ゲスト
(ka0000)
海岸のカニ型雑魔
マスター:なちゅい

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 6~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/11 19:00
- 完成日
- 2015/07/17 21:47
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●海開きに邪魔者が……
夏も近づき、天気も良好。打ち寄せてくる波がなんともさわやかな気持ちにさせる。
そこは砂浜なのだ。陽射しも強くなり、そろそろ海開きという季節。海の家を営む男性、レイトがその砂浜にやってきて、準備に取り掛かろうとしていたのだが……。
「なんだ、これは……」
海岸にいたのは、巨大なカニ。普通の人間では両手で抱えられないくらいの大きさをしたカニが5体、砂浜にいて動かずに何やら穴を掘っているようにも見える。
レイトにとって、これはたまらない。穴ぼこだらけで危険な砂浜に誰が来るというのか。それを止めようとレイトは砂浜へと歩いていくのだが……。カニ達がものすごい速さで彼に迫ってきた。
まず、1体がレイトへと泡を吹きつける。それによって体に麻痺を覚えた彼の頭を、別の1体がハサミで殴りかかってきたのだ。
レイトは傷を負いながらも命からがら海岸から逃げていく。対して、カニ達は何事もなかったように元の場所に戻り、穴を掘り始める。
これでは、どうしようもないと考えたレイトは助けを呼ぶべく、この場から引き上げていくのだった。
「……ってなことがあってな」
レイトはハンターズソサエティの受付のお姉さんへと溜息をつきながら語る。彼の頭と肩には、包帯が巻かれてあった。
「全治一週間だと。ったく、迷惑なカニどもめ……」
彼はそう愚痴りながらも、依頼申請を行う。砂浜のカニ型雑魔を倒してくれ、と。
何が目的なのかは不明だが、カニ達はとある砂浜をひたすら掘っているのだという。1つの穴を深く掘り進めるわけではなく、ある程度掘るとまた別の場所を掘っているようだ。このままでは、海水浴場として一般客を迎え入れることができない。被害が軽微なうちにカニ型雑魔を退治しておきたいのだ。
「できるなら、掘り起こされた穴を埋めてくれると助かる、ま、それは俺もやるからよ」
ともあれ、雑魔を退治しないことには始まらない。彼はそう依頼し、カニから受けた傷を庇うようにしてソサエティを後にしていった。
夏も近づき、天気も良好。打ち寄せてくる波がなんともさわやかな気持ちにさせる。
そこは砂浜なのだ。陽射しも強くなり、そろそろ海開きという季節。海の家を営む男性、レイトがその砂浜にやってきて、準備に取り掛かろうとしていたのだが……。
「なんだ、これは……」
海岸にいたのは、巨大なカニ。普通の人間では両手で抱えられないくらいの大きさをしたカニが5体、砂浜にいて動かずに何やら穴を掘っているようにも見える。
レイトにとって、これはたまらない。穴ぼこだらけで危険な砂浜に誰が来るというのか。それを止めようとレイトは砂浜へと歩いていくのだが……。カニ達がものすごい速さで彼に迫ってきた。
まず、1体がレイトへと泡を吹きつける。それによって体に麻痺を覚えた彼の頭を、別の1体がハサミで殴りかかってきたのだ。
レイトは傷を負いながらも命からがら海岸から逃げていく。対して、カニ達は何事もなかったように元の場所に戻り、穴を掘り始める。
これでは、どうしようもないと考えたレイトは助けを呼ぶべく、この場から引き上げていくのだった。
「……ってなことがあってな」
レイトはハンターズソサエティの受付のお姉さんへと溜息をつきながら語る。彼の頭と肩には、包帯が巻かれてあった。
「全治一週間だと。ったく、迷惑なカニどもめ……」
彼はそう愚痴りながらも、依頼申請を行う。砂浜のカニ型雑魔を倒してくれ、と。
