ゲスト
(ka0000)
新人歓迎!ゴブリンへの道
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/20 19:00
- 完成日
- 2015/07/28 02:52
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
同盟領の農耕推進地域、ジェオルジでのお話。
人里離れた森の中の道を、数人の男たちが歩いていた。道は狭く、雑草などが目立つ。
「あーあー、やっぱり荒れてやがる」
ぱしん、と手にした鉈で道にせり出す低木の枝を落としつつ、先頭を歩く者がぼやいた。
「昔はこの道を抜けて行商人も結構やって来てたんだがなぁ……」
後続の男も反対側の邪魔な枝を切りつつ応じる。
「まあ、大量輸送には向かない道だし、ここを通る商人がいなくなっても不思議じゃない」
いわんや旅人なぞ、とさらに別の者。
どうやら昔は抜け道として活用されていたようだが、もともと長い森を抜けるうえ両端を結ぶ村と村は交流も乏しく生活基盤を共有しているなどということもない。日常的に里山管理される、比較的両村に近い部分は手入れもされたが、長い道の中間部分までは手が届かない。何せ村から村まで一日。半日仕事で戻ってこれない状態なので無理もない。
さりとて、放置もできない。
理由は簡単で、荒れた場所から荒れ始めるから。
荒れれば人に害をなす動物も出没しよう。放置できない事情はここにある。
こうして今、片方の村人が重い腰を上げ数人で作業しているというわけだ。
「しかし、顔を見なくなった行商人も多いよな」
「そうだな。願わくば、病気なんかじゃなく元気にしとればええが」
そんな話をしつつ、道づくり。
その時だった!
「あれ?」
先頭の男が気付いた。
「……なんか、荒れてた道がすっかり良くなってないか?」
「そういえば、いつの間に……」
気付けば、道にせり出す枝などがなくなっていた。
足元も下生えが踏み締められているようではある。
これまで荒れていたのに、と顔を見合わせた。おかしな現象である。
「あっちの村のモンがやってくれたんかの?」
「まさか。ここはまだ中間点から程遠いぞ。やってくれてたとしても中間点までじゃろ」
「この枝の切り口は……刃物だよな? 動物の爪とかじゃなく」
「まあ、本当に向こうの村のモンがやってくれたのかもしれんし」
とにかく中間点までは行ってみようと急ぐ。
「ん?」
早足になった時、ある者が気付いた。
「これ……くるみ割り人形か?」
道に落ちていた人形を手にする。
こんなものを持って森に入る者はいないだろう。クルミの実を採取するにしても、屋外なら手ごろな岩もある。わざわざ荷物になるものを持参するはずがない。
そしてこの時、ほぼ全員がしゃがみ込んで人形を見ていた。
周囲の警戒が緩くなってしまっていたのだ!
――ざざ……。
遠くからの不審な音。
それに気付いた時、村人たちは、見たッ!
「ひいいいいっ!」
ここは、とある町のハンターオフィス。
駆け出しハンターの南那初華(みなみな・はつか)が身を縮めて怖がっていた。
「あ、ごめんなさい。依頼の説明をするうちについ興奮して……」
不気味な表情をして初華にぐいい、と顔を近付けていた受付係がこほんと咳払いして身を正す。
どうやら上記のとおり依頼の経緯を話していたところ、サスペンス風味に説明してしまったようで。
「ん、んもう。怪奇作家だったお父さんのお話も苦手だったのに……」
ぷんぷん、と頬を膨らませた初華も腰を揺すって椅子に座り直した。
「とにかく、そういう事情でそこにゴブリン一匹を発見したそうです。今回の新人ハンター向けの依頼は、これですね」
「その……村人たちは?」
初華、恐る恐る聞いてみた。流れからするとイヤな予感しかない。
「その時一人、逃げ遅れて犠牲になりました。……襲った一匹はあっさり戻って行ったので、おそらく仲間がいるのだとみられています」
「総数は?」
「不明です。……が、状況から小規模集団――おそらく六匹前後と判断されます。初華さんを含めて八人で当たればよほど敵の策にはまらない限り力負けすることはないでしょう。受けてみませんか?」
係員の言葉に初華、大きく頷く。
「うん! ……んじゃ、やってみる!」
というわけで、一緒に行ってゴブリン退治してくれる人、求ム。
同盟領の農耕推進地域、ジェオルジでのお話。
人里離れた森の中の道を、数人の男たちが歩いていた。道は狭く、雑草などが目立つ。
「あーあー、やっぱり荒れてやがる」
ぱしん、と手にした鉈で道にせり出す低木の枝を落としつつ、先頭を歩く者がぼやいた。
「昔はこの道を抜けて行商人も結構やって来てたんだがなぁ……」
後続の男も反対側の邪魔な枝を切りつつ応じる。
「まあ、大量輸送には向かない道だし、ここを通る商人がいなくなっても不思議じゃない」
いわんや旅人なぞ、とさらに別の者。
どうやら昔は抜け道として活用されていたようだが、もともと長い森を抜けるうえ両端を結ぶ村と村は交流も乏しく生活基盤を共有しているなどということもない。日常的に里山管理される、比較的両村に近い部分は手入れもされたが、長い道の中間部分までは手が届かない。何せ村から村まで一日。半日仕事で戻ってこれない状態なので無理もない。
さりとて、放置もできない。
理由は簡単で、荒れた場所から荒れ始めるから。
荒れれば人に害をなす動物も出没しよう。放置できない事情はここにある。
こうして今、片方の村人が重い腰を上げ数人で作業しているというわけだ。
「しかし、顔を見なくなった行商人も多いよな」
「そうだな。願わくば、病気なんかじゃなく元気にしとればええが」
そんな話をしつつ、道づくり。
その時だった!
