ゲスト
(ka0000)
光に手をのばせ
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~8人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/14 19:00
- 完成日
- 2015/07/21 00:21
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●強襲
それは不意打ちだった。
ハンターたちは、同業者だと思ったその戦士達に、背後を襲われた。
あるものは攻撃されて倒れ、あるものは眠りの魔法をかけられた。意識を明滅とさせられたところに、強い眠り薬のようなものを飲まされ――ハンター全員は、昏倒した。
意識を失う直前に、自分たちを襲った戦士達の声が聞こえてきた。
『ここで殺さないのか』
『仕方ねえだろ。ここはまだ、普通の村だ。誰かがまたやってこないとも限らねえ』
『そうよ。やるなら慎重に。ね』
『アジトに連れて行った上で、別の仲間が追ってきたりしないことを確認してから始末するのが、正道だろうねぇ』
『だな! こいつらの所持品を検品するだけでも、時間がかかるし』
『……そうですね。殺してから物色するのでは、血で汚れて、たまりません』
『うんうん。仕事は、アジトでじっくりとが一番だよね!』
『ほっほ。何より、久しぶりの大物じゃからのう』
それは笑い声だった。
ハンターを騙った、下卑た盗賊団の――
●盗賊団
経緯は次の通りである。
ハンターたちは、山の雑魔退治を依頼された。その仕事自体は問題なく済み、村人は成果を喜んだ。
だがその後、ハンターたちは、念のためと捜索した近くの山で数匹の雑魔を発見。これをさらに退治した。
そうして探索するうちに、山奥の別の村に出た。
そこでひと息つくことにしようとしたのだったが――
この小さな村は、何者かに略奪されていた。村人は縄で縛られ、蔵からは物資が奪われている。
だけでなく、斬り殺された村人の死体もそこにはあり、略奪の激しさをうかがわせていた。
村人達は、フードを被った盗賊団のような者たちに襲われたと証言。ハンターたちは近くを調べることにした。
そしてハンターたちは、村の外れで自分たちと近い身なりをした戦士八人と遭遇。彼らは自分をハンターだと名乗り、依頼の関係で居合わせたのだと語った。
その直後だった。ハンターたちが、彼らに何らかの怪しさを感じたと同時……彼らはハンターを襲った。
●アジト
ハンターが目を覚ますと……そこは薄暗い室内だった。
狭く、木箱が敷き詰められた部屋で、窮屈だ。気付けばロープで身体を縛られており、唯一の出入口の扉は固く閉ざされている。
どうやら、ハンターを騙ったあの連中に拉致され、ここに閉じ込められているらしい。
這うように扉に近づいて、耳を澄ます。
『ちっ、見張りなんてうざってえな。さすがに、さっさと殺っちまっていいだろ』
『まーまーそう言わずに。奪った物資の整理もあるし。メインディッシュは最後にね!』
『つってもな。どうせ寝てんだぜ?』
あの戦士達の声が聞こえる。
話しているのは、こちら――ハンターのことらしい。
殺すつもりで連れてきたようだが、それにはまだ多少、間があるということ。しかし最後には確実に殺すつもりらしいことが聞き取れる。
そこでハンターは、いつかハンターオフィスで聞いたことのある情報を思い出す。
複数人の盗賊団が、村々を襲っている事件。かなりの実力があり、襲われた村はなすすべなく略奪されること。目撃者が少ないのは、多くが殺されるからだということ。
その一団の中に、自分たちは捕らえられたのだ。
●反乱
――ハンターは、急いで室内を見回す。
自分以外に、もう一人の仲間がいる。
他の六人は、それぞれ組に分けられて別の部屋に閉じ込められているようだ。
自らの装備を確認すると……武器は、奪われてしまっている。通信機に類するアイテムも、同様だ。
だが、賊も、まずは村から奪った物資の方に興味があったのか……それ以外の装備はそのままだ。手もわずかだが動くし、もう一人の仲間とならば口もきける。
向こうの想定よりも早く目を覚ましたということかも知れない。
ただ、厳しい状況に違いない。
数少ないアドバンテージ。居場所のわからない仲間。
この状態を、脱することが出来るか……いや、脱しなければならない。
一寸の光明に、手をのばせ。
それがハンターに突きつけられた現実だった。
それは不意打ちだった。