何が目的なのかは不明だが、カニ達はとある砂浜をひたすら掘っているのだという。1つの穴を深く掘り進めるわけではなく、ある程度掘るとまた別の場所を掘っているようだ。このままでは、海水浴場として一般客を迎え入れることができない。被害が軽微なうちにカニ型雑魔を退治しておきたいのだ。
「できるなら、掘り起こされた穴を埋めてくれると助かる、ま、それは俺もやるからよ」
ともあれ、雑魔を退治しないことには始まらない。彼はそう依頼し、カニから受けた傷を庇うようにしてソサエティを後にしていった。
リプレイ本文
●折角いい天気なのに
その日は晴れていた。
砂浜はすでにカニ型雑魔によって、沢山の穴が開いてしまっている。なおも、カニ達はせっせと穴掘りに励んでいたようだ。
「この夏は、色んな砂浜で楽しんでいく予定なのに、その1つが使えないのは大損害!」
「この夏は色々なビーチを巡ろうと思ってるのに、その1つを雑魔なんぞに占拠されちゃかなわないしね」
お揃いのマイクロビキニ姿でその砂浜に現れたのは、北条・真奈美(ka4064)、北条・佳奈美(ka4065)の双子の姉妹。髪を結び、ピンクのビキニが姉、真奈美。髪を下ろして紫色のビキニなのが妹、佳奈美だ。
「あたし達に任せておいてぇ~。差し入れとかぁ、期待してるからぁっ♪」
「あ、ああ……」
目のやり場に困る、依頼者レイト。カニに襲われて傷だらけの彼は案内をすべくハンター達と同伴していた。
「悪ぃが、駆除の間に準備を頼む」
そのレイトにスコップを持ってきてもらうよう頼んでいたのは、巡間 切那(ka0583)だ。
レイトには、シェイス(ka5065)も話しかけ、砂地での動き方を聞いていたようだ。砂の蹴り方にコツがいるそうで、慣れずに走り続ければ筋肉痛は避けられないとのこと。
「おっと忘れてた、持ち込んだビールを冷やしておいてもらおうか」
シェイスにとって、仕事終わりの1杯は譲れないのだとか。よくよく見れば、今もほんのりほろ酔いではないか。
レイトは穴埋めの道具の準備とシェイスのビールを冷やしに、この場から離れていく。
「えと、飲み物の差し入れとかしてもらえるみたいですけど」
羊谷 めい(ka0669)は去りゆくレイトの背を見ながら考える。
「戦ってるときは差し入れできないと思うので、一応……」
めいは用意したミネラルウォーターを取り出す。陽射しを気にして、日焼け止めまで用意しているあたりは女の子である。
この、切那、シェイス、めいの3人は一緒にこの依頼へと参加していた。
「初の依頼が蟹退治と穴埋めねぇ」
リアルブルー出身のシェイスにとって、これが初依頼だ。
「ま、いいんじゃねーの、こうやって日々の糧を稼ぐのは楽しいもんさ」
「蟹さん、雑魔じゃなければ、おうちに帰ってもらうとか、できたのでしょうけど……」
すでに幾度か依頼をこなしているめいだが、今回の敵が雑魔であるのが残念である様子。雑魔ならば、倒すしかないのだから。
そんな酔っぱらいの新人とちみっ子の面倒を見る切那。同じリアルブルー出身者とあって、放っておけないのだろう。
「俺も、腕が鈍らんよーにやらせてもらうかね。こういうのもたまには悪くねぇだろ」
とはいえ、意志疎通のできない相手に、切那は些か不満があったようだ。
この依頼に当たるメンバーの想いは様々。
単独で依頼に当たるセシル・ディフィール(ka4073)。
(雑魔の逃走……主に海の中、或は穴の中……穴が繋がっているとしたら、穴からの奇襲。その2点を注意し、戦闘……と言った所でしょうか)
状況分析を行う彼女は、単独行動で依頼に当たる。
「ほな、今回はよろしゅう頼むで」
予め、穴埋め用のスコップを用意していた黒龍 雷蔵(ka5276)がペアの相手として選んだのは、アルティミシア(ka5289)だ。
まだまだ、育ちざかりのアルティミシアは、ストレッチをしながら浜辺のカニ達を見やる。
(ボクは強くなりたい……ううん、ならなきゃいけないの。こいつらにはボクの礎に……なってもらおう)
被害者の為にという気持ちがないわけではないが、彼女にとって、この依頼は強くなるための一歩という考えが強いようだ。
準備の整ったハンター達は、ゆっくりと、浜辺へと足を踏み入れていく……。
●カニ退治!
