ゲスト
(ka0000)
メタリックなスライムって(ry
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加制限
- -
- 参加人数
- 4~7人
- サポート
- 0~0人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/07/22 07:30
- 完成日
- 2015/07/29 03:33
みんなの思い出
思い出設定されたOMC商品がありません。
オープニング
●
スライム亜種を求めて旅をする、一人の男がいた。
男の名は、スライ=クライム。
自称、スライム博士を名乗る、変人である。
だが、その嗅覚は確からしく、どこから嗅ぎつけたのか。
東に珍しいスライムありと聞けば、駆けつけ。
西に新たなスライム反応と聞けば、馳せ参じる。
今回も特殊な色を持つスライムがいると聞いていたのだが……
「……あー、失敗したぞい」
スライ博士は、苦虫を噛み潰したような表情で、なだらかな林の中に立っていた。
全身は焼け爛れたように傷ついており、かろうじて歩けるというところだ。
「ムームーくんは、逃げおおせただろうか」
弟子扱いしている従者のことを思い出し、ふと笑みを作る。
もし、今回のスライムが、いつものスライムであったならば。
あるいは、見ようとまで思わなければ……こうはならなかったであろうか。
「無理だな」と自嘲気味な笑みをスライ博士は浮かべる。
スライムと聞けば居ても立ってもいられない自分だ。
どのようなIFを並べた所で、今の状況に収束しただろう。
林へ入って10分ほどで、はたと出会ったしまったのだから。
「さて、少しは逃げられるか試してみるぞい」
スライ博士はそういうと、大きく腕を振り上げ、全身からゲル状の物質で自身を覆った。
見るものが見れば、それが【覚醒状態】であるとわかるだろう。
この男、伊達や酔狂で王国内を渡り歩いているわけではない。
ハンターとして仕事を行うことはほとんどないだけなのだ。
「これは単なる自衛手段だぞい」
ムームーになぜ、ハンターとして活躍しないのか聞かれた時の回答が、これだ。
自分はあくまでも、スライムを調べるために力を得たにすぎないのだという。
「調べるべきだったのだ」
ぽつりとスライ博士は呟く。
それは、自身の認識の甘さに対するいらだちだった。
珍しいスライムと聞いたが、具体的な内容までは確認していなかった。
「さて、今度はどうかな?」
諦めを言外に含みながら、腕を振り下ろす。
放たれた魔法の矢が、それを穿つ。
本来、スライムは物理に強く、魔法に弱い……とされている。
だが、目の前に居る銀色のスライムは、魔法を意に介してはいない。
物理に弱いのかと思ったが、スライ博士に試す手段はない。
スライムに対抗するために得た力は、魔法のみだったからだ。
それで十分だという慢心が、彼の中にあったことは否めない。
スライムの身体がぶるりと蠢く。
見れば、奥にさらに数体のスライムが見えた。
スライムに殺されるのならば、本望だと思えた時、スライ博士の身体が浮いた。
「博士、助けに……き、きました」
震える声は、間違いなくムームーのものであった。
馬だ。馬に乗って、ムームーはスライの身体を掴んだのだ。
そのまま、ムームーは返事を聞かずに走りだした。
●
「無茶をしたな……」
「そう、でしょうか。そう、しないと」
続きは聞かなくてもわかる。スライ博士の命がなかっただろう。
「やつは本当に物理に弱いのか……はたまた攻撃自体に耐性を持っているのか」
命が助かった安堵から、スライ博士の思考は平常運転を始めていた。
いずれにせよ、そんな特殊なスライムが林から出てきては被害は大きいだろう。
対処を、確実に、誤るからだ。
「金属っぽいスライムでしたね」
金属……とスライ博士は、小さくつぶやいた。
ピコンと彼の頭の上に、電球が光る。
「そうじゃ、どうせなら、あやつに名前をつけておこう」
「はぁ。ちょっとは頭も身体も休めてください」
ムームーの気持ちをよそに、スライは告げる。
「奴の名は……メタルなスライム。略してメタライムじゃ!」
ラをルとの中間の音で発音していた。
すごくいいにくいので、メタライムで統一する。
「メタライムでも、なんでもいいですから。薬を飲んでください」
「うむ、そうじゃな」
さて、ハンターたちが戦って、どのような感想を述べてくれるか。
どこかわくわくする、スライ博士なのであった。
スライム亜種を求めて旅をする、一人の男がいた。
男の名は、スライ=クライム。
自称、スライム博士を名乗る、変人である。
だが、その嗅覚は確からしく、どこから嗅ぎつけたのか。
東に珍しいスライムありと聞けば、駆けつけ。