「あれ?」
先頭の男が気付いた。
「……なんか、荒れてた道がすっかり良くなってないか?」
「そういえば、いつの間に……」
気付けば、道にせり出す枝などがなくなっていた。
足元も下生えが踏み締められているようではある。
これまで荒れていたのに、と顔を見合わせた。おかしな現象である。
「あっちの村のモンがやってくれたんかの?」
「まさか。ここはまだ中間点から程遠いぞ。やってくれてたとしても中間点までじゃろ」
「この枝の切り口は……刃物だよな? 動物の爪とかじゃなく」
「まあ、本当に向こうの村のモンがやってくれたのかもしれんし」
とにかく中間点までは行ってみようと急ぐ。
「ん?」
早足になった時、ある者が気付いた。
「これ……くるみ割り人形か?」
道に落ちていた人形を手にする。
こんなものを持って森に入る者はいないだろう。クルミの実を採取するにしても、屋外なら手ごろな岩もある。わざわざ荷物になるものを持参するはずがない。
そしてこの時、ほぼ全員がしゃがみ込んで人形を見ていた。
周囲の警戒が緩くなってしまっていたのだ!
――ざざ……。
遠くからの不審な音。
それに気付いた時、村人たちは、見たッ!
「ひいいいいっ!」
ここは、とある町のハンターオフィス。
駆け出しハンターの南那初華(みなみな・はつか)が身を縮めて怖がっていた。
「あ、ごめんなさい。依頼の説明をするうちについ興奮して……」
不気味な表情をして初華にぐいい、と顔を近付けていた受付係がこほんと咳払いして身を正す。
どうやら上記のとおり依頼の経緯を話していたところ、サスペンス風味に説明してしまったようで。
「ん、んもう。怪奇作家だったお父さんのお話も苦手だったのに……」
ぷんぷん、と頬を膨らませた初華も腰を揺すって椅子に座り直した。
「とにかく、そういう事情でそこにゴブリン一匹を発見したそうです。今回の新人ハンター向けの依頼は、これですね」
「その……村人たちは?」
初華、恐る恐る聞いてみた。流れからするとイヤな予感しかない。
「その時一人、逃げ遅れて犠牲になりました。……襲った一匹はあっさり戻って行ったので、おそらく仲間がいるのだとみられています」
「総数は?」
「不明です。……が、状況から小規模集団――おそらく六匹前後と判断されます。初華さんを含めて八人で当たればよほど敵の策にはまらない限り力負けすることはないでしょう。受けてみませんか?」
係員の言葉に初華、大きく頷く。
「うん! ……んじゃ、やってみる!」
というわけで、一緒に行ってゴブリン退治してくれる人、求ム。
リプレイ本文
●
一行は一列縦隊で進んでいた。
「ここでやられたらしいネ。村人は頑張ってここまで来て遺体を回収したらしいケド……危ないよネ」
優雅に片膝をついて地面を調べていたシャルル=L=カリラ(ka4262)が緑色の瞳を細めた。立ち上がると後続の仲間に注意を促した。
「何か遺品のような物は……」
すぐ後ろを歩く御崎 ナナ(ka5202)が聴くが、シャルルは無言で首を振るだけ。
「村に来なくなったという商人さんたちが気になるのです」
赤いライダースーツに身を包んだナナ、ぱしんと拳を手の平に打ち付けてはやる気持ちを抑える。
その後ろではブリジット・B・バートランド(ka1800)が連れてきたペットのゴールデンリトリバーの毛並みを撫でている。
「確かにこのちょっと手前からこの子の様子も変わったわ」
ブリジット、上体を上げて左右の森の中を確認する。もちろんまだ異常はない。
「その、シャルルさん拳銃でしょ? 先頭でいいの? ナナさんに変わってもらった方がよくない? リナリスさんも背の高い人が前じゃない方が見通しがいいって……」
ブリジットの後ろにいた南那初華が心配そうに言う。
これにシャルル、にっこり。
「目の前でいきなりゴブリンと出合うということはまずないからネ。後ろにナナがいるし、心強いナ」
「頑張るのです!」
ナナもこの言葉で意気が上がる。
この時、初華の後からも声が。
「初華ちゃん、出発前のあたしの言ったこと覚えてくれたんだね~」
リナリス・リーカノア(ka5126)である。
で。
「あたしもちゃんと覚えてるからね~」
瞬間、ぽんっと赤くなる初華。
出発前に何があったかというと。
「あれ? 初華ちゃん、いい? いいなの?」
リナリス、「初華ちゃんやっほー♪ また会ったね♪」とか言った直後、背後からハグして胸をもにゅもにゅ。何やら危うい雰囲気だが……。
「あん、またぁ。……違うもん。Eぢゃないもん」