ハンターたちは、同業者だと思ったその戦士達に、背後を襲われた。
あるものは攻撃されて倒れ、あるものは眠りの魔法をかけられた。意識を明滅とさせられたところに、強い眠り薬のようなものを飲まされ――ハンター全員は、昏倒した。
意識を失う直前に、自分たちを襲った戦士達の声が聞こえてきた。
『ここで殺さないのか』
『仕方ねえだろ。ここはまだ、普通の村だ。誰かがまたやってこないとも限らねえ』
『そうよ。やるなら慎重に。ね』
『アジトに連れて行った上で、別の仲間が追ってきたりしないことを確認してから始末するのが、正道だろうねぇ』
『だな! こいつらの所持品を検品するだけでも、時間がかかるし』
『……そうですね。殺してから物色するのでは、血で汚れて、たまりません』
『うんうん。仕事は、アジトでじっくりとが一番だよね!』
『ほっほ。何より、久しぶりの大物じゃからのう』
それは笑い声だった。
ハンターを騙った、下卑た盗賊団の――
●盗賊団
経緯は次の通りである。
ハンターたちは、山の雑魔退治を依頼された。その仕事自体は問題なく済み、村人は成果を喜んだ。
だがその後、ハンターたちは、念のためと捜索した近くの山で数匹の雑魔を発見。これをさらに退治した。
そうして探索するうちに、山奥の別の村に出た。
そこでひと息つくことにしようとしたのだったが――
この小さな村は、何者かに略奪されていた。村人は縄で縛られ、蔵からは物資が奪われている。
だけでなく、斬り殺された村人の死体もそこにはあり、略奪の激しさをうかがわせていた。
村人達は、フードを被った盗賊団のような者たちに襲われたと証言。ハンターたちは近くを調べることにした。
そしてハンターたちは、村の外れで自分たちと近い身なりをした戦士八人と遭遇。彼らは自分をハンターだと名乗り、依頼の関係で居合わせたのだと語った。
その直後だった。ハンターたちが、彼らに何らかの怪しさを感じたと同時……彼らはハンターを襲った。
●アジト
ハンターが目を覚ますと……そこは薄暗い室内だった。
狭く、木箱が敷き詰められた部屋で、窮屈だ。気付けばロープで身体を縛られており、唯一の出入口の扉は固く閉ざされている。
どうやら、ハンターを騙ったあの連中に拉致され、ここに閉じ込められているらしい。
這うように扉に近づいて、耳を澄ます。
『ちっ、見張りなんてうざってえな。さすがに、さっさと殺っちまっていいだろ』
『まーまーそう言わずに。奪った物資の整理もあるし。メインディッシュは最後にね!』
『つってもな。どうせ寝てんだぜ?』
あの戦士達の声が聞こえる。
話しているのは、こちら――ハンターのことらしい。
殺すつもりで連れてきたようだが、それにはまだ多少、間があるということ。しかし最後には確実に殺すつもりらしいことが聞き取れる。
そこでハンターは、いつかハンターオフィスで聞いたことのある情報を思い出す。
複数人の盗賊団が、村々を襲っている事件。かなりの実力があり、襲われた村はなすすべなく略奪されること。目撃者が少ないのは、多くが殺されるからだということ。
その一団の中に、自分たちは捕らえられたのだ。
●反乱
――ハンターは、急いで室内を見回す。
自分以外に、もう一人の仲間がいる。
他の六人は、それぞれ組に分けられて別の部屋に閉じ込められているようだ。
自らの装備を確認すると……武器は、奪われてしまっている。通信機に類するアイテムも、同様だ。
だが、賊も、まずは村から奪った物資の方に興味があったのか……それ以外の装備はそのままだ。手もわずかだが動くし、もう一人の仲間とならば口もきける。
向こうの想定よりも早く目を覚ましたということかも知れない。
ただ、厳しい状況に違いない。
数少ないアドバンテージ。居場所のわからない仲間。
この状態を、脱することが出来るか……いや、脱しなければならない。
一寸の光明に、手をのばせ。
それがハンターに突きつけられた現実だった。
リプレイ本文
●強襲
目を覚ました来未 結(ka4610)は、自分をのぞき込むミューレ(ka4567)の姿を見た。
「結……!」
ミューレは安堵した表情を浮かべている。
薄暗い幽閉部屋の中を見回し、結は状況を理解した。
襲われた時の事を思い出し、身震いをする。でも――それよりも目の前に大切な人がいるのが嬉しかった。
「ミューレさん。無事でよかったぁ……」
「結こそ……無事で……無事でよかった」
ミューレは魔法で自分のロープを切り、結のロープを解いた。確と、結を抱きしめる。
「怖い思いをさせて、ごめんね」