西に新たなスライム反応と聞けば、馳せ参じる。
今回も特殊な色を持つスライムがいると聞いていたのだが……
「……あー、失敗したぞい」
スライ博士は、苦虫を噛み潰したような表情で、なだらかな林の中に立っていた。
全身は焼け爛れたように傷ついており、かろうじて歩けるというところだ。
「ムームーくんは、逃げおおせただろうか」
弟子扱いしている従者のことを思い出し、ふと笑みを作る。
もし、今回のスライムが、いつものスライムであったならば。
あるいは、見ようとまで思わなければ……こうはならなかったであろうか。
「無理だな」と自嘲気味な笑みをスライ博士は浮かべる。
スライムと聞けば居ても立ってもいられない自分だ。
どのようなIFを並べた所で、今の状況に収束しただろう。
林へ入って10分ほどで、はたと出会ったしまったのだから。
「さて、少しは逃げられるか試してみるぞい」
スライ博士はそういうと、大きく腕を振り上げ、全身からゲル状の物質で自身を覆った。
見るものが見れば、それが【覚醒状態】であるとわかるだろう。
この男、伊達や酔狂で王国内を渡り歩いているわけではない。
ハンターとして仕事を行うことはほとんどないだけなのだ。
「これは単なる自衛手段だぞい」
ムームーになぜ、ハンターとして活躍しないのか聞かれた時の回答が、これだ。
自分はあくまでも、スライムを調べるために力を得たにすぎないのだという。
「調べるべきだったのだ」
ぽつりとスライ博士は呟く。
それは、自身の認識の甘さに対するいらだちだった。
珍しいスライムと聞いたが、具体的な内容までは確認していなかった。
「さて、今度はどうかな?」
諦めを言外に含みながら、腕を振り下ろす。
放たれた魔法の矢が、それを穿つ。
本来、スライムは物理に強く、魔法に弱い……とされている。
だが、目の前に居る銀色のスライムは、魔法を意に介してはいない。
物理に弱いのかと思ったが、スライ博士に試す手段はない。
スライムに対抗するために得た力は、魔法のみだったからだ。
それで十分だという慢心が、彼の中にあったことは否めない。
スライムの身体がぶるりと蠢く。
見れば、奥にさらに数体のスライムが見えた。
スライムに殺されるのならば、本望だと思えた時、スライ博士の身体が浮いた。
「博士、助けに……き、きました」
震える声は、間違いなくムームーのものであった。
馬だ。馬に乗って、ムームーはスライの身体を掴んだのだ。
そのまま、ムームーは返事を聞かずに走りだした。
●
「無茶をしたな……」
「そう、でしょうか。そう、しないと」
続きは聞かなくてもわかる。スライ博士の命がなかっただろう。
「やつは本当に物理に弱いのか……はたまた攻撃自体に耐性を持っているのか」
命が助かった安堵から、スライ博士の思考は平常運転を始めていた。
いずれにせよ、そんな特殊なスライムが林から出てきては被害は大きいだろう。
対処を、確実に、誤るからだ。
「金属っぽいスライムでしたね」
金属……とスライ博士は、小さくつぶやいた。
ピコンと彼の頭の上に、電球が光る。
「そうじゃ、どうせなら、あやつに名前をつけておこう」
「はぁ。ちょっとは頭も身体も休めてください」
ムームーの気持ちをよそに、スライは告げる。
「奴の名は……メタルなスライム。略してメタライムじゃ!」
ラをルとの中間の音で発音していた。
すごくいいにくいので、メタライムで統一する。
「メタライムでも、なんでもいいですから。薬を飲んでください」
「うむ、そうじゃな」
さて、ハンターたちが戦って、どのような感想を述べてくれるか。
どこかわくわくする、スライ博士なのであった。
リプレイ本文
●
なだらかな丘陵の林の中、ハンターたちはそれに出会った。
銀色のメタリックな色を持つスライム……我々は、それをメタライムと名づけた。
「書き出しは、こうじゃぞい」
スライ博士は、痛々しい包帯を見せつけながら、そう述べた。
その隣りでは、スライに負けじ劣らず、包帯に巻かれるバルバロス(ka2119)の姿があった。
「なるほどな。魔法が効かないってのは本当なのか?」
無事な指でヒゲを撫でつけながら、バルバロスが問う。
一転、スライの表情が冷めていく。
「本当じゃ。いや、効いていたのやもしれんが、決定打ではなかった」
「ふむ」
目を細め、林へ向かったハンターたちを慮る。
「この体で出向いても、皆の足を引っ張るだけだろう。すまない」
バルバロスはそういって、この場に残っていた。
スライの推論を聞きながら、自身の経験を交えた意見を出す。
今はそうして、皆が無事に帰ってくることを願うばかりだ。
●
「初依頼だから、頑張らないと。やっつければいいんだよね?」