どうやらサイズを確認しただけらしい。
閑話休題。
「ボク、この位置で良かったのかな?」
初華とリナリスの間にいた霧島エストレラ(ka4261)が二人の様子に気付いてぽそりとこぼした。
「あ、ううん。エストレラさんがそこにいるから私、とっても安心なんだからねっ!」
初華、がしりとエストレラの両肩を掴んで逃げられないようにした。
「あたしもここでいいけど……騒いで嫌われちゃった?」
リナリス、エストレラに聞いてみる。
「大丈夫。綺麗な人が沢山で嬉しい」
エストレラ、にこーっと返すのだった。
「それよりたかがゴブリン、されどゴブリン。考える頭はあるでな」
一瞬和んだところ、最後から二番目のレーヴェ・W・マルバス(ka0276)が引き締めた。
「そうだね。強欲なゴブリンが戦利品を放置していくとは思えない。くるみ割り人形は人間の気を引く為の罠として使ったのかも」
リナリス、頷く。
「そうなの?」
「ほへぇ……でも、六匹くらいって話でしょ?」
エストレラと初華が改めて振り返ったぞ?
そこへッ!
「六? 少ないな。ドワーフの経験からして、十二かな!」
レーヴェ、悪戯そうな眼をして下からのぞき込むように二人に迫る!
「えーっ! 前で戦える人少ないのに!」
「ま、実のところはその間くらい、まあ八~九てところかの。呈示された数字より多めを想定して準備するのじゃよ」
初華をビビらしといて悠然と腕を組むレーヴェ。ちなみにエストレラは「回復が忙しいかな」とか思っていたり。
「いやあ、それにしても暑いね」
ここで最後尾からそんな声が。
振り向くとグンペルト滝野川(ka4992)がしゃがみ込んでいた。
「暑いからゴブリンも出てこなければいいのに。いや、出てきてくれないと困るのか」
汗を拭き拭きしつつ、水分補給。
「だったらそのグレートヘルムとればよかろう」
「いや、これはダメ。クールビズはいいけどそれはクールビズじゃない」
レーヴェが指摘するがグンペルト的にはダメみたいで。
「スマートな休憩になっちゃったネ。でもそろそろ行こうヨ」
思わぬ形で小休止となったがシャルルの声掛けで再び出発する。
●
(流れで僕が先頭になったけド……)
シャルル、抜け目なく広範囲に瞳を配りながら進んでいる。
五感をフル稼働して、危険をより早く察知出来るように。
視覚は勿論、臭気、それに僕ら以外の息遣いや葉擦れの音。そして他の野生動物の状態。
しかし、異常は感じられない。
「ブリジットさん、ワンちゃんはどう?」
初華は静寂に耐えかねて前を行くブリジットに聞いてみた。
「少し落ち着かないのは変わらないみたい。でも初華さんは落ち着いて。私がついてますから」
敵のテリトリーなのは分かっている。だからブリジット、明らかに自分より経験の少ない初華を落ち着かせるため何でもないふりをする。
「聞き込みによるとゴブリンは一匹で偵察をしているのではないかということでしたが」
最後尾ではグンペルトがUPC軍用PDAを操作しながら不審そうにしている。
「村人が襲われたのもそれじゃしの……それがないということは」
レーヴェ、そう言って左右を警戒する。
「罠、かな?」
「奇襲なぞさせんよ」
聞いたエストレラに自信満々に答えるレーヴェ。
「木々の陰は勿論、樹上にも注意」
もちろんリナリスもそのつもりで全力警戒。
その時だった!
「……いた、ネ」
先頭のシャルル、静かに言って止まった。
慌てて隠れなかったのは、動くことによって察知されないため。
ただ、見つかった。
当然だ。
道の先にいたゴブリンは、大樹の陰から視線の通る道の位置で、まさにここを警戒していたから。
そう。
門番のように二匹が道を塞いで立ち、厳重警戒をしていたのだ。
そして……。
「あっ! 逃げたのです!」
ナナが思わず叫んだ通り、敵は一目散に背走した。もちろんナナ、追う。
「ヒーローから逃げるのは悪人さんなのです!」
「行くしか……ないネ」
迷う暇はない。シャルル、駆け出したナナを追う。
「追いましょう、初華さん」
「うんっ!」
無論、後続のブリジットと初華も走る。
「全ての敵が何体か分らないけれど、逃がして何処かにアジトが在るかどうかの確認もしておきたいね」
エストレラも走っているが、少し速度が遅いのはそんな狙いがあるから。
「……少し、隙を見せた方がいいかも」
リナリスも似たような考えだ。
これにより、一列縦隊が間延びした形になる。
そして最初にゴブリンのいた地点をこの第二集団が通過したとき!