「そんなこと。ミューレさんが、いてくれるなら……」
ミューレは結のタリスマンを握らせる。その感触と、ミューレの温もりが、結を落ち着かせた。
それから二人は見合って、頷いた。結の魔法で傷を癒すと――扉の外を見る。
やることは一つ、脱出だ。
「近くに仲間がいる。何とか協力して、ここを抜け出すんだ」
ミューレは感覚で周囲の状況を把握し……そして、結を見た。
「結、君を必ず助ける。だから、僕に力を貸して」
恐怖はあった。でも大切な人を護る戦いはきっと間違いじゃない。だから結はこくり、と頷いた。
「もちろんですっ。私も――戦いますっ」
「なるほど――二人ずつに分断された上で幽閉、ですか」
狭い部屋の中、意識を取り戻した榊 刑部(ka4727)は、小さく息をつく。自分達を取り巻く状況は、既に掴んでいる。
「……不覚を取りましたね」
「本当ですよー。その上拘束までされて。このまま殺されるなんていやですよー」
三日月 壱(ka0244)は、縄に苦心しつつも……表情の裏に何か、狩人のようなものを匂わせている。
まずはここを脱出し――それから奴らをどうしてやろうか、と。
「ともかく、一矢なりと報いるためにも、部屋を出ましょう」
刑部の言葉に頷き、壱は刑部と協力して、まずは拘束を解くことを試みる。
だが、後ろ手に縛られた状態では簡単でなかった。そこで装備品の角などを使って切断を目指すが、それも一瞬で、とはいかない。
「……向こうも多少は手慣れた賊。そう楽にはいきませんか……」
「でも、あんまり悠長にもしてられない感じですねー。別の部屋にいる仲間が動き出してるみたいです」
壱は超聴覚で別の部屋の仲間の動きを聞き取っていた。
その仲間は今まさに、脱出のチャンスをうかがっている。
この機は逃すべきではない。
判断した壱は……そこで声を上げた。
『出してくださいよー! 僕達が何をしたというんですかー!』
廊下で見張っていた盗賊――機導師の男と舞刀士の女は顔をしかめて扉に近づいた。
「何だ、睡眠薬の量を間違えたのかい? もう目覚めたのか」
「しかし、ずいぶんうるさいのがいるみたいね。……ちょっと、静かにしなさいよ。殺すわよ」
舞刀士の声に、それでも壱の声は消えない。
『ふええーん! 怖いこと言わないでくださいー!』
イラッとして舞刀士が、剣を手に扉を開けたところで――
「残念でしたね」
目が合った刑部が言った。えっ……と機導師が反応し損ねたところで。
ばん、と反対側の扉――ミューレ達の部屋が開いた。
「な――」
ミューレが、ひと息に飛び出す。スリープクラウドを放ち、舞刀士の意識を奪った。
「狐ッ! くっ、貴様らァ……っ」
「させませんっ!」
構える機導師へ、結がホーリーライトを発現。光の弾を正面から命中させた。
それでも踏みとどまり、機導師が機導砲を撃つ。ミューレにヒットするが……そのときには刑部が自らの拘束を解いていた。
刑部が後ろからタックルし、機導師は転倒。反抗しようとする機導師のそばに……壱が立っていた。
「いい声出してみろよ?」
霊魔撃で一撃。腹を蹴られた機導師は、ぐぅ……と気絶した。四人は賊二人を縛り上げ、装備を奪う。ミューレはそのまま二人を幽閉部屋へ入れた。
「お返しだよ。反省しなさい」
●反乱
幽閉部屋は小さく、圧迫するような造りだ。
「扉以外に逃げ場はない――わね」
八原 篝(ka3104)は見回す。目覚めてすぐ、自分が危機の中にいると察知していた。
八原から周囲の状況を聞き及んだ恙祓 篝(ka5138)は、拘束状態のまま、ため息をつく。
「……あ~くそ。地球じゃ考えられないよな、これ」
「……そうね」
本当に、と八原は呟いた。恙祓は少々まじめな表情になって言う。
「平和ボケっていうか、まだこっちのこういう荒事に慣れてないんだろうな……」
それでも空腹を感じる程度のマイペースさは、恙祓にはまだ残っていたが。
気を取り直し、互いに縄を解こうとした。だが背中合わせで解くのは、難しかった。
「……待ってて」
八原は考えた挙げ句……寝転がるように牛乳ビンを出し、マントで包んだ上で体重をかけ、割った。
ビンの破片。後に武器にするつもりだった、即席のナイフだ。それで二人の縄を切った。
「ありがとうな。さて、どうするか――」
恙祓が扉から外の様子をうかがったところで――突如、大きな声がつんざいた。
狭い幽閉部屋で目覚めた李 香月(ka3948)は、縛られた状態で身じろぎしていた。
「むむ……武器が根こそぎ奪われてるアル」