林までの道程を踏みしめながら、リオ・フランメル(ka5291)が拳を固める。
緊張しているように見えるリオに、柊 真司(ka0705)が声をかけた。
「気負い過ぎないようにな」
ただでさえ、魔法に強いという珍しいスライムだ。
これで物理にも強かったら、厄介というより他にない。
「そのスライム、物理は効くのかしら?」
真司の気持ちを代弁するように、白金 綾瀬(ka0774)がぽつりと疑問を呈す。
「今回のスライム……スライム?」
思わず小首を傾げたのは、アルティミシア(ka5289)だ。
話を聞くだに、スライムと一概に言えるか微妙に思える。
「とりあえず、仕掛ける。全てはそれから」
「メタリックスライム……メタライムでしたっけ」
スライ博士から聞いた呼称を思い出し、ミオレスカ(ka3496)が口にする。
「レベルアップに最適……ではないのですね」
どこかでメタルなスライムが経験値とやらを落としまくると聞いた気がする。
しかし、今回は残念ながら違うのだろう。
「それにしても」
先頭を歩く岩井崎 旭(ka0234)が、少し足をゆるめて会話に混じる。
「スライム好きとか変なヤツもいるもんだ」
「前もフゥライムでしたか。スライム亜種の依頼で名前を聞きましたね」
「ヴォイドじゃあねーにしろ、人間にやさしくはねー生きもんなのになー」
ミオレスカの言葉に、旭は半ば呆れるように博士を思う。
そんな会話をしている間に、視界の中に木々が見えてきた。
「んで、なんだっけ? えーと、はぐれスライム?」
「博士いわくメタライムだな」と真司が訂正をいれる。
「メタライム、ね。報告がてらに土産話が出来る程度には、試してみるか」
くるっとエンブレムナイフを回し持って、旭は構える。
それを見て、リオたちも武器を取り出すのだった。
●
「メタル……確かにメタルだな」
見えてきたスライムの全容に、真司が苦笑いを浮かべる。
全体が銀色のメタリックな姿は、アルティミシアが述べていたように毛色が違いそうだ。
「何があるかわからないから、気をつけてね」
「あぁ、まずは本当に魔法が効かないのか確認しないとな」
綾瀬に見送られ、真司は前進する。
敵数は5匹、メタライムどもの意識は、覚醒した旭へと向いていた。
真司は左舷から回りこむように中央の一体を射程に収め、杖型の魔導機械を振りかざす。放たれた機導砲の光が、メタライムを飲み込んだ……が。
「なるほど、な」
お世辞にも効いているとは言いがたい。
メタリックな表面には、傷ひとつついていない。身体を変質させたのか、もとから強いのかは不明だが、厄介であることに変わりない。
「話通り、魔法が効かないようね」
メタライムへ的を絞り、綾瀬が真司に続く。
射出された弾丸は、メタライムの身体に食い込んだ。
しかし、綾瀬の目は弾丸がメタライムを穿つことなくはじき出されるのを見ていた。
「物理もだめ……なのかしら」
「ダメージがなくても、有利に立ちまわるしかないですよ」
同じく射撃組のミオレスカは、ライフルから連続して弾丸を放つ。点ではなく面で、メタライムの行動を抑制する。
だが、意外に素早い動きでメタライムたちは前衛へと抜けていく。
サイトの先で、抜けだしたメタライムが赤く発光するのが見えた。
「何かきます!」
ミオレスカの警告を後ろで聞きながら、旭は動物霊の力を瞳に宿す。
その瞳が捉えたのは、メタライムから放たれる炎の矢だった。脚元を狙って放たれた炎を避け、旭はさらに前進する。
もう一発、狙いをつけてきたがこちらもかわす。
前衛に圧をかけてきているのは、三匹。残る一匹は、アルティミシアを狙っていた。
「袖が焦げたらどうするのだよ」
腕で受払い、被害を最小限に留める。
それでも、圧縮された熱量は手痛い。即座にマテリアルを活性化させ、治癒をする。
旭に続き、アルティミシア、リオが先頭のメタライムへと近づいた。
●
その様子を見て、真司は狙いを変える。
より自身に近いメタライムへと到達すると、すかさず電撃を放つ。
「金属的な見た目だし魔法でも雷撃なら効くかもしれない」
焼けてくれ、と念を込めて放った電撃だが、表面に焦げ跡はない。
動きはやや緩慢になったが、この瞬間を狙った綾瀬の一撃が届く頃には、戻っていた。
「少しは効果があるのかしら?」
もし、そうなら……と次の手を模索する。
先の弾丸を飲みみつつ硬質化も果たす姿が、常ではないとすれば勝機はあるのだ。
「おっと……近づき過ぎはダメだな」
「今度は私から行くわ」
メタライムの強撃をからくも避けた真司へ、綾瀬が告げる。
ちらりと見れば、旭たちもメタライムへ肉迫していた。
「魔法には強いって、言ってたけど、物理は、どうかな?」
まずは小手調べと アルティミシアが素早く立ち回り、優位な位置を取る。
「……ま、叩いてみれば、わかるか」