メンバー達は、それぞれチーム、ペアを作って作戦を開始する。
早速、浜辺に立ち入る者の気配を察し、カニ達は穴掘りの手、ならぬハサミを止めてハンター達に近づいて来る。
各チームで連携を取る中、1人で行動するセシルは背後に穴がない場所に位置取っていく。
「穴を掘る理由が不明ですし、もし、穴同士が繋がっていれば、厄介ですね……」
セシルはカニが掘った穴について、懸念する。穴に卵や幼体が潜む危険はさすがに無いだろうとは考えていたが、穴が繋がっているなら、奇襲には十分注意したいと思っていた。
とはいえ、この穴はカニ型雑魔が1体入る程度の大きさでしかない。深さも同程度で、他の穴に繋がっているということはなさそうだ。
迫りくるカニに、セシルはスキルを……と考えたが、スキルの活性に難があったようで、やむなくファイアーボールで攻撃を仕掛ける。
ハンターの中で3人で仕掛けるチーム。
(とりあえず……)
切那が先陣を切り、めい、シェイスが切那のアシストを行う。
「頼むぜ? センパイさんよ」
シェイスの声を聞き、切那は軽く手をあげて応じる。
(孤立はしねー程度に……可能なら、3対1の状況が望ましいな)
切那はちらりと後ろを振り返る。シェイスは大船に乗ったような気持ちで見てくれていたし、めいは不安そうに言葉を発することなく、自分を見つめていたようだ。
(こっちが気引かせれりゃ、あいつらも気楽に好きに動けるだろ)
切那が動くと、カニ2体がつられてやってくる。それに合わせ、刹那に気を取られるカニの背後へとシェイスは移動していく。
真奈美、佳奈美の双子ペアも穴だらけの砂浜に気を付けながら、ほぼ固まって移動する。こちらには、1体のカニが狙いを定めていた。野生の瞳を使う姉、真奈美が盾役として受けに徹する構えのようである。
メンバーからやや遅れて歩いていたのは、雷蔵、アルティミシアペアだ。
「ねぇ、ボクと遊ぼうよ」
アルティミシアはフリーになっていたカニを挑発する。敵と見定めたそいつはかさかさと足を動かして近寄り、ハサミで殴りかかってきた。
「キミに恨みは無いんだけど……ボクの経験の為に……死んでね?」
始まる戦いに、アルティミシアは思わず緊張の為に身を硬直しかけてしまうが、その空気を楽しもうと考えを切り替えてリラックスしていたようである。
雷蔵はカニを前にし、首をゴキッと鳴らす。
「わいの強さにお前が泣いた!」
……なんてのうと、にやりと笑った雷蔵は敵の動きに注意しながらも、己の拳で殴りかかっていった。
●カニの始末を!
砂浜でそこかしこに掘り返された穴は、メンバーの動きを制限する。
それを、メンバー達はチームで、あるいはペアの相手と連携してフォローを試みていた。
カニに斬りかかる切那は、穴が比較的少ないところにまで下がっていく。
(流石に、でこぼこしすぎてる場所は向こうが有利だろうしな)
砂場の上では、ハンター達も満足には動きづらい。だからこそ、彼女はできる限り動きやすい場所へとカニおびき寄せていたのだ。
「背後ががら空き……じゃなきゃ、カニじゃねーよなぁ」
その背後を、シェイスが狙う。彼はマテリアルを篭め、さらにレイトから教えてもらった砂浜での移動法を合わせて、カニの後ろから迫っていたのだ。
シェイスはそのまま、バタフライナイフを振り回し、カニの甲羅に斬りかかる。
めいはいうと、やや距離を取りながらシェイスの援護すべく、彼の体を光で包んでいく。
(切那さんは強いと思っているので……)
実際、切那はあっさりとカニを追いつめていく。彼女の絡繰刀「一文字」は、見事にカニの鋏を斬り飛ばしていた。
「ま、愉しませてくれよ?」
にやりと笑う切那に、怒り狂ったカニはもう片方の鋏を叩き付けてきたのである。
こちらは、マナカナ双子ペア。
姉、真奈美は吹き付けられる泡にまみれながらも、それに耐える。
「はぅんっ♪ あはぁ、激しい蟹さんだねぇっ♪」
泡にまみれる水着姿の真奈美。艶めかしい声を上げる彼女は、カニすらも虜にしてしまう。
その後ろから、妹、佳奈美がアックスブレードを振るった。彼女は一撃を叩きこんだ後、敵が繰り出すハサミを華麗に避けつつ距離をまた取ろうとする。
代わるように再び真奈美が前に出て、野生の瞳を使いながら、防御に徹した。