横たわったままに、難しい表情を浮かべる。すぐに状況を把握できた分、難局であることもわかってしまっていた。
「……でも遠くない場所に仲間はいるみたいだし、協力すれば何とかなりそうアル……聞いてるアルか、トミヲさん?」
「落ち着け僕よ、落ち着くんだ。落ち着――駄目だ緊張で死にたい」
同じ部屋に閉じ込められる水流崎トミヲ(ka4852)は、冷や汗を流しながら、背を向けていた。既に消耗したような顔になっている。
「目が覚めたら牢獄できゃわいい女の子と二人っきり、だと……こんな状況、僕のDT力ではとうてい対処できないよ――」
「トミヲさん……よくわからないこと言ってないで助けて欲しいアルよ……?」
「わ、わかってるとも」
トミヲはドキドキしつつ香月の方を向いた。
「だだだだ大丈夫さ、紳士的にやるから……」
ウインドスラッシュで縄を切り、自由になった二人は……そのあと、演技で敵の注意を引く作戦を考えたのだった。
『ギョェェェェッ!? なな何で女の子と同室なのさっ!? 男女七歳にして云々て言葉はどうしたんだよぉぉッ!?』
『ぐすっ……頼もしい男性と一緒でよかったアルー!』
そうして聞こえてきた声に恙祓は驚く。
「あれは水流崎さん達の声か……気を引く演技、にしては妙に魂が籠もってるような気もするけど……」
だが、結果的に外の足音も動いていた。
好機と見て、恙祓は即座に解錠。廊下に飛び出た。
「何ッ! てめぇら、どうやって――」
見張りの盗賊――霊闘士がそれに気付く。もう一人の魔術師も驚いた。
「わっ、早くそいつらを閉じ込めないと――」
そこで、扉がみしっと音を立てる。内側からの、トミヲのウォーターシュートだ。次いで香月の蹴りで、扉は破壊。魔術師を巻き込んで転倒させた。
霊闘士は戦闘態勢に入るが……同時、八原が低い姿勢から駆けていた。
霊闘士は武器がある。ここでしくじれない、と八原は思った。
自分は地球に帰りたい。ここで殺されるのは、嫌だ。なら何をすればいい? と。
「……何だって、してやる」
八原は躊躇なく――ナイフを霊闘士に刺した。
「ぐ……!」
血が滲む。が、霊闘士はまだ生きていた。反撃しようとする霊闘士を、しかし恙祓が背後から捕らえた。
「悪い。殺したくないから、ちと黙れよ」
霊闘士は頭を垂れた。
一方、起き上がる魔術師には香月が迫っていた。
「セイッ!」
体重を乗せ、足技で背骨を破壊しに行く。元のダメージもあって、魔術師は泡を吹いて意識を失った。
四人は賊二人を拘束した。
「これでお互い様。悪く思わないでよね」
八原と共に、トミヲも霊闘士を見下ろす。
「じゃあ、僕らが知りたいことについて。話すか死ぬか。選びなよ」
●脱出
「森の中の野原に作ったアジト、ね……」
八原は周りを見回す。東棟から出た四人が見たのは、夜の野原だった。現状は静かで、少し離れた西側に同じ形の棟がある。
と、ちょうどその西棟から四人の仲間が向かってきた。
「皆さん、御無事でしたか。……こちらは、見張りを拘束しました」
刑部が警戒しながら小声を使う。東側四人はほっとして出迎えた。
「こっちも捕らえて、少しばかり話を聞いたよ」
トミヲがにやりと微笑む。既に尋問で、南北の状態は把握していた。
今からやることは一つ――反撃だ。
「傷の手当をさせて頂きますね」
結がぎゅっと胸の前で手を合わせ、魔法で皆の傷を癒した。
「結、ありがとう」
ミューレが優しく応えると、結はえへへ、と笑みを浮かべる。
「それじゃあ、行きましょうか!」
壱はさわやかな顔で言いつつも、心で悪魔のような笑いを作っていた。
(さぁて、どうやってやつらの余裕を奪って、『絶望に慄く』顔にしてやろうかぁ……考えただけでも身震いがしてくるぜぇ!)
八人は北の小屋へ移動した。情報通り、敵はいない。
奪った武器を装備しつつ、恙祓が警戒役を買って出る。
「よし、さっさと開けちまってくれ」
ミューレ達は頷き、解錠道具で解放した。
香月が先頭になって踏み込むと――わっと声を上げた。
「ペットはみんな無事アルね!」
パルムや馬。ひとところに押し込められた全員のペットがそこにいた。馬を連れ戻す香月を筆頭に、皆がペットを後ろに連れると――
八原とミューレは小さく頷き合う。
空になった小屋に、ランタンの油を撒き――着火。小屋を赤々と燃え上がらせた。
刑部が冷静に南への進路をたどりはじめる。
「ここから、速度の勝負ですね。急ぎましょう」
ハンター達はそのまま南へ周り――木立に隠れた。
蔵の前では、ちょうど盗賊達が北の火事に気付きはじめているところだった。
『何じゃ、あれは……!』