マテリアルの補助を得て洗練された一撃を放つ。刃が銀色の身体に吸い込まれるが、硬いものに弾かれてしまう。
「硬いっ」
「おお、あんたのいうとおりだ。ホントに硬いぜこいつ」
魔力を帯びた刃を引き下げ、旭がいう。
炎を打ち払い、放ったレイピアの一撃も切っ先から手応えを感じなかった。
「伊達にメタルメタルしてねぇな!」
「ピカピカしてて、ちょっとかわいい。倒すの、ちょっと残念……まぁ倒すけど」
後方から迫るメタライムが放った炎を受けながら、アルティミシアはしっかりと日本刀を握る。
追いついたリオも短剣を振るうが、ぶるりと軟体特有の動きでかわされた。
その際、バランスを崩したリオにメタライムは容赦なく襲い掛かる。
「……っ!?」
硬質化させた身体で、リオの胴部をなぎ払う。
受け切れない衝撃に、リオが後方へ飛ばされた。
「大丈夫か?」
「私なら大丈夫だ。まだ、戦える」
初めての依頼で、初めての負傷。
全身がうずくが、まだ戦えると起き上がり、駆け出す。
「さて、試してみましょうか」
旭たちの背中を眺めつつ、ほわっとミオレスカが呟く。
少し離れた位置にいる綾瀬にも目配せする。
互いに左右に動きつつ、綾瀬は真司が対するメタライムを狙う。
対してミオレスカは、旭たちが立ち向かうメタライムへ銃口を向けた。
「せーの」
ライフルへとマテリアルを流し入れ、銃弾に込める。
暑い日差しを受ける戦場に、涼やかな空気がはらむ。放たれた弾丸は、冷気を帯びてリオとアルティミシアの間を抜いていった。
アルティミシアが再び放った刺突に、メタライムが対応していた。
この軟体生物に意識があるのかはわからない。
ただ、メタライムの反応が弾丸に対して遅れていたのは、事実だ。
「当たりましたね」
遠くでミオレスカが呟く。
その声を聞いてか聞かずか、すかさず旭が動いた。
祖霊の力を込めて、大きく振りぬいた一撃がメタライムへ確かなダメージを与えた。
冷気によって緩慢となったらしく、硬質化があきらかに遅れていた。
「それがあんたの限界なのか?」
心外だといわんばかりに、メタライムの身体が熱を帯び、炎を吐き出す。
手足を固め、鎧を活用し攻撃を受け流す。
「おっ」
攻撃に転じようとレイピアを構え直した旭の目の前で、メタライムが崩れた。
アルティミシアとは逆側から、リオが切り込んだのだ。奇しくも、旭に意識を奪われ、さらに動きを制限されていたメタライムはその一撃をもろに食らってしまった。
「あ、いけた……のか?」
防御を抜ければ、何ともあっけない耐久値に、リオはどこか実感がわかない様子だった。
だが、目の前でメタリックだったスライムの身体が粉状に崩れていく。
溶けこむように消えていくのを見て、リオはやったことを確信した。
「油断禁物だよ」
「まだ、居るんだからな」
アルティミシアと旭に言われ、リオは顔を上げる。
まだ四体のメタライムが、林の中をうごめいている。
そのうちの一体は、綾瀬に狙いを付けられていた。
「そろそろ当たったらどうかしら?」
これまでに二度、弾丸は空を穿っていた。
普通のスライムより、やや素早く動くときがあり、予測がつきづらい。
だが、三度目となれば身体が、動きを覚えてくる。
「これでどうかしら」
狙いすまされた弾丸は、吸い込まれるようにメタライムの身体に風穴を空けた。無論、すぐに再生を開始するのだが……様子がおかしい。
「冷気で弾性が減ったら、少しは効果あるか。見せてもらうときだな」
柔軟な動きを見せていたメタライムが、あきらかに真司の動きに対応できていない。
硬質化が間に合わず、弾丸をもろに受けてしまう。
それでも、通常のスライムと同じく、物理にも耐性はあるはずなのだが……。
「なるほどね」
悪あがきで放たれた炎を盾で防ぎ、真司はその最後を見た。
本来なら一発二発の弾丸で落ちるとは思えないが、メタライムはべしゃっと地面に突っ伏すと動かなくなったのだ。
「どこかが強くなると、どこかが弱くなるわけだな」
引導代わりにメタライムに呟き、真司は身体を反転させる。
残るメタライムは、三体である。
●
傾向と対策……冷気による動きの抑制が防御行動を防ぐのに効果がある。
レイターコールドショットからの攻撃で、優位になる。
スライ博士への報告は、まずそこから始まった。
「もちろん、必ずしもうまくいくとは限らないがな」
真司の報告を聞いて、スライはふむと思案する。
受けきれなければ、一撃で沈む。ならば、再生能力はほぼ意味を成さない。
軟体で物理攻撃の威力を削ぐより、硬質化していたほうがよいようにも思えるが。
「欠点のないものはいない、ということでしょうか」
「くっく、まあ、そうじゃろうな」
ミオレスカの意見に、スライはおおいに頷いた。
