」
「私、そんなに重くないです!」
 ノゾミの抗議にエネミンは、少女を凝視する。
 そして、言い放った。
「タシカニ……ムネナイ。カルソウダ」
「機導砲を撃ってもいいですか?」
「マテ、ノゾミ。サイショノ、モクテキ、ワスレテル」
 慌てるエネミン。
 ノゾミとオキナの目的。それは、ゴブリンとの折衝であった。
 先の依頼で、亜人との関わりを持ったと知ったある人物がノゾミに依頼を出して来たのだ。

『ゴブリンとの交渉の席を用意せよ』

 そういう事で、ノゾミとオキナはエネミンを通じて、事前折衝の場へと向かっていたのだ。

●ゴラグオ
「お前が、ウィーダの街から来た人間か」
 そのゴブリンは、体格が一際大きかった。背の高い人間と同じ位はあるだろう。体型も人間のそれと良く似ていた。
 騎乗しているラプターも大型だ。大きい馬と同じ位の大きさはある。
「俺は、人間共と取引はしない。本来なら、ここで八つ裂きだが、お前には恩がある。話だけは聞いてやろう」
 背負っていた巨大な斬馬刀を無造作に地面に投げ落す。
 交戦の意思はないという事だろう。ノゾミは、このゴブリンの部下であるエネミンを救った経緯があった。
「ノゾミと言います。こちらは、オキナです」
 亜人相手に少女は丁寧に頭を下げた。
「ゴラグオだ。ラプターを駆る軍団の頭だ」
 その言葉に、オキナは周囲を警戒しつつ、なるほどと思った。
 確かに、ラプターが多い。どうやら、ゴブリンライダーの群れの様だ。そして、そのボスが、このゴラグオなのだ。
 自らの群れの事を『軍団』と呼ぶ所を見ると、それなりに自信が誇りを持っていそうである。
「交渉の場ができる事を、私の依頼主は望まれています。理由があり、今、その人物の名を出すわけにはいきませんが」
「その事情は理解できる。人間と我らは、仇敵同士なのだからな。名前を明かせない理由があるように、俺も呼掛けだけに応じる事もできない」
 群れの統率の問題。メンツの問題。
 ゴブリンにもゴブリンの事情が存在するという事の様だ。
「交渉の場に出る為の条件がある。お前達、人間の誠意を見せてもらおうか」
 ゴラグオの台詞にノゾミはオキナを振りかえった。
 対応に不安を感じたからだ。オキナは少女の悩みが手に取るように分かったので、深く頷いて見せる。
「分かりました。条件を教えて下さい」
「雑魔を討伐しろ。そうすれば、交渉の場には出向いてやろう」
 意外な提案だと思った。
 雑魔を討伐するのであれば、このゴブリンでも難しい事の様には見えないからだ。
「山奥深くにある池に潜む雑魔だ。そいつのせいで、テリトリーに穴が開いている」
「さすがに、私達2人では難しいです。応援を呼んでもいいですか?」
「構わない。ただし、人質は置いていってもらおう」
 ゴラグオはオキナを指差した。
「やれやれ。儂の肉より、ノゾミ嬢ちゃんの方が美味しいだろうに」
「もし、食べる事があったとしても、お前はラプターの餌だ」
「鳥葬は勘弁じゃ。ノゾミ嬢ちゃん、頼んだぞ」
 ゴラグオの無慈悲な言葉に肩を竦めるオキナ。
 まぁ、この人物なら1人で脱出してきても可笑しくなさそうではあるが。
「必ず、迎えに来ますからね!」
 それでも、真剣な眼差しを向けてくる辺り、少女の純粋さが伝わってくるのであった。

解説

●目的
雑魔の討伐。

●内容
山中の池に潜む雑魔を討伐し、亜人からの条件を達成させる。

●地形
山の中の開けた場所の大きい池(約10m四方。深さは中心部で2m位)。
もともと窪地だった所に、湧水と雨水で池になった様です。池の水は濁っており、透明度は無きに等しいです。
池の周囲は泥沼の様になっており、足場が悪いのです。

●雑魔
巨大な蛇ですが、頭部はゴブリンの頭が9つ寄り集まっています。
長い舌を伸ばしてきたり、毒の塊を射出してきます。
また、危険を感じると池の底へと逃げようとします。

●ノゾミ
ふわふわゆるゆるの緑髪の可愛らしい少女です。13歳位。
青黒いドレスと篭手で武装しています。覚醒者であり機導師ですが、ハンターではありません。
交友関係の有無は依頼の達成度に影響しません。

●ゴラグオとエネミン
戦闘には参加せず、条件が果たされるか見届けに来ています。会話は可。

●オキナ
人質として、連れて来られています。こちらも会話は可ですが、戦闘には参加しません。

マスターより

●皆様、お元気ですか? 赤山です。鶏肉は大好きですが、この雑魔を退治しても食べられません。
【ノゾミの大冒険 第3歩(話)】です。依頼名は副題になります。
依頼が失敗しない限り、まだまだ続きますので、ここらで終わらないように、よろしくお願いします!

●攻略のヒント
戦場を選ぶ事の重要さは言うまでもありません。人間は亜人とは違う事を見せつけてやって下さい。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/07/18 11:32

参加者一覧


  • ヴァイス・エリダヌス(ka0364
    人間(紅)|31才|男性|闘狩人
  • 憧れのお姉さん
    マヘル・ハシバス(ka0440
    人間(蒼)|22才|女性|機導師
  • all-rounder
    ラスティ(ka1400
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • Beeの一族
    Non=Bee(ka1604
    ドワーフ|25才|男性|機導師
  • 甘えん坊な奥さん
    アルラウネ(ka4841
    エルフ|24才|女性|舞刀士

  • 小鳥遊 時雨(ka4921
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
小鳥遊 時雨(ka4921
人間(リアルブルー)|16才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2015/07/13 07:26:40
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/07/08 02:58:45