――ざっ。
「来たっ!」
リナリス、横合いにスリープクラウド!
が、発生した煙を背後に大跳躍したゴブリンが迫っている!
「え、私?」
初華、狙われた。何が起こったかまだ把握できてない。
「初華さん!」
――かきぃん……。
ブリジット、ラウンドシールドを掲げ初華の前に割って入り飛翔したゴブリンの一撃を食い止めた。
その後、蹴りがブリジットの肩に入る。
が、これは主にバックステップのため。間を置いたゴブリンがナイフを投げて来る。これをリムーバブルシールドで防ぎ、同時に機杖「ピュアホワイト」を光の剣にして切り込む。
そしてほぼ同時期。
「こっちからも……こっちが本命、かな?」
エストレラが道の反対側の気配に気付いた。
こちらからも、先のゴブリンのように木の枝に括り付けたロープを使い一瞬で通り場所から飛んで襲い掛かって来ている!
「……ゴブリン、あまり綺麗じゃないね」
エストレラ、ロッドを掲げホーリーライト。が、これはゴブリンの盾に防がれた。ただし、これに気を良くしたゴブリンはこれからの一撃を確実にするため盾を捨てた。
やがてロープからも手を放し、跳躍しながら剣を両手持ちして大上段に構えつつ、跳躍――。
この時、距離を置いて追走していた後衛は戦場が良く見えていた。
「前にも言うたが、ゴブリンでも考える頭はあるでな……」
レーヴェ、ゴブリンがターザンロープで襲い掛かって来たのを見た瞬間、身を伏せていた。
構えるはライフル「ペネトレイトC26」ッ!
「詰めは甘いが」
片目を閉じて呟き、トリガーを引いた。
だきゅん、と一直線の弾は冷気を帯びている。
今、盾を捨てて跳躍の頂点にいたゴブリンに命中し吹っ飛ばした!
「人を襲うのも、綺麗じゃない」
エストレラ、横に吹っ飛びつつ道にどさりと落ちたゴブリンにそう告げた。
無論ゴブリン、聞いてない。血を流し顔をしかめつつも襲い掛かって来た。
「……もしかすると、ゴブリン的にはそれが美学かも知れないけれど、ね」
エストレラ、横に少し移動しただけ。突っ込んでくる敵に対しそれで十分とばかりに。当然ゴブリン、問題ないとばかりに切り掛かってくるが。
瞬間、ゴブリンの顔が引きつった。
何と、エストレラが移動したのは避けるためではなかったのだ!
「樹上からの投擲とばかり思ってたけど……」
リナリス、ここにいるッ!
「こうなると後は簡単だね」
ウインドスラッシュで敵の足を狙った。どうと転倒するゴブリン。が、まだ剣を振りエストレラを傷付けた。
「アジトに逃げないの?」
「こいつはもう無理かもね」
聞くエストレラだが、リナリスが詰めて七支刀を突き立てた。
●
ぱしん、と光の刃がゴブリンの盾を吹っ飛ばした。
ブリジットの攻撃である。
後ろに引いたゴブリン、道の端の枝に引っかかり盾をうまくかざせなかったのだ。
「機械も道も同じ。日頃の整備を疎かにするといざという時に困るわ」
切り込んだ後はリムーバブルシールドで敵の攻撃を防いでいる。返す光の刃で今度こそゴブリンを切った。
どう、と倒れるがまだ立ち上がる。
さらに切るが、やはり立ち上がった。
ブリジット、味方からの「泳がせてアジトを探る」という作戦を思い出し手加減しているのだ。
が、逃げない。
「……もう、止めを差しちゃうね」
背後から無感情なブリジットの声。ホーリーライトで息の根を止めた。
最後尾でも変化は起こっていた。
「ん?」
やや疲労感の見えるグンペルト、ざざっ、と背後から着地音を聞いて振り返った。
前と同じく、ターザンロープでゴブリン二匹が退路に立ち塞がっているではないか。
しかも圧倒的優位に顔を醜く緩めている。明らかに息の上がっているグンペルトを舐めていた。
これを見たグンペルト、ネクタイを緩めてふぅぅ~と疲労感を押し出すように一呼吸。
刹那!
「ようやく出てきたな。では……」
髪が伸び、黄金に輝く瞳。引き締まった肉体を取り戻すと一気に敵へと踏み込む。引いた右腕が青く光を放っている。覚醒だ!
「サポートじゃ」
背後から魔導拳銃「イグナイテッド」に持ち替えたレーヴェの援護射撃。左手の一体の足へ打ち込んだ。
「……この山からご退場願おうか!」
グンペルト、ナックル「メテオブレイカー」で敵の盾を吹っ飛ばす。反撃も受けたがアーマー「インターセプター」が痛手を防ぐ。そしてレーヴェの援護射撃に任せ振り向く、立ち上がろうとしている左手の敵に踏み込んだ。
「クラッチ!」
左手の強打で起き上がりを打ち込み……。
「アクセル!」
右手のメテオで止めの渾身撃!