さて、スライムの特徴といえばアレもある。
「傾向と対策は分かった。その後の話を聞くとするぞい」
「あぁ……それが」
そして、綾瀬が語りだす。
最初に異変に気がついたのは、綾瀬だった。
二体目のメタライムが倒れ、真司とアイコンタクトをかわし、次を決める。
奥側から向かってきたメタライムのうち、一体に狙いを定めたのだが……。
「ん?」
真ん中からひび割れるようにして、メタライムがわかれたのだ。
スライムの特徴でもある、分裂行動だ。
「弱りましたね」
避けられることも加味すると、冷気を帯びさせる弾数が心もとない。
ミオレスカが歯噛みする前で、他のメタライムも分裂を始めた。
「一気に片付けるわよ。時間を与えれば与えるほど、面倒になるわ」
「わかりました」
幸い、逃げる気配はない。
まずはレイターコールドショットをぶち込み、一体ずつ確実に始末する。
炎が連続して撒かれ、旭が多少の負傷を負ったが、返す刃で一体を沈めた。
「やるな、分裂しても器用受けやがるぜ!」
やがて、冷気による緩慢作用が起こせなくなると作戦を切り替えた。
「だがよ、同時だったらどこまで受けきれるんだ?」
「ナイフは、こういう使い方もできるんだよ」
旭に襲いかかったメタライムの後ろで、アルティミシアがナイフを振り下ろす。
リッパーと名づけたナイフが、メタライムの急所を突く。同時にリオも攻撃を与え、防御を貫いた。
「ほんとは、首、チョンパりたいけど、首ないし」
物騒なことをいいながら、アルティミシアは次の獲物に切っ先を向ける。
「ま、いいか、まるごと斬っちゃお」
気持ちを切り替え、向かっていくアルティミシアの後を旭たちも追った。
あるいは攻撃する余裕を奪えばいい。
小さくなったメタライム数匹を巻き込んで、ミオレスカと綾瀬は弾丸をまき散らす。
巻き込む敵を増やせば、ときおり、硬質化をしきれないものも現れる。
「これもある意味、有効な手かもな」
メタライムの攻撃を封じている間に、的確に、着実に仕留めればいい。
真司は再度、電撃を放ち、様子を見る。硬質化具合を観察すれば、効果があることが伺えた。パターンが増えれば、臨機応変に対応ができる。
「あとは狩るだけだ」
傾向と対策。
その数は、次第に増えていく。綾瀬が動きを止め、真司が電撃で動きを緩慢にさせ、ミオレスカが高加速度射撃の強力な一撃で穿つ。
「試行回数と単純な効果力、これが一番確実でしたね」
エアスティーラーによる風属性も試してみたが、いまいちかんばしくはなかった。
結論は出た。前衛組も一斉に斬りかかることで、着実に成果を上げている。
最後の一匹をアルティミシアがナイフで切り分ける。
「メタライム、可愛かったのになぁ」
消えていく姿を眺めながら、しんみりとアルティミシアは刃を納めるのだった。
●
「以上で報告は終わりだな」
旭が最後にそうしめた。
「大変だったようだな」
自身を治癒できたアルティミシアや射程外にいた後衛組を除いて、誰かしら何らかの傷を負っていた。
だが、それ以上に大変そうなバルバロスに言われると、ぐぅの音も出ない。
「スライムってこんなに強い敵だったんだ」
しみじみと思い返してリオがいう。
珍種というのもあるけど、と綾瀬が口を挟む。
「魔法はほとんど効かなくて、物理は動きを阻害しないと入らないのは厄介ね」
「対策がわかっていれば、なんとかなるだろう」
真司の言葉に、スライも頷く。
一番怖いのは、何も知らないことだとスライは告げる。
「スライムはまだ謎が多いぞい。わしは、その秘密を解き明かしたいのじゃ」
「だが、人間にやさしくねー生き物には変わりないんだ。気をつけてくれよな?」
「もちろん、そうするぞい」
弟子のムームーに視線を送り、スライは約束する。
だが、東にスライムあればかけつけ、西にスライムあれば馳せ参じる。男の性は止まらないだろう。
「スライムは奥が深いわね」
「まだ見ぬスライムが、居るかもしれません」
綾瀬とミオレスカは、小さく言葉をかわすのだった。
なだらかな丘陵の林の中、ハンターたちはそれに出会った。
銀色のメタリックな色を持つスライム……我々は、それをメタライムと名づけた。
「書き出しは、こうじゃぞい」
スライ博士は、痛々しい包帯を見せつけながら、そう述べた。
その隣りでは、スライに負けじ劣らず、包帯に巻かれるバルバロス(ka2119)の姿があった。
「なるほどな。魔法が効かないってのは本当なのか?」
無事な指でヒゲを撫でつけながら、バルバロスが問う。
一転、スライの表情が冷めていく。
「本当じゃ。いや、効いていたのやもしれんが、決定打ではなかった」
「ふむ」
目を細め、林へ向かったハンターたちを慮る。
「この体で出向いても、皆の足を引っ張るだけだろう。すまない」