『北には誰もいないはずでは? まさか……』
そこでリーダー格らしい男が命令する。
『俺は小屋へ行く。お前らはハンターどもの様子を確認してこい』
蔵には、闘狩人の男一人が残った。
それも、想定済みのことだ。全員で行ってもよかったが、ここは壱が出ることになった。
不意に闇から出てきた壱に――闘狩人は剣を構えた。
「あっ! おめえ、ハンターだろ、いつの間に脱走しやがって――」
「た、助けて……こ、殺さないで……」
「あん?」
壱はガタガタと震える。実際、壱は武器を全く装備していないので、闘狩人は一瞬、油断した。
その隙があれば、充分だった。
「……なぁーんてなぁ! バーカ!」
壱はぼごっ、と霊魔撃を腹に打ち込んだ。
「武器がなくても使えるスキルはあるんだよ! 一つ賢くなったかぁ?」
ぐぅ、とうめく闘狩人。反撃をしようとするが――そこに香月が現れて、中国武術は八卦掌の動きで一撃。気絶させるに至った。
その間に、皆が蔵を開けていた。各自、装備の奪還に成功する。
「これで、五分には持ち込めた、か」
銃とグローブを装備した八原が一瞬だけ息をつく――
そのときに、複数の敵影が、闇から現れた。
●制圧
「派手にやってくれたようだな」
首領の疾影士が、剣を向けて立っている。
だけでなく、猟撃士と聖導士――さらには、幽閉小屋に閉じ込めていたうち、魔術師以外の三人もそこにいた。治療を受けて回復したらしい。
彼らには殺意が充満していた。
「うーん……見張り全員をきっちり重傷まで追い込んでおくべきだったかなぁ」
トミヲが腕を組むと、疾影士は静かに睨んだ。
「……奪われる側が。舐めるなよ」
「いつでも自分達は奪う側、ですか。歪んだ正義……いや、ただの思い込みですね」
刑部の言葉に、盗賊は色めき立つ。
結が、少しその様子を見て怖がる。ミューレは寄り添うように声をかけた。
「結。平気かい?」
「……はい」
その声に深く息を吐き――まっすぐ見据えた。
「覚悟は……出来ています!」
敵が動き出す――それよりも早く、結は光を生む。ホーリーライトが空を裂き、舞刀士に命中した。全快でなかったのだろう、舞刀士は一撃で倒れる。
「何――」
驚いた機導師を、ミューレが狙っていた。風の刃――ウインドスラッシュで切り刻むと、こちらも一撃で機導師をやっつけた。
ちっ、と霊闘士が焦るように駆けてくる――が、ミューレ達の陰から、恙祓が飛び出ていた。
納刀の構えから、居合で疾風剣を放つ。ずおっ! 間合いを詰めての鋭い斬撃に、霊闘士も早々と気を失った。
「何だと――!」
「こやつら……!」
盗賊達が驚愕の顔に染まってゆく。恙祓は剣を突きつける。
「どうした。正面から戦う事は想定してなかったのか?」
「うん。そうに違いないですよ。……おら、違うってんなら、汚い手を使わないで勝ってみろよ」
壱が続けると、盗賊達はみるみる顔に怒りを浮かべていった。
そこを、八原が銃で狙っていた。
「感情ばかりあらわにして――二流のやることよ」
ターゲッティングでの、的確な射撃。ぼすっ、と肩口を撃ち抜かれた聖導士はたたらを踏む。
そこにトミヲも、魔法を発現。
「漲れ! 僕の童貞魔力ゥ!!」
ウインドスラッシュを放ち――ざざざっ! と傷をさらに抉り込み、聖導士を気絶させた。
猟撃士が銃でこちらを狙っていたが……香月がそこに素速く接近している。フィストガードで威力を高めた拳で、一撃。急所を打って大ダメージを与える。
「賊なんかに負けないアルよ!」
「これで倒れていてもらいましょう」
刑部がそこに追随。呼吸を整えつつ、電光石火の苛烈な剣撃を叩き込んだ。袈裟懸けに深い斬撃を受けた猟撃士は、血を流して意識を飛ばした。
残る疾影士は恐れを浮かべ……信じられないという表情になる。
「俺ら盗賊団が、貴様らのようなものに――!」
「だから逆だって。お前らみたいな奴らに、ハンターはやられねえよ」
壱が霊魔撃を疾影士に打ち込む。ぐ、とうめく疾影士が反撃をする前に――刑部が迫っていた。
「最後には、私達の方が強かった。それだけのことでしょう」
逃げ道を断ち、一閃。太刀での強烈な一撃を受け、疾影士は倒れた。
盗賊は、全滅した。
「とはいえ……二度とこのような不覚を取らぬように、更なる修行が必要ですね」
刑部は冷静に言って、太刀を収めた。
――八人は盗賊をまとめて拘束した。
八原はその最中、少しだけ気が抜けたように――人の血に染まった自分の手を見下ろした。殺しはしなかった。けれど人を刺し、撃った。
ただそれも短い時間。すぐに、作業に戻った。