「私の趣味はバイクだ」
ヘルメット……いや、ヘルムを被ったままの姿で敵を倒し、仁王立ち。
「まあ、後ろはこれでええ」
もう一体はレーヴェがきっちりと止めの一撃。
時は若干遡り、最前列の二人。
「ちょうどいいネ」
シャルルが言ったのは、敵が逃げるのをやめてナイフを投げてきたから。
瞬時に張った防御障壁に当たり、パリンと砕ける。
「ヒーロー見参なのです!」
その、割れたガラスから飛び出るようにナナがダッシュで間合いを詰める。魔導拳銃「マーキナ」を掲げるが……。
「ゴブリンさん、お仕置きなのです!」
撃たずに機導剣にして上からダウンスイング。光の刃に対処できずゴブリン一匹が盾を落とす。
さらに腕を上げるナナ。別の一匹が出て来てこれを防がんと盾を掲げた。
しかしナナ、腰を落とした!
「ナナ、パンチッ!」
がら空きの胴を渾身のストレートで打ち抜いたッ!
ダメージを受けたゴブリンどもだが、さすがに数的有利を再確認。同時攻撃でナナ攻略に出る。
しかし。
「積極的に、スマートにネ」
ナナの背後から足をそろえて美しく全身で十字架を描いた姿が浮き上がった。
シャルルであるッ!
ジェットブーツで跳躍し、上からデリンジャー「デッドリーキッス」で……。
「機導砲だヨ」
一条の光が流星のように上から襲い、一匹撃破。スタン、と着地し地面に付いた手にブレスレット「シャルール」が光る。
そしてもう一匹は……。
「ナナ、キーック」
なびくマフラー、唸るキック。
ナナの蹴りで攻め手の剣を弾かれたゴブリン、慌てて盾を掲げた。
次の瞬間、ゴブリンの瞳は驚愕とともに見開かれることとなるッ!
何とナナ、半身で身をひねりながら跳躍していたのだ。
「新必殺! ナナ卍キィーーーック!」
掲げた盾をあざ笑うかのように、横合いから回し蹴りが来た!
これを食らって心が折れたゴブリン、ついに敗走した。
「これで追える、ね」
後続のエストレラ、ここまで上がっていた。ようやく望む展開となった。
そして追走の結果、ゴブリンはねぐらと思しき場所から大きな剣を出してかかってきたが、これはハンターたちの一斉攻撃であっけなく沈んだ。
「ゴブリン、か……」
アジトの穴倉で、グンペルトが寂しそうにつぶやく。背後ではエストレラとブリジットが皆の回復をしている。
「やっぱりファンタジーのお約束通りに結構な被害を出してるんだなあ」
彼は指輪や衣装などゴブリンたちの戦利品を見下ろしていた。結構な量である。田舎道にそぐわないものが多いところを見ると、商人が被害に遭ったのだろう。
「レーヴェさん?」
「こっちは見んほうがよかろう」
初華の声を背中越しに聞いたレーヴェ、屈んだまま答えた。遺体を発見したらしい。後で報告してねんごろに弔ってもらうつもりだ。
「……」
「初華ちゃんもハグするんだね」
無言で抱き着いてきた初華にリナリスはそう答えて元気付けて、背中越しに呟く。
「どうか、安らかに……」
やがて帰還の時。
「道か……みんなはどんな道を行くの?」
戦闘地点に戻った時、初華が聞いてみた。
「ヒーローの道なのです!」
ナナ、迷いなし。
「綺麗な道がいいよ、ね」
エストレラは漠然としていたが、なんだかはっきりもしている。
「とにかくこの道の整備は村人にしっかりしてほしいわ」
ブリジットはすっかり落ち着いたレトリバーを撫でつつ願う。
「そうだネ……この道がまた活気付くといいナ」
最後にシャルルが髪をかき上げた。
「僕のようにスマートな道、にネ」
とりあえず、今回のとても良い仕事とレーヴェの意図的な報告もあり初華ら新人ハンターを頼っての依頼も増えることとなる。
一行は一列縦隊で進んでいた。
「ここでやられたらしいネ。村人は頑張ってここまで来て遺体を回収したらしいケド……危ないよネ」
優雅に片膝をついて地面を調べていたシャルル=L=カリラ(ka4262)が緑色の瞳を細めた。立ち上がると後続の仲間に注意を促した。
「何か遺品のような物は……」
すぐ後ろを歩く御崎 ナナ(ka5202)が聴くが、シャルルは無言で首を振るだけ。
「村に来なくなったという商人さんたちが気になるのです」
赤いライダースーツに身を包んだナナ、ぱしんと拳を手の平に打ち付けてはやる気持ちを抑える。
その後ろではブリジット・B・バートランド(ka1800)が連れてきたペットのゴールデンリトリバーの毛並みを撫でている。
「確かにこのちょっと手前からこの子の様子も変わったわ」