それを見て、またも、後ろから佳奈美が飛び出す。剣形態、斧形態とアックスブレードを切り替え、それぞれの使い勝手を試しながら、カニに攻め入った。
防具もほぼ身に着けずに戦う2人。カニから食らうダメージも相当だったが、息のあった攻撃でそれをカバーしていたようだ。
真奈美は自らの傷を癒しながらも、くすりと笑ってカニへ告げる。
「お仕置きだよぉ♪」
姉の言葉に合わせ、またも佳奈美が飛び出す。洗練された動きで体をくねらせた彼女は斧形態のアックスブレードを力いっぱい振り下ろすと、カニの体が真っ二つになってしまった。
こちらは、3人でカニに当たるメンバー達。
瞬脚を使い、一気に仕掛けた切那が見事にカニの脳天から突きを繰り出すと、そいつは泡を吹いて崩れ去った。
「刹那さん、かっこいいです……」
あまりに鮮やかな戦い方に、めいは思わず見惚れてしまう。自分もあんなふうになれるかな、と。
ともあれ、まだ戦い慣れていないシェイスの援護をせねばとめいが振り返ると、シェイスの相手にしていたカニが近づいてきていた。
「おらよ、こっちだ!」
シェイスはめいから注意を引き離そうと、ナイフを投げつける。自慢の甲羅を貫かれたカニは、苛立ちながらシェイスへと鋏を振り回してきた。
アルティミシア、雷蔵は2人でカニへと攻め入る。
そこに、別のカニを相手にしていたセシルが、丁度2体のカニが直線状になるのを見はからって雷撃を一直線上に放つ。セシル自身の相手にしていたカニは焼け焦げて力尽きた。
シェイスの相手にしているカニも、もはや虫の息だった。
切那が腕を狙い、片方の鋏をまたも斬り飛ばす。そいつにナイフで甲羅に斬りかかっているシェイスを別の光で包み込む。抵抗力、そして、防御力を高めた彼は、バタフライナイフの刃をカニの腹の下から深々と突き刺す。
そいつは必死にもがいていたが、ついに力尽きて倒れてしまう。
アルティミシア、雷蔵の戦うカニも、攻撃の為でなく、弱ったことで泡を吹き始める。それをそのまま2人に向けて吹き付けるが、雷蔵はタイミングを見はからってマテリアルを活性化させ、その生命力を癒していく。
「たかが蟹風情が調子に乗っとるようやな。その殻、ぶち割って蟹鍋にしたろやないか」
雷蔵も手にするショートソードで斬撃を浴びせかけていく。殻全体にヒビが入ったカニは完全に弱っていたようだ。
逃げ出そうとカニ歩きを始めるカニ。それを、アルティミシアが移動力を高めて追いかける。そして、彼女のナイフがカニの内臓を貫いた。
「んー、ゴメンねは言わないよ。……でも、ありがとうって言っておくね」
その場から消えたカニ型雑魔へアルティミシアが言い放つ。良い経験になったと。
こうして、ハンター達は砂浜にいた全ての雑魔を狩り終えたのだった。
●海を見ながら穴埋めを
雑魔の体は元からなかったのように砂浜から消え失せていく。
「き、消えちゃった……」
「酒のつまみにゃ、ならないか」
その姿が消えた雑魔をめいはしばし見つめる。シェイス、雷蔵は、割と本気でカニを食べたいと考えていただけに、残念そうにしていたようだ。
そして、打ち寄せる波の音を聞きながら、メンバー達はカニが掘り返した穴を眺める。
「それにしてもぉ、如何して穴掘りをしてたのかなぁ~?」
穴埋めの為の道具が届くまで、水着姿のまま、穴を調べ始める真奈美。彼女は目を凝らしたり、超感覚を使って砂浜に異変がないかを調べる。
同じく妹も、穴の中に危険物がないかどうかを調査する。しかしながら、水着姿の2人はなんとも色っぽい。一般人がいたなら注目を浴びていたことだろう。
雷蔵もその穴を調べていたようだったが、とりわけ穴自体に何か特別な物があったわけではない。
セシルも改めて、穴を確認していたが、こちらもこれといった情報は得られなかったようだ。
「穴は……恐らく住居作りかね」
シェイスはそんな考えを持っていたようだったが、さほど興味を持ってはいない様子。
カニには穴を掘る習性があるという話はあるのだが、雑魔になった後でもその習性が残っていたのだろうか。
「ま、どうだっていいさ」
ともあれ、この穴を埋めるまでが仕事。シェイスもそうだが、ミネラルウォーターで喉を潤したセシルも、早速穴を埋め始める。