バルバロスはそういって、この場に残っていた。
スライの推論を聞きながら、自身の経験を交えた意見を出す。
今はそうして、皆が無事に帰ってくることを願うばかりだ。
●
「初依頼だから、頑張らないと。やっつければいいんだよね?」
林までの道程を踏みしめながら、リオ・フランメル(ka5291)が拳を固める。
緊張しているように見えるリオに、柊 真司(ka0705)が声をかけた。
「気負い過ぎないようにな」
ただでさえ、魔法に強いという珍しいスライムだ。
これで物理にも強かったら、厄介というより他にない。
「そのスライム、物理は効くのかしら?」
真司の気持ちを代弁するように、白金 綾瀬(ka0774)がぽつりと疑問を呈す。
「今回のスライム……スライム?」
思わず小首を傾げたのは、アルティミシア(ka5289)だ。
話を聞くだに、スライムと一概に言えるか微妙に思える。
「とりあえず、仕掛ける。全てはそれから」
「メタリックスライム……メタライムでしたっけ」
スライ博士から聞いた呼称を思い出し、ミオレスカ(ka3496)が口にする。
「レベルアップに最適……ではないのですね」
どこかでメタルなスライムが経験値とやらを落としまくると聞いた気がする。
しかし、今回は残念ながら違うのだろう。
「それにしても」
先頭を歩く岩井崎 旭(ka0234)が、少し足をゆるめて会話に混じる。
「スライム好きとか変なヤツもいるもんだ」
「前もフゥライムでしたか。スライム亜種の依頼で名前を聞きましたね」
「ヴォイドじゃあねーにしろ、人間にやさしくはねー生きもんなのになー」
ミオレスカの言葉に、旭は半ば呆れるように博士を思う。
そんな会話をしている間に、視界の中に木々が見えてきた。
「んで、なんだっけ? えーと、はぐれスライム?」
「博士いわくメタライムだな」と真司が訂正をいれる。
「メタライム、ね。報告がてらに土産話が出来る程度には、試してみるか」
くるっとエンブレムナイフを回し持って、旭は構える。
それを見て、リオたちも武器を取り出すのだった。
●
「メタル……確かにメタルだな」
見えてきたスライムの全容に、真司が苦笑いを浮かべる。
全体が銀色のメタリックな姿は、アルティミシアが述べていたように毛色が違いそうだ。
「何があるかわからないから、気をつけてね」
「あぁ、まずは本当に魔法が効かないのか確認しないとな」
綾瀬に見送られ、真司は前進する。
敵数は5匹、メタライムどもの意識は、覚醒した旭へと向いていた。
真司は左舷から回りこむように中央の一体を射程に収め、杖型の魔導機械を振りかざす。放たれた機導砲の光が、メタライムを飲み込んだ……が。
「なるほど、な」
お世辞にも効いているとは言いがたい。
メタリックな表面には、傷ひとつついていない。身体を変質させたのか、もとから強いのかは不明だが、厄介であることに変わりない。
「話通り、魔法が効かないようね」
メタライムへ的を絞り、綾瀬が真司に続く。
射出された弾丸は、メタライムの身体に食い込んだ。
しかし、綾瀬の目は弾丸がメタライムを穿つことなくはじき出されるのを見ていた。
「物理もだめ……なのかしら」
「ダメージがなくても、有利に立ちまわるしかないですよ」
同じく射撃組のミオレスカは、ライフルから連続して弾丸を放つ。点ではなく面で、メタライムの行動を抑制する。
だが、意外に素早い動きでメタライムたちは前衛へと抜けていく。
サイトの先で、抜けだしたメタライムが赤く発光するのが見えた。
「何かきます!」
ミオレスカの警告を後ろで聞きながら、旭は動物霊の力を瞳に宿す。
その瞳が捉えたのは、メタライムから放たれる炎の矢だった。脚元を狙って放たれた炎を避け、旭はさらに前進する。
もう一発、狙いをつけてきたがこちらもかわす。
前衛に圧をかけてきているのは、三匹。残る一匹は、アルティミシアを狙っていた。
「袖が焦げたらどうするのだよ」
腕で受払い、被害を最小限に留める。
それでも、圧縮された熱量は手痛い。即座にマテリアルを活性化させ、治癒をする。
旭に続き、アルティミシア、リオが先頭のメタライムへと近づいた。
●
その様子を見て、真司は狙いを変える。
より自身に近いメタライムへと到達すると、すかさず電撃を放つ。
「金属的な見た目だし魔法でも雷撃なら効くかもしれない」
焼けてくれ、と念を込めて放った電撃だが、表面に焦げ跡はない。
動きはやや緩慢になったが、この瞬間を狙った綾瀬の一撃が届く頃には、戻っていた。
「少しは効果があるのかしら?」
もし、そうなら……と次の手を模索する。
先の弾丸を飲みみつつ硬質化も果たす姿が、常ではないとすれば勝機はあるのだ。
「おっと……近づき過ぎはダメだな」
「今度は私から行くわ」