ブリジット、上体を上げて左右の森の中を確認する。もちろんまだ異常はない。
「その、シャルルさん拳銃でしょ? 先頭でいいの? ナナさんに変わってもらった方がよくない? リナリスさんも背の高い人が前じゃない方が見通しがいいって……」
ブリジットの後ろにいた南那初華が心配そうに言う。
これにシャルル、にっこり。
「目の前でいきなりゴブリンと出合うということはまずないからネ。後ろにナナがいるし、心強いナ」
「頑張るのです!」
ナナもこの言葉で意気が上がる。
この時、初華の後からも声が。
「初華ちゃん、出発前のあたしの言ったこと覚えてくれたんだね~」
リナリス・リーカノア(ka5126)である。
で。
「あたしもちゃんと覚えてるからね~」
瞬間、ぽんっと赤くなる初華。
出発前に何があったかというと。
「あれ? 初華ちゃん、いい? いいなの?」
リナリス、「初華ちゃんやっほー♪ また会ったね♪」とか言った直後、背後からハグして胸をもにゅもにゅ。何やら危うい雰囲気だが……。
「あん、またぁ。……違うもん。Eぢゃないもん」
どうやらサイズを確認しただけらしい。
閑話休題。
「ボク、この位置で良かったのかな?」
初華とリナリスの間にいた霧島エストレラ(ka4261)が二人の様子に気付いてぽそりとこぼした。
「あ、ううん。エストレラさんがそこにいるから私、とっても安心なんだからねっ!」
初華、がしりとエストレラの両肩を掴んで逃げられないようにした。
「あたしもここでいいけど……騒いで嫌われちゃった?」
リナリス、エストレラに聞いてみる。
「大丈夫。綺麗な人が沢山で嬉しい」
エストレラ、にこーっと返すのだった。
「それよりたかがゴブリン、されどゴブリン。考える頭はあるでな」
一瞬和んだところ、最後から二番目のレーヴェ・W・マルバス(ka0276)が引き締めた。
「そうだね。強欲なゴブリンが戦利品を放置していくとは思えない。くるみ割り人形は人間の気を引く為の罠として使ったのかも」
リナリス、頷く。
「そうなの?」
「ほへぇ……でも、六匹くらいって話でしょ?」
エストレラと初華が改めて振り返ったぞ?
そこへッ!
「六? 少ないな。ドワーフの経験からして、十二かな!」
レーヴェ、悪戯そうな眼をして下からのぞき込むように二人に迫る!
「えーっ! 前で戦える人少ないのに!」
「ま、実のところはその間くらい、まあ八~九てところかの。呈示された数字より多めを想定して準備するのじゃよ」
初華をビビらしといて悠然と腕を組むレーヴェ。ちなみにエストレラは「回復が忙しいかな」とか思っていたり。
「いやあ、それにしても暑いね」
ここで最後尾からそんな声が。
振り向くとグンペルト滝野川(ka4992)がしゃがみ込んでいた。
「暑いからゴブリンも出てこなければいいのに。いや、出てきてくれないと困るのか」
汗を拭き拭きしつつ、水分補給。
「だったらそのグレートヘルムとればよかろう」
「いや、これはダメ。クールビズはいいけどそれはクールビズじゃない」
レーヴェが指摘するがグンペルト的にはダメみたいで。
「スマートな休憩になっちゃったネ。でもそろそろ行こうヨ」
思わぬ形で小休止となったがシャルルの声掛けで再び出発する。
●
(流れで僕が先頭になったけド……)
シャルル、抜け目なく広範囲に瞳を配りながら進んでいる。
五感をフル稼働して、危険をより早く察知出来るように。
視覚は勿論、臭気、それに僕ら以外の息遣いや葉擦れの音。そして他の野生動物の状態。
しかし、異常は感じられない。
「ブリジットさん、ワンちゃんはどう?」
初華は静寂に耐えかねて前を行くブリジットに聞いてみた。
「少し落ち着かないのは変わらないみたい。でも初華さんは落ち着いて。私がついてますから」
敵のテリトリーなのは分かっている。だからブリジット、明らかに自分より経験の少ない初華を落ち着かせるため何でもないふりをする。
「聞き込みによるとゴブリンは一匹で偵察をしているのではないかということでしたが」
最後尾ではグンペルトがUPC軍用PDAを操作しながら不審そうにしている。
「村人が襲われたのもそれじゃしの……それがないということは」
レーヴェ、そう言って左右を警戒する。
「罠、かな?」
「奇襲なぞさせんよ」
聞いたエストレラに自信満々に答えるレーヴェ。
「木々の陰は勿論、樹上にも注意」
もちろんリナリスもそのつもりで全力警戒。
その時だった!