雑魔の討伐を知った依頼主も戻ってきて、穴を埋める為の道具を持ってきてくれていたのだ。
「めんどくせーけど、埋めるまでが仕事だしな」
刹那も汗を流しながらも、1つずつ穴を埋め始めていた。
「あ、海、いいなあ……。ちょっと入りたい、な……なんて」
目の前に海があるのに、入ることのできないもどかしさ。まだまだ遊びたい年頃のめいには、さぞ辛いことだろう。
とはいえ、めいはそれを我慢し、せっせせっせと穴を埋めていく。うっかり落ちないようにと気を付けながら……と思っているそばから、思わずつまずく彼女。なんとか体勢を立て直し、めいはほっと胸を撫で下ろす。
依頼人はさすがに冷やすのが間に合わないからと、冷えている別のビールを手にしてきた。そのビールも後で持ってくるとのこと。
「ササッと埋めてビールを飲んで……へっ、やる気が出るねぇ!」
シェイスは黄金の液体が体に巡るのを感じ、俄然仕事にやる気を見せる。
作業の合間にと、レイトは他のハンターに対しても、水や料理の差し入れも行う。
セシルは丁重に断っていたようだが、他のメンバーはありがたくそれを頂いていた。
レイトに、真奈美が汗まみれの体を見せつけつつ。
「ねぇねぇ、カナちゃん。終わったらぁ、三人でや……」
「何を馬鹿なこと言ってるのよ、この馬鹿姉は。砂場に埋めて処分した方がいいかしら」
佳奈美が、姉の口を遮る。その先はきっとここでは書けないので、ナイスアシスト。
「やぁん、酷いぃっ♪ あぁ、でもそれも良いかもぉっ♪」
「まったくもう……」
もっとも、この姉は埋められてもOKとか、かなりどうしようもない様子だが。
「……それは冗談としても、終わったら私達と遊びに行くのはどうかしら?」
くすりと笑う佳奈美に、レイトは思わずたじろぐ。
「それでぇ、この後ぉ――」
「イロイロ、楽しいコトしましょう……イロイロとね」
そんな佳奈美に、真奈美も合わせるようにして秋波を送る。色目を使わされたレイトは思わず喉をごくりとしてしまう。
メンバー達は浜辺でさわやかな汗をかき、そして、その後の一時も思い思いに堪能していた。
双子の姉妹にこれ以上なく絡まれてげんなりしていたレイトを除いて……。
その日は晴れていた。
砂浜はすでにカニ型雑魔によって、沢山の穴が開いてしまっている。なおも、カニ達はせっせと穴掘りに励んでいたようだ。
「この夏は、色んな砂浜で楽しんでいく予定なのに、その1つが使えないのは大損害!」
「この夏は色々なビーチを巡ろうと思ってるのに、その1つを雑魔なんぞに占拠されちゃかなわないしね」
お揃いのマイクロビキニ姿でその砂浜に現れたのは、北条・真奈美(ka4064)、北条・佳奈美(ka4065)の双子の姉妹。髪を結び、ピンクのビキニが姉、真奈美。髪を下ろして紫色のビキニなのが妹、佳奈美だ。
「あたし達に任せておいてぇ~。差し入れとかぁ、期待してるからぁっ♪」
「あ、ああ……」
目のやり場に困る、依頼者レイト。カニに襲われて傷だらけの彼は案内をすべくハンター達と同伴していた。
「悪ぃが、駆除の間に準備を頼む」
そのレイトにスコップを持ってきてもらうよう頼んでいたのは、巡間 切那(ka0583)だ。
レイトには、シェイス(ka5065)も話しかけ、砂地での動き方を聞いていたようだ。砂の蹴り方にコツがいるそうで、慣れずに走り続ければ筋肉痛は避けられないとのこと。
「おっと忘れてた、持ち込んだビールを冷やしておいてもらおうか」
シェイスにとって、仕事終わりの1杯は譲れないのだとか。よくよく見れば、今もほんのりほろ酔いではないか。
レイトは穴埋めの道具の準備とシェイスのビールを冷やしに、この場から離れていく。
「えと、飲み物の差し入れとかしてもらえるみたいですけど」
羊谷 めい(ka0669)は去りゆくレイトの背を見ながら考える。
「戦ってるときは差し入れできないと思うので、一応……」
めいは用意したミネラルウォーターを取り出す。陽射しを気にして、日焼け止めまで用意しているあたりは女の子である。
この、切那、シェイス、めいの3人は一緒にこの依頼へと参加していた。
「初の依頼が蟹退治と穴埋めねぇ」