メタライムの強撃をからくも避けた真司へ、綾瀬が告げる。
ちらりと見れば、旭たちもメタライムへ肉迫していた。
「魔法には強いって、言ってたけど、物理は、どうかな?」
まずは小手調べと アルティミシアが素早く立ち回り、優位な位置を取る。
「……ま、叩いてみれば、わかるか」
マテリアルの補助を得て洗練された一撃を放つ。刃が銀色の身体に吸い込まれるが、硬いものに弾かれてしまう。
「硬いっ」
「おお、あんたのいうとおりだ。ホントに硬いぜこいつ」
魔力を帯びた刃を引き下げ、旭がいう。
炎を打ち払い、放ったレイピアの一撃も切っ先から手応えを感じなかった。
「伊達にメタルメタルしてねぇな!」
「ピカピカしてて、ちょっとかわいい。倒すの、ちょっと残念……まぁ倒すけど」
後方から迫るメタライムが放った炎を受けながら、アルティミシアはしっかりと日本刀を握る。
追いついたリオも短剣を振るうが、ぶるりと軟体特有の動きでかわされた。
その際、バランスを崩したリオにメタライムは容赦なく襲い掛かる。
「……っ!?」
硬質化させた身体で、リオの胴部をなぎ払う。
受け切れない衝撃に、リオが後方へ飛ばされた。
「大丈夫か?」
「私なら大丈夫だ。まだ、戦える」
初めての依頼で、初めての負傷。
全身がうずくが、まだ戦えると起き上がり、駆け出す。
「さて、試してみましょうか」
旭たちの背中を眺めつつ、ほわっとミオレスカが呟く。
少し離れた位置にいる綾瀬にも目配せする。
互いに左右に動きつつ、綾瀬は真司が対するメタライムを狙う。
対してミオレスカは、旭たちが立ち向かうメタライムへ銃口を向けた。
「せーの」
ライフルへとマテリアルを流し入れ、銃弾に込める。
暑い日差しを受ける戦場に、涼やかな空気がはらむ。放たれた弾丸は、冷気を帯びてリオとアルティミシアの間を抜いていった。
アルティミシアが再び放った刺突に、メタライムが対応していた。
この軟体生物に意識があるのかはわからない。
ただ、メタライムの反応が弾丸に対して遅れていたのは、事実だ。
「当たりましたね」
遠くでミオレスカが呟く。
その声を聞いてか聞かずか、すかさず旭が動いた。
祖霊の力を込めて、大きく振りぬいた一撃がメタライムへ確かなダメージを与えた。
冷気によって緩慢となったらしく、硬質化があきらかに遅れていた。
「それがあんたの限界なのか?」
心外だといわんばかりに、メタライムの身体が熱を帯び、炎を吐き出す。
手足を固め、鎧を活用し攻撃を受け流す。
「おっ」
攻撃に転じようとレイピアを構え直した旭の目の前で、メタライムが崩れた。
アルティミシアとは逆側から、リオが切り込んだのだ。奇しくも、旭に意識を奪われ、さらに動きを制限されていたメタライムはその一撃をもろに食らってしまった。
「あ、いけた……のか?」
防御を抜ければ、何ともあっけない耐久値に、リオはどこか実感がわかない様子だった。
だが、目の前でメタリックだったスライムの身体が粉状に崩れていく。
溶けこむように消えていくのを見て、リオはやったことを確信した。
「油断禁物だよ」
「まだ、居るんだからな」
アルティミシアと旭に言われ、リオは顔を上げる。
まだ四体のメタライムが、林の中をうごめいている。
そのうちの一体は、綾瀬に狙いを付けられていた。
「そろそろ当たったらどうかしら?」
これまでに二度、弾丸は空を穿っていた。
普通のスライムより、やや素早く動くときがあり、予測がつきづらい。
だが、三度目となれば身体が、動きを覚えてくる。
「これでどうかしら」
狙いすまされた弾丸は、吸い込まれるようにメタライムの身体に風穴を空けた。無論、すぐに再生を開始するのだが……様子がおかしい。
「冷気で弾性が減ったら、少しは効果あるか。見せてもらうときだな」
柔軟な動きを見せていたメタライムが、あきらかに真司の動きに対応できていない。
硬質化が間に合わず、弾丸をもろに受けてしまう。
それでも、通常のスライムと同じく、物理にも耐性はあるはずなのだが……。
「なるほどね」
悪あがきで放たれた炎を盾で防ぎ、真司はその最後を見た。
本来なら一発二発の弾丸で落ちるとは思えないが、メタライムはべしゃっと地面に突っ伏すと動かなくなったのだ。
「どこかが強くなると、どこかが弱くなるわけだな」
引導代わりにメタライムに呟き、真司は身体を反転させる。
残るメタライムは、三体である。
●
傾向と対策……冷気による動きの抑制が防御行動を防ぐのに効果がある。
レイターコールドショットからの攻撃で、優位になる。
スライ博士への報告は、まずそこから始まった。
「もちろん、必ずしもうまくいくとは限らないがな」
真司の報告を聞いて、スライはふむと思案する。
受けきれなければ、一撃で沈む。ならば、再生能力はほぼ意味を成さない。