「……いた、ネ」
先頭のシャルル、静かに言って止まった。
慌てて隠れなかったのは、動くことによって察知されないため。
ただ、見つかった。
当然だ。
道の先にいたゴブリンは、大樹の陰から視線の通る道の位置で、まさにここを警戒していたから。
そう。
門番のように二匹が道を塞いで立ち、厳重警戒をしていたのだ。
そして……。
「あっ! 逃げたのです!」
ナナが思わず叫んだ通り、敵は一目散に背走した。もちろんナナ、追う。
「ヒーローから逃げるのは悪人さんなのです!」
「行くしか……ないネ」
迷う暇はない。シャルル、駆け出したナナを追う。
「追いましょう、初華さん」
「うんっ!」
無論、後続のブリジットと初華も走る。
「全ての敵が何体か分らないけれど、逃がして何処かにアジトが在るかどうかの確認もしておきたいね」
エストレラも走っているが、少し速度が遅いのはそんな狙いがあるから。
「……少し、隙を見せた方がいいかも」
リナリスも似たような考えだ。
これにより、一列縦隊が間延びした形になる。
そして最初にゴブリンのいた地点をこの第二集団が通過したとき!
――ざっ。
「来たっ!」
リナリス、横合いにスリープクラウド!
が、発生した煙を背後に大跳躍したゴブリンが迫っている!
「え、私?」
初華、狙われた。何が起こったかまだ把握できてない。
「初華さん!」
――かきぃん……。
ブリジット、ラウンドシールドを掲げ初華の前に割って入り飛翔したゴブリンの一撃を食い止めた。
その後、蹴りがブリジットの肩に入る。
が、これは主にバックステップのため。間を置いたゴブリンがナイフを投げて来る。これをリムーバブルシールドで防ぎ、同時に機杖「ピュアホワイト」を光の剣にして切り込む。
そしてほぼ同時期。
「こっちからも……こっちが本命、かな?」
エストレラが道の反対側の気配に気付いた。
こちらからも、先のゴブリンのように木の枝に括り付けたロープを使い一瞬で通り場所から飛んで襲い掛かって来ている!
「……ゴブリン、あまり綺麗じゃないね」
エストレラ、ロッドを掲げホーリーライト。が、これはゴブリンの盾に防がれた。ただし、これに気を良くしたゴブリンはこれからの一撃を確実にするため盾を捨てた。
やがてロープからも手を放し、跳躍しながら剣を両手持ちして大上段に構えつつ、跳躍――。
この時、距離を置いて追走していた後衛は戦場が良く見えていた。
「前にも言うたが、ゴブリンでも考える頭はあるでな……」
レーヴェ、ゴブリンがターザンロープで襲い掛かって来たのを見た瞬間、身を伏せていた。
構えるはライフル「ペネトレイトC26」ッ!
「詰めは甘いが」
片目を閉じて呟き、トリガーを引いた。
だきゅん、と一直線の弾は冷気を帯びている。
今、盾を捨てて跳躍の頂点にいたゴブリンに命中し吹っ飛ばした!
「人を襲うのも、綺麗じゃない」
エストレラ、横に吹っ飛びつつ道にどさりと落ちたゴブリンにそう告げた。
無論ゴブリン、聞いてない。血を流し顔をしかめつつも襲い掛かって来た。
「……もしかすると、ゴブリン的にはそれが美学かも知れないけれど、ね」
エストレラ、横に少し移動しただけ。突っ込んでくる敵に対しそれで十分とばかりに。当然ゴブリン、問題ないとばかりに切り掛かってくるが。
瞬間、ゴブリンの顔が引きつった。
何と、エストレラが移動したのは避けるためではなかったのだ!
「樹上からの投擲とばかり思ってたけど……」
リナリス、ここにいるッ!
「こうなると後は簡単だね」
ウインドスラッシュで敵の足を狙った。どうと転倒するゴブリン。が、まだ剣を振りエストレラを傷付けた。
「アジトに逃げないの?」
「こいつはもう無理かもね」
聞くエストレラだが、リナリスが詰めて七支刀を突き立てた。
●
ぱしん、と光の刃がゴブリンの盾を吹っ飛ばした。
ブリジットの攻撃である。
後ろに引いたゴブリン、道の端の枝に引っかかり盾をうまくかざせなかったのだ。
「機械も道も同じ。日頃の整備を疎かにするといざという時に困るわ」
切り込んだ後はリムーバブルシールドで敵の攻撃を防いでいる。返す光の刃で今度こそゴブリンを切った。
どう、と倒れるがまだ立ち上がる。
さらに切るが、やはり立ち上がった。
ブリジット、味方からの「泳がせてアジトを探る」という作戦を思い出し手加減しているのだ。
が、逃げない。
「……もう、止めを差しちゃうね」
背後から無感情なブリジットの声。ホーリーライトで息の根を止めた。
最後尾でも変化は起こっていた。
「ん?」
やや疲労感の見えるグンペルト、ざざっ、と背後から着地音を聞いて振り返った。
前と同じく、ターザンロープでゴブリン二匹が退路に立ち塞がっているではないか。
しかも圧倒的優位に顔を醜く緩めている。明らかに息の上がっているグンペルトを舐めていた。
これを見たグンペルト、ネクタイを緩めてふぅぅ~と疲労感を押し出すように一呼吸。
刹那!