リアルブルー出身のシェイスにとって、これが初依頼だ。
「ま、いいんじゃねーの、こうやって日々の糧を稼ぐのは楽しいもんさ」
「蟹さん、雑魔じゃなければ、おうちに帰ってもらうとか、できたのでしょうけど……」
すでに幾度か依頼をこなしているめいだが、今回の敵が雑魔であるのが残念である様子。雑魔ならば、倒すしかないのだから。
そんな酔っぱらいの新人とちみっ子の面倒を見る切那。同じリアルブルー出身者とあって、放っておけないのだろう。
「俺も、腕が鈍らんよーにやらせてもらうかね。こういうのもたまには悪くねぇだろ」
とはいえ、意志疎通のできない相手に、切那は些か不満があったようだ。
この依頼に当たるメンバーの想いは様々。
単独で依頼に当たるセシル・ディフィール(ka4073)。
(雑魔の逃走……主に海の中、或は穴の中……穴が繋がっているとしたら、穴からの奇襲。その2点を注意し、戦闘……と言った所でしょうか)
状況分析を行う彼女は、単独行動で依頼に当たる。
「ほな、今回はよろしゅう頼むで」
予め、穴埋め用のスコップを用意していた黒龍 雷蔵(ka5276)がペアの相手として選んだのは、アルティミシア(ka5289)だ。
まだまだ、育ちざかりのアルティミシアは、ストレッチをしながら浜辺のカニ達を見やる。
(ボクは強くなりたい……ううん、ならなきゃいけないの。こいつらにはボクの礎に……なってもらおう)
被害者の為にという気持ちがないわけではないが、彼女にとって、この依頼は強くなるための一歩という考えが強いようだ。
準備の整ったハンター達は、ゆっくりと、浜辺へと足を踏み入れていく……。
●カニ退治!
メンバー達は、それぞれチーム、ペアを作って作戦を開始する。
早速、浜辺に立ち入る者の気配を察し、カニ達は穴掘りの手、ならぬハサミを止めてハンター達に近づいて来る。
各チームで連携を取る中、1人で行動するセシルは背後に穴がない場所に位置取っていく。
「穴を掘る理由が不明ですし、もし、穴同士が繋がっていれば、厄介ですね……」
セシルはカニが掘った穴について、懸念する。穴に卵や幼体が潜む危険はさすがに無いだろうとは考えていたが、穴が繋がっているなら、奇襲には十分注意したいと思っていた。
とはいえ、この穴はカニ型雑魔が1体入る程度の大きさでしかない。深さも同程度で、他の穴に繋がっているということはなさそうだ。
迫りくるカニに、セシルはスキルを……と考えたが、スキルの活性に難があったようで、やむなくファイアーボールで攻撃を仕掛ける。
ハンターの中で3人で仕掛けるチーム。
(とりあえず……)
切那が先陣を切り、めい、シェイスが切那のアシストを行う。
「頼むぜ? センパイさんよ」
シェイスの声を聞き、切那は軽く手をあげて応じる。
(孤立はしねー程度に……可能なら、3対1の状況が望ましいな)
切那はちらりと後ろを振り返る。シェイスは大船に乗ったような気持ちで見てくれていたし、めいは不安そうに言葉を発することなく、自分を見つめていたようだ。
(こっちが気引かせれりゃ、あいつらも気楽に好きに動けるだろ)
切那が動くと、カニ2体がつられてやってくる。それに合わせ、刹那に気を取られるカニの背後へとシェイスは移動していく。
真奈美、佳奈美の双子ペアも穴だらけの砂浜に気を付けながら、ほぼ固まって移動する。こちらには、1体のカニが狙いを定めていた。野生の瞳を使う姉、真奈美が盾役として受けに徹する構えのようである。
メンバーからやや遅れて歩いていたのは、雷蔵、アルティミシアペアだ。
「ねぇ、ボクと遊ぼうよ」
アルティミシアはフリーになっていたカニを挑発する。敵と見定めたそいつはかさかさと足を動かして近寄り、ハサミで殴りかかってきた。
「キミに恨みは無いんだけど……ボクの経験の為に……死んでね?」
始まる戦いに、アルティミシアは思わず緊張の為に身を硬直しかけてしまうが、その空気を楽しもうと考えを切り替えてリラックスしていたようである。
雷蔵はカニを前にし、首をゴキッと鳴らす。
「わいの強さにお前が泣いた!」
……なんてのうと、にやりと笑った雷蔵は敵の動きに注意しながらも、己の拳で殴りかかっていった。
●カニの始末を!