軟体で物理攻撃の威力を削ぐより、硬質化していたほうがよいようにも思えるが。
「欠点のないものはいない、ということでしょうか」
「くっく、まあ、そうじゃろうな」
ミオレスカの意見に、スライはおおいに頷いた。
さて、スライムの特徴といえばアレもある。
「傾向と対策は分かった。その後の話を聞くとするぞい」
「あぁ……それが」
そして、綾瀬が語りだす。
最初に異変に気がついたのは、綾瀬だった。
二体目のメタライムが倒れ、真司とアイコンタクトをかわし、次を決める。
奥側から向かってきたメタライムのうち、一体に狙いを定めたのだが……。
「ん?」
真ん中からひび割れるようにして、メタライムがわかれたのだ。
スライムの特徴でもある、分裂行動だ。
「弱りましたね」
避けられることも加味すると、冷気を帯びさせる弾数が心もとない。
ミオレスカが歯噛みする前で、他のメタライムも分裂を始めた。
「一気に片付けるわよ。時間を与えれば与えるほど、面倒になるわ」
「わかりました」
幸い、逃げる気配はない。
まずはレイターコールドショットをぶち込み、一体ずつ確実に始末する。
炎が連続して撒かれ、旭が多少の負傷を負ったが、返す刃で一体を沈めた。
「やるな、分裂しても器用受けやがるぜ!」
やがて、冷気による緩慢作用が起こせなくなると作戦を切り替えた。
「だがよ、同時だったらどこまで受けきれるんだ?」
「ナイフは、こういう使い方もできるんだよ」
旭に襲いかかったメタライムの後ろで、アルティミシアがナイフを振り下ろす。
リッパーと名づけたナイフが、メタライムの急所を突く。同時にリオも攻撃を与え、防御を貫いた。
「ほんとは、首、チョンパりたいけど、首ないし」
物騒なことをいいながら、アルティミシアは次の獲物に切っ先を向ける。
「ま、いいか、まるごと斬っちゃお」
気持ちを切り替え、向かっていくアルティミシアの後を旭たちも追った。
あるいは攻撃する余裕を奪えばいい。
小さくなったメタライム数匹を巻き込んで、ミオレスカと綾瀬は弾丸をまき散らす。
巻き込む敵を増やせば、ときおり、硬質化をしきれないものも現れる。
「これもある意味、有効な手かもな」
メタライムの攻撃を封じている間に、的確に、着実に仕留めればいい。
真司は再度、電撃を放ち、様子を見る。硬質化具合を観察すれば、効果があることが伺えた。パターンが増えれば、臨機応変に対応ができる。
「あとは狩るだけだ」
傾向と対策。
その数は、次第に増えていく。綾瀬が動きを止め、真司が電撃で動きを緩慢にさせ、ミオレスカが高加速度射撃の強力な一撃で穿つ。
「試行回数と単純な効果力、これが一番確実でしたね」
エアスティーラーによる風属性も試してみたが、いまいちかんばしくはなかった。
結論は出た。前衛組も一斉に斬りかかることで、着実に成果を上げている。
最後の一匹をアルティミシアがナイフで切り分ける。
「メタライム、可愛かったのになぁ」
消えていく姿を眺めながら、しんみりとアルティミシアは刃を納めるのだった。
●
「以上で報告は終わりだな」
旭が最後にそうしめた。
「大変だったようだな」
自身を治癒できたアルティミシアや射程外にいた後衛組を除いて、誰かしら何らかの傷を負っていた。
だが、それ以上に大変そうなバルバロスに言われると、ぐぅの音も出ない。
「スライムってこんなに強い敵だったんだ」
しみじみと思い返してリオがいう。
珍種というのもあるけど、と綾瀬が口を挟む。
「魔法はほとんど効かなくて、物理は動きを阻害しないと入らないのは厄介ね」
「対策がわかっていれば、なんとかなるだろう」
真司の言葉に、スライも頷く。
一番怖いのは、何も知らないことだとスライは告げる。
「スライムはまだ謎が多いぞい。わしは、その秘密を解き明かしたいのじゃ」
「だが、人間にやさしくねー生き物には変わりないんだ。気をつけてくれよな?」
「もちろん、そうするぞい」
弟子のムームーに視線を送り、スライは約束する。
だが、東にスライムあればかけつけ、西にスライムあれば馳せ参じる。男の性は止まらないだろう。
「スライムは奥が深いわね」
「まだ見ぬスライムが、居るかもしれません」
綾瀬とミオレスカは、小さく言葉をかわすのだった。
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【相談】メタライム撃退作戦 ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/07/21 00:56:27 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/07/21 02:01:39 |