「ようやく出てきたな。では……」
髪が伸び、黄金に輝く瞳。引き締まった肉体を取り戻すと一気に敵へと踏み込む。引いた右腕が青く光を放っている。覚醒だ!
「サポートじゃ」
背後から魔導拳銃「イグナイテッド」に持ち替えたレーヴェの援護射撃。左手の一体の足へ打ち込んだ。
「……この山からご退場願おうか!」
グンペルト、ナックル「メテオブレイカー」で敵の盾を吹っ飛ばす。反撃も受けたがアーマー「インターセプター」が痛手を防ぐ。そしてレーヴェの援護射撃に任せ振り向く、立ち上がろうとしている左手の敵に踏み込んだ。
「クラッチ!」
左手の強打で起き上がりを打ち込み……。
「アクセル!」
右手のメテオで止めの渾身撃!
「私の趣味はバイクだ」
ヘルメット……いや、ヘルムを被ったままの姿で敵を倒し、仁王立ち。
「まあ、後ろはこれでええ」
もう一体はレーヴェがきっちりと止めの一撃。
時は若干遡り、最前列の二人。
「ちょうどいいネ」
シャルルが言ったのは、敵が逃げるのをやめてナイフを投げてきたから。
瞬時に張った防御障壁に当たり、パリンと砕ける。
「ヒーロー見参なのです!」
その、割れたガラスから飛び出るようにナナがダッシュで間合いを詰める。魔導拳銃「マーキナ」を掲げるが……。
「ゴブリンさん、お仕置きなのです!」
撃たずに機導剣にして上からダウンスイング。光の刃に対処できずゴブリン一匹が盾を落とす。
さらに腕を上げるナナ。別の一匹が出て来てこれを防がんと盾を掲げた。
しかしナナ、腰を落とした!
「ナナ、パンチッ!」
がら空きの胴を渾身のストレートで打ち抜いたッ!
ダメージを受けたゴブリンどもだが、さすがに数的有利を再確認。同時攻撃でナナ攻略に出る。
しかし。
「積極的に、スマートにネ」
ナナの背後から足をそろえて美しく全身で十字架を描いた姿が浮き上がった。
シャルルであるッ!
ジェットブーツで跳躍し、上からデリンジャー「デッドリーキッス」で……。
「機導砲だヨ」
一条の光が流星のように上から襲い、一匹撃破。スタン、と着地し地面に付いた手にブレスレット「シャルール」が光る。
そしてもう一匹は……。
「ナナ、キーック」
なびくマフラー、唸るキック。
ナナの蹴りで攻め手の剣を弾かれたゴブリン、慌てて盾を掲げた。
次の瞬間、ゴブリンの瞳は驚愕とともに見開かれることとなるッ!
何とナナ、半身で身をひねりながら跳躍していたのだ。
「新必殺! ナナ卍キィーーーック!」
掲げた盾をあざ笑うかのように、横合いから回し蹴りが来た!
これを食らって心が折れたゴブリン、ついに敗走した。
「これで追える、ね」
後続のエストレラ、ここまで上がっていた。ようやく望む展開となった。
そして追走の結果、ゴブリンはねぐらと思しき場所から大きな剣を出してかかってきたが、これはハンターたちの一斉攻撃であっけなく沈んだ。
「ゴブリン、か……」
アジトの穴倉で、グンペルトが寂しそうにつぶやく。背後ではエストレラとブリジットが皆の回復をしている。
「やっぱりファンタジーのお約束通りに結構な被害を出してるんだなあ」
彼は指輪や衣装などゴブリンたちの戦利品を見下ろしていた。結構な量である。田舎道にそぐわないものが多いところを見ると、商人が被害に遭ったのだろう。
「レーヴェさん?」
「こっちは見んほうがよかろう」
初華の声を背中越しに聞いたレーヴェ、屈んだまま答えた。遺体を発見したらしい。後で報告してねんごろに弔ってもらうつもりだ。
「……」
「初華ちゃんもハグするんだね」
無言で抱き着いてきた初華にリナリスはそう答えて元気付けて、背中越しに呟く。
「どうか、安らかに……」
やがて帰還の時。
「道か……みんなはどんな道を行くの?」
戦闘地点に戻った時、初華が聞いてみた。
「ヒーローの道なのです!」
ナナ、迷いなし。
「綺麗な道がいいよ、ね」
エストレラは漠然としていたが、なんだかはっきりもしている。
「とにかくこの道の整備は村人にしっかりしてほしいわ」
ブリジットはすっかり落ち着いたレトリバーを撫でつつ願う。
「そうだネ……この道がまた活気付くといいナ」
最後にシャルルが髪をかき上げた。
「僕のようにスマートな道、にネ」
とりあえず、今回のとても良い仕事とレーヴェの意図的な報告もあり初華ら新人ハンターを頼っての依頼も増えることとなる。
依頼結果
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相談卓 リナリス・リーカノア(ka5126) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/07/20 16:24:17 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/19 20:48:59 |