砂浜でそこかしこに掘り返された穴は、メンバーの動きを制限する。
それを、メンバー達はチームで、あるいはペアの相手と連携してフォローを試みていた。
カニに斬りかかる切那は、穴が比較的少ないところにまで下がっていく。
(流石に、でこぼこしすぎてる場所は向こうが有利だろうしな)
砂場の上では、ハンター達も満足には動きづらい。だからこそ、彼女はできる限り動きやすい場所へとカニおびき寄せていたのだ。
「背後ががら空き……じゃなきゃ、カニじゃねーよなぁ」
その背後を、シェイスが狙う。彼はマテリアルを篭め、さらにレイトから教えてもらった砂浜での移動法を合わせて、カニの後ろから迫っていたのだ。
シェイスはそのまま、バタフライナイフを振り回し、カニの甲羅に斬りかかる。
めいはいうと、やや距離を取りながらシェイスの援護すべく、彼の体を光で包んでいく。
(切那さんは強いと思っているので……)
実際、切那はあっさりとカニを追いつめていく。彼女の絡繰刀「一文字」は、見事にカニの鋏を斬り飛ばしていた。
「ま、愉しませてくれよ?」
にやりと笑う切那に、怒り狂ったカニはもう片方の鋏を叩き付けてきたのである。
こちらは、マナカナ双子ペア。
姉、真奈美は吹き付けられる泡にまみれながらも、それに耐える。
「はぅんっ♪ あはぁ、激しい蟹さんだねぇっ♪」
泡にまみれる水着姿の真奈美。艶めかしい声を上げる彼女は、カニすらも虜にしてしまう。
その後ろから、妹、佳奈美がアックスブレードを振るった。彼女は一撃を叩きこんだ後、敵が繰り出すハサミを華麗に避けつつ距離をまた取ろうとする。
代わるように再び真奈美が前に出て、野生の瞳を使いながら、防御に徹した。
それを見て、またも、後ろから佳奈美が飛び出す。剣形態、斧形態とアックスブレードを切り替え、それぞれの使い勝手を試しながら、カニに攻め入った。
防具もほぼ身に着けずに戦う2人。カニから食らうダメージも相当だったが、息のあった攻撃でそれをカバーしていたようだ。
真奈美は自らの傷を癒しながらも、くすりと笑ってカニへ告げる。
「お仕置きだよぉ♪」
姉の言葉に合わせ、またも佳奈美が飛び出す。洗練された動きで体をくねらせた彼女は斧形態のアックスブレードを力いっぱい振り下ろすと、カニの体が真っ二つになってしまった。
こちらは、3人でカニに当たるメンバー達。
瞬脚を使い、一気に仕掛けた切那が見事にカニの脳天から突きを繰り出すと、そいつは泡を吹いて崩れ去った。
「刹那さん、かっこいいです……」
あまりに鮮やかな戦い方に、めいは思わず見惚れてしまう。自分もあんなふうになれるかな、と。
ともあれ、まだ戦い慣れていないシェイスの援護をせねばとめいが振り返ると、シェイスの相手にしていたカニが近づいてきていた。
「おらよ、こっちだ!」
シェイスはめいから注意を引き離そうと、ナイフを投げつける。自慢の甲羅を貫かれたカニは、苛立ちながらシェイスへと鋏を振り回してきた。
アルティミシア、雷蔵は2人でカニへと攻め入る。
そこに、別のカニを相手にしていたセシルが、丁度2体のカニが直線状になるのを見はからって雷撃を一直線上に放つ。セシル自身の相手にしていたカニは焼け焦げて力尽きた。
シェイスの相手にしているカニも、もはや虫の息だった。
切那が腕を狙い、片方の鋏をまたも斬り飛ばす。そいつにナイフで甲羅に斬りかかっているシェイスを別の光で包み込む。抵抗力、そして、防御力を高めた彼は、バタフライナイフの刃をカニの腹の下から深々と突き刺す。
そいつは必死にもがいていたが、ついに力尽きて倒れてしまう。
アルティミシア、雷蔵の戦うカニも、攻撃の為でなく、弱ったことで泡を吹き始める。それをそのまま2人に向けて吹き付けるが、雷蔵はタイミングを見はからってマテリアルを活性化させ、その生命力を癒していく。
「たかが蟹風情が調子に乗っとるようやな。その殻、ぶち割って蟹鍋にしたろやないか」
雷蔵も手にするショートソードで斬撃を浴びせかけていく。殻全体にヒビが入ったカニは完全に弱っていたようだ。
逃げ出そうとカニ歩きを始めるカニ。それを、アルティミシアが移動力を高めて追いかける。そして、彼女のナイフがカニの内臓を貫いた。
「んー、ゴメンねは言わないよ。……でも、ありがとうって言っておくね」
その場から消えたカニ型雑魔へアルティミシアが言い放つ。良い経験になったと。