「だぁーっと! 何かシリアス続きで俺らしくなかったな!」
恙祓が両頬を叩いて気合いを入れ直す。そうして賊の頭を見下ろして……にや、と微笑んだ。
盗賊は官憲に捕らえられる事になったのだが……。
引き渡された賊は、なぜか全員、頭が丸刈りに剃られていたという。
目を覚ました来未 結(ka4610)は、自分をのぞき込むミューレ(ka4567)の姿を見た。
「結……!」
ミューレは安堵した表情を浮かべている。
薄暗い幽閉部屋の中を見回し、結は状況を理解した。
襲われた時の事を思い出し、身震いをする。でも――それよりも目の前に大切な人がいるのが嬉しかった。
「ミューレさん。無事でよかったぁ……」
「結こそ……無事で……無事でよかった」
ミューレは魔法で自分のロープを切り、結のロープを解いた。確と、結を抱きしめる。
「怖い思いをさせて、ごめんね」
「そんなこと。ミューレさんが、いてくれるなら……」
ミューレは結のタリスマンを握らせる。その感触と、ミューレの温もりが、結を落ち着かせた。
それから二人は見合って、頷いた。結の魔法で傷を癒すと――扉の外を見る。
やることは一つ、脱出だ。
「近くに仲間がいる。何とか協力して、ここを抜け出すんだ」
ミューレは感覚で周囲の状況を把握し……そして、結を見た。
「結、君を必ず助ける。だから、僕に力を貸して」
恐怖はあった。でも大切な人を護る戦いはきっと間違いじゃない。だから結はこくり、と頷いた。
「もちろんですっ。私も――戦いますっ」
「なるほど――二人ずつに分断された上で幽閉、ですか」
狭い部屋の中、意識を取り戻した榊 刑部(ka4727)は、小さく息をつく。自分達を取り巻く状況は、既に掴んでいる。
「……不覚を取りましたね」
「本当ですよー。その上拘束までされて。このまま殺されるなんていやですよー」
三日月 壱(ka0244)は、縄に苦心しつつも……表情の裏に何か、狩人のようなものを匂わせている。
まずはここを脱出し――それから奴らをどうしてやろうか、と。
「ともかく、一矢なりと報いるためにも、部屋を出ましょう」
刑部の言葉に頷き、壱は刑部と協力して、まずは拘束を解くことを試みる。
だが、後ろ手に縛られた状態では簡単でなかった。そこで装備品の角などを使って切断を目指すが、それも一瞬で、とはいかない。
「……向こうも多少は手慣れた賊。そう楽にはいきませんか……」
「でも、あんまり悠長にもしてられない感じですねー。別の部屋にいる仲間が動き出してるみたいです」
壱は超聴覚で別の部屋の仲間の動きを聞き取っていた。
その仲間は今まさに、脱出のチャンスをうかがっている。
この機は逃すべきではない。
判断した壱は……そこで声を上げた。
『出してくださいよー! 僕達が何をしたというんですかー!』
廊下で見張っていた盗賊――機導師の男と舞刀士の女は顔をしかめて扉に近づいた。
「何だ、睡眠薬の量を間違えたのかい? もう目覚めたのか」
「しかし、ずいぶんうるさいのがいるみたいね。……ちょっと、静かにしなさいよ。殺すわよ」
舞刀士の声に、それでも壱の声は消えない。
『ふええーん! 怖いこと言わないでくださいー!』
イラッとして舞刀士が、剣を手に扉を開けたところで――
「残念でしたね」
目が合った刑部が言った。えっ……と機導師が反応し損ねたところで。
ばん、と反対側の扉――ミューレ達の部屋が開いた。
「な――」
ミューレが、ひと息に飛び出す。スリープクラウドを放ち、舞刀士の意識を奪った。
「狐ッ! くっ、貴様らァ……っ」
「させませんっ!」
構える機導師へ、結がホーリーライトを発現。光の弾を正面から命中させた。
それでも踏みとどまり、機導師が機導砲を撃つ。ミューレにヒットするが……そのときには刑部が自らの拘束を解いていた。
刑部が後ろからタックルし、機導師は転倒。反抗しようとする機導師のそばに……壱が立っていた。
「いい声出してみろよ?」
霊魔撃で一撃。腹を蹴られた機導師は、ぐぅ……と気絶した。四人は賊二人を縛り上げ、装備を奪う。ミューレはそのまま二人を幽閉部屋へ入れた。
「お返しだよ。反省しなさい」
●反乱
幽閉部屋は小さく、圧迫するような造りだ。
「扉以外に逃げ場はない――わね」
八原 篝(ka3104)は見回す。目覚めてすぐ、自分が危機の中にいると察知していた。
八原から周囲の状況を聞き及んだ恙祓 篝(ka5138)は、拘束状態のまま、ため息をつく。
「……あ~くそ。地球じゃ考えられないよな、これ」
「……そうね」