こうして、ハンター達は砂浜にいた全ての雑魔を狩り終えたのだった。
●海を見ながら穴埋めを
雑魔の体は元からなかったのように砂浜から消え失せていく。
「き、消えちゃった……」
「酒のつまみにゃ、ならないか」
その姿が消えた雑魔をめいはしばし見つめる。シェイス、雷蔵は、割と本気でカニを食べたいと考えていただけに、残念そうにしていたようだ。
そして、打ち寄せる波の音を聞きながら、メンバー達はカニが掘り返した穴を眺める。
「それにしてもぉ、如何して穴掘りをしてたのかなぁ~?」
穴埋めの為の道具が届くまで、水着姿のまま、穴を調べ始める真奈美。彼女は目を凝らしたり、超感覚を使って砂浜に異変がないかを調べる。
同じく妹も、穴の中に危険物がないかどうかを調査する。しかしながら、水着姿の2人はなんとも色っぽい。一般人がいたなら注目を浴びていたことだろう。
雷蔵もその穴を調べていたようだったが、とりわけ穴自体に何か特別な物があったわけではない。
セシルも改めて、穴を確認していたが、こちらもこれといった情報は得られなかったようだ。
「穴は……恐らく住居作りかね」
シェイスはそんな考えを持っていたようだったが、さほど興味を持ってはいない様子。
カニには穴を掘る習性があるという話はあるのだが、雑魔になった後でもその習性が残っていたのだろうか。
「ま、どうだっていいさ」
ともあれ、この穴を埋めるまでが仕事。シェイスもそうだが、ミネラルウォーターで喉を潤したセシルも、早速穴を埋め始める。
雑魔の討伐を知った依頼主も戻ってきて、穴を埋める為の道具を持ってきてくれていたのだ。
「めんどくせーけど、埋めるまでが仕事だしな」
刹那も汗を流しながらも、1つずつ穴を埋め始めていた。
「あ、海、いいなあ……。ちょっと入りたい、な……なんて」
目の前に海があるのに、入ることのできないもどかしさ。まだまだ遊びたい年頃のめいには、さぞ辛いことだろう。
とはいえ、めいはそれを我慢し、せっせせっせと穴を埋めていく。うっかり落ちないようにと気を付けながら……と思っているそばから、思わずつまずく彼女。なんとか体勢を立て直し、めいはほっと胸を撫で下ろす。
依頼人はさすがに冷やすのが間に合わないからと、冷えている別のビールを手にしてきた。そのビールも後で持ってくるとのこと。
「ササッと埋めてビールを飲んで……へっ、やる気が出るねぇ!」
シェイスは黄金の液体が体に巡るのを感じ、俄然仕事にやる気を見せる。
作業の合間にと、レイトは他のハンターに対しても、水や料理の差し入れも行う。
セシルは丁重に断っていたようだが、他のメンバーはありがたくそれを頂いていた。
レイトに、真奈美が汗まみれの体を見せつけつつ。
「ねぇねぇ、カナちゃん。終わったらぁ、三人でや……」
「何を馬鹿なこと言ってるのよ、この馬鹿姉は。砂場に埋めて処分した方がいいかしら」
佳奈美が、姉の口を遮る。その先はきっとここでは書けないので、ナイスアシスト。
「やぁん、酷いぃっ♪ あぁ、でもそれも良いかもぉっ♪」
「まったくもう……」
もっとも、この姉は埋められてもOKとか、かなりどうしようもない様子だが。
「……それは冗談としても、終わったら私達と遊びに行くのはどうかしら?」
くすりと笑う佳奈美に、レイトは思わずたじろぐ。
「それでぇ、この後ぉ――」
「イロイロ、楽しいコトしましょう……イロイロとね」
そんな佳奈美に、真奈美も合わせるようにして秋波を送る。色目を使わされたレイトは思わず喉をごくりとしてしまう。
メンバー達は浜辺でさわやかな汗をかき、そして、その後の一時も思い思いに堪能していた。
双子の姉妹にこれ以上なく絡まれてげんなりしていたレイトを除いて……。
依頼結果
依頼成功度 | 普通 |
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面白かった! | 6人 |
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 北条・真奈美(ka4064) 人間(リアルブルー)|21才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/07/10 13:33:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/08 19:27:27 |