本当に、と八原は呟いた。恙祓は少々まじめな表情になって言う。
「平和ボケっていうか、まだこっちのこういう荒事に慣れてないんだろうな……」
それでも空腹を感じる程度のマイペースさは、恙祓にはまだ残っていたが。
気を取り直し、互いに縄を解こうとした。だが背中合わせで解くのは、難しかった。
「……待ってて」
八原は考えた挙げ句……寝転がるように牛乳ビンを出し、マントで包んだ上で体重をかけ、割った。
ビンの破片。後に武器にするつもりだった、即席のナイフだ。それで二人の縄を切った。
「ありがとうな。さて、どうするか――」
恙祓が扉から外の様子をうかがったところで――突如、大きな声がつんざいた。
狭い幽閉部屋で目覚めた李 香月(ka3948)は、縛られた状態で身じろぎしていた。
「むむ……武器が根こそぎ奪われてるアル」
横たわったままに、難しい表情を浮かべる。すぐに状況を把握できた分、難局であることもわかってしまっていた。
「……でも遠くない場所に仲間はいるみたいだし、協力すれば何とかなりそうアル……聞いてるアルか、トミヲさん?」
「落ち着け僕よ、落ち着くんだ。落ち着――駄目だ緊張で死にたい」
同じ部屋に閉じ込められる水流崎トミヲ(ka4852)は、冷や汗を流しながら、背を向けていた。既に消耗したような顔になっている。
「目が覚めたら牢獄できゃわいい女の子と二人っきり、だと……こんな状況、僕のDT力ではとうてい対処できないよ――」
「トミヲさん……よくわからないこと言ってないで助けて欲しいアルよ……?」
「わ、わかってるとも」
トミヲはドキドキしつつ香月の方を向いた。
「だだだだ大丈夫さ、紳士的にやるから……」
ウインドスラッシュで縄を切り、自由になった二人は……そのあと、演技で敵の注意を引く作戦を考えたのだった。
『ギョェェェェッ!? なな何で女の子と同室なのさっ!? 男女七歳にして云々て言葉はどうしたんだよぉぉッ!?』
『ぐすっ……頼もしい男性と一緒でよかったアルー!』
そうして聞こえてきた声に恙祓は驚く。
「あれは水流崎さん達の声か……気を引く演技、にしては妙に魂が籠もってるような気もするけど……」
だが、結果的に外の足音も動いていた。
好機と見て、恙祓は即座に解錠。廊下に飛び出た。
「何ッ! てめぇら、どうやって――」
見張りの盗賊――霊闘士がそれに気付く。もう一人の魔術師も驚いた。
「わっ、早くそいつらを閉じ込めないと――」
そこで、扉がみしっと音を立てる。内側からの、トミヲのウォーターシュートだ。次いで香月の蹴りで、扉は破壊。魔術師を巻き込んで転倒させた。
霊闘士は戦闘態勢に入るが……同時、八原が低い姿勢から駆けていた。
霊闘士は武器がある。ここでしくじれない、と八原は思った。
自分は地球に帰りたい。ここで殺されるのは、嫌だ。なら何をすればいい? と。
「……何だって、してやる」
八原は躊躇なく――ナイフを霊闘士に刺した。
「ぐ……!」
血が滲む。が、霊闘士はまだ生きていた。反撃しようとする霊闘士を、しかし恙祓が背後から捕らえた。
「悪い。殺したくないから、ちと黙れよ」
霊闘士は頭を垂れた。
一方、起き上がる魔術師には香月が迫っていた。
「セイッ!」
体重を乗せ、足技で背骨を破壊しに行く。元のダメージもあって、魔術師は泡を吹いて意識を失った。
四人は賊二人を拘束した。
「これでお互い様。悪く思わないでよね」
八原と共に、トミヲも霊闘士を見下ろす。
「じゃあ、僕らが知りたいことについて。話すか死ぬか。選びなよ」
●脱出
「森の中の野原に作ったアジト、ね……」
八原は周りを見回す。東棟から出た四人が見たのは、夜の野原だった。現状は静かで、少し離れた西側に同じ形の棟がある。
と、ちょうどその西棟から四人の仲間が向かってきた。
「皆さん、御無事でしたか。……こちらは、見張りを拘束しました」
刑部が警戒しながら小声を使う。東側四人はほっとして出迎えた。
「こっちも捕らえて、少しばかり話を聞いたよ」
トミヲがにやりと微笑む。既に尋問で、南北の状態は把握していた。
今からやることは一つ――反撃だ。
「傷の手当をさせて頂きますね」
結がぎゅっと胸の前で手を合わせ、魔法で皆の傷を癒した。
「結、ありがとう」
ミューレが優しく応えると、結はえへへ、と笑みを浮かべる。
「それじゃあ、行きましょうか!」
壱はさわやかな顔で言いつつも、心で悪魔のような笑いを作っていた。
(さぁて、どうやってやつらの余裕を奪って、『絶望に慄く』顔にしてやろうかぁ……考えただけでも身震いがしてくるぜぇ!)
八人は北の小屋へ移動した。情報通り、敵はいない。
奪った武器を装備しつつ、恙祓が警戒役を買って出る。
「よし、さっさと開けちまってくれ」
ミューレ達は頷き、解錠道具で解放した。
香月が先頭になって踏み込むと――わっと声を上げた。
「ペットはみんな無事アルね!」
パルムや馬。ひとところに押し込められた全員のペットがそこにいた。馬を連れ戻す香月を筆頭に、皆がペットを後ろに連れると――
八原とミューレは小さく頷き合う。
空になった小屋に、ランタンの油を撒き――着火。小屋を赤々と燃え上がらせた。
刑部が冷静に南への進路をたどりはじめる。
「ここから、速度の勝負ですね。急ぎましょう」
ハンター達はそのまま南へ周り――木立に隠れた。
蔵の前では、ちょうど盗賊達が北の火事に気付きはじめているところだった。
『何じゃ、あれは……!』
『北には誰もいないはずでは? まさか……』
そこでリーダー格らしい男が命令する。
『俺は小屋へ行く。お前らはハンターどもの様子を確認してこい』
蔵には、闘狩人の男一人が残った。
それも、想定済みのことだ。全員で行ってもよかったが、ここは壱が出ることになった。
不意に闇から出てきた壱に――闘狩人は剣を構えた。
「あっ! おめえ、ハンターだろ、いつの間に脱走しやがって――」
「た、助けて……こ、殺さないで……」
「あん?」
壱はガタガタと震える。実際、壱は武器を全く装備していないので、闘狩人は一瞬、油断した。
その隙があれば、充分だった。
「……なぁーんてなぁ! バーカ!」
壱はぼごっ、と霊魔撃を腹に打ち込んだ。
「武器がなくても使えるスキルはあるんだよ! 一つ賢くなったかぁ?」
ぐぅ、とうめく闘狩人。反撃をしようとするが――そこに香月が現れて、中国武術は八卦掌の動きで一撃。気絶させるに至った。
その間に、皆が蔵を開けていた。各自、装備の奪還に成功する。
「これで、五分には持ち込めた、か」
銃とグローブを装備した八原が一瞬だけ息をつく――
そのときに、複数の敵影が、闇から現れた。
●制圧
「派手にやってくれたようだな」
首領の疾影士が、剣を向けて立っている。
だけでなく、猟撃士と聖導士――さらには、幽閉小屋に閉じ込めていたうち、魔術師以外の三人もそこにいた。治療を受けて回復したらしい。
彼らには殺意が充満していた。
「うーん……見張り全員をきっちり重傷まで追い込んでおくべきだったかなぁ」
トミヲが腕を組むと、疾影士は静かに睨んだ。
「……奪われる側が。舐めるなよ」
「いつでも自分達は奪う側、ですか。歪んだ正義……いや、ただの思い込みですね」
刑部の言葉に、盗賊は色めき立つ。
結が、少しその様子を見て怖がる。ミューレは寄り添うように声をかけた。
「結。平気かい?」
「……はい」
その声に深く息を吐き――まっすぐ見据えた。
「覚悟は……出来ています!」
敵が動き出す――それよりも早く、結は光を生む。ホーリーライトが空を裂き、舞刀士に命中した。全快でなかったのだろう、舞刀士は一撃で倒れる。
「何――」
驚いた機導師を、ミューレが狙っていた。風の刃――ウインドスラッシュで切り刻むと、こちらも一撃で機導師をやっつけた。
ちっ、と霊闘士が焦るように駆けてくる――が、ミューレ達の陰から、恙祓が飛び出ていた。
納刀の構えから、居合で疾風剣を放つ。ずおっ! 間合いを詰めての鋭い斬撃に、霊闘士も早々と気を失った。
「何だと――!」
「こやつら……!」
盗賊達が驚愕の顔に染まってゆく。恙祓は剣を突きつける。
「どうした。正面から戦う事は想定してなかったのか?」
「うん。そうに違いないですよ。……おら、違うってんなら、汚い手を使わないで勝ってみろよ」
壱が続けると、盗賊達はみるみる顔に怒りを浮かべていった。
そこを、八原が銃で狙っていた。
「感情ばかりあらわにして――二流のやることよ」
ターゲッティングでの、的確な射撃。ぼすっ、と肩口を撃ち抜かれた聖導士はたたらを踏む。
そこにトミヲも、魔法を発現。
「漲れ! 僕の童貞魔力ゥ!!」
ウインドスラッシュを放ち――ざざざっ! と傷をさらに抉り込み、聖導士を気絶させた。
猟撃士が銃でこちらを狙っていたが……香月がそこに素速く接近している。フィストガードで威力を高めた拳で、一撃。急所を打って大ダメージを与える。
「賊なんかに負けないアルよ!」
「これで倒れていてもらいましょう」
刑部がそこに追随。呼吸を整えつつ、電光石火の苛烈な剣撃を叩き込んだ。袈裟懸けに深い斬撃を受けた猟撃士は、血を流して意識を飛ばした。
残る疾影士は恐れを浮かべ……信じられないという表情になる。
「俺ら盗賊団が、貴様らのようなものに――!」
「だから逆だって。お前らみたいな奴らに、ハンターはやられねえよ」
壱が霊魔撃を疾影士に打ち込む。ぐ、とうめく疾影士が反撃をする前に――刑部が迫っていた。
「最後には、私達の方が強かった。それだけのことでしょう」
逃げ道を断ち、一閃。太刀での強烈な一撃を受け、疾影士は倒れた。
盗賊は、全滅した。
「とはいえ……二度とこのような不覚を取らぬように、更なる修行が必要ですね」
刑部は冷静に言って、太刀を収めた。
――八人は盗賊をまとめて拘束した。
八原はその最中、少しだけ気が抜けたように――人の血に染まった自分の手を見下ろした。殺しはしなかった。けれど人を刺し、撃った。
ただそれも短い時間。すぐに、作業に戻った。
「だぁーっと! 何かシリアス続きで俺らしくなかったな!」
恙祓が両頬を叩いて気合いを入れ直す。そうして賊の頭を見下ろして……にや、と微笑んだ。
盗賊は官憲に捕らえられる事になったのだが……。
引き渡された賊は、なぜか全員、頭が丸刈りに剃られていたという。
依頼結果
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依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 八原 篝(ka3104) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/07/14 02:40:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/12 17:20:00 |